TSMC、米中の狭間で続く揉まれる動き;Apple、生成AI対応PC新製品
米中対立など地政学的リスクを受ける中のTSMCを巡る動きに注目である。米国アリゾナ工場での初期歩留まりが台湾を上回るブレイクスルーの一方、中国・HuaweiのAIプロセッサに同社半導体が含まれている件では中国に拠点を置く半導体設計会社への出荷を停止している。政治的な色合いを深める中、TSMCの創業者、Morris Chang氏および同社トップの呼びかけがあらわされている。次に、Appleが3日連続で生成AI対応PC新製品を発表、最新の半導体「M4」が搭載されている。さらに、各社業績発表では、インテルおよびSamsungに注目、AI(人工知能)需要が突出して引っ張る市況のもと、それぞれに立て直しを図る取り組みへの市場の反応があらわれている。
≪地政学、AIが引っ張る現時点≫
TSMCについて、まずはアリゾナ工場での生産歩留まりである。これは大きな前進である。
◇TSMC Arizona fab’s yield surpasses its local peers’ (10月26日付け Taipei Times)
→TSMCは、アリゾナ州の最初の工場で、台湾の同様の工場を上回る初期の生産歩留まりを達成し、当初は遅延と労働者の争いに悩まされていた米国の拡張プロジェクトにとって、重要なブレークスルーとなった。
フェニックスにあるTSMCの工場で製造されたチップのうち、使用可能なチップの割合は、台湾の同種の工場より4ポイントほど高いと、TSMCの米国部門のRick Cassidy社長は水曜23日のウェビナーで聴衆に語った、と参加者発。
HuaweiのAIプロセッサにTSMC製半導体が見い出された件の直後、同社の社内運動会でのMorris Chang氏はじめ挨拶の内容に、以下注目させられている。
◇台湾のTSMC「試練は目の前」 米中対立の地政学リスクで創業者 (10月26日付け 共同通信)
→半導体受託生産の世界最大手、TSMCの創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏は26日、米中対立などの地政学的リスクを念頭に置き「最も厳しい試練は目の前にある」と述べた。台湾北部・新竹県で開かれた社内運動会であいさつした。
張氏は今年の好調な業績を評価し「記録を破る1年のようだ」と表明した。一方でこれまでの成長を支えたグローバル化や自由貿易は「死んだ」と主張。「われわれは地政学の戦略家による争いの地になった」と述べ、半導体を巡る問題は政治的になったとの認識を強調した。
◇TSMC founder touts company’s global role (10月27日付け Taipei Times)
→TSMCの創業者、Morris Chang氏は、地政学的緊張が高まる中、貿易のグローバル化は終焉を迎えたと、昨日の同社年次運動会で語った。
グローバル・サプライ・チェーンにおけるTSMCの価値は急上昇しており、TSMCは今後さらなる困難に直面するかもしれないと張氏は語った。2018年に同社を引退した張氏は、世界最大の受託チップメーカーであるTSMCが、現在のリーダーシップを背景に世界の半導体業界で奇跡を起こし続けると確信していると述べた。
◇TSMC Founder Warns 'Free Trade in Semiconductors Has Died'―Morris Chang Says TSMC Has Become a Geopolitical Necessity (10月28日付け Taipei Times)
→世界最大のファウンドリー(半導体受託生産)企業である台湾TSMCの創業者は、半導体の世界的な自由貿易の衰退が深刻な課題を突きつけていると警告している。
◇TSMC sports day: What did Morris Chang and C.C. Wei say? (10月28日付け DigiTimes)
→TSMCは10月26日、新竹で2024年運動会を開催し、創業者のMorris Chang氏(93歳)が出席した。
TSMCのC.C. Wei CEOは、「TSMCは37年かけて長い道のりを歩んできて、私はここに立つために26年間待っていた。」と同社の歩みを振り返り、克服した課題と達成したマイルストーンを評価し、TSMCの成功は、従業員一人ひとりの貢献と、創業者のモリス・チャン氏やメディアテックCEOのRick Tsai氏ら先達の礎となる仕事によるものだと述べた。
HuaweiのAIプロセッサの件の取り上げが続いている。
◇TSMC tech in Huawei’s AI chips raises questions about ‘porous’ supply chain―It remains unknown how TSMC dies found their way into Huawei’s Ascend 910B, but analysts say it shows the limits of Washington’s sanctions (10月27日付け South China Morning Post)
→カナダの調査会社が、Huawei Technologiesのmulti-chiplet AIプロセッサー、Ascend 910BにTSMC製のダイが含まれていることを発見し、アナリストによれば、米国制裁の抜け穴の可能性と、先端ファウンドリー技術にアクセスしようとする中国の執拗な努力を明らかにした。
台湾経済研究所(Taiwan Institute of Economic Research)のresearch fellow and director、Arisa Liu氏は、「中国の半導体セクターに対する米国の長期制裁は、脆弱であることが証明されている」と述べた。
