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半導体業界に迫る波動/市場実態PickUp/グローバル雑学王−67

第三四半期の世界パソコン出荷が前年同期を上回って、IT業界のrebound感がより鮮明になってきている。インテル社の直近四半期販売高も予想以上、来る四半期も強気の読みということで、米国株式市場が大台に戻す要因になっている。まさに世界経済が待ち望む基調であるが、本当か、本物か、という見方もある。このような中、世界各地域の半導体業界に迫りくる様々な波動を追っている。

≪半導体業界に迫る波動≫

厳しい事業再構築が続く欧州で、旧Philips・半導体のNXPが、今後は高性能mixed-signalに傾注していくという決断を行っている。

◇NXP to transfer CMOS IP, staff to Virage Logic(10月12日付け EE Times)
→NXP BV(Eindhoven, The Netherlands)が、同社の先端CMOS intellectual property(IP) rightsの一部、160人のスタッフおよび技術関連装置をVirage Logic社(Fremont, Calif.)に委譲することに合意、NXPはVirage Logicの2.5M株を受け取る運びであるが、Virage Logicから受ける見込みの設計サービスに$60Mを支払わなければならない旨。

◇NXP's Clemmer says focus produces winners all round(10月14日付け EE Times)
→NXP BV(Eindhoven, The Netherlands)のCEO、Rick Clemmer氏。同社は、高性能mixed-signalメーカーとして今後を計画、備えていく旨。
 
これに対する1つの見方に次がある。

◇Email to the editor: NXP's target market size(10月15日付け EE Times)
→Future HorizonsのCEO、Malcolm Penn氏のコメント。NXPのRick Clemmer氏再構築戦略について、高性能アナログ & mixed signal ICsは2008年で高々$67Bの規模、同氏の言う$85Bには届かない旨。

韓国・ソウル郊外(Ilsan-seogu)で開催された第11回 International Semiconductor 2009(i-Sedex) trade showでは、DRAM業界について以下の取り沙汰である。台湾DRAMメーカーの統合を予見している。

◇Samsung: Weaker DRAM makers in limbo (10月15日付け EE Times)
→韓国のメモリメーカーの見方。今年あるいは来年、DRAM業界でもう1つのshakeoutが起こる可能性の旨。

プロセッサIPのARM社、その今後の有望性が高まっているという見方が、M&Aの可能性の推測を誘発している。

◇ARM success could trigger takeover bid, says analyst(10月12日付け EE Times)
→ABN AMRO Bank NVの半導体アナリスト、Didier Scemama氏。プロセッサIP licensor、ARM Holdings plc(Cambridge, England)が、向こう2-3年にわたってnetbookおよびsmartbook市場でIntelを上回っていく見込み、そうなると同社に対する取得入札を誘発する可能性の旨。

◇Counterpoint: Synergies could trigger a Synopsys-ARM merger(10月13日付け EE Times)

一方、製造の流れが中国から遠ざかっていくのでは、という受け取り方が次のように見られる。低コスト生産では、メキシコの中国を上回る台頭ぶりがあり、なにしろ米国は防衛/宇宙、医療、セキュリティ、照明、輸送などそれぞれの分野の設計、supply chainを世界的にリードしている、という見方が後支えしていると見る。

◇Manufacturing trending away from China-The challenges of manufacturing in China and the still recovering global economy cause electronics supply chain jitters among OEMs and encourage second looks at the shift to outsource and the potential benefits of keeping manufacturing closer to home.(10月13日付け Electronics Design, Strategy, News)
→中国における製造の優位性のいくつかが次第に消え去ってきて、近年中国から離れる流れがでてきている旨。

市場が回ってくると、影、グレーな側面も困ったことに付きまとってくるが、模造ICsに対する摘発事例が次の通りあり、早速米SIAも反応している。
大手半導体メーカーの捺印を施す手口のようである。

◇Three charged with selling counterfeit ICs (10月12日付け EE Times)
→米国Attorney's Office発。3人のCalifornia州住民が、米国海軍に模造ICsを売ったとして、模造製品あるいはサービスの不正売買取引で告発された旨。中国および香港から$140,000以上相当の模造ICsを輸入の旨。

