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続く鈍化傾向/ISSCC今昔/グローバル雑学王−21

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9月後半の金融危機以降、じっと我慢のなるべく早期回復を願うトーンしか表わしようがない状況である。そうは言っても、こういうときこそ新しくて本当に良いものへの切り替えタイミングの絶好機、今はひたすらその方向で精励することと自分に言い聞かせる日々である。

≪続く鈍化傾向≫

現下の市場傾向の受け止め方は以下の通りであり、潮目好転の兆しが見えると感じるまではこのパターンを積んで自分ながらのアンテナ感度を高めるしかないか、というところである。※印以下に感じるコメントである。

◇Semiconductor industry utilization declined in Q3 (EET)(11月28日付け EE Times)
 →SICAS(世界半導体キャパシティ統計)発。半導体業界の製造capacity稼働率が第三四半期に引き続き低下、製品分野の間で大きな差異が見られる旨。
                第二四半期  第三四半期
 全体capacity稼働率   88.5%     86.9%
                  →2006年第四四半期(86.8%)以来の低さ
 200-mm以下        75.9%     64.3%
 300-mm           94.8%     96.5%
※300-mmウェーハへの傾斜がかくもと感じさせられる。ウェーハ径とビジネスの当たり具合はまた別の問題か。

◇2009 PC outlook slashed on credit crunch-Single-digit PC unit shipment growth of only 4.3% is expected next year as IT equipment purchases take a back seat to "real issues," like paying staff or making rising mortgage payments, according to iSuppli.(11月28日付け Electronics Design, Strategy, News)
 →iSuppli社が、2009年PC出荷数量予測を次の通り下方修正の旨。
      2009年         2010年
 今回  4.3%増(316M台)   7.1%増
 前回 11.9%増         9.4%増

◇Global chip sales seen tumbling in October(11月27日付け EE Times)
 →Carnegie ASA(Oslo, Norway)のアナリスト、Bruce Diesen氏。10月のグローバル半導体販売高3ヶ月移動平均が$22.8Bとなって、9月の$23Bに対し1%減の見込みの旨。10月の実際の販売高は前年同月比5.9%減の見込み、9月の1.3%増との対比の旨。

◇Foxconn has yet to issue layoff orders, says company spokesman(11月27日付け DIGITIMES)
 →Foxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)の中国の工場で従業員10,000人以上レイオフの噂、一方、数100人の台湾マネージャーがFoxconnの中国operationsから台湾に戻ってきている旨。
※EMS最大手の特大拠点と聞くだけに、規模の違いを感じている。

◇Analyst cuts LCD-TV forecast, but still sees growth(11月26日付け EE Times)
 →iSuppli社による水曜26日付け改版予測。世界LCD-TV出荷台数の伸びが予想より低下、しかしなお2008年18.9%、2009年にさらに20.5%増すと見る旨。データ内容、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2008/chart1_112608.gif

◇Solar panel sales projected to contract in 2009(11月26日付け EE Times)
 →The Information Network(New Tripoli, PA.)発。経済危機がsolarパネル販売に大きなインパクト、ASPs弱含み、発注遅延あるいはキャンセルから始まる旨。

◇Gartner sees cellphone market down in 2009(11月25日付け EE Times)
 →Gartner社、火曜25日発。経済低迷により世界中にわたるconsumer需要が損なわれて、2009年の携帯電話販売高が今年から4%まで落ち込むと見る旨。

◇Cellphone market gloom spreads to Samsung (11月24日付け EE Times)
 →Samsung Electronicsが24日、今年および来年の携帯電話市場の伸びについて警告、来年は一桁あるいはマイナスの伸びも考えられる旨。
※好調が伝えられるSamsungまで鈍化インパクトということで、来年の携帯電話市場、なおさら感じる厳しさである。

◇China chip market sales growth slows as fabless competition heats up -With IPOs delayed and a slowdown in annual growth, iSuppli estimates more than 100 Chinese IC companies will disappear within the next two years.(11月24日付け Electronics Design, Strategy, News)
 →iSuppli社の最新レポート。2008年の中国の半導体販売高が6.7%増の$81.7B、何年もの二桁年間伸長から一桁になる旨。一方、中国のファブレス業界は12.3%増の$3.5Bと好調の見込みの旨。


≪ISSCC今昔≫

下を向くトーン、パターンはもう沢山ということで、明るい材料がほしいものと思っていたら、来年のISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)(2009年2月8日〜12日:米カリフォルニア州サンフランシスコ)の概要がこのほど発表されたという記事が目に入ってきた。

