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増減、移転、障壁/市場実態PickUp/グローバル雑学王−58

あまりにも落ち込みが大きかったから、急回復という表現がいろいろな切り口で見られる現時点の世界経済の潮流、と言えると思う。中国市場に向かう流れに伴う大きな増減の変動、やむなく売却移転に向かう動き、進めようにも詰まる所立ちはだかるそれぞれの国・地域における壁、・・そういったものをこの潮流の中で特に強く感じている。

≪増減、移転、障壁≫

深い二桁あるいはそれ以上の増減率も見慣れてしまったところがあるが、回復、再生に向けての動きで特に頭に残る感じ方の上記3つのキーワードである。

◎増減

台湾ファウンドリー大手の単月販売高が前年並みに戻してきている。ただ本年累積は前年同期比約3割減という現状であり、これを縮める努力引き続きというところである。

◇TSMC, UMC see sales jump in July (8月10日付け EE Times)
→TSMCの7月販売高約$922.3M、前月比17.5%増、前年同月比1.9%減。1-7月累計は$4.26B、前年同期比30.7%減。
UMCの7月販売高$268.4M、前月比6.97%増、前年同月比3.2%増。1-7月累計は$1.29B、前年同期比26.82%減。

世界経済を浮揚させる源の様相となっている中国。増加率も規模が違うと感じる直近の以下の事例である。

◇1月から7月の鉄道インフラ投資額、前年比136.9%増(8月12日付け 13億人の経済ニュース(biglobe配信))
→鉄道部によると、1月から7月の鉄道インフラ投資額は前年同期比136.9%増であることが分かった。
1月から7月で、新路線のレール3130キロ、旧路線のレール2873キロ、鉄道の電化2174キロを完了した。投資額は64億5800万元。

◇上半期国内線利用者20.4%増(8月13日付け 13億人の経済ニュース(biglobe配信))
→中国民用航空局の発表によると、中国国内航空市場は急激な発展を続けており、今年上半期は前年同期比20.4%増の旅客輸送量を記録した。伸び率は世界トップ。

◎移転

ドイツの半導体関連について、売却の動きが引き続いている。

◇Inspur acquires Qimonda's R&D center in China, say reports(8月12日付け EE Times)
→online reports発。Inspur Group(浪潮集団有限公司[中国山東省済南市])が、QimondaのR&Dセンター(Xi'an[西安])を30 million Chinese Yuanで買収の旨。

◇Russian firm eyes stake in Infineon (8月14日付け EE Times)
→破産したDRAMメーカー、Qimonda AGに注目してから、ロシアが今度はInfineon AGに関心、投資会社、Sistema Financial Corp.(Moscow)がInfineonにおけるstake買収に興味を示している旨。

◎障壁

このドイツの状況について次の分析記事が見られる。

◇Heresy brews in 'Silicon Saxony'; Loss of chip production leads to questions about dependence on factories(8月12日付け The International Herald Tribune)
→ここ何ヶ月かで2つの大手コンピュータ半導体メーカーが失われていくDresden地域について。

以下の3点、すでに済んでしまったのではという感じ方もそれぞれにあるが、まだまだという現実の壁というものを改めて、というところである。

◇Intel delays IC-assembly ramp in Vietnam (8月14日付け EE Times)
→Intel社が、Vietnamの$1 billion IC-packaging & テスト工場の生産スケジュールを、いくつかの思わぬ障害により当初の2009年末から2010年第三四半期に開始先延ばしにする様相の旨。

◇Trade group still wary of Taiwan's DRAM plan-Head of Taiwan Memory Co. reportedly weighs stepping down(8月14日付け EE Times)
→U.S.-Taiwan Business Councilの台湾半導体市場についての最新レポート、"Taiwan Semiconductor Report ? Q2, 2009"。Taiwan Memory Co.(TMC)の打ち上げ、それに続くElpidaへの出資にも拘らず、整理統合のさらに広範な事項および台湾DRAMプレーヤーの間での高レベルな負債が打開されないままである旨。

