8月販売高が過去最高を記録、一方警戒感も;新興半導体圏の胎動関連
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この8月について$53.12 billion、前年同月比20.6%増、前月比3.5%増と増勢を維持、少なくとも2022年以降では単月最高であり、過去最高の8月販売高を記録、とあらわされている。このまま増加の勢いが保たれれば、年間販売高最高更新も期待されるが、どうなるか。一方では、本格回復待ちのシナリオに警戒感を呈するデータ&状況がいくつか見られて、今後の推移に注視を要する受け止めである。インド、そして東南アジア諸国など新興半導体圏の動きが活発に続いているが、今後に向けた打ち上げの一方で、難局の様相も見られて、出だしの推移に注目させられている。
≪プラス、マイナス入り混じる様相≫
米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。
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○8月の世界半導体販売高、前年同月比20.6%増―8月の販売高が過去最高を記録、世界のチップ販売高が前月比3.5%増 …10月4日付け SIA/Latest News
Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年8月の世界半導体販売高が$53.1 billionとなり、前年同月、2023年8月の合計$44.0 billionから20.6%増、前月、2024年7月の合計$51.3 billionから3.5%増となった、と発表した。月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関がまとめたもので、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「8月の世界半導体市場は大幅な成長を続け、過去最高の8月販売高を記録、前月比販売高は5ヶ月連続で増加した。」とSIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「前年同月比販売高が2022年4月以来最大の割合で増加したが、これはAmericasへの前年同月比43.9%の販売高増加が牽引したものであり、前月比販売高は2023年10月以来初めて全地域で増加した。」
地域別では、販売高前年同月比で、the Americas (43.9%), China (19.2%), Asia Pacific/All Other (17.1%), およびJapan (2.0%)では増加したが、Europe (-9.0%)では減少した。8月の販売高前月比では、the Americas (4.3%), Japan (2.5%), Europe (2.4%), China (1.7%), およびAsia Pacific/All Other (1.5%)と、すべての地域で増加した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Aug 2023 | Jul 2024 | Aug 2024 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 11.51 | 15.41 | 16.56 | 43.9 | 7.5 |
Europe | 4.68 | 4.16 | 4.26 | -9.0 | 2.4 |
Japan | 3.92 | 3.90 | 4.00 | 2.0 | 2.5 |
China | 12.99 | 15.23 | 15.48 | 19.2 | 1.7 |
Asia Pacific/All Other | 10.95 | 12.63 | 12.82 | 17.1 | 1.5 |
計 | $44.04 B | $51.32 B | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % |
--------------------------------------
市場地域 | 3- 5月平均 | 6- 8月平均 | change |
Americas | 13.90 | 15.41 | 19.1 |
Europe | 4.22 | 4.16 | 0.9 |
Japan | 3.71 | 3.90 | 7.8 |
China | 14.97 | 15.23 | 3.5 |
Asia Pacific/All Other | 12.32 | 12.63 | 4.0 |
$49.12 B | $51.32 B | 8.1 % |
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※8月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/10/August-2024-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
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週末ギリギリの時点の発表で、業界紙の取り上げは限られる見え方である。
◇Global Semiconductor Sales Increase 20.6% Year-to-Year in August (SEMICONDUCTOR DIGEST)
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、以後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、5月には増勢をさらに高めて、2022年半ば以来の販売高、および前年同月比伸び率となっている。そして、6月はほぼ$50 Billionであるが、この大台を本年後半に突破し続けられるかどうか、2022年と見比べての注目となる。7月は$51.32 Billionと2022年の月次最高に次ぐ水準である。2022年から大きく踏み上がれるかどうか、全体的な市場拡大の到来如何にかかってくる。8月は$53.12 Billionと、以下で見ると、月間最高値を示している。本年後半の増加踏み上げとなるか、引き続き注目である。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
→史上最高更新 | ||||
