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7月半導体販売高、AmericasがChina上回る;SEMICON Taiwanでの注目

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高の発表、この7月について$51.3 billionと$50B台に乗せて、前年同月比18.7%増、前月比2.7%増と増勢を維持している。2022年の年間最高販売高の大幅更新の期待には、AI(人工知能)に加えての他分野の本格的な伸びが依然待たれる見え方と思われる。地域別販売高で今回気がつくこととして、Americas(米州)地域がChinaを上回っている。5年ぶりとあらわされている。米中の間のこの数字の中身&実態について、今後の推移に注目である。現下のAI需要への生産の主要部分を支える台湾であるが、この4日から6日までSEMICON Taiwanが開催され、関連含め動き&概要を追っている。

≪いつの間にやら地域別販売高の比率変化≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○7月のグローバル半導体販売高が、前年同月比18.7%増―the Americas(米州)向け売上高が前年比40.1%増で全市場をリード、世界全体での半導体販売高は前月比2.7%増 …9月3日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年7月のグローバル半導体業界が販売高が$51.3 billionで、前年同月、2023年7月の$43.2 billionに対して18.7%増、前月、2024年6月の$50.0 billionを2.7%上回った、と発表した。
月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「7月の世界半導体市場は、前年同月比で大幅な伸びを続け、前月比では4ヶ月連続で販売高が増加した。」とSIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「米州市場は7月に特に力強い伸びを示し、前年同月比40.1%増となった。」

地域別では、販売高前年同月比で、the Americas (40.1%), China (19.5%), およびAsia Pacific/All Other (16.7%)では増加したが、Japan (-0.8%)およびEurope (-12.0%)では減少した。6月の販売高前月比では、the Americas (4.3%), Asia Pacific/All Other (3.9%), Japan (3.3%), およびChina (0.9%)では増加したが、Europe (-0.5%)では減少した。

                   【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jul 2023
Jun 2024
Jul 2024
前年同月比
前月比
========
Americas
11.00
14.77
15.41
40.1
4.3
Europe
4.73
4.18
4.16
-12.0
-0.5
Japan
3.93
3.78
3.90
-0.8
3.3
China
12.74
15.09
15.23
19.5
0.9
Asia Pacific/All Other
10.82
12.15
12.63
16.7
3.9
$43.22 B
$49.98 B
$51.32 B
18.7 %
2.7 %

--------------------------------------
市場地域
2- 4月平均
5- 7月平均
change
Americas
13.05
15.41
18.0
Europe
4.26
4.16
-2.4
Japan
3.63
3.90
7.4
China
14.21
15.23
7.2
Asia Pacific/All Other
11.95
12.63
5.7
$47.10 B
$51.32 B
9.0 %

-------------------------------------

※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/09/July-2024-GSR-Table-and-Graph-for-Press-Release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けての業界紙の取り上げである。いずれも地域別販売高でAmericasがChinaを上回った局面を取り上げている。

◇Americas Overtake China in Semiconductor Chip Sales―SIA: Chip sales in the Americas surpassed China's in July (9月3日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)の報告によると、7月の世界半導体販売高が$51.3 billionに達し、2023年7月より18.7%増、2024年6月より2.7%増となっている。Americasのチップ販売高が$15.4 billionに増加、中国の$15.2 billionを上回り、5年ぶりにAmericasがトップになった。

◇US semi sales overtake China semi sales (9月3日付け Electronics Weekly (UK))
→アメリカの7月のチップ売上高は$15.4 billion、中国の7月のチップ売上高は$15.2 billionで、5年以上ぶりにアメリカのチップ売上高が中国のチップ売上高を上回った。

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、以後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、5月には増勢をさらに高めて、2022年半ば以来の販売高、および前年同月比伸び率となっている。そして、6月はほぼ$50 Billionであるが、この大台を本年後半に突破し続けられるかどうか、2022年と見比べての注目となる。7月は$51.32 Billionと2022年の月次最高に次ぐ水準である。2022年から大きく踏み上がれるかどうか、全体的な市場拡大の到来如何にかかってくる。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %
2024年 6月 
$49.98 B
18.3 %
1.7 %
2024年 7月 
$51.32 B
18.7 %
2.7 %


