iPhone 16はじめAppleの発表関連;「SEMICON India 2024」初開催
この時期恒例、Appleの新製品発表が行われ、iPhone 16のProモデルおよび非Proモデル向けに、2つの新しいアプリケーションプロセッサ、A18 Proアプリケーション・プロセッサ(AP)およびA18 APが発表されている。現下の本格回復待ちのスマホ市場について、大きな起爆剤の期待である。この発表タイミングに合わせて、中国のHuaweiは、広げると10.2インチになる三つ折り大画面のスマホを披露、今後の競合展開に注目である。新興半導体圏の構築を目指しているインドにおいて、『SEMICON India 2024』が初めて開催されている。米国政府がインドへの支援を表明する一方、インドは台湾企業の進出を求めるなど、新たな展開の渦があらわれ始めている。
≪新たな展開を待ち望む様相≫
Appleの新製品発表関連について、事前の見方である。
◇iPhone16、デジタル経済潤すか 生成AI機能に注目 (9月9日付け 日経 電子版 11:00)
→米アップルが日本時間10日午前2時から特別イベントを開く。生成AI(人工知能)機能を搭載した新型スマートフォン「iPhone16」を発表するとみられる。生成AIへの対応ではライバルに出遅れたものの、人々の暮らしを一変させてきた巧みな商品開発力への期待はなお大きい。新端末がもたらすデジタル経済へのインパクトを探った。
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発表を受けて、以下の通りである。
◇Apple's A18 and A18 Pro processors powers the iPhone 16 and 16 Pro - and Apple Intelligence―Apple unveils A18, A18 Pro processors for iPhone 16 series―The go-to chips for Apple Intelligence (9月9日付け Tom's Hardware)
→アップルはiPhone 16シリーズ向けに、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)が3ナノメートルプロセスノードで製造したA18およびA18 Proプロセッサを発表した。両チップは、ハードウェアベースのレイトレーシング(ray tracing)や強化された機械学習(ML)機能などの高度な機能をサポートしている。また、速度と効率の向上もアピールしている。
◇Apple introduces two faster, more efficient processors for the iPhone 16 series (9月9日付け Phone Arena)
→予想通り、アップルは本日、iPhone 16のProモデルと非Proモデル向けに2つの新しいアプリケーションプロセッサを発表した。A18アプリケーション・プロセッサ(AP)はiPhone 16とiPhone 16 Plusに搭載され、A18 Pro APはiPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxに搭載される。どちらのチップも、世界最大のファウンドリであるTSMCが、第2世代の3nmプロセスノード(N3E)を用いて製造している。
A18は、2つのパフォーマンスコアと4つの効率コアからなる6コアCPUを搭載している。16コアのニューラル・エンジンを搭載したA18は、機械学習に関しては2倍高速で、毎秒35兆回の演算(TOPS)を実行できる。
iPhone 15とiPhone 15 PlusがA16 Bionicを搭載していることを考えると、アップルは、この新しいチップは昨年の非Pro端末に搭載されていたアプリケーションプロセッサよりも30%高速であると指摘している。
◇iPhone16全機種に生成AI 価格据え置き12万4800円から (9月10日付け 日経 電子版 07:35)
→米アップルは9日、新型スマートフォン「iPhone16」シリーズ4機種を20日に発売すると発表した。6月公表の自社生成AI(人工知能)サービス「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」を全機種で使えるようにする。日本での価格は12万4800円からで米国での価格とともに「15」から据え置いた。
発表について、評価的見方である。
◇iPhone16、日本での価格は全機種据え置き 円高影響か (9月10日付け 日経 電子版 11:03)
→米アップルは10日発表した「iPhone16」シリーズの国内の直販価格を12万4800円からに設定し、2023年9月発売の「15」から据え置いた。20年以降、毎年続けていた国内価格の引き上げを今回は見送った。日銀の利上げに伴う円高・ドル安進行が影響したとみられる。約8万円だった19年に比べると5割超高い状況が続く。
◇Apple、出遅れたAIスマホ 新生アプリ経済圏で挽回 (9月10日付け 日経 電子版 17:34)
→米アップルが出遅れた生成AI(人工知能)サービスで巻き返しに動く。
9日、「iPhone16」に独自の生成AI機能を搭載し、米国を皮切りに世界各国に順次導入すると発表した。経営の大黒柱のスマートフォン市場の成長は鈍化し、AI機能の優劣が成長を左右する。生成AIのアプリ経済圏を構築し挽回を狙う。
Apple Watchも最初の発表から10年になるとのこと、市場の現況があらわされている。
◇Apple Watch10年 遠いRolex、背後にはファーウェイ (9月11日付け 日経 電子版 05:00)
