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AIのチップ化目指す動きが目白押し〜2018 VLSI Symposium

今度のVLSI Symposiumは、AI(人工知能)一色になりそうだ。米国ハワイで開催されるSymposium on VLSI Technology and Circuitsは、2018年6月18日〜22日の5日間開催され、最終日には金曜フォーラムとして機械学習について語り合う。主催者は「半導体の進化がコンピュータを発展させたように、AIの発展の原動力は半導体」との認識を示した。

図1 VLSI Sympoの会場となるHilton Hawaiian Villageホテル


今年のVLSI Sympo(通称)はハワイのホノルルにあるHilton Hawaiian Villageホテルで開催される。今年のテーマはスマートリビングで、「スマートな生活に向けた技術と回路、システム」となっている。半導体技術が次第にプロセスからデバイスに移りつつあるように、回路もシステムの方へ移りつつある。システムは、ハードウエアとソフトウエア両方からなっているため、今はまだソフトウエアの段階でもいずれハードすなわち半導体チップへと降りてくる。その典型がディープラーニングを代表とするAIだ。

これまでのVLSI SympoではTechnologyとCircuitsがはっきり分かれていたが、ここ数年両者が交じり合うセッションが出ていた。今回は完全に一体型で、TechnologyもCircuitsもどちらも6月19日から21日まで講演が詰まっている。このため、Technologyセッションに出た後にすぐCircuitsセッションにも出ることができる。最初の18日はチュートリアルなコースで、最後の22日の金曜フォーラムは「Machine Learning Today and Tomorrow: Technology, Circuits and System View(機械学習の現在と未来:技術、回路、システムの展望)」だが、これもどちらにも参加できる。

Technologyのプレナリー講演は、Micron TechnologyのEVPであるScott Deboer氏による「Memory Technology: The Core to Enable Future Computing Systems(メモリ:未来のコンピュータシステムを可能にするコア技術)」と、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟センター長による「Revolutionizing Cancer Genomic Medicine by AI and Supercomputer with Big Data(ビッグデータとAI・スーパーコンピュータによってがんのゲノム医療を革新する)」の2件。いずれも従来のフォンノイマン型コンピューティングに代わる新しいコンピューティング技術について言及するものである。

Circuitsのプレナリー講演は、セコムの小松崎常夫氏による「Semiconductor Technologies Accelerate Our Future Vision: “ANSHIN Platform”(半導体技術が私たちの未来ビジョンを加速する:安心プラットフォーム)」と、NvidiaのBill Dally氏の「Hardware-Enabled Artificial Intelligence(ハードウエア化を可能にするAI)」の2件。

米国ではIEEEが「Rebooting Computing Initiative」を形成、ポスト・フォンノイマン型コンピュータを追及している。AIに限らず、量子コンピュータや量子アニーリングなどが当てはまる。ただし、VLSI Sympoの米国委員会メンバーの間では、ポスト・フォンノイマンというとらえ方ではなく、今回はAI中心の講演が集まっている。

TechnologyとCircuitsのジョイントパネルディスカッションは、18日に開かれ、「Is the CPU dying or dead? Are accelerators the future of computations? (CPUは死に瀕しているのか死んだのか?アクセラレータは未来の計算機になるのか?)」を議論する。司会進行はARMのRob Aitken氏でパネリストはAMD、Leti、Western Digital、TSMC、Hokkaido Univ、Univ of Tokyoで構成される。

19日開催されるTechnologyのパネルディスカッションは「Storage Class Memories: Who cares? DRAM is Scaling Fine, NAND is Stacking Great(ストレージクラスメモリ:誰が関心あるのか?DRAMのスケーリングは微細化し、NANDの積層化はすごい)」で、Maryland大学のBruce Jacob氏。パネリストは産業界から、Micron、Intel、WD、Samsung、Toshiba、IBMが議論する。Circuitsのパネルディスカッションは「What’s the next big thing after smartphones?(スマホの次の大きなテーマは何か?)」である。

投稿論文数や採択論文数には大きな変化はなく、Technologyでは186件の投稿に対して採択数は75件、採択率40%であり、Circuitsでは投稿数362件、採択数104件となり採択率29%であった。投稿数ではCircuitsの方がTechnologyの2倍程度あるが、これは例年と同じ。VLSI Sympoは昨年京都で開かれ、日本開催におけるTechnologyの投稿数は、2009年205件、2011年185件、2013年164年、2015年171件、2017年160件と下がり気味の傾向にあり、日本の半導体産業の販売額減少と同様な傾向で推移している。

(2018/04/19)
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