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5月半導体販売高、増勢高め2年前の水準;回復材料など今後への動き

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この5月について$49.1 billionで、前年同月比19.3%増、前月比4.1%増、と本年に入って3月までは前月比減が続いたが、4月からは増加に転じ、5月に増勢を高めた経緯である。5月販売高は、史上最高の年間販売高となった2022年半ばあたりの水準であり、それ以来の前年比伸び率となっている。AI(人工頭脳)需要が引っ張る現下の半導体関連市場であるが、今後の本格的な市場回復実現の一層の期待につながるところである。さらに、今後に向けた動き関連として、市場回復材料、投資計画、そして米国国内製造強化に注目、現下の動きを以下取り出している。

≪5月の世界半導体販売高;今後に向けた動き関連≫

米国・SIAの今回の販売高発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○5月のグローバル半導体販売高が、前年同月比19.3%増-5月販売高は、2022年4月以来最大の前年同月比増加率、前月比では4.1%増 …7月5日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年5月のグローバル半導体販売高が$49.1 billionで、前年同月、2023年5月の$41.2 billionに対して19.3%増、前月、2024年4月の$47.2 billionより4.1%増、と発表した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「2024年の世界半導体市場は各月で前年比成長しており、5月の前年比販売高は2022年4月以来最大の伸び率となっている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「Americas市場は特に力強い伸びを示し、前年同月比43.6%増となった。」

地域別では、5月の販売高前年同月比で、Americas (43.6%), China (24.2%), およびAsia Pacific/All Other (13.8%)と増加したが、Japan (-5.8%)およびEurope (-9.6%)では減少した。前月比では、Americas (6.5%), China (5.0%), Asia Pacific/All Other (3.0%), およびJapan (1.6%)と増加したが、Europe (-1.0%)では減少した。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
May 2023
Apr 2024
May 2024
前年同月比
前月比
========
Americas
9.73
13.11
13.96
43.6
6.5
Europe
4.70
4.29
4.25
-9.6
-1.0
Japan
3.92
3.64
3.69
-5.8
1.6
China
12.00
14.20
14.91
24.2
5.0
Asia Pacific/All Other
10.84
11.97
12.33
13.8
3.0
$41.18 B
$47.21 B
$49.15 B
19.3 %
4.1 %

--------------------------------------
市場地域
12- 2月平均
3- 5月平均
change
Americas
12.57
13.96
11.1
Europe
4.36
4.25
-2.6
Japan
3.60
3.69
2.6
China
14.16
14.91
5.3
Asia Pacific/All Other
12.14
12.33
1.6
$46.83 B
$49.15 B
4.9 %

--------------------------------------

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/07/May-2024-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、今後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、5月には増勢をさらに高めて、2022年半ば以来の販売高、および前年同月比伸び率となっている。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %


本格的な市況回復が待たれる中、今後に向けた動き関連として、市場回復材料、投資計画、そして米国国内製造強化について、現下の動きを以下取り出している。

市場回復につながる材料&内容として、以下の通りである。

◇Samsung leads chip market amid surging AI memory demand, but foundry gap with TSMC widens ―Samsung maintains chip market lead, but TSMC foundry gap grows (6月28日付け DIGITIMES)
→韓国メディア各社が引用したカウンターポイント・リサーチの統計によると、2024年第1四半期の世界半導体市場(ファウンドリーを除く)でサムスン電子が首位に浮上し、販売額で11%の市場シェアを獲得した。

◇Leaked Intel Arrow Lake chipset diagram show more PCIe lanes, no support for DDR4 ― new chipset boasts two M.2 SSD ports connected directly to CPU―Arrow Lake-S CPUs to launch with PCIe 5.0, leak shows―New tech arrives, and old tech has to be left behind. (7月1日付け Tom's Hardware)
→インテルはArrow Lake-Sプロセッサーを第3四半期に発表する予定で、リークされた文書によると、この中央演算処理装置(CPUs)はグラフィックス用に16レーン、ストレージ用に4レーンのPCIe 5.0をサポートする。また、該文書によれば、該チップセットはDDR4メモリのサポートを取りやめる。

◇LiDAR market on 38% CAGR 2023-29―Lidar market set for 38% CAGR as Chinese OEMs drive growth (7月2日付け Electronics Weekly (UK))
→車載用LiDAR(Light Detection And Ranging)の世界市場は、2023年の$538 millionから2029年には$3,632 millionへと、2023年〜2029年について年平均成長率(CAGR)38%成長する見込みである、とYole Group発。