→米アップルは腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」の新機種「シリーズ10」を20日に発売する。第1世代の発表から10年。健康機能を軸にスマートウオッチ市場を切り開いてきたが、販売額ではスイスのロレックスをはじめとする高級時計メーカーに及ばない。背中には中国やインドの新興勢も迫る。
◇アップルウオッチの世界シェア1割 迫る中印勢、安さ強み 初代から10年、スイス勢追う (9月12日付け 日経)
→米アップルは腕時計型端末「Apple Watch」の新機種「シリーズ10」を20日に発売する。第1世代の発表から10年。金額ベースの世界シェアは10%を超え、欧州の高級時計メーカーに迫る。低価格を強みに中国勢やインド勢も台頭し、競争は混沌としている。
Appleの発表後数時間となっているが、中国のHuaweiが三つ折りの折り畳み型スマートフォン「Mate XT」を発表、関連記事が以下の通りである。
◇In Huawei’s battle against Apple, chips are still a weakness, says analyst (9月10日付け CNBC)
→*Oppenheimer & Co.の新興技術担当シニアアナリスト、Martin Yang(マーティン・ヤン)氏はCNBCに対し、ファーウェイのチップは依然として最先端から2〜3年遅れていると語った。
*新しい携帯電話を発表する際、同社はそのチップを軽視し、代わりにユニークな三つ折りの機能に焦点を当てる可能性が高い。
◇ファーウェイの三つ折りスマホ40万円、10.2インチ大画面 (9月10日付け 日経 電子版 17:38)
→中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は10日、三つ折りの折り畳み型スマートフォン「Mate XT」を発売すると発表した。画面をすべて広げると10.2インチとタブレット端末並みの大画面になる。1万9999元(約40万円)からで、米アップルの新型スマホ「iPhone16」と同じ20日に中国で発売する。
◇Huawei debuts tri-fold phone―TECH RACE: The Chinese firm showed off its new Mate XT hours after the latest iPhone launch, but its price tag and limited supply could be drawbacks (9月11日付け Taipei Times)
→中国の華為技術有限公司(華為:Huawei Technologies Co)は昨日、世界初の三つ折り可能な携帯電話を発表した。世界最大のスマートフォン市場におけるリードを拡大し、新型iPhoneお披露目後数時間のアップル社からスポットライトを奪おうとしている。
中国の巨大ハイテク企業は、深センで行われた発表会で、アコーディオン式網戸のように3通りに折りたためる新しいMate XTを披露した。
スマホ市場の今後の反応に注目である。
次に、『SEMICON India 2024』が9月11日から13日までニューデリーで開催されたが、まずは直前の動きである。
◇Aspiring for 10 semiconductor manufacturing plants in 10 yrs: ISM CEO―The government has received 20 proposals for setting up semiconductor units including the chip packaging plants (9月9日付け Business Standard)
→インドは10年以内に10の半導体製造工場を持つことを熱望しているが、政府からの支援の性質は業界の発展に応じて変わる可能性がある、とIndia Semiconductor Mission(ISM)の幹部が月曜9日に述べた。
モバイル機器業界団体ICEAとSemicon India主催者Semiの共同記者会見で発言したAkash Tripathi氏は、Indian Semiconductor Mission(ISM)立ち上げ時に、2〜3半導体製造工場、2〜3ディスプレイ工場および各種化合物半導体を手に入れることを想定していた、としている。
米国のCHIPS and Science Actを通したインドとの協力である。
◇US spends CHIPS Act cash to explore Indian chipmaking collabs―US partners with India to bolster global chip supply chains―Starting with an analysis of what India has to offer, which is plenty (9月10日付け The Register (UK))
→米国は、チップサプライチェーンを多様化し、中国への依存を減らすため、CHIPS and Science ActのInternational Technology Security and Innovation Fundのガイドの下、インドと協力している。このイニシアチブはインドの半導体産業を成長させることを目的としており、労働力の育成や規制改革につながる可能性がある。
◇US spends CHIPS Act cash to explore Indian chipmaking collabs―Starting with an analysis of what India has to offer, which is plenty (9月10日付け The Register)