◇Report: UMC's acquisition of He Jian in jeopardy(8月14日付け EE Times)
→U.S.-Taiwan Business Councilによる台湾半導体市場レポート。UMCによる中国ファウンドリー、He Jian Technology Co. Ltd.(和艦科技)買収提案が、台湾政府の法規制から危険にさらされる可能性の旨。


≪市場実態PickUp≫

今やDRAMと並んでメモリというか、デバイスを基本技術的に引っ張っていくフラッシュメモリと言えると思うが、経済論理との葛藤がさらに先鋭化している以下の内容と受け止めている。

【Flash Memory Summit】 

◇Sun scolds NAND makers, slams SSDs (8月11日付け EE Times)
→Sun Microsystems社のフラッシュメモリlead technologist、Michael Cornwell氏の率直で人をしらふにさせる基調講演。企業のニーズを無視、''lithography death march''に向かって動いているとして、NANDフラッシュ業界を叱責の旨。

◇Can Open Source Work for SSD Designs?(8月11日付け Electronics Design, Strategy, News)
→参加登録者1200人と活況の今回。Sunが、small-form-factor SSDのde-facto業界標準を作り出す期待で作った24GバイトSSD設計open sourceの写真、下記参照。
http://www.edn.com/articles/blog/980000298/20090811/Sun%20Open%20Flash%20Module.jpg

◇SanDisk CEO: NAND business at 'crossroads' (8月12日付け EE Times)
→SanDisk社のfounder, chairman and chief executive、Eli Harari氏。今後のcapacity要求と需要の間に''disconnect''があり、NAND業界は岐路に立っている旨。すなわち、return-on-investment(ROI)モデルが壊れている旨。

◇Micron: NAND biz, scaling are alive and well(8月13日付け EE Times)
→引き続き儲からない、SSDsは普及立ち上がりに時間がさらにかかりそう、NAND scalingは終わりに近づいている、といったNANDについて悲観的な見方が多い中、Micron Technology社メモリグループVP、Brian Shirley氏は、今後について違った前向きの見方の旨。

フランスでのデバイス業界のもめ事の深刻さ。下記の例のみならず目立っている。

【Molex社のフランスでの紛糾事態】

◇Molex says French plant closure not ruled 'illegal'(8月11日付け EE Times)
→connectorなど電子コンポーネントメーカー、Molex社が、Villemur-sur-Tarn, Toulouse拠点のworkersを代表する労働組合の言い分に反対して、フランスの同社工場の1つの閉鎖はフランスの裁判所により違法に裁定されたものではない旨。

◇French government names mediator at Molex France(8月14日付け EE Times)
→フランス政府が、コンポーネントメーカー、Molex社のフランス・Toulouse近くVillemur-sur-Tarn生産拠点での紛糾事態打開を促進する調停者を任命の旨。

【半導体装置市場】

半導体製造装置業界の回復ぶりを伝える以下の内容であるが、特にここ1-2ヶ月目立ってきている半導体メーカーの本格投資の動きに注目である。

◇Chip gear sales propel Applied above expectations(8月11日付け EE Times)
→Applied Materials社(Santa Clara, Calif.)の7月26日締め第三四半期売上げ$1.13B、前四半期比10%増、前年同期比38%減。半導体装置売上げの増加が、solarパネルおよびディスプレイ生産用装置の売上げ減を打ち消している形の旨。

◇Downturn in the IC equipment market is over, says analyst(8月13日付け EE Times)
→The Information Network(New Tripoli, Pennsylvania)発。2009年の半導体装置市場全体は46%落ち込む見込みであるが、急速な回復の兆候が出てきている旨。

