難路に向けたAIの各社の取り組みから:AI法、TPUs採用、値上げ、...
AI(人工知能)関連需要は引き続き熱気を帯びる一方、先行きに向けて世界各国・地域で出始めている法規制の議論はじめ見定めを要する関門がある。AI対応出遅れ気味とされるアップルが、AIを管理するBiden大統領の自主的な約束に他の15社とともに加わるとともに、同社のAIシステム、Apple IntelligenceのAIモデルの事前学習にNvidiaのGPUsではなくグーグルのカスタム半導体、テンソル・プロセッシング・ユニット(TPUs)を採用している。AI半導体製造で独走するTSMCは、業績の拡大に向けて値上げの動きである。週末にきて、米国の雇用悪化のデータから景気懸念が台頭、インテルの大幅人員削減が発表されて、先行き警戒気分が急激に高まってきている。
≪不透明感増す先行き≫
アップルのAIへの取り組みについて、AIを管理するBiden大統領の自主的な約束に他の15社とともに加わる動きが次の通りである。我が国政府も、産官学によるAI戦略会議にて、我が国としての検討が行われている。
◇Apple signs on to voluntary US scheme to manage AI risks, White House says (7月26日付け Reuters)
→アップルは、人工知能(AI)を管理するジョー・バイデン米大統領の自主的な約束に署名し、AIの力が破壊的な目的に使用されないことを保証することを約束した他の15社に加わったと、ホワイトハウスが金曜26日に発表した。当初の約束は2023年7月に発表され、グーグルやOpenAIのパートナーであるマイクロソフトなどの企業が署名した。9月には、アドビ, IBM, エヌビディアを含む8社が署名した。
◇Apple Adopts Biden’s AI Safety Guidelines―White House: Apple has committed to plan for AI safety (7月27日付け Engadget)
→ホワイトハウスによると、アップルは他の15社と共に、AI技術の責任ある開発と利用を保証するイニシアティブを支持する。この自主的なガイドラインは、説明責任と透明性に重点を置き、協力を奨励している。
◇Apple agrees to postpone AI upgrades and features until October (7月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→アップルは、新たに策定された政府と業界の安全基準に従うことを開発者に求めるガイドラインを遵守する他の15社に加わる。
アップルのAIシステム、Apple IntelligenceのAIモデルの事前学習にNvidiaのGPUsではなくグーグルのカスタム半導体、テンソル・プロセッシング・ユニット(TPUs)を採用する動きが、以下の通りである。
◇Apple says its AI models were trained on Google's custom chips (7月29日付け CNBC)
→*アップルは月曜29日に発表したテクニカル・ペーパーで、同社のAIシステムであるApple Intelligenceを支える2つのAIモデルは、クラウド上のグーグル設計のチップで事前学習されたと述べた。
*グーグルのテンソル・プロセッシング・ユニット(TPUs)は当初、社内のワークロード用に開発されたが、現在ではより広範に採用されている。
*アップルの決定は、AIトレーニングに関して、一部の大手テック企業がNvidiaのグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)に代わるものを探し、見つける可能性があることを示唆している。
◇Apple confirms its AI models were trained on Google custom chips (7月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→この新しいソフトウェア・アップグレードは、今秋リリースされるiOS 18で利用可能になる。
◇No love lost between Apple and Nvidia as iGiant chooses Google chips for AI training―Apple opts for Google's TPUs over Nvidia's hardware for AI―Things are getting Tensor between Cupertino and Nv (7月30日付け The Register (UK))
→Appleの研究論文によると、AppleはApple Intelligence機能にGoogleのテンソル処理ユニット(TPUs)を採用し、AIモデルにはNvidiaのグラフィック処理ユニット(GPUs)を採用しなかった。このserver-side Apple Foundation Modelは8,192個のTPU v4チップで学習され、AFM-on-deviceは2,048個のTPU v5プロセッサを使用したと、論文は述べている。
◇Apple skips Nvidia's GPUs for its AI models, uses thousands of Google TPUs instead-Recently released research paper reveals the details. (7月30日付け Tom's Hardware)
→アップルは、最近明らかになったApple Intelligence機能の開発にNvidiaのハードウェアアクセラレーターを使用していないことを明らかにした。アップルの公式研究論文(PDF)によると、Apple Intelligence Foundation Language Modelsの背後にあるトレーニングデータをクランチするために、代わりにGoogle TPUsを利用したという。
AMDの業績発表でもAI半導体需要の活況が謳われているが、製造で独走するTSMCは、業績拡大に向けて値上げの観測が見られている。
◇TSMC、AI半導体生産で独走 強まる値上げ観測 (7月31日付け 日経 電子版 04:00)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が人工知能(AI)向けの製品供給で独走態勢を固めている。米エヌビディアや米アップルなどの注文を一手に引き受け、18日に通期予想を上方修正した。圧倒的な競争力から受託価格の引き上げ観測が強まる。
