Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

3-D ICsとPV装置/市場実態PickUp/グローバル雑学王−53

半導体業界も昨年後半から今年の第一四半期にかけての落ち込みがあまりに大きかったためか、第二四半期の前四半期比増加率が大きく見えている現時点かと思う。世界各社の業績にもそれが表れているし、国内半導体メーカーも元の勤務体制に戻すというニュース報道が出たばかりである。しかし昨年前半の水準になるには遠い道程の感、市場が本当に求める新たな機軸の打ち出しが並行して展開しなければ、という感じ方が増してくる。

≪3-D ICsとPV装置≫

このような昨年の今頃とは急転した市場環境のもとで、恒例の「Semicon West」(7月14-16日:San Francisco)を控えた関連記事に注目している。新しい機軸材料となると、MEMSベースaccelerometers, LED、それから今回見る範囲の記事に数多く取り上げられていると感じたのが、"三次元半導体"と"photovoltaic製造装置"である。

今回の「Semicon West」、全般的な関心項目ベスト10として以下が挙げられている。

◇Semicon preview: Top challenges facing the industry(7月7日付け EE Times)
→今年のSemicon West tradeshow(San Francisco)、該業界がいくつかの立ちはだかる問題に直面する厳しいタイミングでの開催、以下EE Timesが注目するpreview項目。
 1. It's the economy stupid
 2. Who will hang in?
 3. Where are the parties?
 4. Semicon West follows the East
 5. Solar boom or bust?
 6. The sun also rises at Applied
 7. ASML runs away from the litho pack
 8. Fuzzy patterns
 9. 450- and 300-mm fab grab
10. Get out your 3-D glasses

最後に出てくる"三次元半導体"については、次のコメントが付されている。

※今までのところ、TSV(Through Silicon Via:貫通電極)は中身があるというより誇大な広告できている。東芝はイメージセンサを作るのにTSVsを用い、Allviaは該技術に基づくデバイスを作っているとしている。IBM、インテル、サムスンなどがTSVsに基づく3-Dデバイスの話をしてきている。

これ以上言うことはない。TSVロードマップは引き続き先延ばしされている。やるより言うは易し。コストが最大の問題である。TSVベースのデバイスが大量消費市場に向けてコスト効率が良いとだれも示していない。

それでもなお、装置メーカーがTSV市場に殺到している。Gartner社によると、TSVベース装置事業は2013年までに$1.2 billionに達すると見ている。最近のプレゼンで、Gartnerのアナリスト、Jim Walker氏がTSVsに纏わる主要課題のいくつかを挙げている。
 1.EDA   
 −EDA業界はなお、”もっと高速な設計&検証方法を開発する”必要がある。
 2.製造   
 −「だれがTSV作業をやるのか?」 TSV生産でIDMs、ファウンドリーあるいはサブコンが支配的な役割を果たすのか、明らかでない。だれもが欲しがっており、たぶん三者みんなやるのだろう。
 3.Supply chainおよびロジスティクス   
 −TSV時代となるには、”ロジスティクス改善”が必要である。 ※

いろいろ言うこと、やることがあってこその注目、関心技術ということと思うが、該技術についての業界としての進捗報告として次が見られる。

◇SEMI Releases White Paper on 3D Integration Development Status(7月7日付け Semiconductor International)
→SEMIが、Through Silicon Via(TSV)開発など3D IC integration技術の急速な進展についてのwhite paper、"3D Integration: An Industry Progress Report"のリリースを発表の旨。

本格的な実用化、ビジネス化のアピールも出始めている。

◇ST-Ericsson Taking 3-D to Mobile Phones-ST-Ericsson has a roadmap for commercial wireless products that includes what could be the first true 3-D ICs using TSVs. The memory-logic stack also will move to 3-D interconnects, driven by "the increased bandwidth required by the final application," said Yan Guillou, an ST-Ericsson manager.(7月9日付け Semiconductor International)
→先月のEuropean Microelectronics & Packaging Conference(EMPC)(Rimini, Italy)にて、ST-Ericsson(Geneva)のwireless multimedia division、senior managerのYan Guillou氏が、携帯電話応用に向けた3-D技術の優位性を概説、同社は該アプローチを開拓、TSV-enabled CMOSイメージセンサはフル生産にあり、さらなる3-D integrationを計画している旨。

