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切実な声、本音/市場実態PickUp/グローバル雑学王−56

電機業界、半導体業界など世界的に底打ち感が、各種経済指標、各社業績はじめ具体的に表れてきている。中国はじめ世界各国・地域の景気回復策が奏功していると考えられるが、今回の危機の発信源、米国の景気後退が長く、回復の兆候も鈍くて、なかなか手放しで歓迎とはいかない全体状況を感じている。グローバルな方々の切実な声、実態を当面、追っていかざるを得ないという受け止めである。

≪切実な声、本音≫

"底打ち感"を巡って、我が国内、そして世界の感じ方を見てみる。

【国内】

この土曜朝、NHKテレビの次の番組がたまたま目に入ってきた。

『経済ビジョンe:新興国の中間層をねらえ!』

我々の普段の会話によく出てくるフレーズを中心に、次のポイントである。

・ボリュームゾーンを狙え。8.8億人の市場。
⇒車、電機などの購買が見込める層。中国、インドをはじめとして、かくも大規模。

これに合わせていかないと現時点のビジネスは成り立っていかない、ということで次の点。

・何でもある機能満載は不要
・シンプル、新製品、基本性能、がほしい
  
それでは我が国はどこで生き残るか、切実な課題。ここでは、

・部品のところは日本でないと。手が抜けないところ。

となって、国内エアコンメーカーの例での以下の声、見方となっている。

・海外に出なきゃいけないか。 →ジレンマ感
・ノウハウをもっていかれる。そうかといって、売り上げないといけないし。 →我々に常にあるジレンマ感
・日本ならではのものづくり品質管理でないと、成り立たない部材 →そこはかとないノウハウ

それではどうしていくか、ここでは次の点が率直に指摘されている。

・今までの雇用を守るのが精一杯の現状
・要素技術の新たな価値を生み出す →新事業立ち上げによる雇用創造

当面なにしろ足元を固めていくしかないと思うが、国内での底打ち感、次の通りと受け止めている。

◇電機大手、軒並み赤字でも底打ち感 4〜6月期決算。(7月31日付け asahi.com)
→電機大手8社の2009年4〜6月期連結決算は、そろって減収で純損益は赤字となった旨。ただ、直近の1〜3月期よりも改善傾向が目立つ旨。年明け以降、リストラを急ぎ、生産を減らし在庫調整を一巡、日本に加え外国の景気対策の効果もある旨。電機大手の業績も底打ちの兆しが見え始めた旨。

◇半導体工場、夏休みを返上、受注、2月に底打ち。(8月1日付け NIKKEI NET)
→国内半導体各社は今夏、生産工場をほぼ休まずに連日稼働させる旨。半導体需要の低迷を受けて昨冬の年末年始や今年のゴールデンウイーク(GW)はラインを止めて生産調整する動きが目立ったが、受注は2月ごろに底を打ち、工場稼働率が上昇しているため“夏休み”は返上する旨。

【世界】

さて、世界的には「the worst may be over for ・・・(ex. handset sales)」というフレーズが、週を追うごとに頻度を上げて目に入ってきている。ここ数日だけでも次の通りとなっている。

◇Recovery Arrives After Severe Downturn-The semiconductor equipment industry is bouncing back after a severe drop in orders. New fab activity, after falling to almost zero by the end of 2007, also is beginning to grow, and could hit $8B in the third quarter.(7月30日付け Semiconductor International)
→多くの長い月々の暗い影および販売高減少を経て、半導体装置業界がもち上がる軌道に乗っており、業界史上最悪の年は過ぎ、回復期間がそこにある旨。
fab建設および生産の推移&予測、下記参照。新fab建設は今年回復、来年稼働へ。(Source: Strategic Marketing Associates)
http://www.semiconductor.net/photo/138488-Fab_construction_recovery_072909FabConBurns_jpg_.jpg

◇Taiwan's TSMC Q2 net beats forecasts (7月30日付け EE Times)
→TSMCが木曜30日、ここ3四半期で最大の利益を計上、アナリストの予想に優って、ハイテク分野の最悪の事態が終わったという期待がさらに高まっている旨。