→米国は、世界のチップサプライチェーンの成長と多様化のために、インドおよびその半導体ミッション(ISM)と提携することを決定した。このパートナーシップは、米国CHIPS法のInternational Technology Security and nnovation(ITSI)基金からの資金を使う予定である。中国に関しては、米国半導体産業協会(SIA)の報告書と予測によると、中国の製造能力の成長ペースは低下し、2012年から2022年の間に観察された365%の成長から、2022年から2032年には86%に低下すると予想されている。
◇US, India join hands to expand semiconductor industry. All you need to know (9月10日付け India Today)
→米国務省は、インド電子・IT省傘下のIndia Semiconductor Mission(インド半導体ミッション)と協力し、半導体エコシステムの成長と多様化の方法を探る。
『SEMICON India 2024』自体は、以下の通りあらわされている。
◇SEMICON India 2024: Taiwanese firms urged to act amid closing investment window (9月10日付け Taipei Times)
→2024年9月11日から13日までニューデリーで開催されるセミコン・インディア2024を前に、インド台北協会のManharsinh Laxmanbhai Yadav事務局長はDIGITIMES Asiaの取材に応じ、台湾企業がインドに投資する絶好のタイミングである理由について語った。
同氏は、台湾はインドで進行中の5つの半導体プロジェクトの勢いを利用すべきだと強調し、インド政府が提供するこれらの工場を支援する実質的な優遇措置は長くは利用できないかもしれないと警告した。
◇SEMICON India 2024 Puts Spotlight on Local Semiconductor Ecosystem Growth (9月11日付け EE Times India)
→SEMICON India 2024は、2024年9月11日から13日まで、デリーNCR(National Capital Region:首都圏)のGreater NoidaにあるIndia Exposition Mart Ltd (IEML)で、グローバルリーダー、半導体業界の専門家、学界および政府関係者が一堂に会する。
このイベントでは、スマート製造、サプライチェーン管理、持続可能性および労働力開発などの主要分野における革新とトレンドについて貴重な洞察を得ることができる。同イベントの広範な展示会では、世界の半導体サプライチェーン全体から250を超える出展者が参加し、electronica Indiaおよびproductronica Indiaと併催され、半導体およびエレクトロニクス産業における最新の進歩を紹介する東南アジア最大のプラットフォームを提供する。
◇Semicon India: Modi touts goal to become chipmaking powerhouse―Now is 'right time' for global chipmakers to be in India: PM says at expo (9月12日付け NIKKEI Asia)
→水曜11日のセミコン・インディアの開幕式で、インドは世界の半導体メーカーにレッドカーペットを敷き、インドが半導体産業に本格的に参入したことを示す半導体エキスポである。
Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相は、首都ニューデリー郊外で開催された同イベントの基調講演で、「今こそインドにふさわしい時だ」と述べた。
Samsungのインドの工場では、ストライキと、次の通りである。
◇Samsung faces strikes in India, amid reports of global layoffs―Samsung strike in India affects production―Union alleges work conditions are like solitary confinement and violence is common at Tamil Nadu plant (9月12日付け The Register (UK))
→サムスン電子はインドのTamil Nadu(タミル・ナードゥ)工場でストライキに直面しており、労働者は賃金を要求し、組合禁止政策の廃止を求めている。このストライキは、同社がAIプロセッサーのファウンドリーの歩留まりを上げる必要がある時に、生産を中断させている。
新興半導体圏、インドの今後について、引き続き注目である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□9月10日(火)
前週大きく下げた反動から、上げ基調の今週、引き続き大幅利下げの期待の今週の米国株式市場である。
◇NYダウ、反発し484ドル高 前週大幅安の反動で買い優勢 (日経 電子版 05:28)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前週末比484ドル18セント(1.20%)高の4万0829ドル59セントで終えた。前週末にかけて大幅に下げた後で、主力株を中心に見直し買いが入った。ダウ平均の上げ幅は650ドルに達する場面があった。
米国大統領選討論会についての記事が、以下続いている。
◇US election is just one risk among many for nervous stock market―Presidential debate might shake up stock market (Reuters)
