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またもやMoore則終焉論議/市場実態PickUp/グローバル雑学王−50

もう何回繰り返されたのだろうか?ムーアの法則の終りが見えてきたという予測が出されて、同じような流れの再生ビデオを見るように、関係各業界から様々な反応が出されている。1965年にGordon E. Moore氏が提唱してから40年あまり、如何に半導体業界をいつまでも活性化する教義の中軸になっているか、現在の経済環境だからこそ改めてその意味を考えさせられるところがあるということと思う。

≪またもやMoore則終焉論議≫

発端は次の予測レポートからきている。

◇Is Moore's Law Becoming Academic?(6月16日付け iSuppli Corporation)

◇ISuppli: Gear costs to derail Moore's Law in 2014(6月16日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)の予測。20-nm〜18-nmノード以降もshrinkingプロセスgeometriesのさらなる進展は得られようが、半導体製造装置のコスト上昇で、Moore則が実験室に追いやられ、半導体業界の基本的な経済学が変わっていく旨。プロセスノード別売上げ推移&予測、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/chart1_061609.gif

これに対して即日の反応である。

◇Letter to the editor: iSuppli predicts end of Moore's Law(6月16日付け EE Times)
→上記に対するIBMのProgram Manager、Laurence Marks氏コメント。どんな種類の特殊応用でさらに微細なgeometriesの活用が開けて、投資が妥当なものになるか、業界の衆知を結集すること。

本当にどうしてもそのような微細化でなければ、というアプリの開拓とビジネスプランをしっかり練ることはその通りと思う。続いて、以下の反応記事が次々と目に入ってくる。

◇Analyst slams Isuppli for Moore's Law death prediction(6月17日付け The Inquirer)
→Moore則が2014年までに終焉を迎えると予測するiSuppliレポートに対するIntelに近いアナリスト連の反応について。

◇Moore's Law repealed! But does it matter? (6月18日付け EE Times)

◇Industry insiders, EE Times editors on Moore's Law(6月19日付け EE Times)
→1965年に表されてからすぐにその崩御が云々されてきているMoore則、しかしながら40年以上も半導体業界の指針となっているが、最近iSuppli社からのその停止に向けた予測。これに対する業界リーダー、EE Times編集者などのコメント。

当のIntel社では、annual Research@Intel Dayにて以下の発表が一つとして見られ、ムーアの法則に徹する健在ぶりを感じている。

◇Intel pushes 193-nm litho down to 15-nm (6月19日付け EE Times)
→Intel社が、少なくとも実験室において、193-nm immersionリソを15-nmまで押し進めている旨。「実用ロジックの世界では、今日のsingle exposure environmentでの193-nm immersion scannersは、35-nmで壁にぶつかる見込み。」(IntelのTechnology and ManufacturingグループVPでComponents Researchのdirector、Mike Mayberry氏)。何らかのdouble-patterning技法を擁する193-nm immersionが、これまで考えられていたよりずっとさらに縮小できるという証左の旨。

微細化一辺倒からグローバルな市場規模拡大へ進展してきている半導体業界であり、多様化しているアプリに今後どう対応していくか。本当に今後の方向性について、市場の共感とデータを積んでいくことと思うが、ちょうど折も良く、来日中のインテルCEO、Paul Otellini氏にインタビュー取材した記事が目に止まった(6月19日付け 朝日新聞)。ムーアの法則についてのコメントを取り出すと、次の通りである。

・ムーアの法則(一定の大きさの半導体チップ上に作られるトランジスタの数が、18〜24ヶ月ごとに倍々に増える)は自然法則ではない

・ムーア氏自身、この法則について「5年以上先は予測できない」と語る

・終わりを迎えるとすれば、それは人が前進することをあきらめてしまった日ではないか

・ムーアの法則は、何も保証されたものではない。限界を突き破って先に進もうとする意志を捨て、挑戦をやめたとき、そこで止まってしまうもの。

果てしない挑戦、これが半導体の本当に面白いところとずっと実感してきているだけに、当面、投資に見合う市場の積極的な反応、ビジネス軸の検証を着実に重ねていくことと正直なる思いである。


≪市場実態PickUp≫

最先端技術開発によるビジネスの開拓&拡大は、ムーアの法則の求めると思われるところと同じく、切に願って追及する方向であるが、恒例のVLSIシンポより気がついたホットな内容、次の通り。

