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“Photovoltaic”って?/中国とロシア近況/グローバル雑学王-8

猛暑も突然と去った感じの今夏であるが、秋の気配も見えてきて各業界、秋の陣突入である。本当にあっという間の時の移行、小刻みにアップデートしていかないと追い着けない変化と早さ。今回取り上げているテーマもその範疇と感じている。

≪“Photovoltaic”って?≫

6月の本欄で≪太陽電池生産への投資≫に注目したが、英文では、Photovoltaicあるいは省略形のPVがよく使われて、業界記事を最近富に賑わせていると感じる。

ところで、このPhotovoltaic、辞書では「光電池」、あっそうかと一瞬太陽電池のイメージで納得するものの、何かおぼろげな印象が残る。そう思っていたら、便利なインターネット記事「Business Media 誠」から以下の解説を見つけた。

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“Photovoltaic”──いまさら聞けない太陽電池、燃料電池って何?

太陽電池は太陽の光など、光を浴びて電気を生み出す、言ってみれば“発電機”。燃料電池も水素やメタノールなどの燃料を使って電気を作る“発電機”なので、電気は溜まっていない。だから乾電池のように使い終わってしまうようなものではないし、充電が必要なものでもない。

そもそもは英語の名前にも問題がある。英語で電池をどう呼ぶかというと、
 乾電池  dry battery [cell]
 アルカリ電池  alkaline battery [cell]
 太陽電池  solar battery [cell]
 燃料電池  fuel cell
というわけで、○○ battery [cell]ということが多い。これを電池と訳せば、太陽電池や燃料電池となる。実際は発電機のように動くのに、電池なのだ。 

Photovoltaicとは英語で「光起電性」の意。光を受けて電気を起こす太陽電池の原理のおおもとでもある。Power Generationは発電。つまり“光発電”“太陽光発電”の意味になる。

日本では、太陽電池の名前からSolar Cellと呼ばれることが多いが、海外ではPhotovoltaicとか、PVと呼ばれることが多いのだという。

太陽電池も燃料電池も電気は蓄えない。そして、Solar Cellではなくて、PV。身の回りでもエコやエネルギーの話題が出る昨今、ちょっとした知識として覚えておきたい。 
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これで少しは晴れて小生の頭の中で、PhotovoltaicあるいはPVが市民権獲得というところであるが、ここ数日という刹那にも次のようなPV業界の動きである。今後のアップデート定番メニューの一つになることは間違いない。

◇Photovoltaic module maker secures $104M in funding(8月29日付け EE Times)
→薄膜photovoltaic(PV)モジュールメーカー、AVA Solar社(Fort Collins, Colo.)が29日、venture capital出資の第2ラウンドで$104M獲得の旨。

◇Mitsubishi to boost photovoltaic production capacity(8月29日付け EE Times)
→三菱電が、長野県中津川Works飯田Factoryにphotovoltaic(PV) cell生産に向けた新しい建屋を建設する計画、その新PV Cell Plant #2は、PV cellsの年間生産capacityを2012年度までに600MWに拡大する旨。

◇Rohm and Haas rolls photovoltaic products(8月28日付け EE Times)
→第23回欧州Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition(PVSEC)(Valencia, Spain)にて、Rohm and Haas Companyが、photovoltaicメーカー向けEnlight製品の新ラインを投入、セル効率および製造歩留まりを高めて従来のsolar cell processingを改善する材料製品一式の旨。
 
◇Photovoltaics drive thin-film market for energy applications(8月28日付け EE Times)
→BCC Researchのレポート"The Global Market for Thin Films in Energy Applications"。エネルギー応用での薄膜グローバル市場が、2007年の$1.1Bから2013年には$3.9Bに達し、CAGR 23.5%で伸びる旨。

◇Photovoltaics underestimated, says SunPower co-founder(8月27日付け EE Times)
→Hot Chips conference(Palo Alto, Calif.)にて、SunPower社のco-founder、Richard Swanson氏の基調講演。photovoltaic(PV) solar cell装備が現状の速度で引き続き伸びれば、2040年までに米国の電気需要すべてが満たせる旨。 