上記のベスト10項目に2つ、"sun"の文字が窺える"photovoltaic製造装置"である。そのサプライヤ・ランキングは、2008年がフルの初年度になるとのこと、以下のデータ内容である。各国政府の市場モチベーション策が進んでいる欧州勢の席巻ぶりに改めて注目である。

◇Applied jumps to top of solar equipment rankings(7月9日付け EE Times)
→VLSI Research社発。photovoltaic(PV)製造装置市場の最初となるfull year、2008年のサプライヤ・ランキングで、Applied Materials社が急伸、トップの旨。ランキング、下記参照。政府の支援を受けて、欧州メーカーがトップ10の7社を占める旨。ランキング、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2009/table1_070909.gif

終わったばかりのイタリアでのサミットでも、環境政策の確認が成されており、新たな機軸のいずれにも立ち塞がる『壁』は引き続き徐々に取り除かれていく宿命にあるとは思う。現下でも以下の動きである。

◇Solar inverter factory pioneers clean manufacturing(7月10日付け EE Times)
→SMA Solar Technology AGが、18,000m2 solar inverter factory(Kassel, Germany)の開所式、年間生産capacityが最大4GW、今までこの種の最大規模、またcarbon neutral産業生産の考え方の先駆けとなっている旨。


≪市場実態PickUp≫

ここでは生々しい市場実態を追っている。試練の克服を積み重ねて、フィードバック改善。この変わらない活動の継続があってこそ、市場の好転、拡大には王道なし、ということと改めて受け止めている。

まずは、ドイツInfineonの事業売却に関係する動きである。

【Infineonのwireline事業売却】

◇Infineon sells wireline group to private equity firm(7月7日付け EE Times)
→Infineon Technologies AGが、同社wireline communications operationを、米国private equity firm、Golden Gate Capitalに、250Mユーロ($350M)で売却の旨。

◇Infineon sells wireline communications business for $347M-The company says the wireline transaction "will significantly improve" its financial situation and allow it to focus its resources on its remaining four segments: automotive, industrial and multimarket, chipcard and security, and wireless solutions.(7月8日付け Electronics Design, Strategy, News)

◇Infineon's former wireline group goes fabless(7月8日付け EE Times)
→投資家、Golden Gate Capitalに売却のInfineonのwireline事業は、市場ではファブレス半導体会社として活動する旨。

◇Infineon plans share issue to raise $1 billion(7月10日付け EE Times)
→wireline事業売却を発表してほんの数日、Infineonが、Apollo Global Management LLCからの$1Bの追加資本注入(337 million株までの発行)を行う計画を発表の旨。

◇Analysis: Infineon's future lies in the dark ? more than ever(7月10日付け EE Times)
→Apollo Global Management LLCの投資筋の中にAbu Dhabi Investment Authorityがあり、これは最近AMDに資本注入、GlobalFoundryのスピンオフを助けた同じグループの旨。大きな問題は、ApolloがInfineonの組織構造およびビジネス決定をコントロールする影響力を如何に使えるか、である旨。

ロシアの半導体導入にも経済不況の波が影響している様相である。

【ロシアの300-mm fab】

◇Is Russia's Sitronics backing away from fab plans?(7月9日付け EE Times)
→300-mm, 65- to 45-nm fab建設計画を話したのが昨年のこと、JSC Sitronics(Moscow)が木曜9日、Russian Corp. of Nanotechnologies(Rusnano)と共同で90-nm半導体fab建設を開始する意向を発表の旨。

◇Russia's Sitronics delays 300-mm fab project(7月10日付け EE Times)
→不況を引き合いに、ロシアのJSC Sitronics(Moscow)が、300-mm fabプロジェクトを遅らせる旨。

歩留り問題について、引き続き以下の記事内容である。ここでも不況の影響をつい感じてしまうところがあるが、稼働率を落とした後の製造ラインの復旧に絡む局面を思い起こしている。  

【歩留り問題】

◇Xilinx mum on supply glitch as speculation swirls(7月6日付け EE Times)
→Xilinx社が、6月四半期見通し下方修正の原因である供給問題について口を閉ざしているが、UMCでの65-nm歩留り問題に関連すると憶測する向きがある旨。

