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欧州半導体業界の近況/市場実態PickUp/グローバル雑学王−66

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世界各地域の半導体業界はいずこも同時不況後の盛り返しに必死であるが、米国地域は月次販売高が前年比プラスに転じたのに対し、他の地域はまだ水面下にあり、欧州が最も遅れている現状となっている。再生に向けた動き、考え方を、関連する欧州でのいくつかの動きの中に追っている。

≪欧州半導体業界の近況≫

各地域の販売高前年比であるが、最新の8月データが次の通りである。技術のイノベーション、ビジネスの新機軸を打ち立てる上で、米国が、そして我が国が草創期のようにリードしていかなければという感じ方がまずある。

◇Americas region continues to lead semiconductor recovery(10月7日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)からの"actual"データによる8月の地域別半導体販売高。
        Americas  Europe  Japan   Asia-Pacific
 販売高    $3.22B  $2.37B   $3.27B  $10.15B
 前年同月比  7.3%増  27.4%減  21.1%減  11.2%減

今回注目する欧州とて同じ思いと受け止めるのは、SEMICON Europa 2009(10月6日〜8日:Messe Dresden, Dresden, Germany)からの次の記事である。

◇EU paper stirs discussions at Semicon (10月8日付け EE Times)
→情報通信技術を'Key Enabling Technologies'と認識する最近のEU Commissionの動きが、多くの議論を呼んでいる旨。業界が求めているのは資金だけではなく、leadershipにより重きがある旨。

IMEC R&Dセンターannual pressフォーラム(LEUVEN, Belgium)でも、同じ意気込みが感じられる。

◇IMEC chief: Innovation only way out of recession-Center details advances in solar, wireless, medical devices(10月6日付け EE Times)
→不況から脱する道は革新を図ること、とIMECのchief executive、Luc Van den hove氏。本イベントでは、EUVリソ、MEMS、およびワイヤレス、solar並びに医療システム用コンポーネントにおける進展が論じられる旨。

さて、欧州半導体業界の現時点として、次のような動きとなっている。まずは勢いをつけつつあるドイツDresden地域である。  

◇Semicon Europa panel reports high utilization(10月6日付け EE Times)
→SEMICON Europa 2009にて、"欧州における半導体製造"についてのパネル討議。少なくともDresden半導体clusterは再びフル回転になってきていることが明らかになった旨。

◇Infineon invests $15 million in Dresden wafer fab(10月8日付け EE Times)
→Infineonが、攻勢に戻してDresdenの製造ラインを拡張、製造装置に約$14.7M投資する計画の旨。

次にフランスでの動き、以下の抜き出しである。

◇Grenoble cluster prevents brain drain (10月8日付け EE Times)
→microelectronicsのスキル維持、そして究極的には地元からの頭脳流出を防ぐよう、Grenoble-based cluster、Minalogicが、careers確保を狙うinitiativeを打ち上げ、このような対策を取り入れる最初の会社が、SOIウェーハ&基板サプライヤ、Soitec SAである旨。
※Minalogic…CEA-LETI(原子力庁 電子・情報技術研究所)とクロールのST Microelectronicsを中心として結集したローヌ・アルプス地域圏の産業クラスター

◇Intel rescue saves few Freescale jobs in France(10月9日付け EE Times)
→フランスのMinistry of Industry発。Intelが、2009年末までにFreescaleがToulouseでレイオフするとしていた236人の従業員の内53人の契約を引き取っていく旨。

◇Ex-Freescale Toulouse engineers to develop Atom-based platforms, says Intel (10月9日付け EE Times)
→ついにIntel社が、南フランスのToulouseにあるFreescaleのCellular Products Groupからの53人の3Gシステム統合エンジニアチームを採用していることを確認の旨。

旧PhilipsのNXP Semiconductorsは、事業譲渡を行っている。

◇Update: Asset swap gives NXP 60% stake in Trident(10月5日付け EE Times)
→激烈なdigital consumer半導体事業で生き残るために、NXP Semiconductorsが、TVシステムおよびset-top box半導体事業をTrident Microsystems(Santa Clara, Calif.)におけるmajority stakeと交換する旨。NXPはTridentの最大株主になる旨。

