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半導体産業の復権狙い、成長図るSEMICON Japan

SEMICON Japanが2015年12月16日から東京国際展示場(通称ビッグサイト)で始まる。東館に1〜6ホールを使って、出展社数732社(昨年725社)、小間数1705小間(昨年1638小間)、と昨年を上回った。今年もWorld of IoTと呼ぶ、IoTのパビリオンを設けたが、このブースは昨年よりはるかに充実している。

図1 SEMICON Japan開催前日の準備風景

図1 SEMICON Japan開催前日の準備風景


SEMICON Japanはここ数年、縮小してきたが、昨年IoT時代をテーマにインターネットにつなぐ最終製品の話が多く、半導体と装置をつなぐという視点が抜けていた。しかし今年は、半導体メーカーのIntel、ローム、IBM基礎研究所などが参加し、半導体とIoTとの関係をより明白になるように展示する。

Intelでは2015年5月に組織化したIoTのエコシステム「IoT Ventures」によるHEMS(ホームエネルギー管理システム)やBEMS(ビルエネルギー管理システム)などのデモを見せる。Intelのチップはゲートウェイに使い、LED照明や空調制御ユニット、ビーコンなどを使ったIoT端末からのデータをインターネットにつなぎ、LED照明の管理や電力量の管理などを行う。さらにO2O(オンラインツーオフライン)など店舗での応用の際にはソフトを使いやすくするためのAPI管理ソフトを作る企業も含まれている。このため、文字通り顧客のビジネス効率を上げるためのIoTソリューションも提供する。Intelのチップを使ったIoTゲートウェイにはデータをクラウドに上げる前にデータを整理解析しておく「エッジコンピューティング」機能も入っている。

データ解析を従来のフォンノイマン型コンピュータだけではなく、学習能力の高いニューロモーフィックコンピュータも使うためのコンピューティング技術をIBMが開発している。人間の左脳がノイマン型コンピュータらしさを持ち、右脳がニューロモーフィックコンピュータらしさを持つとしている。IBMのニューロコンピュータチップは第世代版としては昨年試作しているが、これはチップにアルゴリズムを焼き付ける前に学習させておいた重み(ニューロンの結びつきの強さ)をSRAMにためておいただけのチップであった。ニューロモーフィックコンピューティングでは、ニューロンを他入力1出力のロジックを等価回路で表しており、その入力の強さを重みとして変えることで、ニューロン同士の結びつきを変えていく。これが学習となる。真実に近づくように重みを変えて、正解を得るように学習するのである。

IBMはすでに第2,3,4世代のロードマップを描いている。第2世代では不揮発性メモリにオンチップで学習させるデバイスであり、小規模だがすでに試作している。第3世代はPCRAMなどの不揮発性メモリを使うものだが、STDP(Spike-Timing Dependency Plasticity)と呼ぶ新たに発見された脳の仕組みをニューロン同士の重みを変えるアルゴリズムを用いる。これは、ニューロンに入力するパルスのタイミングを考えて、入力されてからパルスが出力される場合を正しく評価されたとしてポジティブ、パルスが入力される前に出力されると学習していないとみなしてネガティブなつながりだと評価する。この第3世代の技術もチップを試作している。第4世代は、これまでと違ってラベル化されない情報を扱うため、本当の意味でのマシンインテリジェンスだと定義している。これは、かなり先の技術になりそうだ。IBMはこのロードマップに向けて開発してきた半導体デバイスも見せる。

ロームはHEMSの応用の一環として、Wi-SUNネットワークを進めているが、そのデモも見せる予定だ。

今年のWorld of IoTの出展社数は65社と昨年の58社よりも12%増え、小間数も増えたとしている。IoTの端末自身は、最先端の微細化技術を使わないチップが多いため、200mmウェーハラインが重宝されそうだ。このため200mmの製造設備を集める持続可能なモノづくりのテーマパビリオンも設けている。SEMI Japanは今年の来場者数は昨年の6万211人から6万5000人を見込んでいる。海外からの出展地域も昨年の14地域から16地域へと増え、外国の出展社数も昨年の111社から119社へと増えている。

(2015/12/15)
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