◇Global handset market to see slower decline in H2(7月30日付け EE Times)
→Strategy Analytics(Boston)発。2009年第二四半期の世界handset出荷が273M台、前年同期比8%減。第一四半期の同14%減、2008年10-12月四半期の同11%減からは良くなっている旨。

◇ISuppli: Handset shipments returned to growth in Q2(7月31日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)、金曜31日発。第二四半期のグローバルhandset出荷が265M台、前四半期(253M台)比4.7%増、2008年第二四半期以来の前四半期比増加である旨。

◇Top 20 semiconductor companies saw 21% sales surge in Q2-The semiconductor industry continues to move through this silicon cycle very quickly on its way to recovery, IC Insights reports.(7月31日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IC Insightsから今週元気づくアップデート、第二四半期の半導体サプライヤ・トップ20が、前四半期比21%増の販売高、第一四半期は同16%減であったから37ポイントの好転swingの旨。


≪市場実態PickUp≫

先週は盛り返してきた中国、そしてウォン安が効く韓国のGDPの回復感が示されたが、世界を引っ張る米国は以下のまだまだの状況と感じている。次の展開が見えてくるまでの足取りと固めに引き続き注目ということと思う。

【GDP推移】

◇米GDP、1.0%減、戦後最長の景気後退に、4〜6月。(7月31日付け asahi.com)
→米商務省が31日発表した2009年4〜6月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は年率換算で前期比1.0%減、1947年の四半期統計開始以来、初めて4四半期連続のマイナス成長、減少幅は前期より大きく縮小しているが、景気後退の期間は戦後最長を記録することになった旨。
GDPの7割を占める個人消費が同1.2%減と2四半期ぶりにマイナスに転落、長く世界経済を牽引してきた米消費の不振は深刻、2007年12月に始まった景気後退は、戦後最長だった16カ月(1973〜75年、1981〜82年)を更新した旨。

AMDからの製造スピンオフ、Globalfoundriesには、米国の足元固めの意味でも大きな期待があるのではと思う。STMicroelectronicsを最初の戦略重点顧客に迎え入れられたということで、以下の業界各方面からの反響である。米欧の回復起点になるか、今後出資元の一つの中東への展開、といった見方など注目と思う。

【Globalfoundriesを巡る動き&見方】

◇ST, Globalfoundries sign manufacturing contract(7月29日付け EE Times)
→大方の市場観測筋による予想より早く、半導体製造サービス・プロバイダー、Globalfoundriesが、最初の戦略的顧客契約を獲得、それはSTMicroelectronicsである旨。

◇Analysis: Globalfoundries needs to grow (7月29日付け EE Times)
→Globalfoundriesが予想より早く大手半導体プレーヤー(STMicroelectronics)をファウンドリー顧客として引きつけることができたのは注目すべきこと。しかしながら、AMDから独り立ちするには十分ではなく、新しい事業分野での競争力をつけるには十分ではないと思われる旨。

◇GlobalFoundries to earn significant portion of ST outsourcing(7月29日付け EE Times)
→STMicroelectronics NVの弁。同社はfab-lighter戦略を採用、独自の高付加価値派生プロセスでの製造に自らは大半重点化する一方、標準先端CMOS技術については外部委託を活用、UMCおよびTSMCと供給契約がある旨。

◇Global Foundries to manufacture ST 40-nm low-power bulk silicon-First tape out and production of ST products by Global Foundries is planned to start in 2010.(7月29日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Global Foundriesにとって大きな前進の一歩、最先端の低電力bulk silicon技術の最初の顧客としてSTMicroelectronicsを得た旨。

◇GlobalFoundries Nabs STMicro as Customer-GlobalFoundries said it has signed up STMicroelectronics as the first customer for its low-power bulk silicon technology, starting at 40 nm. The deal with GlobalFoundries will "ensure ample capacity for our customers at the leading-edge of low-power design," said STMicro CTO Jean-Marc Chery.(7月29日付け Semiconductor International)
→GlobalFoundries(Sunnyvale, Calif.)の事業活動についての図面、下記参照。=XX
最先端技術対応一覧(図中、HKMG=high-k/metal gate):
http://www.semiconductor.net/photo/133581-GlobalFoundries_28_nm_designs_072909GF_jpg_.jpg
技術ロードマップ:
http://www.semiconductor.net/photo/133583-GlobalFoundries_Roadmap_072909GFRoadmap_jpg_.jpg

