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仁義なきグローバル商戦/市場実態PickUp/グローバル雑学王−76

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長きにわたるGartner社からの速報データでは、半導体業界の2009年売上げは$226 billionで、2008年から11.4%減、ここ25年で6度目の減少になる、とのことである。世界経済危機の渦中で、もっと大きな落ち込みの見方も見られたが、各国・地域の経済対策が奏功、ここまでに踏みとどまったという締め方が大勢にように思う。グローバルな経済の潮流に取り残されないよう、追い付き追い越せ、そのような実態を特に感じるこの1年である。

≪仁義なきグローバル商戦≫

中国の経済力への注目、対応が最上位にくるこの1年とも言えると思うが、NHKの次のTV番組で、生々しくその規模、世界を席巻するアプローチ、影響力というものを感じさせられている。端的に上記のサブタイトル表現の感じ方と相成っている。

●12月13日(日) NHK TV 21:45〜
『チャイナパワー(3):膨張する中国マネー』

番組の進行に合わせて、場面コーナーおよびキーフレーズ書き出しで小生なりに次の通りである。

[北京の超高級レストラン] 
・中国の投資銀行が、米国企業と商談
・中国政府が進める海外投資戦略 →昨年、倍増
・数々の壮大な世界一をすでに実現、増やしている

[優秀投資家表彰式]
・500にのぼる投資会社
・「漢能投資集団」の例。漢能は、"中国人はできる"の意。海外帰国組が多い。7000億円以上の取引。
・中国は200兆円以上の外貨準備

[海外M&A]
・中国企業12000社以上、海外進出
・金融危機で海外企業安い
・経営資源の集中 国が支援
・値段の安い赤字経営の会社、販売ルート、特許が買い

[米国Oregonのプロジェクタ・メーカー買収の例]
・John Hui氏 M&Aのつわもの 米国在住
・このメーカーはHui氏の手に。同じ中国人にしてやられた。 

[中国人ネットワーク]
・米国の中国人ネットワーク 会員5000人
・世界を結ぶ中国人ネットワーク 投資マネーが世界中130カ国に

[提携あれこれ]
・オーストラリアでの資本提携破棄。企業文化 制度 
・裏口上場 水面下での米中接近

[上記の買収例、その後]
・John Hui氏 立て直して売却金額釣り上げ
 3倍以上に: 45 → 130億円
・今は日本にアプローチ。 プロジェクタ部門 B社
   日本と中国の間の相乗効果 C社も

[中国マネーのしたたかな膨張]
・企業買収 多方面コンタクト 国が後押しする海外企業M&A
・テキサスの石油関連
 1年で5兆円以上の投資 →中国政府が決めた方針

なにしろ数値の単位に驚かされるのと、世界の隅々に及ぶネットワーク力こそチャイナパワーの源泉と言えるのではないかと思う。当然ながら各国・地域との摩擦が考えられ、上記にも実例が出ている。高品質、最先端を追い求める我が半導体業界、そして我が国の半導体業界のあり方、経済性など、今後に向けてGive and Takeをグローバルな土俵の上でしっかり固めていかなければ、という思いが一層高まってくる。

このように考えを巡らす間にも、中国を巡る動き、そして変化には絶え間がなく、一端として次の通りである。

◇中国企業、海外M&A加速、2009年最高3兆円に。(12月16日付け NIKKEI NET)
→中国企業による海外企業のM&Aが急拡大、2009年の買収総額は350億ドル(約3兆円)前後に達し、過去最高を更新する見通しの旨。資源関連の国有企業を中心に大型M&Aが相次いだほか、民営企業が先端技術や新規市場を求めて海外企業を買収するケースも出てきた旨。世界最大の外貨準備を抱える中国政府の後押しを受け、中国企業による日本企業も巻き込んだ海外M&Aが加速しそうな旨。

◇中国の「バブル」が世界的経済危機まねく、郎咸平氏(12月18日付け 13億人の経済ニュース[biglobe配信])
→示唆に富む発言でたびたび注目を浴びてきた経済学者の郎咸平氏は、世界経済のモデル転換期における中国企業の発展チャンスと課題を取り上げた第2回蘇州商会年次総会で発言した。世界銀行のゼーリック総裁のスピーチをたびたび引用しながら、来る2010年への懸念を示し、「中国の資産バブルが爆発すれば、2010年には世界的な経済危機がもたらされることになる」と述べた。