2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % |
現下の市況関連の記事内容を以下に示すが、本格回復待ちのシナリオに警戒感を呈する材料が入り混じる見え方となっている。
◇South Korea’s Chip Stockpiles Shrink at Fastest Pace Since 2009―South Korea's semiconductor stockpiles drop sharply (9月29日付け BNN Bloomberg (Canada))
→韓国の半導体在庫は、人工知能(AI)開発に使われる高性能メモリー・チップの需要が持続している兆候として、先月2009年以来最も早いペースで減少した。
韓国統計庁が月曜日に発表したデータによると、在庫は前年同月比42.6%減と、7月に報告された34.3%減を上回るペースで減少した。生産は10.3%増、出荷は16.1%増となり、好況のサイクルが第3四半期の大部分まで続いたことが示された。
インテルの難局について、前回まで取り上げてきているが、今後ともに注目せざるを得ないところである。
◇Despite Intel's woes, the U.S. remains the revenue leader of the semiconductor industry―Intel's struggles don't stop US semiconductor dominance-And will stay this way for years to come. (9月30日付け Tom's Hardware)
→米国の半導体産業は、インテル社の難局にもかかわらず、昨年の売上高が$264.6 billionで、世界をリードしている。インテルCEO、Pat Gelsinger氏の回復計画には、先端技術と製造への投資が含まれており、CHIPS and Science Actはこの努力を支援し、国内生産を強化することを目指している。
◇インテル苦境、3つの誤算 実らぬ投資/シェア低下/AI出遅れ 年初から時価総額半減 (9月30日付け 日経)
→米インテルの経営が苦境に陥っている。受託生産(ファウンドリー)への先行投資がかさんで業績が悪化し、設計・製造を一体で担う垂直統合型の事業モデルは岐路に立つ。時価総額の急激な縮小で買収観測が浮上しているが、実現には規制の高い壁がある。経営の立て直しに向けた道筋は描けていない。
Samsungにおける以下の見方も、検証を要するところである。
◇Is Samsung bracing for chip industry downcycle?―Report: Samsung preps for industry downturn, plans global job cuts ―Reports allege job cuts around world amid growing chip concerns (10月2日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子が、売上高全体の40%近くを占めるチップ製造の業界全体のダウンサイクルに備えているというシグナルが強まっている。
また、サムスン電子の第3四半期業績について、証券会社は悲観的な見通しを示し、サムスン電子が危機に直面しているとの懸念を煽っている。
メモリ半導体の価格動向も注視を要している。
◇DRAM3カ月連続横ばい 8月大口 (10月2日付け 日経)
→DRAMの8月大口取引価格は、指標のDDR4型8ギガビット品が1個2・10ドル前後で決まった。3カ月連続で横ばいだった。パソコンやスマートフォン向け需要の鈍化で、相場に膠着感がある。
◇DRAM & NAND Prices Witness Almost 20% Drop, Mainly Due To Dwindling Consumer Demand―Memory market sees sharp price declines as DDR5 comes into focus (10月3日付け Wccftech)
→DRAMおよびNANDの契約価格がわずか1ヶ月で20%近く下落、DRAMおよびNAND業界は再び消費者需要の落ち込みに直面している。メーカーがDDR4メモリモジュールを販売できず、最終的に在庫圧力となり、価格引き下げにつながっている。
DRAM市場はここ数四半期、ジェットコースターのような展開が続いており、特にCOVID以降、消費者の関心が低下する中、需要が史上最低水準まで落ち込んだ。
半導体販売高が増勢を示している現時点、懸念要因がいろいろ考えられるが、杞憂に終わることを願うところである。
次に、新興半導体圏に絡む動きに注目していく。
宮城県での工場進出を断念した台湾・PSMC(力晶積成電子製造)が、インドへの技術供与である。
◇台湾力晶、日本進出を断念 半導体製造、SBIと提携解消 インドでは技術供与 (9月28日付け 日経)
→台湾半導体大手の力晶積成電子製造(PSMC)が日本への進出を断念する。SBIホールディングスと宮城県に半導体工場を建設する方針だったが、提携を解消。SBIは新たな協業相手を探す。PSMCは26日には、インド国内でタタ・グループが建設する半導体工場に技術供与すると発表。業績が悪化する中、資金負担が少ない案件に集中する。
戦略物資である半導体を巡り、世界で誘致合戦が激しくなっている。
2年以内に最初の半導体製造、などインドの取り組み関連である。
◇India’s Fab Plans Materialize, at Last―PSMC will transfer mature technology and train local employees for the $11 billion project based in Dholera.―News (9月30日付け EE Times)
→今週発表された一連の工場建設計画は、インドが世界のチップ産業の主要プレーヤーになるという計画がついに具体化しつつあることを示している。インドのタタ・エレクトロニクスと台湾のPowerchip Semiconductor Manufacturing Co.(PSMC)は、他のグループがさらなるチップ製造拠点の計画を発表したのと同じようにインド初の300mmウェハ工場建設を目指している。
