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6月の世界半導体販売高/市場実態PickUp/グローバル雑学王−57

現在の半導体市場状況について率直な受け止め方。新規投資は中国向けに動くホットなビジネスについてだけ。新しいものについては来年になるのではないか。装置ビジネスもまだほとんど動かない現状。これが大方の感じ方と思うが、米SIAからの6月および今年上半期の世界半導体販売高が以下の通り前年同期比ではまだ大きく下回っており、経済危機の前の水準にどう戻していくかにかかる今後の動きということと感じている。

≪6月の世界半導体販売高≫

今年前半を振り返って、そして恒例の6月の世界半導体販売高について、米SIAからの発表より次の通りである。

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○第二四半期半導体販売高、前四半期比17%増加…8月3日付けSIAプレスリリース

2009年第二四半期の世界半導体販売高が$51.7 billionで、第一四半期の$44.2 billionから17%増加した、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。この第二四半期販売高は、前年2008年の同期に記録した$64.7 billionからは20%減少している。6月の世界販売高は$17.2 billionで、前月5月の$16.6 billionからは3.7%増加しているが、2008年6月の$21.6 billionからは20%の減少である。今年2009年の累積販売高は$95.9 billionとなり、2008年の同期、すなわち始め6ヶ月の累積の$127.5 billionを25%下回っている。これら月次販売高の数値はすべて、グローバル半導体販売高の3ヶ月移動平均である。

「4か月連続で販売高が伸びているのは、我々の業界が正常な季節的伸長パターンに戻っていることを1つとして表わしている。」とSIA President、George Scalise氏は言う。同氏は、生産者および顧客の両方がsupply chain managementに重きを置いたことが業界に対するグローバル経済不況のインパクトを穏やかにする助けになっている、と言う。「在庫はしっかりと管理されており、四半期販売高がこのように増加しているのは需要が次第に回復していることと我々に確信させている。」

業界アナリストが最近、鍵となる重要牽引役について予測が楽観的になってきている、とScalise氏は言及している。「PCs販売数量の見積もりコンセンサスが今や2008年比5%減からフラットの範囲であるが、以前は9%から12%の減少という見通しであった。cell phone handsetsでは、以前の約15%減少という予測に対し、現在は7%から9%の数量の減少とアナリストは現在見ている。PCsとcell phonesは、世界半導体消費の約60%を占めている。」とScalise氏は言う。

consumer製品の購入に対するインセンティブおよび3G/TDSCDMA通信インフラへの投資など、中国における経済刺激策は、その世界最大の半導体市場における半導体販売の促進に役立ってきている。

「グローバルなマクロ経済環境が、半導体業界回復の時期および早さを決定づける上で依然重要な要因である。」とScalise氏は締め括った。

※6月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_0906.pdf
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販売高(3ヶ月平均)の前年比を取り出してみると、
 6月             20%減
 第二四半期(4-6月)  20%減
 今年前半(1-6月)    25%減
となり、這い上がる谷の深さと緩やかながら必死に挽回を図っている現状を反映していると思う。次のコーナーに出てくるパソコン需要がそうであるが、在庫調整による補充が一段落してからの末端市場の実需の動向に今後がかかってくるという受け止めである。

世界半導体販売高の地域別、3ヶ月区切りの見方で、前回ただ一人マイナス伸長となっていた我が日本が、今回やっとプラスに、それも比較的大きく戻している。今後に期待、注目である。

市場地域1- 3月平均4- 6月平均change
Americas2.602.9111.8
Europe2.192.200.5
Japan2.532.9817.9
Asia Pacific7.429.1423.2
$14.74 B$17.24 B16.9 %


≪市場実態PickUp≫

半導体設備投資が$1B(約1000億円)を超えるプレーヤーは何社か、これはもう10年を優に超える業界の注目パラメータと言えると思うが、今年はカウント史上最少の3社になりそうとのこと。