◇AMD gives upbeat sales forecast on AI chip demand (8月1日付け Taipei Times)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は火曜30日、売上高見通しを上方修正し、新しい人工知能(AI)プロセッサが成長を後押ししていることを強調した。
第3四半期の売上高はおよそ$6.7 billionになるという。アナリストの平均予想は$6.62 billionだった。第2四半期の業績も予測を上回り、同社はいわゆるAIアクセラレーター(AIモデルの開発に使用されるチップ)の見通しを引き上げた。
先行きに波乱&激動の要因の可能性が否めないところがあるAI関連市場であるが、以下いろいろな切り口から現下の動き、内容を取り出している。
パリオリンピックでのAIの浸透に、改めて気づかされる以下の内容である。
◇五輪動かすAI新風 IOC、積極取り込み インテル、自動で名シーン集 (7月28日付け 日経)
→フランスで26日(現地時間)に開幕したパリ五輪では、人工知能(AI)の存在感が高まる。放送分野ではAIが自動で名シーンを探し出す。大会中のSNS投稿の監視でも活躍するほか、トランポリン日本代表の練習の効率化にも導入された。競技から大会運営まで五輪がAIの実践の場となり、スポーツ業界全体に変革をもたらす。
SamsungがHBM3メモリ半導体でAI対応を図っていく矢先、米国は中国への供給阻止を図る動きである。
◇Samsung Begins Closing Gap in Making AI Memory Chips for Nvidia―Report: Samsung gains on SK Hynix in AI memory chips (7月29日付け BNN Bloomberg (Canada))
→サムスン電子は、Nvidiaが同社のHBM3高帯域幅メモリー・チップを承認したことで、SK Hynixへの追撃に前進が見られると情報筋は伝えている。この進展は、AI市場に焦点を当てたメモリーチップ開発の後退に続くものである。
◇US mulling restrictions to keep Samsung, SK hynix, Micron from supplying HBM chips to China: Bloomberg (8月1日付け The Korea Times)
→ブルームバーグが水曜31日に報じたところによると、米国はサムスン電子、SKハイニックスおよびマイクロン・テクノロジーが中国企業に広帯域幅メモリー(HBM)チップを供給するのを阻止するための新たな措置を検討しているという。
シミュレーションツールにAIを取り入れるSiemensである。
◇Siemens adds AI to simulation tools―Siemens expands simulation tech with Solido suite (7月29日付け Electronics Weekly (UK))
→1)検証を必要とする半導体設計の複雑化はシミュレータにとって問題であると語るシーメンスのカスタムIC検証担当プリンシパル・プロダクト・マネージャのPradeep Thiagarajan氏、同社のSolido Simulation Suiteソフトウェア(Solido Sim)を紹介している。
2)シーメンスは、複雑な半導体設計を検証するための3つのシミュレータを備えたSolido Simulation Suiteソフトウェアを発表した。Solido Sim AIは生産性を向上させ、スピードと精度を提供するとシーメンスは述べている。
IDCによるAIプラットフォーム・ソフトウェア市場の見方である。
◇Demand for AI Platforms Software is Forecast to Drive Remarkable Growth over the Next Five Years, According to IDC (7月29日付け IDC)
→人工知能(AI)プラットフォーム・ソフトウェア市場は2023年に急成長し、多くの産業でAI導入が進んでいることを背景に、今後も目覚ましい勢いを維持すると予測される。インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の新たな予測によると、AIプラットフォーム・ソフトウェアの世界売上高は、2023〜2028年の予測期間で年平均成長率(CAGR)40.6%を記録し、2028年には$153.0 billionに成長する。
中国でのトップAI scientistについて。
◇China’s top AI scientist Yang Hongxia joins Hong Kong Polytechnic University (7月29日付け South China Morning Post)
→*香港政府が一流大学の研究能力を活用することで、香港をテクノロジー・ハブに変貌させようと努力しているなかでの採用である。
*アリババ・グループ・ホールディングやTikTokのオーナーであるByteDanceで活躍した人工知能(AI)の第一人者であるYang Hongxia(楊宏霞)氏が、香港理工大学の教授陣に加わった。
評論記事よりいくつか。特に、中国が培ったスーパーコンピューティング技術が米国の規制に抗して役立つとの見方である。
◇AI Data Centers Need Huge Power-Backup Systems (7月30日付け EE Times)
→人工知能(AI)とその計算センターが使用する膨大な電力に関する見出しや記事を目にしたことがあるのは間違いないだろう。主張と予測の一部を抜粋すれば、何を知る必要があるかがわかるであろう。
◇Tech war: China eyes supercomputers for building LLMs amid US sanctions on advanced chips (7月30日付け South China Morning Post)
→中国が過去20年間に開発したスーパーコンピューティング技術は、中国本土のAI産業に対する米国の規制の締め付けを解くのに役立つだろう。
◇China stops worrying about lack of GPUs and learns to love the supercomputer―China turns to supercomputers for AI amid US sanctions―The workaround is going to be inevitable in the future anyway, say Chinese boffins (7月31日付け The Register (UK))
