トランプ政権関税対応およびAI活況への取り組みに揺れる半導体業界
AI(人工知能)関連は活況ながらその他の応用分野の本格的な回復が待たれる状況が続く中、米国トランプ政権の関税が方々様々に打ち上げられて、半導体業界も、韓国、台湾はじめ海外のみならず、米国国内各社からも不満の反応が見られている。バイデン政権でのCHIPS and Science Actによる助成にも変更の可能性が、トランプ政権によりあらわされて、約束通り支給されるのか、今後のやりとりにかかってくる情勢である。一方、DeepSeek出現の余波がいまなお引き続いて、AIを巡る各社の取り組みが、AI半導体含め見られている。中国市場での盛り返しを狙うAppleが、アリババそして百度と連携する動きなど、それぞれに今後の成り行きに注目するところである。
≪各国・地域それぞれの身構え≫
現下のAI活況、そして地政学的インパクトに対応を迫られる半導体主要各社が、端的にあらわされている。
◇Semiconductor Giants Navigate AI Boom & Trade War (2月11日付け EE Times)
→*TSMCとAMDはAI主導で成長、インテルは再建に注力、そしてアームは経済・地政学的シフトの中でアーキテクチャ需要が急増
*世界経済の重要な原動力である半導体業界は、AIおよび高性能コンピューティングの爆発的なブームに牽引され、現在複雑な変革期を迎えている。しかし、この業界はマクロ経済の不確実性や地政学的な変化にも直面している。
TSMC、AMD、インテルなど業界をリードする企業の最近の決算報告から、この移り変わる状況を垣間見ることができ、チャンスと課題が明らかになる。
まずは、トランプ政権の関税打ち上げに対する半導体業界の反応関連が、以下の通りである。
◇Ex-TSMC Exec Urges Stronger Taiwan-U.S. Cooperation Amid Chip Tariff Threat (2月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TSMCの元幹部によると、米国が台湾製半導体に関税を課す場合、台湾は潜在的な影響を緩和するために米国との産業協力の強化に積極的に取り組むべきだという。
TSMCのR&D部門の元ディレクターで、Intelの元シニアテクニカルアドバイザーのYang Guang-lei氏はCNAに対し、「台湾は、半導体製造における優位性を築き、イノベーションとアプリケーションにおける米国の強みと組み合わせて脅威に対処する方法を検討すべきだ」と述べた。
◇Trump’s chip tariff plan could hurt US, experts say (2月11日付け Taipei Times)
→ドナルド・トランプ米大統領は、台湾製チップに関税をかける計画で、製造業の雇用を取り戻すかもしれないが、その代償は米国企業や消費者にのしかかる可能性があると専門家は指摘した。
トランプ大統領は1月27日、チップ製造業の約98%が台湾に流れており、「戻ってきてほしい」と主張し、台湾に関税を課してチップ製造業を米国に戻すつもりだと述べた。
◇中国SMIC、25年12月期も高水準投資 トランプ氏に備え (2月12日付け 日経 電子版 15:56)
→中国の半導体受託生産最大手、SMICは11日、2025年12月期の投資額について、前期(24年12月期)並みの高水準を維持すると発表した。前期の利益は半分近くに減少したが、トランプ大統領の再登板による米国との半導体分野での対立先鋭化に備え、生産能力の拡大を急ぐ。
TSMCは、米国で初めての取締役会を開催したが、投資拡大の発表はなかったとのこと。
◇TSMC、対米投資拡大 発表なし 同国で初の取締役会 (2月13日付け 日経)
→半導体世界大手のTSMCは台湾時間の12日、米国で取締役会を初開催した。市場の一部に観測のあった米国投資の拡大は同社が発表した決議事項に含まれなかった。
米国ではTSMCとして海外初の先端拠点となる西部アリゾナ州の第1工場が2024年末に量産を開始した。米国での取締役会は、製造業の国内回帰を目指すトランプ米政権への対応の一環との見方もあった。TSMCは12日、取締役会で財務報告や配当額、全社の予算などについて決議したとのみ発表した。
◇トランプ関税に米企業は不満 「非常な混乱、壊滅的」 (2月13日付け 日経 電子版 06:19)
→トランプ米大統領の関税政策に対し、米国企業の不満が高まっている。原価の上昇や需要減少への懸念が広がり、各社は影響の少ない素材への置き換えやコスト削減の取り組みを急ぐが、関税をディール(取引)外交の中軸に据える政権のもと「政策の先行き不透明感が企業活動に与える影響を理解していない」との声が広がっている。
◇SK Hynix's North American revenue more than double in 2024―SK Hynix, Samsung see North American revenue surge (2月13日付け DigiTimes)
→韓国の主要企業は、2024年に北米市場からの売上げが約20%増加し、高帯域幅メモリー(HBM)市場のリーダーであるSKハイニックスが最大の伸びを示した。しかし、ドナルド・トランプ米大統領が検討中の、鉄鋼とアルミニウムの全輸入品に対する25%の関税と半導体に対する新たな関税を含む潜在的な新関税が課されれば、大きな打撃となる可能性がある。
さて、トランプ政権が、バイデン政権でのCHIPSおよびScience Actによる助成の見直しを行おうとしている動きが伝えられている。以下、その関連であるが、今後に注目である。
◇Exclusive: Trump prepares to change US CHIPS Act conditions, sources say (2月13日付け Reuters)
→ホワイトハウスは、米国CHIPSおよびScience Actの授与について再交渉を求めており、いくつかの今後の半導体払い出しの遅延を示唆している、とこの問題に詳しい2人の関係筋がReutersに語った。チップ業界を代表する業界団体であるSemiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は、このプログラムをどのように改善できるかを会員に尋ね始めている。しかし、同団体の政府問題担当vice presidentであるDavid Isaacs氏は、次のように述べた:
「我々は、商務長官候補のHoward Lutnick氏やトランプ政権の他のメンバーと協力して、プログラムの要件を合理化し、チップ技術における米国のリーダーシップを強化するという共通の目標を達成する用意がある。」
