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Semicon West記事に見る実態/市場実態PickUp/グローバル雑学王−54

恒例のSemicon Westがこの経済不況のもとで開催され、半導体および関連市場の実態を記事から改めて感じ取るとともに、今後に向けてそれぞれの立場で奮起を図るメッセージというものを受け取っている。インテルの業績発表が呼び水になって、底を打ったという実感と今後への期待感が相次ぐ業界記事に色濃く表れている感じを受けている。グローバルに思いは誰しも共通ということと思う。

≪Semicon West記事に見る実態≫

勝手ながらの分類タイトルで、以下の受け止めである。

【現下の市況】

半導体のfab、装置、材料と以下の現状である。ゆっくりとした足取りの戻し基調というのが大方の見方と思う。

◇Capex trends: 'Fear and cash conservation' (7月13日付け EE Times)
→Gartner社のアナリスト、Robert Johnson氏。半導体装置事業は第二四半期に底を打って、待望の回復は2010年になる見込みの旨。
 fab tool capital spending: 2009年     2010年
                   $16.6B
                   45.8%減   20.1%増

◇More than 30 fabs to close in '09, says analyst(7月14日付け EE Times)
→SEMIのsenior analyst and director of market research、Christian Gregor Dieseldorff氏。半導体メーカーが不況に対応してcapacityを削減、30以上の半導体fabsが今年閉鎖へ、前回の不況、2002年は60以上のfabsが閉鎖された旨。

◇Vendors 'squeezed' in fab tool downturn (7月14日付け EE Times)
→SEMI(San Jose, Calif.)のmid-year予測。2009年のfab tool市場は2008年比52%縮小、半導体材料市場は16.4%低下する見込みの旨。

このような環境下では、次の総括コメントも致し方なしと感じる。

◇Mood at Semicon (Part 2): What analysts and execs were saying(7月17日付け EE Times)
→Semicon Westが終了、簡単に言えば憂鬱なムードの出来事。solar部門でさえ冷めており、該業界も低迷している旨。

【今後の技術展開】
  
肝心の最先端技術の状況、見方について、以下目に止まった内容である。

◇Industry takes aim at 22-nm interconnect stack-The scope of the work announced at Semicon West spans formation of copper interconnect lines, allowable geometries for interconnect, and the reliability of the increasingly delicate porous low-k dielectric materials.(7月14日付け Electronics Design, Strategy, News)
→22-nm ICsを製造できるようにするには、材料選択、processing技法、あるいは設計パラメータなど諸々、変えなければならない旨。関連写真、下記参照。
http://www.edn.com/articles/images/EDN/20090714/6670939_img.jpg

◇This Year, Entire Roadmap Changes-The ITRS Roadmap will see a new edition go on-line in December. To get ready, participants met in San Francisco for the ITRS Summer Public Conference held Wednesday during SEMICON West. New materials and devices are being readied to extend CMOS and to ready the industry for the day when charge-based devices run out of steam.(7月16日付け Semiconductor International)
→水曜15日に開催のInternational Technology Roadmap for Semiconductors(ITRS) Summer Public Conferenceにて。途上の材料およびデバイスが現実味を帯びてきて、今日のCMOSの延長および"beyond CMOS"移行の両方に手段を約している旨。

◇Fragmentation threatens the roadmap for advanced lithography-As the industry approaches 22 nm, different kinds of fabs may be headed for very different kinds of lithographic tools.(7月17日付け Electronics Design, Strategy, News)
→193-nm lithographyを諦めなければならない日が容赦なく近づいてきているが、immersion optics, double-patterningおよびcomputational-lithography技法のお蔭をもって、22-nmノードのスタート以降にその日にちを延ばしてきている旨。しかしながら、これはいつまでも続かない定めである旨。

【450-mm fab製造】

注目の450-mmについて、対照的なスタンスの2件である。

◇GlobalFoundries: 450-mm push shows lack of ideas(7月14日付け EE Times)
→GlobalFoundries社の製造システム&技術VP、Thomas Sonderman氏。450-mmへの突入は、fab生産性改善の考えが不足しており、300-mmプロセスには非常に大きな頭上スペースが残されている旨。

◇Foundry execs say 450-mm can wait (7月15日付け EE Times)
→ファウンドリー数社のexecutivesの弁。450-mmウェーハへの移行とそれに辿り着くまでの莫大なR&Dコストは、見通せないものではなく待てるものである旨。