◇Chipmakers gearing up for SiPh boom―SiPh tech poised for growth to take on energy issues (7月2日付け DIGITIMES)
→シリコンフォトニクスとco-packagedオプティクスは、AIサーバーやデータセンターのニーズに後押しされ、ハイテク業界のトレンドとして台頭している。信号伝送に電子の代わりに光子を使用するSiPh技術は大幅な成長が見込まれており、市場価値は2022年の$12.6 billionから2030年には$78.6 billionに増加すると予測されている。

◇S Korea export growth accelerates on record chip sales―GROWING ECONOMY: Semiconductor shipments soared 51 percent from a year earlier and the outlook for exports remains bright, but it might face US and China-related risks (7月2日付け Taipei Times)
→韓国の輸出成長率は先月加速し、世界需要の回復力を反映、人工知能(AI)とテクノロジー分野が半導体販売の記録的な伸びを牽引している。韓国関税庁(Korea Customs Service)が昨日発表したデータによれば、1日当たりの平均出荷額は前年同月比12.4%増となり、5月の9%増を上回った。

◇How Will Samsung Respond to TSMC’s Massive Investment Increase for 2-Nanometer Semiconductor Process―Sources: TSMC to boost 2nm tech spend to rival Samsung (7月2日付け BusinessKorea (South Korea))
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、Samsung Electronicsとの競争が激化する中、来年投資を増やし、2ナノメートル半導体生産能力を拡大する予定である、と情報筋は述べている。TSMCの2025年の資本支出(capex)は$32 billionから$36 billionの範囲になりそう、と情報筋。

◇Q3 NAND ASP to rise 5-10%―TrendForce: NAND ASP to rise between 5% and 10% in Q3 (7月3日付け Electronics Weekly (UK))
→第3四半期のNAND ASPは5%から10%上昇する、とTrendForce発。

◇Auto semiconductors by segment―IDC: Automotive microprocessors expected to generate over $15B by 2027 (7月3日付け Electronics Weekly (UK))
→2027年までに、車載用半導体市場はロジック、メモリ、マイクロプロセッサー、アナログ、オプト、ディスクリートおよびセンサーで大きく成長する、とIDC発。

◇Semiconductor Market Size Is Set to Grow by $112.8B from 2024-2028 (7月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Technavioによると、世界の半導体市場規模は2024-2028年に$112.8 billion伸びると推定される。予測期間中の年平均成長率は3.42%と推定される。 IoTデバイスの採用拡大が市場成長の原動力となっており、持続可能な製造の採用が増加する傾向にある。しかし、半導体業界の需給ギャップが課題となっている。

◇キオクシア、最先端メモリー7月内に量産 三重県で (7月3日付け 日経 電子版 16:42)
→半導体大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)は7月中に四日市工場(三重県四日市市)で最先端メモリーの量産を始める。1つのチップ当たり128ギガ(ギガは10億)バイトのデータを保存できる。生成AI(人工知能)の普及で急増するデータ保存の需要を開拓する。
今回量産を始めるNAND型フラッシュメモリーはデータを記憶する素子を218層に積み重ねたほか、1つの素子に保存できるデータ量を増やした。

◇日本製の半導体装置、販売15%増 AI需要堅調 今年度見通し (7月5日付け 日経)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)は4日、日本製の半導体装置の2024年度販売が前年度比15%増の4兆2522億円となる見通しだと発表した。1月時点の予想を約2200億円引き上げた。AI(人工知能)普及によってデータセンター向けの半導体増産の恩恵を受ける。

回復の目安として注目のSamsungの業績発表である。

◇サムスン、4〜6月営業利益16倍 生成AI需要で半導体好調 (7月5日付け 日経 電子版 09:21)
→韓国サムスン電子が5日発表した2024年4〜6月期の全社営業利益は前年同期比16倍の10兆4000億ウォン(約1兆2100億円)だった。生成AI(人工知能)向け需要が伸びて半導体メモリー市況が全般的に好調となり、2四半期連続で前年同期を上回った。
売上高は23%増の74兆ウォンだった。24年1〜3月に約2年ぶりに増収増益に転じ、2四半期連続で前年実績を上回った。

