2024年の世界半導体販売高、19.1%増$627.6 Billion;DeepSeek余波
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、今回は2024年の年間について、19.1%増の$627.6 Billionと初めて$600 billionを突破して、史上最高を更新している。2024年12月は$56.97 Billionで前月比1.2%減となり、前月11月まで8ヶ月連続の前月比プラスから転じている。人工知能(AI)関連需要が大きく引っ張って、他の応用分野の本格的な回復が待たれる現下の市況であり、今後の動向に一層の注視を要するところである。前回取り上げたAIモデルを巡る中国のDeepSeek台頭の衝撃であるが、その評価について米国および中国はじめいろいろ駆け巡っており、しばらく続きそうな様相の中、関連内容を取り出している。
≪今後に一層注目の販売高推移≫
米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。
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○2024年のグローバル半導体販売高が19.1%増;2025年は二桁伸長の見通し―2024年販売高は年間総計最高 …2月7日付け SIA/Latest News
SIAが本日、2024年の世界半導体販売高が$627.6 billionに達し、2023年の合計$526.8 billionから19.1%増となったと発表した。さらに、第四四半期の販売高、$170.9 billionは、2023年第四四半期より17.1%増、2024年第三四半期より3.0%増である。また、2024年12月の世界販売高は$57.0 billionで、2024年11月の合計に比べ1.2%減少した。月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関がまとめたもので、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「世界の半導体市場は、2024年に過去最高の販売高を記録、初めて年間販売高$600 billionを超え、2025年も二桁の市場成長が予測されている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「半導体は、医療機器、通信、防衛アプリケーション、AI、高度輸送、その他数え切れないほどの分野を含む、事実上すべての現代技術を可能にするものであり、業界の長期的見通しは信じられないほど力強い。」
地域別の年間販売高は、the Americas (44.8%), China (18.3%), およびAsia Pacific/All Others (12.5%)では増加したが, Japan (-0.4%), およびEurope (-8.1%)では減少した。12月の販売高前月比では、the Americas (3.2%)では増加したが、Asia Pacific/All Others (-1.4%), China (-3.8%), Japan (-4.7%), およびEurope (-6.4%)では減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Dec 2023 | Nov 2024 | Dec 2024 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 12.83 | 19.43 | 20.05 | 56.3 | 3.2 |
Europe | 4.55 | 4.44 | 4.16 | -8.6 | -6.4 |
Japan | 3.81 | 4.17 | 3.97 | 4.1 | -4.7 |
China | 15.14 | 16.15 | 15.53 | 2.6 | -3.8 |
Asia Pacific/All Other | 12.32 | 13.45 | 13.26 | 7.6 | -1.4 |
計 | $48.68 B | $57.64 B | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % |
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市場地域 | 7- 9月平均 | 10-12月平均 | change |
Americas | 17.24 | 20.05 | 16.3 |
Europe | 4.43 | 4.16 | -6.0 |
Japan | 4.21 | 3.97 | -5.6 |
China | 16.04 | 15.53 | -3.2 |
Asia Pacific/All Other | 13.40 | 13.26 | -1.0 |
$55.32 B | $56.97 B | 3.0 % |
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「半導体販売高が世界的に増加する中、米国は2032年までに国内チップ製造能力を3倍にするとの見通しであり、我が国はサプライチェーンを強化し、世界的な需要増に対応するための強力な立場にある。米国がチップ技術でトップを維持するために、ワシントンの指導者は半導体生産と技術革新を促進し、ハイテク労働力を強化し、そして米国の貿易リーダーシップを回復する政策を進めるべきである。」
2024年にはいくつかの半導体製品分野が目立った。ロジック製品の2024年の売上高は合計$212.6 billionで、売上高で最大の製品分野となった。メモリー製品の売上高は第2位で、2024年には78.9%増の$165.1 billionとなった。メモリのサブセットであるDRAM製品の売上高増加率は82.6%で、2024年の製品分類の中で最大の伸び率を記録した。
※12月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/02/December-2024-GSR-Table-and-Graph-1.pdf
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これを受けた取り上げが、次の通りである。
◇Global chip sales rose 19.1% in 2024 and will hit double digit growth in 2025 thanks to AI | SIA (2月7日付け Venture Beat)