現下の市場関連のデータから。

◇Q2 boost for foundry revenues―Foundry revenues rose in Q2 with TSMC, Samsung leading―Consumer and AI server demand boosted the revenues of the top ten wafer foundries by 9.6% in 2Q24―reaching $32 billion, reports TrendForce. (9月3日付け Electronics Weekly (UK))
→第2四半期のファウンドリー売上げは増加し、TSMCそしてサムスン電子と、上位5位は変わらなかった。TSMCは
10.5%増の$20.82 billion、Samsungは14.2%増の$3.83 billion。SMIC、UMCおよびグローバルファウンドリーズが上位5位を占めた。

次に、Semicon Taiwan(9月4−6日:台北)について、まずは事前の内容から。

◇Semiconductor show to gather top tech leaders in Taipei (8月31日付け Focus Taiwan)

◇Semicon Taiwan draws top executives―AI REVOLUTION: The event is to take place from Wednesday to Friday at the Taipei Nangang Exhibition Center’s halls 1 and 2 and would feature more than 1,100 exhibitors (9月2日付け Taipei Times)
→毎年恒例の国際半導体展示会、Semicon Taiwanが今年、世界のトップテクノロジー企業のリーダーを台北に招く、と主催者が発表した。CEOサミットには、台湾積体電路製造(TSMC)、ASE Technology Holding Co(ASE、日月光投控)、Applied Materials Inc、Google、Samsung Electronics Co、SK Hynix Inc、Microsoft Corp、Interuniversity Microelectronic Centre(IMEC)、Marvell Technology Group Ltdから9人の世界的リーダーが参加する、とSEMIは先週のニュースリリースで発表した。

各社・機関のプレゼンから、以下の通りである。AIへの力点が随所という様相である。

◇ASE CEO Tien Wu discusses AI ahead of Semicon Taiwan―Wu outlines 3 challenges semiconductor industry will face with AI rise (9月3日付け Taiwan News)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のCEO、Tien Wu(呉田玉)氏は、月曜日(9月2日)のSemicon Taiwan 2024プレショー記者会見で講演し、人工知能(AI)はIT業界を変えるだけでなく、経済全体の産業に影響を及ぼすと述べた。

◇SK Hynix to start mass producing HBM3E 12-layer chips this month―SK Hynix set to begin mass production of its HBM3E 12-layer chips (9月4日付け Reuters)
→世界第2位のメモリー・チップ・メーカーであるSKハイニックスが、今月末までにHBM3E 12層チップの量産を開始すると、幹部が水曜4日に述べた。台北で開催されたセミコン台湾の業界フォーラムで、同社の社長兼AIインフラ部門の責任者であるJustin Kim(ジャスティン・キム)がこのようにコメントした。
該韓国企業は7月、HBMチップの次期バージョンである12層HBM3Eを第4四半期から、HBM4を2025年後半から出荷する計画を明らかにした。

◇Zhen Ding highlights growing role of IC substrates at SEMICON Taiwan 2024―Zhen Ding spotlights IC substrate advancements in chipmaking (9月5日付け DIGITIMES)
→Zhen Ding TechnologyはSEMICON Taiwan 2024でデビューし、先端半導体製造におけるIC基板の役割拡大を強調した。
SEMICON Taiwan 2024の3D IC/CoWoS for AIフォーラムで、台湾のIC基板およびPCBメーカーである振鼎科技のCOO、DJ Lee氏は、先端半導体製造におけるIC基板の重要な役割を強調した。

◇Taiwan driving global IC growth―‘MAJOR ROLE’: Taiwan Semiconductor Industry Association executive director Nicky Lu said that he expects a ‘golden age’ of at least 20 years for the IC industry (9月5日付け Taipei Times)
→台湾は、集積回路(IC)製造分野での中心的地位を通じて世界経済成長の牽引役として大きな役割を果たすことが期待されている、と半導体業界のリーダーたちが昨日台北で述べた。
SEMI president and chief executiveのAjit Manocha氏は、Semicon Taiwanの開幕式で、世界経済成長を牽引する人工知能(AI)において業界は「台湾が大きな役割を果たすことを期待している」と述べた。

