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鈍い半導体売上げ回復の中、一層強まるAI(人工知能)傾斜の市場空気

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)の月次世界半導体販売高データでは、この4月についてやっと前月比1.1%増と、昨年12月以来4ヶ月ぶりのプラスになったが、Omdiaのデータでもこの1−3月四半期の半導体市場は前四半期比約2%減の見方である。例年の季節的パターンではあるが、昨年の半導体販売高の落ち込みを埋めて余りある回復が期待されている中では回復がなお鈍い感じ方がある。在庫がまだ消化できていない状況が伝えられる一方、Nvidiaの株式時価総額が世界首位とAI(人工知能)に一層傾斜する市場の空気が強まる現時点の様相である。AI製品需要が引っ張るデータ処理部門は前四半期比プラスで他のマイナスを埋めたというOmdiaの見方である。

≪全体回復待ちの中のAI牽引≫

米国・SIAの4月販売高、そしてOmdiaの1−3月四半期販売高が、次の通りである。

◇世界半導体販売1.1%増、4カ月ぶりプラス 在庫調整進む、4月 (6月18日付け 日経)
→米国半導体工業会(SIA)が発表した4月の世界半導体販売額は、前月比1・1%増の$46.43 billionだった。前月比でのプラスは2023年12月以来4カ月ぶり。在庫調整が進み、販売が一段と回復しつつある。

◇Omdia Research Finds Weak Demand Leads to Declining Quarter for Semiconductor Market (6月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdiaの新しいCompetitive Landscaping Toolによると、2024年第一四半期の半導体市場は約2%減、$151.5 billionに落ち込む。例年、第一四半期は、季節需要に牽引された好調な第四四半期の後、市場が4.4%減収と下降する。
この四半期、半導体市場内のほとんどのセグメントが減少に直面している。これらのセグメントの落ち込みは、エヌビディアのチップやその他のAI関連製品に対する継続的な高い需要に牽引され、四半期ベースで3.7%増となったデータ処理部門の成長によって相殺された。

関連する現下の動き&データを見ていくと、AI需要が引っ張って台湾での半導体生産額は過去最高を更新する見方となっている。

◇Taiwan's semiconductor sector output forecast to hit high, driven by AI (6月13日付け Focus Taiwan)
→台湾政府支援の工業技術研究院(ITRI)によると、台湾の半導体セクターの生産額は、人工知能開発による世界的な需要増により、2024年には前年比17%以上増となり、過去最高を更新する見込み。

開発者会議(WWDC)を終えたばかり、AIの取り組みを発表したAppleについて、以下いろいろ波紋が続いている。

◇Apple’s push into AI could reinvigorate iPhone sales (6月15日付け Taipei Times)
→月曜10日に開催されたアップルの開発者会議は、ChatGPTを含む最新の人工知能(AI)技術を自社のソフトウェアに注入すること以上のものだった。それはまた、より多くのiPhoneを売るためでもあった。
低迷する個人消費と復活を遂げつつある技術系ライバルに直面しているアップルは、10億人以上の顧客からなる忠実なファン層を活性化させ、最も売れている製品の売上減少を逆転させる方法としてAIに注目している。

◇アップル、生成AI勢力図に一石 チャットGPT搭載、オープンAIはMSとも蜜月 (6月16日付け 日経ヴェリタス)
→米アップルが10日に発表した新たな生成AI(人工知能)戦略が、市場の注目を集めている。発表直後に株価は下落したものの、翌日から続伸して13日には時価総額(終値ベース)で世界首位を奪還した。事前に予想されていた米オープンAIとの連携は限定的だったが、テクノロジー業界の合従連衡に一石を投じる可能性がある。

◇Apple suspends work on next high-end headset, to focus on cheaper model, the Information reports (6月18日付け Reuters)
→アップルのVision Pro用の主要部品を製造しているメーカーの従業員を引き合いに出して、アップルが、次期ハイエンドVisionの開発を一時中断したと、『Information』紙が火曜18日に報じた。

NANDフラッシュのKioxiaは、スマホなど市況改善を見据えて、減産を解除している。

◇キオクシア、減産を解除 スマホなど半導体市況改善 新たに融資枠2100億円 (6月17日付け 日経)
→半導体大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が1年8カ月ぶりに減産を解除したことが16日分かった。銀行団が6月期限の5400億円の融資借り換えに応じ、新たに2100億円のコミットメントライン(融資枠)を設定する。
長期記憶に使うNAND型フラッシュメモリーを手掛ける四日市工場(三重県四日市市)と北上工場(岩手県北上市)の製造ラインの稼働率を6月に100%に戻した。