≪中国とロシア近況≫

オリンピックも無事終了して、今後の世界経済はどうなっていくか。大きく左右する要因として、どうしても中国およびロシアの動向が挙がってきて、やはりアップデート・メニューの一つということと思う。デバイス業界主眼に現時点は以下の通りである。

まずは、北京五輪後の中国。上海の超高層ビルがオープンのニュースがあって、経済の一層の拡大を印象付けている。

◇China readies first multicore Godson CPUs(8月27日付け EE Times)
→Hot Chips conference(Palo Alto, Calif.)にて、中国の研究者が、同国初の国産MPU、Godsonの初のmulticore版を準備中、4-および8-コア設計で何ヶ月かでtape out予定の旨。中国は、2010年にGodson-3ベースのpetaflops高性能コンピュータを作る期待の旨。

◇中国経済の対外依存度60%超える(8月24日付け 13億人の経済ニュース[biglobe配信])
…中国国家統計局発。石油の対外依存度はすでに50%に迫っており、生産者物価指数は引き続き上昇、連動している消費者物価指数の上昇も続くと思われる旨。 

かたやグルジア問題という根っからの民族紛争の火種を抱えるロシア。いい加減にしろとも言いたくなる原油高騰もピークを越えて落としどころ如何という現状かと映るが、ロシアでの半導体の動きとして以下が見られる(同じ内容を2つの角度で)。

◇Sitronics Plans 300 mm Fab at Zelenograd(8月27日付け Semiconductor International)
→先週ロシアのVladimir Putin首相がサインした政府裁定。Sitronics社(Moscow)が、Moscow近くのZelenogradでの300 mmウェーハfab建設に、ロシア政府投資基金から$1B以上を受ける旨。関連写真、下記参照。
http://www.semiconductor.net/articles/images/SI/20080827/0827sit1.jpg

◇Kremlin green lights Mikron chip project(8月26日付け EE Times)
→現地発。ロシアの産業貿易省が、65-nm半導体生産の共同融資で27Bルーブル($1.09B)出すことを正式承認の旨。Sitronicsの1部門、MikronがこのICsを製造、300-mmウェーハで65-nm生産から45-nmまで求める計画の旨。 


≪グローバル雑学王−8≫

今回も『常識の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 196)から、他国の文化、考え方を知ることの大切さを感じる以下の内容である。

○食をめぐるタブー  
・イスラーム教徒…ブタを食べないだけでなく、目にするのも汚らしいと思っているので、豚革製品も身につけない。
・もてなす席でタイの活き造りを出したら、気持ちが悪くなったドイツ人。
 ※ ⇒これは小生も直接経験したこと。最上のご馳走と唾を飲み込んだ身内側と気まずいコントラストに。
・ユダヤ教の食の規定…反芻し、蹄が分かれている獣類や、水中に棲むものでは、ヒレとウロコがあるものは食べてもよい。
・敬虔なユダヤ教徒…牛肉と牛乳を一つの冷蔵庫に入れず、食材ごとに使用する調理器具を区別する。
・ヒンズー教徒…神聖ということでウシを食べない。インドのハンバーガーにはヒツジやスイギュウなどの肉使用。
・中国、焼きギョーザを客に出してはいけない。前日の水ギョーザの残りを焼いて食べるものと思うところあり。
・イギリスでは、17世紀に入ってからもフォーク使用に抵抗感。エリザベス一世も、食卓では肉を手づかみで食べていたとのこと。欧米のうるさいテーブルマナーも、ほんの200-300年前はそんな状態。
・イスラーム教徒やヒンズー教徒…手による食事が基本。道具など使うのは不敬という考え方。手先の感覚も食事の楽しみの一つ。
・ハンガリーでは、出されたものは残さず食べるのが礼儀、ブルガリアでは、皿が空になるとおかわりの催促に。
・中国の昼食「飲茶(ヤムチヤ)」など、お茶=食事という感覚は、多くの文化に共通するもののよう。

この「世界方々の常識」は、いろいろな切り口であと数回は勉強、考察が必要になりそうである。

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