VLSI Sympo、投稿数・採択数とも最多級、Technologyの採択論文は韓国トップ
VLSI Symposium(正式名称:2024 Symposium on VLSI Technology and Circuits)2024の概要が決まった。今回の特長は、投稿論文数、採用論文数ともここ10年で最も多いことだ。特に韓国からの採用論文が最も多く、Technology、Circuitsを合わせた全採用論文232件の内、54件と北米と同数になった(図1)。次に多いのが中国(37件)、そして欧州(36件)、台湾(26件)、日本(18件)、シンガポール(8件)、インド(1件)となった。
図1 VLSI Symposium全体の採用論文数の推移 出典:2024 IEEE Symposium on VLSI Technology & Circuits
VLSI SympoはTechnology(プロセス・デバイス)とCircuits(回路・システム)が一緒になってから、投稿数が増えてきた(図2)。全投稿数は実に897件となった。投稿数では中国からの投稿が237件と最も多い。
図2 投稿論文の急激な増加 特に中国と韓国からの論文が多い 出典:2024 IEEE Symposium on VLSI Technology & Circuits
今年の会議のテーマは、「デジタルとフィジカルの世界を効率とインテリジェンスで橋渡し」である。国際会議では基調講演のテーマにその時代のトピックスが見えてくることが多い。今年は4件あり、次のようにそれぞれ、エッジAI、モビリティ革命、ワイヤレス技術、IOWNというテーマで講演が組み立てられている。
・「Making Sense at the Edge; 高機能センシングとエッジにおける高効率情報処理」:Texas Instruments SVP/CTOのAhmad Bahai氏
・「Mobility Evolution: Electrification and Automation; モビリティ革命:電動化と運転自動化」:デンソー シニアディレクタの松ケ谷和沖氏
・「Wireless and Future Hyperconneted World; ワイヤレスと将来のハイパーコネクテッドワールド」:Movandi CEO/Co-Founder Maryam Rofugaran氏
・「Photonics-Electronics Convergence Device to Accelerate IOWN; IOWNを加速する光融合デバイス」:NTT研究開発担当役員IOWN総合イノベーションセンタ長 塚野英博氏
一般講演では、デバイステクノロジーのIntel 3nmプロセスの基本トランジスタやSamsungやIBMの裏面電源配線技術のセルフアラインメントコンタクト技術などに加え、先端パッケージングに必要となる、MIMキャパシタを集積したシリコンインターポーザや、新型メモリなどの講演がある。
回路とシステムでは、432コアを集積したチップレットのSoCをRISC-Vで設計した事例や、機械学習に向いた適応型の加算データフローコンピュティングのアクセラレータなどのSoCプロセッサや、教師無し逐次学習によるAIチップで転換の発作を予測するSoCの試作例や、6GbpsのPAM-4通信向けのチップ間通信ICや、テラヘルツ帯のMIMO向けトランシーバなどの通信用ICなどの例がある。
回路とシステムは、AIを中心にしたチップとそれらをつなぐ通信ICなどこれからの半導体産業に必要なIC技術が登場するようだ。