AR/VRヘッドセットは、前年比大きな落ち込みが見られるが、Appleの動きもあり、今後に注目である。

◇The Outlook for AR/VR Headsets Is Expected to Improve as Mixed Reality and Extended Reality Gains Acceptance, According to IDC (IDC)
→International Data Corporation (IDC) Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Trackerの新しいデータによると、2024年第1四半期(1Q24)のAR/VRヘッドセットの世界出荷台数は前年同期比67.4%減少した。市場が複合現実(MR)や拡張現実(ER)といった新しいカテゴリーを含むように移行する中で、出荷台数の減少は予想されていた。減少にもかかわらず、Appleが市場に参入し、Metaなどの既存企業がQuest 3などのプレミアムヘッドセットに注力したため、平均販売価格(ASP)は1000ドル以上に上昇した。

数量は減少したが、売上高は伸びた第一四半期のDRAMである。

◇DRAM Q1 units fall, ASPs rise―DRAM market sees Q1 shipment dip, but revenue growth from higher prices (6月18日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce社によると、第1四半期のDRAM売上高は、販売数量の減少にもかかわらず、契約ASPの増加により前四半期比5.1%増の$18.35 billionとなった。

在庫を抱えるなどあって、すぐには価格は上がらないのでは、とNANDおよびDRAMについてTrendForceの見方である。

◇NAND and DRAM prices dropping in spot market, continuing downward trend―TrendForce: Excess DRAM, NAND inventory keep spot prices down ―Memory is getting cheaper, but mainly for small companies that use the spot market. (6月19日付け Tom's Hardware)
→TrendForceの最新レポートによると、DRAMとNANDフラッシュメモリ共にスポット価格は、2つの理由からすぐに上昇する可能性は低いという。第一に、市場には多くの在庫がある。第二に、中国政府による再生DRAMsの密輸に対する最近の措置が、DRAM価格にさらなる影響を与えている。

シリコンウェーハメーカーからも、鈍い持ち直しの見方である。

◇GlobalWafers expects slower growth (6月19日付け Taipei Times)
→世界第3位のシリコンウエハーサプライヤーであるGlobalWafers Co.(環球晶圓)が昨日、顧客の在庫調整とスマートフォン、自動車および産業機器向けチップ需要の不振により、今年の売上高はかなり遅いペースでの増加となるだろう、としている旨。

本年の半導体販売高は増加するものの、年間販売高の最高を更新するのは来年になるとの見方があらわされている。

◇Semiconductor Revenues on the Rise (6月19日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→ビジネスおよび技術情報を提供する電子材料アドバイザリー会社、TECHCETは、2024年の半導体総売上高が12%近く増加し、$610Bに達すると予測している。この予測は、2024年の売上高が2021年を$40B以上下回るという事実によって、盛り上がりに水を差されている。しかし、将来を展望すると、2025年は27%増となり、これまでの売上高記録を塗り替える大躍進の年になると予測されている。2025年の成長率上昇の主な指標は、市場の過去の循環的な歴史である。

電気自動車(EV)市場も、中国の影響があって複雑な見え方、Wolfspeedのドイツでの半導体工場建設が延期されている。

◇Wolfspeed plant delayed as EU's chipmaking plans flounder―Wolfspeed pumps brakes on German fab facility (6月20日付け Yahoo/Reuters)
→ドイツのSaarland(ザールラント)州に半導体工場を建設するWolfspeedの$3 billionの計画は、EVメーカーの需要低迷により延期された。着工は当初の予定から2年後の来年半ばになる見込み。

◇Wolfspeed delays German fab plan―Wolfspeed has put back its $3 billion fab building plan in Saarland, Germany, reports Reuters. (6月20日付け Electronics Weekly (UK))

シリコンウェーハ市場も、すぐにはスッキリといかない様相があらわされている。

◇Silicon Wafers High Growth Now Uncertain (6月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TECHCETは以前、2024年のシリコンウェーハの増加率を6%と予測していたが、現在では成長へのハードルが見えてきている。
「過去9ヶ月間、チップメーカーが保有していたシリコンウェーハの過剰在庫は、皆を驚かせている。」と、TECHCETのCEO/社長、Lita Shon-Roy氏。