→本日のKamala Harris(カマラ・ハリス)副大統領とDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領の大統領選討論会は、労働市場の不確実性、金利および地政学的緊張のためにすでに動揺している株式市場にボラティリティを加えることが予想される。投資家にとって重要な問題は、税金、貿易、関税および移民問題などである。過去のデータによれば、選挙の年は一般的にS&P500種株価指数が上昇するが、選挙が激しく争われる可能性は市場の不安定につながる。
□9月11日(水)
◇NYダウ反落、92ドル安 業績悪化懸念でJPモルガン5%安 (日経 電子版 07:35)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比92ドル63セント(0.22%)安の4万0736ドル96セントで終えた。11日に8月の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、持ち高調整の売りが優勢となった。金融株の下げも目立ち、ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
◇Harris says Trump ‘sold us out on China’: Highlights from the presidential debate on trade and tariffs―Candidates debate US-China tech war, chip export policies (CNBC)
→Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領とKamala Harris(カマラ・ハリス)副大統領が、関税とチップ輸出を中心に米中ハイテク戦争について討論した。ハリス副大統領は、バイデン政権の対中チップ輸出制限戦略を継続すると述べ、米国の競争力を維持し、同盟国と協力する必要性を強調した。トランプ大統領は関税を要求したが、現在の輸出規制を継続することは否定しなかった。
□9月12日(木)
◇NYダウ反発124ドル高 売り一巡、テック株に見直し買い (日経 電子版 06:50)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比124ドル75セント(0.30%)高の4万0861ドル71セントで終えた。朝発表の8月の米消費者物価指数(CPI)を受け、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退した。午前には700ドル安となる場面があったものの、売り一巡後はハイテク株に見直し買いが入り、下げ幅を縮小。ダウ平均は上昇して終えた。
◇Trump and Harris clash on US-China tech war: tariffs, chip exports, and America's competitive edge (DIGITIMES)
→Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領とKamala Harris(カマラ・ハリス)副大統領は先日、初の大統領選討論会で対決し、米国の対中チップ供給や進行中の貿易戦争などの問題で衝突した。
ハリス副大統領は、もし当選すれば、同盟国と協力して中国へのチップ輸出規制を強化するというバイデン政権の戦略を継続する可能性が高いことを示唆した。
□9月13日(金)
◇NYダウ、続伸し235ドル高 ハイテク株に見直し買い続く (日経 電子版 06:10)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比235ドル06セント(0.57%)高の4万1096ドル77セントで終えた。前日に続き、ハイテク株を中心にこのところ売りが目立っていた銘柄に見直し買いが優勢となった。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測も投資家心理を支えた。前日はエヌビディアなど半導体やハイテク株への買いで指数が上昇に転じて終え、主力株への物色が続くとの期待が12日も相場を支えた。
□9月14日(土)
米国の株式市場は、来週の米連邦準備理事会(FRB)の動きに注目である。
NYダウ、続伸し297ドル高 大幅利下げ期待が支え (日経 電子版 05:45)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比297ドル01セント(0.72%)高の4万1393ドル78セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利下げに動くとの期待が再燃し、景気敏感株などを中心に買われた。
≪市場実態PickUp≫
【米国の対中制裁関税】
今週を締めるタイミングで、米国政府からの対中国関税引き上げが発表されている。大幅な内容であり、半導体も中国製50%とあらわされている
◇米国の対中関税、27日に引き上げ EVは4倍の100% (9月13日付け 日経 電子版 22:35)
→米通商代表部(USTR)は13日、中国からの輸入品に対する制裁関税を27日から引き上げると発表した。電気自動車(EV)には4倍の100%を課す。産業界から反対が出ていた港湾用クレーンなどの一部品目については、猶予措置を盛り込んだ。
◇US locks in steep China tariff hikes, some industries warn of disruptions (9月14日付け Reuters)