投資計画、今回はSK Hynixについて以下の通りである。

◇South Korea's SK Hynix to invest $75 billion by 2028 in AI, chips (6月29日付け Reuters)

◇SK Group to secure 80 tln won by 2026 for AI, chip investments (6月30日付け Yonhap News Agency)
→韓国のchip-to-constructionコングロマリットであるSKグループは日曜30日、主に人工知能(AI)と半導体への投資のため、2026年までに80兆ウォン($58 billion)を確保すると発表した。
SKグループの主要系列会社の最高経営責任者約20人が、金曜日から土曜日にかけてソウル南東58キロの利川にある研究所に集まり、将来の成長に向けた投資計画を練ったと、SKグループは声明の中で述べた。

◇SK to invest $58 bil. in AI, chips by 2026―SK Hynix to invest $75B in chips business by 2028 (7月1日付け The Korea Times (Seoul))
→SK Hynixは2028年までに$74.6 billionを投資し、AIを中心としたチップ事業を強化する計画。SKグループのchairman、Chey Tae-won氏が、AmazonおよびIntelを含むグローバルテック大手のleadersと会談、AI半導体での協力拡大について話し合った。

◇SK、半導体投資に12兆円 (7月2日付け 日経)
→韓国SKハイニックスは2028年までの5年間で半導体事業に総額103兆ウォン(約12兆円)を投じると発表した。生成AI(人工知能)向け半導体市場が拡大するなか、さらなる需要獲得に向け高性能品の開発に注力する。

最後に、米国国内製造強化の関連として、以下の通りである。

◇Micron Says New US Fabs Will Be Online in 2026 and 2028―Micron expects memory fabs in Idaho, N.Y. to be operational by 2028 ―The company is in the process of building new facilities in Idaho and New York. (6月28日付け ExtremeTech)
→マイクロン社は、米国国内における2つの新工場の生産開始日を発表した。同社はすでにアイダホ州とニューヨーク州に新たなメモリ工場を建設することを発表しているが、最近のPC市場の低迷のため、以前はその状況は未定であった。市場が回復したと思われる現在、マイクロンによると、これらの拠点は2026年と2028年に稼動する予定だという。

CHIPS and Science Actによる支援資金の配分も残りわずか、以下の動きが見られている。

◇Rogue Valley Microdevices to Receive CHIPS Act Funds to Support the Construction of New Foundry (7月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、米国商務省とRogue Valley Microdevices社(RVM)が、CHIPS and Science Actに基づき最大$6.7 millionの直接資金を提供するための拘束力のない予備的覚書(PMT)に署名したと発表した。提案されているCHIPS投資は、Palm Bay, Florida(フロリダ州パームベイ)にあるRVMの純粋なマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)およびセンサーファウンドリー拠点の建設を支援するもので、RVMの製造能力をほぼ3倍に引き上げると見積もられている。

◇Rogue Valley Microdevices to receive CHIPS support for new foundry―US proposes funds for Rogue Valley Microdevices' foundry (7月2日付け New Electronics (UK))
→1)米国商務省とRogue Valley Microdevices(RVM:ローグバレー・マイクロデバイス社)は、CHIPS and Science Actの下で提案された最大$6.7mの直接資金を提供するための拘束力のない予備的条件覚書(PMT)に署名した。
 2)米国はローグバレー・マイクロデバイス社に対し、フロリダ州での新しいMEMSファウンドリー建設を支援するための投資を提案している。この施設は、防衛および生物医学産業で使用されるMEMSデバイスの国内サプライチェーンを強化することを目的としており、資金はCHIPSおよび科学法から拠出される。

◇Biden Awards $504 Million to Tech Investment Hubs Across US―12 US regional tech hubs receive $504M for chips, AI (7月2日付け BNN Bloomberg (Canada))
→バイデン政権は、半導体製造、AIおよびクリーンエネルギーの研究を強化するため、12の地域技術ハブに$504 millionを授与する。
CHIPS and Science Act and Inflation Reduction Actによるこの資金援助は、ニューヨーク、フロリダおよびネバダなど、従来の技術センター以外の地域を対象としており、大学やカレッジとの提携を特徴としている。

◇Colleges Are Featured In 12 Tech Hubs Awarded $504 Million From Feds (7月2日付け Forbes)

