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世界半導体販売高、本年初前月比増;Nvidia主導、Computex AI熱気

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この4月について$46.4 billionで前年同月比15.8%増、そして前月比は1.1%と今年に入って初めての増加である。今年の半導体販売高の伸長予測が16.0%と同時にあらわされ、これは史上最高更新の販売高となって、今後の本格的な増勢の読みが込められている。半導体市場全体では回復待ちの状況のなか、Nvidiaが大きく引っ張るAI(人工知能)半導体の熱気旋風は、Computex 2024(6月4−7日:台北)にて引き続き吹き荒れている。
Nvidiaを追うインテル、AMDなど各社のプレゼンが行われているが、AIの及ぼすインパクトに米国政府の独占禁止法に向けた動きも見られている。

≪4月の世界半導体販売高;Computex 2024≫

米国・SIAの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○4月のグローバル半導体販売高が、前年同月比15.8%増;新しい業界予測、2024年16.0%の市場成長見通し―4月の世界半導体販売高は、前月比1.1%増、2024年初の前月比増 …6月6日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年4月のグローバル半導体販売高が$46.4 billionで、前年同月、2023年4月の$40.1 billionに対して15.8%増、前月、2024年3月の$45.9 billionより1.1%増、と発表した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新たにリリースされたWSTS業界予測は、年間グローバル販売高が2024年に16.0%増および2025年に12.5%増と見通している。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「グローバル半導体業界は、2024年の各月に前年比ベースで二桁の販売高増加を記録し、4月の世界販売高は今年初めて前月比ベースで増加して、今年の半ばに近づくにつれ、市場の勢いが前向きであることを示している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「さらに、最新の業界予測では、2024年の年間成長率は、今年25%以上の成長が見込まれるthe Americas市場向けの販売に牽引され、力強いものになると予測されている。」

地域別では、4月の販売高前年同月比で、Americas (32.4%), China (23.4%), およびAsia Pacific/All Other (11.1%)と増加したが、Europe (-7.0%)およびJapan (-7.8%)では減少した。前月比では、Americas (4.2%), Japan (2.4%), およびChina (0.2%)と増加したが、Asia Pacific/All Other (-0.5%)およびEurope (-0.8%)では減少した。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2023
Mar 2024
Apr 2024
前年同月比
前月比
========
Americas
9.54
12.13
12.64
32.4
4.2
Europe
4.57
4.28
4.25
-7.0
-0.8
Japan
3.89
3.50
3.59
-7.8
2.4
China
11.48
14.14
14.17
23.4
0.2
Asia Pacific/All Other
10.61
11.85
11.79
11.1
-0.5
$40.10 B
$45.91 B
$46.43 B
15.8 %
1.1 %

--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
12.78
12.64
-1.1
Europe
4.37
4.25
-2.7
Japan
3.68
3.59
-2.6
China
14.54
14.17
-2.6
Asia Pacific/All Other
12.26
11.79
-3.9
$47.64 B
$46.43 B
-2.5 %

--------------------------------------

さらにSIAは本日、WSTSの2024年春季世界半導体販売高予測を支持、2024年の世界年間販売高は$611.2 billionに伸び、これは業界史上最高の年間販売高となる。2025年の世界販売高は$687.4 billionに達すると予測されている。WSTSは、半導体の動向について正確かつタイムリーな指標を提供する世界の半導体企業の広範なグループからの情報を収集することにより、半期に一度の業界予測を集計している。

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/06/April-2024-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑

今回の発表を受けて業界紙の関連する取り上げである。

◇Tech war: China chip industry event woos fewer exhibitors amid market headwinds, US export restrictions (6月6日付け South China Morning Post)
→SIAによると、2023年の中国のチップ売上高は前年比14%減となり、世界の全市場で最も急減した。

◇Global Semiconductor Sales Increase 15.8% Year-to-Year in April (6月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、今後の推移に注目していくことになる。2月は$46 Billion台に下げたが、反転盛り返しへの期待である。3月も僅かながら下げて、反転待ちである。そして、4月に本年初めての前月比増加、今後の増す勢いへの期待である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %


次に、6月4日から7日まで台北で開催のComputex 2024について、まずは全体的な概観である。

◇Computex 2024: The Battle for AI Copilot PCs Begins―AI copilots dominated discussions at Computex 2024. (6月3日付け EE Times)
→ここ台北で開催されるComputex 2024の開幕に先立ち、プレショーの基調講演では2つの明確な主要テーマが掲げられた。ひとつは、AI copilot PCsが数週間以内に市場に出回るという、いわゆるPCの再生であり、もうひとつは、チップから消費者製品に至るまで、このエコシステム全体における台湾の重要性である。

上は開催前の時点の記事であるが、「AI Copilot PCs」と「台湾の重要性」が主眼に挙げられている。生成AIを使うことに特化したパソコンへの注目である。

本番での概要関連が、以下の通りである。

◇Computex 2024: Pat Gelsinger vs. Jensen Huang―Our thoughts of the first day of Computex 2024. (6月4日付け EE Times)
→台湾の台北で開催されたComputex 2024の公式初日、私はインテルのパット・ゲルシンガーCEOのオープニング基調講演に出席する機会を得た。そして、NvidiaのCEOであるJensen Huang氏とのメディア向けQ&Aセッションに参加した。・・・・・

◇Tech Giants Connecting the Future of AI Innovation Converge at COMPUTEX 2024 (6月4日付け EE Times India)
→COMPUTEXは、ICT業界にとって最大かつ最も重要なコミュニケーション・プラットフォームであり続けている。

◇AIに沸く台湾見本市、大手CEO集結 「陰の主役」はTSMC (6月4日付け 日経 電子版 18:12)
→台湾で4日、アジア最大級のIT(情報技術)見本市「台北国際電脳展(コンピューテックス台北)」が開幕した。半導体の世界大手のトップが集結し、生成AI(人工知能)向け製品をアピールした。各社そろって台湾との連携を訴えるなか、半導体の供給を支える台湾積体電路製造(TSMC)の存在感が際立っている。