◇Semiconductor giants unveil sustainability roadmaps at Semicon Taiwan 2024―TSMC, ASE Group outline sustainability plans (9月6日付け DIGITIMES)
→半導体のリーダーであるTSMCとASEグループは、Semicon Taiwanで持続可能性のロードマップを発表した。TSMCはエネルギー効率と節水で躍進し、2050年までにネットゼロ排出を目指す。ASEは2030年までにオフィス、2050年までに生産拠点でカーボンニュートラルを目指し、環境効率化のためにAIを活用する。

九州の産官学より、連携のアピールである。

◇半導体での連携、台湾でアピール 九州の産官学 国際展示会でシンポ主催 (9月6日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→4日に台湾・台北市で始まった半導体の国際展示会「セミコン台湾」で、九州の産官学が台湾との連携に向けてアピールしている。自治体や企業が出展するだけでなく、公式イベントとして半導体製造装置の最新動向に関するシンポジウムも開催。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を、九州の産業高度化に生かす。

半導体製造装置業界のbillingsデータが、次の通りである。

◇Semi equipment billings up 4% y-o-y―SEMI: Semiconductor equipment market grew 4% in Q2 (9月6日付け Electronics Weekly (UK))
→1)第2四半期半導体製造装置billingsが、前年同期比4%増の$268 billion、同期間前四半期比では1%増、とSEMI。
 2)SEMIによると、世界の半導体製造装置市場は、第2四半期のbillingsが前年同期比4%増の$268 billion、上半期では$532 billionに達している。SEMIのCEO、Ajit Manocha氏は、先端技術への投資とチップ製造能力を強化する地域的努力を成長の原動力として指摘している。

来週の9月11日から13日まで「Semicon India 2024」初開催ということで、関連として以下の通りあらわされている。

◇SEMICON India 2024 to Highlight Local Semiconductor Ecosystem Growth and Industry Trends from September 11-13 (9月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMICON India 2024は、2024年9月11日から13日まで、デリーNCRのGreater NoidaにあるIndia Exposition Mart Ltd. (IEML)において、グローバルリーダー、半導体業界の専門家、学界そして政府関係者が一堂に会する。同イベントでは、スマート製造、サプライチェーン管理、持続可能性、および労働力開発などの主要分野における革新やトレンドについて、貴重な見識を提供する。同イベントの広範な展示会には、世界の半導体サプライチェーン全体から250社以上が出展し、electronica Indiaおよびproductronica Indiaと併設されるため、半導体およびエレクトロニクス業界の最新の進歩を紹介する東南アジア最大のプラットフォームとなる。

◇India needs 10-20 chip fabs over next 10 years, says SEMI president―Semicon India 2024 will feature over 250 exhibitors and over 650 booths across the global semiconductor supply chain. (9月5日付け Financial Express)
→世界的な半導体業界団体、SEMIのAjit Manocha会長兼最高経営責任者(CEO)は20日、インドでは今後10年間に10-20の半導体製造工場が必要となり、世界の半導体企業が同国への投資に大きな関心を寄せていると述べた。
SEMIは、半導体エコシステムに関する初の世界会議「Semicon India 2024」を9月11日から13日までNoida(ノイダ)で開催する。

TSMCの前会長のコメントが、次の通り見られている。

◇Ex-TSMC chairman warns against ‘pro-China,’ ‘pro-US’ labels in policy debates (9月4日付け Taipei Times)
→台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC、台積電)のMark Liu(マーク・リウ:劉音)前会長は昨日、利害関係者に「親中」「親米」のレッテルを貼る傾向に警鐘を鳴らし、そうした硬直的な考え方は政策議論を妨げる「罠」だと指摘した。
内閣経済発展委員会顧問の劉は、同委員会の第1回顧問会議の基調講演でこのように発言した。

半導体販売高の推移とともに、世界的なイベントが相次ぐタイミングであり、一層のアップデートを要するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月4日(水)