→中国は、ハイエンドのグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)の必要性を回避するため、大規模言語モデル(LLMs)の開発にスーパーコンピュータを使用することに重点を移している。最近のセミナーでZhang Yunquan氏など専門家は、現在の制約の打開策として、スーパーコンピューティングにおける中国の豊富な経験を強調し、開発者は、最近発表されたDiTingモデルは、"1億パラメータを持つ最初の大規模地震データ処理モデル"であると述べている。
台湾でのAI活況が、改めてあらわされている。
◇AI boom helps business climate go ‘red’―FULL RECOVERY: While shipments of IT products spiked twofold, exports of mineral, chemical, textile and machinery products also posted double-digit percentage increases (7月30日付け Taipei Times)
→台湾・国家発展評議会(NDC)が昨日発表したところによると、先月発表された政府の景況感モニターは「赤」に点滅し、人工知能(AI)機器に使用される半導体やサーバーの旺盛な需要により、輸出志向の経済が好景気に沸いていることを示している。
HBM半導体で先行して業績好調の韓国・SK Hynixであるが、従来のメモリとのバランスを問われて株価は大きく下げる見え方である。
◇SK hynix in dilemma as HBM focus results in lower stock value―Share price suffers double-digit drop in just two weeks (7月30日付け The Korea Times)
→SKハイニックスは、先進的な広帯域メモリー(HBM)チップと既存のレガシーDRAM製品との生産バランスを取る上でジレンマに直面しており、HBMへの注力は同社の株式価値に悪影響を及ぼしている。
SKハイニックスの株価は7月15日の230,000ウォンから金曜26日には191,800ウォンまで下落し、わずか2週間で16.6%の下落に見舞われた。特に木曜25日には、四半期ベースで過去最高の売上高16兆4200億ウォン($11.88 billion)、営業利益5兆4700億ウォンを計上したにもかかわらず、株価は8.87%下落した。
メタとNvidiaのCEO同士の対談である。
◇メタCEO、AIは「開放型が勝つ」 NVIDIAトップと対談 (7月30日付け 日経 電子版 17:23)
→米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は29日、人工知能(AI)を念頭に「次世代のコンピューティングはオープンなエコシステム(生態系)が勝つと期待している」と述べた。米エヌビディアのジェンスン・ファンCEOとの対談で基盤技術を外部に開放する狙いについて説明した。
AI市場を引っ張るNvidiaの取り組み、株価の動きから。
◇NVIDIA、ヒト型ロボ開発支援 Apple「Vision Pro」活用 (7月30日付け 日経 電子版 10:46)
→米半導体大手エヌビディアは29日、ヒト型ロボットの開発を支援するソフトウエア基盤を拡充すると発表した。ロボットを動かす頭脳となる基盤モデルの学習に必要なデータを合成する新技術を開発した。同社のソフト基盤に搭載し、大量のデータが必要なロボット開発の効率を高める。
新技術は同社のロボット開発基盤を使う企業向けに提供する。開発者はまず米アップルのゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」などを使って人がロボットを遠隔操作する動きを記録する。
◇Nvidia shares soar 13% after Microsoft quells fears that AI buildout is too fast (7月31日付け CNBC)
→*主要顧客であるマイクロソフトとライバルのAMDの発言により、数十億ドル規模のAIサーバーの増強が減速することはないと示唆され、エヌビディアの株価は水曜31日に13%上昇した。
*マイクロソフトは第4四半期に$19 billionの設備投資を行い、そのうち約60%をハードウェアに投じた。
*データセンター向けGPUs市場でNvidiaの主要なライバルであるAMDは、火曜30日に予想を上回る売上高と利益を報告し、投資家に対してGPUへの需要は引き続き旺盛であると語った。
この週末にかけて、米国での景気懸念が急に台頭、AI関連でも先行きの舵取りでの難路の論調が以下の通り続いている。米国政府のNvidiaのM&Aに対する公正取引の調査の動きも見られている。
◇MicrosoftやGoogle、急成長クラウドにAI巨額投資の影 (7月31日付け 日経 電子版 11:35)
→生成AI(人工知能)企業によるインフラ投資が膨らんでいる。米マイクロソフトが30日に発表した2024年6月期通期決算では設備投資が前の期比約8割増の8兆5000億円に急拡大した。AIは膨大な計算資源が必要で、長期的に安定したインフラ管理が必要になる。市場の成長期待に応えつつ、巨額投資を回収していく難しい戦略を迫られている。
◇Feds put Nvidia AI deal under antitrust scrutiny―US reportedly investigating Nvidia deal with Run:ai (8月1日付け Politico)
→1)この調査は、ほんの一握りの世界最大のテクノロジー企業による人工知能(AI)の支配を阻止しようとする規制当局による世界的な圧力に拍車をかけるものだ。
2)米司法省は、NvidiaによるAI新興企業、Run:aiの買収が独占禁止法に違反するかどうかを調査している、と情報筋は述べた。Run:aiはグラフ
ィック・プロセッシング・ユニット(GPUs)を仮想化する技術を開発、実質的により少ないコンピューター・チップでより多くの仕事をこなす方法をユーザーに提供する。
◇Microsoft scales back AI partnership with Emirati firm amid concerns over China ties―The U.S. tech giant intends to restructure a sensitive part of its partnership with UAE-based G42, following concerns on the Hill about Chinese IP theft. (8月1日付け Politico)