◇Tech war: Trump administration reviews terms underpinning Chips Act awards, sources say―Sources: White House reviews terms of CHIPS Act awards (2月14日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Reuters)
→1)ある情報筋によれば、ホワイトハウスは、中国を含む海外での大幅な事業拡大を発表する助成金受給者に苛立っているとのことである。
2)情報筋によると、ホワイトハウスは、米国CHIPS and Science Actに基づくプロジェクトを見直しており、条件を再交渉し、支出を遅らせる可能性があるという。テキサス州とミズーリ州のプロジェクトで$406 millionを受け取ることになっているGlobalWafers社は、いかなる変更も知らされておらず、Doris Hsu会長は、資金調達が不透明であるにもかかわらず、同社は米国での投資計画を維持していると述べている。
◇GlobalWafers maintains course amid US CHIPS Act funding uncertainty (2月14日付け DigiTimes)
→報道によると、トランプ政権はCHIPS and Science Act(通称「CHIPS法」)に基づくインセンティブ協定の改定を検討しており、今後の資金調達スケジュールの遅延を通じてTSMCとGlobalWafersに影響を与える可能性がある。
GlobalWafersのDoris Hsu会長は、現在の資金状況は変わらず$406 millionであることを確認した。米国商務省はプロジェクトのマイルストーン完了に基づき、数年にわたって資金を分配するため、まだ資金は受け取っていない。
米国政府の半導体関連の動き、次の記事も見られている。
◇Joint venture with Intel unfavorable for TSMC: expert (2月14日付け Taipei Times)
→TSMCがインテルと合弁会社を設立し、米国でのチップ製造を後押しするという米国政府の計画は、台湾のファウンドリー大手、TSMCを、輸入チップに対する関税案よりも不利な立場に置くことになると、半導体専門家が昨日指摘した。
台湾経済研究院(Taiwan Institute of Economic Research)の台湾産業経済データベース(Taiwan Industry Economics Database)の研究者である劉培真氏は、TSMCが米国のライバルと合弁会社を設立すれば、技術流出のリスクに直面すると述べた。
米国・SIAが、インドに対して提言を行っている。
◇Exclusive | Zero tariffs will help India become competitive in chipmaking: US semiconductor body (SIA News Roundup - February 14, 2025)
→米国SIAのPresident、John Neuffer氏は、米国半導体の優位性と台湾への関税に対する懸念を強調する一方、世界的な半導体の役割を高めるためにインドに関税ゼロを採用し、チップ製造技術に投資するよう促している。
CNBC-TV18との独占チャットで、Neuffer氏は、インドはチップ製造の足跡を増やす上で正しい軌道に乗っているが、より低い関税とより助長的な貿易政策を持つことが重要であると強調した。
次に、AI活況関連であるが、DeepSeekの余波いまなおである。AI半導体関連加えて、以下の通りである。
◇DeepSeek has rattled large AI players - but smaller chip firms see it as a force multiplier (2月7日付け CNBC)
→*Nvidiaは、DeepSeekの最新推論モデルの出現によって打撃を受けており、このスタートアップは、アメリカの最高の技術に匹敵し、コストもはるかに安いと主張している。
*小規模なAIチップ企業数社はCNBCに対し、DeepSeekの熱狂的な需要の高まりを目の当たりにし、中国の新興企業が市場の起爆剤になる可能性があると語った。
◇Political economics of DeepSeek―Analysis: DeepSeek's impact on AI investment landscape (2月8日付け The Korea Times (Seoul))
→旧正月休みを利用して、中国は世界市場を待ち伏せし、米国の優位に挑戦する国家チャンピオンとしてDeepSeekを立ち上げ、AIの世界での地位を主張した。
このニュースは、ドナルド・トランプ米大統領の就任直後に流れた。ドナルド・トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策の中心は中国との貿易戦争であり、テクノロジーにおける米国のリードに追いつくことは難しいとされていた。ディープシークが世界に向けて宣言したこのタイミングは、中国の習近平国家主席が掲げる 「Made in China 2025」とうまく折り合いをつけている。この壮大な計画は、今年中に重要な部品や材料の輸入を70%国産化することを目指している。
◇Arm’s CEO on the future of AI and why he does not fear DeepSeek (2月9日付け Financial Times)
→アーム社のCEO、ディープシークを心配せずAIの次を見据える
OpenAIが、自社製AI半導体に取り組む動きである。
◇Exclusive: OpenAI set to finalize first custom chip design this year ―OpenAI progresses on first in-house AI chip design (2月10日付け Reuters)
→OpenAIは今年、初の自社製AIチップの設計をまとめる予定だ。チップサプライヤーとの交渉でより大きな影響力を獲得し、Nvidiaの市場における支配的な地位への依存を軽減したい考えだ。このチップは、3ナノメートル技術を使ってTSMCによって製造され、2026年までに量産に入る可能性がある。
◇My Take | Why DeepSeek’s true value for China goes beyond AI advance (2月11日付け South China Morning Post)
→*DeepSeekは目先の成果だけでなく、中国の技術的野心に遠大な影響を与える