◇Analysis: NXP changes yet questions mount about future(10月5日付け EE Times)
→TVシステムおよびset-top box半導体事業をTrident Microsystems社に移転するというNXP Semiconductors、Rick Clemmer氏の決断について。


≪市場実態PickUp≫

プラス、マイナス入り混じる斑模様の実態がいましばらくという状況と感じられ、できるだけ前向きな動きに注目せざるを得ないのが人情という抜き出しになりがちである。まずは、活きのよいUMCの動きである。

【攻勢のUMC】

◇UMC to take Singapore fab to 40-nm manufacturing(10月8日付け EE Times)
→UMC(Hsinchu, Taiwan)が、シンガポールのFab 12i拡張プロジェクトをスタート、capacityを上げて、45-nmおよび40-nm製造プロセスを使えるようにする旨。

◇UMC revenues hit 2-year high in September (10月8日付け DIGITIMES)
→UMCの9月販売高$294.5M、前月比5.2%増、前年同月比18.4%増。1-9月累計は$1.9B、前年同期比17.3%減。この9月は2007年10月以来の高い売上げの旨。

なかなか揃ってプラスに進めないのは、以下の市場全体の見方が一端を物語っていると思う。このまま戻し基調が続くのか、あるいはもしかしてまたも・・、と揺れてくるのも人情である。

【半導体市場】

◇Semi industry continues to shed inventory (10月5日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)発。半導体業界の在庫状況は良くなってきているが、サプライヤが前向きに転じるのは少なくとも2010年以降になりそうな旨。GartnerのDataquest Semiconductor Inventory Index(DASI)は、4四半期連続の"severe excess"レベル(1.21以上)を経て、"caution zone"(1.10-1.20)の内側に移ったばかりである旨。

◇August 'actual' chip sales hint at double dip(10月7日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)からの"actual"データによるグローバル半導体市場の見方。
        6月    7月    8月
 販売高    $19.27B  $18.89B  $19.00B
 前年同月比  24.5%減  9.1%減  12.9%減

混沌気味の市場心理の好転打開を図るべく、次のような連携アプローチが見られ、アナリスト筋の評価を呼んでいる。

【Altera−MIPS】

◇Altera licenses 32-bit architecture from MIPS10月6日付け EE Times)
→Altera社が、MIPS Technologies社からMIPS32アーキテクチャーのライセンス供与を受ける旨。これはMIPSアーキテクチャーのFPGA領域への参入を示す旨。

◇Analysis: Is Altera building a MIPS-based CPU core?(10月6日付け EE Times)
→Altera社は自前のMIPSベースCPUコアを市場開拓するつもりか、という憶測をアナリスト連に呼ぶ旨。

◇MIPS inks Altera licensing deal-Art Swift, VP of marketing at MIPS, noted that the license has the potential to broaden MIPS' user base.(10月6日付け Electronics Design, Strategy, News)

【ARM−GlobalFoundries】

◇ARM, GlobalFoundries partner on 28-nm HKMG for Cortex-A9-With the agreement, GlobalFoundries said it will be the first foundry to work with ARM to enable a 28-nm Cortex-A9 SOC solution.(10月6日付け Electronics Design, Strategy, News)
→GlobalFoundriesが本日、もう一つの大きな契約取引を発表、今度はプロセッサimplementationおよび回路最適化でARMと連携する旨。

◇ARM and GLOBALFOUNDRIES Establish a Strategic Partnership to Enable Application Optimized SoC Products on 28nm High-K Metal Gate (HKMG) Process; Relationship Leverages Synergies Between ARM's Leading Low Power Processor Architecture, Optimized Physical IP and Partner Eco-System with GLOBALFOUNDRIES Advanced Technology, Design and Manufacturing Excellence;(10月6日付け Semiconductor International)

どうこう言っても、消費者たる我々が、この不景気な年末、そして年始にどんなエレクトロニクス製品を買いたいと思うか、に先行きの景況がかかってくる。アップデートされた魅力製品5点が以下に挙がっているが、それぞれ何ものか?勉強しなければならないのがつらいところではある。