月曜が休日で4日の取引、景気&雇用指標下振れ懸念から、1年半ぶりの週間下落幅となった今週の米国株式市場である。

◇米株、景気懸念で626ドル安 NVIDIA株は41兆円目減り (日経 電子版 08:05)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反落し、前週末比626ドル(1.5%)安の4万0936ドルで引けた。ダウ平均が1000ドル超下落した8月5日以来の下げ幅を記録した。前週末に史上最高値を付けたばかりだが、経済指標は市場予想より下振れするなど景気減速への警戒感がくすぶる。

□9月5日(木)

◇NYダウ、反発し38ドル高 雇用統計前に様子見広がる (日経 電子版 06:04)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅反発し、前日比38ドル04セント高の4万0974ドル97セントで終えた。予想を下回る経済指標を材料に626ドル安となった前日から反発したものの、上値は重かった。6日発表の8月の雇用統計の内容を見極めたいとして相場は方向感に欠けた。

□9月6日(金)

◇円一時142円台、3日で4円急騰 雇用統計控え荒い値動き (日経 電子版 06:23)
→5日のニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場が上昇し、一時1ドル=142円台後半と1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。米雇用指標の下振れで米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急ぐとの思惑が強まり、ドル売りが進んだ。その後は円安方向に戻る場面もあり、市場の関心が高い6日発表の米雇用統計を前にやや荒い値動きをみせた。

◇NYダウ219ドル安 雇用減速を警戒、ナスダックは反発 (日経 電子版 06:31)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比219ドル22セント(0.53%)安の4万0755ドル75セントで終えた。5日発表の米雇用指標が労働市場の減速を示す内容となり、主力株への売りを誘った。半面、米連邦準備理事会(FRB)が利下げで景気を支えるとの期待は根強い。ハイテク株の一角に買いが入り、ダウ平均は上昇に転じる場面があった。

□9月7日(土)

世界的な株価急落ショックの事態は避けられたが、警戒が続く様相である。

◇米雇用、ショック再来は回避 FRBは0.25%利下げ示唆 (日経 電子版 05:00)
→米国の雇用の勢いが弱まっている。6日発表の8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が23年初めの半分以下の前月比14.2万人増にとどまった。一方で失業率は市場予想通りに低下し、世界の株価を急落させた7月のショックの再来は避けられた。米連邦準備理事会(FRB)の高官は9月の利下げ幅を0.25%にすることを示唆した。

◇米株週間で1年半ぶり下げ幅 雇用軟調、IT株売り再燃 (日経 電子版 06:16)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比410ドル安の4万0345ドルで引け、週間では1217ドル安となった。米地銀の破綻が続いた2023年3月以来、約1年半ぶりの下げ幅だ。8月の雇用統計など労働市場の軟調さを示すデータが相次ぎ、景気下振れへの警戒からテック株売りが再燃。米国債利回りも低下した。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

厳しい局面のインテルについての記事が、日々続く見え方である。半導体業界をリードする大きな一角であり、目が離せないが、まずは、経営&運営関連から。

◇Gelsinger opens up about Intel troubles amid talk of possible split-CEO addresses Intel's struggles, potential spinoff-From spinoffs to layoffs and a boardroom revolt, 2024 isn't going great for Chipzilla (8月30日付け The Register (UK))
→インテルのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)最高経営責任者(CEO)は、技術的問題、四半期損失およびレイオフなど、同社の財務上の問題を認めた。ゲルシンガー氏は、効率化と戦略的実行の必要性を強調し、ファウンドリー分社化の可能性と事業拡大の遅れについて述べた。

◇Intel weighing foundry split and other options to cope with slump, source says (8月31日付け Taipei Times)
→インテル社は、56年の歴史の中で最も困難な時期を乗り切るため、投資銀行と協力している、と関係者が語った。
同社は、製品設計と製造事業の分割を含む様々なシナリオについて議論しており、どの工場プロジェクトが破棄される可能性があるかについても議論していると、この関係者は匿名を条件に語った。

◇Intel facing uphill battle (9月3日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→大規模な変更には、アルテラ部門の売却やドイツ工場建設計画の断念が含まれる可能性がある、と報道されている。

