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新年の集まりから/気になる市場実態把握/グローバル雑学王−27

晴天に恵まれた静かなお正月が終わって、気分一新で臨む仕事のスタート、第1週。恒例の新年の会合ではいずれいずこも厳しさ一点張りの基調、現下の経済状況では致し方なしというところ。それではということで、少しでも良い兆し、変化というものを求めて、新年当面、本欄記入に臨んでいく所存である。

≪新年の集まりから≫

実際に小生が顔を出させていただいた各種会合での手元メモから、以下の通り。

[ある会社の2009年大発会]

・株式総額が昨年1年で、500兆円から280兆円に縮減。まさに異常事態。
・一方では偽装など詐欺とも言える商い行為が露見した昨年。正しいやり方、高い品質を着実に積み重ねていくこと。

[JEITA 平成21年 新年賀詞交歓会]

庄山会長
・昨年は全世界に大きな衝撃が走った年、“金融危機”が全世界に急速に波及、新興国にも急ブレーキ。
・景況悪化、大変厳しい局面。
・回復には数年かかる?
・技術革新、人材強化が国際競争力強化に必須。ものづくりの大切さ、グローバルに活躍できる人材育成。これで我が国はこの難局を乗り越えて行くべき。
・税制改正大綱への盛り込み、国内での集中的研究開発。
・公益法人制度への改革。
・広範な産業への貢献により回復へ。

経済産業省 吉川副大臣
・国会、2週間早く招集。
・世界金融資本市場の危機。総額75兆円の対策実施へ。
・新たな雇用対策の実施が緊急に。協力を願いたい。
・グリーンITの加速化が、当面の中核に。

20-30年前にも及ぶデバイス業界委員会活動を共にした世代の幅広いメンバーの会合を、この時期に世話役として行っている。我が国の高度成長真っ只中、そして日米半導体摩擦と、思い起こす話題には枚挙に暇なしの雰囲気が、今回も続いている。上記のような経済環境ゆえ、一層盛り上がったという余韻が今も、という感じ方である。


≪気になる市場実態把握≫

世界的な経済危機がもたらす大幅な落ち込みと産業界各方面各社の必死の対策の記事が、日に日に度を増して続いている。願わくば好転と一気にいきたいが、少なくとも何らかの変化、兆しを感じる内容に小生なりに注目していく。長期連載にはしたくはないものであるが、今回、以下の通りである。  

[DRAM価格動向]

◇Taiwan's DRAM makers seek bailout(1月5日付け EE Times)
 →The Financial TimesおよびThe Wall Street Journal発。台湾のMinistry of Economic Affairsが、苦境にある台湾DRAMメーカーなど不振にあえぐメーカー救済にNT$200 billion($6B)を向ける旨。

◇Samsung mulls plan to hike DRAM prices (EET)
 →Lazard Capital Markets(New York)のアナリスト、Daniel Amir氏。
 Samsung Electronics Co. Ltd.がDRAM価格を引き上げる計画を検討中、一方、台湾サプライヤおよびHynix Semiconductor社が生産を削減の旨。

⇒12月後半以降、DRAM価格に上げ戻す動きが見られる、という情報データが見られるようになってきている。赤字垂れ流しで出し続けるのはもう辟易という悲鳴に似た声が、小生の馴染みの方々から聞こえてきて大分時間が経つ。時間軸が違うとは言え、同様の経験、思いを重ねてきただけに、デバイス市場の有力な先行指標、DRAM価格のreasonableな今後の動きに期待である。

[PC業界動向]

◇Lenovo cuts 2500 jobs on PC pinch-In addition to the job cuts, equaling approximately 11% of the OEM's worldwide employee base, Lenovo plans to reduce executive compensation by 30% to 50%, including merit pay and long-term incentives, as well as any performance payments for the coming year.(1月8日付け Electronics Design, Strategy, News)
 →Lenovoが、従業員2,500人をレイオフする計画を発表、難題を抱えるPC市場および引き続くグローバル経済不況の中で資源の転換を模索の旨。

◇Analysis: Did Intel underestimate netbook success?-FBR analyst thinks No. 1 chipmaker could cut jobs(1月7日付け EE Times)
 →The Information Network(New Tripoli, Pa.)のpresident、Robert Castellano氏。netbooksでよく使われるAtomプロセッサとIntelのもっと高価なnotebooks用Penrynデバイスの間に少なくとも$200の値差を仮定、安価なプロセッサを作ることで、Intelは2008年に$1.14Bの売上げを、2009年にさらに$2.16Bを失うことになる旨。

⇒Intel社の大幅な業績落ち込みが発表されているが、一方、netbooksを主軸とするPCメーカーの健闘ぶりが伝えられている。PC業界のまだら模様の変動・推移に注目を要する情勢と受け止めている。


≪グローバル雑学王−27≫

イスラエルとパレスチナのガザ地区での戦闘がこの年末年始またも続いている。この事態の根元は何なのか、ちょうどタイミングが合ってしまった感があるが、ベールに覆われたところが最も多く感じるイスラームの世界を少しでも理解しようと、これなしにはということで読み進めているのが