中国に拠点を置くチップ設計会社へのTSMCからの出荷が止められている。
◇TSMC suspends orders to Sophgo―US SANCTIONS: The Taiwan tech giant has ended all shipments to China-based Sophgo Technologies after one of their chips was discovered in a Huawei phone (10月28日付け Taipei Times)
→TSMCは、同社が製造したチップがファーウェイ・テクノロジーズ社のAIプロセッサーに搭載されていることが判明したため、中国に拠点を置くチップ設計会社、Sophgo Technologies Ltd(算能科技)への出荷を停止した、と本件事情通の2人発。
ソフゴはTSMCに、ファーウェイのAscend 910Bに搭載されていたものと同じチップを発注していたという。ファーウェイは、米国の国家安全保障を守るために、この技術の購入を制限されている。ロイターは、このチップがどのようにしてファーウェイ製品に搭載されたのか特定できなかった。
米国大統領選挙が間近であるが、Trump氏の発言である。
◇Trump accuses Taiwan of stealing U.S. chip industry. Here’s what the election could bring (10月28日付け CNBC)
→*Donald Trump前大統領は、Joe Roganのポッドキャストで、台湾がアメリカのチップ産業を盗んでいると非難し、台湾のチップに関税をかけると発言した。
*Nvidiaとあらゆるハイパースケーラは、AIモデルを構築するために台湾のチップに依存している。
*Citi(シティ)は、関税はテクノロジー・サプライチェーン全体のコストを上昇させると述べている。
さらに、米中摩擦に絡む現下の動き&論評である。
◇Biden Finalizes Curbs on US Investing in China Chip, AI Tech―US finalizes restrictions on tech investments in China―Rules cover individual, company investments in advanced tech―Restrictions include both bans and notification requirements (10月28日付け Bloomberg)
→バイデン政権は、半導体、AIおよび量子コンピューティングを含む中国の先端技術分野への米国の投資を制限する規則を最終決定した。この規制は1月2日から適用され、中国の軍事的発展を助長しないよう、特定の投資を禁止し、その他の投資については政府への届け出を義務付ける。
◇Global impact | US-China tech takes a turn as TSMC chips found in Huawei’s AI processors―In this week’s issue of the Global Impact newsletter, we take an in-depth look at the latest in China’s chip development (10月28日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国は先端半導体生産に対する米国の制裁を「突破できない」かもしれない。北京を拠点とするあるシンクタンクのアナリストが最近のインタビューでPost紙に語ったこの悲痛なメッセージは、中国の技術自給自足への道筋に残る大きなハードルを思い起こさせる。しかし、中国のチップ製造における最近の進歩は、このような進歩を大きく遅らせることができるというワシントンの賭けに伴うリスクを物語っている。
◇米政府、半導体やAIなど対中投資規制を決定 25年から (10月29日付け 日経 電子版 07:59)
→米政府は28日、半導体・AI・量子分野で、米国企業や米国人が中国に投資することを制限する規制を2025年1月から発効すると発表した。すでに明らかにしていた概要に沿い、内容を固めて最終決定した。
軍事転用の恐れもある先端技術が、民間投資を通じて中国に流出することを防ぐ。
米政府は23年8月、バイデン米大統領が署名した大統領令に対応して新規制の概要を公表していた。
次に、Appleが、3日連続で生成AIに対応するパソコンの新製品を発表、以下関連する内容を取り出している。
◇This is the Mac Mini’s big moment/ Apple is about to announce its smallest computer ever. It’s likely to be the most impressive flex yet of what’s possible with Apple Silicon. (10月27日付け The Verge)
→しかし今、そのデザインが変わろうとしている。噂が正確であると証明されれば、それは抜本的な変貌を遂げることになるだろう。BloombergのMark Gurman記者は、M4エンジンを搭載したMac Miniのサイズは大幅に縮小され、そのフットプリントはApple TVのようなものになると報じている。新しいMac Miniは、何もかもが削ぎ落とされたMacではないだろう。
