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5月半導体販売高/中国と台湾の交流の深まり/当世追っかけ2点

折りしも洞爺湖サミット開催が間近の今、もはや先進国のみならず世界経済全体が引っ張る様相という半導体販売高、そして週末直行便の運航開始が大きな一端となる中国と台湾の交流の深まり、など注目しています。

≪5月半導体販売高≫

1-4月の世界半導体販売高は前年同期比4.3%の増加となっていたのが、1-5月では5.3%増と盛り返している。米国では税金払い戻し効果による意外な堅調ぶり、対して欧州ではユーロ高による実質的なマイナスインパクトが取り沙汰されているようであるが、Scaliseさんの以下のコメントにあるように、半導体業界は先進国市場がリードするフェーズから世界経済全体が引っ張る形に変わってきている状況というものが月を追うごとにますます鮮明に感じられてくる。

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○5月の世界半導体販売高、前年比7.5%増−前月4月からは2.8%増−…6月30日付けSIAプレスリリース

5月の世界半導体販売高は$21.8 billionで、2007年5月の$20.3 billionを7.5%上回った、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。5月の販売高は2008年4月の$21.2 billionより2.8%増えている。年初来の販売高は$103.4 billionであり、2007年の始め5ヶ月についての$98.2 billionを5.3%上回っている。メモリ製品を除く半導体販売高全体は、前年比12.3%、前月比2.5%、それぞれ上回っている。5月は半導体販売高が歴史的に比較的力強い月である、とSIAは特に言及している。

「5月のグローバル半導体販売高は健全な伸び率であり、consumer electronic製品の力強い売れ行きが続いていることを反映している。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「米国で消費者信頼感が低下と報ぜられているにも拘らず、可処分所得および消費者出費がともに5月は増えている。多数の米国人への税払い戻しchecksが、消費者出費が増えた要因のようだ。」

「中国、南アメリカおよびインドなど新興途上市場でのconsumer electronic製品の売れ行きの伸びが、半導体販売高を引っ張り上げる大きな要因になってきている。」とScalise氏は続ける。「consumersが世界半導体販売高全部の半分以上を占めている。過去は米国が最大のconsumer市場であり、需要を主に引っ張っていた。今日この国米国はconsumer需要全体の1/4以下となっている。」とScalise氏が特に言及する。先進国市場だけよりむしろ世界経済に影響を与える要因が、業界に対しますます重要になっている。エネルギー価格の急上昇が懸念の拡がりを起こしているが、JPMorganによると、開発途上国、特にアジア諸国がOPEC諸国家との貿易増で恩恵を被っており、順次consumer市場拡大の助けになっているという貿易の流れである。

「最近まで米国はPC販売数量の約31%を占めていた。今日、新興途上市場でのconsumer基盤が伸びて、米国はPC販売数量の約21%となっている。5年前、米国は携帯電話販売数量の21%を占めていたが、2008年は13%となるであろう。」

Scalise氏によると、需要パターンのシフトが半導体業界にとって大きな意味合いをもっている。「electronic製品に対する米国消費者出費は低迷していないが、今日の米国での不況は過去にそうであったのと同じインパクトはないであろう。」とScalise氏は言う。「他の地域で3億人以上の消費者が加わって、世界のmicrochip業界にとっては新たなopportunitiesが作り出されており、市場がさらに多様化して半導体販売高の増加が引っ張られている。」

メモリ半導体の数量需要は引き続き力強い。Micronは、平均的なパソコンのDRAMビットcontentが2008年に約50%ほど伸びてほとんど2.0 GB /boxになると見積もっている。Credit Suisseによると、DRAM capacityについてのcapital expendituresは2008年は幾分鈍化して、今年の末までには供給と需要が均衡していくという。DRAM販売高は前月比6.4%増えたが、2007年5月からは20%以上減少している。

NANDフラッシュにおいては、2008年の全体ビット出荷が少なくとも135%伸びて、年末までに供給と需要が均衡に近づく、とCredit Suisseは見積もっている。NANDフラッシュの販売高は前月比1.4%、2007年5月からは25.5%伸びている。

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/downloads/gsr_0805.pdf
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≪中国と台湾の交流の深まり≫

台湾の政権交代から中国との関係融和が律速テンポにあると聞いていたが、週末直行便の運航開始は一体全体どんな変化がもたらされるか、半導体・デバイス業界にとっても期待感の大きい注目である。以下、いくつか抜き出しである。

□中国・台湾:週末直行便の運航開始、台湾観光も事実上解禁。(7月4日付け 毎日)
・中国と台湾を結ぶ週末を中心とした直行チャーター航空便の運航(金〜月曜日)が4日始まった。恒常的な航空便の往来は1949年の中台分断後初めてで、関係緊密化の流れは新たな段階に入った。就航に合わせて中国からの台湾観光も事実上解禁され、中台の相互依存が一層進むものとみられる。
・5月に発足した台湾の馬英九(マーインチウ)政権は中台交流の拡大による自国経済の振興を掲げ、9年ぶりに再開した先月6月の中台対話で、週末チャーター便を運航させることで双方が合意していた。
・運航は当面、中国側が北京、上海など5空港、台湾側が台北市内の松山空港など8空港を開放し、中台合わせて4日間で36往復する。今回から外国人の搭乗も可能となる。
・中台間のチャーター便の乗り入れは2003年の春節(旧正月)から香港などの経由便で始まり、その後、中台共通の祝日などに限定して直行便も運航。
週末便の就航で100万人以上ともいわれる中国に在住する台湾人ビジネスマンなどの利用が見込まれ、中台間の往来がさらに活発になる。