◇Computex 2024 Day Two: Lars Reger Talks Edge AI―Lars Reger talks with us about edge AI, the role of Taiwan and startups. (6月5日付け EE Times)
→Computex 2024のこの2日間のラウンドアップで、大規模なAIに焦点が当てられすぎていて、より多くの人々が取り組んでいるであろう小規模なAIについては十分でなかったというフィードバックを受けた。そこで今回は、NXPセミコンダクターズのLars Reger(ラース・レーガー)副社長兼CTOのインタビューをお届けする。Computex2日目の同氏の基調講演の直前に収録されたもの。

◇Computex 2024 Day Three: IoT, Displays and Solid-State Cooling―In our final daily wrap from Computex 2024, we had a chance to chat with Frore Systems founder and CEO Seshu Madhavapeddy. (6月6日付け EE Times)
→よく感じることの1つとして、欧米の企業はPRやマーケティングに重点を置いているためか、私たちの報道はエレクトロニクス業界で世界中で起こっている魅力的なことを見逃してしまうことがある。このComputex 2024の最終ラウンドアップでは、ヨルダンのソーラーパネル清掃用ドローンからインドのインダストリー4.0まで、またスマートな大型透明有機ELディスプレイやAR技術など、ここ数日間台北の展示会で出会った多様な人々について振り返る。

◇Taiwan fabless chipmakers stage impressive presence at Computex 2024 with cutting-edge innovations―Taiwan's fabless chipmakers in the spotlight at Computex (6月7日付け DIGITIMES)
→台湾のファブレス・チップメーカーであるMediaTek、Elan MicroelectronicsおよびRealtek Semiconductorは、Computexの参加者にそれぞれのイノベーションを紹介した。MediaTekは3ナノメーター車載プラットフォームを、Elanは指紋センサーとタッチパッドを、そしてRealtekはUSB4テクノロジーとWi-Fi 7ソリューションを披露した。

さて、AIの熱気関連であるが、Nvidiaが圧倒的に引っ張って、インテルやAMDはじめ追う構図&景観が今回の場でも続いている。6月4日付けのFierceElectronics記事より、次の通りである。
…今週台湾で開催されたComputexでも、GenAIの成長に対応することがシリコン業界全体の関心事であることが示された。AMDのLisa Su氏とNvidiaのJensen Huang氏は、別々に年間チップの計画を発表した。AMDは今年後半にメモリを増設したMI325Xを発表し、2025年にはMI350シリーズを発表する。Nvidiaは、Blackwellを今年、Blackwell Ultraを2025年、GPU-CPUプラットフォームであるRubinを2026年と、1年のリズムで発表した。
またComputexでは、IntelのGelsinger氏がAIの大幅な成長について言及し、1億3,000万Xeonパワーのデータセンターを活用するためのIntelのプッシュの舞台を整えた。144コアのXeon 6 CPUはIntelのストーリーの一部であり、Xeon 5の6ヵ月後に登場する。同氏はまた、Gaudi 3 AIアクセラレータ・チップを市場をリードするNvidia H100sと並べ、トレーニングと推論においてより高速になると述べた。

これら3社について、まず見ていく。Nvidiaについては、事前の非公式イベントから始まって、同社CEO、Jensen Huang氏を巡る熱気に満ちた動き&内容があらわされている。

◇Nvidia announces new AI chips months after latest launch as market competition heats up (6月2日付け CNBC)
→*エヌビディアが次世代AIチップを発表したのは、前モデルの発表からわずか数カ月後のことだった。
 *この素早い転換は、AIチップ市場における競争の熱狂と、トップの座を維持するためのエヌビディアの疾走を浮き彫りにしている。
 *ジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は、新しいAIチップ技術を、以前の2年の時間軸より早く、1年単位で発表することを約束した。

◇Computex: Nvidia plans faster rollout, lists Blackwell partners (6月2日付け FierceElectronics)
→*NvidiaのJensen Huang(ジェンセン・フアン) CEOは、Nvidiaは新しいGPUベースのAIコンピューティングプラットフォームを導入する「1年のリズム」に加速していると述べた。
 *エヌビディアはすでにAIチップの市場を独占しているが、満足はしていない。需要を十分に満たすため、同社はAIチップとAI工場、つまりAIを増強したデータセンターを世に送り出すペースを速めている。

同社の驚異的なAI半導体のシェアがあらわされ、それがもたらす株式時価総額の高騰となっている。

◇Nvidia dominates the AI chip market, but there’s more competition than ever (6月2日付け CNBC)
→*NvidiaのAIアクセラレーターは、人工知能チップの市場シェアの70%から95%を占めている。
 *しかし、新興企業やクラウド企業、他のチップメーカーが開発を強化しているため、これまで以上に競争が激化している。
 *エヌビディアの株価は5月に27%急上昇し、同社の時価総額を$2.7 trillionに押し上げた。

台湾出身のJensen Huang氏、AMDのCEO、Lisa Su氏も同じであるが、盛り上がる所以である。

◇Nvidia on track to become 2nd-most valuable company (6月2日付け Taipei Times)
→台南出身のエヌビディアCEOは本日、COMPUTEX台北の非公式オープニングでスピーチを行う予定だが、人工知能(AI)アプリケーションの採用急増の最大の受益者が、長年ウォール街最大の時価総額を誇るiPhoneメーカーに挑むことで、間もなくアップル社を抜いて世界で2番目に価値のある企業になる可能性がある。

◇Nvidia’s Huang hails new era of AI in speech (6月3日付け Taipei Times)
→チップ製造と人工知能(AI)の分野で世界最大の重鎮が今週、台湾で開催される最高峰の技術展示会「Computex Taipei」に集結する。昨日、Nvidia社のジェンセン・フアンCEOは、イベントに先駆けて行われた講演でロックスター級の歓迎を受けた。
フアンCEOは、国立台湾大学でハイテク業界のリーダーたちを前に、AIの時代が世界中で新たな産業革命を引き起こし、コンピューター産業がリセットを迎えていることを語った。