◇UMC steps up equipment purchases to ramp 40nm capacity(8月13日付け DIGITIMES)
→UMCが、ここ1ヶ月で装置購入に約NT$4B(US$121.6M)充当、40nm-classプロセスノードを立ち上げる動きの旨。45/40nmは2009年第三四半期同社ウェーハ売上げの1%、第四四半期には2%に達する見込みの旨。同社の2009年1月から8月12日までの装置購入は7,773NT$Mの旨。

【マイクロソフトの動き】

やはり市場直結の最大手プレーヤーが動いてくれないと、と常々思うことであるが、新手市場拡大に期待である。

◇Deal sees Microsoft software on Nokia phones(8月13日付け EE Times)
→MicrosoftとNokiaが、モバイルproductivityソリューションを設計、開発および拡販するグローバル・アライアンスを形成、Microsoft Office Mobileおよび関連通信&コラボソフトウェアおよびサービスをNokia smartphonesにもってくる旨。

◇マイクロソフト、初のタッチ式音楽プレーヤー、安値でアップルに対抗。(8月14日付け NIKKEI NET)
→米マイクロソフトが13日、同社としては初めてタッチパネル操作を採用した携帯音楽プレーヤー「ズーン HD」を9月15日に米国で発売すると発表、この分野で大きく先行するアップルの類似商品より3割近く安い価格を設定、巻き返しをねらう旨。


≪グローバル雑学王−58≫

前回のアメリカ東海岸、西海岸に続いて、
   
『音楽がわかる世界地図 −今と過去、世界各地の音楽・楽器・ミュージシャンが一冊でわかる!』(世界の音楽編集部 編)  …2007年7月 第三刷

より、今回はヨーロッパとアジアで生まれた音楽の数々である。数回で世界一周を毎度繰り返している本欄であるが、数分の頭の休息、切り替えにインターネットからそれぞれの音色、メロディーのさわりを楽しんでいきたいものと思っている。


Part.1 地図でみる世界の音楽

≪あの音楽はここで生まれた! …中編…≫

【ヨーロッパ】

[アイリッシュ・フォーク(Irish Folk)] − アイルランド 
…ケルト民族の伝統が息づいたフォーク・ミュージック。アメリカの民謡やカントリーの基礎も成した。

[リヴァプール・サウンド(Liverpool Sound)] − イギリス/リヴァプール
…1960年代前半、ビートルズの成功によって次々にレコード・デビューを果たしたリヴァプール出身のビート・グループの総称。
…サーチャーズ

[パンク・ロック(Punk Rock)] − ロンドン
…ニューヨークで勃興したパンク・ロックがロンドンに飛び火し、1977年セックス・ピストルズがデビュー、挑戦的なファッションとノイズまみれの荒々しいサウンドで国家や社会まで否定、ロック・シーンを震撼させた。

[ウィンナ・ワルツ(Vienna Waltz)] − オーストリア
…ウィーンで19世紀に流行、作曲家ヨハン・シュトラウス2世はワルツ王と呼ばれた。

[ファド(Fado)] − ポルトガル
…主にギターとヴィオラで伴奏される、リスボンの大衆音楽。アマリア・ロドリゲスは史上最高のファド歌手と称される。

[スキッフル(Skiffle)] − ロンドン
…ジャズ・バンドにいたロニー・ドネガン(Lonnie Donegan)が1956年に「ロック・アイランド・ライン」をヒットさせ、イギリスで爆発的なブームを巻き起こしたフォーク+ジャズ。

[シャンソン(chanson)] − パリ
…パリで花開いた、粋で洒落た小唄を思わせる大衆歌謡。悲恋や人生の悲喜こもごもをテーマとした詞と、それを噛みしめて語るようなメロディからなる。
…ダミア、エディット・ピアフ

[ヨーデル(jodel)] − スイス/オーストリア
…アルプス地方の民族音楽として定着し、世界中に知られた、裏声を駆使した唱法。「ヨ〜レイ、ヨ〜レイホ〜」の歌声、アルペン・ホルンのコラボ。