→マイクロソフトは、同社と中国との関係に対する懸念が高まるなか、機密性の高いAIハードウェアと知的財産をアラブ連邦首長国のAI企業、G42と共有するという重大な計画を修正しつつある、と計画に詳しい人物とマイクロソフトから説明を受けた2人の議会補佐官が語った。
◇米テック株、「AI相場」に陰り 成果求める市場 (8月2日付け 日経 電子版 11:45)
→米株式市場を主導してきた「人工知能(AI)相場」に陰りが出始めた。アップルなど巨大テック7銘柄の時価総額はピーク比で約1兆9000億ドル(約280兆円)目減りした。AI普及に伴う需要爆発への期待から一握りの巨大テック銘柄にマネーが集中したが、4〜6月期決算を通じて巨額投資の収益反映を確認できない状況に投資家はしびれを切らす。景気悪化懸念でリスク許容度も低下し、テック株は岐路を迎えている。
◇Apple、中国のiPhone離れ止まらず AI搭載にも難路 (8月2日付け 日経 電子版 11:54)
→米アップルが中国市場で苦戦を続けている。1日発表した2024年4〜6月期決算は増収増益だったが、中華圏では前年同期比7%減と落ち込んだ。華為技術(ファーウェイ)などの地元競合が技術力を高め、iPhoneの代名詞でもある高機能性が陰っている。巻き返しを図る生成AI(人工知能)サービスをどこまで展開できるかも不透明だ。
Nvidiaそして米国巨大テックが様々絡んでくるAI関連に、引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□7月30日(火)
上にも触れた通り、雇用悪化のデータから景気懸念が台頭、週末にかけて大きく下げた、今週の米国株式市場である。
◇NYダウ反落し49ドル安 テック決算など控え様子見強く (日経 電子版 06:49)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比49ドル41セント(0.12%)安の4万0539ドル93セントで終えた。週内に相次ぐ大型ハイテク企業の決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要日程を前に様子見ムードが広がった。前週末に大幅高となった後で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出た。半面、決算発表など個別に材料の出た銘柄が買われ、ダウ平均を支えた。
□7月31日(水)
米国国内でもいろいろ議論が行われる状況か、米国の対中関税引き上げが延期されている。
◇米国の対中関税引き上げ、8月中旬以降に延期 (日経 電子版 05:35)
→米政府は8月1日に予定していた中国からの輸入品(電気自動車(EV)、鉄鋼・アルミ製品、EV用バッテリー、太陽光パネル、港湾用クレーン、医療用品)への制裁関税引き上げを半月ほど延期する。米通商代表部(USTR)が30日に明らかにした。一部品目を巡り、延期を求める声が米国内で出ており、意見調整に時間がかかっている。
◇NYダウ反発、203ドル高 経済の軟着陸期待が支え (日経 電子版 06:14)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比203ドル40セント(0.50%)高の4万0743ドル33セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げを始め、米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が株式相場の支えとなった。一方で、決算を発表した一部の銘柄に売りが出た。ハイテク株の下げも目立ち、ダウ平均は小幅に下げる場面があった。
□8月1日(木)
◇NYダウ続伸、99ドル高 9月利下げの示唆受け主力株買い (日経 電子版 05:28)
→7月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比99ドル46セント高の4万0842ドル79セント(速報値)で終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は31日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、利下げに転じる時期が近づいているとの見方を示した。金融緩和が米景気を支えるとの期待が高まり、主力株に買いが入った。
米連邦準備理事会(FRB)の発言から、以下の通り円が上昇する動きにつながっている。
◇FRB議長「9月利下げも」 物価鈍化で景気配慮に軸足 (日経 電子版 07:06)
→米連邦準備理事会(FRB)は31日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めた。パウエル議長は記者会見で「9月の利下げ開始もありうる」と明言。物価抑制だけでなく景気にも配慮した政策運営に軸足を移す考えを示した。
◇円売りドル買いに転機 日銀・FRB、逆向く政策方向感 (日経 電子版 11:53)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7月31日の記者会見で9月の利下げに前向きな姿勢を示した。日銀はさらなる利上げも視野に入れ、日米の中央銀行で政策の方向感の違いが鮮明となった。日米金利差を背景とした円売り・ドル買いの動きが転機を迎えた可能性がある。
□8月2日(金)
◇NYダウ、一時700ドル安 景気懸念で長期金利4%割れ (日経 電子版 05:23)
→1日の米金融市場で株式相場が急落し、ダウ工業株30種平均は前日比で一時、700ドルを超える下げとなった。雇用情勢の軟化や製造業の景況感悪化が鮮明となり、米国の景気が転機を迎えたとの見方が広がりつつある。長期金利は約半年ぶりに4%を割り込んだ。ダウ平均は前日比494ドル(1.2%)安の4万0347ドルで取引を終えた。
この週末の景気懸念を生じさせた米国労働市場のデータである。
◇Sharp slowdown in US job growth boosts unemployment rate to 4.3%―US economy adds fewer jobs than expected in July (Reuters)