◇Apple MacBook Pro 14-inch M4 could be a real treat for Halloween, if latest CPU and RAM spec rumors aren’t a trick―Apple's M4 Macs to feature enhanced AI, memory―Entry-level model to have peppy processor and 16GB of RAM as a baseline? (10月28日付け TechRadar)
→アップルはM4チップを搭載した新しいMacsを発表する予定で、14インチのMacBook Proには10コアの中央演算処理装置(CPU)と16GBの統合メモリが搭載される見込み、とBloombergのMark Gurman氏が報じている。また、24インチのiMacとデザインを一新したMac MiniにもM4が搭載される見込みで、アップルがAI機能を重視していることを強調している。
◇Apple、新型iMacに半導体「M4」搭載 生成AI機能に対応 (10月29日付け 日経 電子版 09:28)
→米アップルは28日、デスクトップパソコン「iMac」の次期モデルを11月8日に発売すると発表した。価格は$1299(日本での価格は税込みで19万8800円)から。処理性能を高めた最新の半導体「M4」を搭載し、生成AIサービス「アップルインテリジェンス」に対応する。アップルはパソコンの頭脳となる半導体を自社設計している。
◇Apple Refreshes MacBook Pro Laptops With New M4 Pro, M4 Max Chips―Apple unveils MacBook Pro with M4 Max, M4 Pro chips―The new chips drive additional upgrades, including Thunderbolt 5, increased memory (for AI!) and a much-needed webcam improvement. (10月30日付け CNET)
→アップルはMacBook Pro 14と16にM4 ProとM4 Maxチップを搭載し、パフォーマンスの向上、AI機能の強化およびバッテリー駆動時間の延長を実現した。M4 Maxは最大16の中央演算処理装置(CPU)コアと40のグラフィック処理コアを持ち、M4 Proは最大14のCPUコアと20のGPUコアを持つ。
◇Apple's MacBook Pros get an M4 upgrade, including the new M4 Max chip―They also feature slightly brighter screens and better webcams. (10月30日付け Engadget)
→まずは24インチiMac、そして可愛らしい新型Mac miniと 、アップルのM4アップグレードが続いた1週間だったが、今日、アップルは14インチと16インチのMacBook ProにもM4チップを搭載する。そして、ベースとなるM4チップとM4 Proに加えて、新たに発表されたM4 Maxを搭載することもできる。
◇Apple、手のひらサイズ「Mac mini」新モデル 9万円台 (10月30日付け 日経 電子版 07:13)
→米アップルは29日、片手で持ち運べる小型のデスクトップパソコン「Mac mini」の新モデルを11月8日に発売すると発表した。処理性能を高めた最新の半導体「M4」や「M4 Pro」を搭載し、自社の生成AIサービス「アップルインテリジェンス」を使える。Mac miniはディスプレーやキーボードが別売りとなるデスクトップ型のパソコンだ。
◇Apple、新型MacBook Pro発表 AI利用スムーズに (10月31日付け 日経 電子版 04:50)
→米アップルは30日、ノートパソコン「MacBook Pro」の新製品を11月8日に発売すると発表した。価格は1599ドル(日本での価格は税込み24万8800円)から。同社は3日連続で生成AIに対応するパソコンの新製品を発表しており、ラインアップの拡充で年末商戦に備える。アップルはパソコンの頭脳となる半導体を自社設計している。
AppleのiPhonesについての現況が、以下の通りである。
◇iPhone 16 sales surge in China and Taiwan, but challenges persist (10月25日付け DigiTimes)
→iPhone16の発売後、中国と台湾から好調な販売報告が発表されており、市場アナリストは、今後のeコマース・ホリデー・プロモーションとアップルの価格調整によって成長が続くと予想している。
◇Apple ships US$6 billion of iPhones from India (10月30日付け Taipei Times)
→アップル社のインドからのiPhone輸出は、先月までの6ヶ月間で3分の1ほど急増し、同国での製造を拡大し、中国への依存度を下げようとしていることが明らかになった。
該米国企業はインド製のiPhoneを$6 billion近く輸出し、金額ベースでは前年比3分の1増加した、と関係者は述べた。
波乱そして不安定要因を孕んだ情勢のもと、主要各社の動き&取り組みには引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□10月29日(火)
前の週は下げが続いたが、今週は中3日は下げ、始めと終わりに上げた米国株式市場である。ハイテク大手各社の業績発表に反応する動きである。
◇NYダウ6日ぶり反発273ドル高 主力株に自律反発買い (日経 電子版 05:51)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前週末比273ドル17セント(0.7%)高の4万2387ドル57セントで終えた。前週末まで下げが続いた後で、主力株に自律反発狙いの買いが入った。原油相場が大きく下落したことも相場上昇を支えた。