半導体市場の回復模様には引き続きの注視を要するところである。

そんな中、急拡大のAI需要を圧倒的に引っ張って、株式時価総額が火曜18日に世界首位となったNvidiaについて、業界各紙それぞれの取り上げ&表し方が以下の通りである。

◇Nvidia passes Microsoft in market cap to become most valuable public company―Nvidia had a valuable day (6月18日付け CNBC)
→1)人生はかなり速い。エヌビディアの時価総額は約$3.33 trillionとなり、マイクロソフトを上回った。ほんの数年前まで多くの人が聞いたこともなかった会社が、今や世界で最も価値のある会社になっているのは驚きだ。
 2)*2022年末から9倍以上に上昇したエヌビディアは、マイクロソフトを抜き、世界で最も価値のある公開企業となった。
  *このチップメーカーは6月上旬に時価総額$3 trillionの大台を突破し、マイクロソフトとアップルの仲間入りを果たした。
  *エヌビディアは、近年の人工知能(AI)ブームの主な受益者である。

◇Nvidia inches past Microsoft to become world's most valuable company (6月19日付け FierceElectronics)
→*人工知能(AI)を強力に引っ張る同社の時価総額が$3.34 trillionを突破
 *[写真]San Jose McEnery Convention Centerで開催されたGTCで、トランスフォーマー・ニューラル・ネットワーク・アーキテクチャーを紹介した画期的な論文「Attention Is All You Need」の著者によるAIパネルが行われたTransforming AIセッションで講演するNvidiaのCEO、Jensen Huang氏。

◇AI fever drives Nvidia’s rise to world’s most valuable company―Nvidia passes Microsoft, Apple as most valuable company (6月19日付け MSN/Reuters)
→エヌビディアはマイクロソフトとアップルを抜き、時価総額$3.34 trillionの世界で最も価値のある企業になった。この快挙は、同社のAIチップに対する需要の高さに後押しされたもので、同社の株価は今年170%上昇した。同社の市場価値は今年、わずか96日間で$2 trillionから$3 trillionに拡大した。

◇NVIDIA時価総額、世界首位526兆円 GAFAから主役交代 (6月19日付け 日経 電子版 05:50)
→米半導体エヌビディアの時価総額が18日、米マイクロソフトを抜いて世界首位となった。生成AI(人工知能)の登場により、スマートフォンの革新を主導したアップルやグーグルなどの米巨大企業から、株式市場の盟主の座はAI時代の新たな基盤企業へと移る。

◇Nvidia’s Ascent to Most Valuable Company Has Echoes of Dot-Com Boom (6月20日付け THE WALL STREET JOURNAL)
→*Nvidiaは、20年前にJohn Chambers氏率いるシスコシステムズがそうであったように、マイクロソフトを抜いてトップの座についた。同氏は、今の状況は違うと言う。
 *エヌビディアは、人工知能(AI)チップの需要により、火曜18日に世界で最も価値のある上場企業となり、今世紀初頭の記憶を呼び起こすような技術ブームを牽引した。
  エヌビディアのチップはAIブームの主力製品であり、洗練されたAIシステムの構築に不可欠なツールである。

◇Nvidia Corp becomes world’s most valuable company (6月20日付け Taipei Times)
→エヌビディアの絶え間ない上昇により、該半導体大手の時価総額はmega-capの同業他社を追い抜き、人工知能(AI)アプリケーションの人気が急上昇する中、世界で最も価値のある企業の座を獲得した。

◇投資先、スマホからAIに エヌビディア時価総額首位 インフラ構築の流れ乗る 日本勢も巻き返しの好機 (6月20日付け 日経)
→米半導体エヌビディアの時価総額が18日、米マイクロソフトを抜いて世界首位に躍り出た。米株式市場で最も高く評価される企業は常に時代を象徴する。主役はスマートフォンを中心とするネットサービスから人工知能(AI)へと移行した。AIが必要とする半導体の供給網にのっかる日本企業が新たな産業トレンドをつかみ、巻き返しの好機にできるかが問われる。

