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台湾、モバイルDRAMをバネに復活目指す-21回ISSM/eMDC合同シンポから

21回を迎えたISSMと、台湾TSIA主催のe-Manufacturing & Design Collaboration
Symposium (eMDC)のジョイントシンポジウムが9月6日、台湾、新竹市のAmbassador Hsinchu Hotelにて開催され、260名の参加者が集った。会場はTSMCを中心とした台湾の若いエンジニアが全体の8割以上を占め、活気溢れる会合であった。

図1 第21回ISSM/e-Manufacturing & Design Collaboration Symposium (eMDC)会場

図1 第21回ISSM/e-Manufacturing & Design Collaboration Symposium (eMDC)会場


eMDCの主催者であるTSIAのプレジデントにこの4月に就任したNicky Lu氏(Etron)は、冒頭の開会の挨拶で、巨大化したTSMCでさえもアントレプレナーシップを原点としており、これからの成長に向けて、資金集めにトップが奔走していると述べた。今後20〜30年を視野に入れた成長を追求するためには、イノベーションへの積極的な取り組みが必要であり、若い世代に大いに期待したいと締めくくった。

ISSM組織委員長の齋藤昇三氏(東芝)は、半導体サプライチェーンを通じて、リソースやコストやリスクのシェアを図るために、技術的・事業的課題の提案と論議がなされることを期待すると述べた。半導体産業界をますます強くしていくための新しいイノベーションを創造したいとも語った。両氏とも、2回目となるジョイントシンポジウムが更なる発展形となるコラボを展開することを確認した。

キーノート講演の一人は、台湾工業技術研究院(ITRI)のIndustrial Economics and Knowledge Research Center (IEK)のセンター長である、Stephan Su氏で、同氏はNext Step for Taiwan Memory Industryと題した講演を行った。Su氏の講演概要は次のとおり;

「2013年におけるDRAMの世界市場は、Micron Technologyとエルピーダメモリの合併のみならず、大きな変革期を迎える。モバイルDRAMは、PC向けDRAMに替わってDRAMの主流となる。また将来的には、クラウドにおける次世代スマートデバイスやスマートサーバーへの需要が高まり、これに伴い、高エネルギー効率・高機能へのアプローチが必須になろう。世界DRAM市場における台湾のシェアは、年々下がっており、2012年には1桁(7.6%)に低下した。しかしながら、台湾DRAM各社における2013年の設備投資額は増加しており、台湾のDRAM産業の重要性は変わらない。今後、世界のDRAM市場は、2015年には10%減と厳しい状況となるものの、2016年には5%増、2017年には10%増の成長が期待される。

2017年以降には、3Dや次世代メモリへの開発に主軸を移していくことになる。次世代メモリとして期待の高いのが、DRAMの代替として注目されるSST-MRAM、PCM、そしてNANDフラッシュの代替としてのRRAM(ReRAMともいう)である。台湾では、今回MRAMとRRAMにおける活躍が注目される。

また、ROI(投資収益率)の最大化のためにも、Transnational Alliance(国を越えたアライアンス)が必要となっている。今年の8月に台湾行政院が最初のプログラムを始動させた、自由経済モデル区(Free Economic Demonstration Zone:FEDZ)への期待が高い。FEDZでは、外国籍法人による活動を許可。また、現在は規制が厳しい中国大陸からの人材受け入れも緩和し、1カ月以内の短期ビジネスでの滞在時の身分審査などを免除する。さらに、中国を含む外国籍の専門職の所得税も一定期間減税し、将来的には既存の特区よりも規制緩和などの範囲を広げ、海外から幅広く投資や人材を呼び込むというものである。」

ISSMとeMDCのジョイントシンポジウムは、2011年に続き、今回が2回目となった。ただし、2012年はISSM日本開催のため、ジョイントシンポジウムは行っていない。今回のジョイントシンポジウムは、キーノートセッションを始め、Big Dataと半導体産業という特別企画セッション、Engineering Excellence, Fab Management等のセッションなど、3つの並行セッションにて、9件の招待講演、37件の一般投稿の講演、合計46件の講演となった。このうち、日本からの論文応募による発表件数は、24%となる9件(東芝、ルネサス エレクトロニクス、東京エレクトロン、大成建設、筑波大学)であった。

ジョイントシンポジウム開催にあたっては、応募された論文アブストラクトのレビュー作業が、eMDCの論文委員会と、ISSMの論文委員会の協業で実施され、さらには、当日の運営にあたっても、セッションチェアマンも双方の委員会の委員が就任し、進行を務めた。

(2013/09/09)

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