◇GlobalFoundries could be the elusive Eurofoundry, and more(7月30日付け EE Times)
→STMicroelectronicsが先端CMOS製造外部委託のかなりの量をGlobalFoundries社(Sunnyvale, Calif.)のDresdenウェーハfabsに切り換えようとしていることは、欧州地域にとっては前向きのニュースではある旨。

◇Globalfoundries more advanced than TSMC, analyst says(7月31日付け EE Times)
→Gartnerのアナリスト、Bob Johnson氏。ファウンドリーの競合模様、Globalfoundriesは、数量ではリーダーではなかろうが、いずれにせよ技術ではリーダーである旨。

"回復感"の具体的な、そして本音交じりの業況記事、次の通りである。

【各社業績】

◇Fab tool vendors see better results (7月29日付け EE Times)
→K&S, Lam, MattsonおよびTeradyneが水曜29日、予想以上の業績を発表、やっとのこと、IC装置事業が良くなってきている旨。

◇ST sees positive backlog indicators for Q4 (7月30日付け EE Times)
→STMicroelectronics NV(Geneva, Switzerland)の第二四半期net売上げ$1.993B、前四半期比20%増。第三四半期については、$2.07B〜$2.27B、同4%〜14%増を見込む旨。

◇半導体・液晶、台湾勢の業績回復鮮明に、4〜6月。(7月31日付け NIKKEI NET)
→台湾の半導体、液晶パネル大手の業績回復が鮮明になってきた旨。今年4〜6月期はファウンドリー大手2社が4四半期ぶりにそろって最終黒字を計上、液晶パネル大手2社も最終赤字が大幅に減り、業績回復で先行する韓国勢を追い上げている旨。家電製品購入への補助金導入など景気刺激策を展開する中国の需要急増が追い風になった形、新設備導入を検討する動きもあり、デジタル素材だけでなく製造装置の日本メーカーにも業績押し上げ効果が広がりそうな旨。


≪グローバル雑学王−56≫

最後にアジアとハワイで、楽器と大衆音楽の世界の旅の締めである。

『音楽がわかる世界地図 −今と過去、世界各地の音楽・楽器・ミュージシャンが一冊でわかる!』(世界の音楽編集部 編)  …2007年7月 第三刷

より、具体的な楽器、音色、楽団の構成など想像を巡らしていただくしかないが、小生もあのことかと思い起こす場面がしばしば。音楽のこのシリーズ、いろいろ今まで接したあれこれの断片の確認に一興と思うが、いかがだろうか?

以下の(注)以下は、WikipediaなどPC百科事典から取り出している。


Part.1 地図でみる世界の音楽

≪楽器と大衆音楽のちょいと世界一周 …後編…≫

【アジア】

[インドネシア] ポルトガル音楽とインドネシア音楽が融合したクロンチョン音楽。結果として、クロンチョン・ギターというカバキーニョによく似た楽器が生まれた。

バリ島ガムラン音楽の竹木琴、ジェゴグ(JEGOG)。

(注)クロンチョン(Kroncong)は、インドネシアを代表する大衆音楽のジャンルである。演奏は、男性(or/and)女性歌手に伴奏楽器としてフルート、ヴァイオリン、チェロ、ギター、ベース、チャッ、チュッ(弦3本の小型ギター)が加わり、打楽器は使用されず、弦楽器だけでリズムを作るのが特徴である。欧米や東アジアのポピュラー音楽が存在感を増しつつある今日のインドネシアの大衆音楽界においても、クロンチョンの人気は依然として高い。

クロンチョンの起源は、16世紀、インドネシアの主だった島々がポルトガルに支配されていたころにまでさかのぼるといわれている。世界のポピュラー音楽に詳しい中村とうようによると、インドネシアの島々に来航したポルトガル船に搭乗していた船員たち(ポルトガル人、アフリカ人、アラビア人ら)の音楽が伝えられ、そこに当時のインドネシアに固有の伝統音楽の要素が取り入れられて、混交音楽としてのクロンチョンが生み出されたという。