□10月30日(水)
◇NYダウ反落154ドル安 消費・景気敏感株の下げが重荷 (日経 電子版 07:30)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比154ドル52セント(0.36%)安の4万2233ドル05セントで終えた。住宅関連の銘柄の下げが目立った。米労働市場が減速しているとの懸念も投資家心理の重荷となった。一方で、ハイテク株に買いが入り、ダウ平均は上昇する場面もあった。
米国の7−9月四半期のGDPは、堅調な伸びを示している。
◇U.S. economy grew at a 2.8% pace in the third quarter, less than expected―Q3 saw 2.8% annualized growth in GDP (CNBC)
→米商務省によると、第3四半期の米国経済は、個人消費に一部牽引され、年率2.8%の成長を記録した。第2四半期の3%をわずかに下回った。個人消費支出は3.7%増、連邦政府支出は9.7%増であった。
□10月31日(木)
◇大統領選前最後の米GDP、堅調揺るがず 利下げ休止論も (日経 電子版 05:28)
→米商務省が30日公表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は前期比年率で2.8%増と高い伸びを示した。金融引き締め下でも強さを保つ米経済に、市場では12月の利下げ休止論がくすぶる。
◇NYダウ続落、91ドル安 ハイテク大手の決算控え様子見 (日経 電子版 07:22)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比91ドル51セント(0.22%)安の4万2141ドル54セントで終えた。米企業の2024年7〜9月期決算の発表が本格化するなか、投資家は選別物色を進めている。テック大手の決算を見極めようと様子見ムードもあり、相場全体を押し上げる動きは限られた。
□11月1日(金)
◇NYダウ378ドル安 マイクロソフト6%安、IT売りを誘発 (日経 電子版 06:33)
→10月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比378ドル08セント(0.89%)安の4万1763ドル46セントで終えた。前日夕に2024年7〜9月期決算を発表したマイクロソフトなどが大幅下落し、ハイテク株全般に売りが広がった。
□11月2日(土)
◇NYダウ反発288ドル高 アマゾンとインテルの上昇が支え (日経 電子版 06:24)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反発し、前日比288ドル73セント(0.7%)高の4万2052ドル19セントで終えた。ハイテク株が相場をけん引した。10月の雇用統計で就業者数の増加幅は市場予想を大きく下回ったが、ハリケーンなど一過性の要因が影響し堅調な米景気という全体像は変わっていないとの受け止めが多く、株買いを支えた。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
7−9月四半期の業績発表が行われ、厳しい経営状況が改めてクローズアップされているインテルであるが、半導体業界最大手としての技術面はじめ様々な切り口での取り組みとともに、以下の通りである。
◇Intel Files a Patent For “Disaggregated GPU” Design, Are We Going To See “True” Multi-Chiplet GPUs Soon? (10月28日付け wccftech)
→*モノリシック構造から専用チップレットへ、インテルの最新特許出願が示すGPU設計の未来
インテルは、チーム・ブルーが専用ロジック 「チップレット 」を活用できる特許を申請したことから、分解されたGPUアーキテクチャの活用を視野に入れていると報じられている。
◇Intel announces successor to head of process technology development―Intel names Shahriari to lead process tech development ahead of 18A (10月28日付け Electronics Weekly (UK))
→インテルは、世界をリードするプロセス「18A」の発表を1年後に控え、後任のプロセス技術開発責任者を発表した。Ann Kelleher(アン・ケレハー)氏は、2020年からインテルの技術開発責任者を務めており、インテルが業界のプロセス技術リーダーに返り咲くことを目的とした5N4Y(5 Nodes In Four Years)プログラムの実行を任されている。5つのノードの5番目は18Aプロセスである。
ケレハー氏の後任には、現在アリゾナで設計エンジニアリング活動を指揮しているNavid Shahriari(ナビド・シャリアーリ)氏が就任する予定である。