◇Sasthra Vedhi proposes innovative ‘blue bricks’ to bury hazardous wastes and cut carbon footprint―"Blue bricks" offer green solution hazardous e-waste (9月30日付け The Hindu (India))
→インドのケララ州(Kerala, India)を拠点とする科学団体、Sasthra Vedhi(サスラ・ヴェディ)は、二酸化炭素排出量を削減し、有害物質を安全に封じ込めることを目的として、コンクリートブロックにニッケル・カドミウム電池やコンパクト蛍光灯などの有害物質を埋め込むことを提案している。実験室でのテストでは、業界標準を上回る圧縮強度を達成し、この「青いレンガ」が建設に利用可能であることが実証された。
◇India to fabricate its first chip in two years as Nvidia, AMD and Micron pledge to expand to the country (10月1日付け CNBC)
→*インドのPiyush Goyal商務大臣は、ニューヨークで行われたCNBCとの1対1のインタビューで、インドが2年以内に最初のチップを製造すると語った。
*インドが半導体に参入するのは、米国のチップメーカーがインドに照準を合わせるようになってから。Nvidia、AMD、Micronなどが、インドでの事業拡大を表明している米国企業である。
*ゴヤル氏によると、世界のiPhoneの14%がインドで製造されており、その数は 「増加する見込み 」だという。
Googleのタイへの投資、次の通り。
◇Google to invest $1 billion in Thailand to build data center and accelerate AI growth (9月30日付け CNBC)
→*グーグルは、タイに360億タイバーツ($1 billion)を投資し、新しいデータセンターを建設し、クラウドインフラを拡大すると月曜30日に発表した。
*マイクロソフトやOpenAIといった企業との競争に直面している今、人工知能(AI)を国際的な推進力の中心に据えることで、アジアにおけるグーグルの拡大が加速することになる。
*Google, TemasekおよびBain & Companyは、2023年の報告書の中で、タイのデジタル経済は東南アジアで2番目に大きく、2025年までに$50 billionに達すると予測している。
シンガポールの「スマート国家」戦略のリニューアルである。デジタル化進展管理の官庁設置に注目と思われる。
◇シンガポール、デジタル戦略刷新 データ拠点、障害対応で新法 AI研究にも力 (10月2日付け 日経)
→シンガポール政府は1日、国家のデジタル戦略を定めた「スマート国家」戦略を10年ぶりに刷新した。データセンターの障害対策などに関する法律を策定し、ネットでの誹謗中傷や犯罪に対応する新たな官庁も創設して、デジタル化の進展に伴う新たな課題に対処する。
ロシアの自前の半導体製造装置に向けた取り組みである。
◇Russia to spend $2.54 billion on its own chipmaking tools industry by 2030―Report: Russia to slash its reliance on foreign chipmaking equipment ―A new vague plan pins domestic 65nm to 2030. (10月2日付け Tom's Hardware)
→ロシアは、2030年までに外国のチップ製造装置を置き換える大規模なプログラムを支援するため、2400億ルーブル($2.54 billion)以上を割り当てた、とCNewsは報じている。
この構想では、輸入ウェハ・ファブ・ツールへの依存を減らし、最終的には28nmクラスのプロセス技術でチップを製造するため、110の研究開発プロジェクトを立ち上げる。$2.54 billionという数字は、2025年だけでウクライナとの戦争で同国が防衛費に費やす金額の1/57に相当する。
サムスン電子が、インドの工場で従業員ストライキの事態、韓国でも然り、内外の対応が求められている。
◇サムスン、インド工場のスト・デモに苦慮 当局900人拘束 (10月3日付け 日経 電子版 13:03)
→韓国のサムスン電子がインドで労働問題に苦慮している。南部の主力工場で賃上げや労働組合の承認を求めるストライキが続く。インドメディアによると、地元警察は無許可のデモ行進を実施したとして900人以上の従業員や労働組織の関係者を一時拘束した。対立が長引けば、インドでの業績や戦略にも打撃となりかねない。
いろいろ波乱要因を孕んだ新興半導体圏の動きに、引き続き注目である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□10月1日(火)
国慶節でお休みの週の中国について、我が国への旅行は増えている一方、以下に続くように、中国への投資離れが見られている。
◇中国・国慶節、日本が海外渡航先トップ 国内は節約志向 (日経 電子版 02:00)
→中国で1日から国慶節(建国記念日)に伴う7連休が始まる。期間中に公共交通機関や自家用車で延べ19億4000万人が地域をまたいで移動すると予測される。海外旅行では日本が渡航先トップとなった。国内では節約志向の影響で、割安に抑えられる地方都市への車旅行の人気が高まる。
今年は1〜7日の7連休となる。1日平均の移動人数は2023年同時期と比べて1%増える見込み。
米連邦準備理事会(FRB)からの発言に敏感に反応、中東緊張警戒から下げとなったものの、雇用データを受けて軟着陸の期待が高まって、最高値更新で締めとなった今週の米国株式市場である。
◇FRB議長、利下げ「急ぐ必要ない」 経済の堅調さを強調 (日経 電子版 04:30)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は30日のイベントで、今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調した。利下げペースは今後のデータ次第としつつ、足元までは雇用や個人消費が堅調さを保っていると指摘した。
◇NYダウ続伸17ドル高、最高値更新 Apple2%高 (日経 電子版 06:20)
