Semiconductor Portal

» ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

トランプ政権始動、半導体関連早々の動き:AI巨額投資、AI半導体規制

キング牧師誕生日の米国休日の月曜20日に、トランプ大統領が就任、すぐさまの次から次への大統領令署名プレゼンが行われている。半導体関連も、AI(人工知能)関連需要が大きく引っ張る現状を反映する反応&動きである。火曜21日(日本時間22日朝)には、ソフトバンクグループや米オープンAIなどによる米国のAI開発事業への巨額投資によるProject Stargateがトランプ大統領により打ち上げられ、各方面の反響を呼んでいる。バイデン政権の最終週にAI半導体の規制見直し案が発表されたが、米国・SIAから失望の反応が見られたのに続いてEUも懸念を表す動きとなっている。中国の春節を水曜29日に間近に控えるタイミングであり、今後の本格的な反応に注目である。

≪今後の局面を見守る空気≫

トランプ政権のスタートを受けて、米国・SIAからの声明が次の通り発表されている。

◇SIA Welcomes Trump Administration (1月21日付け SIA Latest News)
→今週行われたトランプ大統領とバンス副大統領の就任式を受け、Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、新政権を歓迎するSIAのPresident and CEO、John Neuffer氏による以下の声明を発表した。

「われわれは、Trump大統領およびVance副大統領が、わが国および世界にとって極めて重要なこの時期に、米国を導くために就任したことを祝福する。半導体技術における米国のリーダーシップは、米国の継続的な経済力、国家安全保障、そして世界の競合他社を凌駕するイノベーション能力にとって不可欠である。SIAと会員は、トランプ政権および議会と協力して、米国の半導体復活を今後何年にもわたって維持・拡大する政策を推進する用意がある」。

SIAは今月初め、米国半導体業界の政策優先事項およびTrump政権および第119議会との協力分野を提案する政策アジェンダを発表した。この政策アジェンダは、「Winning the Chip Race 」と題され、米国半導体業界を成功に位置づけ、米国の経済力、国家安全保障、技術リーダーシップ、および国際競争力を確保するための実行可能な政策目標を政府リーダーに提供している。

トランプ大統領が2期目の初日に発表したProject Stargate、$500 billionのAI巨額投資について、業界各紙の取り上げである。

◇Trump announces private-sector $500 billion investment in AI infrastructure (1月21日付け Reuters)
→*テック業界のリーダーたち、トランプ勝利のイニシアチブを評価
 *スターゲイト、20のデータセンター建設を計画
 *トランプ氏、プロジェクトで10万人の雇用創出
ドナルド・トランプ米大統領は21日、人工知能(AI)のインフラ整備に最大$500 billionの民間投資を行うと発表した。

◇Project Stargate: Trump Announces $500 Billion of U.S. AI Infrastructure―SoftBank, OpenAI and Oracle to lead America’s play for global AI dominance. (1月22日付け EE Times)
→ドナルド・トランプ大統領が2期目の初日に発表したProject Stargateは、ソフトバンク、オラクル、OpenAIおよびMGXの$500 billion規模の合弁事業で、AIスーパーコンピューターを米国内で構築する。このプロジェクトは、「ほぼ即座に」最大10万人のアメリカ人の雇用を創出するとトランプ大統領は述べた。
トランプ大統領は、オラクルのラリー・エリソン会長、ソフトバンクの孫正義社長兼CEOおよびOpenAIのサム・アルトマンCEOに囲まれ、ホワイトハウスのRoosevelt Roomで発表を行った。スターゲートを「アメリカ史上最大のAIインフラ・プロジェクト」と呼び、これは中国や他の競争相手に対して、アメリカがAIで世界的な覇権を握るためのプレイの一環だと指摘した。

◇Trump announces up to $500 billion in private sector AI infrastructure investment―Trump unveils $500B AI infrastructure initiative (1月22日付け CBS News)
→ドナルド・トランプ大統領は、米国でAIインフラを構築するために$500 billionの民間投資を行うと発表した。Stargateと呼ばれるこの構想は、オープンAI、オラクルおよびソフトバンクのジョイントベンチャーで、20のデータセンターを建設し、10万人の雇用を創出する計画だ。