≪市場実態PickUp≫

来年に向けた我が業界のキーワードが、以下の通り挙げられている。確かに本年、2009年は、経済危機の渦中にあって今後をじっくり形作っていくことに終始、という見方があると思う。

【2010年技術&トレンド】

◇Hot biz: '09 moves that are shaping the future(12月14日付け EE Times)
→EE Timesスタッフによる来る年に求めるホットな技術&トレンド:
・技術戦略を形作る経済のむち  *GDP推移の見方、下記参照
 ⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/news/09/12/1573chart_pg13.gif
・新市場に視点を置くIntel
・世界に相手するGlobalFoundries
・For CEOs, uncertainty is guaranteed
・The year the past caught up with Europe
 ⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/news/09/12/1573photo_pg16.jpg
・Memory massacre of 2009
 ⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/news/09/12/1573chart_pg18.gif
・Along with wafers, foundries made mistakes *販売高推移&予測、下記参照
 ⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/news/09/12/1573chart_pg22.gif
・経済の乱気流にかき乱される日本
・Venture capital creeps toward the light
・グリーン技術を引っ張るLEDs, smart grid

またぞろインテルを巡る動きが続いている。圧倒的なNo.1ベンダーに対する期待、No.1ゆえの叩かれ方など、半導体市場の一大指標として今後に注目ということと思う。

【対インテル訴訟】

◇Group: Proceed with caution in Intel suit (12月15日付け EE Times)
→Association for Competitive Technology(ACT)というグループ(Washington, D.C.)が、Federal Trade Commission(FTC)に対し、イノベーションに向けたincentivesを下げたり、半導体価格を上昇させるようなactionsは避けるよう求めている旨。

◇FTC sues Intel, claims MPU leader abused dominant position-According to the FTC, Intel's "anticompetitive tactics have stifled innovation and harmed consumers." Intel defends itself, saying that it has competed fairly and lawfully, and that its actions have benefitted consumers.(12月16日付け Electronics Design, Strategy, News)
→FTC(Federal Trade Commission)が本日、Intel社を提訴、"競争相手を抑えるために10年にわたり圧倒的な市場地位を不法に利用、独占を強めている"旨。

◇Analyst: Intel must change behavior (12月16日付け EE Times)
→米Federal Trade Commission(FTC)のIntel社を相手取った訴訟は、x86ベースプロセッサ市場での同社の振る舞いを越えた先を行っている旨。

◇Analyst: Intel-FTC suit is a waste of time (12月16日付け EE Times)
→時間とお金の浪費、とLazard Capital Marketsのアナリスト、Daniel Amir氏。

◇Intel research embraces European IT goals (12月18日付け EE Times)
→2009年始めのIntel Labs Europe(ILE)の設立は、戦略的initiativeであったことは疑いない旨。National University of Ireland, Maynoothの技術&ビジネス革新professor、IntelでIT innovationのグローバルdirector、
ILEのDirectorであるMartin Curley教授:「ILEはIntelの欧州における研究&イノベーション活動のためのネットワーク組織、新しいプラットフォーム。Intel Architecture研究、開発&イノベーションを進め、欧州の競争力を高めるために欧州のstakeholdersと連携することが使命。」
Intelの欧州Labネットワーク、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eu/2009/12/map800.gif

今後のホープ、LED市場の見方である。

【LED市場】

◇Future of LED adoption looks bright-ISuppli reports that the 2009 holiday season is setting up double-digit sales growth for LEDs in general illumination that will see a near doubling in market revenue by 2013.(12月15日付け Electronics Design, Strategy, News)
→iSuppli社、今朝発表のデータ。2009年のグローバルLED売上げが$7.4B、2008年$6.7Bから10.9%増で拡大する旨。推移&予測図面、下記参照。
http://www.reed-electronics.com/articles/images/ENEWS/20091215/6711830_chart.jpg

またまた中国、桁違いの本当か?、である。

【超安値netbook】

◇Chinese processor drives $99 netbook, say reports(12月16日付け EE Times)
→最近設立されたCherrypal(Palo Alto, Calif.およびHong Kong, China)が、価格$99のnetbookコンピュータ、
Cherrypal Africa(7インチ画面、400-MHzプロセッサ、256GバイトRAM、2Gバイトフラッシュメモリ、Linux or Windows CE OS)を打ち上げ、Ingenic Semiconductor Co. Ltd.(Beijing, China)からのプロセッサが動かす旨。