◇Xilinx Virtex-5 supply issue caused by 65nm yield problems at UMC,say sources (7月6日付け DIGITIMES)
→業界筋発。UMCが、65-nmプロセスでのyield問題を抱えており、大手FPGAカスタマー、Xilinxへの供給が乱れている旨。

◇UMC denies 65-nm yield issues-Foundry blames tight capacity for 'isolated' customer supply requirements(7月7日付け EE Times)
→UMCが火曜7日、65-nmについての歩留り問題の報道を否定、カスタマー要求に合わせる上でのいくつかの単発的な問題で、カスタマーの急激な受注がcapacityを締める結果になった旨。

◇SemiSerious Blog: Getting to the bottom of TSMC's 40-nm issues(7月7日付け EE Times)
→Semiconductor InsightsのDon Scansen氏。TSMCの最先端40-nmプロセスで作ったGPUsの歩留りが恐ろしく低いと最近よく出てくる話について真相を究明の旨。原因として次の4つに絞り込めると見る旨。
 ・Introduction of e-SiGe source/drains
 ・Mechanical stability (or lack thereof) of the low-k interconnect stack
 ・Particle control
 ・Via fences

本当に四方八方厳しい壁に覆われている現実を感じざるを得ないが、今後の市場展開をどう見るか、やはり硬軟いろいろあって、なかなか焦点が絞れない状況のようである。

【半導体市場の見方】

◇IC recovery: 10 reasons to be optimistic, pessimistic(7月6日付け EE Times)
→2009年後半のIC市場はどうか?強気の向き、弱気の向き、両方あり、それぞれだが、楽観的、悲観的、アナリスト連の見方について。

◇Analyst: IC makers creating artificial shortages, price hikes(7月6日付け EE Times)
→FBR Capital Marketsのアナリスト、Craig Berger氏。半導体メーカーが、2009年後半のIC価格上昇を図ろうと、殊更供給不足を起こしていると見る旨。

◇Analyst ups 2009 chip sales forecast again (7月7日付け EE Times)
→半導体市場statistician、Mike Cowan氏。2009年グローバル半導体販売高予測、前回$192.5Bから、今回$196.2Bと見る旨。これでは前年比21.1%の市場減少となる旨。

◇ISuppli cuts forecasts for ICs, electronics (7月8日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)の最新予測。次の変遷の旨。
 グローバル半導体売上げ:
  2008年        $258.5B
  2009年-4月以前             9.4%減
  2009年-4月時点            21.5%減
  2009年-今回     $198.9B     23%減
 electronic機器売上げ
  2009年-前回               7.6%減
  2009年-今回     $1.38 trillion  9.8%減

◇Report: Q2 chip sales up 16% from Q1-Veteran analyst sees 'extremely positive' developments(7月10日付け EE Times)
→IC Insights(Scottsdale, Ariz.)のIC市場の見方。
      2Q/08   4Q/08  1Q/09  2Q/09
      $57.3B         $45.4B
 前Q比        26%減  14%減  16%増
                     ↓
                    過去25年で4番目の伸び率

直接的な指標の各社業績であるが、三星電子が7月下旬の業績発表を控えて異例の事前リリースを行っている。そこでは前年並みに戻す回復が伺えて、台湾のファウンドリー大手との水準の対比を感じている。

【各社業績】

◇サムスン電子、営業利益が回復、2009年4〜6月期、前年同期並に。(7月6日付け NIKKEI NET)
→サムスン電子が6日、2009年4〜6月期の連結営業利益が2兆2000億ウォン(約1650億円)から2兆6000億ウォンになる見通しと発表の旨。電子部品の価格回復が収益環境の改善に直結しており、前の期の4700億ウォンから急回復する旨。
営業利益は前年同期(2兆4000億ウォン)と比べても横ばいまで回復する見通し、売上高は31兆ウォンから33兆ウォンになるとしており、前年同期(29兆1000億ウォン)を上回る旨。液晶パネル部門が黒字転換するほか、NAND型フラッシュメモリの需給が引き締まったことで半導体部門の利益も改善しているとみられる旨。

◇Amid wild period, UMC sales up in June (7月9日付け EE Times)
→UMCの6月販売高$250M、前月比9.6%増、前年同月比1.62%増。