◇NVIDIAトップ「25、26年に新AI半導体」故郷台湾で講演 (6月3日付け 日経 電子版 00:19)
→米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は2日、台北市内で講演し、2025年と26年に新たなAI半導体の製品群を投入する計画を明らかにした。生成AI(人工知能)があらゆる産業に大きな機会をもたらすとして「新産業革命だ」と語った。同社が世界シェア8割を握るとされるAI半導体の成長性を強調した。

SamsungのHBM半導体には、以下の注文である。

◇Nvidia CEO says Samsung HBM3e not yet ready for AI accelerator certification ― Jensen Huang suggests more engineering work is required―CEO: Nvidia not ready to sign off on Samsung's HBM chips ―Samsung neither confirms nor denies problems with its HBM chips, but Nvidia says more engineering is needed. (6月4日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaのジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は、サムスン電子の広帯域メモリー(HBM)・チップは認証の準備が整っていないと述べ、さらなるエンジニアリング作業が必要だとしている。フアンCEOは、台湾で開催されている技術見本市Computexの期間中、公の場に姿を現し、注目を集めている。

早々、次のGPUのコードネームが発表されている。製品サイクルの短縮前倒しの可能性である。

◇Nvidia lays out road map for next-generation GPUs (6月4日付け Taipei Times)
→Nvidia社のCEO、Jensen Huang氏は、日曜2日に台北で行われた講演で、2026年に発売予定の次世代グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)アーキテクチャ、コードネーム「Rubin」を突然発表した。
RubinのGPUsに合わせて、Nvidiaは2026年に「Vera」と呼ばれる新世代CPUを発表する予定だと、フアン氏は国立台湾大学スポーツセンターで語った。同社は、2027年にRubin Ultraと呼ばれる次期Rubin GPUsの強化版を発表する予定だという。

◇Nvidia tops US$3 trillion in value, leapfrogging past Apple (6月5日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇Like a pop star, Nvidia's CEO Huang stirs up 'Jensanity' in Taiwan (6月5日付け Reuters)
→エヌビディアのCEO、ジェンセン・フアン氏が台湾に到着してから1週間半、彼の一挙手一投足が息をもつかせぬ勢いで追いかけられた。台湾のテレビでは、地元出身の優秀な少年であるホアンCEOの報道が壁一面を覆い尽くし、記者たちは常に彼を追いかけている。テクノロジー見本市「コンピューテックス」では多くの参加者に囲まれ、何千ものソーシャルメディアに投稿された。
放送局は黄が食事をしたレストランを取り上げ、幸運なレストランは好景気に沸いている。一部の台湾人は、彼の空前の人気ぶりを 「Jensanity 」と呼んでいる。

◇Nvidia eyeing more investments, headquarters in Taiwan (6月5日付け Taipei Times)
→人工知能(AI)チップ大手のNvidia Corp.は昨日、台湾の半導体エコシステムとの強い結びつきを考慮し、2つ目のスーパーコンピューター・センターや場合によっては本社を含む、台湾での多くの新規投資に取り組んでいると述べた。

◇Nvidia overtakes Apple as No. 2 most valuable company―Nvidia passes Apple as No. 2 most valuable at over $3T (6月6日付け MSN/Reuters)
→エヌビディアの市場価値はアップルを上回り、該チップメーカーの評価額は3兆ドルの大台を超え、世界で2番目に価値のある企業となった。Nvidiaがアップルを上回ったのは、iPhoneが登場する5年前のこと。

◇NVIDIAなどAI勢が席巻 世界の時価総額増加ランキング (6月6日付け 日経 電子版 11:00)
→世界の株式時価総額が新型コロナウイルス禍の株高で2021年11月につけた最大値に迫ってきた。当時に比べ時価総額を増やした企業を調べると人工知能(AI)関連の増加ぶりが際立つ。米半導体大手エヌビディアは2兆ドル増やし、電気自動車(EV)やフィンテックなどコロナ禍で勢いのあったテック株からの資金シフトが鮮明だ。

◇NVIDIA、時価総額Apple抜き世界2位 3兆ドル超え (6月6日付け 日経 電子版 05:11)
→米エヌビディアの時価総額が5日、3兆ドル(約468兆円)を突破し、米アップルを抜いて米マイクロソフトに続く世界2位となった。3兆ドルの大台に乗るのは史上3社目。生成AI(人工知能)の開発や処理に使う半導体の需要拡大への期待から株価は上場来高値を更新し続けている。

Nvidiaの余韻冷めやらぬ感じ方が否めないが、追いかける中からまずはインテルのプレゼン&動きより、以下の通りである。

◇Computex: Intel set to bring Xeon 6 into data center AI battle (6月4日付け FierceElectronics)
→*Computexで、インテルCEOのPat Gelsinger氏がデータセンターAI市場向けの新Xeon 6プロセッサを手にしてプレゼン。
 *インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)はComputexで、同社はAI時代に向けて顧客のデータセンター近代化を支援する取り組みを強化しており、データセンター向けチップのインストールベースを活用して変化をもたらすと述べた。ゲルシンガー氏はComputexで、AI時代を自身のキャリアと他の多くの人々のキャリアの中で「最も重要なもの」と呼んだ。

◇Intel unveils new AI chips as it seeks to reclaim market share from Nvidia and AMD (6月4日付け CNBC)
→*インテルは火曜4日、台湾で開催中のComputex技術カンファレンスで新しいXeon 6プロセッサを発表した。
 *この発表は、ライバルのNvidiaとAMDが、それぞれ日曜2日と月曜3日に新しい人工知能チップを発表し、急成長している業界での主導権を争う中で行われた。
 *インテルは、メタ、マイクロソフトおよびグーグルといったハイテク大手が可能な限り多くのNvidiaチップを買い占めるというAI熱狂の傍観者であったが、NvidiaとAMDに追いつこうとしている。