◇Intel invests US$300 million in China chip packaging and testing plant―Intel aims to expand China chip packaging with $300M―The US chip giant aims to expand an existing chip packaging and testing facility in China, its largest market (10月28日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→インテルは、中国の成都(Chengdu, China)にあるチップのパッケージングとテスト施設を拡張するために$300 millionを投資する予定である。インテルのラップトップ・プロセッサーの半分以上を扱うこの施設では、カスタマー・センターも設立し、現地のサプライ・チェーンの効率を高める。
◇Intel expands Chengdu facility with new server chip packaging and testing services (10月28日付け DigiTimes)
→インテルは10月28日、四川省成都の施設(Chengdu, Sichuan facility)を拡張し、サーバー・チップのパッケージング・サービスを提供する計画を発表した。この拡張は、同施設の既存事業を活用し、エネルギー効率に優れ、カスタマイズされたソリューションに対する中国のニーズの高まりに対応するものである。
◇Intel set for sharp drop in quarterly revenue as US chip maker struggles to bounce back (10月29日付け South China Morning Post)
→*かつて米国を代表する半導体大手であった同社は今週、四半期売上高が8%減の$13.02 billionとなる見込みである。
*インテルは木曜31日、四半期ベースで過去5四半期で最大の減収となる見込みで、かつてはアメリカの半導体大手であった同社にとって、データセンターとパソコンの市場シェアがさらに侵食される可能性を示唆している。
◇Intel rolls out microcode fix for crashing 13th/14th Generation processors through the Linux Kernel―Intel releases microcode patch for Raptor Lake for Linux―Users can update to the latest microcode through Linux's package management system without dabbling in the BIOS. (10月30日付け Tom's Hardware)
→インテルは、Linuxカーネルを通じてRaptor Lakeプロセッサーのマイクロコードパッチを提供し、中央処理装置(CPU)の劣化と電圧スパイクに対処する。以前はBIOSアップデートでのみ提供されていたこのアップデートには、USB 3.2ハブやPCONFIGエラーログの修正も含まれている。
◇Intel shares jump 7% on earnings beat, uplifting guidance (10月31日付け CNBC)
→*インテルは予想を上回る決算を発表し、高めのガイダンスを発表した。
*該チップメーカーは大規模なリストラの真っ最中である。
◇Intel lost $16.6 billion in Q3, reports $13.3 billion in revenue―Margin plummets to 15% (10月31日付け Tom's Hardware)
→インテルは木曜31日、2024年第3四半期の決算を発表した。売上高は予想を上回る$13.3 billionに達したものの、インテルは多額の減損損失とリストラ費用を計上し、$16.6 billionの巨額損失を計上した。驚くことに、このニュースを受けて同社の株価は当初12%まで上昇したが、報道時点では7%程度の上昇に留まっている。
◇Intel is coming. Ohio community colleges say the state’s workers will be ready.―Intel funding informs curriculum at Ohio community college (10月31日付け The Christian Science Monitor)
→オハイオ州コロンバス(Columbus, Ohio)にあるColumbus State Community Collegeの学生たちは、2027年にもニューオールバニー(New Albany)に2つの半導体工場を開設する準備を進めているインテルのカリキュラムへの投資の恩恵を受けている、この地域のいくつかのコミュニティ・カレッジの学生たちの一人である。同校では、半導体製造、製造基礎および真空システム技術など、インテルの意見を取り入れた授業が行われている。
◇Intel CEO calls TSMC an 'awesome' company, says the company is still waiting for CHIPS Act money (11月1日付け Yahoo)
→大手チップメーカー、インテルの決算日は、またしても台所の流し台のような一日だった。
インテルの株価は、第4四半期のガイダンスが予想を上回ったため、金曜1日の市場前取引でわずかに上昇した。株価は木曜遅くに約8%上昇していたが、慎重な決算説明会がセンチメントを沈めた。
◇インテル、過去最大の2.5兆円赤字 受託生産の苦戦響く (11月1日付け 日経 電子版 08:53)
→米インテルが31日発表した2024年7〜9月期決算は、最終損益が$16.639 billion(約2兆5000億円)の赤字だった。最終赤字は3四半期連続で、同社として過去最大だった。過剰投資した半導体の製造設備の減損損失やリストラに伴う計$18.5 billionの費用計上が響いた。