*ディープシークはAIモデルのトレーニングにおいて新たな道を切り開いたのだろうか?この新興企業のモデルは、OpenAIやMeta Platformsが開発したモデルよりも優れているのだろうか?また、この中国企業はスケーリングの法則を書き換え、AIモデルのトレーニングにおいてNvidiaのAIチップは重要でないことを証明したのだろうか?過去2週間、このディスラプターを解明しようとした多くの技術研究者や専門家によれば、これらの質問に対する答えは「ノー」である。しかし、中国にとってのDeepSeekの重要性を過小評価するのは間違いであり、その成果の意味は単なる技術的進歩にとどまらないからだ。
◇DeepSeek使用のGPU、市場価格は先端品の1〜3割安か (2月11日付け 日経 電子版 02:00)
→中国の新興企業、DeepSeekがAIモデルを低コストで開発したと表明したことを受け、画像処理半導体(GPU)の価格に注目が集まっている。同社が使った米半導体大手エヌビディアのGPUの市場価格は、米企業が使う先端品に比べ1〜3割ほど安い水準とみられる。極端に安いというわけではなさそうだ。
◇With DeepSeek, China moves to take on Nvidia’s CUDA ecosystem (2月12日付け South China Morning Post)
→*DeepSeekの人気AIモデルへの対応を急ぐ中国チップメーカーの動きは、米国ハイテクへの依存を減らす中国の取り組みに弾みをつけている。
*企業声明や地元メディアの報道によると、国内チップ開発企業がAIスタートアップの低コスト・高性能モデル向けに自社製品の調整を急ぐ中、ディープシークは、Nvidiaのエコシステムへの依存を減らそうとする中国の取り組みにかつてない勢いをもたらしている。
DeepSeekインパクトが、OpenAIのスタンスに影響を与えているとの見方であるが、これは、後に示すパリのAIアクション・サミットでのOpenAIのCEO、Sam Altman氏のコメントからきている。
◇OpenAI keen ‘to work with China’, CEO Sam Altman says, as DeepSeek rattles tech market―OpenAI CEO expresses interest in China collaboration (2月12日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→1)アルトマン氏の中国に対するOpenAIの厳しい姿勢からの転換は、杭州を拠点とする新興企業、DeepSeekが世界のAI業界をどのように覆したかを反映している
2)OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、同社が中国とのコラボレーションに関心を持っていると述べ、中国における同社のAIサービスへのアクセスに対するOpenAIの以前の制限からの転換を示した。パリのAIアクション・サミットで発表されたアルトマン氏のコメントは、オープンソースのAIモデルを公開している中国のAI企業、ディープシークによる進歩の中で、中国との協力の重要性を強調している。
中国での盛り返しを図るAppleの動き関連である。
◇Alibaba chairman officially announces Apple partnership to bring iPhone AI to China―Apple, Alibaba partner to bring AI to iPhones in China (2月13日付け 9to5Mac)
→アップルはアリババと提携し、中国政府の意向を満たすようアリババのQwenモデルを使用して、中国のiPhoneにApple IntelligenceのAI機能を導入した。アリババ・グループのJoe Tsai会長は、iPhoneが3位に転落した中国でのアップルの業績向上を目指すこの提携を発表した。
◇Alibaba’s Tsai Says Apple iPhone Will Use His Firm’s AI in China (2月13日付け Bloomberg)
→*アップルが自社のAI技術を利用することを認めたAlibabaのJoe Tsai会長
*アリババ、長年の苦境を乗り越え復活へ
◇Alibaba to partner with Apple on AI features, sending shares to 3-year high (2月13日付け Reuters)
→*アリババ、中国AI市場で大勝利
*主要市場におけるアップルのスマートフォン販売に貢献か
*アリババ株、9%超急騰で3年ぶり高値
アリババは木曜13日、アップルと提携し、中国でのiPhone向けAIサービス提供をサポートする、と会長が明らかにし、該米国企業の主要市場におけるスマートフォン販売台数の減少を緩和するのに役立ちそうな動きである。アリババにとって、この提携は競争の激しい中国のAI市場において大きな勝利となる。この市場には今年、欧米のライバルの数分の一のコストで開発されたモデルで注目を集めたディープシークがいる。
◇中国向けiPhoneのAI アップル、アリババと提携 米報道、搭載へ規制に対応 (2月13日付け 日経)
→米メディアのThe Informationは11日、米アップルが中国のアリババ集団とAI開発で提携すると報じた。中国で販売するスマートフォン「iPhone」に共同開発したAIを搭載するとみられる。
◇Apple、中国iPhone向けAIで百度とも交渉継続 (2月14日付け 日経 電子版 16:31)
→米アップルが中国で販売するスマートフォン「iPhone」に搭載するAI開発について、中国ネット大手の百度と提携交渉を続けていることが13日、分かった。すでに中国のアリババ集団との提携が明らかになっており、中国企業との協業を広げ現地対応を進める。
我が国での問題意識があらわされている。
◇DeepSeekで浮かぶ日本の死角 規制踏み込めず留意のみ (2月13日付け 日経 電子版 11:00)
→中国の生成AIスタートアップ、DeepSeekを巡り日本政府が対応に苦慮している。データ管理にセキュリティー上の懸念があることから、規制や調査に踏み切る国が出ている。日本は「留意点」を公表するのにとどまり、デジタル法制の死角も透けて見える。
OpenAIから、新たに一本化したAIモデルの予定である。
◇OpenAI、新型AIを数カ月以内に提供 モデルを一本化 (2月13日付け 日経 電子版 10:21)
→米オープンAIは12日、対話型AI「ChatGPT」の基盤に使うAIモデルの新型「GPTー5」を今後数カ月以内に公開すると明らかにした。論理的な推論に優れた「o(オー)」シリーズと統合する。利用者がモデルを選ぶ手間がなくなり、利便性が高まる。
