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今後の技術&アプリ/市場実態PickUp/グローバル雑学王−75

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クリスマス、正月、旧正月とHoliday Seasonを控え、電子機器セットの作り込みは山を過ぎて、来年、そしてその先に向けてどのような技術を駆使して市場のアプリケーション・ニーズに最大限応えていくか、この時期、タイミングにおけるいつもながらの課題であり、風情でもある。このサイクルが健全にいつまでも続くようにと願う思いがある。

≪今後の技術&アプリ≫

今後に向けた技術そしてアプリケーションを検証していく恒例の国際会議の場が続いていくが、まず

IEEEの2009 International Electron Devices Meeting(IEDM)

から、特に目に付いた内容をジャンル別に以下に示す。いつものWashington D.C.から今回はBaltimore, Md.での開催となっている。

[研究のあり方]

◇IEDM: SIA tech exec calls for new research model(12月8日付け EE Times)
→研究者約1200人が集まった今回の場で、SIAの技術プログラムVP、Pushkar Apte氏。半導体チップ上にさらに多くのTrsを首尾一貫して詰め込むというMoore則を拡張するための新しいアイデアが半導体リサーチに不足してきており、新興技術イノベーションを加速する必要がある旨。50年でtubeも真空管からカーボンナノチューブに変貌、今まで慣れ親しんだのとは全く異なる新世代のデバイスにつながっていく旨。

◇IEDM panel: Manage innovators, not innovation(12月9日付け EE Times)
→evening panel discussionにて、新しい研究アイデアをタイミング良く製品に如何に入れるか、考え方を披露の旨。

※上記のtubeの変貌の表現は面白く感じるが、半導体/微細化技術の集積度を積み上げる面白さを永遠に、という受け取りである。

[微細化限界]

◇Nvidia's Chen Calls for Zero Via Defects(12月7日付け Semiconductor International)
→Nvidia社(Santa Clara, Calif.)の技術& foundry operations VP、John Chen氏。die当たりbillions of Trsにscaleされてきているグラフィックス・プロセッサ、leakageパワーがほとんど耐えられないレベルに、zero defectsおよびzero variabilityの必要性が最高になってきている旨。

◇Silicon May Prevail Despite Power Fears(12月7日付け Semiconductor International)
→先立って行われたSunday short coursesのscaling challengesセッションにて。研究者は依然、22-nmノード以降のbulk silicon CMOS代替として、III-V and germanium channels, finFETs and tri-gate devices, およびfully depleted SOIなどを積極的に追求しているが、業界の多くはbulk planar CMOSについてコストおよびcomplexityの考察に留まっている旨。

◇Pressure Builds on Gate First High-k(12月9日付け Semiconductor International)
→high-k/metal gate(HKMG)生成へのgate-firstアプローチについて閾値電圧シフトなど性能問題の懸念から、GlobalFoundries(Sunnyvale, Calif.)などIBMがリードするFishkill Allianceメンバーが、gate-last技法に切り換えていく可能性の旨。

◇Intel Takes 32 nm PMOS to Record Levels(12月10日付け Semiconductor International)
→Intel社が、32-nmロジック技術の詳細をプレゼン、同社第4世代strain技法によりPMOS性能がhistoric pointに高められている旨。

※微細化の最前線でのアプローチ方法、そして現状の課題を受け止めている。

[先端アプリ]

◇IEDM: IMEC picks up on vibrations to harvest energy(12月8日付け EE Times)
→IMECの研究。ワイヤレスセンサnodeを動かすのに用いられるMEMS piezoelectric harvestingデバイスが、vibrationsから最高記録の85μW電力を発生する旨。

◇IEDM: MEMS enables powerless curved retinal implant(12月9日付け EE Times)
→Stanford大が開発した30μm厚photovoltaic silicon網膜implantについて。

※微細化を促す先端アプリということで注目である。

IEDMに合わせるかのようにタイミング良く、我が国の半導体材料業界から以下の発信が見られる。

◇JSRや信越化学、次世代半導体の素材開発。(12月11日付け NIKKEI NET)
→日本の化学メーカーが、フォトレジストの次世代品を相次いで商品化、世界最大手のJSRが線幅20-nm台の超微細加工に対応した製品を開発、2位、3位の東京応化工業と信越化学工業も、やはり20-nm台の加工に対応した製品のサンプル出荷を2010年にも始める旨。日本企業は半導体では海外勢に押されているが、素材分野では高いシェアを維持、高精度の製品を早期に投入し、競争力をさらに向上させる旨。