『イスラームの世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 224)

である。当分、お付き合い願いたく思う。今回は入門編に相当する内容である。

○はじめに
・イスラームの世界 …東洋と西洋の間、中洋とでもいうべき広大な地域
             …楽しいお伽話の故郷であると同時に、厳しい戒律をもつ宗教が今日も信仰されている社会
・ヨーロッパ人の心の中に今も根強く残る見方
 奇妙な新興宗教 : 人種的な偏見
・私たちはもしかして、西欧諸国によってつくられた否定的なイスラーム像の影響を受けているのではないか。
・流動する21世紀の新秩序の行方をイスラーム世界地図のなかに探ってみよう。

≪イスラーム関係データ≫

*世界のイスラーム教徒の数: 約12億人(20世紀末)
                             人口比
1) インドネシア     1億8000万人      88%
2) パキスタン      1億2800万人      97%
3) バングラデシュ    1億 900万人      87%
4) インド         1億 800万人       11%
5) トルコ            6350万人      99%
6) イラン            5900万人      95%
7) ナイジェリア        5800万人      48%
8) エジプト           5500万人     90%
9) アルジェリア        2990万人      99%
10) モロッコ          2750万人      99%
11) アフガニスタン     2500万人      99%
12) イラク           2230万人      95%
13) エチオピア        2150万人      35%
14) スーダン         2120万人       75%
15) サウジアラビア     2100万人      100%

*イスラーム諸国会議機構(Organization of the Islamic Conference)
以下、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からも引用。
…イスラーム諸国をメンバーとして構成され、国際連合に対する常任代表を有する国際機構。公用語はアラビア語、英語、フランス語。
・イスラム諸国の政治的協力、連帯を強化すること、イスラム諸国に対する抑圧に反対し、解放運動を支援することを目的とする。
・加盟国はムスリム(イスラーム教徒)が国民の多数を占める西アジア、北アフリカ、西アフリカ、東アフリカ、中央アジア、南アジア、東南アジアなどの57か国、オブザーバーが5ヵ国・8組織(国連など)からなり、世界13億人のムスリムの大部分を代表する。
[加盟国](57カ国):
中東 − アゼルバイジャン アフガニスタン アラブ首長国連邦 
      イエメン イラク イラン ウズベキスタン オマーン 
      カザフスタン カタール キルギス クウェート 
      サウジアラビア タジキスタン トルクメニスタン トルコ 
      パキスタン パレスチナ バーレーン ヨルダン レバノン
アフリカ − アルジェリア ウガンダ エジプト ガボン カメルーン 
        ガンビア ギニア ギニアビサウ コートジボワール 
        コモロ シエラレオネ ジブチ シリア スーダン 
        セネガル ソマリア チャド チュニジア トーゴ 
        ナイジェリア ニジェール ブルキナファソ ベナン 
        マリ モザンビーク モーリタニア モロッコ リビア 
東南アジア − インドネシア バングラデシュ ブルネイ マレーシア
東欧   − アルバニア
南アメリカ − ガイアナ スリナム 
インド洋 − モルディブ
[オブザーバー]:
国家 − ボスニア・ヘルツェゴビナ 中央アフリカ タイ ロシア 北キプロス・トルコ共和国
外部組織 − 国際連合(UN) 非同盟運動(NAM) アラブ連盟(LAS) アフリカ連合(AU) 経済協力機構(ECO)モロ民族解放戦線
内部組織 − イスラム諸国会議機構加盟国会議(PUOICM) イスラム諸国会議機構青少年会議(ICYFDC)

*アラブ連盟(League of Arab States)
…アラブ諸国の政治的な地域協力機構。第二次世界大戦末期の1945年3月22日創設。本部はカイロにある。
原加盟国:7カ国
 エジプト(1979年3月にイスラエルとの平和条約締結を理由に加盟資格停止。1989年5月に復帰)
 シリア イラク ヨルダン レバノン サウジアラビア 
 イエメン(加盟時は北イエメン)
追加加盟国:
 リビア スーダン モロッコ チュニジア クウェート アルジェリア
 アラブ首長国連邦 バーレーン カタール オマーン モーリタニア
 ソマリア パレスチナ ジブチ コモロ

*イスラーム教徒の義務
・五本の柱(アル=アルカーヌ・ル=ハムサ) …実行すべき五つの基本的な義務
第一: 信仰告白(シャハーダ)
第二: 礼拝(サラート)
第三: 喜捨(ザカート)
第四: 断食(サウム)
第五: 大巡礼(ハッジ)     →聖地メッカへの巡礼

*メッカ巡礼
・大巡礼(ハッジ) →イスラーム暦第12月(ズー・アルヒッジャ)の8〜10日の決められた期間に、決まった順序、作法で行われる。
小巡礼(ウムラ) →上記期間以外にカーバ神殿に詣でる。

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