冒頭に述べたGartner社のランキング、懐かしいDataquestから何年のお付き合いになるだろうか。本年の速報、以下の通りである。

【2009年半導体ランキング】

◇Gartner: Memory segment helped some show revenue growth in 2009-The memory segment deserves attention, since much of what happened in 2009 appears contrary to what happened in other segments, Gartner says.(12月17日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Gartner発。半導体業界にとって2009年は最近では史上最悪の年の1つに、しかしいくつかのデバイスセグメントおよびメーカーはどうにか伸びを示している旨。世界半導体トップ10ベンダー・速報データ、下記参照。
http://www.reed-electronics.com/articles/images/ENEWS/20091217/6712232_chart.jpg


≪グローバル雑学王−76≫

年末年始のタイミングになると、グローバルな情勢認識を更新しなければということで、云わば頭の中の大掃除である。今回は、NHKテレビのニュースで最も分かりやすく感じる「週刊こどもニュース」のお父さん役を過去に務めた著者に成る下記の新刊著書にお世話いただくことにする。

『知らないと恥をかく世界の大問題』(池上 彰 著:角川SSC新書 081)…2009年11月 第1刷

以下、小生なりのポイント抜き書きプラスコメントで表わしていくことにする。

≪はじめに≫
・2008年9月、世界金融危機の勃発。各国は、大胆な財政出動、これまた大胆な金利引き下げを断行
・ドルに見切りをつけた投機資金 →金価格が高騰、円高にも
・世界各国のさまざまな思惑・意図、揺れ動く世界政治と世界経済

第1章 新しい「世界の勢力地図」を占うキーワード

■世界の重心が動きはじめた
・世界金融危機を経て、世界中でパワーシフト。緩やかにアメリカ一極集中が崩壊へ
・これまで世界のお金はアメリカに流れる仕組み
 →今、逆流を始め、中東、あるいはインドや中国へ、西から東へ
・戦後の日本、インフラがカギ。新興国・地域にとってインフラは経済発展には欠かせないキーワード。

⇒半導体販売高の地域別も然り、先行指標になっていると思う。

■発展するかどうかは、書店を見ればわかる
・「その国が発展するかどうかの見方」
 →街に大きな書店があり、そこに若者が大勢いるかどうか
・その国の先を読む …「人材」「教育」面に目を向ける

⇒知的モチベーションの重要性。「半導体は面白い!」という感覚を小生の場合持ち続けているが、時の流れ、進展に合わせて如何に継承していくか、ということと思う。

■ジャブジャブ状態のお金が再びバブルの芽を生む!?
・アメリカは、今回の金融危機に直面し、ゼロ金利政策
・中国政府は、総額56兆円もの大型の景気対策

■G7からG20へ − 世界の枠組みが変わる
・サミットの歴史 …スタートしたのは1975年、フランス主導
・長らくG7(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、カナダ)
・1990年代にロシアを加えたG8
・今後は、G8ではなくG20が、世界経済の動向を決めることに

⇒ますますグローバル感覚を醸成していかなければ、という感じ方である。

■今、世界の一番の火薬庫はパキスタン
・イスラム圏で唯一の核保有国、パキスタン
・「パキスタン・タリバン」、今やパキスタン政権を脅かすまでに

⇒イスラムの理解の高まる重みである。アフリカ、中東など半導体での距離感に注目している。

■「宗教」「民族」「資源」が戦争のキーワード
・21世紀の米中関係 →表向きはにこやかに握手、机の下では足で蹴り合い
・太平洋をめぐってはアメリカ対中国、北極海やヨーロッパをめぐってはアメリカ対ロシア、という戦いの世界の構図
・EUがなぜ成立しているか
 →政治体制、経済体制、宗教がみな同じ
 →イスラム教の国、トルコをEUに入れたくない
・世界には「宗教」「民族」「資源」の3つの対立構造
 →イスラム圏にはすべて揃う

■新しい世界の中で、日本の立ち位置は?
・ロシア、中国、韓国などは、日本の政権交代を大歓迎
・今回の政権交代は、世論が成熟する、いいきっかけに

⇒半導体の立ち位置も然りと思う。

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