来年の市場に出回るアプリケーションは如何という見方は、健全なサイクルをいつまでも続ける上で、新技術とともにこの時期欠かせないもう一つと思う。EE Timesより次の通りの取り上げとなっている。

◇Hot applications in 2010 (12月9日付け EE Times)
→2010年注目の技術アプリ10点:
 E-book reader story still being written
 Long grind to build out the grid
 Roll-to-roll: ready to rock?
 MEMS gyros put new spin on user input
 A picoprojector in your pocket
 Bringing the hospital home
 Android invasion
 Building the bionic human
 Touchy subjects: screens for portables
 3-D bursts into the living room

上記を裏付けるような早速の動きが見られている。

◇Taiwan to fund e-book industry (12月9日付け EE Times)
→台湾政府が、e-book業界発展推進のために、5年にわたり$36.9M出資していく旨。

◇3-D TV comes to the soccer World Cup (12月4日付け EE Times)
→南アフリカでのサッカー2010 FIFA World Cupの25試合まで、ソニーの3D professionalカメラが、3D画像配信の試みに用いられる旨。


≪市場実態PickUp≫

グローバルな景況を見ながらの緩やかな回復基調の現状の半導体市場と思うが、落ち込みの大きい装置市場の今後について次の見方である。

【半導体装置市場】

◇Capital equipment spending to grow 45% in 2010-While this may seem to be a dark time for the equipment segment,
as the industry consolidates a much stronger equipment sector will emerge to carry on in the future, Gartner reports.(12月11日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Gartner社の最新データ。世界半導体装置spendingは、2009年は42%以上下げて終わりそうであるが、2010年には45%以上増えて戻すと見る旨。データ内容、下記参照。
http://www.reed-electronics.com/articles/images/ENEWS/20091211/6711291_chart.jpg

この製造装置業界について、韓国での動きである。

【韓国の半導体装置】

◇Korea offers cash to chipmaking equipment sector(12月8日付け EE Times)
→Yonhap News Agency(聯合ニュース)発。韓国政府が、向こう3年にわたり現地の半導体製造装置メーカーに約$50M注入する計画の旨。

さて、今後の実装ソリューションとして注目されてきている三次元半導体の市場化の取り組みについて、
3-D Architectures for Semiconductor Integration and Packaging(BURLINGAME, Calif.)
の場で、次の見方となっている。

【三次元半導体市場】

◇Intel still searching for 3-D chip app (12月10日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)の技術マネジメントdirector、Jerry Bautista氏。同社は、through-silicon vias(TSVs)に基づく3-Dデバイスの今後の使用を依然探索しているが、該技術の正当なアプリ、"product intercept"を見い出すには至っていない旨。現時点、半導体各社は、主にCMOSイメージセンサ、MEMSそしてある程度パワーアンプでTSVsベースの3-Dデバイスを限定出荷しているが、ここ何年か、IBM, IntelなどはTSV技術によるMPUs、メモリなどのfunctionsのstackingに注目してきている旨。

プロセッサ市場の2つの話題。まずはIntel社が咳をするとかくも響くかという感じ方である。

【GPU市場】

◇AMD, Nvidia reap benefits of Intel's Larrabee delay-Intel's graphics shift could narrow programming gap(12月7日付け EE Times)
→Intel社がLarrabee半導体の最初のバージョンをリリースしないという決定、グラフィックスプロセッサメーカー、AMDとNvidia社は、長期並びに短期の猶予を得たことになる旨。

いろいろ注目の中国、プロセッサでは次の通りのようである。

【中国のMPU】

◇Chinese processor ported to 65-nm, says Synopsys(12月10日付け EE Times)
→中国の自前のMPU、ときにはGodson、またときにはLoongsonと呼ばれるが、Synopsys社(Mountain View, Calif.)の助けで65-nm製造プロセスに移されてきている旨。

すでに注目度は十分に上がっているLEDであるが、ドイツ発の生産対応の打ち上げが見られている。

【LED生産】

◇Osram opens Malaysian fab (12月10日付け EE Times)
→Osram Opto Semiconductors GmbH(Regensburg, Germany)が、世界最新装備のLED半導体fab(Penang, Malaysia)建設およびprocess-testing phasesを完了、欧州およびアジアの両方にhigh-volume生産拠点を擁する初のLEDメーカーとなる旨。外観写真、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/osram_fab.jpg