【VLSIシンポジウム】

◇Thin SOI Devices Shine at VLSI Symposium-At the 2009 Symposium on VLSI Technology in Kyoto, Japan, an IBM R&D team described fully depleted CMOS devices created on extremely thin silicon-on-insulator (ETSOI) wafers, aimed at the 22 nm node and beyond. A Hitachi team presented SRAMs fabbed on ultrathin buried oxide SOI. Both avoided ion implantation steps.(6月18日付け Semiconductor International)
→IBM   …22-nmノード移行を目指すextremely thin silicon-on-insulator(ETSOI)デバイス用fully depleted CMOSプロセス統合方式
 日立中研…ultrathin buried oxide(BOX)技術、Silicon on Thin BOX(SOTB)

◇半導体も省エネ:東芝は消費電力5分の1:NEC、無線電波を効率受信。(6月17日付け NIKKEI NET)
→消費電力を大幅に下げた省エネルギー型半導体の開発が加速している旨。
東芝はパソコンなどに普及が進むフラッシュメモリで消費電力を従来に比べて最大5分の1に抑える技術を開発、NECは携帯型端末に利用が見込まれる半導体でわずかな電力でも動くようにした旨。IT機器の省エネ化は地球温暖化対策における大きな課題で、半導体各社は実用化を急ぐ旨。

アップルより第三世代となるiPhoneの販売開始、早速の反応&評価である。

【「iPhone 3G S」販売開始】

◇Video: First looks inside the iPhone 3GS-Few surprises, light lines for Apple's cellphone upgrade(6月19日付け EE Times)
→今朝販売開始のiPhone 3GSについて、早々の印象&分析。

◇アップル、新型「iPhone」米国で販売開始。(6月20日付け NIKKEI NET)
→米アップルが19日、新型携帯電話「iPhone 3G S」の販売をアップルストア、AT&Tストアで開始、2007年に発売した初代アイフォーンや、昨年夏発売の2代目の3Gに比較べ、行列は短く順番待ちにも落ち着きが見られた旨。 価格は199〜299ドルと2代目と同価格だが、ビデオ撮影が可能で、データ処理能力を従来の2倍に高めるなど機能向上を売り物にしている旨。

◇Video: B'com, Toshiba win sockets in iPhone 3GS-Silicon integration suggests cost savings for Apple(6月19日付け EE Times)
→第3世代Apple iPhone、"iPhone 3GS"のteardowns解析。製品名の's'はsavingsを表わすかとの見方。

EETimesのインド発信版に気がついて、注目し始めている。

【インド市場】

◇Indian GP test market set for robust growth(6月16日付け EETimes India)
→インドのテレコム分野がここのところ長足の進展、携帯電話市場の高い伸び率で市場の展望が増幅されており、R&D、製造からinstallation and maintenance(I&M)まで各種用途のあるgeneral purpose(GP)テスト装置市場が力強い伸びを見せている旨。

◇India to spend $20bn on solar plans (6月17日付け EETimes India)
→インド政府が、solar市場および固有のsolar photovoltaics業界の伸長に向けて、向こう30年にわたりRs.97,973.88 crore(US$20B)を投資する計画、約Rs.4,899 crore($1B)が向こう5年に充てられる旨。solarアプリの目標、下記参照。
http://www.eetindia.co.in/IMAGES/EEIOL_2009JUN17_POW_NT_01a_sm.jpg

前回、ファウンドリー業界の激変について触れたばかりであるが、TSMCのトップに再び就いたMorris Chang氏が即座に動いている。

【TSMCの設備投資、上方修正】

◇TSMC to boost capex, says report (6月18日付け EE Times)
→Financial Times発。TSMCが、2009年capital spendingを$1.5Bから$1.9Bに高める計画の旨。

◇TSMC increases 2009 capex to US$1.9 billion, says CEO(6月19日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。売上げ減が予想されるにも拘らず、TSMCは2009年capexを約$1.9Bに上げる計画、$1.89Bの2008年レベルに近い旨。


≪グローバル雑学王−50≫

本コーナー、早くも50回、まだまだ切り口は緒に就いたばかりの感じ方である。だから、グローバル、そしてグローバルな半導体の追及は果てしなく面白い、ということか。そこは勝手に感じさせていただいて、今回からは、

『「間取り」の世界地図 −暮らしの知恵としきたり』
(著者 服部 岑生[みねき]氏:青春新書INTELLIGENCE PI-137)…2006年1月発行

より、我々が日々暮らす「間取り」に注目していく。よく働き、よく遊んだ高度成長期の以下の下りには、思い出すことが多いとともに、今後の時代、世代に向けてあるべき工夫、変化について考えさせられる。