◇[News] Samsung and TSMC Unlikely to Be Buyers for Intel’s Rumored Foundry Business Sale (9月3日付け TrendForce)
→インテルが危機を乗り切るための選択肢を模索しているとされるなか、考えられる動きとしては、アルテラの売却、ドイツでの投資プロジェクトの中止、そして可能性は低いものの、ファウンドリー事業の売却が挙げられている。しかし、韓国メディア『The Korea Times』や『The Korea Herald』によると、この再編が実現した場合、サムスンやTSMCがインテルのファウンドリー事業の買い手になる可能性は低いという。

◇Will Intel's restructuring affect Samsung's foundry business?―How Intel's potential restructuring could reshape chip industry dynamics―Speculation intensifies about acquiring Intel's business (9月3日付け The Korea Times (Seoul))
→インテルは、経営合理化努力の一環として、ファウンドリーおよびその他いくつかの半導体事業の売却を含むリストラ計画を発表する見込みである。この再編が実施されれば、世界の半導体業界に波紋が広がることが予想され、サムスン電子や他の半導体大手がこれらの事業の買い手候補として挙げられている。

◇Pat Gelsinger's grand plan to reinvent Intel is in jeopardy―Intel's foundry woes threaten Gelsinger's turnaround plan―Foundry faces a reckoning (9月6日付け The Register (UK))
→インテルのファウンドリー事業は、財務上の損失と経営上の問題に直面しており、この課題はパット・ゲルシンガーCEOの会社再建計画を脅かしている。ゲルシンガーCEOは、18Aプロセス技術の歩留まりが好調で、2026年までに生産を内製化する計画があるとして、楽観的な見方を続けている。

新製品関連の動きである。

◇Intel Gaudi 3 welcomes first major cloud customer with adoption from IBM Cloud (9月2日付け DIGITIMES)
→2025年初頭より、IBM Cloudはインテルの最新AIアクセラレータ、Gaudi 3の顧客の使用を認める。これは、2023年12月の発表以来、Gaudi 3に向けて公的に知られた、クラウド業界初の主要顧客となることを意味する。

◇Intel's Core Ultra 200V chips aim for AI PC dominance―Intel launches Core Ultra 200V chips with advanced AI―Lunar Lake is coming on September 24th. (9月3日付け Engadget)
→インテルは、毎秒48テラ演算(48 tera operations per second[TOPS])のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)や最大32GBのメモリなどの機能を搭載し、AI PC市場をリードすることを目指すコア・ウルトラ200Vチップを発表した。このチップは、最大50%の消費電力削減と性能向上を約束している。

◇Intel's 120 TOPS Lunar Lake AI PC chips have landed―And all it took was some good old fashioned outsourcing to TSMC (9月3日付け The Register (UK))
→マイクロソフトのCopilot+という高い性能目標を上回るインテル初のチップが登場し、改良されたCPU、GPUおよびNPU全体で最大120TOPSのAI性能が約束された。この開発は、TSMCへの移行によってもたらされた。
インテルの新しいCore Ultra 200Vモバイル・プロセッサーは、今週ベルリンで開催されるIFAカンファレンスに先駆けて発表されたが、実際には製造はTSMCに委託され、該x86大手のFoveros 3Dパッケージング技術を用いて構築されている。

◇Intel announces cancellation of 20A process node for Arrow Lake, goes with external nodes instead, likely TSMC [Updated]―Intel shifting Arrow Lake to external nodes to save costs―Out with the Intel node, in with TSMC. (9月4日付け Tom's Hardware)
→インテルの次期Arrow Lakeプロセッサーは、自社製の20Aプロセス・ノードを搭載せず、その代わりに、台湾半導体製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.:TSMC)からと思われる外部ノードとしている。 この決定は、capital expenditures(capex)の削減を目的とした、より広範なリストラクチャリングの一環である。

振り返る評論記事である。

◇Intel Honesty (9月3日付け Stratechery)
→本当に谷なのだ:
西のSanta Cruz(サンタクルーズ)山脈と東のDiablo Range(ディアブロ山脈)によって形成されたSanta Clara Valley(サンタクララ・バレー)のちょうど真ん中に、かつては眠っていた街、Mountain View(マウンテンビュー)がある。1955年、ベル研究所でトランジスタを発明したウィリアム・ショックレーが、病弱な母親の看病のために隣のPalo Alto(パロアルト)に戻ったとき、マウンテンビューは米海軍のMoffett Field(モフェット・フィールド)に支配されていた。・・・・・