◇Intel CEO Fires Back at Nvidia in Battle for AI Chip Leadership―Intel CEO takes aim at rivals with Xeon 6 line of CPUs (6月4日付け BNN Bloomberg (Canada))
→インテルのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)最高経営責任者(CEO)は、データセンター・プロセッサーのXeon 6シリーズを発表し、ライバルのNvidiaとQualcommに対抗する用意があると語った。ゲルシンガーCEOは 「ムーアの法則は健在だ 」と断言している。

◇Fired-up Pat Gelsinger shoots from the lip at Qualcomm and Nvidia (6月4日付け The Register (UK))
→*Intelのボスは、H100sの価格を引き下げ、X Eliteの評価指標を否定しながら、最初の18Aシリコンを来週実行することを明らかにした。
 *インテルCEOのパット・ゲルシンガー氏は、台湾で開催されたCOMPUTEXカンファレンスでの基調講演で、競合のクアルコムとNvidiaに反撃の狼煙を上げ、その主張を言葉以上に裏付けると思われる製品を公開した。

◇Peninsula chipmaker looks to regain data center market share (6月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→インテルはAMDとNvidiaに対抗する勢いを取り戻したいと考えている。

アイルランドの工場の株49%売却による資金調達も発表されている。

◇Gelsinger celebrates AI PC moment at Computex 2024, forecasting Intel's 40th anniversary party in Taiwan next year―Intel CEO touts AI PC prowess, Lunar Lake possibilities (6月4日付け DIGITIMES)
→インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)はComputexで、AI PCsに関連する同社の成功を称え、Lunar Lakeアーキテクチャを強調した。インテルはまた、半導体共同投資プログラムの下、アイルランドのFab 34の49%をプライベート・エクイティ・ファンドのApolloに$11 billionで売却することも発表した。

◇インテル、NVIDIAと対決姿勢 「ムーアの法則健在」 (6月4日付け 日経 電子版 22:27)
→米半導体大手インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は4日、台北市内で講演し、データセンター向けの次世代CPU(中央演算処理装置)などを発表した。「(製品開発の指針としてきた)ムーアの法則は健在だ」と明言し、人工知能(AI)分野で先行する米エヌビディアへの対決姿勢を示した。

◇Intel wants to build ‘everybody’s AI chips,’ CEO says, as company plays catch-up with rivals (6月5日付け CNBC)
→*「我々はみんなのチップ、みんなのAIチップを作りたい。米国の工場を活用して製造したい」とパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は火曜4日、台北で開催されたコンピューテックス・テクノロジー・カンファレンスの傍らでCNBCに語った。
 *インテルは、2017年にサムスンが売上高で上回るまで、世界最大のチップメーカーだった。
 *ゲルシンガーCEOは、「Xeon 6は、市場を維持するだけでなく、失った市場シェアの機会を取り戻すための競争力における大きな前進だった」と、データセンター向けの最新プロセッサーについて語った。

◇Intel sells 49% of Irish Fab 34 to Apollo―Intel has sold 49% of its Fab 34 in Leixlip, Ireland for $11 billion to private equity fund Apollo. (6月5日付け Electronics Weekly (UK))

◇Intel and Naver Bet On Tie-Up to Counter Nvidia’s AI Dominance―Intel, Naver teaming up to take on Nvidia in AI chips (6月5日付け BNN Bloomberg (Canada))
→インテルとNaver(ネイバー)は、エヌビディアのAIチップの優位性に挑戦するために団結した戦線を形成している。両社は、インテルのAIアクセラレーター「Gaudi」とともに、オープンプラットフォームのソフトウェア・エコシステムの拡大に取り組んでいる。

◇Intel’s Gelsinger unveils new chips for AI PCs (6月5日付け Taipei Times)
→米チップ大手インテル社は昨日、ライバルのエヌビディア社、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社(AMD)およびクアルコム社からの強力な挑戦を受けて対抗的な姿勢を示し、人工知能(AI)革命をリードする技術を発表した。
インテルは何十年もの間、ノートパソコンからデータセンターまであらゆるものを動かすチップの市場を支配してきた。しかし近年、競合他社、特にエヌビディアがAI専用プロセッサーで躍進している。
Computex Taipeiの基調講演で、インテルのパット・ゲルシンガーCEOは、サーバー向けの最新Xeon 6プロセッサーを紹介し、AI PC向けの次世代チップ、Lunar Lakeの詳細を語った。

◇インテル、アイルランド現法株49%を売却 1兆7千億円で (6月5日付け 日経 電子版 17:52)
→米インテルは5日、アイルランドにある先端半導体工場を運営する製造会社の株式49%を、米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントに売却すると発表した。売却額は110億ドル(約1兆7200億円)。インテルは世界で半導体工場を建設しており、今回得た資金を他地域での投資に回し財務負担を軽減する。

そして、AMDの今回のプレゼン&動き関連、以下の通りである。

◇AMD unveils Ryzen AI 300 CPUs for Copilot+ laptops―AMD debuts Ryzen AI 300, Ryzen 9000 chips―Ryzen 9000 chips for desktops are also on the way. (6月2日付け Engadget)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、Copilot+ laptops向けのRyzen AI 300とdesktops向けのRyzen 9000チップを発表した。該Ryzen AI 300チップは、AI用に毎秒50テラ演算(TOPS)のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を搭載している。

◇AMD announces new AI chips amid intensifying competition with Nvidia, Intel (6月3日付け CNBC)
→*AMDは月曜3日、台北で開催されたComputex技術カンファレンスで新しいAIチップを発表した。
 *「AIは我々の最優先事項であり、AIが事実上あらゆるビジネスを変革し、我々の生活の質を向上させ、コンピューティング市場のあらゆる部分を再構築する中で、我々は業界にとって信じられないほどエキサイティングな時代の幕開けを迎えている」と、会長兼CEOのリサ・スー氏は月曜3日に台北で語った。
 *Nvidiaは日曜2日、3月に発表されたばかりの前モデル「Blackwell」の後継となる次世代AIチップ「Rubin」を発表した。

