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IoT時代に向けセンサやヘルスケアチップが急増するVLSI Symposium

6月9〜12日、ハワイで開催されるVLSI Symposium では、IoT(Internet of Things)時代に向けセンサやヘルスケア関係の論文が急増した。デバイス・プロセス関係のTechnology部門では、応募総数224件の内85件が採択され、Circuits部門では同420件の内96件採択された。センサ・ヘルスケアはCircuitsに多い。

Technologyにおける初日の基調講演はARM社フェローのRobert Aitken氏が「IoTのデバイスと技術実装」、ソニーの業務執行役員SVPの島田啓一郎氏は「情報爆発時代の顧客の価値創造」と題してそれぞれ行う。やはり、IoTは時代のキーワードだ。投稿件数に対して採択の比較的多い分野は、プロセスとノンSi、アナログ/RF/MEMS。

10nm、14nm時代ではFINFET対FDSOI(fully-depleted silicon on insulator)のトランジスタの検討をIBMとSTMicroelectronicsが行っている。FINFETは、ドレイン空乏層を3方向から閉じるが、FDSOIは上下の2方向から空乏層を閉じる。どちらもリーク電流を小さくできる点で同じであるが、作りやすさにおいては評価が分かれる。基板コストはSOIの方が高いが、従来のプレーナMOSFET技術を使える。FINFETはバルク主体であるため基板コストは安いものの3次元加工が難しい。総合的なコストの評価を待ちたい。今回は、10nmでもFINFET技術を使えることを、上記2社の他、Samsung、GlobalFoundries、UMCも共同で示す(図1)。またFDSOIは14nmまでは微細加工可能なことをIBM、STMicroelectronicsとCEA-LETIが共同で発表する。14nm時代まではFDSOI対FINFETだが、10nm以降ではおそらくSOIを利用するFINFET時代になろう。リーク電流対策が完璧になるからだ。


図1 FINFET技術は10nmでバルクもSOIでも形成できる 出典: 2014 Symposium on VLSI Technology 論文番号T2.2 Samsung, IBM, STMicroelectronics, GlobalFoundries and UMC

図1 FINFET技術は10nmでバルクもSOIでも形成できる 出典: 2014 Symposium on VLSI Technology 論文番号T2.2 Samsung, IBM, STMicroelectronics, GlobalFoundries and UMC


Technology部門に関しては日本の採択数は、21件になり、ここ数年大きな変化はない。半導体メーカーの発表は少なく、複数の発表は東芝の4件、その次は東京エレクトロンの2件のみ。LEAP(超低電圧デバイス技術研究組合)が3件、産業技術総合研究所が2件あり、残りは大学という状況だ。これは第1著者の所属をベースに数えた件数であり、全体で最も多い件数はIMECの10件。次がIBMの5件となり、1位との差が大きい。

Circuitsではセンサ・有線通信・PMICが伸展
Circuits部門の発表分野では、デジタル、通信、メモリ、アナログに分けると、アナログが最も多く43件、次がデジタル27件、通信18件、メモリ8件となる。これらはバランスも考えながら採用論文を決められるが、投稿論文で最も伸びている分野はセンサ・バイオ・ヘルスであった。ここでは2012年から毎年39件、46件、62件と増加してきた。投稿論文での伸びが顕著な分野は、ほかに有線通信とパワーマネジメントがある。有線通信は28件、37件、46件と増え、パワーマネジメントも40件、42件、51件と増加傾向にある。

注目された論文では、セキュリティ技術を集積したICをIntelや、神戸大・東北大の共同チームなどが発表する。プローブ接近情報窃盗への対策や暗号化アクセラレータなどで対処する。また、消費電力を削減するためにセンサをオンチップに集積し電力を自律制御するICや、ワイヤレスセンサの医療への応用が大学を中心に発表される。面白い試みでは、ボンディングパッドが全くないチップがUC BerkeleyとStanford大学から発表される(図2)。これはエネルギーハーベスティングの応用で、マイクロ波を照射して電力変換し無線チップを動かしデジタル変調したミリ波を出力するというもの。タグへの応用が可能になる。


図2 ボンディングパッドのないチップ 電波を受けて電波を出して動く 出典: 2014 Symposium on VLSI Circuits 論文番号C7-1、UC Berkeley and Stanford University

図2 ボンディングパッドのないチップ 電波を受けて電波を出して動く 出典: 2014 Symposium on VLSI Circuits 論文番号C7-1、UC Berkeley and Stanford University


Circuits部門では、採択数の多い機関はミシガン大学の7件、そしてオレゴン州立大学の5件が続く。採択数3件以上の上位13社の中に日本の機関が一つも入っていない。ただし、国別の採択数は、米国51件の次に日本と台湾が共に14件、以下韓国の6件が続く。2012年まで日本の採択数は20件以上を推移していたが、それ以降は減少傾向が続く。

(2013/05/01)

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