本格回復待ちの市場&市況気分について、引き続き注目である。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月1日(月)

中国の国内外、敏感な動きが見られている。

◇中国「反スパイ」地方に浸透 改正法1年、スマホ・PCまで検査 国益を盾に摘発強化 (日経)
→中国は1日、スパイ行為を摘発する改正反スパイ法の施行1年にあわせて法執行の手続きを記す規定の運用を始める。国家安全当局にスマートフォンなど電子機器の検査権限を与える。習近平(シー・ジンピン)指導部は国家安全保障を重視しており、地方にも反スパイ徹底の動きが浸透する。

□7月2日(火)

4日の独立記念日の休日を挟んで、比較的小幅な上げ下げ、雇用統計の需給緩和から上げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発50ドル高 仏政治への懸念後退も金利高重荷 (日経 電子版 06:09)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比50ドル66セント(0.12%)高の3万9169ドル52セントで終えた。フランス政治に対する過度な警戒が和らぎ、同国の株式相場が上昇。米株にも買いが波及した。一時300ドルあまり上昇したが、米長期金利の上昇(債券価格の下落)が重荷となり、次第に伸び悩んだ。

◇台湾周辺に中国軍、米議長訪台以来の水準 頼政権を威嚇 (日経 電子版 16:26)
→中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が5月に発足した台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)政権への軍事的威嚇を強めている。中国と台湾の暗黙の休戦ラインとされる中間線を越えた中国の軍用機は6月に延べ175機となった。2022年8月以来の高い水準だ。

□7月3日(水)

◇S&P500が初の5500突破、ハイテク株主導 NYダウ続伸 (日経 電子版 06:29)
→2日の米株式市場でS&P500種株価指数は続伸して前日比0.6%高の5509.01で引け、初めて5500の大台に乗せた。四半期の販売台数を発表したテスラが大幅高となり、他のハイテク株にも買いが波及した。ダウ工業株30種平均も続伸し前日比162ドル33セント高の3万9331ドル85セントで終えた。

□7月4日(木)

◇NYダウ反落23ドル安、祝日前で薄商い SP500は続伸 (日経 電子版 08:09)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに小反落し、前日比23ドル85セント(0.06%)安の3万9308ドル00セントで終えた。4日の独立記念日の祝日を前に主力株の一部に利益確定や持ち高調整の売りが出た。同日発表の米経済指標が米景気の減速を示し、利下げ期待や米長期金利の低下は相場を下支えした。
独立記念日の前日で米株式市場は午後1時までの短縮取引だった。市場参加者が少なく、薄商いのなか、ディフェンシブ株や景気敏感株の一部に持ち高調整の売りが出た。

□7月5日(金)

米国が休日の間に、英国では労働党新政権が誕生、EUとの関係修復が図られようとしている。

◇英国14年ぶり政権交代へ 総選挙で労働党圧勝、BBC予測 (日経 電子版 06:04)
→英議会下院(定数650議席)の総選挙は4日投開票され、最大野党・労働党が圧勝する見通しになった。与党・保守党から14年ぶりの政権交代となる。5日にも労働党の新政権が発足し、スターマー(Keir Starmer)党首が首相に就く。
英BBCが出口調査に基づく予測を伝えた。

◇英スターマー新政権、対EU修復へ 貿易・安保協定狙う (日経 電子版 13:15)
→英国で14年ぶりに労働党政権が誕生する。外交政策の柱に離脱で傷んだ欧州連合(EU)との関係修復を掲げる。再加盟は否定しつつ、貿易や安全保障で新たな協定をめざす。2020年の離脱の「失敗」は保守党の歴史的大敗の一因となった。

□7月6日(土)

◇NYダウ反発、67ドル高 雇用統計が労働需給の緩和示す (日経 電子版 06:13)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前営業日比67ドル87セント(0.17%)高の3万9375ドル87セントで終えた。朝発表の6月の米雇用統計は労働需給が総じて緩和していることを示し、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が高まった。米長期金利の低下も株式相場にとって追い風となった。


≪市場実態PickUp≫

【Samsung関連】

Samsung Electronicsの労働組合のゼネストが、7月8日から3日間予定される中、4−6月四半期の業績発表が行われている。生成AI需要で好調な業績内容の一方、先端のHBMメモリでの収益確保が問われている模様である。

