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8月半導体販売高/日本の「ものづくり」/グローバル雑学王−13

米国発の金融危機への対策の動きが進む中での米SIAからの8月の世界半導体販売高の発表である。コンシューマ市場と半導体/デバイス市場がますます密接に推移する中、双方見比べての事業展開がグローバルに加速されていく雰囲気を感じている。

≪8月半導体販売高≫

金融危機の渦中での米SIAからの今回の発表であり、対策の動きの時間軸の中に当てはめてみると次の通りである。

◇米下院委員会、金融安定化法案を発表。(9月29日付け NIKKEI NET)
→米下院金融サービス委員会が28日、金融安定化法案の全文を発表、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で住宅ローンや住宅ローン担保証券など金融機関の不良資産を買い取る旨。

◇NYダウ過去最大の下げ、777ドル安、金融安定化法案否決で。(9月30日付け NIKKEI NET)
→29日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均が、史上最大の下落幅を記録、成立が間近だと期待されていた金融安定化法案を米下院が否決、金融システム不安により景気悪化が深刻化しかねないとの危機感が強まった旨。

◇Semiconductor Industry Association Urges Passage of Economic Stabilization Legislation This Week(10月1日付け SIA Press Release)

→米SIAが本日、国家の金融危機に対する真の超党派的打開策を改めて作り上げるよう求める旨。

そして今回の以下、発表である。

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○8月の半導体販売高、前年比5.5%増…10月2日付けSIAプレスリリース

8月の世界半導体が$22.7 billionで、昨年2007年8月の$21.5 billionから5.5%伸びた。前月7月の$22.2 billionからは2.4%の伸びである。今年年初から8月までの販売高は$170.2 billionであり、2007年の同期間の$162.9 billionからは4.5%増大している。

「8月のグローバル半導体販売高は引き続き力強い。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「パソコンおよびcellular handsetsの売上げが、引き続き主な需要の牽引役になっている。DRAMsおよびNANDフラッシュメモリに対する価格圧力が続いて、業界全体の伸びを削いでいる。メモリ製品を除くと、業界の8月販売高は前年比11.4%増大している。年初からの累計販売高は昨年を4.5%上回っており、2008年4,3%の伸長というSIA mid-year予測に依然と沿った推移である。」とScalise氏は続ける。

最近のCredit Suisseレポートによると、2008年のPC販売数量は13%以上の増加が見込まれている。8月の販売数量は前年比9.1%増であり、7月からは若干の低迷である。cellular handsetsの世界販売数量は、特に新興市場において依然と力強いものがある。2008年のcellular handsetsの販売数量は、約10%の伸びが予測され、新興市場が最も力強い伸びとなっている。

「消費者購買が今や半導体販売高の半分以上を引っ張っており、消費者が経済に対して抱く信頼感が、グローバルな技術分野のsupply chain全体に非常に重要となる。したがって、米国金融システムの安定化に向けて議会が敏速に対応して動くことが肝要である。」とScalise氏は結んでいる。

※8月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/gsr_0808.pdf
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◇米金融安定化法が成立、大統領「信用収縮緩和に断固たる措置」。(10月4日付け NIKKEI NET)
→最大7000億ドル(約74兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取ることを柱とする金融安定化法が3日、成立した旨。米下院が同日、上院を通過済みの法案を賛成多数で可決したのを受け、米国発の金融危機の封じ込めへ、過去最大規模の税金を投入する金融対策が動き出す旨。

◇欧州共通の安全網検討、4カ国首脳、金融危機で、中小支援へ基金。
◇日米欧、一段の協調探る、10日にもG7会議。(10月5日付け NIKKEI NET)

SIAは今年の世界半導体販売高の伸びを去る6月時点の予測に沿うものと今のところ見ているが、このような世界経済の環境、そして第四四半期、10-12月のいろいろ曲折が取り沙汰される動きをしっかりと注視すべき状況と受け止めている。


≪日本の「ものづくり」≫

上記のような世界的な後退局面のこれ以上の蔓延は御免被りたいもの、ここは原点に戻って我々ならではの強みを発揮しなければという思いが湧いてくる中、以下の東レ経営研究所 増田 貴司氏の記事に注目、共感するところ多々ということで取り上げさせていただいている。

○『日本の「ものづくり」の底力は過小評価されている』(学士会会報 2008−V No.872)
   
