伸びの話題総尽くし/市場実態PickUp/グローバル雑学王−68
世界経済危機も1年を過ぎて、前年同期比という評価の意味合いをよく考えなければならないと思うが、「危機前」という見出しがもっともよく物語る基準であろうか。あの頃に一時も早く戻して勢いをつけたいという気持ちはいずこも同じということで、少しでも元気づく"伸び"の話題総尽くしを行っている。
≪伸びの話題総尽くし≫
世界市場の浮揚を引っ張る中国が、まずはどうしても出てきて、刺激策による如実な効果が表れている。
◇2009年1月から9月の自動車販売台数、2008年年間売り上げ抜く(10月21日付け [13億人の経済ニュース](biglobe配信))
→中国汽車工業協会のデーターによると、今年9月の自動車販売台数は133万1800台で前月比17%増、前年同月比77.9%増となった。今年8月は政府の自動車購入補助プランが停止したため、世界第2位であったが、9月はアメリカ市場が20%前後の落ち込みを記録したため再び世界1位となった。
1月から9月の累計売上は966万2700台にのぼり、前年同期比34.2%増、2008年年間累計売上をすでに28万2200台上回った。
回復期待の心理を反映してか、株式市場の方はいち早く戻しているようである。我が国内の戻しが鈍いのはここでも気になってくる。
◇世界の株式時価総額「危機前」に迫る、45兆ドル、2月比1.5倍。(10月19日付け NIKKEI NET)
→世界の株式相場が上昇基調を強めている旨。主要52市場の株式時価総額の合計は約45兆ドル(約4090兆円)と直近の底だった2月末から5割以上増加、昨年9月のリーマン・ショック前の水準に近づいた旨。世界景気の底入れ期待に加え、各国の中央銀行による潤沢な資金供給で、投資マネーが株式に回帰しているための旨。一方、日本株は約3割の増加にとどまった旨。
今月に入り各国市場の騰勢は鮮明、14日に米ダウ工業株30種平均が約1年ぶりに1万ドル台を回復、ブラジル、インド、英国など主要指数が年初来高値を更新する市場が相次いだ旨。
さて、肝心の半導体業界。各社業績に力強さを加える要素がそれぞれにはっきりし始めている様相があるが、前年比較ではまだ先遠い感じ方が沸いてくる。
◇Analog strength helps TI top forecasts (10月19日付け EE Times)
→Texas Instruments社(Dallas)の第三四半期売上げ$2.88B、前四半期比17%増、前年同期比15%減、アナリスト予想を越える売上げの旨。
◇STMicro narrows loss on improved sales (10月20日付け EE Times)
→STMicroelectronics NV(Geneva)の第三四半期売上げ$2.28B、前四半期比14%増、前年同期比16%減。
DRAMの価格戻しが奏功してか、Hynixは久方の黒字となっている。
◇Hynix returns to profitability (10月23日付け EE Times)
→Hynix Semiconductor社の第三四半期販売高約$1.8B、前四半期(約$1.4B)比26%増、2年ぶりの黒字化の旨。
それでは「危機前」に戻すのはいつなのか? TSMCは次の見方である。
◇Global chip market may stage full recovery earlier than expected in 2011, says TSMC chairman (10月19日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏が17日のイベントにて、同社の2010年販売高が業界の回復と一致して2008年を上回る見込み、グローバル半導体業界が2008年レベルに戻るのは2011年になりそうな旨。
戻すのが後になる傾向が付きまとう半導体装置メーカーの業績にも、力強さが見られてきている。
◇Gear makers continue earnings rally (10月21日付け EE Times)
→半導体装置メーカーの第三四半期業績についてここ2週間、アナリストの予測を上回る事例が常になってきている旨。
半導体市場の先行指標の重要な一つとして、DRAM業界への注目は欠かせないと思うが、以下の推移&予測となっている。
◇DRAM rebound to continue in 2010, says iSuppli(10月22日付け EE Times)
→iSuppli社のpreliminary estimate発。第三四半期のグローバルDRAM売上げは前四半期比35%増、第二四半期の同34%増に続く旨。DRAM業界は引き続き2010年に戻していく様相の旨。売上げおよびASPsの前四半期比増減のここ5年の推移、下記参照。
⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/chart1_102209.gif
本コーナーもいつまでもシリーズ化では困ったもの、ひと時も早い「危機前」復帰を願う一心である。
≪市場実態PickUp≫
今後のモバイル機器向けプロセッサ開発に向けて積極さが目立つARMの動向である。
【ARMの動き】
◇Xilinx and ARM announce development collaboration-Agreement sets the foundation for industry's next-generation programmable platforms.(10月19日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Xilinx社とARMが本日、Xilinx FPGAs上でARMプロセッサおよびinterconnect技術が使えるようコラボする旨。さらに両社は、FPGAアーキテクチャーに向けて強化、最適化された次世代ARM AMBA interconnect技術の定義づけに取り組んでいる旨。