→労働市場の冷え込みが続く中、7月の米雇用者数は11万4,000人増と予想を下回った。エコノミストは、非農業部門雇用者数は17万5,000人増加すると予想していた。失業率も4.3%に上昇し、予想の4.1%を上回った。
◇円上昇、一時146円台前半に 米雇用が予想大きく下回る (日経 電子版 21:38)
→2日のニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=146円台前半に上昇した。2月上旬以来およそ半年ぶりの円高・ドル安水準を付けた。2日に米労働省が発表した7月の雇用統計で市場の注目が高い非農業部門の就業者数が11万4000人増と市場予想を大きく下回り、米景気の先行き警戒感から幅広い通貨に対してドル売りが膨らんだ。
□8月3日(土)
◇米失業者2割増の衝撃 7月雇用、FRBに大幅利下げ迫る (日経 電子版 03:55)
→米景気の悪化懸念が急速に高まっている。2日公表された7月の雇用統計では失業者が1年前の1.2倍に急増した。景気後退入りを示すシグナルが点灯し、株価は急落した。金融市場は米連邦準備理事会(FRB)に対し、次回の9月会合で0.5%の大幅利下げに踏み切るよう迫る。
◇NYダウ一時900ドル超安 景気懸念で「質への逃避」加速 (日経 電子版 06:38)
→米国の金融市場でリスク資産を売って安全資産へ資金を移す「質への逃避」が加速している。ダウ工業株30種平均は一時前日比900ドル超下げて連日の急落となった。2年債利回りは約1年3カ月ぶりに4%を割り込んだ。雇用統計の軟化で米景気下振れリスクが意識された。市場は急ピッチの利下げを織り込み始めた。
ダウ平均は前日比610ドル(1.5%)安の3万9737ドルで取引を終えた。
≪市場実態PickUp≫
【米国政府関係】
半導体製造装置の中国向け輸出規制のさらなる強化が取り沙汰されているが、我が国やオランダなど同盟国は除外されると以下の通りである。
◇Upcoming US export rules on chipmaking tools won't apply to friendly countries―37 nations on good terms with Uncle Sam spared incoming restrictions, report claims (7月31日付け The Register (UK))
→米国はチップ製造装置の輸出規制を強化すると言われているが、同盟国や友好国には例外を設ける予定である。
ロイター通信が2人の匿名情報筋の話を引用して伝えたところによると、Foreign Direct Product Rule(FDPR:外国直接製品規則)の拡大が8月に施行される予定だという。更新された規則は、おそらくリソグラフィ装置のような機器を含むチップ製造ツールをターゲットにすると伝えられている。
◇ASML shares pop 7% after report that U.S. will exempt allies from new China chip restrictions (7月31日付け CNBC)
→*オランダ企業、ASMLの株価は、ロイターの報道で同社が中国向けチップ製造装置の輸出規制拡大から免除される可能性が示唆されたことを受け、水曜31日に10%も急騰した。
*ロイターは木曜1日、米国がいわゆる外国直接製品規制の拡大を検討していると報じた。
*しかし、日本、オランダおよび韓国を含む主要なチップ製造装置を輸出する同盟国は除外されるという。
◇米の対中半導体装置規制、日本は除外か ロイター報道 (7月31日付け 日経 電子版 23:44)
→ロイター通信は31日、米政府が8月にも公表する半導体装置の中国向けの輸出規制で、日本などの同盟国が除外される見通しだと報じた。東京エレクトロンなど日本メーカーの出荷に影響はほぼないとしている。
新規制に詳しい2人の関係者の話として、現段階の草案を伝えた。日本のほかオランダや韓国なども除外される。イスラエルや台湾、シンガポール、マレーシアなどは対象になるという。
◇US Weighs Restrictions on China’s Access to AI Memory Chips―US considers limits on China's access to AI chips, gear (8月1日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国は、中国による高度なAIメモリーチップとその製造に必要な装置へのアクセスを制限する新たな規制を検討している。日本、韓国およびオランダなどの同盟国はこの制限から除外される。
米国国内の半導体製造強化に向けたCHIPS and Science Actによる助成であるが、Applied Materials(AMAT)のR&Dセンターについて米国政府が拒否、と以下の通りである。
◇U.S. government reportedly denies $4 billion grant for Applied Materials―Reports: US denied Applied Materials a $4B grant―Applied Materials will not get $4 billion to fund a new R&D center in Silicon Valley. (8月1日付け Tom's Hardware)
→アプライド マテリアルズが、カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale, Calif.)にある研究開発(R&D)センターに対するCHIPS and Science Actに基づく$4 billionの助成金要請を米国政府から拒否され、後退に直面した。商務省はこのプロジェクトが基準を満たせなかった理由を明らかにしておらず、CHIPS法の下でのウェーハファブ装置メーカーに対する今後の支援に懸念が高まっている。
◇Applied Materials Is Denied US Chips Grant for $4 Billion Silicon Valley Project-Company had hoped to use the money for research center―US officials have disagreed over how to approach chip R&D (8月1日付け Bloomberg)
→アプライド・マテリアルズ社は、シリコンバレー中心部での注目のプロジェクトに致命的な打撃を与えることになった。
同社は、カリフォルニア州サニーベールに建設する$4 billion規模の施設(同社が1年以上前に推進し始めた取り組み)のために、大規模なチップを対象としたプログラムを通じて米国から資金を得ることを望んでいた。