【モチベーション】

陰鬱なムードを早く打開したいということか、基調講演でも次のように鼓舞するメッセージが見られる。じっとしてても何にもならず、この機に一新を図る気持ちの持ち方の重要性を訴えていると思う。

◇Disaster Stimulates the Industry-Every economic crisis over the past 40 years has resulted in significant innovations according to Anand Chandrasekher, senior vice president and general manager of Intel Corp.'s Ultra Mobility Group. It has been at the tail-end of some of the severest economic downturns that novel products have emerged, creating profitable markets.(7月15日付け Semiconductor International)
→Intel社、Anand Chandrasekher氏の基調講演、"Creating a True Internet Experience on a Mobile Device"。過去40年の経済危機ごとに次の通り大きなイノベーションが起きており、この機を無駄にすべきでない旨。
 1970年代   Motorolaによる最初の携帯電話
 1980年代   IBMのPC


≪市場実態PickUp≫

まずは、節目の変化というものを感じる投資市場である。

【投資市場】

◇インド、中国を抜き初の首位 日本企業のアジア投資。(7月18日付け NIKKEI NET)
→日本企業のアジア向け直接投資で、2008年度はインドが中国を初めて抜いて最大の投資先になったことが明らかに、人口増に伴う内需拡大への期待からインドへの進出が加速しているのに対し、外資誘致で先行した中国は大型投資が一巡しているための旨。インド経済は金融危機にもかかわらず国内の需要が底堅く、インフラ不足などの課題を解決できれば投資はさらに勢いづくとの見方もある旨。
 日本の財務省・国際収支統計発:
        2007年度   2008年度
  中国   7015億円   6793億円
  インド  1890億円   8090億円

◇Venture capital rebounds in second quarter-Health care deals outpace information technology(7月18日付け EE Times)
→Dow Jones VentureSource発。第二四半期のventure capital投資が$5.27B、前四半期($4B:ここ10年で最低水準)比32%増、前年同期$8.33B。
初めてhealth careへの投資がITを上回った旨。該推移図面、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/chart1_071709.gif

【インテル、IBM業績見通しの波紋】

さて、大方の予想を上回るインテルの業績発表&見通しが、波紋を呼んでいる。

◇Intel Q2 hurt by EU fine but sales beat estimates(7月14日付け EE Times)
→Intel社の第二四半期、PC分野の状況好転でMPUsの力強い需要、しかしながら、European Commissionが課した$1.5Bの罰金で赤字計上に、今四半期は引き続き力強い販売で$8.5Bと、アナリスト連のコンセンサス、$7.81Bを上回る売上げを見通している旨。

これに対し、用心深い見方がある。

◇Analysis: 5 cautionary notes from Intel's Q2 results(7月15日付け EE Times)
→Intel社第二四半期のbetter than expected業績は、ハイテク分野全体がさらに力強い伸びに乗り出そうとしている、あるいは、グローバル経済が完全に回復して再び上向き傾向にある、ということを必ずしも示すものではない旨。要注意の5点、次の通り分析の旨。
 1. 前年比ではまだひどい状態であり、前四半期比より重い尺度になる。
 2. 第三四半期予測は、第二四半期の急上昇が需要の強まりに加えて大方は在庫補充によることを示している。
 3. visibilityがはっきりしないままである。
 4. 企業向け市場が依然沈滞化している。
 5. credit conditionsが依然最適ではなく、consumer confidenceが低いままである。

IBMにもインテルに連動する波紋が達したようである。

◇IBM hikes full-year outlook, shares rise (7月16日付け EE Times)
→IBMが、2009 earningsを前回$9.20/株から、今回$9.70/株に大きく上方修正、ソフトウェアおよびサービス事業が伸びており、ハイテク不況の最悪は脱したという希望を投資筋に与えている旨。

後工程業界へのインテルの実需、そしてApple社には如何、直近の注目である。

◇Intel orders expected to help ASE and SPIL outperform 3Q sales expectations (7月16日付け DIGITIMES)
→Intel southbridge半導体のoutsourcing需要増大のお蔭で、IC packaging and testingのAdvanced Engineering Semiconductor(ASE)およびSiliconware Precision Industries(SPIL)の2009年第三四半期売上げが、
前四半期比10%増という市場watchers予想を上回りそうな様相の旨。

◇Expectations high for Apple quarterly results(7月17日付け EE Times)
→新しいiPhoneの力強い出だし売れ行きおよびIntel社のearningsによるパソコン市場についての気分改善から、来週のApple社の四半期業績予想が高まっている旨。