◇Global Semiconductor Sales Increase 19.1% in 2024; Double-Digit Growth Projected in 2025 (2月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、一昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ている。以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、以後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、5月には増勢をさらに高めて、2022年半ば以来の販売高、および前年同月比伸び率となっている。そして、6月はほぼ$50 Billionであるが、この大台を本年後半に突破し続けられるかどうか、2022年と見比べての注目となる。7月は$51.32 Billionと2022年の月次最高に次ぐ水準である。2022年から大きく踏み上がれるかどうか、全体的な市場拡大の到来如何にかかってくる。8月は$53.12 Billionと、以下で見ると、月間最高値を示している。本年後半の増加踏み上げとなるか、引き続き注目である。そして9月、$55.32 Billionと、文句なしの史上最高となり、この勢いが続けば、2022年の年間販売高更新も視界に入ってくる可能性がある。
10月は、$56.88 Billionとさらに最高更新、2022年の年間販売高更新が確実となっている。AIが圧倒的に引っ張る現下の情勢の半導体市場特性の見極めを要するところである。
そして、11月は$57.82 Billionで、8月から連続しての月次最高を更新となり、いつまでこの増勢が続くかに今後の注目である。従来の年間最高の2022年には、以下の見方でもあと$24.3 Billionであり、最高更新は確実と言えそうである。
12月は$56.97 Billionと、11月まで8ヶ月連続の前月比プラスがマイナスに転じている。それでも年間累計は初めて$600 Billionを超えて、2022年以来の年間最高更新で2024年の締めとなっている。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % | |
2024年 9月 | $55.32 B | 23.2 % | 4.1 % | |
2024年10月 | $56.88 B | 22.1 % | 2.8 % | |
2024年11月 | $57.82 B | 20.7 % | 1.6 % | |
2024年12月 | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % | $616.70 B |
→年間最高更新 |
AI関連需要が大きく引っ張る現下の市況であるだけに、2025年の半導体市場がどう動いていくか、他の応用分野の回復がどうなっていくか、今後の動向に一層の注目である。
Gartnerからは、2024年の半導体市場が、次のようにあらわされている。
$626 billionと、SIAのデータとほぼ並ぶとともに、2025年の世界半導体売上高が$705 Billionと予測されている。
また、ベンダーランキングでは、Samsung、インテル、そしてNvidiaの順にトップ3という見方となっている。
◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 18% in 2024 (2月3日付け Gartner)
→*サムスン電子がインテルから1位を奪還、エヌビディアが3位に浮上
*データセンターにおける半導体売上高は2024年にほぼ倍増の$112 Billionに
*2025年の世界半導体売上高は$705 Billionと予測
ガートナー社の速報によると、2024年の世界半導体売上高は$626 billionとなり、2023年から18.1%増加した。2025年の売上高は$705 billionになると予測されている。
※2024年世界半導体ベンダー売上げトップ10 (金額・USM$)
2024 | 2023 | ベンダー | 2024 | 2024 | 2023 | 2024-2023 |
Rank | Rank | 売上げ | シェア | 売上げ | 伸び率 | |
1 | 2 | Samsung Electronics | 66,524 | 10.6 | 40,942 | 62.5 |
2 | 1 | Intel | 49,189 | 7.9 | 49,117 | 0.1 |
3 | 5 | NVIDIA | 45,988 | 7.3 | 25,053 | 83.6 |
4 | 6 | SK hynix | 42,824 | 6.8 | 23,027 | 86.0 |
5 | 3 | Qualcomm | 32,358 | 5.2 | 29,225 | 10.7 |
6 | 12 | Micron Technology | 27,843 | 4.4 | 16,123 | 72.7 |
7 | 4 | Broadcom | 27,641 | 4.4 | 25,613 | 7.9 |
8 | 7 | AMD | 23,948 | 3.8 | 22,307 | 7.4 |
9 | 8 | Apple | 18,880 | 3.0 | 18,052 | 4.6 |
10 | 9 | Infineon Technologies | 16,001 | 2.6 | 17,022 | -6.0 |
Others | 274,775 | 43. | 263,483 | 4.3 | ||
Total Market | 625,971 | 100.0 | 529,964 | 18.1 |
[Source: Gartner (February 2025)]
◇世界の半導体市場、24年は18%増 サムスンが首位奪還 (2月4日付け 日経 電子版 13:16)
→米調査会社ガートナーは3日、2024年の世界の半導体市場が23年比18%増の$626 billion(約97兆円)だったとの推計を発表した。生成AI向けに画像処理半導体(GPU)など、高性能チップの需要が伸びた。個別企業では米インテルの苦戦が目立つ中、韓国サムスン電子の売上高が2年ぶりに世界首位となった。
◇世界の半導体市場、昨年18%増 (2月5日付け 日経)