◇Semiconductor Industry Association Applauds Anticounterfeiting Action(10月12日付け SIA Press Release)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、模造半導体に絡む検挙および起訴についての米国Attorney's Office for the District of Columbiaの発表を称賛の旨。

◇Semiconductor Industry Association Applauds Anticounterfeiting Action; Department of Justice Announces Semiconductor Counterfeiting Arrests (10月12日付け Semiconductor International)


≪市場実態PickUp≫

インテルの発表を挟む前後の以下の見方、反応である。

【インテルの好業績の波紋】

◇Analyst: Intel's Q3 sales should top expectations(10月12日付け EE Times)
→FBR Capital Marketsのアナリスト、Craig Berger氏の見方。Intel社が火曜13日発表する第三四半期販売高は$9.7B-$10.3Bと予測、アナリストのコンセンサス約$9.5BおよびIntel自身の改定目標$8.8B-$9.2Bを上回る旨。

これは実際を上回る事前の見方となっている。実際は次の通り。

◇Updated: Intel beats expectations-Q3 performance, Q4 outlook both top analyst forecasts(10月13日付け EE Times)
→Intel社の第三四半期販売高$9.4B、前四半期比15%増、前年同期比9%減。

早速、同時のいぶかる反応である。

◇Analysis: Happy days are here again for Intel-Firm offers rosy outlook thanks to improbable PC market recovery(10月13日付け EE Times)
→PC市場の回復は本当か?

◇Intel reports 'blowout' Q3 financials, Q4 guidance-Industry watchers applaud the company and its Q4 revenue guidance of $10.1 billion, which would show a 23% year-over-year increase and would place sales back at levels achieved before the economic meltdown.(10月14日付け Electronics Design, Strategy, News)
→第二四半期から第三四半期への販売高の伸びは30年で最も力強い旨。

一般にはやはり期待感の大きい受け止めである。

◇米インテル、業績底入れ鮮明に、7〜9月期の売上高回復。(10月14日付け NIKKEI NET)
→米インテルが13日発表した2009年7〜9月期決算は売上高が前年同期比8%減の$9.389B、純利益が同8%減の$1.856B。売上高は前四半期比17%増、$8.8B-$9.2Bを見込んでいた会社予想を上回った旨。10〜12月期は5四半期ぶりに前年同期比で増収を達成する見通し($9.7B-$10.5B)で、業績の底入れが鮮明になってきた旨。

◇IT市況に回復期待、インテル売り上げ改善で。(10月14日付け NIKKEI NET)
→米インテルが13日発表した2009年7〜9月期決算は、前年同期比では減収減益にとどまったが、ただ、前期比でみると売上高は2四半期連続で伸び、金融危機の直撃を受けた2009年1〜3月期を底に売り上げは改善している旨。パソコンやサーバなど幅広いIT機器に半導体を供給するインテルの業績底入れが鮮明になってきたことで、IT景気全体の回復期待が高まりそうな旨。

インテルの発表の後に、裏付ける形ともなる世界PC出荷、そしてライバルのAMDの業績発表が続いている。

◇PC shipments back on the rise-On a regional basis, both Gartner and IDC said the United States showed the largest percentage of PC shipment growth.(10月15日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Gartner社およびIDCがともに今週、第三四半期PC出荷増のレポート、エレクトロニクス業界にとって回復基調持続の歓迎すべき兆候の旨。
 Gartner →9月四半期世界PC出荷80.9M台、前年同期比0.5%増。前回は同5.6%減と見ていた旨。
 IDC  →第三四半期のグローバルPC出荷は前年同期比2.3%増。第一四半期は同6.8%減、第二四半期は同2.4%減であった旨。

◇AMD shows 18% Q3 revenue gain-While cautious on Q4, AMD reports revenues of nearly $1.4 billion and a slimmer $128 million net loss.(10月16日付け Electronics Design, Strategy, News)
→AMDの第三四半期販売高$1.396B、前四半期比18%増、前年同期比22%減。