トランプ政権への対応、そして活況のAI関連と、ともに目まぐるしい動き、展開が続きそうであり、半導体関連の視点で引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□2月10日(月)
上にも示すトランプ政権の関税攻勢関連であるが、そもそもは以下の通りである。
◇中国、対米追加関税10日発動 石炭やLNGに最大15% (日経 電子版 01:00)
→中国政府は10日、米国から輸入する石炭や液化天然ガス(LNG)などに最大15%の追加関税を発動する。トランプ米政権が4日に中国からの全ての輸入品に10%の追加関税を課したことへの報復措置になる。中国は米国産の80品目に追加の関税を課す。
◇Trump Imposes Global 25% Steel, Aluminum Tariffs―Trump imposes 25% tariffs on steel, aluminum―‘This is the beginning of making America rich again,’ the president says (The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムの輸入品に25%の関税をかけると発表、カナダやメキシコなどの同盟国への適用除外を取り消す。該関税は3月4日に発効し、外国の補助金に対抗して米国製品の競争力を高めることを目的としている。
□2月11日(火)
関税政策の重しのなか、上げ下げ交互加減の今週の米国株式市場である。
◇NYダウ3日ぶり反発、167ドル高 マクドナルド5%高 (日経 電子版 07:33)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前週末比167ドル01セント(0.37%)高の4万4470ドル41セントで終えた。決算を発表した一部の主力株のほか、半導体株に買いが集まった。半面、トランプ米大統領の関税政策を巡る不透明感は株価の重荷となった。
◇EU、米追加関税に「断固たる対抗措置」 欧州委員長が表明 (日経 電子版 18:07)
→EUのフォンデアライエン欧州委員長は11日、米国が鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%の追加関税の適用を決定したのを受け、報復措置を検討すると表明した。
□2月12日(水)
◇FRB議長「利下げ急がない」 議会証言、堅調経済を強調 (日経 電子版 06:06)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日、米連邦議会上院で議会証言に臨んだ。経済の堅調さを強調して「これ以上の利下げを急ぐ理由は見当たらない」と述べた。議員から金融政策への注文はなく、野党・民主党からは金融規制を緩める新政権への不安が相次いだ。
◇NYダウ、続伸し123ドル高 好業績の主力株に買い (日経 電子版 07:37)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日と比べ123ドル高の4万4593ドルで引けた。パウエル議長が議会証言で利下げを急がない姿勢を示し一時重荷となったが、消費者物価指数(CPI)発表を前に様子見姿勢も強く、主力株が市場予想を上回る決算内容を発表し支えとなった。
◇Consumer prices rise 0.5% in January, higher than expected as annual rate rises to 3% (CNBC)
→*CPI(Consumer Price Index)は季節調整済みで前月比0.5%上昇し、年間インフレ率は3%となった。コアCPIはそれぞれ0.4%と3.3%で、こちらも予想を上回った。
*住居費は引き続きインフレの問題となっており、前月比0.4%上昇した。食品価格は0.4%上昇し、エネルギー価格はガソリン価格が1.8%上昇したため1.1%上昇した。
*市場は、FRBが長期に亘り利上げを据え置くとの見方が大勢を占め、消費者物価指数の発表後、次回の利下げ確率を9月に延期した。
□2月13日(木)
◇米CPI「1月ショック」再び 利下げ継続に懐疑論も (日経 電子版 06:07)
→米国の物価上昇率が下がりにくくなっている。米労働省が12日発表した1月の消費者物価指数は前年同月比で3.0%上昇し、予想を上回る強さを見せた。米連邦準備理事会(FRB)は年内に利下げできないという見方もくすぶっている。
◇米物価上昇で円安急進、154円台 ダウ225ドル安 (日経 電子版 06:20)
→12日の米金融市場でドル高・円安と株安が進行している。円相場は一時1ドル=154円台後半まで下落し、前日比2円程度ドル高・円安となった。1月の消費者物価指数が市場予想を上回る伸びとなり、利下げ時期の後ずれ観測が高まった。
ダウ工業株30種平均は反落し、前日比225ドル(0.5%)安の4万4368ドルで引けた。取引時間中の下げ幅が500ドルに迫る場面もあった。
□2月14日(金)
関税攻勢が続いていく。
◇トランプ氏が相互関税指示 相手国と同水準、日本も調査 (日経 電子版 03:56)
→トランプ米大統領は13日、外国が米国製品にかけている関税と同水準まで米国の税率を引き上げる「相互関税」の導入を指示する覚書に署名した。
ドイツやインドなど米国より比較的高い関税をかけている国や、日本のように規制など非関税障壁がある国を主な対象として想定する。今後、国ごとに調査したうえで個別の対応を取る。
世界各国を対象に調査をする。
◇NYダウ反発、342ドル高 関税の即時発動見送りで (日経 電子版 06:18)
→トランプ米大統領は13日、「相互関税」の導入を指示する覚書に署名した。市場が警戒していた即時発効には至らなかったことでダウ工業株30種平均は反発し、前日比342ドル高の4万4711ドルで取引を終えた。相互関税で米国企業の輸出競争力が上がるとの見方も株価を押し上げた。
□2月15日(土)
米国経済も堅調とされながら、先行きへの警戒感である。
◇米小売売上高、1月は0.9%減 1年ぶりの落ち込み幅 (日経 電子版 04:26)
→米商務省が14日発表した1月の小売売上高(速報値、季節調整済み)は、前月比0.9%減の7238億5300万ドル(約110兆円)だった。2024年1月以来1年ぶりの落ち込み幅となり、市場予想(0.2%減)も大きく下回った。
「実質消費の減退を示唆している」として、先行きへの警戒感が強まっている。