→米調査会社ガートナーは3日、2024年の世界の半導体市場が23年比18%増の$626 billion(約97兆円)だったとの推計を発表した。生成AI向けに画像処理半導体(GPU)など、高性能チップの需要が伸びた。個別企業では米インテルの苦戦が目立つ中、韓国サムスン電子の売上高が2年ぶりに世界首位となった。
◇世界の半導体市場、昨年18%増$626 billion 米ガートナー調べ (2月6日付け 日刊工業)
→米調査会社ガートナーによると2024年の世界の半導体市場は前年比18.1%増の$626 billion(約97兆円)だった。生成AI向けの画像処理半導体(GPU)やAIプロセッサーが伸びた。
個別企業のランキングでは、メモリー価格の上昇を背景に韓国のサムスン電子が売上高で同62%増の$66.5 billion、シェアは10・6%と首位になった。前年首位の米インテルはAI向けの販売が振るわなかった。
◇Chip market hits $626bn―Gartner: Semiconductor revenue up 18.1% in 2024 (2月7日付け Electronics Weekly (UK))
→1)ガートナーによると、2024年の世界の半導体売上高は$626 billionで、2023年から18.1%増加した。2025年の売上高は$705 billionになると予測されている。
2)ガートナーによると、2024年の世界半導体売上高は$626 billionに達し、2023年から18.1%増加した。成長を牽引したのはデータセンター向けグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)とAIプロセッサーで、データセンター向け半導体の売上高は$112 billionに増加した。
ベンダー別ではサムスン電子が首位に返り咲き、インテルそしてエヌビディアが続いた。メモリー売上げもDRAMとNANDを中心に飛躍的な伸びを示した。
次に、DeepSeekを巡る余波が引き続いており、以下基本目に入った順に示している。米中摩擦の応酬の様相がそれぞれに見られている。
◇My Take | China’s DeepSeek has shown how the US tech war is fatally flawed (1月31日付け South China Morning Post)
→*市場と政策を歪めてきたウォール街の誇大広告とワシントンの「脅威インフレ」が、新興企業の意外な躍進によって露呈した。
*ワシントンは間違った中国AI企業をターゲットにした。ジョー・バイデン前大統領のハイテク戦争の最後の行動のひとつは、中国の20数社のチップとAI企業、そしてシンガポールの2社をブラックリストに載せることだった。その中には、AI用の大規模言語モデル(LLM)の開発で中国で最も著名な新興企業であるZhipuも含まれていた。
残念ながら、ディープシークはリストに含まれていなかった。今、アメリカの技術戦士たちは、定義がどうであれ、アメリカの国家安全保障に脅威を与えているとして、この企業を中国の 「企業リスト 」に加えなければならないかもしれない。
◇DeepSeek might not be as disruptive as claimed, firm reportedly has 50,000 Nvidia GPUs and spent $1.6 billion on buildouts―DeepSeek's AI model claims questioned amid high costs―The fabled $6 million was just a portion of the total training cost. (2月2日付け Tom's Hardware)
→中国の新興企業、DeepSeekは、最小限のリソースで高度なAIモデル「R1」を開発したと主張しているが、SemiAnalysisによると、DeepSeekは実際にハードウェアに$1.6 billion(報道されている$6 millionをはるかに上回る)を費やし、5万台のNvidiaグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)を運用しているという。DeepSeekの台頭は、戦略的投資とmulti-head latent attention(MLA:効率的な推論処理を可能にする技術)などのイノベーションに起因している。
◇Chinese AI app DeepSeek was downloaded by millions. Deleting it might come next (2月2日付け CNBC)
→*中国のジェネレーティブAI「DeepSeek」は先週、OpenAIの「ChatGPT」を抜いて無料アプリのダウンロード数第1位となり、中国政府が国内企業に対して中国とデータを共有するよう要求していることから、国家安全保障の専門家を憂慮させた。
*TikTokと同様にDeepSeekを法的に禁止する取り組みが行われる可能性もあるが、NASAから米海軍、テキサス州から台湾およびイタリアに至るまで、政府による禁止措置が迅速に実施された。
*サイバーセキュリティ企業はすでに、データ漏洩を可能にする該アプリの脆弱性を発見しており、CNBCのインタビューに応じたある国家安全保障の専門家によれば、ディープシークのプライバシーポリシーは「書いてある紙の価値もない 」という。
◇Opinion | Why DeepSeek caught so many in the West by surprise (2月2日付け South China Morning Post)
→*ディープシークをめぐる不安は、中国に関する確証バイアスが、欧米の多くの人々の中国理解を妨げていることを反映している。
*欧米のメディアを追っている者にとって、中国に関する典型的な報道は、パートナーとは対照的に、競争相手やライバルというレッテルを中心に展開される傾向がある。
中国をめぐるスパイ記事は見出しを独占し、広く取り上げられ、共有される。私のような香港の欧米人駐在員は、このような記事について質問され、中国に関する終末的な報道を支持する答えを提供することを期待される。
◇Is China's DeepSeek blessing or curse for Korean chipmakers?―HBM demand will remain strong despite intensifying AI hegemony war between US, China: experts (2月2日付け The Korea Times)