【インテル関連】
厳しい内容、状況が見られているが、まずは、デスクトップCPUの不安定性の問題である。特定の条件下でプロセッサが不安定になるというもので、原因は動作電圧の過剰な上昇によるものとされている。
◇There is no fix for Intel’s crashing 13th and 14th Gen CPUs - any damage is permanent/ Here are the answers we got from Intel. (7月26日付け The Verge)
→月曜22日、当初はインテルのデスクトップCPUが不安定になるという問題の終わりの始まりのように思われた。同社は、高電圧にさらされるという「根本的な原因」に対処するパッチが8月中旬にリリースされることを確認した。しかし、第13世代または第14世代インテル・コア・プロセッサーがすでにクラッシュしている場合、そのパッチでは解決できないようだ。
◇Intel's CPU instability and crashing issues also impact mainstream 65W and higher 'non-K' models ? damage is irreversible, no planned recall―Intel's desktop CPU instability continues without a recall―Intel will replace impacted units but doesn't plan a recall. (7月28日付け Tom's Hardware)
→インテルによると、不安定性の問題が65W以上のすべての中央演算処理装置(CPUs)に影響を及ぼしており、その被害は回復不可能であると報道されている。インテルはCPUsをリコールする予定はなく、電圧上昇の原因に対処するための道筋を近々つけることを確認している。
人材戦略関連について。
◇Intel Reportedly Lures TSMC’s “Top-Level” Arizona Employees, Fueling Up Competition (7月29日付け WCCF TECH INC.)
→*TSMCの米国進出により、インテルは 「人材獲得 」計画を実施することで、ファウンドリーの地位を維持する努力を加速させているようだ。
*インテルの次なる戦略は、TSMCのシニア・エンジニアを採用し、ファウンドリー事業の長期的成長を促進する試みである。
◇Intel Pilots Apprenticeships in Arizona―Apprenticeship programs are gaining traction as chip companies look to create new career pathways and meet workforce demands. (7月31日付け EE Times)
→インテルは、CHIPS Actがオンショア半導体の人材育成に圧力をかけ続ける中、実習見習い制度に乗り出した最新の企業である。
製造拠点の技術者を対象とした米国初の登録見習いプログラムは、アリゾナ州で試験的に実施され、今後5年間にわたって見習い従業員を育成する。このプログラムに選ばれた実習生は、初日からインテルの正社員となり、1年間のプログラムを修了すると修了証と大学の単位を取得できる。
◇Intel reportedly set to announce another round of layoffs, involving ‘thousands’ of workers (7月30日付け Silicon Angle)
→インテル社は、世界トップのチップメーカーとしての地位を回復する野心的な計画を進める中、コスト削減のために数千人の従業員を解雇する見込みである。
これはブルームバーグの報道によるもので、匿名の情報筋の話として、早ければ今週中にも人員削減が発表される可能性があるという。ここ数年、インテルは収益と利益の減少に苦しんでおり、ライバルにシェアを奪われていると言われている。
人員削減が取り沙汰されてから業績発表が行われ、「インテルショック」という表わし方に至る以下の推移である。
◇Intel to Cut Thousands of Jobs to Reduce Costs, Fund Rebound―Intel reducing its workforce to fund rebound, sources say (7月31日付け BNN Bloomberg (Canada))
→インテル社は、コスト削減と、業績不振と市場シェア低下からの回復に向けた野心的な取り組みに資金を提供するため、数千人規模の人員削減を計画している。
公開されていないため、特定されないよう求めた、同社の計画に詳しい関係者によると、この人員削減は早ければ今週中にも発表される可能性があるとのこと。木曜1日に第2四半期決算を発表する予定のインテルの従業員数は、分社化される部門の従業員を除いて約11万人。
◇Intel to cut 15% of workforce after another weak quarter―Intel says it will cut at least 15% of workforce (8月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→オレゴン州に23,000人の従業員を抱えるインテルは、削減の大半は今年中に行われるとしている。
◇Intel to cut 15% of workforce, reports quarterly guidance miss (8月2日付け CNBC)
→*インテルは予想を下回る四半期決算を発表し、今期のガイダンスも軽めのものとした。
*同チップメーカーは、約15,000人の従業員を削減し、第4四半期の配当を廃止し、資本支出を削減する計画を発表した。
◇インテルショック、半導体に広がる 株「50年ぶり下げ」 (8月3日付け 日経 電子版 05:38)
→米インテルの株価が2日の米株式市場で前日終値に比べ約26%下落した。
前日に発表した業績悪化と1万5000人の人員削減を受け、売りが広がった。同社の時価総額は1日で4分の3に目減りし、株式市場全体で売りが膨らむなか「インテル・ショック」とも言える状況になっている。
【Samsung関連】
半導体サプライヤランキングの首位をインテルと争うSamsungであるが、これまた難しい状況が見られており、まずはストライキについて。