◇Analysis: Solid Q3 for AMD, Intel; now for the hard part(10月16日付け EE Times)

アジア各地のエレクトロニクスショーが続く時節である。それぞれの展示会の呼び名も変わるとともに、コンシューマ色が非常に強まってきた現在、家庭、個人用のセット機器が席巻の様相である。日本(CEATEC)と韓国(i-Sedex)での共通項の目立つ概観記事、以下の通り。

【かってのエレショー】

◇Show report: CEATEC showcases 3-D TVs, backlight LEDs(10月13日付け EE Times)
→今年のCEATEC show(10月6-10日:幕張メッセ)の焦点は、ディジタルTVの画質革新にあった旨。注目を集めた技術カテゴリー、次の通り。
 3-D TVs
 Energy-efficient TVs
 Backlight LEDs
 4Kx2K pixel TVs
 Home networking

◇Hot products from Korea's technology shows (10月14日付け EE Times)
→ライバルのLG Display Co. Ltd.とSamsung Electronics Co. Ltd.が、次のホットな製品で競い合い。
 3-D TVs
 LED TVs
 ultra-high definition TVs (3,840 x 2,160)


≪グローバル雑学王−67≫

ソ連から生まれ出た国々、CIS(独立国家共同体) 12ヶ国を眺めていく。今も尾を引くニュースが見られるが、紛争を経てそれぞれの独立に向かう苦難、思いが国旗、国歌にも反映されている、という受け取りである。
 
『国旗・国歌の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 645)…2008年7月 第1刷

より、次のフォーマットで表している。

=========================
[国名] …国旗・国歌の一言コメント
≪基本情報≫ ・首都 あるいは 中心地 あるいは 本部
       ・面積
       ・人口
       ・言語
       ・宗教
* 国名、国旗、国歌に纏わるエピソード
=========================

各国・地域の国旗については、例えば以下を参照いただきたく思う。

※世界の国旗 ⇒ http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/kokki/index.html


【CIS(独立国家共同体)】

[アゼルバイジャン共和国(Republic of Azerbaijan)]
 …悲壮感あふれるドラマティックな国歌
・バクー(Baku)
・8万6600km2 →日本の約4分の1
・846万人(2007年推定)
・アゼルバイジャン語(公用語)
・イスラーム(シーア派)、他
*1991年、独立を宣言、現国名に
*1992年に国歌として採用、1919年に作られた「アゼルバイジャン行進曲」

[アルメニア共和国(Republic of Armenia)]
 …風前の灯火? 人気のない国歌
・エレバン(Yerevan)
・2万9800km2 →四国の約1.5倍
・約300万2000人(2007年推定)
・アルメニア語(公用語)
・アルメニア正教
*1991年、ソ連の解体に伴って独立
*国歌:"Mer Hayrenik"「我が祖国」

[ウクライナ(Ukraine)]
 …コサック魂がうたわれる国歌
・キエフ(Kiev)
・60万3700km2 →日本の約1.6倍
・4620万5000人(2007年推定)
・ウクライナ語(公用語)、ロシア語
・ウクライナ正教、ウクライナ・カトリック教会、ロシア正教
*内戦を経て1922年、ソビエト連邦の構成国に、1991年、独立。
*国歌:"Shche ne vmerla Ukraina"「ウクライナの栄光は滅びず」
 …長調と短調が頻繁に入れ替わる幾分物悲しいメロディー

[ウズベキスタン共和国(Republic of Uzbekistan)]
 …国旗の青はチムールの旗の色
・タシケント(Tashkent)
・44万7400km2 →日本の約1.2倍
・2659万3000人(2005年推定)
・ウズベク語(公用語)、他
・イスラーム(スンナ派)、ロシア正教
*1925年、ソ連の一部に、1991年、ソ連解体に伴ない独立宣言、現国名に変更。
*1992年に制定された国歌は、ソ連時代の共和国国歌と同じ音楽で歌詞だけ変更。