◇トランプ氏、孫正義氏らとAI開発に78兆円投資表明 (1月22日付け 日経 電子版 09:48)
→トランプ米大統領は21日(日本時間22日朝)、ソフトバンクグループや米オープンAIなどによる米国のAI開発事業への巨額投資を発表した。SBGの孫正義会長兼社長やオープンAIのサム・アルトマンCEOらが同日午後、ホワイトハウスを訪れて投資計画を表明した。

◇孫正義氏、全米で「データセンター+発電」構想 (1月22日付け 日経 電子版 17:58)
→ソフトバンクグループと米オープンAIは21日、全米でAI開発向けのインフラを構築すると発表した。トランプ米大統領と共同記者会見に臨んだSBGの孫正義会長兼社長は全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想を持つ。SBGとオープンAIは新会社「スターゲート・プロジェクト」を設立する。

一方、すんなりとはいかない空気も見られている。

◇マスク氏、SBGの巨額AI投資に疑念 トランプ氏とずれ (1月23日付け 日経 電子版 04:56)
→米起業家のイーロン・マスク氏は21日、ソフトバンクグループや米オープンAIが発表したAIへの最大$500 billion(約78兆円)の巨額投資について、資金面で計画通りにいくのか疑念を投げかけた。トランプ大統領が公に支持したばかりの計画を、トランプ氏の実質的な側近とされるマスク氏が批判する異例の展開となった。

中国より、米国に負けじの反応である。

◇Tech war: China poised to expand AI infrastructure to keep pace with US Stargate project (1月23日付け South China Morning Post)
→*アナリストによると、中国は、トランプ政権がこの重要な技術における米国のリードをさらに進めるために$500 billionのStargateプロジェクトを発表した後、AIの野望を推進するためにデジタル・インフラ開発を強化すると予想されている。
 *中国の地方政府、通信会社および大手ハイテク企業はここ数年、新たなAI施設を建設している。

この$500 billion計画に絡む動きが始まっている。

◇Behind $500 billion AI data center plan, US startups jockey with tech giants (1月24日付け Reuters)
→*CrusoeやCoreWeaveのようなネオクラウド企業はAIに特化したクラウド・ソリューションに注力
 *オラクル、Stargateデータセンター開発でCrusoeと協業
 *ネオクラウドは従来のクラウド大手とは異なり、Nvidiaと緊密に連携ドナルド・トランプ大統領が今週発表した、AIデータセンター増設のための大規模な民間投資により、ハイテク分野でより大きな役割を担うことになる比較的小規模で機敏なクラウド・コンピューティング企業にスポットライトが当たっている。

◇ソフトバンクG、米AI網整備へ3兆円 ファンドとも交渉 (1月25日付け 日経 電子版 05:00)
→ソフトバンクグループはトランプ米大統領と合意したAI開発向けインフラの整備事業に自ら3兆円を拠出する方針だ。総額$500 billion(約78兆円)に上る投資資金を確保するため、米アポロ・グローバル・マネジメントなど世界の大手投資ファンドとも資金調達の交渉に入る。トランプ政権の発足と同時に打ち上げられた巨額プロジェクトが実現に向け始動する。

次に、バイデン政権が最後に及んで発表したAI半導体規制であるが、その概要を見直すと次の通りである。

◇米政府、AI半導体輸出で数量規制 中国への迂回輸出把握 (1月13日付け 日経 電子版 21:16)
→バイデン米政権は13日、AI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表した。東南アジアや中東向けに「数量制限」をかけながらも簡単に輸出できる仕組みを設ける。海外での先端半導体の流通・在庫データを把握するためで、中国への迂回輸出を封じる狙いがある。レモンド米商務長官は「最先端のAI技術を守り敵対国の手に渡らないようにする」と述べた。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設ける。
新たな規制は各国を3つのカテゴリーに分ける。「ティア1」は同盟国の日本や韓国、英仏独などの18カ国・地域で、先端半導体やAIの基盤モデルの技術移転に制限はかからない。

◇米政府、AI半導体の輸出規制緩和 東南ア・中東向け数量管理 (1月14日付け 日経)
→バイデン米政権は13日、AI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表した。東南アジアや中東向けに「数量制限」をかけながらも簡単に輸出できる仕組みを設ける。海外での先端半導体の流通・在庫データを把握するためで、中国への迂回輸出を封じる狙いがある。レモンド米商務長官は「最先端のAI技術を守り敵対国の手に渡らないようにする」と述べた。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設ける。