◇Samsung Electronics, striking labor union resume talks (7月29日付け Yonhap News Agency)
→サムスン電子と同社最大の労働組合は、ストライキが続く中、最初の会談が不調に終わった後、月曜日に再び賃金交渉を再開する予定であると、業界関係者が語った。
経営陣と全国サムスン電子労組(NSEU)との間で予定されている交渉は、前回の交渉が先週合意に至らずに終了した後に行われる。
◇Samsung Electronics, striking labor union still struggle to make compromise (7月31日付け Yonhap News Agency)
→サムスン電子と同社最大の労働組合は、ストライキが続く中、賃金交渉の突破口をめぐって対立している、と業界筋水曜31日発。
経営陣と全国サムスン電子労組(NSEU)の交渉は、先週合意に至らず終了した後、月曜29日に開始された。
第二四半期業績について。
◇Samsung second-quarter operating profit soars 1,458% as AI demand remains strong; results top estimates (7月31日付け CNBC)
→*サムスン電子は水曜31日、AIコンピューティングに欠かせない先端メモリー・チップの需要が好調を維持したため、売上高と利益が予想を上回った。
*同四半期の売上高は74兆700億韓国ウォンで、前年同期比23.42%増、営業利益は1,458.2%急増した。
◇Samsung Electronics Q2 operating profit surges 15 times; chip biz shifts to profit―Samsung sees strong Q2 profit growth on chip demand (7月31日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、第2四半期の営業利益が急増し、$7.55 billionに達し、市場予想を上回った。メモリーチップの需要が業績を牽引し、サムスンは下半期に広帯域メモリー(HBM)製品の販売拡大を計画している。
◇サムスンの半導体部門、2四半期連続の黒字 4〜6月 (7月31日付け 日経 電子版 09:33)
→韓国サムスン電子が31日発表した2024年4〜6月期の事業別業績で、半導体部門の営業損益は6兆4500億ウォン(約7100億円)の黒字(前年同期は4兆3600億ウォンの赤字)だった。生成AI(人工知能)用データセンター向けの需要増加を背景に、メモリーを中心に半導体価格が上昇した恩恵を受けた。
半導体部門の黒字は2四半期連続で、好況だった22年半ばの水準に戻った。同部門の売上高は前年同期比94%増の28兆5600億ウォン。このうち半導体メモリーの売上高が2.4倍の21兆7400億ウォンと好調だった。
好業績に見えるが、HBMなど先端品の出遅れという中身の問題があらわされている。
◇サムスン半導体 先端品出遅れ 4〜6月部門別、2四半期連続黒字でも...需給逼迫の一因に (8月1日付け 日経)
→韓国サムスン電子の半導体事業が勢いを欠いている。2024年4〜6月期に半導体部門は2四半期連続で黒字を確保したが、利益率の高い生成AI(人工知能)向けの先端品の生産は遅れたままだ。SKハイニックスなどの競合に差をつけられ、先端半導体の需給逼迫が続く一因ともなっている。
半導体事業のトップから、「悪循環」に陥る危険性の警告が以下の通り発せられている。
◇Samsung Chips Boss Warns of ‘Vicious Cycle’ Unless Changes Made (8月1日付け BNN Bloomberg (Canada))
→サムスン電子のチップ事業責任者は、就任から数カ月後に従業員向けに出された異例の厳しいメモの中で、職場文化を見直さなければ韓国最大の企業が「悪循環」に陥る危険性があると警告した。
◇Samsung reportedly reforming bonus system to prevent semiconductor talent outflow―Samsung plans to overhaul bonus system to retain talent (8月1日付け DIGITIMES)
→情報筋によると、サムスン電子は賞与計算の透明性と予測可能性を高めるため、総合業績インセンティブ制度の改革を計画している。チップ部門のリーダーであるJun Young-hyun(ジュン・ヨンヒョン)氏は、職場文化を見直さない限り、同社は「悪循環」に陥る危険性があると警告している。
次のあらわし方も見られているが、今後の推移に注目である。
◇Samsung semiconductor sales surpass TSMC in 2 years (8月1日付け The Donga A Ilbo)
→サムスン電子は、半導体売上高で2年ぶりに台湾半導体大手TSMCを上回った。この躍進は、サムスンの8層および12層の第5世代高帯域幅メモリー(HBM)「HBM3E」製品によるもので、世界的な業界の注目を集め、NvidiaやAMDを含む主要な人工知能(AI)半導体企業に供給する態勢を整えている。
【SK Hynix関連】
HBMメモリ半導体で先行優位にあるものの従来のメモリ製品とのバランスが問われていると上に示しているが、現下の工場投資、DRAM新製品、そして関連会社のM&Aについて以下示している。
◇Nvidia supplier SK Hynix to build $6.8 billion chip plant in South Korea (7月26日付け CNBC)
→*メモリー大手のSKハイニックスは金曜26日、韓国の新興チップハブに新しい半導体製造工場を建設するために9兆4000億韓国ウォン($6.8 billion)を投資する計画であると発表した。
*SKハイニックスの工場は、韓国政府が大規模な複合チップ工場の建設を検討しているYongin Semiconductor Cluster(龍仁半導体クラスター)に建設される。
*SKハイニックスは、AIの波とNvidiaとの提携に乗っている。同社は今週、第2四半期の利益が過去6年間で最高水準に達したと報告した。
◇SK hynix confirms W9.4tr investment in Yongin Cluster's 1st fab―SK Hynix to invest $6.8B in South Korean chip hub (7月26日付け The Korea Herald (Seoul))