◇Comment: ARM, Xilinx and the future of programmable platforms(10月19日付け EE Times)
→multiprocessor-plus-FPGA-fabric programmableプラットフォームの今後に向けてお互いに支持しているように思われる旨。
◇ARM stretches out with A5 core, graphics, FPGAs-Details emerge on Atmel 2010 chip using Cortex A5 core(10月21日付け EE Times)
→宿命のライバル、Intel社の本社からほんの1マイルの所(SANTA CLARA, Calif.)で、ARM Ltd.が、同社のannual Silicon Valley technical conferenceを本日開幕、モバイルおよびembeddedプロセッサの同社ハイエンドラインをしっかり据え付ける新しいコアを発表の旨。
International Sematechのシンポの記事を見ると、450-mmの健在ぶりを知らされるところがある。
【ISMI(International Sematech Manufacturing Initiative) Symposium】
◇Sematech: 450-mm in 'test wafer' stage (10月21日付け EE Times)
→International Sematech(Albany, N.Y.)が引き続き450-mm fab技術を進めており、''test wafer generation''段階にある旨。
◇Sematech tips 450-mm fab, platform tool specs(10月22日付け EE Times)
→2012年までに450-mm prototype fabsに移る可能性を加速する期待、International Sematechのいくつかの切り口での積極的な動きについて。
このシンポの中でも、今後の見方について慎重派、積極派の両端が見られる。
◇U.S. Tax Code Penalizes Manufacturing-Angelos Angelou, head of an economic consulting firm, told participants at the ISMI Symposium that the U.S. economy will experience a "slowdown of decline" over the next six months, and may not return to pre-2007 levels for five to seven years. "Our tax system penalizes manufacturing, with the result that more jobs are moving overseas," he said.(10月22日付け Semiconductor International)
→製造拠点に最も適した場所を政府に勧告、地域および国家経済の状況を定期的にレビューしているAustinのコンサル会社からの基調講演。
◇Semico Research Sees Strong 2010 for Chip Industry-Semico Research is predicting 20% IC revenue growth next year, followed by two years of stable growth. Another downturn will follow in 2013, with revenues declining in the face of continued good unit growth that year. "We are now seeing a V-shaped recovery," Semico founder Jim Feldhan said in Austin, Texas, "and there are some pretty cool electronics products coming to the market."(10月22日付け Semiconductor International)
→上記のエコノミスト、Angelos Angelou氏の見方とは際立つ対照、半導体業界は来年売上げが20%の伸び、装置サプライヤには数年良い年になりそうな旨。Semico Researchは、IC消費の牽引役としてbroadband wirelessおよびsocial networkingを見る旨。図面データ、下記参照。
⇒http://www.semiconductor.net/photo/163/163863-Semico_Research_sites_broadband_wireless_and_social_networking_as_drivers_of_IC_consumption.jpg
伸びを牽引する中国市場の半導体について、次の見方となっている。
【中国半導体市場】
◇China semi market expected to rebound in 2010(10月23日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。2009年の中国半導体市場は、主に輸出減少から6.7%減$68Bの見込み、2010年には戻して17.8%増$80.1Bに増えると見る旨。データ図面、下記参照。
⇒http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/091023_isuppli_china.jpg
伸びる突端ではいろいろ摩擦は付き物。知的所有権をめぐる以下の事態である。
【中国をめぐる火花】