→サムスン電子とSKハイニックスは、中国のAI新興企業、ディープシーク(DeepSeek)の出現により、急速に成長するAIメモリーチップ事業で不確実性が増すと予想され、Nvidiaや他の米AI技術企業に打撃を与えていると専門家は金曜31日に述べた。
ディープシークは最近、OpenAIのo1に匹敵する性能を持つ最新の推論モデル「R1」を発表した。この新興企業は、中国市場向けに設計された低グレードのNvidiaグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)を使用しているにもかかわらず、このモデルのトレーニングには$5.5 million強止まりの費用がかかったと述べた。
◇ディープシーク開発陣、習近平政権で英雄視の動き…創業者の故郷に「誇りと希望」横断幕 (2月3日付け 讀賣新聞オンライン)
→中国の新興企業ディープシークが開発した生成AIについて、習近平政権が官製メディアで 喧伝を繰り広げている。最先端分野で「国産モデル」が米国勢に伍してAI強国化に近づいたとして、創業者の梁文鋒氏ら同社メンバーを英雄視する動きも広がる。
◇DeepSeekだけじゃない 次に来る中華AIスタートアップ (2月3日付け 日経 電子版 05:00)
→中国でAIスタートアップが続々と登場している。低コストで高性能な生成AIを発表したDeepSeekを筆頭に、月之暗面(Moonshot AI)なども力を付けている。ネット大手の資金や学術機関の人材が「中華AI」の成長を支え、米企業が中心だった性能競争は新たな局面を迎えている。
1月20日夜、ディープシークが最新の生成AIの大規模言語モデル(LLM)「R1」を公開した・・・・・
◇DeepSeek research suggests Huawei's Ascend 910C delivers 60% of Nvidia H100 inference performance―DeepSeek: Huawei Ascend 910C exceeds expectations―Aging chip could succeed in reducing China's reliance on Nvidia GPUs. (2月4日付け Tom's Hardware)
→Huawei(ファーウェイ)のHiSilicon Ascend 910Cプロセッサは、DeepSeekのテストによると、NvidiaのH100の60%の推論性能を発揮し、予想を上回り、中国のNvidiaグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)への依存度を下げる910Cの可能性を強調した。しかし、Ascend 910Cは、Nvidiaが強力なリードを維持しているAIトレーニングでは遅れをとっている。
◇Opinion | DeepSeek success shouldn’t be seen as a win for China or loss for US (2月4日付け South China Morning Post)
→*双方のタカ派は協力が国家安全保障を損なうと言うが、中国と米国の科学者は研究を共有することで多くのことを得ることができる。
*1月1日、AIの技術革新に詳しくない人はディープシークを知らなかっただろう。しかし、1月下旬には広く知られるようになった。
メタやオープンAIといった米国のハイテク企業は、これまで無名だったこの中国の新興企業が成し遂げた明らかなブレークスルーに衝撃を受けた。
◇エヌビディア株、価値85兆円消失 ディープシーク登場、1週間で16%安 ソフトウエア銘柄に資金 (2月4日付け 日経)
→米国株をけん引してきた半導体大手エヌビディアの1強体制が揺らいでいる。中国企業による低コスト・高性能のAI登場で、AI半導体の需要期待が剥落した。投資家は次の勝ち組を探している。エヌビディアの株価は1月31日、前日比4%安の120.07ドルで引け、中国AI企業DeepSeekで揺れた1週間を締めくくった。前週24日終値と比べると株価はなお16%低い。この間に失った企業価値は約$550 billion(約85兆円)に及ぶ。
◇ディープシークのAI 百度やアリババ…中国テック導入 自社サービスに組み込み (2月5日付け 日経)
→百度など中国テック大手各社は、中国の新興DeepSeekが開発した生成AIモデルを利用できるサービスを相次ぎ発表した。ディープシークのAIモデルは低コスト、高性能とされ注目度が高く、自社サービスに組み込み顧客拡大を狙う。
◇東大の松尾豊教授、中国DeepSeekのAI台頭「日本にも勝機」 (2月6日付け 日経 電子版 05:00)
→中国のスタートアップ、DeepSeekが開発した高性能・低コストの生成AIの大規模言語モデル(LLM)が世界から注目されている。AI研究の第一人者である東京大学の松尾豊教授に、同社の最新AIモデルへの評価やセキュリティーのリスク、日本企業への影響などを聞いた。・・・・・
◇AI研究、米国1強の実相 主力人材は中国の大学卒―カッサンドラの絶景 (2月6日付け 日経 電子版 08:00)
→AI研究で世界をけん引する米国は、関連技術や製品の開発で中国と対立を深めている。だが実は米国の研究力を支える黒子は、当の中国だった――。米シンクタンクの分析によると、米国の企業や研究機関に在籍する優れたAI研究者の約4割を中国の大学出身者が占めた。既に米国の大学出身者を上回り、主力を担う。二大国の対立という単純な構図では割り切れないAI研究の真相が見えてきた。
◇DeepSeek、中国政府にデータ送信機能 米報道 (2月6日付け 日経 電子版 22:47)
→米ABCテレビは、中国の新興企業DeepSeekが開発した生成AIを巡り、利用者のデータを中国政府に送信する機能を有していると報じた。米国のDeepSeekに対する警戒感が一段と高まりそうだ。
専門家がDeepSeekのプログラミングコードを分析したところ、利用者のデータが中国政府の影響下にあるサーバーに送られる機能を有することが分かったという。中国政府との関わりが判明したことで国家安全保障に対するリスクが浮き彫りになったとしている。
◇Alibaba's new Qwen model surpasses DeepSeek V3 in performance―Alibaba's Qwen 2.5 Max outperforms DeepSeek V3 in tests (2月7日付け DigiTimes)