【半導体設備投資】

◇'Billion-dollar capex club' smallest in a decade(8月6日付け EE Times)
→IC Insights社発。2009年の半導体設備投資が$1Bを越えそうなのは僅か3社に(Intel社, Samsung Electronics Co. Ltd.およびTSMC)、ここ10年以上で最も少ない"billion-dollar capex club"になっている旨。その推移、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/table_full_080609.gif

全体が如何に戻していくか、慎重な見方になっている。

◇Semiconductor production equipment capex to grow 33% in 2010(8月6日付け ElectronicsWeekly.com)
→SEMI発。2010年の半導体生産装置capexが33%増の$31Bの見込み、2009年の$23B(2008年比43%減、2007年のピーク比60%減)に続く旨。

パソコン市場について、現時点は在庫調整が大半で、末端実需の回復と言える段階には戻っていない、という見方である。

【PC出荷】

◇Intel seen driving PC processor sector in Q2 (8月6日付け EE Times)
→IDC発。第二四半期のグローバルPC MPU出荷の伸びの大半はIntelが引っ張り、また、この伸びはPCsの需要というよりも在庫調整が大きく効いている旨。

◇Intel sales push Q2 MPU market rebound, but uncertainty remains for Q3-IDC reports that Intel helped drive an unusual sequential rise in PC processor unit shipments in Q2, but that ODMs and OEMs have to balance out their inventories before the MPU market can be considered to be in recovery.(8月6日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IDC、今朝リリース・レポート。第二四半期の世界PC MPU出荷は増加したが、PCsの著しい末端需要が戻るまでには至っていない旨。
 出荷数量:     第一四半期   第二四半期
  前四半期比    10.9%減     10.1%増
  前年同期比            7%減
 市場売上げ:    第一四半期  第二四半期
  前四半期比    11%減      7.9%増
  前年同期比           15.3%減

DRAMなど汎用コンポーネント部品の価格動向の見方にも、このようなパソコンの見方が勢い反映してくると思う。現時点は、DDR3 SDRAMの不足が束の間の上昇を引き起こしている。

【commodityコンポーネント価格】

◇Component prices to rise in Q3, but decline in Q4-"Overall component pricing is being heavily impacted by price hikes for DRAM, spurred by a shortage of DDR3 parts," said Eric Pratt, iSuppli's VP of pricing and competitive analysis.(8月4日付け Electronics Design, Strategy, News)
→下記の推移&予測。


2008年Q4 2009年Q1  Q2  Q3  Q4  2010年Q1  Q2 
8.4%減 9.2%減  5%減  2.3%増  0.2%減  3.1%減  1.5%減 

中国のIC消費市場への期待は高まる一途であるが、今後について以下の見方である。2013年には世界市場の1/3を超えるという凄まじい伸長を見通している。  

【中国IC市場】

◇China expected to make up 35% of total IC market in 2013-IC Insights believes that Asia-Pacific IC market growth will continue to significantly outpace total IC market growth for at least the next five years.(8月5日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IC Insights発。中国のIC市場が、2013年には$100.1Bに達し、その世界IC市場シェアが、2003年の14%から35%を占めるようになる、と見る旨。
中国のIC市場シェア推移&予測、下記参照。
http://www.edn.com/articles/images/ENEWS/20090805/6674856_img.jpg
 

≪グローバル雑学王−57≫

燃えたぎる青春、高校野球の熱戦が始まっているが、8月に入って早々の次の記事に、我が燃えたぎった青春を思い起こしている。

※青春よ再び、中津川フォークジャンボリー38年ぶり復活
1969〜71年に岐阜県中津川市(旧坂下町)で開かれ、「中津川フォークジャンボリー」の通称で知られるフォーク音楽の祭典が1日、当時の地元スタッフの手で同じ場所で38年ぶりに復活し、歌手も聴衆も第1回から40周年を祝う同窓会のように楽しんだ。