◇NYダウ反落、126ドル安で推移 予想下回る小売り指標で (日経 電子版 05:28)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、15時現在は前日比126ドル68セント安の4万4584ドル75セントで推移している。朝発表の米経済指標が消費の減速を映したとの受け止めは投資家心理の重荷となっている。半面、前日には米政権による「相互関税」の即時発動が回避され、インフレや貿易摩擦への過度な懸念が後退したことは引き続き株式相場を支えている。
≪市場実態PickUp≫
【TSMC関連】
1月および第一四半期の業況、そして上にも示した初の米国での取締役会について、以下の通りである。
◇TSMC、1月売上高が過去最高 AI半導体好調で35.9%増 (2月10日付け 日経 電子版 17:34)
→半導体世界大手のTSMCが10日発表した2025年1月の売上高(速報値)は前年同月比35.9%増の2932億台湾ドル(約1兆3600億円)だった。米国などで投資が相次ぐ生成AIのサーバー向けに先端半導体の販売好調が続き、同月として過去最高だった。
売上高が前年比でプラスとなるのは13カ月連続。前月比は5.4%増だった。
◇TSMC Tempers Outlook on Quake Loss as AI Concerns Persist―TSMC expects Q1 sales at low end due to earthquakes―The company’s production was affected by quakes in January―The Taiwanese company upholds full-year revenue outlook (2月10日付け Bloomberg)
→TSMCは、1月の地震で$161 millionの損失が発生したため、第1四半期売上高は予想の下限を見込んでいる。このような状況にもかかわらず、TSMCは粗利益率57%〜59%および年間通期見通しを維持している。1月の売上高は36%増の2,933億台湾ドル。
◇Quake to bring Q1 to lower end: TSMC (2月11日付け Taipei Times)
→*決算:TSMCは、先月発生した地震と数回の余震は同社の工場に構造的な損害を与えなかったと発表した。
*TSMCは昨日、先月台湾南部を襲ったマグニチュード6.4の地震により今四半期の売上げがガイダンスの低い方の端近くになると発表した。
この地震は1月21日にChaiyi県南東部を襲い、TSMCは第1四半期に約53億台湾ドル($161.4 million)の損失を出すと推定されるとTSMCは声明で述べた。
◇TSMC approves US$17.1B capital appropriation to boost advanced technology, packaging, and fab upgrades―TSMC allocates $17.1B for tech, fab upgrades (2月12日付け DigiTimes)
→TSMCは、取締役会が2024年事業報告および財務諸表を承認したことを受け、来年度の財務および戦略計画を発表した。
◇TSMC holds first board meeting in US (2月13日付け Taipei Times)
→TSMCは昨日、米国で初の取締役会を開催し、ドナルド・トランプ米大統領による関税の脅威が高まっているにもかかわらず、米国での新たな投資を発表しなかった。
トランプ大統領は台湾製チップに100%の関税を課すと脅しており、TSMCが米国でのチップ生産能力の増強や、アリゾナ工場での2ナノメートル技術プロセスなどの先端チップの前倒し生産を検討するのではないかという市場の憶測を呼んでいる。
また、米国の高関税の可能性を回避する努力の一環として、該チップメーカーが米国で独自の高度パッケージング能力を構築することを検討するのではないかという憶測も飛び交っている。
【Paris AI Action Summit】
上にも示したが、本イベントについて、いろいろ注目の内容&動きが、以下続いていく。
◇Paris AI summit: France and EU promise to cut red tape on tech―Companies look to make Europe a leader in AI (2月10日付け Reuters)
→フランスでAIサミットが始まり、欧州をAIリーダーにするために多くの新興企業や既存企業が署名した。一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、民間AI投資$112 billionを発表した。
◇Macron unveils $112B AI investment package, France’s answer to US’ Stargate (2月10日付け TechCrunch)
→現地時間の日曜9日遅く、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、AIエコシステムに対する総額1090億ユーロ(現在の為替レートで約$112 billion)の民間投資を発表した。パリでは今週、Artificial Intelligence Action Summitが開催される。これは、英国のブレッチリー・パーク(Bletchley Park)と韓国のソウル(Seoul)で開催されたイベントに続く、AIに焦点を当てた3番目の国際サミットである。
◇Tech giants and startups join forces to call for simpler EU rules on AI, data (2月10日付け TechCrunch)
→月曜10日にパリで開催されたAIサミットでは、既存の大手企業からAIスタートアップ(フランスの大規模言語モデル[LLM]メーカー、ミストラル[Mistral]を含む)まで、約60の欧州企業が、欧州をAI分野のリーダーとして確立するためのイニシアティブに署名した。しかし、彼らが署名する必要性を全く感じたという事実は、ヨーロッパが現状ではAIにおけるリーダーには程遠いという広く受け入れられている見解を浮き彫りにしている。
◇Europe wants to be part of the AI race against China and the U.S. - and shake off its anti-innovation image (2月12日付け CNBC)
→*欧州は、これまで米国と中国が独占してきたAIのリーダーシップとイノベーションをめぐる話題の一翼を担おうとしている。
*この地域は長い間、技術革新の弊害となるようテック業界を厳しく規制してきた場所として、批評家から見られてきた。
