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台湾、韓国および中国それぞれ、主要プレイヤーの覇権への凌ぎ合い

半導体市場の本格的な立ち上がりが待たれる状況の中、台湾、韓国、そして中国の主要プレイヤーのそれぞれ市場制覇に向けた動きに注目させられている。最先端を引っ張ってリードを拡げたい台湾・TSMCは、1.6-nm半導体生産の2026年までの開始を発表している。販売高ランキング首位奪還を目指す韓国・Samsungは、ここにきて5四半期ぶりの営業黒字、AI向けHBM半導体の供給を本年3倍に高めるとしている。HBM半導体で先行優位に立っている同じく韓国・SK Hynixは、すでにHBMが来年までほぼ完売とし、韓国の新工場への取り組みである。そして、米国の規制下にある中国・Huaweiは、SMIC製の半導体搭載のスマホで、自立化を目指す国家的取り組みを引っ張る動きである。

≪先端リード&シェア確保に向けて≫

TSMCは、4月24日に北米技術シンポジウムを開催、この中で特に1.6-nm半導体生産、A16という最先端の打ち上げが以下の通りである。

◇TSMC aims to produce ultra-advanced 1.6-nm chips by 2026―Taiwan chip titan aims to secure leading position and capture AI demand (4月25日付け Nikkei Asia)
→TSMCは、2026年までに超高性能1.6ナノメートル半導体の生産を開始すると発表した。
TSMCは水曜24日、カリフォルニア州サンタクララで開催された北米技術シンポジウムでA16技術を発表し、1.6ナノメートル半導体製造技術の導入により、"ロジック(半導体)密度と性能を大幅に向上させることができる"と述べた。

◇‘A16’ chipmaking tech to arrive in 2026, TSMC says (4月26日付け Taipei Times)
→TSMCは水曜24日、「A16」と呼ばれる新しい半導体製造技術が2026年後半に生産を開始すると発表した。TSMCは世界最大の先端コンピューティング・チップ受託製造企業で、NvidiaとAppleの主要サプライヤーである。TSMC幹部は、カリフォルニア州サンタクララで開催された会議でこのニュースを発表し、スマートフォン・メーカーよりも人工知能(AI)半導体メーカーがこの技術を最初に採用する可能性が高いと述べた。

◇TSMC’s A16 Process Moves Goalposts in Tech-Leadership Game―TSMC advances process tech with upcoming A16 node (4月29日付け EE Times)
→1)Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、最新のA16半導体製造プロセスを発表し、技術主導のゲームに変化をもたらした。このプロセスは、Intelの18Aノードを飛躍的に上回る可能性があるとアナリストは指摘している。アナリストはまた、EE Timesに対し、どの企業がプロセス技術選手権で優勝するかは不明だとも語っている。
 2)TSMCは、2026年に発表予定の最新のA16半導体製造プロセスで、インテルの18Aノードに挑戦しようとしている。A16は、AIイノベーションのための3D ICと高度なパッケージング技術を備えており、アナリストによれば、TSMCの2ナノメートルプロセスよりも少ない消費電力でより高速を実現するという。

このシンポジウムでは、巨大、大規模な半導体への取り組みがあらわされている。

◇TSMC to build massive chips twice the size of today's largest ― chips will use thousands of watts of power―120x120mm chips with 12 HBM4E stacks in 2027 (4月26日付け Tom's Hardware)
→AMDのInstinct MI300XとNvidiaのB200 GPUsは巨大だと思ったか?もう一度考えてみよう:TSMCは、2倍以上の大きさのシステム・イン・パッケージ(SiP)を可能にするchip-on-wafer-on-substrate(CoWoS)パッケージング技術のバージョンに取り組んでいると、北米技術シンポジウムで発表した。該SiPは120x120mmの巨大パッケージとなり、数キロワットの電力を消費することになる。

◇Tesla's wafer-sized Dojo processor is in production ― 25 chips combined into one―Tesla's Dojo system-on-wafer processor is in production―Wafer-scale processors gain traction. (5月2日付け Tom's Hardware)
→先週のTSMC北米技術シンポジウムであまり注目されなかった小ネタのひとつは、テスラのAIトレーニング用Dojoシステム・オン・ウェーハ・プロセッサが量産体制に入り、間もなく配備される予定であるという発表だった。同イベントでは、この巨大プロセッサーの詳細が明らかにされた。
テスラのDojoシステム・オン・ウェーハ・プロセッサー(またはテスラが「Dojo Training Tile」と呼ぶもの)は、キャリア・ウェーハ上に配置され、TSMCのウェーハスケール相互接続用集積ファンアウト(InFO)技術(InFO_SoW)を使用して相互接続された、known goodプロセッサー・チップ(レチクル・サイズまたはそれに近いサイズ)の5×5のアレイに依存している。