≪グローバル雑学王−75≫

とうとう国旗・国歌による世界各国巡りも、下記のオセアニアの国々で締めということになる。学生のころは、国名を言えば首都がすぐ言えるくらいの反応力があったような気がするが、今回記し続けてみて、本当に主要な国々しか知らない自分に気づかされている。"グローバル雑学王"を目指す道も、なかなか果てしないものを感じている。

『国旗・国歌の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 645)…2008年7月 第1刷

より、次のフォーマットで表している。

=========================
[国名] …国旗・国歌の一言コメント
≪基本情報≫ ・首都 あるいは 中心地 あるいは 本部
       ・面積
       ・人口
       ・言語
       ・宗教
* 国名、国旗、国歌に纏わるエピソード
=========================

各国・地域の国旗については、例えば以下を参照いただきたく思う。

※世界の国旗 ⇒ http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/kokki/index.html


【オセアニアの国々】

[オーストラリア連邦(Australia)]
 …幽霊も出てくる「第2の国歌」的愛唱歌
・キャンベラ(Canberra)
・774万1220km2 →日本の約20倍
・2074万3000人(2007年推定)
・英語(公用語)
・キリスト教、無宗教、他
*オーストラリア→「南の」を意味するラテン語に由来
*国歌:"Advance Australia Fair"「進め、美しきオーストラリア」

[キリバス共和国(Republic of Kiribati)]
 …世界で最初に日付が変わる国の朝陽の国旗
・タラワ(Tarawa)
・≪太平洋中部、赤道と日付変更線が交わるあたり≫
 726km2 →奄美大島とほぼ同じ
・9万5000人(2007年推定)
・キリバス語、英語(ともに公用語)
・カトリック、プロテスタント
*1788年にこの海域を航行した英国海軍のギルバート大佐に因み、転訛して国名に
*国歌:独立の日に初めて歌われた「立ち上がれ、キリバス」

[サモア独立国(Independent State of Samoa)]
 …国歌の歌詞はサモア語、タイトルは英語
・アピア(Apia)
・2831km2 →佐賀県よりやや大きい
・18万7000人(2007年推定)
・サモア語、英語(ともに公用語)
・プロテスタント、カトリック
*サモア→ポリネシアの言葉で「モア神の聖地」の意。モアは、ポリネシア神話の創造神、タンガロアの息子。
*国歌:"The banner of Freedom"「自由の旗」

[ソロモン諸島(Solomon Islands)]
 …フィジー人が作ったソロモン国歌
・ホニアラ(Honiara)
・≪パプア・ニューギニアの東方、大小およそ100の島々≫
 2万8896km2 →岩手県の約2倍
・49万6000人(2007年推定)
・英語(公用語)、ピジン英語(共通語)
・キリスト教
*黄金伝説で有名なソロモン王の地を発見したということでこの名
*国歌:メロディーはシンプルで歌いやすく、どことなく賛美歌風の雰囲気

[ツバル(Tuvalu)]
 …なぜか逆さまの星が混じっている国旗
・フナフティ(Funafuti)
・26km2 →伊豆七島の新島とほぼ同じ
・1万1000人(2007年推定)
・ツバル語、英語
・プロテスタント
*ツバル→「立つ」と「8つ」の意味の現地語を合わせたもの。8つの環礁と島。
*国歌:"Tuvalu mo te Atua(ツバル語)"「全能者(=神)のためのツバル」

[トンガ王国(Kingdom of Tonga)]
 …国旗も国歌も皇太子が関わった
・ヌクアロファ(Nuku'alofa)
・747km2 →奄美大島とほぼ同じ
・10万人(2007年推定)
・トンガ語、英語(公用語)
・プロテスタント
*172の島よりなるポリネシアで唯一の王国
*国歌:トンガ語で神に国と国王への加護を求めて祈る歌詞、賛美歌風の親しみやすいメロディー