以上のように、ままならない要因があって鈍い回復の見え方の市況の中、AI需要が引っ張っている現状を受け止めている。いろいろ波乱要因を孕んだ市場環境の推移に、引き続き注目していくところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□6月14日(金)

米中の狭間にあって両岸の平和と繁栄を願う台湾の頼総統である。

◇Prosperous Taiwan can bring progress in China: Lai―‘SAFER TAIWAN’: The president told ‘Time’ magazine that the new government under his administration ‘is willing to assist China and advance peace and prosperity’ (Taipei Times)
→台湾の繁栄は中国の発展をもたらし、台北は台湾海峡両岸の平和と繁栄を望んでいる、と鮴隅総統は、昨日発行されたタイム誌の独占インタビューで、総統就任後初めて語った。
台湾は、安定し繁栄する中国を望んでおり、それは地域の平和と安定の維持に役立つからである。

□6月16日(日)

対照的な米国および中国における投資資金の状況である。

◇How the US Mopped Up a Third of Global Capital Flows Since Covid―US draws a third of global investment since pandemic (Bloomberg)
→1)*海外投資家に振り回される脱ドルシナリオ
  *重要なのは政策が転換し、ダイナミックな動きが変わるかどうか
 2)国際通貨基金(IMF)の分析によると、米国はパンデミック以降、世界全体の投資額の3分の1近くを占めるようになった。米国の金利上昇が大きな魅力となり、政府の優遇措置が海外からの直接投資に拍車をかけている。

◇干上がる中国ベンチャーマネー 生態系、海外にシフト Market Beat (日経 電子版 17:00)
→中国のベンチャー市場で投資資金が急減している。米金利高による新興投資の低調という世界の流れに加え、米中経済のデカップリング(分断)や不動産不況という固有の要因が危機を深める。かつての勢いは陰り、投資家や起業家は日本など海外に流出し始めた。

□6月18日(火)

水曜が休日で4日の取引、年内利下げの観測などから結果的には4日連続の上げとなった今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、188ドル高 ナスダックは連日の最高値 (日経 電子版 06:42)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前週末比188ドル94セント(0.48%)高の3万8778ドル10セントで終えた。ハイテク株や消費関連株に買いが入り、ダウ平均を下支えした。半面、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ時期を巡る不透明感が重荷となり、ダウ平均は下落する場面があった。

□6月19日(水)

◇NYダウ続伸、56ドル高 利下げ期待が支えも上値重く (日経 電子版 06:03)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比56ドル76セント(0.14%)高の3万8834ドル86セントで終えた。18日発表の米小売指標が消費の減速を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じやすくなるとの見方が広がった。もっとも、景気が市場の想定以上に悪化するとの懸念もあり、米株相場の上値は重かった。

□6月21日(金)

◇NYダウ、299ドル高で3日続伸 ナスダックは8日ぶり反落 (日経 電子版 06:09)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前営業日の18日に比べ299ドル90セント(0.77%)高の3万9134ドル76セントと約1カ月ぶりの高値で終えた。相場上昇に出遅れ感のあった銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を押し上げた。米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに転じるとの観測も株式相場を支えた。ダウ平均は400ドル近く上昇する場面があった。

我が国の骨太の方針、次世代半導体支援が前面にあらわされている。

◇iDeCo(個人型確定拠出年金)上げ、次世代半導体支援 一目でわかる骨太の方針経済 (日経 電子版 17:48)
→政府は21日、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。所得の向上に向け賃上げ6カ年計画を盛ったほか、成長産業の育成の目玉として半導体の支援策をまとめた。手つかずの改革も残されている。イラストを使いながらポイントを解説する。・・・・・

□6月22日(土)

Nvidiaの株価の下げインパクトが、取りざたされている

◇NYダウ、15ドル高で4日続伸 出遅れ銘柄の買いが支え (日経 電子版 06:08)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4日続伸し、前日比15ドル57セント(0.03%)高の3万9150ドル33セントで終えた。相対的に出遅れ感のある銘柄に買いが入り、ダウ平均を支えた。ダウ平均の構成銘柄ではないがエヌビディアが下げ、株式相場の重荷となった。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

angstrom(オングストローム)プロセスノードに向けて、Intel 3プロセスの量産が以下の通り行われている。

◇Intel 3 Represents an Intel Foundry Milestone―Intel's latest process node acts as a precursor to the company's angstrom process nodes: Intel 20A and Intel 18A. (6月18日付け EE Times)
→ハワイで開催された2024 IEEE Symposium on VLSI Technology & Circuitsにおいて、Intelは、CEO Pat Gelsinger氏のIDM 2.0製造戦略の下で約束された4年間で5つのノードのうちの3番目となるIntel 3半導体プロセスノードの詳細を発表した。Intel 3は、Intel 16マチュアプロセスノードに続く最初のアドバンストプロセスノードであり、Intelのオングストロームプロセスノード、インテル20Aとインテル18Aの先駆けとして、Intelファウンドリー戦略における大きな一歩となる。