欧州連合(EU)からもこれには懸念をあらわす動きであり、現下のビジネスに大きく関わるということで、今後の成り行きに注目するところである。

◇EU to raise Biden’s AI chip curbs with Trump administration (1月22日付け Taipei Times)
→この問題に詳しい関係者によると、欧州連合は、エヌビディア社などのAIチップの一部加盟国への輸出を制限する決定について、米国に懸念を表明する予定だという。
ジョー・バイデン前米大統領は、政権最後の動きのひとつとして、データセンターで使用されるAIチップの販売を抑制するための3段階システムを導入した。米国は、ポーランドとEU東部に位置する多くの同盟国を、購入できるコンピューティングパワーの量に制限を受ける2番目のカテゴリーに入れている。

バイデン政権でのCHIPS and Science ACTによる米国での半導体製造強化がトランプ政権でどうつながっていくか、気になる点である。引き継がれていくと、TSMCでの見方である。

◇TSMC is confident its CHIPS Act funding will continue under Trump, says CFO Wendell Huang (1月19日付け CNBC)
→*TSMCはバイデン政権のCHIPS and Science ACTのもと、アリゾナ州に3つの最先端チップ製造工場を建設するために$6.6 billionを約束された。
 *ドナルド・トランプ次期大統領は、台湾が米国のチップ事業を「盗んでいる」と非難している。
 *CNBCの取材に応じたTSMCのWendell Huang CFOは、トランプ政権下でも資金は徐々に投入される見込みだと述べた。

中華圏が春節のお休みモードに入る空気感があるが、激動要因を多々孕む半導体関連には、引き続きの注目である。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□1月19日(日)

トランプ大統領が就任、次々の大統領令署名プレゼンが、繰り広げられていく。

◇トランプ政権20日発足、100本の大統領令で「米国第一」 (日経 電子版 11:00)
→米共和党のドナルド・トランプ氏(78)は20日、第47代大統領に就任する。2017年から4年間、大統領を務めた第1次政権から、再び返り咲く。就任後「米国第一」の政策を実現するため、およそ100本の大統領令に署名するとみられる。

□1月21日(火)

◇トランプ氏「米国第一で黄金時代」 第47代大統領に就任 (日経 電子版 05:15)
→米国の第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏(78)が20日正午(日本時間21日午前2時)に就任した。30分間の就任演説では米国民の利益を最優先する「米国第一」を掲げ、「黄金の時代がいま始まる」と唱えた。

関税の即時発動は見送られている。

◇米政権、対中関税の即時発動見送り 交渉の余地残す (日経 電子版 09:43)
→トランプ米大統領が20日にも署名する貿易政策に関する大統領令の概要が明らかになった。中国とカナダ・メキシコを中心に不公正な貿易慣行や通貨政策がないか調査するよう命じる。公約に掲げてきた関税を即時発動することは見送る。
調査には少なくとも数カ月はかかるため、就任直後の関税引き上げの可能性は低くなった。

米国での大統領とはいえど立ち塞がる裁判所および議会の壁があらわされている。

◇Trump’s executive orders already face pushback, legal challenges (The Washington Post)
→これらの大統領令の中には、学者や法律の専門家が「大統領のペンが届く範囲を超え、裁判所や議会で何年も拘束される可能性がある」と指摘するものも含まれている。

□1月22日(水)

トランプ大統領令で明暗の空気が分かれる中、AI開発への期待などから今週の4日の取引の前3日は上げたが、最後は取引5日ぶりの下げで締めた米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、537ドル高 トランプ大統領令で明暗 (日経 電子版 07:51)
→トランプ政権の発足後初の取引となった21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比537ドル(1.2%)高の4万4025ドルで引けた。トランプ氏の就任当日の大統領令に関税の強化が含まれず自動車株などが上昇した一方、エネルギー生産の拡大で需給が緩むとの思惑から石油株が下がるなど、明暗が分かれた。
大統領の就任初日から関税引き上げを進めると想定していた市場関係者も多かった中、初日に関連する大統領令に署名することはなく、投資家心理の支えとなった。

対中国関税について、トランプ氏の牽制である。

◇中国に10%追加関税、トランプ氏「2月1日が候補」 (日経 電子版 11:34)
→トランプ米大統領は21日、中国からの輸入品に10%の追加関税をかけることを検討していると述べた。合成麻薬フェンタニルが中国からカナダ・メキシコを経由して米国に流れ込んでいるとして、中国側に対策を取るよう圧力をかけた。