◇TSMC June chips sales show further improvement(7月10日付け EE Times)
→TSMCの6月販売高約$780M、前月比5.3%増、前年同月比9.6%減。
 1-6月では約$3.32B、前年同期比35.9%減。


≪グローバル雑学王−53≫

4回にわたって、

『「間取り」の世界地図 −暮らしの知恵としきたり』
(著者 服部 岑生[みねき]氏:青春新書INTELLIGENCE PI-137)…2006年1月発行

から学んできた「間取り」も今回までである。世界各国の住まいの考え方について以下小生ながらの抜粋であるが、中には現地の方々のお宅を訪れて肌身に覚えているところもあって、認識を新たにしている部分もある。これからもっと世界方々訪問できて、自分ならではの世界地図を描きたいもの、という思いである。

  
II 「間取り」の世界地図

4章 比べてわかる、世界の家族観、生活観…のちがい

◆アメリカ

[ニューヨーカーが南向きより北向きを好む理由]
・世界経済の中心地、ニューヨーク
 19世紀から20世紀の初め →以下が次々と建設
  高層の高級アパート
  一般用の狭小なtenementと呼ばれるアパート
 20世紀後半ごろから →多様なアパートの建設
  「スタジオ」
  「efficiency apartment」(能率アパート[リビングと寝室兼用の部屋と台所・バスルームの簡易アパート])
 *ニューヨークの「スタジオ」タイプのアパート:
  ワンルームで100m2近くある
・アメリカやイギリスでは、ホテルとアパートの境目がはっきりしない

[なぜ南向きは都合が悪いのか]
・都合が悪い理由:
 第一 →南向きだと家具が傷みやすい:親から受け継いだ古い家具を大切に
 第二 →北向きのほうが眺望がいい:逆光ではなく陽の当たる風景
 第三 →日照への欲求が日本ほど強くない
 *ニューヨークの高層アパート:
  寝室ごとにシャワールーム、クローゼットが多い

[アメリカ人が暖炉にこだわる理由]
・18〜19世紀の開拓時代 
 →ソルトボックス型の家(塩入れ型家屋[前が2階建て、後ろが1階建ての家])
  …当時売られていた塩の箱に似ていた
 →「PP(公私室)分離型」…家の半分が公的なリビング
                 残りの半分が、私的な空間である寝室
・アメリカの伝統的な家の特徴 
 →公的な空間と私的な空間が明確に分離
 →リビングには必ず暖炉 …一種のステータスシンボル
・「ヌーク」と呼ばれる特徴的な間取り →家族用のダイニング 

[日本とは使い方がちがうリビングルーム]
・アメリカの一般的な戸建て住宅
 →エントランスが広い
 →もっとも飾り立てる場所、玄関スペース
 →リビングルームは社交の場、子どもが入ってはいけない部屋
  …ケジメの厳密さは日本との違いでも

[アメリカ人が住宅に求める五つの要素]
・アメリカ人が住宅に何を求めているか
 第一 「コミュニティ」…家族の共用空間
 第二 「プライバシー」
 第三 社交性
 第四 ガレージや使い方が自由になる機能的なスペース
 第五 「アウトドア」の要素
・リビングやダイニングにはカーテンを引かず、通り側から部屋が見えるものが多い
 →善良な家庭生活を外部にアピールする伝統
 →日本とアメリカの文化の違い
 →もっとも最近では半分くらいになっているところも

◆イギリス

[田舎暮らしが究極の理想?]
・イギリスの支配階層である王侯貴族は、もともと地方の領主
 →「田舎(地方)で暮らすのが理想」と考える風潮
・世界初の産業革命(18〜19世紀)で、都会に戻ってきた工場経営者たちの住む家
 →ロンドン郊外にできた戸建てのタウンハウス
*イギリスの伝統的なタウンハウス:
 →接客・社交を重視した住宅(一階部分)
 →来客は客間(drawing room)で待機