→アリババのQwen 2.5 Maxは、サードパーティベンチマークテストでDeepSeekのV3を上回り、中国の非推論モデルでトップとなった。Qwen 2.5 Maxは20兆以上のトークンで学習され、AnthropicのClaude 3.5 SonnetやOpenAIのGPT-4に匹敵する能力を示している。
◇米IT4社、「DeepSeek後」も攻めの投資 AIが競争軸に (2月7日付け 日経 電子版 14:46)
→米IT大手がAIインフラへの巨額投資を続ける。米アマゾン・ドット・コムなど主要4社の設備投資は約37兆円だった2024年に続き、25年も高水準となる見通しだ。中国の新興企業DeepSeekの台頭で投資対効果に不安が高まる中でも、各社は攻めの姿勢を崩していない。
諸々の評価、言い分がどう収束していくか、今後に注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□2月2日(日)
トランプ米大統領の打ち出す関税に始まった今週であり、以下引き続く動きである。
◇トランプ関税、政権の強硬派が主導 直前まで綱引き (日経 電子版 23:21)
→トランプ米大統領が1日打ち出したカナダなどに対する高関税は同氏に近い強硬派の高官が主導した。関税を課す前に交渉すべきだとの意見を振り払い、同盟国の報復を招いた。市場が歯止め役として期待した穏健派の力は乏しかった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは1月31日、政権内で関税の実施を阻止しようとする動きがあると伝えた。
□2月3日(月)
◇トランプ関税、4カ国でGDP90兆円消失 半分は米国自身 (日経 電子版 07:58)
→トランプ米政権は4日からカナダ・メキシコに25%、中国に10%の追加関税を課す。関係する4カ国で目減りする国内総生産(GDP)は年90兆円規模に上り、そのうち半分は米国自身が負う可能性がある。世界経済に波乱を巻き起こす判断のツケを、米国民が払う構図になりかねない。
□2月4日(火)
関税およびインフレへの警戒を伴いながら以下の上げ下げの今週の米国株式市場である。
◇NYダウ122ドル安 関税延期で懸念後退、下げ幅縮める (日経 電子版 07:07)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比122ドル75セント(0.27%)安の4万4421ドル91セントで終えた。トランプ政権が週末にカナダやメキシコ、中国に対して関税を引き上げる方針を発表し、米経済や企業収益への影響が懸念された。午前にトランプ大統領がメキシコと関税発動の延期で合意したと伝わった後は下げ渋り、上げに転じる場面もあった。
◇トランプ関税、対カナダ・メキシコは延期 中国とも協議へ (日経 電子版 09:56)
→トランプ米大統領とカナダのトルドー首相は3日、4日に予定されていた関税の発動を1カ月延期することで合意したと発表した。メキシコも首脳間の合意で1カ月延期が決まった。トランプ氏は中国とも4日にも協議する。
◇トランプ政権、対中10%関税発動 中国は10日に報復措置 (日経 電子版 18:51)
→トランプ米政権は4日、中国からのすべての輸入品に10%の追加関税を発動した。中国政府は同日、石炭や液化天然ガス(LNG)など米国からの輸入品に最大15%の追加関税を課すと発表した。米中両国の貿易摩擦が激しくなってきた。
トランプ政権は3日、カナダ・メキシコ両国と25%の関税発動を1カ月延期することで合意した。
□2月5日(水)
◇NY株134ドル高 米中関税の応酬、市場は過熱抑制を期待 (日経 電子版 08:14)
→米中両国がお互いに追加関税をかけあう応酬をみせるなか、4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。市場は米国のカナダとメキシコへの関税発動の延期といった経緯を踏まえ、貿易戦争の過熱が米景気を冷え込ませる事態は回避できるとの期待をつないでいる。
◇中国、対米報復に透けるジレンマ 関税以外の選択肢探る (日経 電子版 09:49)
→中国が米国による追加関税への報復に動き出した。関税の引き上げ合戦となった貿易戦争に比べて初手は抑制的な措置にとどめ、関税以外の項目も並んだ。米のさらなる対抗策に備えて「次の矢」を残すとともに、本格的な衝突を避けたいというジレンマが透ける。世界経済は当面、米中間の神経戦に振り回される。
□2月6日(木)
◇NYダウ、続伸し317ドル高 長期金利低下が支え (日経 電子版 07:35)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比317ドル24セント(0.71%)高の4万4873ドル28セントで終えた。米長期金利が低下し、株式相場を支えた。4日夕に2024年10〜12月期決算を発表したアムジェン(Amgen)が上昇したことも指数を押し上げた。
□2月7日(金)
◇NYダウ反落125ドル安、利益確定売り ハネウェル6%安 (日経 電子版 07:01)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比125ドル65セント(0.28%)安の4万4747ドル63セントで終えた。7日に1月の米雇用統計が発表されるのを控え、主力株に利益確定売りが出た。決算を発表した一部銘柄に売りが膨らみ、米株相場の重荷となった。
□2月8日(土)
◇NYダウ続落、444ドル安 関税・インフレ警戒強まる (日経 電子版 06:46)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比444ドル(1%)安の4万4303ドルで終えた。トランプ米政権の関税政策の影響で米消費者のインフレ予想が急上昇し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが一段と遠のくとの見方が強まった。関税拡大への警戒感も投資家のリスク回避を誘った。
≪市場実態PickUp≫
【OpenAI関連】
DeepSeekの余波の渦中に、OpenAIのCEO、Sam Altman氏が来日、ソフトバンクGの孫社長に会うとともに、その後韓国訪問と、以下いろいろな取り組み、アプローチが見られる内容である。
◇Sam Altman admits OpenAI was ‘on the wrong side of history’ in open source debate―Altman: OpenAI was "wrong" to not support open source (2月1日付け VentureBeat)