7〜9月期の売上高は前年同期に比べ6%減の$13.284 billionだった。
【Samsung関連】
Samsungも、7−9月四半期業績発表はじめ以下の今週の取り上げである。AI向けHBM半導体でのSK Hynixの躍進で、利益でSamsungを上回ったとのあらわし方が見られている。
◇SK hynix likely to overtake Samsung in chip business' annual profit (10月27日付け Yonhap News Agency)
→韓国でサムスン電子に次ぐ第2位のチップメーカーであるSKハイニックスは、チップ事業の年間営業利益で今年初めてライバルを追い抜く可能性が高いと、証券会社が日曜27日に発表した。
SK hynixは現在、人工知能チップセットに使われる広帯域メモリー(HBM)半導体市場を独占している。米国のAIチップ大手、Nvidia Corp.の唯一のHBMサプライヤーである。
しかし、サムスン電子は、NvidiaへのHBM供給のための品質テストの承認をまだ待っているため、そのライバルに遅れをとっている。
◇SK hynix likely to overtake Samsung in chip business' annual profit―SK Hynix is set to surpass Samsung in annual chip profit (10月27日付け The Korea Times (Seoul))
→SK Hynixが、AIチップセット向け広帯域メモリ(HBM)半導体での優位性により、年間営業利益でSamsung Electronicsを追い抜く構えである。Nvidia向けの唯一のHBMサプライヤーであるSK Hynixの2024年の営業利益は、Samsungのチップ部門が$13.5 billionであるのに対し、$16.88 billionになると予測されている。
◇Samsung and Kioxia reinstate NAND manufacturing cuts―Sources: Samsung, Kioxia to reduce NAND output as demand lags (10月29日付け DigiTimes)
→サムスン電子とKioxiaはともに第4四半期にNANDフラッシュの生産を縮小する予定であると、業界のサプライチェーン関係者が語っている。これは、旺盛なAI需要にもかかわらず、全体的な需要が期待外れであることを示唆している。
◇Samsung Electronics’ chip profit shrinks 40% from the previous quarter (10月30日付け CNBC)
→*サムスン電子は木曜31日、第3四半期の売上高と営業利益を発表した。
*半導体部門の第3四半期の営業利益は3兆8600億ウォン(約$2.8 billion)で、前四半期から40%減少した。
*人工知能(AI)がファウンドリー部門の先端チップ需要を牽引した一方で、サムスンはモバイルとPCの需要が不調だったと述べた。
◇Samsung Electronics Q3 net profit surges, but chip biz remains sluggish-Samsung's Q3 profit up, but chip business struggled (10月31日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、デバイス部門の好調と過去最高の売上高に牽引され、第3四半期の純利益が72.8%増の$7.3 billion7になったと発表した。しかし、半導体事業は、AIチップの販売不振と在庫調整により、営業利益が第2四半期から40%減少するという困難に直面した。
◇Samsung Electronics’ chip profit shrinks 40% from the previous quarter (10月31日付け CNBC)
→*サムスン電子は木曜31日、第3四半期の売上高と営業利益を発表、同社の予想を僅かに上回った。
*半導体部門の第3四半期の営業利益は3兆8600億ウォン(約$2.8 billion)で、前四半期から40%減少した。
*人工知能(AI)がファウンドリー部門の先端チップ需要を牽引した一方で、サムスンはモバイルとPCの需要が不調だったと述べた。
◇Samsung’s chip profits fall (11月1日付け Taipei Times)
→厳しい競争:サムスンのフラッグシップ・チップ部門の前四半期の利益は40%以上減少、ライバルに追い付く苦しい戦い。
◇サムスン、メモリー首位に影 利益額、競合SKを下回る 先端品で巻き返し急ぐ (11月1日付け 日経)
→半導体メモリーで世界首位の韓国サムスン電子の地位が揺らいでいる。31日に発表した2024年7〜9月期決算は半導体部門が増収となったものの、競合の韓国SKハイニックスの利益額を大きく下回った。SKに出遅れた先端品で巻き返しを図るが、稼ぐ力を取り戻せなければ競争力は一段と低下しかねない。
【各社業績発表から】
インテル、Samsungと示してきたが、PC、スマホ、産業の半導体市況はどうなのか。AIが圧倒的に引っ張る現況を映し出す以下関連する各社の業績発表を取り出しているが、停滞気味の気分すらうかがえている内容である。
◇AMD shares fall as forecast fails to impress despite strong AI growth (10月30日付け CNBC)