◇Samsung Electronics union in South Korea declares strike (7月1日付け The Korea Herald)
→韓国のサムスン電子の労働組合は月曜1日、給与と休暇の改善要求が満たされるまでゼネラル・ストライキを開始すると発表、この国で最も強力なコングロマリットに対して、先月の1日限りのウォークアウトよりも大きなダメージを与える行動を警告している。
全国サムスン電子労組は、約2万8000人の組合員で同社の従業員の5分の1以上を占めており、7月8日にストライキを開始する予定で、業績連動型賞与制度の改善や年次休暇の延長などの約束を同社に求めている。

◇(LEAD) Unionized workers at Samsung Electronics say to stage 3-day full-scale strike (7月1日付け Yonhap News Agency)
→サムスン電子の労働組合は月曜1日、賃金と労働条件をめぐる経営陣との交渉が決裂したため、3日間のゼネストを実施すると発表した。全国サムスン電子労組(NSEU)は28,000人の組合員を擁する最大の労働組合であり、来週月曜日から3日間ストライキを行うと宣言した。

◇サムスン、4〜6月営業利益16倍 生成AI需要で半導体好調 (日経 電子版 09:21)
→韓国サムスン電子が5日発表した2024年4〜6月期の全社営業利益は前年同期比16倍の10兆4000億ウォン(約1兆2100億円)だった。生成AI(人工知能)向け需要が伸びて半導体メモリー市況が全般的に好調となり、2四半期連続で前年同期を上回った。
売上高は23%増の74兆ウォンだった。24年1〜3月に約2年ぶりに増収増益に転じ、2四半期連続で前年実績を上回った。

◇サムスン、「棚ぼた」の半導体回復 AI向け先端品浮上せず (日経 電子版 12:10)
→韓国サムスン電子が5日発表した2024年4〜6月期連結決算は2四半期連続の増益となった。市況回復を受け半導体事業が好転したものの、生成AI(人工知能)向け先端品では収益確保に苦しむ。状況打破へエンジニア採用を拡大するなど開発力の強化を急ぐ。


【EUの公正取引対応】

欧州連合(EU)が、メタおよび中国の電気自動車(EV)に対して、そしてフランスがNvidiaに対して、公正取引に向けたそれぞれの動きである。

◇メタもデジタル市場法違反 EU見解、広告手法を問題視 (7月2日付け 日経 電子版 03:03)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は1日、米メタが巨大IT企業を規制するデジタル市場法(DMA)に違反しているとの暫定的な見解を示した。動画共有アプリのインスタグラムやフェイスブックでの広告モデルを問題視した。

◇NVIDIA、フランス競争当局が告発へ AI分野で反競争疑い (7月2日付け 日経 電子版 10:43)
→フランス競争当局が米半導体大手エヌビディアを反競争行為の疑いで告発する見込みであることが分かった。人工知能(AI)向けの半導体で独占的なシェアを持つ同社が、急成長する生成AI分野で不当に他社との競争をゆがめている状態にあると判断したもようだ。ロイター通信が1日、関係者の話として報じた。

◇Nvidia facing anti-competitive heat in France (7月2日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Reutersの報道によると、Nvidia Corpはフランスの規制当局から反競争的行為の疑いで告発される見通しである。
この告発は、フランス当局が2023年9月27日にフランスのクールベボワ(Courbevoie)にあるエヌビディアの本社オフィスを家宅捜索してから約9ヵ月後に行われる。フランスのAutorite de la concurrenceの役員は、"グラフィックカード分野で反競争的慣行を実施した疑いのある企業の敷地内に夜明けの家宅捜索を実施した"。

◇EU、中国EVに追加関税 きょうから (7月5日付け 日経)
→欧州連合(EU)欧州委員会は4日、中国から輸入される電気自動車(EV)に対し、5日から暫定的に追加関税の適用を始めると発表した。現行の10%に最大37.6%を上乗せする。中国政府から不当な補助金を受けて安値攻勢を仕掛ける中国製EVが「欧州の自動車メーカーに経済的な損害を与える脅威となっている」とみなした。
加盟国による投票を経て4カ月以内に最終決定する。中国政府との対話は続けるが、米中に加えてEUと中国の通商対立も激化する恐れが強まっている。