→バイデン政権は金曜13日、電気自動車(EVs)への100%関税を含む、中国からの輸入品への急な関税引き上げを実施した。米通商代表部は、中国製EVsに100%、太陽電池に50%、鉄鋼、アルミニウム、EV用バッテリーおよび主要鉱物に25%の関税を課すなど、関税の多くは9月27日に発効すると発表した。 金曜日に公表されたが、ロイターが最初に確認したUSTRの決定では、中国製半導体に50%の関税が課され、ソーラーパネルに使用されるポリシリコンとシリコンウエハーの2つの新しいカテゴリーが2025年に開始されることになっている。
【インテル関連】
長年の半導体業界のリーダー、インテルの動向には、引き続き注目せざるを得ないところである。
◇Intel denies reports of changes to Penang expansion plan (9月9日付け DIGITIMES)
→マレーシアのペナン(Penang, Malaysia)におけるインテルの拡張計画が「一部延期」されたとの報道があり、インテルの世界的なレイオフ計画との関連性について世間の好奇心をかき立てた。しかし、インテルはその後、これらの主張に反論している。
◇Can Intel Catch TSMC?―Intel races to catch up with TSMC in chip process tech―Can Intel catch up in process technology with TSMC was a question asked at IFS2024 earlier this week. (9月11日付け Electronics Weekly (UK))
→インテルは、TSMCからすでに1年遅れているにもかかわらず、4年以内に半導体プロセス技術で台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)に追いつこうと努力している、とFuture HorizonsのMalcolm Penn(マルコム・ペン)CEOは断言する。ペンCEOは、ハードルとしてインテルの内部管理の問題と人材確保の課題に注目している。
◇Intel getting help from Commerce Secretary Raimondo as part of effort to spur U.S. production (9月12日付け CNBC)
→*Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は最近、投資家と会談し、インテルおよび米国のチップ生産の利点を宣伝した。
*彼女はまた、最近インテルのパット・ゲルシンガーCEOと会談し、該チップメーカーを軌道に乗せようとしている。
*インテルは今年、株価の60%以上を失い、大苦戦を強いられている。
【Nvidia関連】
AI半導体を圧倒的に引っ張るNvidiaにはやはり注目であり、次期GPU、Blackwell、サウジアラビアへの輸出、そして製造委託先の振り向け、と以下の通りである。
◇Nvidia CEO Says Customer Relations Are ‘Tense’ Due to Shortages―Nvidia CEO reassures on Blackwell GPU production, AI ROI (9月11日付け BNN Bloomberg (Canada))
→NvidiaのJensen Huang(ジェンセン・フアン)CEOは、Blackwellグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の生産遅延とAI投資のリターンに関する懸念を静めるよう努めた。Huang氏は、Blackwellチップはフル生産体制にあり、以前の製造上の問題にもかかわらず、第4四半期までに出荷されることを確認した。「需要が非常に大きいため、(サービス・プロバイダーが)当社に投資する1ドルは5ドル相当のレンタルに換算されるため、(ジェネレーティブAIの)リターンは素晴らしい」とフアン氏は語った。
◇Nvidia CEO to nervous buyers and investors: Chill out, Blackwell production is heating up―AI ROI? Jensen Huang claims infra providers make $5 for every dollar spent on GPUs (9月12日付け The Register (UK))
→NvidiaのJensen Huang(ジェンセン・フアン)CEOは、Blackwell GPUアーキテクチャの登場が遅れているとされることや、AI投資によるROIの不足に対する懸念を鎮めようとしている。
◇US closer to greenlighting Nvidia chips for Saudi Arabia, Semafor reports―US considers allowing Nvidia AI chip exports to Saudi Arabia (9月11日付け Reuters)
→Semafor(セマフォ)が水曜11日に関係者の話を引用して報じたところによると、米国政府はエヌビディアがサウジアラビアに高度なチップを輸出することを許可することを検討している。
◇Samsung in urgent need of boosting foundry yield for AI processors―Nvidia CEO hints at switching suppliers from TSMC (9月12日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、Nvidiaがチップセットに対する旺盛な需要が続いているとして、台湾のTSMCから発注を移す可能性を示唆したため、人工知能(AI)プロセッサーのファウンドリー製造の歩留まりを向上させる緊急の必要性に直面している。