□1月23日(木)

◇NYダウ続伸、164ドル高で推移 AI開発への期待強く ―S&P500、AIインフラ計画で一時最高値 ダウ130ドル高 (日経 電子版 07:06)
→22日の米株式市場でS&P500種株価指数は3日続伸し前日比0.6%高の6086.37で引けた。2024年12月6日に付けた最高値(6090.27、終値)を一時上回る場面があった。トランプ米大統領が21日、ソフトバンクグループや米オープンAIなどが$500 billion(約78兆円)を投資し、AIに使うインフラを米国で整備すると発表したことを受け関連銘柄に買いが広がった。
ダウ工業株30種平均は130ドル92セント(0.3%)高の4万4156ドル73セント、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も1%高で引けた。AI投資や関連需要の一段の拡大が期待され、ハイテク株への物色が活発になっている。

我が国の貿易統計、昨年における円安で、輸出総額が最高を更新している。

◇24年輸出額、円安で過去最高 「トランプ関税」リスクに (日経 電子版 17:30)
→財務省が23日発表した2024年の貿易統計速報によると、輸出額は歴史的な円安を背景に107兆円と過去最高だった。稼ぎ頭は自動車や半導体関連だ。
輸出額の1位は米国、2位が中国となっており、米中は全体の4割を占める。日本の貿易はトランプ米大統領の関税政策に左右されやすい状況にある。輸出総額は107兆912億円だった。初めて100兆円台をつけた23年から6.2%増となり、1979年以降の過去最高を更新した。

□1月24日(金)

◇NYダウ続伸408ドル高、景気敏感株に買い S&Pは最高値 (日経 電子版 08:32)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比408ドル(0.9%)高の4万4565ドルで引けた。国際会議(世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議))におけるトランプ米大統領の発言が投資家心理を支え、相場を押し上げた。

段階的利上げを探る日銀の動き、我が国が過去30年経験していない領域に入るかも、とのあらわし方である。

◇日銀、段階的利上げ探る 実質金利なおマイナス (日経 電子版 22:13)
→日銀が追加利上げを決め、政策金利は0.5%と17年ぶりの水準となる。これまで通りのペースなら年内の再利上げが視野に入る。0.75%の政策金利は日本が過去30年経験していない領域だ。日銀は企業や家計への影響を見極める方針だが、為替相場の動向やトランプ米政権の経済政策などにも左右されそうだ。

□1月25日(土)

法人税の国際枠組みからも離脱を進めるトランプ政権である。

◇米国、法人税の国際協調に反発 外国企業への報復示唆 (日経 電子版 05:43)
→米国が、企業の「税逃れ対策」の国際枠組みからの離脱を進めている。トランプ米大統領が経済協力開発機構(OECD)がけん引してきた国際的な法人税改革からの離脱を求め、改革を実行に移した国の企業には法人税率を2倍にする報復措置を取る可能性も示唆した。「底辺への競争」と呼ばれた法人税率の引き下げ競争が再燃しかねない。

◇NYダウ5日ぶり反落、140ドル安 利益確定売り (日経 電子版 07:09)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比140ドル82セント(0.3%)安の4万4424ドル25セントで取引を終えた。トランプ米政権による世界一律の関税強化の見送りやAI関連投資の拡大で前日まで大きく上昇したが、利益確定や持ち高調整の売りに押された。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

最先端のAIチップ、BlackwellおよびグラフィックカードそしてNVIDIA「1強」に絡む動き、など今週の動きからの取り出しである。

◇Nvidia CEO says its advanced packaging technology needs are changing (1月17日付け Taipei Times)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は昨日、同社が発注を減らしているのではないかと質問された後、TSMCからの先端パッケージングに対するNvidia Corpの需要は、必要な技術の種類は変化しているものの、依然として旺盛であると述べた。Nvidiaの最先端AIチップであるBlackwellは、Nvidiaの主要契約チップメーカーであるTSMCが提供する複雑なCoWoS(chip-on-wafer-on-substrate)高度パッケージング技術を用いて接着された複数のチップで構成されている。