【3D NANDフラッシュの展開】

現在は218層の1Tビットとされているが、メモリーセルの積層数が1000層を超えるNANDフラッシュメモリーはいつになるか。Kioxiaより、2027年までにとのあらわし方である。

◇Massive SSD density boost is on the horizon thanks to Kioxia's 1,000-layer NAND plan―Kioxia aims for 1,000-layer 3D NAND flash by 2027 (6月30日付け TechSpot)
→Kioxiaは2027年までに1000層の3D NANDフラッシュを実現し、SSDの密度を大幅に高めたいと考えている。信号ノイズの管理やNANDセルを縮小する必要性など、技術的な課題は残っている。


【AIアプローチ&論調】

各社のAI(人工知能)関連の取り組み、そして技術的評論の論調から、以下の通りである。Computex Taipei 2024の余韻がいくつか含まれている。

◇Arm Flexes Its Big Guns For Next-Generation AI Devices―Arm unveils AI-focused CPU, GPU upgrades (6月28日付け Forbes)
→ArmはComputex 2024で、中央演算処理装置(CPU)とグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)のIPの大幅なアップデートを発表し、AIの進化を強調した。ArmはTCS(Total Compute Solution)プラットフォームから、より統合されたCCS(Code Composer Studio)プラットフォームへと移行し、効率と性能の向上を目指している。

◇Chinese smartphone maker Honor says AI’s power is ‘worthless’ without data privacy (6月28日付け CNBC)
→*人工知能(AI)の変革力は、ユーザーデータが保護されない限り価値がない、と中国のスマートフォン企業、HonorのCEO、George Zhao(ジョージ・ザオ)氏は独占インタビューでCNBCに語った。
 *同氏のコメントは、アップルが今月、パーソナライズされたAIツールを米国内の特定のデバイスで今秋から展開すると発表したことを受けてのものだ。
 *「我々は、ユーザーデータは(デバイスから)離れないと言っている。」とZhao氏。「これは私たちが守っている原則である。」

◇AI era marks progress to ‘token’ (6月30日付け Taipei Times)
→今月上旬に開催されたComputex Taipei 2024が引き起こした熱狂は、人工知能(AI)時代の到来を誰もがはっきりと感じさせている。賑やかな展示会が終わった今、私たちが考えるべきことは次のようなことだ: AI時代の最大の変化は何だろうか?

◇パソコンに宿る「私だけのAI」 台北見本市でみた未来 (7月1日付け 日経 電子版 02:00)
→人工知能(AI)を使いやすくする技術を活用した「AIパソコン」の販売競争が今夏にも始まる気配だ。台湾の華碩電脳(エイスース)や米HPなど主要メーカーが相次いで製品投入を表明。データ処理が個人仕様になるところに革新性があり、低迷するパソコン市場のカンフル剤になるとの期待が高まっている。

◇東大発のイライザ、AIモデル日本語特化 「性能スコア、海外勢上回る」 (7月3日付け 日経)
→生成AI(人工知能)スタートアップのELYZA(イライザ、東京・文京)は、日本語の性能に特化した最新の大規模言語モデル(LLM)を開発したと発表した。米オープンAIの「GPT―4」を上回る性能といい、推論能力に優れる。文章の抽出や要約などに活用でき、外部企業に技術提供する。
イライザは2018年にAI研究で著名な東京大学・松尾豊教授の研究室から発足した。4月にKDDIの傘下に入ったことで知られる。

◇Addressing AI While Keeping the MIPSiness In MIPS―MIPS is evolving with a careful eye on its strengths. (7月5日付け EE Times)
→MIPSは現在、アプリケーションに特化したデータムーブメントコアでAIアプリケーションをターゲットにしており、自社の強みを慎重に見極めながら進化している。「MIPSはある選択を迫られた。というのは、我々のRISC-Vの競合他社の多くも、公に、あるいは公でなく、AIに大きく舵を切っている。」と、EE Timesの取材に対しMIPSのCEOであるSameer Wasson氏。「私たちが選択したのは、他社がうまく解決できていない問題に目を向け、私たちがよりうまくできることとマッチさせることであった。」


【新興半導体圏関連】

インド、ベトナム、タイ、そしてサウジアラビア & UAEでの半導体関連の動きについて、以下に示す。

◇Creating a Center of Excellence for IC Design―OPINION (6月28日付け EE Times)
→世界的な半導体設計の専門能力不足に対処するため、Faraday, Cadence, およびSynopsysはベトナムにデザインセンターを開設している。