→9月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比17ドル15セント(0.04%)高の4万2330ドル15セントで終え、連日で最高値を更新した。同日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受け、追加の大幅利下げ観測がやや後退した。一方で、経済を支える姿勢は鮮明にしており、先行きへの楽観的な見方が投資家心理の支えとなった。
□10月2日(水)
◇NYダウ反落、中東緊張で173ドル安 ナスダック1.5%安 (日経 電子版 06:02)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比173ドル18セント(0.40%)安の4万2156ドル97セントで終えた。イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊張が高まっている。投資家がリスク回避の姿勢を強め、ハイテク株や景気敏感株を中心に売りが出た。ダウ平均の下げ幅は380ドルを超える場面があった。
□10月3日(木)
◇NYダウ反発39ドル高 ハイテク株上昇も、中東懸念重く (日経 電子版 06:26)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比39ドル55セント(0.09%)高の4万2196ドル52セントで終えた。前日に下げが目立った半導体を中心に主力株の一部が持ち直した。米労働市場の底堅さを示す経済指標も相場を支えた。もっとも、イスラエルとイランを巡る地政学リスクへの懸念は引き続き投資家心理の重荷となり、ダウ平均は下げる場面も目立った。
□10月4日(金)
◇NYダウ反落、184ドル安 中東情勢の悪化を警戒 (日経 電子版 06:30)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比184ドル93セント(0.43%)安の4万2011ドル59セントで終えた。中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が投資家心理の重荷となった。4日には9月の米雇用統計の発表を控えていることもあり、主力株に持ち高調整の売りが出やすかった。
◇日本の脱・中国加速 投資額4〜6月に16%減、欧州以下に (日経 電子版 18:59)
→日本企業の脱・中国投資が止まらない。中国の現地法人の設備投資は2024年4〜6月まで7四半期連続で前年実績を割り込み、欧州での投資額を下回った。日系自動車メーカーの不振が部品、素材などサプライチェーン全体に波及している。日本製鉄やフジクラなど中国の拠点・事業を縮小する動きが相次いできた。
□10月5日(土)
◇粘り腰の米雇用、薄れる失速懸念 11月は0.25%利下げか (日経 電子版 03:34)
→米国で雇用情勢の失速懸念が急速に和らいできた。米労働省が4日発表した9月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比25.4万人増と予想を大幅に上回った。雇用は減速傾向のなかでも粘り腰をみせており、市場の大幅利下げ観測は修正を迫られている。
◇NYダウ、反発し341ドル高 経済の軟着陸期待で高値更新 (日経 電子版 05:54)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比341ドル16セント高の4万2352ドル75セントで終えた。9月30日以来、4日ぶりに最高値を更新した。朝方発表の9月の米雇用統計で就業者数の伸びが市場予想を大幅に上回り、米経済の軟着陸期待から投資家の株買いが進んだ。
≪市場実態PickUp≫
【ハリケーン「Helene」の影響関連】
米国・ノースカロライナ州西部でのハリケーン「Helene」による大雨と洪水の半導体産業への影響関連が、以下の通りである。
◇Hurricane Helene barreled through a crucial chip mining area in North Carolina―Helene disrupted quartz mining area in N.C., could affect chip supply / The small mining town of Spruce Pine contains the world’s purest quartz ― a critical ingredient in the chipmaking process. (9月30日付け The Verge)
→ハリケーン「Helene(ヘリーン)」は先週、ノースカロライナ州西部に歴史的な大雨と洪水をもたらし、数十人の死者と壊滅的な被害を州の山間の町にもたらした。その被害は、地球上で最も純粋な水晶の産地であるSpruce Pine(スプルースパイン)の小さな町にも及んだ。
◇Chipmakers aren’t worried about U.S. quartz mine closures due to Hurricane Helene ― many don’t expect significant repercussions―Chipmakers confident after hurricane halts quartz mines―Other quartz sources are out there, but they're a bit more expensive than the North Carolina mines. (10月3日付け Tom's Hardware)
→台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)、サムスン電子、SK Hynixおよび他の大手チップメーカーは、Hurricane Heleneによるノースカロライナ州の石英鉱山の一時閉鎖による大きな混乱は予測していないと述べた。この鉱山は、半導体製造に必要な高純度石英の生産に不可欠である。
◇Top Quartz Supplier to Chipmakers Likely to Recover in 3 Months (10月4日付け EE Times)
→EE Timesにコメントしたアナリストによると、チップ産業で使用される高純度石英(high-purity quartz:HPQ)の約80%を供給するSibelcoは、ハリケーンHeleneが同社の鉱山を閉鎖してから約3ヶ月後に米国での生産を再開する見込みである。