もうそんなタイミングかと感じるが、小生のことながらよくよく振り返ると、最初の米国出張でISSCCを眠気を必死にこらえつつ聴講したのが1979年のこと。来年は2009年、まるまる30年ということになる。まだまだその前の長い歴史、推移があって、小生なんぞ半導体業界ではミドル世代かと勝手に思っているが、それなりに今回の記事からの抜粋、感じ方、次の通りである。

・絶え間ない微細化の進展と市場に受け入れられるアプリケーションの展開。この両輪が揃っていかないとなかなか前進はしないものという感じ方、これは今も昔も変わらないと思う。30年前のDRAMはメインフレーム、オフコンに向けてひたすらビット容量4倍の世代先行レースであったのが、今はconsumer electronicsはじめシステムにBest Fitさせる趣きを色濃く感じている。微細化とアプリ、お互いの中身は違えど揃って進まないとモチベーション溢れる進捗は得られないもの、と何回感じてきたことだろうか。

・1979年はフィラデルフィアでの開催、厳寒の雪景色、プロペラ機が無事着陸したときの安堵、そんな情景を思い出す。今はサンフランシスコに落ち着いたようで、単に昔話ということで落着。

・ISSCC 2009の概要について、EETIMES JAPANの記事『ISSCC 2009の概要が明らかに、「適応型回路・システム」について議論』(11月25日付け)を見ている。下記参照。
http://eetimes.jp/article/22583/
この中の図面で感じること:
 分野別採択論分数 →デバイス単体からシステムソリューションに傾斜する流れがここでも。
 地域別採択論分数 →金融危機の影響がここにも。投稿論文数が11%減少とのこと。アジア勢が米国と肩を並べるまでに拡大、当然の流れとはいえ、改めての驚きも。国・地域の顔ぶれも非常に多彩に。ますます濃くなるグローバル色。
 組織別採択論分数 →首位のインテルはともかく、NTU、IMEC、KAISTなど研究機関、大学の健闘ぶりが目立つ感。

・技術内容については、やはりEETIMES JAPANの記事『ISSCC 2009にチップ積層技術の応用が続々、サムスン社は8GビットDRAMに適用』(11月26日付け)のみに注目。やはりデバイス単体に近いところが馴染みやすいのは、世代からくるということか。
 * Samsung Electronics  →4Gビットと8GビットのDRAMチップ
 * 東芝と米SanDisk社共同 →1セル当たり4ビットを格納する64GビットNAND型フラッシュ・メモリ
 * ISSCC 2009では、垂直積層技術を適用したチップが数多く発表される予定で、Samsung社の8GビットDRAMもその中の1つ。シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)の不良検出/修復技術について詳細を明らかにするとのこと。 
 * 米Intel社 →23億個ものトランジスタを集積した8コアのサーバー向けx86チップ
 * 次世代のSiP(System in Package)モジュールを実現する主要技術として高まる積層技術の重要性

これはまだまだごく一端でさらに豊富な新技術、新アプリ分野が紹介されると思うが、現状の低迷を吹き払うきっかけの場にと期待するところ大である。 


≪グローバル雑学王−21≫

言語のもつ深み、重みというものをますます随所に感じながら、

『言語世界地図』(著者 町田  健氏:新潮新書 266)

より抜書きで表わしている2回目である。

○ヨーロッパ 〜後半〜

◇ドイツ語 −日本では衰勢でも中欧の主役−
・大日本帝国憲法は、当時のドイツ憲法の精神に基づいて制定。高等教育もドイツの教育制度を取り入れ。
・ヨーロッパ各国で異なるドイツ語の呼び名 
 →ドイツ語を話す民族が中心となる統一国家形成がやっと19世紀になってから。
  ドイツ本国 …Deutsch
  英語    …German
  フランス語 …allemand
  スペイン語 …aleman
  イタリア語 …tedesco
・全世界でドイツ語を使用する人々の数は1億2千万人 
 →日本語を使用する人口とほぼ同じ
・戦後になっても圧倒的に多かった、大学で学ぶ第二外国語として選択されるドイツ語
 →近年は中国語に押されて、ドイツ語選択の学生が激減
・ドイツ語圏に多い重要な経済、文化の拠点 
 →歴史的にドイツ語が果たしてきた重要な貢献