(注)竹のガムラン「ジェゴグ」は、バリ島西部のヌガラで生まれ、ゴン(青銅製のガムラン)のようにこの地方の住民に根付いていたが、竹製という事でオランダ統治時代禁止され、第二次世界大戦、独立戦争の間完全に姿を消していた。が、近年、スアール・アグン(Suar Agung)楽団を中心に復興している。

「ジェゴグ」の楽器は長さの異なる8本の竹で出来ていて、前列から順に3台、3台、5台、3台の計14台で後ろにいくほどに楽器が大きくなり音階も低くなっていく。

[日本・沖縄] 沖縄の民謡のポップス化は著しいが、昨今ポップスの立場から民謡を自分なりに取り込みもして、沖縄音楽界には力がある。沖縄の三線は中国の三弦から、そして日本の三味線に。
ビギンは、キーボード、ギター、そしてオリジナル4弦ギター"一五一会"でギター簡単奏法を始める。

(注)BEGINの比嘉栄昇氏が一期一会の出会いを運んでくれるように」と願いを込め名付けた楽器「一五一会」

[中国] 女子十二楽坊 中国古楽器でポップスを演奏。「世界に一つだけの」から「ドラエモン」まで。 
    二胡 …2弦。胴に蛇皮。
    古琴 …7弦。漆仕上げ。
    ピーパ(琵琶) …4弦
    竹笛
    簫(しょう)
    
(注)二胡は、擦弦楽器の一種で、2本の弦を間に挟んだ弓で弾く。琴筒はニシキヘビの皮で覆われている。原型楽器は、唐代〜宋代にシルクロードを経由して西方より伝来したとされている。その後劉天華などにより改良を重ねられ、現在普及している形は、1950年代から(文化大革命の停滞期を挟み)80年代ごろに出来上がったものが基本となっている。

(注)古琴(こきん、七絃(弦)琴)は、中国の古い伝統楽器。3000年の歴史がある。撥弦楽器の一種で、弦は7本。琴柱(ことじ)はなく「徽(き)」と呼ばれる印が13あり、これに従い左手で弦を押さえて右手で弾く。

(注)中国ピーパ(琵琶)は日本琵琶とは全く異なる音色

(注)竹笛について: 今から4000年以上さかのぼる黄帝の時代、黄河流域には大量の竹が生息していた。そのため竹を使った笛が作られるようになる。秦漢時代にはすでに七孔竹笛(七つの穴がある竹笛)があり、さらに両頭笛が発明された。

(注)簫は、昔から中国で使われてきた管楽器の一つである。管体は竹製で、一端は竹の節によって密閉状態を保ち、他の一端は口が開いている状態である。吹き口は密閉した一端の節の側面にあり、管体の真中あたりに六つ(正面に五つ、裏側に一つ)の押す穴がある。音色は丸みがあって滑らかかつソフトである。

【ハワイ(米国)】

ハワイの伝統メレと西洋音楽が出会い生まれた今日のハワイ音楽。ウクレレはポルトガルから伝わり、スティール・ギターはインドからとも言われているが確かではない。メレ時代からの打楽器は今日に生きている。

スティール・ギター
・ナショナル・ラップ・スティール(金属製)
・フェーダー・エレキ・スティール
・ワイゼンボーン・アコースティック・スティール
・リッケンバッカー・エレキ・スティール(エレキ・ギターの元祖)
ナショナルやワイゼンボーンは、共鳴を大きくするためネックまで中空に。

ウクレレ: ポルトガルのブラキーニャがピラ・リィリィ(小さなフィドル)と呼ばれ、ハワイで作られるようになり、ウクレレ(飛び跳ねるノミ)に。

(注)ハワイ原住民のダンス、フラダンスには、詠唱またはメレが伴う。

(注)古代のハワイ音楽: 音楽を担当した専門職の人物はハク・メレ【Haku Mele】と呼ばれていた。文字を持たなかったハワイの人々にとっては、ハク・メレの作る唄(詞)は大変重要な役割を担っていた。それは、ハワイの文化のすべてを次の世代に伝承していかなければならない、と言う命題だった。

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