我が国での最先端の半導体素材に向けたR&Dセンター設立が、以下の通りあらわされている。

◇Intel to establish advanced chip R&D center in Japan ‐ a collaborative venture with Tokyo's Advanced Industrial Science and Technology (AIST)―Intel, Japan's AIST to open advanced chip center with EUV lithography focus ―Japan seeks to boost semiconductor industry with Intel's help. (9月3日付け Tom's Hardware)
→産業技術総合研究所(産総研:AIST)がインテルと提携し、先端チップ製造に特化した新しい研究開発(R&D)センターを設立する、と日本経済新聞が関係筋の話として報じている。この施設は3〜5年以内に稼働する予定で、EUVリソグラフィーを使用するプロセス技術に焦点を当てる。

◇インテル・産総研が日本に開発拠点 最先端の半導体素材 (9月3日付け 日経 電子版 12:30)
→米インテルと国立研究機関である産業技術総合研究所(産総研)は、最先端半導体の製造装置と素材の研究開発(R&D)拠点を国内に設置する。半導体は経済安全保障の重要物資で、欧米などで得た研究データを日本に移転するための審査が厳しくなっている。国内に最先端設備を備えた拠点をつくり、製造装置や素材を開発しやすくする。


【中国での半導体装置関連】

オランダ・ASMLを巡る切羽詰まる動きである。

◇Dutch government to ban ASML from servicing installed wafer tools in China―More curbs for ASML's business in China. (8月30日付け Tom's Hardware)
→Bloombergによると、オランダはASMLが中国に設置した先端ウェーハ製造装置のサービスを制限するようで、これは中国のチップ製造の野望を大きく崩す可能性がある。この情報が正しければ、中国の半導体大手SMICは来年、7nmと5nmのプロセス技術でチップを生産する能力を失うかもしれない。

◇China threatens ASML―Reports: China warns ASML of economic losses amid political tensions (9月4日付け Electronics Weekly (UK))
→中国国営のニュースサイト『Global Times(環球時報)』は、ASMLに対し、中国のチップ企業にすでに販売されているマシンのスペア販売やメンテナンスに関する米国の規制に従えば、中国市場からの長期的な排除を科すと脅している。

中国が半導体製造装置を買い溜めしている現状が、以下の通りである。輸出規制強化に向けた動きであるが、その後の反動の懸念もあらわされている。

◇China spent more on chipmaking equipment than South Korea, Taiwan, and the U.S. combined − $25B in investments in the first half of the year―China's $25B leads global chipmaking equipment spending―China remains the world’s largest market for chipmaking equipment. (9月2日付け Tom's Hardware)
→中国は今年、チップ製造装置への投資額でトップに浮上し、上半期には$25 billionが投資された。これは韓国、米国および台湾を上回り、チップ生産を現地化し、サプライヤーへの依存度を下げるという中国の戦略の一環である。

◇China Likely to Spend $50 Billion on Chip Equipment This Year (9月3日付け Asia Financial)
→*チップ製造装置の購入額が前年を上回ったのは中国だけで、台湾、韓国およびアメリカなど他の大口購入国はすべて前年を下回った。
 *先進半導体技術から北京を締め出そうとする米国の動きが活発化しているにもかかわらず、中国は今年、チップ製造装置の購入になんと$50 billionを費やす勢いである。
  日経アジアが業界団体SEMIのデータを引用して報じたこの予測は、新しいチップ工場を設立し、米国の新たな制裁から中国のサプライチェーンを守ろうとする中国国内の奔走を背景にしている。

◇半導体装置、中国向け5割迫る 規制強化にらみ買いだめ (9月5日付け 日経 電子版 11:54)
→半導体製造装置の販売で中国依存が高まっている。日本半導体製造装置協会(SEAJ)が5日発表した世界の半導体製造装置の販売統計によると、中国市場向けの占める割合が2024年1〜6月に5割弱となった。米国による対中輸出規制の強化への思惑から、中国企業が装置を買いだめする動きが広がる。中国市場の反動減への警戒も強まる。