◇Silicon Valley engineers on trial-Two engineers in California went on trial this week on charges they were economic spies for the Chinese government.(10月23日付け EE Times)
→San Jose Mercury News発。Californiaの2人のエンジニアが、NetLogic Microsystems(Mountain View, Calif.)およびTaiwan Semiconductorからtrade secretsを盗み出したとの申し立ての旨。
◇Is IBM handing over key IC technology to China?(10月19日付け EE Times)
→IBM社が、specialtyファウンドリーベンダー、CSMC Technologies社(Wuxi[無錫])に0.18-μm RF CMOS半導体技術ライセンス供与、合意調印の旨。2007年のSMICとの45-nm bulk CMOS技術に続く中国で2番目のファウンドリーライセンス契約、後のことはOKかといぶかる反応もある旨。
≪グローバル雑学王−68≫
今回から4回に分けて、アフリカの国々を訪れていく。植民地支配からの脱却、今なお尾を引く紛争とそれぞれの苦闘の歴史を行間に感じさせられる。
国の名前も小生の乏しい記憶とも大きく変わっており、そういえばオリンピックでのアナウンス紹介で耳にしたという事例がそこかしこという感じ方がある。アフリカ大陸のどこらあたりにあるのかを、以下国土面積の欄に付記している。
『国旗・国歌の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 645)…2008年7月 第1刷
より、次のフォーマットで表している。
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[国名] …国旗・国歌の一言コメント
≪基本情報≫ ・首都 あるいは 中心地 あるいは 本部
・面積
・人口
・言語
・宗教
* 国名、国旗、国歌に纏わるエピソード
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各国・地域の国旗については、例えば以下を参照いただきたく思う。
※世界の国旗 ⇒http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/kokki/index.html
【アフリカの国々 −1/4−】
[アルジェリア民主人民共和国(People's Democratic Republic of Algeria)]
…国歌の歌詞は獄中で書かれた
・アルジェ(Algiers)
・≪北西≫238万1741km2 →日本の約6.3倍
・3385万8000人(2007年推定)
・アラビア語(公用語)、ベルベル語、フランス語
・イスラーム(国教、スンナ派)
*国名:アラビア語で「島々」の意
*1954年、アルジェリア民族解放戦線(FLN)が結成、1962年に独立
*国歌:"Qassaman"「誓い」と題する詩
[アンゴラ共和国(Republic of Angola)]
…東西冷戦の代理戦争だった内戦と、国旗に残る共産主義のシンボル
・ルアンダ(Luanda)
・≪南西≫124万6700km2 →日本の約3.3倍
・1702万4000人(2007年推定)
・ポルトガル語(公用語)、民族諸語
・伝統宗教、カトリック
*2002年に停戦協定に調印、30年近くに及ぶ内戦がようやく収束
*国歌:"Angola Avante"「アンゴラよ進め」
[ウガンダ共和国(Republic of Uganda)]
…国鳥カンムリヅルが描かれた国旗
・カンパラ(Kampala)
・≪中央≫24万2000km2 →本州とほぼ同じ
・3088万人(2007年推定)
・英語(公用語)、ルガンダ語、スワヒリ語
・キリスト教、イスラーム、伝統宗教
*1979年、独裁のアミン大統領が失脚、現ムセベニ大統領による政権はほぼ全土の平定に成功
*国歌:"Oh Uganda, Land of Beauty"「おおウガンダ、美しき国!」
…楽譜ではわずか8小節、譜面上では世界で最も短い国歌
[エジプト・アラブ共和国(Arab Republic of Egypt)]
…ナイルの恵みをうたう平和的な国歌
・カイロ(Cairo)
・≪北東≫100万1449km2 →日本の約2.7倍
・7550万人(2007年推定)
・アラビア語(公用語)
・イスラーム(スンナ派)、キリスト教(コプト教)
*国名:古都メンフィスの古代名フウト・カァ・プタハ(プタハ神の魂の神殿)がギリシア語などを経て変化
*国歌:地の恵みと古代の栄光をうたう平和的な内容の歌詞
[エチオピア連邦民主共和国(Federal Democratic Republic of Ethiopia)]
…国旗の3色は汎アフリカの色に
・アディスアベバ(Addis Ababa)
・≪中央・東≫110万4300km2 →日本の約3倍
・8309万9000人(2007年推定)
・アムハラ語(公用語)、英語
・エチオピア正教(コプト教)、イスラーム、他
*アフリカ大陸最古の独立国、植民地化されなかった唯一の国
*国旗:汎アフリカ色と言われる3色…緑(豊穣)、黄(信仰の自由)、赤(国のために流された血)
[エリトリア共和国(State of Eritrea)]
…国情は深刻だが、国歌は明るい
・アスマラ(Asmara)
・≪北東≫11万7600km2 →本州の約半分
・485万1000人(2007年推定)
・アラビア語、ティグリニャ語(ともに公用語)、他
・イスラーム、キリスト教(コプト教)
*国名:ラテン語の「紅海」に由来
*国歌:長い抑圧からの自由の高ぶりが、日本の「ヨナ抜き音階」(音階の4番目と7番目の音を抜いた5音音階)に近い明るいメロディーで
[ガーナ共和国(Republic of Ghana)]
…国旗の黒い星に託された思いは?