◇ギリシャ語 −偉大なる言語の文明への貢献−
・最古の文献が、世界文学最大の古典の一つ 
 →ホメーロスの叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイアー』
・『新約聖書』は、最初からギリシャ語で書かれた。
・大きくは文語と口語に分かれる。
・古典ギリシャ語の特徴は、名詞や動詞が非常に複雑な活用をすること。
・口語のギリシャ語は「民衆語」と呼ばれ、文語に対しては低い位置にあったが、現在ではギリシャ共和国の公用語。

◇ルーマニア語 −「ローマ人の末裔」を誇りにEU入り−
・「ルーマニア」という国名、もともとは「ローマ人の国」という意味
・大部分はイタリア半島よりも西の地域に分布するロマンス諸語にあって、ルーマニア語だけはぽつんと孤島のようにロマンス語の砦を守っているかのよう。
 →スラブ支配の中、古代のラテン語からルーマニア語へという変化
・国内に約2千万、東のモルドバに約3百万の話者

◇セルビア語・クロアチア語 −国家とともに分裂した二つの言葉−
・「ユーゴスラビア」は「南スラブ人の国」という意。しかし同じ南スラブ人でありながら、セルビアとクロアチアはまさに不倶戴天の敵同士
 ⇒セルビア中心の政治体制をとっていた旧ユーゴスラビア建国当時からの対立
・「セルビア語」と「クロアチア語」は、実際に同じ一つの言語の方言と見なせるほど類似。
・分離独立したモンテネグロの「モンテネグロ語」 
 →言語としては、セルビア語、クロアチア語と変わるものではない。

◇ハンガリー語 −欧州東端に起源をもつ独自性−
・ハンガリー語は、フィンランド語やエストニア語と同じ仲間。
・本国内の話者は約1千万人、周辺諸国に3百万人以上。
・ハンガリー人はアジアに対する関心が深く、日本との貿易量は東欧では最大。

◇チェコ語・スロバキア語 −スロバキアが羨む隣国の威信−
・1993年にチェコとスロバキアの二つの共和国に分裂。
・チェコ語とスロバキア語は、異なった二つの言語と見なす必要がないほどよく似ている。
・チェコ語はスロバキア語に比べて高い威信。
 →スロバキアでチェコ語を解することは、通常の生活を送る上でいまだに必要な能力。
・スロバキアも独立後は順調な経済発展。

◇ポーランド語 −東欧ながら西欧の一員、言葉の文化移入−
・スラブ人の国でありながら、西ヨーロッパ諸国との文化的交流が盛ん。
・海外も含めると約4300万人の話者。
・ポーランド語はスラブ諸語の一員、名詞や動詞が複雑に活用。
・多いラテン語からの外来語 →msza(ミサ)

◇フィンランド語 −日本語にも近い「森と湖の国」の言葉−
・5百万の国民が使用するフィンランド語、「フィン・ウゴル諸語」と呼ばれる一派
・フィンランドは長い間統一国家をもたず、12世紀にはスウェーデンの支配下に。
・スウェーデン語はフィンランド語と並ぶ公用語、首都ヘルシンキの通りを示す標識はこの二言語で併記。
・「主語+動詞+目的語」が基本語順。「母音調和」と呼ばれる現象。

◇スカンジナビア諸語 −一つの言語とも見なせる諸語−
・スウェーデン語は、ノルウェー語、デンマーク語と酷似。
 →これら三つの言語、「スカンジナビア語」とでも呼ぶべき一つの言語と見なすことは十分に可能。
・「スキー」「スラローム」「モーグル」 →ノルウェー語
 「オンブズマン」「オングストローム」 →スウェーデン語

◇バルト三国 −言葉も三様、今や西側の最前線に−
・北からエストニア、ラトビア、リトアニアの順に位置。
・エストニア語         →「フィン・ウゴル諸語」
 ラトビア語とリトアニア語 →「バルト諸語」
・リトアニア語は、ヨーロッパ諸語の最も古い特徴を現在にまで残す珍しい言語。
・大相撲力士の把瑠都 …エストニア出身

◇ロシア語 −それでも二億を超す言語の使用者−
・現在でも2億5千万程度の使用者
・ベラルーシ語とウクライナ語とともに、東スラブ諸語を形成。キリル文字を使用。
・正教系の国    →キリル文字
 カトリック系の国 →ローマ字
・キリル文字 …ギリシャ語の福音書をスラブ語に翻訳するために、ギリシャ文字をもとにして9世紀頃に作られた文字
・ロシア語は名詞の活用が最も複雑な言語の一つ。

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