このフォークは我々世代には非常に大きなインパクトとなったが、これを世界各地、いろいろな世代で見るとどうなるのであろうか。    

『音楽がわかる世界地図 −今と過去、世界各地の音楽・楽器・ミュージシャンが一冊でわかる!』(世界の音楽編集部 編)  …2007年7月 第三刷

より、今までメディアから、あるいは世界を旅して、目に耳に入ってきている様々な音楽のルーツに、僅かでも接したく思う。


Part.1 地図でみる世界の音楽

≪あの音楽はここで生まれた! …前編…≫

【アメリカ東海岸】

[ロカビリー(rockabilly)] − テネシー州メンフィス 
…エルヴィス・プレスリーを筆頭に、メンフィスのサン・レコードが売り出した一連のスター歌手たちによって広まった、カントリー色の濃いロックンロール・スタイル。

[モダン・ジャズ(Modern Jazz)] − ニューヨーク
…チャーリー・パーカー(Charles Parker Jr.)やディジーガレスピーらによって1940年代に創造されたビ・バップを基調に、高度な音楽的発展を遂げた。即興演奏を主眼とした20世紀を代表する音楽形態。

[シカゴ・ブルース(Chicago blues)] − シカゴ
…南部から黒人労働者が大挙して移住したシカゴで、1940年代後半から発展したエレクトリック・ブルース・スタイル。伝統的なブルースを電気増幅した、荒々しい攻撃的な演奏スタイルが看板。

[ゴスペル(Gospel music)] − アメリカ南部全域
…アメリカ黒人音楽にとって最も原初的な形態、ニグロ・スピリチュアル(黒人霊歌)。教会での集会などで歌われ、同時に仲間の暗号としても使用され、奴隷解放以降ゴスペルへと移行した。

[ケイジャン(Cajun Music)/ザディコ(Zydeco)] − ルイジアナ州南西部
…ケイジャンは18世紀後半、イギリスによって追放されたカナダ東部のフランス系移民が、ルイジアナ南西部に定住して伝わったダンス音楽。近隣の黒人コミュニティにも伝わり、ブルースやR&Bを取り入れたザディコが誕生する。

[サルサ(salsa)] − ニューヨーク
…ニューヨークのヒスパニック系移民、特にプエルトリカンを中心として1960年代に発生し、1970年代にブレイクしたラテンアメリカ音楽。
サルサ…香辛料や各種食材が入り交じったソース

[サザン・ソウル(southern soul)] − テネシー州メンフィス
…メンフィスで設立されたスタックス・レコードを大手アトランティックが配給したことで、1960年代半ばに全盛を迎えた、タイトでソリッドなサウンドをもつ南部型のR&B。

[ラグタイム(ragtime)] − アメリカ全土
…19世紀末から20世紀初頭にかけて、全米で大流行した軽音楽。酒場のダンス伴奏のためのピアノ音楽が起源と言われ、黒人音楽の色彩が強い。

[モータウン・サウンド(Motown Sound)] − デトロイト
…黒人R&B/ソウルを1960年代の一般の聴き手に広く浸透させたレーベル、モータウンの音楽。…ダイアナ・ロス、スティーヴィー・ワンダーなど

[フォーク・ミュージック(Folk Music)] − ニューヨーク
…元来は民謡やブルースを復興すべく、都市の知識人層や若者の間に起こったムーブメントで、ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジがその中心地。1950年代後半から1960年代前半にかけて全盛期を迎え、全米・世界へと広まった。
…ボブ・ディラン

[カントリー(Country Music)] − テネシー州ナッシュヴィル
…当初はヒルビリーと呼ばれ、やがてカントリー&ウェスタン、カントリー・ミュージックと呼び名が変わるうち、大発展を遂げたアメリカの白人大衆音楽。