◇半導体装置、中国向け急増 1〜6月46%、輸出規制強化で買いだめ (9月6日付け 日経)
→半導体製造装置の販売で中国依存が高まっている。日本半導体製造装置協会(SEAJ)が5日発表した世界の半導体製造装置の販売統計によると、中国市場向けの占める割合が2024年1〜6月に5割弱となった。米国による対中輸出規制の強化への思惑から、中国企業が装置を買いだめする動きが広がる。中国市場の反動減への警戒も強まる。


【Nvidia関連】

これも相次ぐ動き&内容。AI関連市場を独占的に引っ張っている同社だけに、市場の反応の度合い&変化量も大きくならざるを得ないところである。

◇Jensen Huang's three assurances temporarily calm cooling factories (9月2日付け DIGITIMES)
→Nvidiaの創業者兼CEOであるJensen Huang(ジェンセン・フアン)氏は、Blackwellチップは2024年の最終四半期に量産され、顧客に提供されることを明らかにした。同氏はまた、Blackwellチップに対する需要は大きく、複数のデータセンターがBlackwellチップを使用していると述べた。

◇NVIDIA1強いつまで 米IT大手、自社開発で追う3Graphics (9月2日付け 日経 電子版 05:00)
→半導体大手、米エヌビディアの快走が続いている。米IT(情報技術)大手やスタートアップ企業が生成AI(人工知能)への投資を競い、同社が世界シェアの約8割を握るAIの開発や利用に不可欠な半導体の需要が増えているためだ。「ライバル」による追い上げも熱を帯びてきた。

◇NVIDIAの株価急落 AI需要「72兆円不足」、市場が警戒 (9月4日付け 日経 電子版 11:22)
→米半導体大手エヌビディアの株価が3日、前週末比で9%強下落した。同社の半導体を使って開発する人工知能(AI)の実需が伸び悩むなど、AIブームにくぎを刺す指摘が相次ぎ、投資家の警戒感が高まっている。重要な経済イベントを前に慎重姿勢が強まる中、こうした懸念材料に反応した面もありそうだ。
エヌビディア株は前週末比9.5%安の108ドルで3日の取引を終えた。

◇米司法省、NVIDIAに強制調査 反トラスト法視野と報道 (9月4日付け 日経 電子版 11:59)
→米司法省が米半導体大手エヌビディアの強制調査に乗り出したことが3日、明らかになった。反トラスト法(独占禁止法)による提訴を視野に、証拠を集めるための召喚状を送ったと米ブルームバーグ通信が報じた。エヌビディアはAIの開発・動作に使う半導体で1強状態にある。他社の供給を阻む反競争的な行為があったかどうかが焦点となる。

◇NVIDIA、サカナAIの大株主に AI半導体供給を支援 (9月4日付け 日経 電子版 15:02)
→米グーグル出身の研究者らが設立したサカナAI(東京・港)は4日、米エヌビディアなど複数の投資家から資金を調達したと発表した。具体的な金額は明らかにしていないが総額は約200億円で、そのうちエヌビディアが数十億円と最大の出し手になったとみられる。生成AI(人工知能)開発競争が世界で過熱するなか、日本発のスタートアップと米国半導体の雄が組む異例の展開となる。

事業領域&取り組みの次の拡大が、以下あらわされている。

◇No longer just a chip supplier, Nvidia expands one-stop service into AI factory―Nvidia evolving into comprehensive AI service platform (9月5日付け DIGITIMES)
→Nvidiaは、AIチップのリーディングサプライヤーとしての役割を超えて、データセンターの設計、ソフトウェアおよびネットワーク技術を統合した包括的なAIサービスプラットフォームへと拡大しつつある。
Jensen Huang(ジェンセン・フアン)CEOは、必要なすべてのコンポーネントを網羅するAI工場を構築するNvidiaの能力にスポットライトを当て、顧客からの信頼を深め、競争力の差を広げることを目指している。