→SKハイニックスは、韓国の新興拠点であるYongin Semiconductor Cluster(龍仁半導体クラスター)に$6.8 billionを投じて半導体製造工場を建設する計画である。同チップメーカーは、Nvidiaに供給する広帯域メモリ(HBM)を含むダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の生産を見込んでいる。
◇SK hynix to invest 9.4 tril. won in 1st fab in Yongin chip cluster (7月26日付け The Korea Times)
◇SK hynix to begin mass production of industry-leading GDDR7 memory in Q3 (7月30日付け Yonhap News Agency)
→世界第2位のメモリー・チップ・メーカーであるSKハイニックスは火曜30日、第3四半期に次世代グラフィック・メモリー・チップ、GDDR7の本格的な生産を開始する予定であると発表した。
同社によると、GDDR7は業界をリードする品質を誇り、動作速度は毎秒32ギガビットと、前世代から60%向上している。
◇SK Innovation eyes profit rebound following merger―SK Innovation expects merger with SK E&S to enhance financial stability (8月1日付け The Korea Times (Seoul))
→SKイノベーションは木曜1日、SK E&Sとの合併計画は2030年までに2兆2000億ウォン($1.6 billion)のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)をもたらすと発表、今月末の該取引に賛成票を投じるよう少数株主を説得するための試みのあらわれである。
【半導体市場関連データ】
半導体販売高、生成AIスマホおよび先端実装の今後の予測、そしてシリコンウェーハの直近四半期出荷について、以下に示している。
◇AI To Drive $1 Trillion In Global Chip Sales By 2030 As Nvidia Leads―Analysts see AI driving global chip sales to $1T by 2030 (7月26日付け Forbes)
→世界の半導体売上高は2030年までに$1 trillionに達すると予想され、AI需要が続く中、Nvidiaがその先頭に立つとアナリストは言う。Gartner社のGaurav Gupta氏は、同じ時期に半導体の生産能力が50%以上増加すると予測している。
◇Worldwide Generative AI Smartphone Shipments Forecast to Reach 70% of the Market by 2028 with More Than 360% Growth in 2024, According to IDC (7月30日付け IDC)
→インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の新たな予測によると、世界のジェネレーティブAI(GenAI)スマートフォンの出荷台数は2024年に前年比363.6%増の2億3420万台になると予測されており、スマートフォン業界の未来は大きく変わることになりそうだ。これは2024年のスマートフォン市場全体の19%に相当する。
IDCはGenAIスマートフォンを、int-8データ型を使用して30テラ・オペレーション/秒(TOPS)以上の性能を持つニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を活用して、より迅速かつ効率的にデバイス上でGenAIモデルを実行できるシステムオンチップ(SoC)を特徴とするデバイスと定義している。
◇Advanced Packaging market growing at 11% CAGR 23-29 to $69.5bn―Yole: Advanced packaging headed toward $69.5B in 2029 (7月30日付け Electronics Weekly (UK))
→1)アドバンスト・パッケージング(AP)市場のCAGR23-29は11%で、2029年には$69.5 billionに達するとYole Groupは予測している。
2)Yole Groupによると、アドバンストパッケージング市場は大幅な売上げ拡大--2023年から2029年までの年平均成長率は11%--が見込まれ、
5年後には$69.5 billionに達する。Amkor Technology、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)およびIntelが売上高上位5社にランクインしている。
◇Worldwide Silicon Wafer Shipments Increase 7% in Q2 2024, SEMI Reports (8月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)は、シリコンウェーハ業界の四半期分析で、2024年第2四半期の世界のシリコンウェーハ出荷が前四半期比7.1%増の3,035百万平方インチ(MSI)となったが、前年同期の3,331百万平方インチからは8.9%減少したと報告した。
※推移データ
1Q23 | 2Q23 | 3Q23 | 4Q23 | 1Q24 | 2Q24 | |
MSI | 3,265 | 3,331 | 3,010 | 2,996 | 2,834 | 3,035 |
◇Worldwide Silicon Wafer Shipments Increase 7% in Q2 2024, SEMI Reports (8月1日付け SEMI)
→「シリコンウェーハ市場は、データセンターおよびジェネレーティブ AI向け製品に関連する旺盛な需要に牽引されて回復している。」と、SEMI SMGの会長であり、GlobalWafersのVice President兼 Chief AuditorであるLee Chungwei(李崇偉)氏。「300mmウェーハのQ2出荷は前四半期比8%増となり、すべてのウェーハサイズの中で最も好調であった。建設中または生産量増加中の新しい半導体工場が増えている。この拡大は、1兆ドル規模の半導体市場に向けた長期的なトレンドとともに、より多くのシリコンウェーハを必然的に必要とする。」