【はじめに】
・「間取り」…そこで暮らす人たちの生活の設計図そのもの
・「間取り」の歴史をひも解く
 →私たち日本人や世界の人びとの生活の変化
 →家族のありかたの変貌
・生活の洋風化:
 ちゃぶ台             → ダイニングテーブル
 「男子厨房に入らず」の台所 → オープンキッチン
・以下、展開するひも解き:
 日本と世界の人びとの暮らしの様子や生活の知恵
 「間取り」に込められた設計者たちの隠れた工夫

≪「間取り」の世界地図 *代表例概説*≫

○米国 …NYの高層アパート
 → 寝室ごとにシャワールームがあり、クローゼットが多い

○日本 …代表的な3LDKのマンション
 → DKは日本から生まれた間取りの知恵

○韓国 …ソウルのマンション
 → キムチづくりの部屋(多用途室)があるのが韓国ならでは?

○中国 …北京の集合住宅
 → 入口近くにキッチンやリビングがある

○ドイツ …ドイツのアパート
 → 家の中心に家族の集まる食事スペースがある

○フランス …パリのアパート
 → 夜と昼の領域を区分けするフランス人

○イギリス …ロンドンの公営アパート
 → 個室にこだわる英国人らしい間取り

I 日本の「間取り」とその変遷

1章 マンション、団地…集合住宅に見る、日本人の暮らしの変化

[日本で生まれたDK(ダイニング・キッチン)]
・3LDK、2DKといった間取りの表示法 →日本独自のもの
                        →戦後生まれの間取り
・終戦直後の日本 …420万戸もの住宅が不足
 →当時の建設省が、建築設計監理協会に標準プラン(間取り)を依頼
  …「食寝分離」の実現を第一に
  ⇒採用されたのが「51-C型」(1951年の公営住宅の標準プランのCタイプの意)
  …限られたスペース →台所に食事のできる空間をつくった
・昭和40年前後から民間業者がマンションを販売
 →LDKを使ってマンションの間取りを表記
・ダイニング・キッチン(DK)の登場 →戦後日本の住まいの象徴

[都市生活者が団地住まいに憧れた理由]
・1955年に発足した日本住宅公団の団地建設 
 →「51-C型」というDKをもつ間取りがさらに普及へ
・ダイニング・キッチンの登場 →台所が生活の表舞台に登場する歴史的な出来事

[DKが日本人の生活を一変させた]
・当時の地方から都会に出てきた人びとや若いサラリーマン家族
 →2DKに暮らすことが憧れに
 →「団地族」という言葉も
・1958年には、公団住宅に住む団地族は100万人を突破

[LDK、リビングルーム登場の舞台ウラ]
・当時(1950年代)の人びとにとって、公団住宅はピカピカの2DK
 →「狭いながらも楽しいわが家」

[「食寝分離」と「公私室分離」]
・子どもが成長し、思春期に
 →2DKでは、和室(寝室)のひと部屋が子ども専用に
・1970年に近づく頃 →3DKや3LDKが日本の標準住宅に
・次の段階、「PP(公私室)分離」を目指す

[なぜマンションはどこも似たような間取りなのか]
・1970年代以降、3LDKは日本の家庭の標準的な間取りとして定着
 …中廊下式の間取り
 →居住者の家族構成や使いかたによっては、一長一短の面

[かつてもあったマンションの構造欠陥問題]
・激動の1970年代
 * 1971〜1973年 −「1億総不動産時代」
  →1973年10月のオイルショックであえなく終焉
 * 1974年、1975年 −深刻な不況
  →「狂乱物価」
  →マンション居住者からのクレーム
 * 2005年に起こったマンションの構造計算書偽造問題
  →この時期のコストダウンを求める業界体質に起因も

[団塊世代とマンションブーム]
・1970年代後半 …団塊の世代の結婚時期
 →再びマンションブーム: 典型的な間取りが、定型化された3LDK

[ライフスタイルの変化がもたらしたもの]
・ここ数年は地価も落ち着き、低金利
 →自分の好みにあった間取り
  ライフスタイルに合った間取り

[時代を先取りした間取り]
・最新の公団住宅や民間のマンション
 →脱定型化に向けてさまざまな取り組み
  * 入居者自身で部屋の仕切りを移動可
  * フリー・スペース付き

[近未来へ向けた実験的な集合住宅]
・実験住宅の例:
 入口では私室を守って、その奥に共用部分、団らんの場所を作る 
 →家族は個人の集まりである、という思想
 →家族関係の変化を先取りした未来型の間取りといえるかも

[間取りが変える、同居者との関係]
・「共生型住まい」:プライバシーを確保できる個室
            食事や団らんのできる共有スペース
 →これからの高齢化社会にあっては、さらに普及しそうな間取りのコンセプト

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