◇US floods hit chip firms’ quartz supply (10月4日付け Taipei Times)
→世界の半導体メーカーは、ハリケーン 「ヘリーン 」の影響で、世界の大半を生産しているノースカロライナ州の2つの鉱山の生産が停止したことを受け、半導体産業に不可欠な高純度石英の供給を監視している。
◇米ハリケーンで供給網懸念 GM工場停止、半導体材料も (10月5日付け 日経 電子版 06:40)
→米南部で発生したハリケーン「へリーン」の被害が供給網に広がっている。米ゼネラル・モーターズは4日、ハリケーンに伴う部品調達の遅れで、ミシガン州など米2工場の生産を停止したと明らかにした。半導体向けの希少材料の供給停止も顕在化しており、今後幅広い生産活動に影響する可能性もある。
【OpenAI関連】
引き続きOpenAIに絡むダイナミック、プラスorマイナスの内容&動きがいろいろ見られて、以下取り出している。
◇OpenAI sees roughly $5 billion loss this year on $3.7 billion in revenue (9月27日付け CNBC)
→*CNBCは、OpenAIが今年の売上$3.7 billionに対して約$5 billionの損失を見込んでいることを確認した。
*売上げは来年$11.6 billionに急増する見込みであることを、本件を知る関係者が確認した。
*マイクロソフトの支援を受けているOpenAIは、現在$150 billion以上となる資金調達ラウンドを進めている。
◇OpenAI reportedly wants to build 5-gigawatt data centers, and nobody knows who could supply that much power―Reports: OpenAI seeks US support to power AI ambitions (9月27日付け Fortune)
→報道によると、OpenAIは、それぞれ5ギガワットの電力を必要とするデータセンターを建設するため、米国政府の支援を求めている。この構想は、AIシステムの開発を支援することを目的としているが、専門家は、このような大規模なエネルギー需要を満たすことの実現可能性について問題があるとしており、これらのデータセンターは世界の電力の1%以上を消費すると指摘する向きもある。
◇オープンAIへの投資、アップルが取りやめ、米報道 (9月29日付け 日経)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは27日、米アップルが米新興オープンAIへの投資を取りやめたと報じた。理由は明らかになっていない。オープンAIは65億ドル(約9240億円)規模の資金調達交渉を来週中にも完了するとされている。
オープンAIは1500億ドルの企業価値評価を前提とした増資を計画し、米ベンチャーキャピタル(VC)のほかアップルや米エヌビディアが投資交渉に参加していると8月に報じられていた。
◇ソフトバンクG、オープンAIに700億円投資へ 米報道 (10月1日付け 日経 電子版 00:36)
→ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドが、米オープンAIに$500 million(約710億円)を投資することで合意したことが明らかになった。対話型AIの「ChatGPT」を開発したオープンAIが予定している資金調達に参加する。
米インターネットメディアの「The Information」が伝えた。オープンAIを巡っては米半導体大手、エヌビディアなどが出資を検討している。
◇OpenAI just raised $6.6 billion to build ever-larger AI models―$6.6B investment boosts OpenAI's AI ambitions/ The funds are reportedly contingent on becoming a for-profit company within two years. (10月2日付け The Verge)
→OpenAIは$6.6 billionを調達し、$157 billionの企業価値評価となっている。この投資はThrive Capitalが主導したもので、OpenAIの構築計画、営利モデルへの移行が条件となる可能性がある。この資本注入は、OpenAIの野心的なAIモデル開発にとって極めて重要であり、AI技術における競争環境と金銭的利害を浮き彫りにしている。
◇OpenAI「人並み会話」音声AI技術、顧客企業に提供開始 (10月2日付け 日経 電子版 06:03)
→米新興企業オープンAIは1日、音声を使い人に近い反応速度で会話する人工知能の提供を企業向けに始めたと発表した。対話型AIのChatGPTと同様の機能を、企業が自社のアプリやウェブサイトに組み込める。音声AIが電話をかけるなど、人の代わりにこなせる作業の幅が広がる。
同日、米西部サンフランシスコ市で開発者会議を開いて発表した。
◇OpenAI、9600億円調達 NVIDIAやソフトバンクGが投資 (10月3日付け 日経 電子版 06:04)
→米オープンAIは2日、$6.6 billion(約9600億円)の資金を調達したと発表した。企業価値は$157 billionと評価され、未上場企業で過去最大級の調達額となった。米半導体大手エヌビディアやソフトバンクグループなど新たに投資する企業も多い。幅広い投資家から資金の後ろ盾を得て、巨額を要する人工知能の開発を進める。
◇ソフトバンクG孫氏「OpenAI新モデル、思考力持つ進化」 (10月3日付け 日経 電子版 13:25)
→ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は3日、対話型人工知能を開発する米オープンAIの新たな基盤モデルについて「これまでの言葉の数珠つなぎによる理解ではなく、考える能力を持った。圧倒的な進化だ」と強調した。新たに出資したオープンAIの知見を得て、自らの戦略に弾みをつける考えだ。
◇OpenAI、借入枠5900億円を設定 三井住友銀など9行と (10月4日付け 日経 電子版 04:56)
→米新興企業オープンAIは3日、米JPモルガン・チェースや三井住友銀行など9行と$4 billion(約5900億円)の借入枠を設ける契約を結んだと発表した。2日に実質的な増資でソフトバンクグループなどから$6.6 billionの資金調達を発表した。負債も使って人工知能開発への投資を急ぐ。