◇Nvidia passes Apple again to become world’s most valuable company (1月21日付け CNBC)
→*エヌビディアは火曜21日、時価総額でアップルを抜き、再び世界で最も価値のある上場企業となった。
 *エヌビディア株は2024年に171%、2023年に239%近く上昇した。
 *アップルは時価総額1兆ドル、2兆ドルそして3兆ドルの節目を達成した最初の企業である。

◇Nvidia shows off gigantic quad-slot RTX 5090 FE cooler prototype in new video―Nvidia details evolution to slimmer RTX 5090―Don't worry, the actual RTX 5090 FE has been slimmed down to a manageable dual-slot design. (1月22日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは、RTX 5090のデザインに焦点を当て、Founders Editionグラフィックスカードの進化を詳細に説明するビデオを公開した。ビデオでは、Blackwellアーキテクチャに影響を与えたトリプルファン冷却システムを搭載した、以前リークされた4スロットのプロトタイプを確認している。RTX 5090は、モジュール式の4分割システムにより、よりコンパクトな設計を実現している。

◇Nvidia’s triple-fan GPU cooler was one step along the way to a slimmer RTX 5090 (1月22日付け The Verge)
→*Nvidiaからリークされたquad-slotのプロトタイプGPUデザインは本物であり、次期RTX 5090をRTX 4090よりも小型化するために使用されるモジュラーシステムに影響を与えた。
 *Nvidiaは、新しいRTX 5090の設計を探るFounders Editionグラフィックスカードの設計の歴史を紹介する新しいビデオを投稿し、型破りな大型4スロット設計を採用した以前にリークされたプロトタイプを確認した。

◇NVIDIA「1強」に挑む 米AI半導体ユニコーンに勢い (1月22日付け 日経 電子版 05:00)
→AI半導体の勢力図の塗り替えを目指すスタートアップが米国で続々と登場している。世界で8割超のシェアを握るエヌビディアの「1強」状態に風穴を開けようと、各社は独自の技術と戦略を打ち出す。
AI時代の盟主に挑戦する企業群が勢いを増す構図は、技術革新を生む米国の土壌の豊かさを示している。

◇Nvidia's RTX Blackwell workstation GPU spotted with 96GB GDDR7 - ProViz GPU with a 512-bit bus―Details emerge on Nvidia's RTX 6000 "Blackwell" GPU―Blackwell goes DCC and ProViz. (1月22日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは、デジタルコンテンツ制作、プロフェッショナルなビジュアライゼーションおよび軽いAIアプリケーション向けのRTX 6000「Blackwell Generation」グラフィックカードの発売を準備している。報告によると、このカードは512ビット・インターフェースで96ギガバイトのGDDR7メモリを搭載する。


【TSMC関連】

火曜21日に台湾南部で地震が発生、その関連をはじめとして、今年も強気の売上げ見込み、Nvidiaとの連携など、以下それぞれに注目である。

◇TSMC plans to have 1.6nm chips in 'volume production' by 2026―You’ve got to spend money ― like $36 billion+ ― to make, er, AI chips (1月16日付け The Register)
→TSMCは2025年の設備投資額を$38 billion〜$42 billionに増額し、AIプロセッサー分野でより多くのチップ製造契約を獲得することを見込んでいる。

◇TSMC aims to grow revenue 25 percent―INDUSTRY LEADER: TSMC aims to continue outperforming the industry’s growth and makes 2025 another strong growth year, chairman and CEO C.C. Wei says (1月17日付け Taipei Times)
→Nvidia CorpとApple Incの主要チップサプライヤーであるTSMCは昨日、AIチップの旺盛な需要に牽引され、今年の売上高を約25%増加させることを目指すと述べた。これは、TSMCがファウンドリ業界の年間成長率10%を上回ることを意味する。

◇TSMC's Arizona Fab 21 mass produces 4nm chips at a higher price than Taiwan―TSMC's 4nm chip production at Ariz. fab comes at a cost―But customers are willing to pay extra, says TSMC. (1月17日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、アリゾナ工場21で4ナノメートルチップの量産を開始、歩留まりは台湾に匹敵するが、米国での生産コストが高いため、チップは割高になっている。アリゾナ工場は、アップルやAMD向けのプロセッサーを生産していると伝えられている。