◇Intel 3 in high volume production―Intel progresses 5N4Y plan with Intel 3 process (6月19日付け Electronics Weekly (UK))
→1)インテルは、アイルランドのLeixlipキャンパス(County Kildare)で3nmプロセスの量産を開始し、Xeon 6プロセッサーと顧客向けファウンドリーウェーハを生産していると発表した。
 2)インテルは、同じ消費電力で最大18%の性能向上を実現し、インテル4と比較して10%の高密度化を実現するインテル3プロセスの量産を開始した。このプロセスには、3Dスタッキング用のインテル3-T、外部インターフェイス用のインテル3-E、およびさまざまな機能強化を組み合わせたインテル3-PTなどの特殊なバリエーションがある。この成果は、インテルの「4年で5ノード」計画の一部である。

Intel Foundryへの新たな参加、そしてIntel ChinaのM&Aである。

◇QuickLogic joins Intel Foundry―QuickLogic, Intel Foundry collaborate on advanced eFPGA solutions (6月18日付け Electronics Weekly (UK))
→組み込みFPGA(eFPGA)ハードIP、高耐久FPGAsおよびエンドポイントAIソリューションの開発企業であるクイックロジックは、インテル・ファウンドリーのアクセラレーターIPおよびUSMAG(US Military/Aerospace/Government)アライアンスに参加した。

◇Intel’s China arm acquires minority stake in telecoms subsidiary of Apple supplier Luxshare (6月18日付け South China Morning Post)
→Intel Chinaは、データ通信と無線ネットワーク向けの5G製品を製造するDongguan(東莞) Luxshare Technologyの株式3%を取得した。


【TSMC関連】

この先何年かかるか、大きな長方形基板での半導体実装がTSMCにおいて検討されている模様、インテルおよびSamsungも試しているとのこと。

◇TSMC explores using 510x515 mm rectangular silicon wafers ‐ tripling the usable area of current 300mm diameter tech―TSMC develops larger rectangular substrates for chips―Changeover would cost a lot up-front and may be years away. (6月20日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、510x515mmの長方形基板を使用した新しいチップパッケージング方法を模索していると報じられており、これは「現在の300mmウェハーの使用可能面積を3倍にする」可能性があるとAnton Shilov(アントン・シロフ)氏(1990年代からPC業界、Freelance News Writer)は書いている。この方法は、先進的なマルチチップレット・プロセッサの生産効率を高めることを目的としているが、新しい装置と大幅な生産変更が必要となる。開発は初期段階にあり、商業化には5年から10年かかるかもしれない。

◇TSMC explores radical new chip packaging approach to feed AI boom―Rectangular substrates to unlock more power are also being tested by Intel and Samsung (6月20日付け Nikkei Asia)
→TSMCは、世界最大のチップ・メーカーの同社がAIに牽引されるコンピューティング・パワーの需要に追いつこうと競争する中、高度なチップ・パッキングの新手法を模索している。
TSMCは装置や材料のサプライヤーと新方式に取り組んでおり、この件に直接詳しい複数の関係者が日経アジアに語ったところによると、商業化には数年かかる可能性があるという。


【米中摩擦関連】

これも米中の狭間にある香港における半導体投資のアプローチがあらわされている。

◇Hong Kong Is Chiming in on China-US Tech Competition (6月17日付け The Diplomat)
→香港の半導体とテクノロジーへの投資は、米国の規制の隙間を利用しながら中国の目的に沿うという意図的な戦略を浮き彫りにしている。

米国の半導体関連対中国規制強化の動きが、以下の通り様々続いている。

◇US Lawmakers Look to Bar Chips Act Winners From Using Chinese Tools―Bill aims to keep Chinese-made tools out of chip factories getting CHIPS Act funds (6月18日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国の議員たちは、連邦政府のチップ製造資金を獲得した企業が、政府の支援する工場で中国製の機器を使用することを阻止したいと考えており、国内チップ生産への北京の影響力を制限する努力の一環である。