[ナウル共和国(Republic of Nauru)]
 …経済が破綻した小島の明るい国歌
・ヤレン(Yaren)
・≪赤道から約40km南:珊瑚礁の島≫
 21km2 →伊豆七島の新島とほぼ同じ
・1万人(2007年推定)
・英語(公用語)、ナウル語
・プロテスタント、カトリック
*豊かな生活を保証してきたリン鉱石はほぼ枯渇、経済活動は破綻状態
*独立の喜びにわく時代に作られた、ゆったりと明るい曲調の国歌

[ニュージーランド(New Zealand)]
 …マオリ語、英語の順で歌われる国歌
・ウェリントン(Wellington)
・27万534km2 →日本の約75%
・417万9000人(2007年推定)
・英語、マオリ語(ともに公用語)
・プロテスタント、カトリック、他
*国名:オランダ南西部のゼーラント(「海の地」の意)地方に因んで「新しいゼーラント」と呼ばれたことに由来
*2つの国歌がまったく同等の立場→この国とデンマークくらいのもの
 イギリス国歌"God Save the Queen"「神よ、国王(女王)を護り給え」
 "Dod Defend New Zealand"「神よニュージーランドを護り給え」→マオリ語のタイトル"Aotearoa"

[バヌアツ共和国(Republic of Vanuatu)]
 …点在する島の位置関係が「Y」の字にあらわされた国旗
・ポートビラ(Port Vila)
・≪オーストラリアの北東、約80の島々≫
  1万2189km2 →新潟県とほぼ同じ
・22万6000人(2007年推定)
・ピジン英語のビスラマ語、英語、フランス語(すべて公用語)
・プロテスタント、カトリック
*国名:メラネシア系の言葉で「我らの地」の意
*国歌:ビスラマ語で「ユミ、ユミ、ユミ…」(ユミ=私たち)と始まるリフレイン。you and me→yumi

[パプアニューギニア独立国(Independent State of Papua New Guinea)]
 …国鳥の極楽鳥がデザインされた国旗
・ポートモレスビー(Port Moresby)
・46万2840km2 →日本の約1.25倍
・633万1000人(2007年推定)
・英語(公用語)、ピジン英語、モツ語(ともに共通語)、他
・キリスト教、伝統宗教
*パプア→マレー語で「縮れ毛」の意。ニューギニア→住民がアフリカのギニア人に似ているとされたことによる地名
*国歌:"O Araise, All You Sons"「おお、立ち上がれ、すべての息子たち
よ」

[パラオ共和国(Republic of Palau)]
 …「熟した国」のイメージが託された国旗の満月
・マルキュク(Melekeok)
・459km2 →種子島とほぼ同じ
・2万人(2007年推定)
・パラオ語、英語
・カトリック、プロテスタント、他
*国名の自称:ベラウ→マレー語のプロウ(島の意)に由来
*国歌:"Belau Rekid"「我らがパラオ」

[フィジー諸島共和国(Republic of the Fiji Islands)]
 …賛美歌のメロディーを借用した国歌
・スバ(Suva)
・1万8274km2 →四国とほぼ同じ
・85万人(2005年推定)
・英語(公用語)、フィジー語、ヒンディー語
・キリスト教、ヒンドゥー、イスラーム
*インドからプランテーション労働者として多くの移民、現在インド系住民は人口比で4割近くまで
*国歌:"Meda Dau Doka"「神よフィジーを祝福し賜え」

[マーシャル諸島共和国(The Republic of the Marshall Islands)]
 …初代大統領が作詞・作曲した国歌
・マジュロ(Majuro)
・181km2 →利尻島とほぼ同じ
・5万9000人(2007年推定)
・マーシャル語、英語(ともに公用語)
・プロテスタント、他
*マーシャル諸島の名→1788年に一帯を調査した英国人、ジョン・マーシャルに由来
*国歌:"Forever Marshall Islands"「マーシャル諸島よとこしえに」

[ミクロネシア連邦(Federated States of Micronesia)]
 …ドイツの愛国歌が南国の島国の国歌に
・パリキール(Palikir)
・702km2 →対馬とほぼ同じ
・11万1000人(2007年推定)
・英語、8つの現地語
・プロテスタント、カトリック
*ギリシア語のミクロ(極小)とネソス(島々)を合わせて、ミクロネシアに。
 1979年、日系のトシオ・ナカヤマ氏を初代大統領とする自治政府が発足。
*国歌:"Patriots of Micronesia"「ミクロネシアの愛国者たち」

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