[デルタ・ブルース(The Delta blues)] − ミシシッピ州
…黒人の苛酷な生活環境を背景に生まれた、基本的に12小節、AAB形式の音楽。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ミシシッピ・デルタ地域を中心に形成されたとされる。

[ニューオーリンズ・ジャズ(New Orleans Jazz) (ディキシーランド・ジャズ(Dixieland Jass) )] − ニューオーリンズ
…フランス系ブラス・バンドに黒人が参加し、特有のアクセントが加味されて作り出されたジャズの原点的音楽。
…ルイ・アームストロング

[ブルーグラス(Bluegrass music)] − ケンタッキー州
…バンジョー、フィドル、マンドリン、ギターなどで編成された米南部ストリング・バンド音楽を洗練・発展させた、高度な演奏技巧を伴うアコースティック音楽。

[リズム&ブルース(R&B:rhythm and blues)] − ニューヨーク
…ジャズやブルースから派生し、より広い大衆へ向けたポピュラー音楽へと進化していった黒人音楽。
…レイ・チャールズ

[ドゥーワップ(doo-wop)] − ニューヨーク
…R&Bの中の1ジャンルにも数えられるコーラス・スタイル。基盤は、ゴスペル・コーラスとポピュラー・コーラス、R&Bの折衷。

[ヒップホップ(hip hop)] − ニューヨーク 
…1980年代に起こった、新世代によるソウル・ミュージックの発展形の総称。都市の黒人ストリート・カルチャーが一躍脚光を浴びる。

【アメリカ西海岸】

[サーフ・ミュージック(surf music)] − 南カリフォルニア太平洋沿岸
…1950年代後期から西海岸でサーフィン・ブームが起こり、サーファーたちのパーティ・ミュージックが求められて登場したサウンド。
…ビーチ・ボーイズ

[ハリウッド・ミュージカル(Hollywood musical)] − ロサンゼルス/ハリウッド
…トーキー映画が発明され、ブロードウェイ・ミュージカルがハリウッドで次々映画化。
…ビング・クロスビー

[ウェスト・コースト・ロック(West Coast Rock)] − カリフォルニア州全域
…1970年前後から急速に隆盛した、カリフォルニア産のロックやシンガー・ソングライターの音楽の日本での総称。

[ウェスタン・スウィング(Western Swing)] − テキサス州/オクラホマ州
…スウィング・ジャズ全盛期からやや遅れ、1930年代後期〜1940年代に大流行したスウィング色の濃いカントリー音楽。

[グランジ・ロック(grunge rock)] − シアトル
…シアトルのアンダーグラウンド・シーンではぐくまれ1990年代初めに世界に広まる。ラウドなサウンドと虚無的な歌詞が特徴。

[フォーク・ロック(Folk Rock)] − ロサンゼルス
…1965年に大ヒット、「ミスター・タンブリン・マン」のエレクトリック・アレンジが始まり。

[スワンプ・ロック(swamp rock] − ロサンゼルス
…ロスで活動する南部出身のミュージシャンが、1960年代末に打ち出した南部色の濃いロック。

[テックス・メックス(Tex-Mex)] − テキサス州全域
…メキシコ人の多く居住するテキサスで発展した、テキサス・カラーのメキシコ/ラテン系音楽。

[サイケデリック・ロック(Psychedelic rock)] − サンフランシスコ
…1960年代半ば、サンフランシスコで生まれた、ヒッピー思想と密接に関わったトリップ音楽。

[バーバンク・サウンド(Burbank Sound)] − カリフォルニア州バーバンク
…バーバンクにあるワーナー・ブラザースのレコード部門が、1960年代後期から1970年代にかけて打ち出した新感覚のポップ音楽。

[ハワイアン(Hawaiian)] − ハワイ
…ポリネシア民謡の流れにある伝統音楽から、アメリカのジャズやポピュラー音楽の影響を受けたもの。多様な音楽が独特の鷹揚な南国気質の中で育まれてきた。

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