【韓国関連】

Samsungのテキサス州Taylor工場について、進捗遅れの影響である。

◇Samsung continues to push back construction on P4 and P5 to focus on Taylor site (9月2日付け DIGITIMES)
→以前、サムスン電子はPyeongtaek P4ファブでのPhase 2ウェーハファウンドリー生産ラインの建設中断を決定したと報じられた。

◇Subsidy Delays and Rising Costs Hamper Samsung's $44 Billion Semiconductor Project in Texas―Samsung's Texas semiconductor project faces delays, increasing costs (9月3日付け BusinessKorea (South Korea))
→サムスン電子がTaylor, Texas(テキサス州テイラーに)半導体工場を建設するという野心的なプロジェクトが、いくつかの障害にぶつかり、完成が遅れ、そして将来への懸念が高まっている。同社は2022年前半にテイラー工場を着工したが、昨年末時点の建設進捗率は59.7%にとどまっている。業界筋9月3日付によると、米メディア各社は、同工場が当初予定の2026年までに先端半導体の量産を開始するのは難しいと報じている。

韓国の半導体実装への取り組みの後れをあらわす評論である。

◇Chip packaging is tech's new frontier − and Korea is lagging behind (9月5日付け Korea Joong Ang Daily)
→チップのパッケージング(半導体を包むケーシングの製造)は、ハイテク業界の新たな戦場となっている。
チップの実装は重要でないように思われるかもしれないが、AIやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の効率にとって重要な高度に複雑なプロセスである。チップのパッケージ方法は、チップへの電気の流れに影響を与え、システムの他の部分との接続を容易にするだけでなく、冷却や損傷防止にも役立つ。


【OpenAIのAI半導体】

「ChatGPT」のOpenAIが、社内AI半導体の取り組み、TSMCの1.6nm A16プロセスで製造するとしている。

◇OpenAI to use TSMC’s upcoming A16 process for in house AI chips - report―Process node not slated for mass production until late 2026 (9月3日付け DatacenterDynamics)
→OpenAIは、TSMCの1.6nm A16プロセス・ノードで独自のAIチップを製造する計画。
United Daily News(UDN)の報道によると、OpenAIは当初、TSMCのN5プロセスを使用してAIチップを製造する予定だったが、現在は代わりにA16システムを選択しているという。
A16は1.6nmノードで、最終的には該チップメーカーのN2ノードの後継となる。

◇OpenAI allegedly wants TSMC 1.6nm for in-house AI chip debut―OpenAI to develop AI chips with TSMC's A16 process―Another job for Broadcom, then (9月4日付け The Register (UK))
→OpenAIは、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)の次期1.6ナノメートルA16プロセス・ノードを使用して独自のAIチップを製造する予定である。OpenAIは、ナノシートトランジスタ技術と裏面給電のために、N5プロセスからA16にシフトしたと伝えられている。


【QualcommのAI PC半導体】

比較的安価なAI PCに向けたSnapdragon X Plus 8-coreプロセッサが発表されている。今後の競合に注目である。

◇Qualcomm guns for Intel, AMD with cheaper 8-core X chips―Qualcomm targets AI PCs with 8-core X Plus chips―It’s set to slice up the AI PC competition at $700-$900 (9月4日付け The Register (UK))
→クアルコムは、インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)に対抗するAI PCs向けの8コアSnapdragon X Plusチップを発表した。このチップは、インテルの12コアCore Ultra 7 155Uよりもシングルコア性能が61%も高く、同じ毎秒45テラ演算(TOPS)のヘキサゴン・ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を搭載している。

◇Qualcomm ramps up challenge to Intel and AMD with latest AI PC chip (9月5日付け CNBC)
→*クアルコムはSnapdragon X Plus 8-coreプロセッサを発表、IntelおよびAMDに対抗してAI PC分野への進出を強化しようとしている。
 *米国の大手チップメーカー、Qualcommは、Snapdragon X Plus 8-coreは、同社の半導体をより多くのデバイスに拡大することを視野に入れながら、700ドルという低価格のPCs向けに設計されている。
 *クアルコムは、同社のCopilot+ PCsでSnapdragonチップを使用しているMicrosoft社から支援を受けている。

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