→*アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)社が火曜29日に発表した第3四半期決算は、利益は予想通り、売上高は予想をわずかに上回った。
*AMDは、データセンター事業の売上高が2四半期連続で倍増したが、第4四半期の全体的な売上高ガイダンスはコンセンサス予想通りだったと述べた。
◇AMD raises AI chip sales forecast to US$5 billion for 2025―Revenue in AMD’s data centre business, which includes AI chips, surged 122 per cent to US$3.5 billion in the fourth quarter (10月30日付け South China Morning Post)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は火曜29日、第4四半期の売上高が予想にわずかに届かず、2025年の人工知能チップの売上高予想を$5 billionに引き上げたが、投資家に感銘を与えるには不十分だった。
◇ST Targets China Growth After Trimming Forecast Again―STMicro looks to China, AI as revenue forecast is cut (10月31日付け U.S. News & World Report/Reuters)
→STマイクロエレクトロニクスは、2024年の売上高予測について3度目の下方修正を行い、年間売上高予測を$13.27 billionに引き下げた。
Jean-Marc Chery CEOは、成長は中国での市場シェア拡大にかかっているとしている。STMicroはAIもターゲットにしており、最近ではAIサーバー・インフラ向けの炭化ケイ素(SiC)製品のデザインウィンを獲得している。
◇ルネサス、1〜9月26%最終減益 産業機器向け落ち込み (10月31日付け 日経 電子版 09:45)
→ルネサスエレクトロニクスが31日発表した2024年1〜9月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比26%減の2002億円だった。中国景気の回復遅れなどで、ファクトリーオートメーション(FA)など産業機器向けの半導体需要が落ち込んだ。営業利益は36%減の2047億円だった。売上高にあたる売上収益は5%減の1兆558億円だった。
◇メディアテック 7〜9月 37%増益 スマホ向け、回復傾向 (10月31日付け 日経)
→台湾半導体開発・設計大手の聯発科技(メディアテック)が30日発表した2024年7〜9月期決算は純利益が前年同期比37%増の253億台湾ドル(約1200億円)、売上高は20%増の1318億台湾ドルだった。スマートフォン向けなどの需要が緩やかに回復した。
増収増益は4四半期連続。売上高は会社予想(1235億〜1324億台湾ドル)の上限に近かった。
【AI突出の市況】
現下のAIが圧倒的に引っ張る市況について、象徴的に示す内容記事を以下取り出している。
◇ナスダック最高値、AI相場再点火 NVIDIAが上昇の4割 (10月30日付け 日経 電子版 05:54)
→29日の米株式市場で、ハイテク株の比率の高いナスダック総合株価指数が3カ月半ぶりに史上最高値を更新した。米利下げ後の株高を主導したのは半導体大手エヌビディア。主要500社時価総額の増加分の4割弱を1銘柄で占めた。AI関連の投資競争加速で恩恵が集中する。
◇Microsoft、7〜9月の設備投資3兆円 AI独走へ規模で攻め (10月31日付け 日経 電子版 11:52)
→米マイクロソフトが30日に発表した2024年7〜9月期決算で、設備投資額は前年同期比79%増の$20 billion(約3兆円)と四半期ベースで過去最高を更新した。生成AIの開発・運用に使う半導体やデータセンターに巨費を投じ、規模を生かしてAI分野での独走態勢を固めようとしている。
◇半導体株、AI恩恵で明暗 NVIDIAは23年末比で約3倍 (11月1日付け 日経 電子版 02:00)
→株式市場で半導体関連銘柄の明暗が分かれている。AI分野での競争力が軸で、米エヌビディアの株価は2023年末比で3倍近く上昇した。関連銘柄は期待先行で買われてきたものの、AI分野に強く業績貢献も期待できる銘柄に資金がシフトしている。
◇ソフトバンク、AI計算基盤を増強 来年度GPU1万基 (11月1日付け 日刊工業)
→ソフトバンクは31日、拡張中のAI計算基盤で、米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)「ホッパーGPU(H100)」約4000基の整備を完了したと発表した。2023年9月に約2000基の同社製GPU「アンペアGPU(A100)」を用いたAI計算基盤を稼働している。今回の整備によりAI計算基盤全体のGPUは約6000基、計算処理能力の合計は4・7エクサフロップス(エクサは100京)となった。25年度にはGPUを計1万基に増強。計算能力を25・7エクサフロップスにする。
◇Intel losing Dow Jones Industrial Average place to Nvidia (11月1日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→S&P Down Jones Indicesは金曜1日遅くにこの変更を発表し、「半導体業界をより代表するエクスポージャーを確保する」と述べた。
◇米テック4社の7〜9月、投資7割増10兆円 AI支出膨らむ (11月2日付け 日経 電子版 06:09)