インテルの動きがそっくり反映されるDRAM、そしてPC市場のアップデート、以下の通りである。  

【DRAM価格】

◇DRAM、7カ月半ぶり1ドル回復、採算ライン近付く。(7月17日付け 日経)
→パソコン用DRAMが値上がりしている旨。各社が半月ごとに値決めする大口需要家向けは6月後半の契約価格が1Gビット換算で1.06ドル中心、7カ月半ぶりに1ドル台に乗せ、サムスン電子など大手メーカーの採算ラインとされる1.3〜1.7ドルに近付いてきた旨。米国や中国、台湾のパソコン各社が欧米の新学期需要を見込んで調達を拡大している旨。
DRAMは2カ月半連続の値上げ決着、昨年12月後半から今年1月後半につけた最安値から56%高い旨。

【PC市場】

◇Netbooks take lead over notebooks, DisplaySearch says(7月13日付け EE Times)
→DisplaySearch発。laptopコンピュータ市場を支配する現状の2つの流れ、標準notebook市場volumeが初めてのこと、2009年はゼロ成長、一方でnetbooksが高速車線に入っている旨。

◇Notebooks to outsell desktops in '09, says iSuppli -Overall PC shipments to contract for first time since '01, firm says(7月15日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。今年のPC出荷台数は2001年以来の減少へ、notebookコンピュータが初めてdesktopsを上回ると見る旨。
               2008年   2009年
 グローバルPC出荷          287.3M   4%減
 desktop PCs     151.9M   124.4M   18%減
 notebook PCs    139.6M   155.97M  11.7%増

◇パソコン世界出荷、4〜6月は3.1%減、IDC調べ、個人向け需要回復。(7月16日付け NIKKEI NET)
→米調査会社IDCが15日まとめた4〜6月期の世界パソコン出荷台数は、前年同期比3.1%減の6629万台、3四半期連続の前年割れだが、同6.3%減としていた予想を上回った旨。IT投資抑制を背景に企業向け需要は引き続き厳しいが、個人向け需要の回復が下支えした旨。
「ネットブック」の人気が続き、特に米国の個人向けノートパソコンの需要が堅調、アジア・太平洋地域の出荷台数も中国を中心に予想を上回った旨。
別の調査会社、米ガートナーが同日発表したパソコン世界出荷台数も同5.0%減の6815万台と、同9.8%減としていた予想を上回った旨。


≪グローバル雑学王−54≫

なかなか一気に市場気分は盛り上がってきそうになく、また、汗のしたたる季節でのパソコン対峙ということで、本コーナーでは"音楽"を取り上げることに。

『音楽がわかる世界地図 −今と過去、世界各地の音楽・楽器・ミュージシャンが一冊でわかる!』(世界の音楽編集部 編)  …2007年7月 第三刷

から、順不同で気ままに取り上げていきたく、ひたすらお付き合いを願うのみ。以下の(注)以下は、WikipediaなどPC百科事典から取り出している。


Part.1 地図でみる世界の音楽

≪楽器と大衆音楽のちょいと世界一周 …前半…≫

【米国】

イギリス、アイルランド系移民が、ギター、フィドル(ヴァイオリン)、フラットマンドリン、バンジョーでカントリーの元となる音楽を始める。
アフリカ系移民は、先の楽器やハープ(ハーモニカ)でブルースを始め、またフランス系移民とともに管楽器と打楽器を中心にジャズを生んでいる。
20世紀中期には、世界に大きく影響するギター音楽ロックを育てている。

(注)フィドル(英語 fiddle, ドイツ語 Fiedel)は弓を用いて演奏する擦弦楽器のうち、 ヴァイオリンを指す名称である。主にフォークミュージック、民族音楽で使われる ヴァイオリンを指す。

[ロサンゼルス] 西海岸ロックは、サーフィン・サウンドとともにエレキ・ギターのメッカ。

[テネシー] カントリー、ブルーグラス界で欠かせないバンジョー。

(注)ブルーグラス(Bluegrass music)は、アメリカのアパラチア南部に入植したスコッチ・アイリッシュ(現在の北アイルランド、アルスター地方にスコットランドから移住した人たち)の伝承音楽をベースにして1945年末、ビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズにアール・スクラッグスが加わってから後に発展したアコースティック音楽のジャンル。