→OpenAIのCEOであるSam Altman氏は、オープンソースAIの議論における同社の不手際を認め、戦略転換の可能性を示唆した。
RedditのAMAでの同氏のコメントは、OpenAIがクローズドソースのアプローチを再考する可能性を示唆している。しかし、このような戦略変更については社内で意見の相違があるため、この動きは優先事項ではない。
◇ソフトバンクGとOpenAI、日本でAI網 500社に参加要請 (2月2日付け 日経 電子版 19:00)
→ソフトバンクグループと米オープンAIは日本でAIインフラの整備に乗り出す。全国にAI開発向けのデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。1月にトランプ米大統領に表明したAIインフラ投資の日本版といえる。500社以上の日本企業にもAIの重要性を訴え、参加を呼びかける。
両社は3日、都内で日本企業500社超と会合を開く。
◇OpenAI「超知能AIを10年内に実現」 孫氏と水魚の交わり (2月3日付け 日経 電子版 02:00)
→米オープンAIのサム・アルトマンCEOは日本経済新聞の取材で、科学の進歩を速める高度なAIが「10年以内にも実現する」と述べた。視線の先はAIが人間個人ではなく企業並みの価値を生む「超知能」時代だ。
◇OpenAI・CEO、AI端末の開発表明 iPhone以来の革新狙う (2月3日付け 日経 電子版 02:00)
→米オープンAIのサム・アルトマンCEOは日本経済新聞の取材でスマートフォンに代わる生成AI専用端末の開発に乗り出すと表明した。独自半導体の開発にも意欲を示した。AIの普及はIT産業を一新する機会とみて、2007年のiPhone登場から約20年ぶりのデジタル機器の革新を狙う。
◇ChatGPT、長文リポート30分で作成 有料ユーザー向け (2月3日付け 日経 電子版 16:17)
→米オープンAIは2日、対話型AI「ChatGPT」に、インターネット上の最新情報を調べて長文のリポートにまとめる機能を加えたと発表した。
有料会員向けで、人手で数時間かかる作業を5〜30分で終えるという。金融機関のアナリストや研究者の業務を効率化する。新機能は「ディープリサーチ」と呼ぶ。
◇ソフトバンクG、OpenAIと日本で生成AIの新会社設立 (2月3日付け 日経 電子版 18:17)
→ソフトバンクグループと米オープンAIは3日、生成AIの共同出資会社を設立すると発表した。個々の企業が持つ内部データを取り込んだ専用のAIを開発し、企業が営業や経営戦略の立案などに幅広く利用できるようにする。オープンAIの技術力を活用し、日本企業にAIのより深い活用を促す。
◇OpenAI chief’s Seoul visit fuels speculation on chip partnership―OpenAI's Altman may consider Korean chip partnerships (2月3日付け The Korea Times (Seoul))
→OpenAIのSam Altman CEOは、ソウル訪問中にサムスン電子やSKハイニックスとの提携を模索し、AI向けチップのサプライチェーン強化を目指すとみられる。これらの提携は、AIサービスや広帯域メモリー(HBM)チップに焦点を当てる可能性がある。
◇ソフトバンクG孫社長とアルトマン氏、韓国サムスン訪問 (2月4日付け 日経 電子版 18:33)
→米オープンAIのサム・アルトマンCEOとソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は4日、ソウル市内でサムスン電子の李在鎔会長と面会した。業界関係者が明らかにした。AI分野での協力などについて議論したとみられる。オープンAIとSBGは3日、日本で生成AIの共同出資会社を設立すると発表していた。
【インテル関連】
今後の事業の取り組み、空席となっているCEOの取り沙汰、など以下の通りである。製品ロードマップの"現実的な"アプローチに注目させられている。
◇Intel Core Ultra 7 255H lands 32% faster than the 155H in PassMark's single-core benchmark―PassMark: Intel's Core Ultra 7 255H shows 32% single-core gain in test ―The updated architecture and process node deliver impressive improvements for Intel laptops. (2月2日付け Tom's Hardware)
→インテルのArrow LakeベースのCore Ultra 7 255Hは、PassMarkでテストされたようで、single-threadedテストでMeteor Lakeの同等品を32%上回った(via x86deadandback at X)。CPUの性能を測定するPassMark独自の指標であるCPU Markでは、該255Hはさまざまな指標にわたって約15%高速である。
◇Intel Halts Products, Slows Roadmap in Years-Long Turnaround―Intel delays product launches amid turnaround efforts―Intel's strategy shift and leadership changes signal a major turnaround. (2月3日付け EE Times)
→1)EE Timesが調査したアナリストによると、Intelは、何年もかかるであろう業績回復への道筋に着手するため、製品立ち上げを中止し、プロセス技術のロードマップを遅らせている。
Cantor FitzgeraldのSenior Managing DirectorであるC.J.Muse氏によると、同社の新経営トップであるMichelle Holthaus氏とDavid Zinsner氏は、プロセッサにおけるAMDやファウンドリ事業におけるTSMCのような競合からの挑戦により現実的であるという。「Intelの新共同CEOsは、バランスの取れた現実的なコメントで最初の電話会議を開催し、Intelの前途に待ち受ける重大な課題と、残念ながら即効性のある解決策はないという見解を強調した」と、Muse氏はEE Timesに提供したレポートの中で述べている。