◇AMD's Su: AI 'mega-cycle' calls for faster pace of chip rollouts (6月4日付け FierceElectronics)
→新しいAIチップの導入ペースを加速させている半導体大手はNvidiaだけではない。AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)兼社長が今週のComputexで発表したところによると、AMDもまた、およそ2年ごとに新製品を発表していた従来のスケジュールではなく、1年ごとに新型チップを発表する予定とし、本腰を入れている。

◇AMD, TSMC to produce new chips (6月4日付け Taipei Times)
→*強力なパートナーシップ:台湾は半導体エコシステムにとって非常に重要であり、AMDは主要サプライヤとともに台湾で多くの製造を行っている、とLisa Su CEO。
 *アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社(AMD)は昨日、世界最大のファウンドリー・サービス・プロバイダーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC、台積電)の3ナノメートル・プロセス技術を利用して次世代チップを製造するため、同社と協力していると述べた。この発言は、TSMCの3ナノメートル・プロセス技術の供給が制限されていることから、米国を拠点とするチップ企業がサムスン電子の3ナノメートル・プロセス技術の採用を検討するのではないかとの憶測が流れるなかでのことである。

◇AMD、PC向けAI半導体投入 クアルコムに対抗 (6月4日付け 日経)
→米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のリサ・スー最高経営責任者(CEO)は3日、台北市内で講演し、生成AI(人工知能)に最適化したパソコン向けの新型半導体を発表した。同分野でいち早く製品を投入する米クアルコムなどに対抗する。

ComputexでのAIを巡る熱気がうかがえる以上の内容であるが、Nvidiaの席巻はじめ独占禁止法に向けた米国政府の調査の動きが以下の通り伝えられている。

◇DOJ to probe Nvidia over AI antitrust behavior: reports (6月6日付け FierceElectronics)
→*エヌビディアはAIコンピュート用GPU市場の90%以上を供給しており、業界関係者の中には、同社による独占禁止法違反行為に対する司法省の調査は理にかなっていると指摘する向きもいる。
 *The New York TimesとCNBCに語った情報筋によると、米司法省は、爆発的に成長するAI分野におけるエヌビディアの市場行為に焦点を当てた独占禁止法調査をエヌビディアに対して開始する予定だという。

◇U.S. regulators to open antitrust probes into Nvidia, Microsoft and OpenAI―Sources: US to open antitrust probes of AI leaders (6月6日付け CNBC)
→情報筋によると、米国司法省(Justice Department)と米国連邦取引委員会(Federal Trade Commission)は、エヌビディア、マイクロソフトおよびOpenAIがAI業界で果たしている役割について独占禁止法上の調査を進めているという。連邦規制当局は、AI開発の先手を打ちたい意向を示しており、今回の合意は、進歩する技術に対する監視の目を厳しくしている一例である。

◇U.S. Clears Way for Antitrust Inquiries of Nvidia, Microsoft and OpenAI―The Justice Department and the Federal Trade Commission agreed to divide responsibility for investigating three major players in the artificial intelligence industry. (6月6日付け The New York Times)

◇米独禁当局、NVIDIAなどAI企業への調査準備 米報道 (6月6日付け 日経 電子版 15:48)
→米司法省と米連邦取引委員会(FTC)がエヌビディア、マイクロソフト、オープンAIの人工知能(AI)主要3社に対し反トラスト法(独占禁止法)に抵触していないか調査の準備を始めたことが5日、明らかになった。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)などが報じた。新興のAI関連企業が急拡大する中、監視を強める。

引き続き、今後の推移に注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□6月4日(火)

景気減速の懸念から出だしに下げたが、中3日は利下げ期待再燃上げに転じ、最後は雇用統計から利下げ観測が後退して下げる推移の今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落、一時400ドル超安 景気減速懸念が重荷に (日経 電子版 06:10)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比115ドル29セント(0.29%)安の3万8571ドル03セントで終えた。同日発表の米経済指標が米景気の減速を示し、景気敏感株や消費関連株に売りが出た。週内に相次ぐ雇用関連指標の発表を見極めたいと買いを手控える雰囲気も強かった。
ダウ平均は400ドルあまり下げる場面があったが、次第に下げ渋った。

日本政府による半導体量産への法整備に向けた動きである。

◇骨太原案、半導体量産へ法整備 自動運転は25年全国計画 (日経 電子版 17:48)
→政府が6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案が分かった。次世代半導体の量産を後押しするために法整備する方針を盛り込んだ。人工知能(AI)や自動運転に必要な半導体を国内調達できるように財政支援する法律を定める案がある。

□6月5日(水)

インド総選挙後のモディ政権についての見方である。

◇インド、成長持続に試練 モディ与党苦戦で政策不透明に (日経 電子版 02:00)
→インド総選挙でモディ首相が率いるインド人民党(BJP:Bharatiya Janata Party)を中心とする与党連合が事前予想に反して議席を減らす見通しとなった。国内では経済格差や若者の失業問題への批判が根強い。政治が不安定になり政策の実行力が弱まる懸念がある。

◇NYダウ反発140ドル高 労働需給の緩和観測、金利が低下 (日経 電子版 06:22)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比140ドル26セント(0.36%)高の3万8711ドル29セントで終えた。4日発表の雇用指標が労働需給の緩和を示した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が遅れるとの懸念が後退し、主力株に買いが入った。

上記のAIの熱気でも触れたNvidiaの株価高騰である、。

◇Nasdaq Hits Another Record, Lifted by Tech Stocks―Nvidia drives Nasdaq to record high―Nvidia’s market value surpasses the $3 trillion mark (The Wall Street Journal)
→エヌビディアの株価は水曜5日に5.2%急騰し、時価評価額を3兆ドルの大台に乗せた。ナスダック総合株価指数は2%上昇し、新記録を樹立した。S&P500種株価指数も1.2%上昇し、ダウ工業株30種平均は0.2%上昇した。