【年末年始のお目当て】

◇Five electronics gift ideas for early shoppers(10月7日付け EE Times)
→holiday seasonを控えて、次の5点は如何?
 …Android phones:    Cell-based TVs:
  E-book readers:    GPS phones :
  personal TVs :


≪グローバル雑学王−66≫

欧州各国巡りの最後である。民族紛争の経緯を赤裸々に感じる下りが続くところがある。抵抗の歌など歌えない時代(ラトビア)、解放や自由への願いを声高に叫ぶことのできなかった時代(リトアニア)、・・・。華やかな面はすぐ目が行って理解しやすいが、国旗、国歌に凝縮されている心の底にできるだけ辿り着きたい思いが沸いてくる。
 
『国旗・国歌の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 645)…2008年7月 第1刷

より、次のフォーマットで表している。

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[国名] …国旗・国歌の一言コメント
≪基本情報≫ ・首都 あるいは 中心地 あるいは 本部
       ・面積
       ・人口
       ・言語
       ・宗教
* 国名、国旗、国歌に纏わるエピソード
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各国・地域の国旗については、例えば以下を参照いただきたく思う。

※世界の国旗 ⇒ http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/kokki/index.html


【欧州 −後半−】

[ブルガリア共和国(Republic of Bulgaria)]
 …哀切なメロディーで祖国の自然を讃える国歌
・ソフィア(Sofia)
・11万993km2 →日本の約30%
・763万人(2007年推定)
・ブルガリア語
・ブルガリア正教、他
*7世紀にアジア系民族のブルガール人がこの地に侵入、国名にその名を残す
*国歌:"Mila Rodino"「愛しき祖国」

[ベルギー王国(Kingdom of Belgium)]
 …独立と同時に生まれた国歌
・ブリュッセル(Brussel)
・3万528km2 →九州とほぼ同じ
・1045万7000人(2007年推定)
・オランダ語、フランス語、ドイツ語(それぞれ地方公用語)
・カトリック、他
*オランダ系のフラマン人とフランス系のワロン人の対立という深刻な問題を内包
*国歌:"La Brabanconne"「ラ・ブラバンソンヌ」(ブラバントの歌)
 …ブリュッセルを擁するベルギー中部のブラバント州

[ボスニア・ヘルツェゴビナ(Bosnia and Herzegovina)]
 …民族色を排した国旗と、歌詞を付けられない国歌「間奏曲」
・サラエボ(Sarajevo)
・5万1197km2 →北海道の約6割
・393万5000人(2007年推定)
・ボスニア語、セルビア語、クロアチア語
・イスラーム、セルビア正教、カトリック
*旧ユーゴスラビア連邦人民共和国の構成国の中でもこの国の民族構成はとりわけ複雑
*国歌:"Intermeco"「間奏曲」
 …新しい国家で民族間の不和が解消、本国歌が新しい時代の幕開けにつながる兆しはまだない

[ポーランド共和国(Republic of Poland)]
 …祖国解放をめざすポーランド兵たちが歌った国歌
・ワルシャワ(Warszawa)
・31万2685km2 →日本の約85%
・3808万人(2007年推定)
・ポーランド語(公用語)
・カトリック、他
*国名:自称ポルスカは民族名ポラニェに由来
*国歌:"Mazurek Dabrowskiego"「ドンブロフスキのマズルカ」
 …マズルカはポーランドの民族舞踊の一種

[ポルトガル共和国(Portuguese Republic)]
 …レコンキスタの戦いの伝説があらわされた国章
・リスボン(Lisbon)
・9万1982km2 →日本の約25%
・1041万人(2005年推定)
・ポルトガル語
・カトリック
*国名:第2の都市、ポルトに由来
 …ドウロ川の北岸はポルトゥス(港の意)、南岸はカーレ(穏やかな)
 →ポルトゥカーレ(現地方言でポルトガル)
*国歌:"A Portugesa"「ア・ポルトゥゲーザ」(ポルトガルの歌)

[マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(Former Yugoslav Republic of Macedonia)]
 …ギリシアとの論争を巻き起こした旧国旗の「ヴェルギナの太陽」
・スコピエ(Skopje)
・2万5713km2 →九州の約3分の2
・203万8000人(2007年推定)
・マケドニア語、アルバニア語
・マケドニア正教、イスラーム
*隣国ギリシアが、「マケドニア共和国」の名を認めず、1993年、上の暫定名で国連に加盟
*国旗もギリシア政府の反対があり、1995年、現在のデザインに変更

[マルタ共和国(Republic of Malta)]
 …イギリスから送られた勲章が表示された国旗
・バレッタ(Valletta)
・316km2 →淡路島の約2分の1
・40万2000人(2005年推定)
・マルタ語、英語(ともに公用語)、イタリア語
・カトリック
*国名:フェニキア語で「避難所」を意味するメリタに由来
*国旗:旗竿側の十字、ジョージ十字→1942年のジョージ十字勲章

[モナコ公国(Principality of Monaco)]
 …あまり歌われることのないモナコ語の歌詞の国歌
・モナコ(Monaco)
・1.95km2 →皇居の約2.6倍
・3万3000人(2007年推定)
・フランス語(公用語)、モナコ語
・カトリック
*世界で2番目に小さい都市国家
*国歌は、歌われるより器楽演奏のみということが多いよう

[モンテネグロ(Montenegro)]
 …王国の歴史を誇る王冠付きの共和国の国旗
・ポドゴリツァ(Podgorica)
・1万4026km2 →福島県とほぼ同じ
・59万8000人(2007年推定)
・モンテネグロ語(公用語)、他
・キリスト教(ギリシア正教)、イスラーム
*暗い森に覆われた山のモンテネグロ(黒い山の意)の呼称からこの地名が定着
*国歌:"Oj, svijetla majska zoro"「おお、5月の夜明けよ」

[ラトビア共和国(Republic of Latvia)]
 …ラトビアという語を初めて使った歌が国歌に
・リガ(Riga)
・6万4589km2 →日本の約6分の1
・227万7000人(2007年推定)
・ラトビア語(公用語)
・カトリック、プロテスタント(ルター派)
*独立が承認されたのは1991年のこと
*国歌:"Dievs, Sveti Latviju!"「神よ、ラトビアに祝福を」

[リトアニア共和国(Republic of Lithuania)]
 …独立回復とともに復活した国旗と国歌
・ビリニュス(Vilnius)
・6万5300km2 →日本の約6分の1
・341万人(2005年推定)
・リトアニア語(公用語)
・カトリック、他
*独立回復宣言は1990年
*国歌:"Tautiska Giesme"「国の歌」

[リヒテンシュタイン公国(Principality of Liechtenstein)]
 …ハイチ旗と混同しないように付け加えられた冠
・ファドゥーツ(Vaduz)
・160km2 →小豆島とほぼ同じ
・3万5000人(2007年推定)
・ドイツ語
・カトリック、他
*現在、事実上はスイスの保護国の状態
*国歌:英国国歌とまったく同じメロディーで歌われる

[ルクセンブルク大公国(Grand Duchy of Luxembourg)]
 …オランダとそっくりの国旗
・ルクセンブルク(Luxembourg)
・2586km2 →佐賀県とほぼ同じ
・47万人(2007年推定)
・ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語(いずれも公用語)
・カトリック、プロテスタント
*国のはじまりは963年、当時の言葉で「小さな城」を意味する語が変化して、ルクセンブルクに
*国歌:"Ons Heemecht"「我らが祖国」

[ルーマニア(Romania)]
 …ローマ人の血を引くことを誇るルーマニア国歌
・ブカレスト(Bucharest)
・23万8391km2 →本州とほぼ同じ
・2144万人(2007年推定)
・ルーマニア語(公用語)、ハンガリー語
・ルーマニア正教、カトリック、プロテスタント
*国名:自称ロムニアは「ローマ人の地」を意味する
  *国歌:"Desteapta-te, romane !"「目覚めよ、ルーマニア人!」

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