[個室へのこだわりが強いイギリス人]
・イギリスの住宅を大きく分けて:
 三種類の戸建て住宅(ハウス)
 独立した一戸建て住宅(detached house)
 一つの家を中央の壁で区切り二戸の住宅(semi detached house)
 何軒かが連なった西洋式長屋(terraced house)
 共同住宅、フラット(flat)
  …日本のアパート、マンションに相当 →多くを占める
・フラットとハウスの違い →すべての住戸が地面に接しているかどうか
               →すべてのハウスは家屋の前後に必ず自前の庭
・イギリスでは、日本では少数派である長屋形式の住宅が圧倒的に多い
・一般的な戸建て住宅の間取り
 →みんな個室に分かれている
 →大人の生活圏と子どもの生活圏とをはっきり分ける間取り
  …子どもの宿題もダイニングルームやキッチンで →母親の目が届く
 →英国人が求めるキッチンは、玄関とは正反対の後ろ側、日当たりがいいことが理想的

◆フランス

[昼と夜の領域を間取りで分ける]
・世界中からの観光客や移民で賑わう街、首都パリの間取り
 →住まい全体が狭い …古くからの都市住宅が密集したままの状態
 →ウサギ小屋ともいわれた日本に限らない。パリは、世田谷区の約2倍の広さ、そこに200万人以上。
・フランス住宅の間取りの特徴
 →夜と昼の領域がしっかり区分けしてある
  …寝室の静寂が確保 →公的な住宅融資が得られないことにも

[パリと日本のアパートの意外な共通点]
・もう一つの特徴
 →ダイニング・キッチン(DK)が受け入れられている
  ⇔イギリスやドイツでは普及しなかったDK
 ⇒単に居住空間が狭いからか
・フランスは、日本の団地の間取りのような標準設計がない国
 →多様性の尊重

◆ドイツ

[窓から「見る」庭を好むドイツ人]
・「森の国」として自然環境への関心が極めて高いドイツ
 →人びとの生活に緑は欠かせない
 →間取りにも庭を楽しむ工夫が随所に
 ⇒日本の「感じる庭」に対し、「見る庭」の楽しみ方

[ストック(古い家)を大切にする伝統]
・ドイツも日本同様、先の戦災で多大な被害
 →都心部では伝統的な街並みをわざわざ再構築
  機能的で近代的な建物は郊外につくる
 ⇒古い街並みが残り、ドイツの美しい景観を守った

◆中国

[四合院にみる大家族住宅]
・中国の伝統的な家のつくり 
 →四合院(しごういん)と呼ぶ中国独特の住居
  …四つの建物がロの字形の平面をつくり、中庭(院子という)を取り囲む形式
・家の中での生活は、日本や韓国と違って靴は脱がない。寝室は欧米と同じくベッド。

[食事や団らんの空間を大事にする中国人]
・1980年代の経済開放政策以降、各戸に台所やトイレなどを備えた集合住宅を、都市部を中心に大量に
・一般に入口からすぐにキッチンやリビング、その奥に寝室が配置
 …大家族主義の伝統、親しくなると自宅に招いてワイワイと食事、歓迎のスタイル

◆韓国

[伝統的住宅は中庭が特徴]
・伝統的な韓国の住宅
 →中国の四合院と同じく、中庭(アンマダン)を配し、その周りを建物で囲む
・接客だけでなく、家長中心の大家族の共同生活を大切に
・伝統的に男女長幼の別を強調する儒教思想が根強い
 →1970年ごろまでは、食事は男女別室で食べるのが一般的
 →現代では、家族全員が食卓を囲むことが一般化
・床上では土足を脱ぐというのが一般的
・床下を暖気が通る温突(オンドル)床
 →起源は、高句麗(全盛期は4〜5世紀)で発明
  高麗時代(918〜1392年)になって半島全体で一般化
 ⇒朝鮮半島ではオンドル、日本では畳の敷き詰めが普及

[キムチ室を備えたマンション]
・戦後、日本からやや遅れて農村から都市への人口流入
 →首都ソウルは全人口の四分の一が集中 …深刻な住宅難
 →1960年代以降、公的な大韓住宅公社が大量の集合住宅を供給
・リビング(ウンジョンプシル)
 ダイニング(シクタン)
 キッチン(チュオク)
 多用途室(タヨンドシル)…自家製のキムチ
・中国の集合住宅と同様、浴室はすべて便所・洗面所と一体のタイプ
 ⇔お風呂にこだわる日本人

ご意見・ご感想