・今の資本市場や世間一般の見方は、日本の「ものづくり」企業の競争力を過小評価しているように見える。

・2002年頃から日本の製造業が元気を取り戻しており、国内での工場立地件数も2003年以降、5年連続で増加している。

・少なくとも日本のものづくりは、絶えざる技術革新により進化を遂げてきたもの。昨今の「脱工業化論」には賛同できない。

・[棚ボタだけではない製造業の復活]
 過去数年の製造業の好業績の背景には、中国など新興工業国の高成長と為替レートの円安傾向という2つの外部要因があったことは事実。

・[日本のものづくり6つの強み]
 1) 厚みのある強い部材産業の集積
 2) 作り手と使い手の一体化
 3) 現場の課題解決能力
 4) 多能工の重視
 5) 組織の一体感と帰属意識
 6) ものづくりに楽しみを見出すメンタリティ

・他国企業と同じやり方では利潤は生まれない。日本人の特性、日本企業が持つ能力を活かして、グローバル市場で付加価値を創出することに注力すべき。

・[ものづくりの強み再構築に向けた取り組み]について。非正社員の増加に伴う組織の一体感の欠如、OJT(職業内訓練)の崩壊による現場の課題解決能力の低下、など現状の問題。対策がとられつつはある。

・日本のものづくりの特質や強さを説明し、世界に認めさせること。

我が国ならではのきめ細かさ、繊細さというものは、ハードのイメージが強い「ものづくり」に限らず、ソフトウェア、マーケティング、サービス、・・・すべてに、もっと強みとしてアピールする努力が必要ではないか、そういう思いがますます強くなる昨今である。


≪グローバル雑学王−13≫

本コーナー、"常識"から"色彩"に入って、あと数回は

『色彩の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 311)

から奥深いトンネルを手探りで進むことにする。ほとんどは仕事の出張の合間に目にしたことが多い欧米の聖書に関係する色彩の世界であるが、その原点、謂れに辿る着くと、もう少し知って見ていればと悔やむこと多々のところがある。

○聖書のなかの色彩地図

・パリのノートル・ダム大聖堂 ノートル・ダム=「我らの貴婦人」

[神が白い玉座に座っているのは]
・エデンの園より以前に、神は光を創造 →神はまぶしいほど白いというイメージ
・教会のなかにステンドグラスがつくりだす虹 →虹は、完全無欠の象徴とされることも
・聖書のなかに、神が具体的な色を人間に指示したところも。
 ⇒青、紫、赤、白、金の五色が、神が選んだ色
  →モーセの身のまわりでごく普通に、大切にされていた色
・聖母マリアのマントの青 →ラピスラズリ(Lapis lazuli:当時は金よりも貴重)を粉にひいた顔料
 聖母マリアを象徴する白ユリの花 →西洋では、伝統的に純潔と結びつき
・神が遣わしたウマの色: ヨハネの黙示録
 第一の封印 →白いウマ
 第二の封印 →赤いウマ
 第三の封印 →黒いウマ
 第四の封印 →青白いウマ

[クリスマスの色と起源]
・キリスト教国家の国旗に多い白と赤 ⇒キリスト教の真実、そして力の象徴
 クリスマスの色 ⇒赤と白、そして緑
・オランダ人がニューアムステルダムとして植民地を開いた現在のニューヨーク
 ⇒このときセント・ニコラウスの信仰も新大陸に
 ⇒セント・ニコラウス→スィンタークラース→サンタクロース
  キリスト・ミサ→クリスマス
・我々に馴染みのサンタクロース・スタイル ⇒意外にも、1931年のコカ・コーラの広告
・クリスマスを飾る植物、ポインセチア
 …1828年、メキシコからアメリカに持ち込まれた。
 …初代アメリカ大使としてメキシコに赴任したジョエル・ロバーツ・ポインセットの名前に因む。
・キリスト教の復活祭でのタマゴ登場
 …古くから人びとは、タマゴに新たな生命の誕生、生命の連鎖、再生復活のイメージ
  タマゴに塗る色 キリストの血、暁の太陽光の赤
             再生復活を繰り返す植物の緑
             永遠に輝く黄金の黄
             高貴な色とされた紫
・復活祭=イースターEaster …豊穣の女神、エストレEostreに由来

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