◇AI、強まる「勝者総取り」 オープンAIが1兆円弱調達 エヌビディアなど出資 (10月4日付け 日経)
→米オープンAIが2日、$6.6 billion(約9600億円)の資金調達を発表した。巨額の調達を踏まえNPOから営利企業に経営主体を移す見通しだ。生成AIの開発競争は資金やデータの規模を確保した企業が強くなる「勝者総取り」の様相が鮮明になってきた。
【中国市場関連】
米国の輸出制裁を受けるなか、自立化に向けた取り組み&動きを高めている内容に以下注目している。
◇Huawei’s AI chips take another step forward as Chinese firms look for Nvidia alternatives―Huawei is sending out samples of its Ascend 910C processor for testing as the tech giant races to fill a void left by Nvidia (9月29日付け South China Morning Post)
→米国の制裁を受けるHuawei Technologiesが、各社がハイエンドNvidiaチップの代替を探す中、中国内の潜在的顧客と新しいartificial intelligence(AI)チップのテストを開始、米国の規制にもかかわらず半導体自給を推進する中国の新たなブレイクスルーに近づいている。
◇TikTok owner ByteDance to train its AI model using 100,000+ of Huawei's new Ascend AI chips―Sources: ByteDance to train AI model with Huawei chips―TikTok's Chinese parent company ByteDance will train its next-gen AI model using Huawei's latest AI chips, keeping it all in China. (9月30日付け TweakTown (Australia))
→TikTokの親会社であるByteDanceは、ファーウェイのAIチップ、Ascend 910Bを使用して次世代AIモデルを訓練する計画だと情報筋は伝えている。この動きは、Nvidiaの高度なAIチップに対する米国の輸出規制に対応するもの。
◇China AI Chip Leader Soars 20% Limit as Beijing Warns on Nvidia―Cambricon leads chip rally as Beijing targets Nvidia (9月30日付け BNN Bloomberg (Canada))
→中国のAIチップメーカーであるCambricon Technologiesの株価は、北京が国内企業にNvidiaプロセッサを避け、現地の代替品を選ぶよう奨励しているとの報道を受けて20%上昇した。中国のAIチップ産業を後押しすることを目的としたこの動きは、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)やNaura Technologyといった他の中国チップメーカーの上昇にもつながった。
◇China’s lithography gains a glass half full, not half empty―China’s chip-making equipment now competes with Canon, Nikon and ASML’s older machines though still lags widely at the high-end (9月30日付け Asia Times)
→北京がハイエンド・チップ製造装置の自給自足を目指している中、中国の半導体リソグラフィ技術の進歩は、最近公表されたばかりだが、広く懐疑的な見方に直面している。しかし、競合他社が重要な技術領域で中国がまだどこまで進んでいるかに満足するよりも、中国がどこまで進んでいるかを見る方が理にかなっている可能性が高い。
◇China tells firms to avoid Nvidia chips―PROTECTIONISM: China hopes to help domestic chipmakers gain more market share while preparing local tech companies for the possibility of more US sanctions (9月30日付け Taipei Times)
→北京は中国企業に対し、エヌビディア社製品の代わりに国産のAIチップを購入するよう圧力を強めており、半導体産業を拡大し、米国の制裁に対抗しようとする中国の取り組みの一環である。
中国の規制当局は、AIモデルの開発と実行に使用されるNvidiaのH20チップの企業の購入を思いとどまらせている、と本件に通じた筋。
◇ファーウェイ、米規制はねのけ復権 半導体・OS独自色 (10月1日付け 日経 電子版 02:00)
→上海市の中心部にある中国通信機器大手、華為技術の旗艦店。8月上旬に店舗を訪れると、スマートフォン売り場に新たな機種がお目見えしていた。
「nova Flip」。ファーウェイが8月9日に中国で発売した折り畳みスマホだ。最大の「売り」は5288元(約10万6000円)からという低価格で、主に若者をターゲットに据える。グリーンやピンクなどの色展開に加えて、専用のバッグを用意する。・・・・・
◇Chinese start-up Numemory claims memory chip breakthrough amid US tech sanctions (10月2日付け South China Morning Post)
→*武漢を拠点とする同社は最近、ストレージクラスのメモリーチップの一種である64ギガバイトのNM101を国内市場に投入した。
*中国半導体の新興企業、Numemoryは、中国本土で設計・生産された同分野で最大容量のメモリーチップを発表し、米国政府の制裁が息詰まる中、同国の技術自給努力を強化する画期的なものだと主張している。
【米国政府&市場関連】
CHIPS法はじめ米国政府そして州政府が絡む以下の内容である。
