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韓国トップ2社の協力/太陽電池生産への投資/IT業界地図の激変

韓国半導体業界での最先端技術開発の取り組み、爆発的な拡大が見込まれる太陽電池市場、そしてノキアの動きに一端を見るIT業界地図の激しい変化、といずれもグローバルな競争を半歩、一歩リードしようと映る動きに注目する。

≪韓国トップ2社の協力≫

半導体業界の最先端技術開発に向けたメーカー間の協力活動は、歴史的にも地域的にも多彩に繰り広げられている。我が国と韓国とのメーカー間では、1990年代前半であったか、三星−NEC、現代−富士通、LG−日立といった組み合わせの協力関係が展開されたことを思い起こす。

今度は、韓国のトップ2社、というか世界のメモリ市場のトップ2社である三星電子とハイニックスが、次世代メモリ技術および450-mmウェーハ標準化で協力するという見出しに注目させられている。2つの記事から概要、次の通りである。

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○次世代半導体開発、サムスンとハイニックスが提携…6月25日付け 朝鮮日報日本語版

知識経済部は25日、サムスン電子とハイニックス半導体が3項目の技術協力を推進することで合意し、9月からテラビットクラスの次世代メモリ半導体であるスピン注入磁化反転方式RAMチップ(STT‐RAM)の基本技術開発に向けた研究開発を共同で開始すると発表した。ライバル同士の両社が手を結んだのは、次世代半導体の市場を先取りするため、韓国の業界全体で製品開発、標準化戦略や設備・材料の国産化拡大に取り組んでいくのが狙いだ。

両社は2012年から市場に投入されるとみられる同方式の磁気ランダムアクセスメモリ(STT‐MRAM)に焦点を合わせる計画だ。

両社はまた、実質的な国産化率を高めるため、来年までに6463億ウォン(約670億円)を投資し、国産の半導体設備・材料を購入する計画だ。
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○SamsungとHynixが、450-mmウェーハ標準化で協力…6月25日付け Semiconductor International

韓国のYonhap News Agency(聨合ニュース)発。Samsung Electronics Co.(Seoul, South Korea)とHynix Semiconductor社(Icheon, Korea)が、450-mmウェーハ開発で協力する“united front”を形成する。この活動は、Sematech(Austin, Texas)およびSEMI(San Jose)が続けている標準化活動につながるものである。

SamsungおよびHynixが450-mmウェーハfabに向けたstandard-setting活動をリードできれば、韓国の半導体製造装置および材料メーカーの生産を、2007年の$7.8Bから2012年までに$15Bに高められる、という見方がある。
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300-mmウェーハのときの標準化の経緯が思い出されるが、今や200-mmは鈍化期に移行して300-mmが主役を務めているようである。450-mmはどんな推移を今後示していくのか、韓国トップ2社が牽引役に加わって、発奮する雰囲気というものを感じている。


≪太陽電池生産への投資≫

太陽電池生産に関わる話題が急浮上している。ここ1ヶ月で気が付いた内容だけでも以下の通りである。

◇PV industry pools interests in organization(EE Times:5月27日付け)
→solarシリコンのインゴット、ウェーハ、太陽電池およびPVモジュールに重点化するメーカーが力を合わせ、International Photovoltaic Equipment Association(IPVEA)を打ち上げの旨。 
◇Germany's Q-Cells to invest $3.5 billion in Mexico(EE Times:6月5日付け)
→世界最大のsolar cellメーカー、ドイツのQ-Cellsが、メキシコでの新しい生産工場に$3.5Bまで投資する旨。  
◇IBM, TOK to devise thin-film solar cells (EE Times:6月16日付け)
→IBM社とTokyo Ohka Kogyo Co. Ltd.(TOK)が、copper-indium-gallium-selenide(CIGS)技術に基づくsolar cells生産に適するプロセス、材料および装置開発で合意の旨。
◇IBM, Tokyo Ohka Kogyo aim to make cheaper, user-friendly solar energy(Electronics Design, Strategy, News:6月16日付け)
→IBM said its researchers have developed non-vacuum, solution-based manufacturing processes for CIGS solar cells with targeted efficiencies of approximately 15% and higher, compared to current thin film product efficiencies that vary from approximately 6% to less than 12%.
◇Intel spins off solar unit (EE Times:6月16日付け)
→Intel社が、solar-cell領域の社内startup事業を、新会社、SpectraWatt社として分離する旨。
◇Intel enters solar biz(Electronics Design, Strategy, News:6月16日付け)
→The chip giant is spinning off the assets of a business effort from its new business initiatives group to form an independent solar cell maker that it will also invest in.
◇IBM, Intel take steps in solar (EE Times:6月20日付け)
→今月、Intel社およびIBM社など世界最大手技術&製造メーカー数社が、急に発展するsolar power事業に大きく動いている旨。