・アクラ(Accra)
・≪中央・西≫23万8537km2 →日本の約3分の2
・2347万8000人(2007年推定)
・英語(公用語)、他
・キリスト教、イスラーム、伝統宗教
*かつての王国の名であり王の称号でもあるガーナ。かつてゴールドコースト(黄金海岸)と呼ばれた。
*国歌:"God Bless Our Homeland Ghana"「神よ、祖国ガーナを護り賜え」
[カーボベルデ共和国(Republic of Cape Verde)]
…ギニアビサウとの統合を諦めて、国旗・国歌を一新
・プライア(Praia)
・≪西沖・火山群島≫4033km2 →滋賀県とほぼ同じ
・53万人(2007年推定)
・ポルトガル語(公用語)、クレオール語
・カトリック、プロテスタント
*国名:ポルトガル語で「緑の岬」の意
*国歌:"Cantico da Liberdade"「自由の歌」
[ガボン共和国(Gabonese Republic)]
…赤道直下、海に面した熱帯雨林という地理的条件をあらわす3色旗
・リーブルヴィル(Libreville)
・≪中央・西≫26万7667km2 →日本の約3分の2
・133万1000人(2007年推定)
・フランス語(公用語)、ファン語、他
・キリスト教(カトリック)、伝統宗教
*国旗の3色…「緑が森、黄色が赤道の太陽、青が海」
*国歌:"La Concorde"「調和」
[カメルーン共和国(Republic of Cameroon)]
…旧仏領と旧英領の統合をあらわす国旗の1つ星
・ヤウンデ(Yaounde)
・≪中央・西≫47万5442km2 →日本の約1.3倍
・1854万9000人(2007年推定)
・フランス語、英語(いずれも公用語)、他
・キリスト教、伝統宗教、イスラーム
*国名の由来:エビ(ポルトガル語でカマロス)の川
*国歌:冒頭のメロディーや全体の曲調に「ラ・マルセイエーズ」の影響が明らか
[ガンビア共和国(Republic of The Gambia)]
…民族の伝統的な歌をもとにした個性的なメロディーの国歌
・パンジュール(Banjul)
・≪西≫1万1295km2 →岐阜県とほぼ同じ
・170万9000人(2007年推定)
・英語(公用語)、マンディンカ語、ウォロフ語、他
・イスラーム、キリスト教、伝統宗教
*国名:現地の言葉で「川」の意
*国歌:下降音階で始まる独特の美しいメロディー、西アフリカの主要民族、マンディンゴの伝統的な歌がもとに
[ギニア共和国(Republic of Guinea)]
…国の標語「労働・正義・団結」を反映する3色旗
・コナクリ(Conakry)
・≪西≫24万5853km2 →日本の約3分の2
・937万人(2007年推定)
・フランス語(公用語)、マリンケ語、スースー語、他
・イスラーム、キリスト教、伝統宗教
*1958年、フランス共同体からの完全独立
*国歌:下降音階のメロディーが特徴的、ゆったりとした明るい曲、伝統音楽に由来
[ギニアビサウ共和国(Republic of Guinea-Bissau)]
…初代大統領の兄が作った国歌
・ビサウ(Bissau)
・≪西≫3万6125km2 →九州とほぼ同じ
・169万5000人(2007年推定)
・ポルトガル語(公用語)
・イスラーム、伝統宗教、キリスト教
*ギニアとカーボベルデの統合を目指した独立運動を経て、1974年、独立を承認
*国歌:作者のアミルカル・カブラルは、初代大統領、ルイス・カブラルの兄