水曜11日(現地時間)にサンフランシスコで開催されたゴールドマン・サックスのテクノロジー・カンファレンスで、Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは、TSMCの 「敏捷性と我々のニーズへの対応能力はまさに信じられないほどだ 」と聴衆に語ったが、「必要であれば、もちろん、我々はいつでも他の企業を引き上げることができる 」と述べた。
【TSMC関連】
Apple,そしてNvidia向けも、製品製造を支えているTSMCについて、アリゾナ工場の順調な進捗ぶり、熊本県への経済インパクトの見方、そして8月売上高など業績関連を以下示している。
◇TSMC’s Arizona Trials Put Plant Productivity on Par with Taiwan―TSMC's Ariz. site matches Taiwan plants in yield rates (9月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→台湾積体電路製造股?有限公司(TSMC)は、アリゾナ州の拠点の生産歩留まりが台湾の既存工場に匹敵すると報告しており、同社の米国プロジェクトが順調に進んでいることを示している。TSMCは4月、4ナノメートル技術によるエンジニアリング・ウェーハ生産を開始して、来年にはフル生産に達すると楽観視している。
◇TSMC, Other Chipmakers Set to Make $80 Billion for Southern Japan―Analysts: TSMC among chipmakers investing $80B in Japan (9月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→地元銀行の分析によると、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)やその他の関連企業は、今後10年間で日本のチップ製造のホットスポットである熊本県に11兆2000億円($80 billion)をもたらすという。
◇Chips to add US$78bn to Japan economy―NATURAL PARTNERS: Taiwan and Japan have complementary dominant supply chain positions, are geographically and culturally close, and have similar work ethics (9月7日付け Taipei Times)
→台湾積電股?有限公司(TSMC、台積電)やその他の関連企業は、今後10年間で、日本のチップ製造の中心地である熊本県に11兆2000億円($78.31 billion)の経済効果をもたらすと、地元の銀行が分析した。熊本の県庁所在地に本社を置く金融機関、九州フィナンシャル・グループは、チップ産業が熊本県にもたらす経済効果について、1年前の予測からほぼ倍増させたと、木曜5日のプレゼンで発表した。
◇TSMC’s 3nm Chip Revenue Could Receive An Annual 34 Percent Boost, Partially Thanks To Increased A18, A18 Pro Orders Placed By Apple (9月9日付け wccftech)
→アップルは過去にもTSMCの第2世代3nmプロセスを採用したことがあり、13インチと11インチのiPad Proの新モデルを駆動する同社のM4はこの技術で量産された。しかし、同社のタブレットは、この最先端ノードの半導体大手の収益にほとんど貢献していないが、そこでiPhone 16の発表が活きてくる。アップルは4つのモデル向けにA18とA18 Proを発表すると報じられており、これらのSoCsの受注増がTSMCの年間売上高34%増に部分的に貢献することになる。
残りの増収分は、A18とA18 Proに対抗するために自社の3nm SoCを発表するクアルコムとメディアテックのおかげである。
◇TSMC売上高、8月も過去最高 スマホやAI向け好調 (9月10日付け 日経 電子版 18:15)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した8月の売上高(速報値)は、前年同月比33%増の2508億台湾ドル(約1兆1000億円)だった。米アップルなどのスマートフォンや、生成AI(人工知能)向けの先端半導体の販売が好調で、8月としての過去最高を更新した。
単月ベースでみても過去最高だった7月の2569億台湾ドルに次ぐ2番目の高水準だった。
◇TSMC sales rise on AI demand (9月11日付け Taipei Times)
→台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC、台積電)の売上高は先月8月、前年同月比33%増となり、スマートフォン市場の回復とエヌビディア社の人工知能(AI)チップの持続的需要に賭ける投資家にとってポジティブなシグナルとなった。
売上高は先月2508億7000万台湾ドル($7.8 billion)に達し、最高更新の前月の45%増の2569億5000万台湾ドルからは減速した。
【Samsung関連】
事業&新製品の取り組みはもちろん、人事のいろいろな問題&取り組みも見られているSamsung関連の以下の内容である。