◇中台直行便が離陸 中国人観光客も解禁 (7月4日付け 朝日・夕刊)
・中台を直行で結ぶ週末チャーター便が4日朝、台湾の桃園国際空港や中国の北京、上海などから相次いで飛び立った。
・台湾の馬英九政権誕生後に始まった中台の雪解けを一層高めるとの期待。

◇台湾、直行便特需を期待: 移動2時間半に短縮: 中台間週末飛行スタート (7月5日付け 朝日)
・午前7時半、台湾・桃園国際空港を離陸した台湾発第1便の中華航空機が上海・浦東空港に着いたのは午前10時過ぎ。これまでは香港乗換えで6-7時間、「隔世の感」。
・「両岸(中台)1日経済圏の誕生」(台湾メディア)
・中国では台湾を「宝島」と呼ぶ。
・中国観光客の台湾への経済効果、年間約700億円の試算。直行便で台湾企業は出張費や物流コスト節約との見方。
・中国が1979年に提案した「三通…直接の通商、通信、通航」の完全実現に近づく。

◇上海で台湾旅行予約殺到  (7月5日付け 最新中国情報)
 上海で台湾旅行への予約が殺到しており、その倍率は10倍になっている。
 約半数が、50歳から70歳代の中高年者。

まさに「三通」の急展開によるうねりが肌身に伝わってくる感じがある。なにしろ規模が違う変化の話であり、一層である。このような変化・変動の一端でもあるのか、半導体業界でも台湾メーカーの中国での工場建設について緩和のムードが見られるようである。

◇Taiwan to allow investment in China's 300mm-wafer fabs, legitimize HeJian(6月27日付け Xinhua Financial Network News)
→United Daily News発。台湾・Ministry of Economic Affairsが、中国に300-mmウェーハfab工場を設立したり、あるいはそのようなfacilitiesを買収して、中国でより先端の90-nm技術を採用することを認可する用意がある旨。
ある当局officialの弁として、正式発表は8月末の見込みの旨。
現在、台湾の半導体メーカーは中国では、200-mmウェーハ工場の建設および0.18μmまでの技術の使用が認められている旨。

中国での半導体の萌芽期というと、小生は北京の大学を中心とした中関村がキーワードとして思い浮かんでくる。その中関村も下記の通り20周年を迎えたとのこと。ここでも一つの節目を感じるものがある。

◇北京中関村、20周年パーティを開催。(7月4日付け 新華通信ネットジャパン)
→北京中関村科技パーク海淀園管理委員会が3日、パーク内の60あまりのハイテク企業のために集団誕生パーティを開催、中国最初の国家クラスハイテクパークの20周年を祝った旨。


≪当世追っかけ2点≫

ICT(Information and Communication Technology)業界の動きで注目した2点である。取り残されないよう、知識の断片に取りすがっている様相がある。

◎「ダビング10」
・日本のデジタルテレビ放送の著作権保護のためのしくみの1つで、2008年7月4日から地上波デジタルテレビ放送での運用が開始された。総務省の情報通信審議会で提案されたデジタル放送の私的利用に関する運用ルールに対してJEITAが定めた統一呼称である。
・新しいデジタルテレビ放送では従来のアナログ方式に比べて画質の劣化が無いために受信者によるデジタルコピーを際限なく許せば映画などのDVD販売等に影響する事が予想されたため、日本ではデジタルテレビ放送の開始時点でかなり厳しいコピー・ワンス規定を採用してきた。テレビ視聴者の利便性を損ねるコピー・ワンス規定を緩める要望が強くありテレビ放送や映画産業といった著作権者の権利保護とテレビ視聴者の利便性向上という相反する条件での双方の妥協の結果、9回までのコピーを認めるという選択肢が増えた。ダビング10実施後も、著作権者側が望めばコピー・ワンスによる放送が従来通り行なわれている。
[出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』]

解禁後すぐにソフトの更新不具合事例もあったようであるが、著作権に絡む取り扱いの難しさを感じるとともに、顧客・ユーザ満足との両立・バランスをよく考えることと思う。

◎「リムーバブル(Removable)メモリカード」

これは別に新しい部類ではないと思うが、次のように携帯電話の世界でここまできているのかという感じ方である。

◇Removable memory card market on the move (7月3日付け EE Times)
→Strategy Analytics発。removableメモリカードスロット付き電話の出荷数量が向こう5年にわたり年平均13%で伸びて、2011年には10.4億台に達すると見る旨。2007年は世界で5.92億台出荷されており、携帯電話出荷全体の53%を占めている旨。

このコーナー、この調子だと毎回必要になるのではという危惧がある。

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