□6月6日(木)

◇米S&P500指数、2週間ぶり最高値 利下げ期待再燃で (日経 電子版 07:09)
→5日の米株式市場で主要な株価指数が軒並み上昇し、S&P500種株価指数は2週間ぶりに最高値を付けた。米景気の減速で米連邦準備理事会(FRB)が年内に2回以上の利下げを実施するとの見方が盛り返し、株高につながった。人工知能(AI)関連銘柄の業績拡大を見込んだ買いも相場を押し上げた。
S&P500は4日続伸し、前日比1.2%高の5354.03で終えた。5月21日以来の最高値更新となった。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も2%高で5月28日以来の最高値を付けた。ダウ工業株30種平均の終値は96ドル(0.2%)高の3万8807ドルだった。

□6月7日(金)

◇NYダウ3日続伸、78ドル高 利下げ期待もハイテクに売り (日経 電子版 05:20)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比78ドル84セント高の3万8886ドル17セント(速報値)で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が根強く、投資家心理を支えた。半面、前日にハイテクや半導体株を中心に上昇した後で、利益確定の売りが重荷となった。

□6月8日(土)

米国経済の現状が次の通りあらわされている。

◇熱気冷めきらぬ米経済 雇用増20万人の壁、利下げへ難路 (日経 電子版 05:39)
→米国経済は減速方向に向かいつつあるが、そのペースは緩やかだ。米労働省が7日発表した5月の雇用統計では、非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を上回り、景気がなお堅調であることを示した。インフレの鎮静化には時間がかかりそうで、市場の利下げ予想は再び修正を迫られている。

◇NYダウ反落、87ドル安 雇用統計で利下げ観測が後退 (日経 電子版 05:57)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比87ドル18セント(0.22%)安の3万8798ドル99セントで終えた。7日発表の5月の米雇用統計は就業者数の伸びが市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が遅れるとの観測が米株相場の重荷となった。半面、米景気が市場の想定ほど減速していないとの見方は支えとなった。


≪市場実態PickUp≫

【Computex各社の動き】

上記に続いて、QualcommおよびArmについて、以下の通りである。

[Qualcomm]

◇Qualcomm wants to target all ‘all form factors’ with SoCs that power Copilot+ PCs-Qualcomm CEO: Chipmaker wants bigger piece of PC pie―As Arm CEO declares his architecture is now the de facto Windows standard (6月3日付け The Register (UK))
→クアルコムのCEO、クリスチアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏は、現在Copilot+ PCsに搭載されている同社のSnapdragon X EliteおよびX Plusシステムオンチップ(SoCs)は、PC市場への同社の参入の始まりに過ぎないと述べている。同氏は、今後発売されるノートPCsに同社のシリコンを搭載するベンダーが20社近くあることを指摘した。

◇Qualcomm touts chip power savings (6月4日付け Taipei Times)
→*ラップトップを視野に:クアルコムの新しいSnapdragonシステムは、モバイル・チップ以外にも、ライバルの後塵を拝している分野に収益を分散させるための努力の一環である。
 *Qualcomm Inc.の新しいチップを搭載したノートパソコンの所有者は、バッテリー切れを心配することなく、好きなだけコンピュータを使用できるようになると、カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置く同社は昨日述べている。
  クアルコムは、ソフトウェアメーカーの最新かつ最高の人工知能(AI)拡張機能を搭載したMicrosoft Corp.の新種のCopilot+ PCsを支える半導体を提供している。

[Arm]

◇Arm CEO: Apple ‘woke up the industry on the art of the possible’―Arm CEO credits Apple for possibilities of an Arm-based PC―Arm CEO Rene Haas sat down with PCWorld to discuss the monumental efforts needed to make Windows on Arm compelling. (6月3日付け PCWorld)
→ArmのCEO、Rene Haas(レネ・ハース)氏は、このインタビューで、ArmベースのPCsに関してAppleが「可能性の芸術について業界を目覚めさせた」経緯と、AI用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPUs)によるArmの将来について語っている。ArmのCSS for Clientアプローチは、ソフトウェアに最適化されたプラットフォームを提供することで、時間を節約することを目指している、とハース氏は言う。

◇Arm expects 100 billion Arm devices will be ready for AI by end of 2025―Arm aims for 100B devices to be ready for AI next year (6月3日付け Reuters)
→台北で開催されたComputexフォーラムで講演したArm社のCEO、Rene Haas(レネ・ハース)氏によると、アーム社は2025年末までに全世界で1000億台のデバイスをAIに対応させる準備を進めているという。

◇Arm looking for 50% of Windows PC market―Arm aiming for 50% share in Windows PC sector within 5 years, CEO says (6月4日付け Electronics Weekly (UK))
→アームのRenee Haas(レニー・ハース)最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、2029年までにウィンドウズPC市場でアームのシェアが50%に達する可能性があると語った。


【TSMC関連】

技術ロードマップ、事業見通し、と以下に示す。

◇TSMC's 3D Stacked SoIC Packaging Making Quick Progress, Eyeing Ultra-Dense 3μm Pitch In 2027 (5月31日付け Anand Tech)
→TSMCの3D積層system-on-integrated chips(SoIC)先端パッケージング技術は、急速に進化しようとしている。TSMCは先ごろ開催された同社の技術シンポジウムのプレゼンテーションで、A16とN2ダイを組み合わせて積層することで、現在のバンプピッチ9μmから2027年までに3μmピッチまで技術を縮小するロードマップを概説した。

◇TSMC’s New Chairman Affirms Hopes of AI-Fueled 2024 Recovery―TSMC chairman expects AI to drive industry recovery (6月4日付け BNN Bloomberg (Canada))
→火曜4日、久しぶりに会長と最高経営責任者(CEO)を兼任することになった台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)のC.C. Wei氏は、AI開発が2024年の業界回復を牽引するとの期待を再確認した。

