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Industry 4.0で先行する半導体生産システムの会議AEC/APC Sympo 2015

半導体製造装置・プロセスの自動診断・最適化を通じて、よりインテリジェントで高効率な生産システムの構築を議論するAEC(Advanced Equipment Control)/APC(Advanced Process Control)Symposium Asia 2015が11月11日、東京千代田区の学術総合センターで開催される。半導体製造分野は、製造条件を予め補正するフィードフォワード的な考えを持ち、Industry 4.0を先行してきた。

図1 前回日本で開催されたAEC/APC Symposium のひとコマ

図1 前回日本で開催されたAEC/APC Symposium のひとコマ


この会議では、半導体製造を科学的に捉え、生産性と歩留まりを上げるためにデータをうまく利用することを議論する。その一例をチュートリアルセッションで台湾の国立成功大学のFan-Tien Cheng教授は、TFT液晶工場でVM(仮想計測技術)技術を使った例について語る。プロセス処理している液晶基板ごとにオンラインの品質をモニターすることはプロセスの安定化を歩留まり向上に欠かせない。基板ごとに実計測することは時間がかかりコストアップの要因になる。このため、VMを導入する。製造装置から集めたプロセスデータと少々の実計測に基づいて、液晶基板の品質を推測する技術だ。

もう1件のチュートリアル講演は、アズビルのアドバンスオートメーションカンパニーの豊田英輔氏による、「センサ、コントローラの新しい方向性/EES(装置エンジニアリングシステム)向け診断パラメータの創出」と題して、センサとコントローラの関係性から有効なデータを創出する同社の取り組みを紹介する。

複雑化したプロセスパラメータや得られるデータをビッグデータとして扱うほどの膨大になってくるため、歩留まりを上げて生産性を上げることが難しくなってくる。センサ端末を利用して、装置の状況を診断するパラメータを創出し、生産性を向上させることはまさにIndustry 4.0である。データ量が多いため、社内のクラウドなどに上げ、有効なデータを求める。

こういった有効なデータを利用して装置にフィードバック、フィードフォワードによって生産性を上げる手法が、これまでの半導体前工程だけではなく、後工程や有機ELパネル製造、MEMS製造などにも適用する例がAEC/APC Sympo 2015で登場する。こういった生産性向上の手法は、日本だけではなく米国、欧州などにも広がっているようだ、とプログラム委員長の柿沼英則氏は語る。

基調講演では、日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所の折井靖光氏が「コグニティブデバイス実現に向けた実装技術の新潮流」と題して、非ノイマン型アーキテクチャを持つデバイスの実装技術を議論する。これからは、AEC/APC手法の後工程への適用へと進むに違いない。

AEC/APC Symposium Asia 2015

(2015/09/09)

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