◇US seeks allies’ help in curbing China’s AI memory chip progress (6月19日付け The Edge Malaysia)
→アメリカの高官が日本とオランダを訪問し、人工知能(AI)に必要なハイエンド・メモリー・チップの製造能力を含め、中国の半導体部門に新たな制限を加えるよう両国に対して要請する予定。

◇US wants Netherlands, Japan to further restrict chipmaking equipment to China (6月20日付け Reuters)
→中国の最先端半導体生産能力をさらに制限するよう同盟国に促すため、米国政府高官がオランダ政府との会談後に日本に向かっている、とこの件に詳しい2人がReutersに語った。
米国の輸出政策責任者であるAlan Estevez氏は、2023年に3国間で結ばれた、軍事近代化に役立つチップ製造装置を中国から締め出すという合意を拡大する試みの一環として、今週両国を訪問している。

◇US pushes to further limit equipment sales to China (6月20日付け Taipei Times)
→米国政府高官がオランダ政府と会談した後、日本に向かい、中国の最先端半導体生産能力をさらに制限するよう同盟国に働きかけようとしている、と本件に通じる関係者が火曜18日にロイターに語った。

◇US to target ChangXin Memory in next chip curb―Eleven Chinese chip foundries are likely to be banned from buying equipment from Japan and the Netherlands (6月20日付け Asia Times)
→米国は、中国がゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスターや高帯域幅メモリー(HBM)チップを製造する高度なチップ技術にアクセスするのを阻止する取り組みを強化している。
メディアの報道によると、ワシントンの潜在的な抑制の主なターゲットの1つは、合肥(Hefei)を拠点とするChangXin Memory Technologies Inc(CXMT)で、コンピューターサーバーやスマートビークルに使用されるDRAMを生産している。CXMTの主な競争相手には、サムスン電子、SKハイニックスおよびマイクロンが含まれる。


【中国半導体関連】

直近四半期のファウンドリー・ランキングで、SMICがGlobalFoundriesおよびUMCを抑えて、3位に浮上している。

◇China’s SMIC Beats GlobalFoundries & Becomes World’s 3rd Biggest Contract Chipmaker (6月13日付け wccftech)
→調査会社TrendForceのデータによると、中国最大のチップメーカーであるセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)が、世界の受託チップメーカーランキングで3位に急浮上した。

◇SMIC becomes No.3 foundry―SMIC overtakes GlobalFoundries and UMC on foundry list (6月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)TrendForceによると、2024年第一四半期のファウンドリー上位10社の売上高は$29.2 billion、前四半期比4.3%減であった。
 2)ファウンドリー市場では、SMICがGlobalFoundriesとUMCを抜いて第3位に浮上した、とTrendForceは報告している。SMICの第1四半期の売上高は$1.75 billionで、四半期ベースで4.3%増、市場シェアは5.7%となっている。TSMCは売上高$18.85 billion、市場シェア61.7%で首位を維持した。

半導体自給自足に向かう中国を引っ張る支柱としてのHuaweiの台頭が、以下の通りである。

◇ファーウェイ、折り畳みスマホ初の首位 1〜3月出荷サムスン抜く (6月19日付け 日経)
→香港の調査会社カウンターポイントがまとめた2024年1〜3月期の折り畳みスマートフォンの世界出荷台数で、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のシェアが前年同期比21ポイント高い35%となり初の首位だった。中国で2023年秋以降に発売した高速通信規格「5G」相当の性能の機種がけん引した。

◇Tech war: Huawei wields growing influence in China’s server industry with AI chip success (6月19日付け South China Morning Post)
→ファーウェイは、北京のハイテク自給率向上策の下でますます重要な役割を担っており、同社のAIチップを搭載したサーバーの国内需要が急増している。

◇Huawei says it has made huge strides, from operating systems to AI―Huawei touts rapid progress in operating systems and AI (6月21日付け Reuters)
→ファーウェイ・テクノロジーズは、9億台以上のデバイスにHarmonyOSを搭載し、operating systems(OSs)とAIの分野で大きく前進したと述べ、ファーウェイのコンシューマー・ビジネス・グループのRichard Yu(リチャード・ユー)会長によれば、欧米のカウンターパートが30年かかったことを10年で達成したと主張している。該Ascend AIインフラは、Nvidiaに次ぐ人気だ、とYu氏は主張する。