*しかし、CNBCの取材に応じたエグゼクティブによると、フランスを筆頭とするヨーロッパがAIへの投資を強化しようとしていることから、若干の認識の変化も見られるという。
◇AIサミット、米英は共同声明に署名せず EUと火花 (2月12日付け 日経 電子版 05:46)
→パリで11日まで開いた「AIアクションサミット」(フランスとインドが共催:2月10〜11日)で、米欧がAI規制を巡り火花を散らした。
欧州主導でAIの持続可能な発展に向けた国際ルールを探ったが、最終的に米国と英国が署名を拒んだ。米国のバンス副大統領は「過度な規制は革新的な産業を殺しうる」と欧州連合(EU)を暗に批判し、路線対立が目立った。
◇Trump administration declares 'most powerful' AI chips will be built in America―"The most powerful AI systems are built in the US with American-designed and manufactured chips.” (2月12日付け Tom’s Hardware)
→JD Vance(JDバンス)米副大統領は、Paris AI Action Summitの最終日に基調講演を行い、テクノロジーに関するトランプ政権の戦略についていくつかの重要な見解を述べた。バンス氏はスピーチの中で、AIがもたらすチャンスに焦点を当て、ホワイトハウスが政策を通じてこの技術を支援し続けることを強調した。「米国はAIのリーダーであり、我々の政権はそれを維持する計画だ。米国は、先進的な半導体設計、フロンティア・アルゴリズム、そしてもちろん変革的なアプリケーションを含む、AIスタックのすべての構成要素を保有している」と副大統領は述べた。「米国の優位性を守るため、トランプ政権は最も強力なAIシステムが米国で設計・製造されたチップで構築されるようにする。」
【Armの半導体自社開発】
半導体IPプロバイダーから半導体自社開発へ。中立的な立場から競争相手に、非常に大きな転身の動きであり、今後に注目である。
◇Report: Chip Designer Arm Plans to Become Chip Manufacturer―Arm reportedly plans to manufacture its own chips (2月13日付け PYMNTS)
→アームは2025年夏までに、Meta Platformsを最初の顧客として、初の自社開発プロセッサーをリリースする予定だと報じられている。この動きは、Armの役割が中立的なIPプロバイダーから、チップ設計における直接的な競争相手へとシフトすることを示唆している可能性がある。このチップはTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)のような契約工場で製造されることになり、この動きは、Armベースのサーバー用中央演算処理装置(CPUs)も製造しているNvidiaのような自社の顧客に対する競争相手としてArmを位置づける可能性がある。
◇Arm shares rise on report that Meta will buy its first chip (2月13日付け CNBC)
→*木曜13日に報じられた、自社製チップを開発中であること、そして最初の顧客としてメタ社を確保したことを受け、アーム社の株価は6%上昇した。
*フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、アームは多くの顧客と競合する新製品を開発しているという。
*アームは歴史的にチップテクノロジー企業の「スイス」として知られており、競合するチップメーカーと中立的に取引することでその名声を得てきた。
◇Arm is reportedly developing its own in-house chip (2月14日付け Engadget)
→1)この新型CPUは、$500 billion規模のStargate AIプロジェクトの一部となる可能性がある。
2)フィナンシャル・タイムズ紙が報じたところによると、チップ設計者のアーム社は、メタ社を顧客とする独自のプロセッサを今年発表する予定だという。このチップはデータセンターのサーバー用に設計されたCPUで、顧客向けにカスタマイズされる可能性がある。FT紙の情報筋によれば、製造はTSMCのような委託製造工場に委託され、最初の自社製チップは早ければ今夏にも発表される可能性があるという。
◇Arm's rumored chip design push raises questions over its neutral industry role (2月14日付け DigiTimes)
→英国を拠点とする半導体IP大手アームが、チップ設計への取り組みを拡大し、早ければ2025年夏に初の自社開発プロセッサをリリースする計画であると報じられている。報道によると、Meta Platforms社はその最初の顧客のひとつであり、業界におけるArmの役割に変化が起こる可能性を示している。
◇アーム、独自開発の半導体をメタに供給 FT報道 (2月14日付け 日経 電子版 08:02)
→英紙フィナンシャル・タイムズは13日、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームが独自開発する半導体を米メタに供給すると報じた。2025年にも自社の半導体に参入する計画を進めるなか、メタが最初の顧客の1社になる見通しだ。
アームはかねて25年中に自社開発の半導体を投入する計画を進めている。
報道によると25年夏にも発表する予定だ。
【半導体市況関連】
世界半導体販売高が昨年、2024年は史上最高を更新と前回示したが、AI関連が大きく引っ張って、その他の分野は低迷気味の現状を裏付ける以下の内容&データである。
◇Exports expand 4.4 percent on demand for AI―INBOUND SHIPMENTS: Imports fell 17.2% as local firms cut purchases of agricultural and industrial materials, but procured more IC equipment (2月8日付け Taipei Times)
→台湾・財務省が昨日発表したところによると、先月の輸出額は前年比4.4%増の$38.71 billionとなった。これは、AIによる旺盛な需要のおかげであり、旧正月休暇による混乱を補って余りあるものであった。