◇Samsung, TSMC collaborating in HBM solutions―PARTNERSHIPS: TSMC said it has been working with multiple memorychip makers for more than two years to provide a full spectrum of solutions to address AI demand (9月7日付け Taipei Times)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. (TSMC、台積電)は昨日、人工知能(AI)アプリケーションで使用される広帯域メモリー(HBM)で2年以上前から複数のメモリーチップメーカーと協業していると発表、Samsung Electronics Co.との前例のない提携に関する韓国メディアの報道に反論した。
SamsungはTSMCとファウンドリー事業の拡大を競っており、この2つの技術大手が協力すれば、半導体業界の投資家や専門家の目を引くことになる。
◇Samsung and SK Hynix vie for HBM dominance as both advance 16-layer technology (9月9日付け DIGITIMES)
→SKハイニックスとサムスン電子が高帯域幅メモリー(HBM)の覇権を争う中、それぞれが異なる技術ソリューションを提唱している。一方、サムスンは次世代HBMの開発に向けて、大量生産における課題に取り組み続けている。
◇'AI-powered home appliances remain at meeting 30% of user expectations'―Samsung's AI home appliances zero in on customer experience ―Vice chair declares 2024 as 1st year of AI home appliances, heralding long journey ahead (9月9日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子のVice Chairman & CEO、Han Jong-hee(ハン・ジョンヒ)氏は、同社のAI搭載家電は消費者の期待の30%しか満たしておらず、同社はVoice IDやAmbient Sensingなどの新しいAI機能で消費者の基準を満たすよう努力していると述べた。韓氏は、同社がユーザー体験を重視する方向にシフトしており、すべての家電製品にスクリーンを統合する計画であることを強調した。
◇Former Samsung execs arrested for allegedly using stolen memory tech to build chip factory in China ? suspects leaked $3.2B worth of Samsung secrets―Former Samsung execs arrested after memory tech leaked to China ―The South Korean allegedly built a chip factory in China to manufacture copied Samsung chips. (9月10日付け Tom's Hardware)
→韓国警察は、サムスンの機密情報($3.2 billion相当)を中国に流出させた疑いで、サムスンの元幹部2人を逮捕した。当局の発表によると、逮捕された容疑者の一人、66歳の崔(Mr. Choi)容疑者は、現地の政府関係者らとともに中国でチップを製造する合弁会社を設立し、そのCEOを務めていた(ブルームバーグより)。崔容疑者はこのベンチャー企業で、工場設計者である呉氏(Mr. Oh)の支援を受けていたとされ、また呉容疑者は他の韓国人専門家も自分の下で働かせようとしていたという。
◇Former Samsung and SK Hynix executive detained again for suspect of leaking DRAM technology to China (9月11日付け DigiTimes)
→サムスン電子の20nm DRAM製造技術データを中国に流出させ、成都に「クローン工場 」を設立しようとした容疑で起訴された半導体専門家の崔金錫(Jin-seok Choi:チェ・ジンソク)氏が、裁判所の命令により再び拘束された。
◇Samsung, SK hynix stocks struggle due to bleak global chip cycle outlook―Global chip cycle outlook affects SK Hynix, Samsung stocks (9月10日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子とSKハイニックスがKOSPI(韓国総合株価指数)で急落しており、ピークに近づいているとされる世界的なチップ・サイクルの悪影響を受けているとの懸念を煽っている。
サムスン電子の終値は6万7500ウォン(50.38ドル)で、前場終値比1.89%安、取引5日続落に延ばしている。
◇サムスン、「ベトナムのMIT」から年400人 厚待遇で―アジア人材争奪戦(上) (9月11日付け 日経 電子版 05:00)
→東南アジア諸国連合(ASEAN)で人材争奪戦が激しさを増す。高い成長率に加え、米中対立を背景に供給網の再構築先として東南アジアにグローバル企業が注目。事業拡大を目指して厚待遇で攻勢をかけている。リクルーティングやリテンション(つなぎ留め)の最前線を追った。
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◇Bigger and cheaper SSDs are coming thanks to Samsung - chipmaker starts mass producing 9th-gen 280-layer QLC V-NAND―Samsung's 286-layer V9 QLC NAND hits mass production―Samsung's speedier and denser 9th-gen QLC could make drives 50% cheaper. (9月12日付け Tom's Hardware)