◇National Semiconductor Technology Center Opens for Membership (9月30日付け SIA Blog)
→本日、CHIPS for Americaイニシアチブの重要な節目となるNational Semiconductor Technology Center (NSTC)の会員募集が正式に開始された。この画期的な官民パートナーシップは、米国の半導体技術のリーダーシップを強化し、ラボから工場までの時間を短縮し、半導体労働力を拡大することを目的としている。現在会員募集中で、半導体企業、大学、非営利団体、研究機関、国立研究所、および政府機関は、米国半導体研究開発のリーダーシップの未来を形作ることに参加するよう招待されている。
NSTCは、研究開発活動に従事する「コアメンバー」と、エコシステムにおける非研究指向の利害関係者である「アフィリエイトメンバー」を特徴とする。
◇Natcast Launches National Semiconductor Technology Center Membership Program―Public-private consortium will focus on innovation, collaboration, and education to bolster the U.S. semiconductor industry (9月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
◇米カリフォルニア州知事、AI規制法に拒否権発動 (9月30日付け 日経 電子版 07:46)
→米西部カリフォルニア州のGavin Newsom知事は29日、同州議会が可決していた人工知能規制法案に拒否権を行使したと発表した。法案は高度なAIの開発企業に厳しい安全対策を義務付ける内容で、連邦政府に先駆けて本格的なAI規制が成立するかが注目されていた。
法案の名称は「最先端のAIモデルのための安全・安心なイノベーション法」。成立すれば欧州連合に続き、米国では初。
◇CHIPS Act Spurs Childcare Collaboration―Regions with growing semiconductor companies often lack adequate childcare options. (10月2日付け EE Times)
→育児格差が、米国における半導体産業の労働力強化の障壁として浮上しており、その結果として、SEMI Foundation and Policy Equity Groupは、米国CHIPS and Science Actに基づく育児要件を満たすために企業が協力することを支援している。
◇Biden signs bill cutting environmental reviews for semiconductor industry―New chip bill sparks debate over environmental safeguards (10月2日付け The Hill)
→水曜2日にJoe Biden大統領が署名したBuilding Chips in America Actは、連邦政府の環境審査プロセスを緩和することにより、半導体施設の建設を合理化しようとするものである。この法案は、国内チップ施設の建設と投資の迅速化を促進するものと期待されているが、環境保護団体や一部の議員からは、必要な環境保護を回避するのではないかと批判を浴びている。
◇Biden Signs New Law Exempting Some Chip Projects From Environmental Reviews (10月2日付け Forbes)
◇US to award up to $100 million to boost use of AI for semiconductor materials―Commerce Dept. funds AI work on sustainable chips (10月2日付け Reuters)
→米商務省は、環境に優しい半導体材料の開発におけるAIの活用を支援するため、$100 millionを割り当てる計画を発表した。この資金は、半導体製造をより効率的で持続可能なものにする方法を調査するため、大学、国立研究所および民間パートナーに提供される。
◇US bets on AI to develop sustainable materials, strengthen semiconductor leadership (10月3日付け DIGITIMES)
→米国商務省は、人工知能を活用して持続可能な材料とプロセスを開発することで、米国半導体業界のリーダーシップを維持するための新たなイニシアチブを発表した。最大$100 millionの資金が見込まれるこのコンペティションは、CHIPS for Americaプログラムの一環であり、環境問題に取り組みながら半導体製造の革新を推進することを目指している。
米国市場、半導体関連株の見方である。
◇米半導体株の主役交代 マイクロンなど出遅れ調整 生成AI向け部品脚光 (10月1日付け 日経)
→世界の半導体企業の中で、人工知能に不可欠な最先端メモリーを製造する銘柄の値上がりが鮮明だ。米マイクロンが好決算と先行きの強い見通しを示したことなどがきっかけで、PER(株価収益率)でみた割安感も手伝い、株価の出遅れ調整が進んでいる。米半導体大手エヌビディアなどの上昇ペースが鈍い中で、最先端メモリー株が主役として存在感を高めている。
【AI関連】
OpenAIを真っ先に取り出して上に示したが、AI関連の各社を巡る熱い動き&内容が以下の通り引き続いている。
◇Cerebras’ IPO Paperwork Sheds Light on Relationship with G42―The AI Chip Startup’s S-1 form shows 87% of its revenue in the first half of 2024 came from a single customer, Abu Dhabi-based G42 (10月1日付け EE Times)
→AIチップの新興企業、セレブラスがIPOの書類を提出した。シリコンバレーのAIチップ新興企業は、米証券取引委員会(SEC)にS-1フォームを提出し、ティッカーシンボル「CBRS」でナスダックに上場する意向を示した。IPOの価格帯やスケジュールは未定だが、今回の申請では、同社の財務状況や、最大の顧客であるアブダビに本社を置くG42との関係にスポットライトが当てられている。