[カザフスタン共和国(Republic of Kazakhstan)]
 …現大統領が歌詞を修正した国歌
・アスタナ(Astana)
・272万4900km2 →日本の約7倍
・1530万人(2006年推定)
・カザフ語(国語)、ロシア語(公用語)
・イスラーム(スンナ派)、ロシア正教、プロテスタント、ユダヤ教
*1990年、主権宣言、1991年に現国名に変更、独立宣言。
*国歌:"Mening Qazaqstanym"「我がカザフスタン」
 …ナザルバエフ現大統領がオリジナルの歌詞に修正

[キルギス共和国(Kyrgyz Republic)]
 …民族の英雄マナスの伝説をデザインに生かした国歌
・ビシュケク(Bishkek)
・19万9900km2 →北海道の約2.5倍
・531万7000人(2007年推定)
・キルギス語、ロシア語(いずれも公用語)、他
・イスラーム(スンナ派)、ロシア正教
*1991年、キルギスタン共和国の国名のもと独立を宣言、1993年、現国名に改称。
*国旗:40条の光芒をもつ太陽のデザイン 
 →英雄マナスが赤色の旗の下に40の部族を統合したという伝説

[グルジア(Geogia)]
 …宗教的シンボルであり、政治的シンボルでもある新しい国旗
・トビリシ(Tbilisi)
・6万9700km2 →日本の約20%
・439万5000人(2007年推定)
・グルジア語(公用語)、ロシア語
・グルジア正教、イスラーム(スンナ派)
*日本語名のグルジア、英語のジョージア、ともにこの国の守護聖人、聖ゲオルギウスと結び付く名称
*国歌:"Tavisupleba"「自由」 
 →グルジア公営放送では毎日、放送開始時と終了時に放映

[タジキスタン共和国(Republic of Tajikistan)]
 …ペルシアとのつながりを連想させる3色旗
・ドゥシャンベ(Dushanbe)
・14万3100km2 →日本の約40%
・674万人(2006年推定)
・タジク語(公用語)、ロシア語、他
・イスラーム(スンナ派、シーア派)
*ソ連構成国から、1991年、共和国独立宣言。
*国歌:"Surudi Milli"「民族の幸福」

[トルクメニスタン(Turkmenistan)]
 …世界一複雑な国旗と、個人崇拝の国歌
・アシガバット(Ashgabat)
・48万8100km2 →日本の約1.3倍
・496万5000人(2007年推定)
・トルクメン語(公用語)、ロシア語
・イスラーム(スンナ派)、ロシア正教
*1990年、ソ連の崩壊を前に主権宣言、1991年独立。
*国歌:「独立、中立、トルクメニスタン国歌」 
 …独裁制の初代大統領サパルムラト・ニヤゾフ(2006年死去)の西洋音楽を排して伝統に回帰しようという意向

[ベラルーシ共和国(Republic of Belarus)]
 …ソ連時代とあまり変わらない国旗と国歌
・ミンスク(Minsk)
・20万7595km2 →日本の約半分
・968万9000人(2007年推定)
・ベラルーシ語、ロシア語
・ロシア正教、カトリック、他
*国名:「白いロシア」の意。1991年、独立宣言と国名変更。
*ベラルーシだけが現在、ソ連時代の旗から鎌とハンマーと星の紋章を除いたものを国旗に。

[モルドバ共和国(Republic of Moldova)]
 …ルーマニアとの結びつきが一目瞭然の国旗
・キシニョフ(Kishinev)
・3万3851km2 →日本の約10%
・379万人(2007年推定)
・モルドバ語(公用語)、ロシア語
・東方正教会
*国名:「黒い川」の意
*国歌:"Limba Noastra"「我らのことば」 
 …古来の神聖でかけがえのない豊かな言語を取り戻そう

[ロシア連邦(Russian Federation)]
 …スターリンが削られ、レーニンが消されてよみがえった国歌
・モスクワ(Moscow)
・1709万8242km2 →日本の約45倍
・1億4249万9000人(2007年推定)
・ロシア語(公用語)
・ロシア正教、他
*9世紀、ノルマン系のルーシ人が建てた国がロシアの起源。ルーシは国名の由来。
*国歌:「ロシア連邦賛歌」 …愛国心を鼓舞する荘重な国歌

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