2)インテルは製品ロードマップを修正し、18Aプロセスとその主力製品であるClearwater Forestを2026年前半に延期した。また、AIデータセンター・アクセラレーターのFalcon Shoresも中止した。David Zinsner CEOは、今年は特にLunar Lakeのコスト増により粗利益率が圧迫されると指摘している。
◇Intel gets real (2月4日付け Electronics Weekly (UK))
→1)インテルは製品ロードマップに「get real(現実を見る)」アプローチを採用した。
2)AIデータセンター・アクセラレータ市場の競合であるFalcon Shoresの破棄と並んで、インテルは18A導入のロードマップを遅らせた。
共同CEOのMichelle Holthaus氏によると、18Aの主力製品であるClearwater Forestは2026年上半期に1年延期された。他の18A向けプロセッサーも遅れている。
◇産総研とインテル、次世代量子コンピューターを共同開発―【イブニングスクープ】 (2月5日付け 日経 電子版 18:53)
→経済産業省所管の産業技術総合研究所は米インテルと次世代の量子コンピューターを共同で開発する。インテルの最先端チップを使い、産総研の拠点で組み立てる。開発した次世代機は企業が使用料を払って創薬や金融などのビジネスに生かせるようにする。
茨城県つくば市で今春に稼働する産総研の量子研究センターとインテルが協力覚書を交わした。近く公表する。
◇Intel's vacant CEO spot rumored to be filled by Tom Caulfield - abrupt GlobalFoundries shakeup sparks speculation―GF's CEO move fuels Intel speculation―What a career! (2月7日付け Tom's Hardware)
→インテルのCEO職は2ヶ月以上空席となっており、候補者についての憶測を呼んでいる。グローバルファウンドリーズのThomas Caulfield CEOは最近、GFのポストを辞任して会長に就任したため、インテルに入るのではないかという噂が流れている。
◇Intel CEO position remains vacant; GF management reshuffle sparks speculation (2月7日付け DigiTimes)
→インテルのCEO職が2ヵ月以上空席のままであるため、グローバルファウンドリーズの最近の経営陣交代が憶測を呼んでいる。オランダのメディア、Bits & Chipsは、GFのThomas Caulfield CEOが、インテルまたはその子会社であるインテル・ファウンドリーの指導的役割に「パラシュートで」就任する可能性があると報じた。
【TSMC関連】
台湾を中心に、米国・アリゾナそして熊本の工場の動き&進捗に注目であるが、今回は以下の通り。この中にも、DeepSeek台頭が、台湾南部地震そしてトランプ関税とともに3つの課題とする表し方が見られている。
◇[News] TSMC Said to Plan 2nm Production in U.S., 1nm Fab in Tainan (2月3日付け TrendForce)
→業界筋の情報を引用してCommercial Timesが報じたところによると、TSMCのアリゾナ・ウェーハ工場Fab 21 Phase 1は、今年第1四半期に正式に4nmプロセスの量産に入った。月産能力は今年半ばまでに3万枚に達する見込み。
一方、Fab 21のフェーズ2とフェーズ3の建設は今年と来年に進められ、施設の完成はそれぞれ2025年と2027年を予定している。これらの拡張にはクリーンルームとユーティリティの設置が含まれ、TSMCの2nmプロセス向けにナノシートトランジスタ構造を順次導入し、米国での製造能力をさらに強化する。
同レポートによると、業界関係者は、TSMCがテキサス州に高度なパッケージング能力を追加し、チップ製造プロセスにおける重要なギャップを埋める可能性があると見ている。
◇Tariffs 2.0 hits tech: TSMC fast-tracks US expansion amid AI shakeup―TSMC accelerates US expansion amid multiple challenges (2月3日付け DigiTimes)
→世界の半導体業界は混乱しており、TSMCは一度に3つの大きな課題に見舞われ、不安定な年明けに直面している。台湾南部で発生した地震は数十億ドルの損失をもたらす可能性があり、DeepSeekの台頭はNvidiaのAIの優位性に挑戦し、不確実性を高めている。そして関税のインパクト。
◇TSMC、米新拠点で12日取締役会 トランプ政権対応か (2月5日付け 日経)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は4日、台湾時間の12日に米西部アリゾナ州の新拠点で取締役会を開くと明らかにした。同拠点はTSMCとして海外初の先端工場で2024年末に量産を開始した。生産の進捗などを確認するとみられる。
台湾メディアによると取締役会の海外開催は初めて。定例の取締役会で財務報告や配当についても話し合う見通しだ。製造業の国内回帰を目指すトランプ米政権への対応の一環との見方もある。
◇SiPh progress exceeds TSMC's expectations; optical communication CPO heats up ahead of schedule―TSMC tracks faster progress in silicon photonics, co-packaged optics (2月6日付け DigiTimes)
→TSMCは、シリコンフォトニック(SiPh)コ・パッケージド・オプティクス(CPO)技術の量産にはまだ1年から1年半以上かかると見積もっているにもかかわらず、光通信業界は、CPOの最近の開発が加速していると述べた。試作ラインは2025年に小規模出荷を開始する予定であり、2026年後半にはCPO出荷が重要なマイルストーンに達する可能性がある。
【Arm関連】
ここでもDeepSeekインパクトが語られる一方、Qualcommとの係争は収拾に向かう可能性があらわされている。
◇Arm stands to benefit as AI innovations spur chip demands, with DeepSeek emerging as driving force―Arm sees AI-driven demand for Arm-based ASIC chips (2月6日付け DigiTimes)