→サムスン電子は、密度が86%向上した286層V9 QLC NANDの量産を開始した。同社はチャネルホールエッチングを用いたダブルスタック構造で、来年末までに430層のNANDチップを投入する計画。
◇Samsung in mass production of 286-layer V9 QLC NAND (9月13日付け Electronics Weekly (UK))
→昨日サムスンは、当初サーバー市場向けに286層QLC NANDの量産を開始したと発表した。
【InfineonのGaNパワー半導体】
世界初の300mmパワーGaNウェーハ技術の開発に成功、と以下の通りである。
◇Infineon targets large share of GaN chip market after breakthrough (9月11日付け Reuters)
→ドイツの半導体メーカー、インフィニオンは水曜11日、窒化ガリウム(GaN)チップの成長市場で大きなシェアを獲得すると発表した。
インフィニオンのJochen Hanebeck(ヨッヘン・ハネベック)最高経営責任者(CEO)は記者団に対し、「この技術の市場規模は10年後までに数十億ドルに達するだろう」と語った。
◇Infineon Pioneers World’s First 300mm Power GaN Technology (9月11日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→インフィニオン・テクノロジーズAGは本日、世界初の300mmパワー窒化ガリウム(GaN)ウェハー技術の開発に成功したと発表した。
◇Infineon unveils world's first 12-inch GaN power chip wafer tech―Infineon introduces 12-inch GaN power chip wafer―Chipmaker aims to capture demand from power-hungry AI data centers (9月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→インフィニオンは、AIデータセンターおよび電気自動車(EVs)におけるパワー半導体の需要増に取り組むため、12-インチ窒化ガリウム(GaN)ウェーハ技術を開発した。このブレークスルーは、GaN-ベースパワーチップ市場を牽引すると見込む。
【EU(欧州連合)関連】
米中への対抗、そして巨大ITを相手取った公正取引関連の追求、とEUの動きが相次いで見られている。AIの倫理性についても、世界を主導する動きである。
◇EU報告書、米中対抗へ「年127兆円投資」 EV政策を批判 (9月10日付け 日経 電子版 01:31)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は9日、欧州の競争力強化に向けた施策をまとめた報告書を公表した。デジタルやクリーン技術、防衛産業といった分野で米国や中国に対抗するため、年間8000億ユーロ(約127兆円)の追加投資が必要だと提起した。
報告書は欧州中央銀行(ECB)前総裁でイタリア前首相のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)氏がEUの要請を受け作成した。
◇欧州司法裁、Appleへの2兆円追徴を支持 法人税優遇巡り (9月10日付け 日経 電子版 19:06)
→欧州連合(EU)の欧州司法裁判所は10日、アイルランドが米アップルに適用してきた法人税の優遇措置に関し、違法な補助に当たるとした欧州委員会の判断を支持する判決を下した。司法裁は同日、制裁金をめぐる米グーグルの主張も退けた。巨大テック企業への厳しい姿勢が欧州の司法判断でも示された。
欧州委はアップルに最大130億ユーロ(約2兆円)に利息分を加えた額の徴収を進めてきた。
◇European Commission fines Apple $14.4B (9月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→8年間の法廷闘争はクパチーノの巨人にとって大きな損失となった。
◇Google to pay $2.7B EU fine (9月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→検索大手の独占禁止法問題がひき続く。
◇EU当局、AI学習データ巡りGoogle調査 GDPR違反か (9月12日付け 日経 電子版 17:36)
→欧州連合(EU)のデータ保護当局であるデータ保護委員会(DPC)は12日、米グーグルの調査を始めたと発表した。人工知能(AI)開発のデータ学習が、一般データ保護規則(GDPR)に違反していないかなどを調べている。AI開発の過程で個人情報への配慮が不十分だった可能性を懸念している。
◇EU、中国のEV関税妥協案を拒否 スペインは見直し要求 (9月13日付け 日経 電子版 05:41)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は12日、中国から輸入する電気自動車(EV)への追加関税をめぐり、同国メーカーが提案した妥協案を拒否したと明らかにした。関税は10月末までに加盟国投票などを経て最終決定する予定だが、スペインから見直しを求める意見が出るなど足並みの乱れも目立つ。