【インド関連】

設計に加えて製造にこれから本格的に取り組むインドにおいて、以下様々な動きが見られている。セミコン展示会が9月に初開催の運びである。

◇Canon eyes growing semiconductor opportunities in India―Canon expands in India, including its semiconductor business (6月12日付け DIGITIMES)
→公式プレスリリースによると、キヤノンは6月7日にムンバイ(Mumbai)で開催された戦略会議において、インドにおける中核事業の強化計画を発表した。
これらの中核事業には、イメージング、印刷、および監視が含まれる。同社はまた、半導体分野でのプレゼンスを拡大する意向を示し、2035年までにアジアをキヤノンのトップセールス地域にするためにインドが後押しすると付け加えた。

◇India attracts chipmaking equipment companies as China alternative―Tokyo Electron, Disco, Applied Materials, KLA to attend New Delhi Semicon (6月14日付け NIKKEI Asia)
→北京と欧米の緊張が高まる中、中国に代わる有望な選択肢としてインドが浮上、チップ製造装置産業がインドに拠点を設ける動きを見せている。国際的なチップ業界団体であるSEMIは、9月に初めてインドでセミコン展示会をニューデリー近郊で開催する。同展示会はこれまで米国、日本、欧州、台湾、韓国、中国および東南アジアで開催されている。

◇India US agree to step up cooperation on semiconductors, critical minerals (6月18日付け Lokmat Times)
→インドと米国は、精密誘導弾の半導体設計と製造を共同開発する戦略的パートナーシップを開始した。

◇India-US Boost Cooperation on Semiconductors and Critical Minerals (6月18日付け Silicon India)
→インドと米国は、サプライチェーン、半導体および重要鉱物などの分野における協力と関与を強化することを決定した。この合意は、ニューデリーで開催されたインドのAjit Doval(アジット・ドバル)国家安全保障顧問と同氏の米国のcounterpart、国家安全保障問題担当大統領補佐官、Jake Sullivan(ジェイク・サリバン)氏が主導する「India-US Initiative on Critical and Emerging Technology(iCET:重要・新興技術に関する印米イニシアティブ)」の会合でなされた。


【AI(人工知能)関連】

米国カリフォルニア州でのAI透明性法である。

◇CA AI Transparency Act approved by Assembly Committee (6月19日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Josh Becker(ジョシュ・ベッカー)上院議員(民主党、Menlo Park選出)が提出した消費者保護とプライバシー権に関する法案、The California Artificial Intelligence Transparency Act (CAITA:カリフォルニア人工知能[AI]透明性法):SB942が、下院委員会で承認された。

OpenAIから袂を分かれたイリヤ・サツキバー(Ilya Sutskever)氏が、新会社設立を表明している。

◇OpenAI co-founder Ilya Sutskever launches new AI company (6月20日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Safe Superintelligence Inc.はパロアルトとテルアビブにオフィスを構える。

◇OpenAI元幹部サツキバー氏、「安全なAI」開発へ新会社 (6月20日付け 日経 電子版 09:33)
→米新興企業オープンAI元幹部のイリヤ・サツキバー(Ilya Sutskever)氏は19日、人間の知能を超える安全な人工知能(AI)を開発するための新会社を設立すると表明した。サツキバー氏はオープンAIで開発を率いたが、5月に同社を退社していた。新会社では短期的な利益を追わず、安全性を高める研究を優先する。

アップルが生成AIを年内はEUで提供しない方針、巨大ITを取り締まる欧州デジタル市場法のためとしており、AIおよび巨大ITにはまたも立ち塞がる壁である。

◇Apple生成AI、年内はEUで提供せず デジタル新法理由に (6月22日付け 日経 電子版 05:58)
→米アップルが2024年内は欧州で新たな生成AI(人工知能)サービスを提供しない方針を固めたことが21日、分かった。欧州連合(EU)の巨大IT企業の独占などを取り締まるデジタル市場法(DMA)が理由だとしている。米メタも14日に生成AIの欧州導入を見合わせると発表しており、欧州の厳しい規制が各社のAI戦略に影響が出始めた。

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