[ニューヨーク] フォークは、アコースティックギターが要、ハーモニカを首にかけもする。

[シカゴ] ミシシッピー・デルタ地帯からシカゴへ、ブルースは流れ、ギター・スライド奏法を多用する。

【中部アメリカ】

[キューバ] キューバのダンス音楽は、ルンバ、チャチャチャにマンボ、楽団の花形はティンバレス。

(注)ティンバレスは、金属製の胴に主にプラスチック製のヘッド(膜)を張った、スネアドラムに似た太鼓を二つ横につなげた楽器である。

[ドミニカ共和国] テンポが速く、シンコペーションの利いたダンス音楽、メレンゲは、ニューヨークでも流行、メレンゲ・アコーディオンなど。

(注)メレンゲは、スペイン語のヴォーカルにアコーディオン(ドイツやイタリアから伝来)や、プエルトリコの民族楽器であるグィロ、アフリカの打楽器タンボラやコンガなどが用いられている。

[プエルトリコ] 10弦5コースのクアトロは、プエルトリコのギター

(注)複弦5コース10弦の小型のギター、という感じの楽器。プエルトリコがコロンブスに発見されてしまって以来、スペイン人が島にやってきた中でスペインの弦楽器(ラウーとか)が島に持ち込まれ、それがクアトロという形になったもの。元々多分4弦、又は4コースの複弦の楽器だったのでクアトロ(4)と呼ばれたのあろうが、今や5コース復弦の楽器に。

[トリニダード・トバゴ] ドラム缶製音階付き打楽器、スティールドラムの音色はまさに夏。

(注)スティールパン(Steelpan)は、ドラム缶から作られた音階のある打楽器で、独特の倍音の響きを持った音色が特徴。カリブ海最南端の島国・トリニダード・トバゴ共和国で発明された「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明」と呼ばれており、トリニダード・トバゴ政府により、「国民楽器」として1992年に正式に認められた。 スティールドラム(スチールドラム)とも呼ばれる。

【南アメリカ】

[コロンビア] 伝統のパシェナートは、アコーディオン主体のカウボーイ焚き火音楽が元。他に太鼓(カハ)とリズム木片(グァチャラカ)が加わる。

[ペルー] ウクレレのような複弦5コースのギター、チャランゴ。心地よい音色。

[アルゼンチン] タンゴの要、バンドネオン(アコーディオンに手風琴のイメージが残る)には、ヴァイオリン、ピアノが絡む。

[ブラジル] カーニバルにはサンバ。そしてブラジルのジャズとも呼ばれ、ブラジルらしい泣き(ショラーレ)が美しいショーロ、その花形はバンドリン。

(注)バンドリン(Bandolim)とは、スペイン・ポルトガル起源の、ギター(ヴィエラ)から 派生した、4コース8弦の複弦楽器。ブラジルの「ショーロ」などの音楽に使用される。 奏法等はマンドリンとほぼ同じ。 

【アフリカ】

民族の数だけポップス・スタイルがあるアフリカ。
ギター音楽のハイライフ・パームワイン。
打楽器を加えたジュジュ。
ダンス音楽のスークースや、ペニー・ホイッスルを加えたクウェーラ・・。

[ナイジェリア] その昔、部族同士の通信手段に使われたトーキング・ドラム。音調言語をもつドラム。

[マダガスカル] 竹筒のまわりに弦を張った琴のような楽器、ヴァリーハ。その音、アフリカとインドネシアが出会ったような不思議な海の音楽。

(注)あらゆる音楽が入り交じるマダガスカルの音楽世界。約20の民族集団からなり、1800万人が暮らすマダガスカル。中央高地に住むのはインドネシアからやってきたといわれるメリナやベツィレウの人々だ。伝統音楽も根強く、東南アジアが起源という竹の弦楽器ヴァリーハや横笛のスーディナは広く演奏されている。

[今日のポップスにも反映、西アフリカ楽器例]
・ひょうたんの共鳴器が付く木琴、バラフォン

(注)西アフリカの広い地域で使用されている伝統楽器バラフォン(木琴)。地域によって形態に多少の差異は認められるものの、木製の鍵盤の下に大きさの異なる複数のひょうたんを取り付け共鳴器とするという基本的な構造は共通している。大きいものでは20鍵以上、長さ1.5m以上に達し、民間音楽、宮廷音楽を問わず幅広く演奏されてきた。その美しい音色に、世界中に多くの愛好者がいて、また近年では多数のバラフォン奏者が欧米で活躍している。

・ひょうたんボディ、ハープ・リュート系、コラ

(注)コラ(kora)は、西アフリカが発祥のリュート型撥弦楽器。長いネック、ヒョウタンの共鳴胴、そして21本の弦が特徴。ハープやギターの原型とも言われ、アフリカの民族楽器の中でも最も美しい音色を持つとされる。

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