◇TSMC says it has discussed moving fabs out of Taiwan but such a move impossible (6月5日付け South China Morning Post)
→*TSMCのC.C.ウェイ会長は、生産能力の80〜90%が台湾にあることから、チップ工場を移転することは不可能だと述べた。
 *TSMCは、生成人工知能(AI)ツールやサービスを提供するためのハイエンド・チップの受注急増に直面している。

◇TSMC optimistic as it rides AI wave (6月5日付け Taipei Times)
→*他の追随を許さず:TSMCの新会長、C.C.Wei氏は、まだ黎明期にある人工知能(AI)への需要の高まりは、技術的リーダーシップを持つ同社に利益をもたらすと述べた。
 *世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCは昨日、人工知能(AI)アプリケーションの普及による恩恵を受け、今後数年間の事業見通しを楽観視していると述べた。

TSMC傘下のVanguardが、NXPとの合弁、シンガポールでの半導体工場の建設である。

◇TSMC系、シンガポールに1.2兆円半導体工場 蘭大手と合弁 (6月6日付け 日経)
→台湾積体電路製造(TSMC)傘下の世界先進積体電路は5日、オランダ半導体大手、NXPセミコンダクターズと合弁でシンガポールに半導体工場を建設すると発表した。総投資額は$7.8 billion(1兆2000億円)で、自動車向けなどに回路線幅40〜130ナノメートルの成熟世代の半導体をつくる。

◇TSMC-backed Vanguard and Dutch firm NXP to build $7.8 billion Singapore wafer plant (6月6日付け CNBC)
→*共同声明によると、Vanguardは合弁会社VisionPower Semiconductor Manufacturing Companyに60%出資し、NXPは40%を保有する。
 *新工場の建設は2024年後半に開始され、ウェハーは2027年に顧客に出荷される予定である。
 *この動きは、2019年のVanguardのシンガポール投資に続くもので、半導体企業がサプライチェーンを多様化させる中での動きとなる。

AI向けが引っ張って、TSMCの売上高が5月としての過去最高を記録している。

◇TSMC、5月売上高が過去最高 AI向けの好調続く (6月7日付け 日経 電子版 16:53)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が7日発表した5月の売上高(速報値)は、前年同月比30.1%増の2296億台湾ドル(約1兆1000億円)だった。生成AI(人工知能)を扱うデータセンターのサーバー向けなどに先端半導体の販売好調が続き、5月としての過去最高を更新した。


【Samsung関連】

創業以来初のストライキ、および半導体パッケージング技術強化に向けた提携強化について、以下の通り。

◇Will strike at Samsung Electronics impact chip production?―Enormous damage looms if production is halted even briefly (6月3日付け The Korea Times)
→サムスン電子の労働組合は、待遇改善を求めて6月7日に1日ストライキを行う予定である。業界の専門家によれば、労働争議が長期化すれば、世界有数のメモリー・チップ企業であるサムスン電子の半導体生産が中断する可能性があるとの懸念が高まっている。

◇「最強サムスン」にストの波、エリート成果主義曲がり角 (6月7日付け 日経 電子版 11:25)
→韓国サムスン電子で7日、創業以来初のストライキが実施された。半導体事業の不振で成果給が出なかった一部社員の不満が噴出した。かつてのサムスンは猛烈社風や成果主義で知られ労働運動とは無縁だった。韓国での存在感の低下や若者の意識の変化もあり、一糸乱れぬエリート集団が曲がり角を迎えている。

◇Samsung Foundry Expands 'Packaging Coalition' with Ten Additional Members (6月6日付け Business Korea)
→サムスン電子は、半導体受託生産で世界トップのファウンドリーであるTSMCのパッケージング技術競争力に追いつくことを目指し、半導体パッケージング技術強化のための提携を強化している。
6月5日、業界関係者によると、サムスン電子ファウンドリーは、2.5および3D MDI(Multi Die Integration)アライアンスのパートナーを、昨年の20社から今年は30社に増やしている。


【ラピダス関連】

融資保証、連携と、以下の通りである。

◇ラピダス、融資得やすく 異例の政府保証案、国は損失リスク (6月2日付け 日経)
→最先端半導体の量産をめざすラピダスへの融資に政府保証をつける案を経済産業省が打ち出した。ラピダスが補助金頼みの状態から脱し、民間資金を得やすくする狙いがあるものの、財務省は国の負担につながるリスクを警戒する。重要産業の振興と財政規律をどう両立させるか、年末に向け議論が本格化する。

◇Rapidus and IBM Expand Collaboration to Chiplet Packaging Technology for 2nm-Generation Semiconductors (6月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→先端ロジック半導体メーカーのラピダスコーポレーションと多国籍テクノロジー企業のIBMは本日、チップレットパッケージの量産技術の確立を目的とした共同開発パートナーシップを発表した。この合意により、ラピダスはIBMから高性能半導体のパッケージング技術の提供を受け、両社はこの分野でのさらなる技術革新を目指して協力することになる。

◇Rapidus and IBM hook up on chiplet packaging―IBM, Rapidus working together on chiplet packaging (6月5日付け Electronics Weekly (UK))
→1)2nm製造プロセスを開発する日本の新興企業ラピダスとIBMが、チップレット・パッケージングの量産技術を確立へ
 2)IBMと日本の新興企業ラピダスは、ラピダスの2ナノメートル製造プロセスのパッケージング技術で協力する。この提携は、日本のNew Energy and Industrial Technology Development Organization(NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構)のチップレット技術開発プロジェクトの一環である。

◇ラピダスと北海道大学が半導体人材育成 2ナノ品評価も (6月5日付け 日経 電子版 16:26)
→最先端半導体の製造を目指すラピダスと北海道大学は5日、人材育成から研究まで幅広い分野で連携すると発表した。ラピダスが大学とこうした包括的な連携協定を結ぶのは初めて。2024年中をめどに、キャンパス内に最先端半導体を評価分析する拠点を設ける。