◇SIA reports 2024 semi sales of $627bn―US semiconductor sales soar 44.8% in 2024―2024 semiconductor sales of $627 billion were 19.1% up on the $526.8 billion 2023 market, reports the SIA. (2月10日付け Electronics Weekly (UK))
→米国SIAによると、世界の半導体売上高は2024年に$627 billionに達し、初めて$600 billionを突破した。米国の売上高は44.8%増、中国は18.3%増となったが、欧州の売上高は8.1%減となった。ロジックチップは$212.6 billionで売上高を牽引し、メモリはDRAMの売上高82.6%増が牽引し78.9%増の$165.1 billionとなった。
◇SK Hynix, Samsung see exports of multi-chip packages fall in January 2025 (2月12日付け DigiTimes)
→韓国のメモリーメーカー、SKハイニックスは、2025年1月のマルチチップパッケージ(MCP)の輸出が前月比で30%近く減少した。同時に、2年間の急成長の後、HBMは季節的な需要変化の影響を受けやすくなっていると考えるアナリストもいる。
韓国の代替データプラットフォーム、Aicelによると、Icheonと清州にあるSKハイニックスの主要生産拠点からのMCPsの1月の暫定輸出額は約$1.29 billionだった。
◇半導体装置に一服感 「AI向け以外」陰り―今年は調整局面 次世代技術で反転へ足場固め (2月12日付け 日刊工業)
→堅調に成長してきた半導体製造装置市場に一服感が出てきた。AI向け半導体は引き続き設備投資をけん引するが、AI向け以外の半導体は投資の勢いを欠く。近年、日本企業の上得意客だった中国の半導体工場も需要に陰りが出てきた。今後、対中輸出規制が強化されると、中国企業への販売が大きく剥落する懸念もある。2025年の同市場はAI向けを除き、調整局面に入ることが濃厚だ。
◇Worldwide Silicon Wafer Shipments and Revenue Start Recovery in Late 2024, SEMI Reports (2月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→2024年後半、世界のシリコンウェーハ需要は2023年に見られた業界のダウンサイクルから回復し始めた、とSEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)はシリコンウェーハ業界の年末分析で報告した。2024年の世界のシリコンウェーハ出荷量は2.7%減の122億6600万平方インチ、ウェーハ売上げは同期間に6.5%減の$11.5 billionに縮小した。
2024年には、大口セグメントからの最終需要が低迷し、工場稼働率や特定用途向けウェーハ出荷に影響を与えたため、広範な在庫調整が鈍化した。回復は2025年まで続き、本年下半期に向けてより強い改善が見込まれる。
※シリコン業界年次トレンド
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
Area Shipments (MSI) | 12,407 | 14,165 | 14,713 | 12,602 | 12,266 |
Revenues ($Billion) | 11.2 | 12.6 | 13.8 | 12.3 | 11.5 |
◇DRAM値下がり加速 1月、中国の自国産優遇で需給緩み (2月14日付け 日経 電子版 02:00)
→DRAMの価格の下落が加速している。指標品の1月の大口取引価格は前月比6%安と5カ月連続で下がり、下落率は1年10カ月ぶりの大きさになった。パソコン(PC)やスマートフォン向け需要が鈍いなか、中国で自国生産したDRAMを使う動きが広がり、世界的に需給が緩んでいる。
◇台湾IT19社、14.1%増収 1月 鴻海やクアンタ、AI需要 (2月14日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の2025年1月の売上高合計は前年同月比で14.1%増だった。AI向けサーバー関連が好調で、米エヌビディアなどからサーバー生産を受託する鴻海精密工業や広達電脳が恩恵を受けた。
【中国半導体関連】
米中摩擦に備えて、厳しい業況のなか投資水準を維持するSMICはじめ、現下の動き&内容を取り出している。
◇China consumer electronics subsidy spurs flagship SoC competition―Chinese phone manufacturers tap subsidies for SoC (2月9日付け DigiTimes)
→中国のスマートフォンブランドとSoC設計者は、中国の新しい家電補助金制度に後押しされ、プレミアムデバイスの需要について楽観的な見方を強めている。この進展は、特にクアルコムとメディアテックに恩恵をもたらしている。
◇China chip policy challenges Taiwan―‘LEGACY CHIPS’: Chinese companies have dramatically increased mature chip production capacity, but the West’s drive for secure supply chains offers a lifeline for Taiwan (2月11日付け Taipei Times)
→2015年にPowerchip Technology Corp(力晶科技)が中国東部の合肥市と新たなチップファウンドリーを設立する契約を結んだとき、同社はこの動きが有望な中国市場へのアクセス向上に役立つことを期待した。しかし9年後、その中国のファウンドリーであるNexchip Semiconductor Corp(合晶集成)は、レガシー・チップ分野で最大のライバルのひとつとなり、北京のローカライゼーション要請によってパワーチップ社が中国のフラットパネル向け集積回路(ICs)製造というかつては儲かった事業を諦めざるを得なくなった後、急な値引きでテコ入れしている。
◇China will likely reduce purchase of chipmaking tools this year as homegrown toolmakers ramp up―Reports: China's chipmaking tool buying to likely drop―China's investment in semiconductor manufacturing tools is expected to drop by $3 billion. (2月12日付け Tom's Hardware)