[クラシック(classical music)] − ヨーロッパ全域
…ヨーロッパの貴族・高僧階級のための鑑賞音楽。バッハ考案の平均律記譜法により、急速に音楽的進歩を遂げ、世界中の音楽の中枢に座ること数世紀。

[ブリティッシュ・ビート(British Beat)] − ロンドン/イギリス全域
…ビートルズやローリング・ストーンズ(Rolling Stones)を筆頭とする、1960年代英国のビート・グループの総称。

[カンツォーネ(Canzone)] − イタリア
…イタリア語で"歌"を意味するカンツォーネは、「サンタ・ルチア」などのナポリ民謡から最新ヒット曲まで、イタリア歌謡全般を指す。

[フラメンコ(flamenco)] − スペイン
…ジプシーによってもたらされ、スペイン南部のアンダルシア地方で開花した芸能。歌を起源とし、次にギター、最後に踊りが加わって19世紀に現在の形に。

[ブルガリアン・ポリフォニー(Bulgarian Polyphony)] − ブルガリア
…主旋律を美しく際立たせる西欧コーラスとは相反し、それぞれの歌声が時に攻撃的にぶつかり合いながら音楽を紡ぐ独特なコーラス形態。

【アジア】

[アラブ歌謡] − レバノン
…アラブ世界に向けて作られ、西はモロッコから東はイラクまで共通語をもつ20ヶ国以上をカバーする。歴史は古く西欧のクラシックとアラブ伝統音楽を合体させて発展。

[カッワーリー(qawwali)] − パキスタン
…イスラム教のゴスペルと言われるパキスタンとインドのスーフィーの宗教音楽。ハルモニウム、タブラ、ターリー、手拍子を伴奏として主唱者と副唱者の即興的掛け合いで演奏。

[インド・フィルム・ソング] − インド
…世界一の映画大国で、インド・ポップス=フィルム・ソングと言える。ミュージカル風映画の多くは、俳優は歌わずプレイバックと呼ばれる歌手が吹き替えをする。

[ケチャ(kecak)] − インドネシア
…バリ島でバロン劇と並んで広く知られる芸能。元々はサンヒャンと呼ばれる儀式で用いられた音楽から発展した舞踊劇。

[インド古典音楽] − インド
…シタールは、直接弾かない10本以上の共鳴弦のある代表的古典楽器。伴奏打楽器はタブラ。ビートルズが導入で広く知られることに。

[ガムラン(gamelan)] − インドネシア
…「青銅の交響楽」とも言われる、インドネシア独自の打楽器アンサンブル。舞踊の伴奏音楽として盛んに演奏。

[ベトナム歌謡] − ベトナム
…中国の影響が強いが、東南アジアで最も豊かな音楽文化をもっている。
…チン・コン・ソン/カイン・リのヒット「坊や大きくならないで」

[ダンドゥット(Dangdut)] − インドネシア
…1970年頃にマレー音楽のムラーユ、インド映画音楽などに欧米のロックの要素をミックスさせて誕生したインドネシアの大衆音楽。

[クロンチョン(Kroncong)] − インドネシア
…16世紀にポルトガル商人により伝えられた東南アジア最初のポピュラー音楽。

[ホーミー(Khoomii)] − モンゴル
…ひとりで同時に2つの音を出すモンゴルの歌唱法。声帯を振動させ倍音を強調しメロディを奏でる器楽的喉歌。

[沖縄音楽] − 日本
…民謡・島唄の宝庫だが、米軍基地影響下でロックが生まれたり、移住してきた人たちが世界の様々な音楽とチャンプルーしたりと、バラエティ豊かなシーンを生んだ。

[上海歌謡] − 中国
…中国歌謡の始まりは、上海。戦前、映画の挿入歌などにより発展。代表曲「何日君再来」は多くの歌手に。

[アボリジニー(先住民:Aborigine)音楽] − 台湾
…1990年代に台湾原住民の音楽に注目が集まった。大勢で声をハモらせる合唱形式で馴染みやすい旋律が特徴。

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