◇Meet The 15 Semiconductor Startups Powering India’s Technological Prowess―Who's who in India's burgeoning semiconductor ecosystem (6月28日付け Inc42 (India))
→*半導体エコシステムの成長に対するインドの姿勢は、1976年に当時のインド内閣がパンジャブ(Punjab)州Mohaliに半導体研究所を設立することに同意したことに遡る。
 *2021年、インド政府は、シリコン半導体ファブ、ディスプレイファブ、センサーファブ、および半導体パッケージングと設計に携わる企業へのインセンティブ支援を提供するため、76,000インドルピーを割り当て、セミコン・インディア・プログラムを認可した。
 *この記事では、差し迫った半導体ブームの強力な基礎を築いて、来るべき時代に記憶される可能性を秘めた企業をいくつかまとめてみた。

◇Saudi Arabia, UAE Bet on Semiconductor Chips to Power Post-Oil Future―Saudi Arabia, UAE intensify race for chip and AI supremacy (7月1日付け Bloomberg)
→$4 trillion以上の資産を管理する中東の富裕層ファンドは、半導体とAI技術に投資している。サウジアラビアはファブレス・チップ企業の育成を目的とした「ナショナル・セミコンダクター・ハブ」を立ち上げ、UAEはAIの野望の一環として高度な半導体製造に注力している。

◇India gains ground in smartphone exports, boosted by iPhone manufacturers (7月1日付け DIGITIMES)
→インドは、スマートフォン生産の重要な拠点として確立しようとするiPhoneメーカーの取り組みに後押しされ、スマートフォン輸出において中国やベトナムとの差を縮めている。

◇タイ、生成AIの国産化急ぐ 米大手「支配」に危機感(ASIATECH) (7月3日付け 日経)
→タイで生成AI(人工知能)の国産化プロジェクトが進んでいる。英語を基にした開発が主流のなか、タイ語に特化したAIの普及を目指す。ローカル言語対応のAIは米IT大手も開発に注力する。開発力で圧倒的に遅れながらもタイが国産化を急ぐ背景には、米大手に市場を「支配」されることへの危機感がある。

◇Foxconn gets licence to invest $551 mln more in Vietnam, media reports―Sources: Foxconn secures $551M investment license in Vietnam (7月4日付け Reuters)
→Foxconn Singaporeは、ベトナム北部のQuang Ninh(クアンニン)省でスマートエンターテインメント製品とスマートシステム機器を生産する2つのプロジェクトに$551 millionを投資するライセンスを取得した、と国営メディアが報じた。
Foxconnは、世界最大の電子機器受託製造・組立業者であるが、コメントの要請にはすぐに応じなかった。同社はすでにベトナムで大規模な事業を行っている。


【注目2件】

インテルとマイクロンが当初取り組んだ新規メモリ、3D XPointは、インテルが製品化していたが、フェーズアウトすると、次の通りである。

◇Intel schedules the end of its 200-series Optane memory DIMMs ‐ shipments to draw to an end in late 2025―Intel to phase out 200-series Optane memory DIMMs by end of next year ―3D XPoint memory is disappearing over the horizon. (7月2日付け Tom's Hardware)
→インテルは、3DXPointベースの製品を徐々に廃止している。Optaneブランドのソリッド・ステート・ドライブ(SSDs)の大半はすでに製造中止となっているが、まだ顧客に出荷されているOptane製品もあり、しばらくは市場に残る。同社は先週、サーバー向けOptane Persistent Memory 200シリーズ・モジュールの生産終了計画を発表したが、顧客は2025年までそれらを入手することができる。

台湾の上場企業の中で最高というMediaTekでの年間平均報酬額である。

◇MediaTek employees earn highest average compensation in 2023: TWSE (7月2日付け Taipei Times)
→台湾証券取引所(TWSE)が昨日発表した報告書によると、メディアテック(聯發科)は、台湾の上場企業の中で非管理職正社員の年間平均報酬額が最も高かった。
メディアテックの非管理職従業員の昨年の平均報酬総額は375万4,000台湾ドル($115,384)で、これには通常の給与や月給、時間外手当、およびボーナス、手当そして利益分配などの不定期収入が含まれる。

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