→Armは、DeepSeekのようなAIイノベーションとプロジェクトの台頭により、AIに特化したASICチップの需要が増加していることを目の当たりにしている。AWS、グーグルおよびNvidiaなどの大手ハイテク企業は、複雑なAIタスクを処理するためにArmベースのチップをますます採用するようになっており、市場におけるArmの地位を高めている。
◇アーム、クアルコムとの契約解消を撤回 係争リスク低下 (2月6日付け 日経 電子版 11:33)
→ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームが米半導体大手クアルコムとの契約を解消する方針を撤回したことが5日、明らかになった。両社はライセンス契約を巡って対立し、訴訟問題に発展していた。アームの方針撤回により、両社の対立が市場に混乱をもたらすリスクが低下した。
クアルコムが5日、決算説明会で明らかにした。
【半導体各社業績から】
2024年半導体市場の締めを上記しているが、AIが引っ張る以外は回復がいまいちの見え方となっている。ベンダーランキング首位のSamsungはじめ、各社の端的な現況があらわされる以下の内容である。
◇Samsung flags chip slowdown as profit drops sharply from previous quarter (1月31日付け CNBC)
→*売上高は前年同期比で約12%増加し、営業利益は前年同期比で約130%増加した。
*しかし、前四半期比では、営業利益は29.3%減少し、売上高は4%以上減少した。
◇Chipmaker NXP forecasts downbeat first-quarter revenue on soft demand (2月4日付け Reuters)
→NXPセミコンダクターズは、EV販売不振と金利高騰によりチップ在庫が積み上がり、新規生産が鈍化していることから、第1四半期の売上げが弱含みになると予想している。
◇AMD3割減益 10〜12月、AI半導体が予想下回り株価下落 (2月5日付け 日経 電子版 07:52)
→米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が4日発表した2024年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比24%増の$7.658 billion(約1兆1800億円)、純利益が28%減の$482 millionだった。AIの処理に使う半導体の売上高が市場予想に届かず、株価は下落した。
◇AMD shares tumble as CEO forecasts declining data center sales (2月5日付け Reuters)
→AMDの好調な第4四半期決算と収益見通しは予想を上回ったが、投資家は、同社がNvidiaに挑戦するのに苦労しているとして、感心しないままだった。
◇AMD shares drop more than 6%, close at lowest since 2023 on disappointing data center revenue (2月5日付け CNBC)
→*アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は水曜5日、同社の重要なデータセンター事業がウォール街の予想を下回ったため、6%以上下落した。
*アドバンスト・マイクロ・デバイセズの決算は、トップ・ボトムラインともに予想を上回ったが、データセンター事業の売上高はウォール街の予想を下回った。
◇Chipmakers say Trump’s tariff threats cloud their outlooks (2月5日付け South China Morning Post)
→*NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスおよびテキサス・インスツルメンツは、業界低迷の中、アナリスト予想を下回った。
*チップの供給過剰と需要の低迷に悩む半導体業界で、インフィニオン・テクノロジーズは乱気流を切り抜け、将来への希望をもたらした。少なくとも今のところは。
火曜4日に発表されたドイツのインフィニオン・テクノロジーズの慎重なガイダンスでは、為替レートの好影響と中国における市場シェアの拡大により、今年の売上高は減少するどころか、わずかに増加する可能性があるとのことで、株価はこの9ヶ月で最も急上昇した。
【Huaweiの業績発表】
米国の制裁をさんざんに受けた中国・Huaweiの業績が、制裁前の水準に戻った、と以下の発表である。スマホ復調はじめ回復力に改めての注目である。
◇Huawei chairman says 2024 revenue exceeded $118 bln―Huawei revenue exceeded $118B in 2024, chairman says (2月5日付け Reuters)
→華為技術の会長は水曜5日、昨年の年間売上高が8600億元(約$118.27 billion)を超えたと発表した。
◇ファーウェイ、24年の売上高18兆円 米制裁影響前の水準(2月5日付け 日経 電子版 18:46)
→中国通信機器大手の華為技術は5日、2024年12月期の売上高が前の期比約2割増の8600億元(約18兆円)超になると明らかにした。スマートフォンが復調し、米国による制裁の影響で業績が落ち込む前の水準を回復する。
広東省が主催した会合で、ファーウェイの梁華・董事長が明らかにした。
◇Tech war: Huawei’s 2024 revenue surges 22% despite US sanctions―Huawei not held back by US sanctions, revenue rose 22% in 2024 (2月6日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*昨年の売上高$118 billionはファーウェイにとって過去2番目の高水準で、前年比22%の成長率
*世界最大の通信機器ベンダーであるファーウェイ・テクノロジーズは、2024年に8600億元(約$118.3 billion)以上の売上げを記録したと、同社の会長が水曜5日に発表、アメリカの制裁に直面する巨大ハイテク企業の回復力の表れである。