【国内の動きから】

シャープの堺市の液晶工場について、今後に向けた活用の動き関連である。

◇シャープ堺工場、産業の変遷映す 鉄から液晶経てITに (6月3日付け 日経 電子版 11:00)
→シャープはKDDIなどと連携し、9月に稼働を停止する堺市の液晶パネル工場の建屋をデータセンターにする。現在テレビ向けのパネルを手掛ける工業用地はかつて八幡製鉄(現日本製鉄)などが所有する製鉄所の一部だった。堺市の立地は鉄鋼から液晶パネルを経てIT(情報技術)と、基幹産業の移り変わりを映している。

◇シャープ、堺にKDDIとデータ拠点 NVIDIA先端品調達 (6月3日付け 日経 電子版 02:00)
→シャープはKDDIと人工知能(AI)向けデータセンター運営に乗り出す。秋に稼働を停止する堺市のテレビ向けパネル工場の跡地を利用する。米エヌビディアの次世代の画像処理半導体(GPU)を搭載したサーバーを調達し、生成AIの基盤となる大規模言語モデルの開発・運用拠点として外部に提供する。

◇インテル、シャープの液晶工場で半導体 研究拠点に活用 (6月6日付け 日経 電子版 05:00)
→米インテルと日系14社が、シャープの液晶工場を活用して半導体の生産技術を研究することが分かった。先端半導体の量産を目指すラピダスや三菱電機も既存工場を利用するなど、生産縮小が続く液晶工場が半導体拠点として再活用される動きが広がっている。コストを削減できるほか、液晶メーカー側も役割を失う工場を収益化できる利点がある。

◇ソフトバンクも堺にAIデータ拠点 シャープと本格交渉へ (6月7日付け 日経 電子版 11:25)
→ソフトバンクは7日、シャープが堺市に保有するテレビ向け液晶パネル工場の土地や施設の一部を買い取る独占交渉権を得たと発表した。人工知能(AI)データセンターを構築する方向で協議する。高性能半導体を搭載した計算基盤を整え、生成AIを開発・運用する外部企業などにも貸し出す大型拠点にする方針だ。

◇インテル、シャープ工場で半導体 液晶インフラ・技術の転用広がる ラピダスはエプソンと連携 (6月7日付け 日経)
→米インテルと日系14社が、シャープの液晶工場を活用して半導体の生産技術を研究することが分かった。先端半導体の量産を目指すラピダスや三菱電機も既存工場を利用するなど、生産縮小が続く液晶工場が半導体拠点として再活用される動きが広がっている。コストを削減できるほか、液晶メーカー側も役割を失う工場を収益化できる利点がある。

マイクロンのAIメモリ半導体開発が、橋本技術センターで行われるとのこと。小生は、1990年前後にそこでNECにてメモリ半導体開発に従事、激動の経過を改めて振り返っている。

◇マイクロンCEO「日本、開発・製造のリーダーに」 AIメモリー投資増強 (6月7日付け 日経)
→米マイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は6日、日本経済新聞の取材に応じ「人工知能(AI)向けの次世代半導体メモリーで日本は設計開発と製造の面で世界のリーダーになる」と語った。神奈川県内の開発拠点を拡充する考えを示した。米中対立が焦点となる中、半導体供給網で日本を重要拠点とする。

外国人材受け入れに向けた「半導体ビザ特区」の動きである。

◇熊本県「半導体ビザ特区」に指定 (6月7日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→熊本県は国に申請していた半導体関連の外国人材が国内で就労するのに必要な在留資格審査の迅速化について、国家戦略特区に指定されたと発表した。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の進出で人手不足が顕在化するなか、半導体関連産業に関わる外国人材を受け入れやすくする。


【Elon Musk氏】

NvidiaのGPU半導体購入を巡って、Musk氏についての以下の取り沙汰である。

◇Musk could spend $9B on Blackwell GPUs, as GenAI gold rush pushes chips, data centers skyward (6月3日付け FierceElectronics)
→Elon Musk氏は『X』で、来年の夏までにxAIで使用するために約30万個のNvidia Blackwell GPUを「おそらく」購入すると示唆したばかり。 これは、3万ドルで販売されると予想されるBlackwellの下限価格では、$9 billionの値札に相当する。

◇Musk could spend $9B on Blackwell GPUs, as GenAI gold rush pushes chips, data centers skyward―AI chip demand is fueling a generative AI gold rush (6月3日付け Fierce Electronics)
→大手プレイヤーがデータセンターのニーズに応えるチップを求める中、ジェネレーティブAIがGPU価格を押し上げている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏はXに、30万個のNvidia Blackwell GPUsを購入することに前向きであり、その額は$9 billionに達する可能性があると投稿した。

◇Tesla likely to spend $3 bln-$4 bln on Nvidia hardware this year―Musk: Tesla expects to spend up to $4B on Nvidia hardware in 2024 (6月4日付け Reuters)
→テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は火曜4日、Xへの投稿で、チップ会社エヌビディアのハードウェアの購入に今年$3 billion〜$4 billionを費やすだろうと述べた。
マスクCEOはまた、今年の人工知能関連の資本支出$10 billionのうち、約半分は社内の支出になると述べた。「AIトレーニングのスーパークラスターを構築するために、エヌビディアのハードウェアはコストの約2/3を占める」と彼はXで述べた。

◇マスク氏が「テスラ離れ」か 半導体獲得競争で臆測 (6月5日付け 日経 電子版 06:51)
→米起業家イーロン・マスク氏の「テスラ離れ」への懸念が強まっている。
各企業が確保を急ぐ先端半導体を、同氏が率いる他のハイテク企業に優先的に回すよう動いていると4日に伝わった。これがマスク氏のテスラに対する関心が薄れているとの見方を後押ししている。

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