◇米新興セレブラスが上場へ AI半導体でNVIDIA追う (10月1日付け 日経 電子版 11:42)
→米半導体新興のCerebrasは9月30日、米ナスダック市場に上場する方針を明らかにした。同社は米半導体大手エヌビディアのGPUに代わる人工知能半導体を独自開発している。IPOで開発資金を確保し、エヌビディアを追う。
◇Hon Hai is to ship new Nvidia AI servers in Dec. (10月2日付け Taipei Times)
→鴻海精密工業は昨日、Nvidia Corpの最新のgraphics processing units(GPUs)を搭載した新しい人工知能サーバーラックの出荷を12月に開始すると発表した。
鴻海の広報担当者であるJames Wu(巫俊毅)氏は、台北で開催の同社の年次技術イベントを開始するための記者会見の傍らで、「鴻海は11月から、GB200チップを搭載したサーバーまたはラックと、それらのマシン用の液体冷却システムの量産を開始する」と述べた。
この発表は、Nvidiaが新世代のBlackwellチップの設計上の欠陥を解決した後に行われている。
◇Microsoft、AI使ってAI開発 学習データ厳選し進化 (10月3日付け 日経 電子版 05:00)
→米マイクロソフトが人工知能を使ってAIを開発する手法を始めた。
生成AIの開発には膨大なデータの学習が必要だが、提携先の米オープンAIの高性能AIが「先生役」となり、より有用なデータを選ぶことで効率化した。AI開発が将来的に人の手を離れ、進化がさらに加速する可能性がある。
◇Google、AIデータ拠点で原発電力の活用検討 CEO表明―【イブニングスクープ】 (10月3日付け 日経 電子版 18:00)
→米グーグルは3日、原子力発電所から調達した電力をデータセンターで利用する検討を進めていると明らかにした。太陽光や地熱発電といった再生可能エネルギーへの投資も増やす。生成AIの普及に伴って電力需要が急増するなか、気候変動の要因となる温暖化ガスを排出しない「カーボンフリー電源」の開発強化につながりそうだ。
◇テスラ、AI担う最高情報責任者が退社へ 米報道 (10月4日付け 日経 電子版 04:17)
→米ブルームバーグ通信は3日、米テスラで人工知能や自動運転などデータ分野を担当する最高情報責任者のナゲシュ・サルディ氏が退社すると伝えた。テスラは10日にAIを活用した自動運転タクシーの発表を予定している。責任者が直前で退任する異例の事態となる可能性がある。
◇GoogleピチャイCEO、「日本は仕事支援AIで手本に」 (10月4日付け 日経 電子版 05:00)
→米グーグルのスンダー・ピチャイCEOは3日、都内で日本経済新聞の取材に応じ、日本での投資について説明した。生成AIをめぐる地域間の競争が激しくなるなか、労働人口の減少を補う「仕事を手伝うAI」で日本は世界に先行できる可能性があるとの見方も示した。
◇メタ、動画生成AIを25年に投入 OpenAI「ソラ」に対抗 (10月5日付け 日経 電子版 05:15)
→米メタは4日、文章による指示で高精細な動画を生成できる人工知能を開発したと発表した。動画とともに流す音声もAIで作れる。
2025年に商用化する方針だ。動画生成AI「Sora(ソラ)」を開発した米オープンAIに対抗する。
【TSMC関連】
AI半導体で好調なTSMC、先端技術関連とともに、以下の通りである。
◇TSMC、AI半導体で快走 25年シェア、前年比2ポイント増の66% 株価は持ち直し (9月29日付け 日経ヴェリタス)
→半導体世界大手のSMCの業績が快走を続けている。人工知能向けの先端半導体を支えに、2024年1〜8月の累計売上高は前年同期を3割上回って過去最高を更新した。シェア向上を追い風に25年も一段の成長が視野に入る。
TSMCは25日(米国時間)に米カリフォルニア州で協業先を集めた定例のフォーラムを開いた。焦点となったのは複数のチップを組み合わせる高性能なAI半導体だ。この分野で協業する韓国SKハイニックスが初めて参加し、最新の技術動向を紹介した。
◇TSMC、自前で水再生 「超純水」では日本の技術も (9月30日付け 日経 電子版 04:00)
→10分間のシャワー2500万回分――。半導体の受託生産で世界シェア6割を握るSMCの主要3拠点で1日あたりに消費される水の量(25万トン)だ。
生成AIの普及などを背景に半導体需要が増すなか、製造に欠かせない水の消費も増えている。・・・・・
◇TSMC talks about key advancements of 3Dblox ―TSMC's 3Dblox standard drives 3D IC design innovation (10月1日付け DigiTimes)
→TSMCの3Dblox規格は、AIを活用した最適化や早期フロアプランDRCなど、3D IC設計を推進するための大幅なアップデートを実施している。同社はOpen Innovation Platformのエコシステム・パートナーと協力し、AIと機械学習を活用して設計の生産性を向上させている。
◇TSMC’s Plan For Closing The Communication Gap―TSMC's COUPE technology addresses semiconductor communication gap ―COUPE For optical interconnect drives better performance and efficiency. (10月3日付け Semiconductor Engineering)
→TSMCは9月25日、Santa Clara County Convention Centerで北米オープン・イノベーション・プラットフォーム(OIP)エコシステム・フォーラムを開催し、ロードマップの最新情報を提供するとともに、TSMCのイノベーションtrainを回し続け、顧客が最新技術を活用できるようにするために必要なすべての協力的作業について、パートナーを表彰した。
TSMCフェロー兼研究開発担当副社長のL.C.Lu氏は、昨年春の技術シンポジウム以降、ロードマップに変更はないと述べた。N3Eは現在生産中で、N2は来年、A16は2026年末を予定している。
Lu氏はまた、TSMCのCompact Universal Photonic Engines(COUPE)に対するモチベーションも示した。