→米巨大IT大手の2024年7〜9月期決算が1日までにまとまった。アップルを除く4社の設備投資額は前年同期と比べ7割増の約$65 billion(約10兆円)となり、過去最高となった。各社とも収益拡大を上回るスピードで支出が膨らんだ。市場は巨額投資の回収を巡って一段と警戒を高めている。
【半導体市場データ関連】
来年、2025年の半導体販売高の予測もあらわれ始めているが、今週は以下の通りである。
◇6% increase in mature node capacity for top ten this year―TrendForce: Mature node capacity utilization to reach 75% in 2025 (10月25日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce社によると、世界の成熟したプロセスファウンドリー上位10社の生産能力が6%増加する主因は、中国のファウンドリーにあるという。
◇Chipmakers tipped to lift capacity―MATURE PROCESSES: TrendForce said that an increase in demand for chips used in vehicles, smartphones and PCs would improve firms’ equipment utilization rates (10月26日付け Taipei Times)
→TrendForceが昨日発表したところによると、世界の主要受託チップメーカーは来年、成熟したプロセス技術の生産能力を年率6%増強する見込みであり、電子機器とチップの需要が穏やかに回復していることから、新規生産能力の大部分は中国のチップメーカーによるものである。
しかし、世界経済の不確実性と中国経済の減速に対する懸念は、成熟したノードプロセス技術に対する需要を抑制し、受注の見通しを3ヶ月程度に制限するだろうと、台北に拠点を置くこのリサーチャーは述べた。
◇Gartner Forecasts Worldwide Semiconductor Revenue to Grow 14% in 2025 (10月28日付け Gartner)
→*Semiconductor Revenue to Total $717 Billion in 2025.
*Semiconductor Revenue to Grow 19% in 2024.
*GPU Revenue to Grow 27% in 2025.
Semiconductors Revenue Forecast, Worldwide, 2023-2025 (Billions of U.S. Dollars)
2023 | 2024 | 2025 | |
Revenue | 530.0 | 629.8 | 716.7 |
Growth (%) | -11.7 | 18.8 | 13.8 |
[Source: Gartner (October 2024)]
◇Double digit growth for semis this year and next―Gartner: AI demand to drive global semiconductor growth―2025 semiconductor sales will grow 14% to $717 billion, says Gartner, after 19% growth this year to reach $630 billion following the 11.7% 2023 decline. (10月29日付け Electronics Weekly (UK))
→Gartner社によると、世界の半導体売上げはAI関連需要と電子機器生産の回復により、今年は18.8%増の$629.8 billion、来年は13.8%増の$716.7 billionになると予想されている。メモリとグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)市場が主に貢献し、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の売上は2025年に$115.6 billion、GPUの売上は$51 billionに達すると予測されている。ガートナー社によると、自動車および産業部門の需要は依然として低調である。
◇Global semiconductor sector expected to grow due to AI demand, new report says (10月29日付け Business Insider)
→世界の半導体業界は力強い回復局面に向かっており、2024年には売上高が前年比19%増の$630 billionに達すると予測されている。この成長トレンドは、2023年の厳しい状況に続くもので、2025年にはさらに$717 billionに増加するとの予測もあり、今後も勢いが続くと思われる。
◇Back-end semiconductor equipment: advanced packaging to propel the market in 2025 (10月30日付け YOLE Group)
→後工程半導体装置市場は、AIの大規模投資が伝統的分野の回復の遅れを相殺、2025年に向けて成長態勢にある。
組立およびパッケージングに不可欠な後工程半導体装置市場の売上げは、consumer electronics市場の回復の遅れを受け、ここ数四半期減少している。しかし、この分野は第4四半期には回復すると予測されており、先端パッケージングの採用増加とともに需要の回復を示唆している。