◇TSMC and Nvidia team up on silicon photonics, CEO Jensen Huang says (1月19日付け Taipei Times)
→*感謝の意を表す:「24時間体制で働く」台湾のパートナーなしでは、NvidiaはAIの需要に応えられなかったとジェンセン・フアンCEOは述べた。
 *TSMCと米国のAIチップ設計会社Nvidia Corpは、シリコンフォトニクス開発で提携したとNvidiaの創業者兼CEOのJensen Huang氏が語った。
  Huang氏は、金曜日に台北でTSMCのC.C. Wei会長と会談した後、記者団の取材に応じ、同社は世界最大の契約チップメーカーとシリコンフォトニクスで協力していると語ったが、この協力がすぐに成果を生む可能性は低く、双方が具体的な成果を得るには数年を要することを認めた。

◇TSMC pauses production after strong earthquake hits Taiwan―TSMC halts production, checks for damage after Taiwan earthquake (1月21日付け The Register (UK))
→*地政学的ゴタゴタがあったかと思えば、地質学的ゴタゴタがあった。
 *台湾で大地震が発生し、TSMCは工場の操業を停止した。台湾の中央気象局地震センターによると、1月21日午前0時17分過ぎにマグニチュード6.4の揺れが発生した。この強さの地震は、建築物地域に被害をもたらす可能性がある。

◇台湾でM6.4地震、全土で44人負傷 南部で建物倒壊-TSMC工場、従業員一時避難 全員の無事確認 (1月22日付け 日経)
→半導体世界大手のTSMCは21日、同日未明に台湾南部で発生したマグニチュード6.4の地震を巡り、台湾中部・南部の一部工場で従業員が避難したと発表した。安全確保のため生産を停止したとみられる。
TSMCは中部と南部の一部工場で従業員を避難させ、全員の安全を確認した。「人員の安全を最優先に確保するため、安全予防措置を発動した」と説明した。

◇TSMC prioritizes COUPE tech, eyes silicon photonics lead―TSMC advances Coupe tech with a focus on silicon photonics (1月23日付け DigiTimes)
→TSMCは、COUPEと名付けられた小型光エンジン技術を、新たなイノベーションの中でも最優先課題として進めている。NvidiaのJensen Huang CEOは最近台湾を訪問した際、シリコンフォトニクスに関するTSMCとの協力関係を強調したが、その成果が現れるまでには数年かかるだろう。


【SK Hynix関連】

AI向けHBM(高帯域幅メモリー)で先行&主導するSK Hynixの非常に好調な2024年第四四半期業績が、以下あらわされる通りである。次期HBM4でも先行する空気も示されている。

◇韓国SK、10〜12月営業利益が過去最高 AI用半導体好調 (1月23日付け 日経 電子版 16:38)
→韓国半導体大手のSKハイニックスが23日発表した2024年10〜12月期決算は売上高が前年同期比75%増の19兆7670億ウォン(約2兆1500億円)、営業利益が同23倍の8兆828億ウォンだった。生成AIの駆動に必要な広帯域メモリー(HBM)の販売が拡大した。売上高・営業利益とも四半期ベースで過去最高となった。増収増益は5四半期連続。

◇South Korea’s SK hynix expects AI chip sales to more than double in 2025―SK Hynix forecasts doubling of AI chip sales for 2025―The semiconductor supplier reported 2024 revenues of $46.1bn, driven by strong AI memory chip sales. (1月23日付け Tech Monitor)
→SKハイニックスは、2024年にAIメモリ製品に牽引され48%増の$46.1 billionの記録的な売上高を計上した後、今年は生成AIシステム向けの先端メモリチップの売上高が2倍以上になると予想している。同社はHBM3Eチップの生産を拡大し、HBM4を開発して需要の増加に対応する意向だが、汎用メモリーチップの需要は減少すると予想している。

◇SK Hynix is ‘reasonably ok’ given its AI memory market share, but Samsung Electronics isn’t: Analyst (1月23日付け CNBC)
→韓国Yuanta SecuritiesのDaniel Yoo氏は、レガシーメモリ事業は減少傾向にあるが、SK HynixのHBM事業は成長を続けており、50%以上の市場シェアを維持するだろうと楽観的な見方をしている。

◇SK Hynix profit soars to a record high on AI boom, but shares drop on demand uncertainty (1月23日付け CNBC)
→*10-12月期の売上高は前年同期比約75%増、営業利益は前年同期比2,236%増の8兆800億ウォンに急増した。
 *SKハイニックスは、AIメモリーへの旺盛な需要が続き、過去最高の業績を達成したと述べた。