→TechInsightsによると、中国のチップ製造装置における投資は、米国の制裁と過剰生産能力により、今年は6%減の$38 billionになると予想されている。AMECやNauraのような国内ツールメーカーは地歩を固めつつあるが、中国のチップメーカーは先進的なリソグラフィ装置については依然として海外サプライヤーに大きく依存している。
◇SMIC profit plunges 45% on US-China trade tensions (2月12日付け Taipei Times)
→中国トップのチップメーカー、SMICは昨日、米中貿易摩擦の高まりを背景に、昨年の利益が前年から大幅に急落したと発表した。SMICは香港証券取引所に提出した資料の中で、「2024年の未監査利益は$492.7 millionで、2023年の$902.5 millionから45.4%減少、主に、投資収益および金融収益の減少による。」とSMICは述べた。
◇SMIC、今期も高水準の投資維持 半導体、米中対立に備え (2月13日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、SMICは11日、2025年12月期の投資額について、前期(24年12月期)並みの高水準を維持すると発表した。前期の利益は半分近くに減少したが、トランプ大統領の再登板による米国との半導体分野での対立先鋭化に備え、生産能力の拡大を急ぐ。
◇CXMT advances to 16nm DRAM production, pushes 15nm development ―CXMT moves to 16nm DRAM, eyes 15nm amid US sanctions (2月13日付け DigiTimes)
→TechInsightsによると、ChangXin Memory Technologies(CXMT)は次世代DRAMの開発を加速し、最初のDDR5製品について17nmから16nmプロセス技術に移行した。同社は15nm DRAMも進めており、2025年までに研究開発を完了し、2026年後半に量産を開始する計画である。
【AI半導体関連】
Nvidia、NXPそしてQualcomm、現下のそれぞれの取り組みである。
◇Nvidia RTX 5060 claimed to feature just 8GB of VRAM - the 5060 Ti may get 8GB and 16GB flavors―Rumor: Nvidia's RTX 5060 to feature 8GB VRAM with GDDR7 memory ―Similar capacities as the last generation. (2月9日付け Tom's Hardware)
→NvidiaのエントリーレベルRTX 5060 GPUに関する新情報によると、前世代のRTX 4060と同様に8GBのVRAMバッファを維持するようだ。しかし、RTX 5060 Tiは8GBと16GBで発売され、後者には価格プレミアムがつく。これは、我々が少し前に取り上げたEEC (Eurasian Economic Commission)への申請と同じで、Maxsunは8GBと16GBのRTX 5060 Tiモデルをいくつか登録した。
◇NXP buys Kinara―NXP to buy Kinara to boost AI offerings―NXP is to buy Kinara, the programmable discrete neural processing unit (NPU) specialist. (2月10日付け Electronics Weekly (UK))
→NXPセミコンダクターズは、$307 million相当の全額現金取引でKinaraを買収する。この動きは、Kinaraの高度なNPUsとソフトウェアをNXPのポートフォリオに組み込むことで、NXPのAI能力を強化することを目的としている。
◇NXP Agrees to Acquire Edge AI Pioneer Kinara (2月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→NXPセミコンダクターズN.V.は本日、高性能でエネルギー効率に優れ、プログラマブルなディスクリートNPUの業界リーダーであるKinara, Inc.を買収する正式契約を締結したと発表した。これらのデバイスは、マルチモーダル生成AIモデルを含む幅広いエッジAIアプリケーションを可能にする。買収は$307 million相当の現金取引となり、規制当局の認可を含む慣習的な完了条件に従い、2025年前半に完了する予定である。
◇NXP Acquires AI Chip Startup Kinara (2月11日付け EE Times)
→*NXP、AIチップの新興企業、Kinaraを$307 millionで買収 エッジAI機能を強化へ
*NXPセミコンダクターズは、シリコンバレーのエッジAIチップスタートアップ、Kinaraを現金$307 millionで買収した。該AIチップ新興企業は$54 millionの資金を調達し、2021年にBラウンドを完了した。この買収は、エッジAIチップの競合であるGrAI Matter(Snapが買収)、Perceive(Amazonが買収)、Flex Logix(ADIが買収)およびBlaize(SPAC経由で上場)の最近のexitsに続くものだ。
◇Qualcomm Snapdragon 6 Gen 4 Brings AI to Even More Phones―Qualcomm extends AI mobile chip to mid-range line (2月12日付け PC Magazine)
→*同社の最新プロセッサーは、CPUとGPUの性能向上と省電力化を誇っており、手頃な価格の携帯電話に初めてオンデバイスAIが搭載されることになる。
*手ごろな価格の携帯電話が大幅にパワーアップしようとしている。クアルコムは、ミッドレンジ・モバイル・チップのラインナップを更新するSnapdragon 6 Gen 4を発表した。
最も基本的なレベルでは、Snapdragon 6 Gen 3と比較して、6 Gen 4のCPUは11%高速化し、GPUは29%高速化し、合計で12%の省電力化を実現したとしている。これらの適度な消費電力の向上は、クラウドに依存するのではなく、一般的な日常的な携帯電話がデバイス上でジェネレーティブAIを実行できるようになることを意味する。