そして終には以下の見方も出てきているという盛り上がる状況を感じている。

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○太陽電池と半導体業界の投資が2010年までに同じ水準にに:iSuppli発…6月23日付け Semiconductor International

太陽エネルギーに向けた爆発的な需要により、iSuppli社(El Segundo,Calif.)は、photovoltaic(PV) cells生産への世界投資が2010年までに半導体製造のそれと同じレベルに増えていく、と予測している。PV cellsの生産は、2007年の3.5Gigawatts(GW)から2010年までに12GWに高まると見る。

「PV cells市場は、2010年まで年間40%、以降20%で伸びていくと見る。市場に参入するほとんどすべてのプレーヤーが、向こう数年、40-50%のCompound Annual Growth Rate(CAGR)の販売高増を計画している。」(iSuppliのDr. Henning Wicht氏)
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環境問題意識が急激に高まっている今、ますます傾斜、それこそ太陽のような爆発を予感するものがある。


≪IT業界地図の激変≫

携帯電話業界の動きとして、ノキアの次の仕掛けに注目している。

◇Nokia takes control of Symbian (EE Times:6月24日付け)
→Nokiaが、Symbian Ltd株式の52%を買収する計画、それからSony Ericsson, Motorola, NTT DOCOMO, AT&T, LG Electronics, Samsung Electronics, STMicroelectronics, Texas InstrumentsおよびVodafoneとともに、Symbian Foundationを設立、Symbian OS, S60, UIQおよびMOAP(S)を一体にするroyalty-free open platformを提供する旨。
◇Symbian Foundation is good for Nokia, bad for Google, says analyst(EE Times:6月24日付け)
→Strategy Analyticsのdirector、Neil Mawston氏の見方。Symbian Foundationの創設は、Nokiaには良い方向となるが、Google AndroidおよびMicrosoftには悪くなる旨。

日々のユーザでありながら、なかなか分かりにくいネット業界である。上記の内容からグローバルに主導していく雰囲気は明らかに感じるものの、ネット業界、IT業界は一体どんな現状かと思っていたら、格好の解説記事が目に入ってきた。小生なりの抜書きメモを以下に:

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○「激変、IT業界地図」…6月28日付け 朝日新聞

・世界の隅々をつなぐインターネットを舞台にした競争が一段と激化
 特性を活かした検索やサービスの提供が勝ち残りのカギ
 ネット人口急増のアジア市場が新たな主戦場
・YahooとGoogleの提携:YahooはMicrosoftとの提携交渉を中止 (6月12日)
 ⇒2月のMicrosoftのYahoo買収提案の行方に終止符
・Google、今や検索で世界の約6割を占める。
・2007年末、中国のブロードバンドインターネット契約者は、米国を抜いて世界1位に。6646万人。米国 6052万人、日本 2830万人。
 「中国を制する者が、アジアを、世界を制する。」(ソフトバンクの孫社長)
・世界の検索回数シェア Google、Yahoo、百度(バイドウ)の順
・検索サイトのシェア 
             日本     米国     中国
     Google     31.3%    56.5%   20.6%
     Yahoo     56.2%    15.5%   5.4%
     百度                      64.5%
     Microsoft    2.8%    6.7%
     AOL              5.6%
     BIGLOBE   3.8%
     goo       2.0%
     その他     3.9%     15.7%     9.5%
・ネットを巡る覇権争い
 米国 Microsoft   直近の売上高 5兆5千億円
     Google           1兆7千億円
     Yahoo           7400億円
 日本 ソフトバンク         2兆7761億円
     ヤフー日本法人      2620億円
     DeNA            297億円  携帯ポータル大手
     ミクシイ          100億円  SNS最大手
 中国 百度            272億円
     OPI                   SNS最大手
(注) SNS:Social Network Service
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ここでも半導体業界で10年以上前から言われ続けている「グローバルな協調と競争」が求められる激変の様相を感じるところがある。折しもMicrosoftのBill ates氏が一線を引くというTVニュースが目に入ってきたが、大きな節目のタイミングという実感がある。

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