◇SK Hynix reportedly to begin 1c DRAM production first, disrupting Samsung's HBM strategy―SK Hynix to lead with 1c DRAM production, reports say (1月23日付け DigiTimes)
→サムスン電子が第6世代高帯域幅メモリー(HBM4)によって世界のメモリー市場を再構築しようとしている中、業界関係者は2つの重要な要素を注視しており、その第6世代の量産および歩留まりである。


【我が国関連】

我が国内各社、それぞれ各様の内容であるが、今週の動きである。

◇Socionext eyes 2nm chip development, weighs Rapidus as TSMC alternative―Socionext plans 2nm chips in N. America, considers Rapidus as partner (1月21日付け DigiTimes)
→日本のIC設計会社ソシオネクストが、北米で2nmプロセス技術を活用した半導体製品の開発計画を進めている。ソシオネクストは、現在2nm量産技術を開発中のラピダス社を製造拠点とする可能性を視野に入れている。

◇ラピダス、EUV露光装置を10台導入 早期に量産体制 (1月21日付け 日刊工業)
→ラピダスは、最先端半導体工場に極端紫外線(EUV)露光装置を計10台程度導入する方針だ。設置するのは建設中の第1製造棟「イーム(IIM:Innovative Integration for Manufacturing)1」と、次に建設を予定する第2製造棟「イーム2」。イーム1では回路線幅が2ナノメートル、イーム2では同1・4ナノメートルの半導体をつくる。複数の同露光装置で量産体制を確立し、半導体受託製造(ファウンドリー)としての競争力を高める。

◇キヤノン、画素数世界最大のセンサー 産業カメラ向け (1月22日付け 日経 電子版 15:54)
→キヤノンは22日、超高解像の画像センサーを開発したと発表した。画素数は4億1000万と「フルサイズ」のタイプでは世界最高水準になる。広範囲をカバーする監視カメラのほか、医療や産業分野での利用を見込む。
光を電気信号に変換するCMOSセンサーを開発した。これまでキヤノンとしては「APS-H」と呼ばれるフルサイズよりも一回り小さいタイプで、2億5000万の画素数が最高だった。今回開発した製品の販売時期や価格は未定としている。

◇シャープ、堺工場切り売り KDDIとの交渉次第で「撤退」も (1月23日付け 日経 電子版 05:00)
→シャープは堺市の液晶パネル工場の土地や建物を売却する。2024年12月20日にソフトバンクと工場の敷地の約6割を売却することで合意したのに続き、同26日に積水化学工業に一部の建物を譲渡すると決めた。建屋はデータセンターと次世代太陽電池の工場に変わる見込み。進行中のKDDIなどとの交渉次第ではシャープが堺工場から「旅立つ」可能性もある。

◇Semiconductor manufacturer cuts local 68 jobs, plots more (1月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→カリフォルニア州の労働者調整・再訓練通知(WARN:Worker Adjustment and Retraining Notification)報告書によると、日本の半導体メーカーがサンノゼとミルピタスで63人の従業員を解雇する。
ルネサスエレクトロニクス・コーポレーションのサンノゼ・キャンパスは、レイオフの矢面に立たされている。人員削減のうち、多くは上級職または管理職であった。

◇自民半導体議連会長、ラピダス支援へ「法改正を」 民間の出融資促進 (1月24日付け 日経)
→2027年に最先端半導体の量産を目指すラピダス支援への法改正の審議が、24日召集の通常国会で予定される。自民党半導体戦略推進議員連盟の山際大志郎会長は日本経済新聞の取材に応じ「民間出資や融資を促すためにも法改正が必要だ」と述べた。


【GlobalFoundries関連】

先端実装およびphotonicsに向けてNew York拠点を拡張するGlobalFoundriesの取り組みである。

◇GlobalFoundries to expand New York fab ― announces new $575 million advanced packaging and photonics facility―GlobalFoundries plans N.Y. facility for advanced packaging―This packaging facility will help build all-American chips. (1月17日付け Tom's Hardware)
→グローバルファウンドリーズ社は、国産シリコンの需要に対応するため、ニューヨーク州マルタの工場に$575 millionの高度パッケージング・テスト施設を建設する予定である。この施設はまた、効率向上のために光と電気部品を組み合わせたシリコンフォトニクスもサポートする。

◇GlobalFoundries Announces New York Advanced Packaging and Photonics Center (1月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→グローバルファウンドリーズは本日、ニューヨークの製造施設内に米国製必須チップの高度なパッケージングとテストを行う新センターを設立する計画を発表した。ニューヨーク州および米国商務省からの投資により支援されるこの世界初のセンターは、AI、自動車、航空宇宙・防衛、および通信を含む重要な最終市場で必要とされるGFのシリコンフォトニクスおよびその他の必須チップの需要拡大に対応するため、半導体の製造、加工、パッケージングおよびテストをすべて米国内で安全に行えるようにすることを目的としている。

◇GlobalFoundries to build $575 million chip packaging and photonics center in Malta (1月17日付け Times Union)
→*プロジェクトは$75 millionの連邦助成金と$20 millionのニューヨーク州からの助成金で支えられている。GFも、リサーチに$186 million出資する。
 *グローバルファウンドリーズは金曜17日、マルタのFab 8キャンパスに$575 millionの先進的チップパッケージングとテストセンターを建設する計画を発表した。


【市場データ】

AI牽引に目を奪われがちになるが、中国スマホ市場でのHuaweiの伸び、我が国テレビ市場での中国メーカーの伸び、などいろいろ変転を改めて知らされる気分になっている。

◇台湾IT19社、33.6%増収 12月 AI向けサーバー堅調 (1月18日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の2024年12月の売上高合計は前年同月比で33.6%増だった。スマートフォンなどの年末商戦用の需要が一服したものの、AI向けのサーバー関連が堅調で大きな伸びとなった。

◇iPhone、中国出荷17%減 復活ファーウェイに後れ 昨年 米中対立、AI提供できず (1月18日付け 日経)
→米アップルが中国でスマートフォン「iPhone」の販売不振に見舞われている。2024年の中国内の出荷台数は前年比17%減となり、通年ベースでは16年以降で最大の減少率となった。新たなトレンドの発信力についても、米国の経済制裁から復活を遂げた華為技術(ファーウェイ)などの現地勢に押されている。

◇Advanced Semiconductor Packaging Market to Generate US$ 40.3 Billion in Revenue by 2031 (1月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→2022年にUS$ 30.1 Bnと評価された先進半導体パッケージング市場は、着実な拡大が見込まれている。2023年から2031年までの年平均成長率は5.2%と予測され、2031年末にはUS$ 40.3 Bnに達する見込みである。この成長は、多様なアプリケーションにおける効率的でコンパクトかつ高性能な半導体ソリューションに対する需要の高まりに後押しされている。

◇中国スマホ出荷、ファーウェイ5割増 昨年、アップルは苦戦 (1月21日付け 日経)
→米調査会社IDCは20日、中国通信機器大手の華為技術の中国でのスマートフォン出荷台数が2024年に前年比50.1%増えたと発表した。独自開発の半導体やOSを機種ごとに進化させて使い勝手を高めたことが奏功した。米アップルは5.4%減で苦戦した。24年の中国のスマホ出荷台数は全体で前年比5.6%増の2億8600万台だった。増加は3年ぶり。

◇華虹、インテル元幹部登用 ロジック半導体に注力 米の対中輸出規制に対抗、新工場も相次ぎ稼働 (1月22日付け 日経)
→ファウンドリーで中国2位の上海華虹集団が経営陣を刷新した。主力グループ会社のナンバー2に米インテル元幹部を起用し、電子機器の「頭脳役」の役割を担うロジック半導体に注力する。対中強硬で知られるトランプ米大統領が再登板した中、華虹集団は中国政府などと一体となって米国に対抗する。
華虹集団が出資する華虹半導体が白羽の矢を立てたのは、インテル出身の白鵬氏だ。同氏を1月1日付で華虹半導体ナンバー2の総裁に登用した。中国メディアもこの人事を一斉に報じた。

◇中国系テレビ、初の日本国内シェア5割超 安値で若者浸透 (1月24日付け 日経 電子版 05:00)
→国内の薄型テレビ市場で、海信集団(ハイセンス)やTCLなど中国企業の販売台数シェアが2024年に初めて5割を超えた。国内大手のソニーやパナソニックはそれぞれ10%を下回った。中国勢はグローバルな調達力を生かして手ごろな値段で若年層を中心に販売を拡大。ブランドが浸透するなか、大型の高価格帯でも存在感を高めている。

ご意見・ご感想