2-nmの競合の景観がアップデートされている。

◇The shoot-out at 2nm―2nm competition is heating up (4月28日付け Electronics Weekly (UK))
→1)TSMCは先週の技術シンポジウムで、GAAトランジスタを使用するN2プロセスの量産を今年中に開始し、GAAとバックサイド・パワー・デリバリー(BSD)の両方を使用するN2Pプロセスの量産を2026年に開始すると発表した。
 2)TSMC、インテルおよびサムスン電子は、2ナノメートル・プロセスのさまざまな生産段階にある。TSMCは今年N2の生産を立ち上げ、N2Pが2026年に計画されている。インテルの18Aは2025年の生産開始を予定しており、そしてサムスンは日本のAIスタートアップ(Preferred Networks)と2nmプロセスのファウンドリー契約を結んでいる。

改めて同社の臨むスタンスがあらわされている。

◇TSMC lays out roadmap for massive, kilowatt-class chip packages and terabit optical links―The company's solutions could use up to a whopping 120x120mm substrate in 2027 (4月29日付け TechSpot)
→世界を主導する半導体ファウンドリーであるTSMCは、その地位に安住しているわけではない。最近開催された北米顧客向けシンポジウムで、同社は半導体パッケージングと最先端の光相互接続技術の両方に関する野心的なロードマップを発表した。これらの進歩は、今後数年間でコンピュート性能の潮流を解き放つ可能性がある。

巻き返しを図るSamsungについて、1-3月四半期の久方ぶりの黒字化はじめ現下の動きが以下の通りである。

◇Samsung enhances ties with ZEISS in chip production tech―Samsung partners with Zeiss on memory chip production (4月28日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、メモリー半導体の歩留まりと性能を向上させるため、Zeiss Group(ツァイス・グループ)と半導体製造技術で協力している。ツァイスは極端紫外線(EUV)技術に関する数千の特許を有しており、ASMLのEUVリソグラフィ装置における光学システムの唯一のサプライヤーである。

◇Samsung Electronics’ operating profit jumps 933% in first quarter, beats expectations (4月29日付け CNBC)
→*世界最大のメモリー半導体メーカーであるサムスン電子は、3月締め第1四半期の営業利益が932.8%急増したと発表した。
 *Citi(シティ)のアナリストは4月5日、AIコンピューティングの需要からサムスンのNANDフラッシュメモリー事業が上向くと見ていると述べ、同社の「買い」レーティングを繰り返した。
 *韓国の巨大エレクトロニクス企業は、コビッド後の(post-Covid)需要低迷から業界が巻き返す中、2023年に記録的な損失を計上した。

◇Samsung says AI to drive technology demand in second half after strong Q1―Samsung marks solid Q1, expects AI demand to persist (4月30日付け Reuters)
→1)*メモリーチップの売上高は前年比約2倍
  *営業利益は2022年第3四半期以来最高
  *2024年にHBM供給量を3倍に増やす計画
 2)サムスン電子は、第1四半期の営業利益が10倍に増加したことを受けて、AIに対する旺盛な需要が今後も続くと予測している。同社は、8層HBM3Eを含むジェネレーティブAI向けの広帯域メモリー(HBM)半導体の供給を増やす計画だ。

◇サムスン半導体部門が営業黒字;1〜3月、5四半期ぶり (4月30日付け 日経 電子版 09:27)
→韓国サムスン電子が30日発表した2024年1〜3月期の事業別業績で、半導体部門の営業損益は1兆9100億ウォン(約2100億円)の黒字(前年同期は4兆5800億ウォンの赤字)だった。同部門の黒字は5四半期ぶり。大手各社の減産や、生成AI(人工知能)用向けの需要の増加で、半導体価格が上昇している。

SK Hynixに先行されたAIメモリへの取り組み、ここでも巻き返しである。

◇Samsung vows to triple AI memory chip supply in 2024 (5月1日付け The Korea Times)
→Samsung Electronicsは、AIメモリー半導体として単に知られている高帯域幅メモリー(HBM)半導体の供給量を今年、2023年比で3倍以上に増やし、generative AIサービスの高騰する需要に対応する、と同社は火曜30日、明らかにした。
そのため、Samsungは今月から、8個のDRAMメモリチップを重ね合わせるHBM3Eと呼ばれる第5世代HBM半導体の生産を開始、第2四半期内に12層のHBM3Eを量産する計画である。

◇サムスン、先端半導体量産;AI向け「HBM」巻き返し;米韓3社が投資競争 (5月1日付け 日経)
→生成AI(人工知能)の駆動に欠かせない先端半導体メモリーの投資競争が過熱している。サムスン電子は30日、最先端品の量産を他社に先駆け進めると発表した。米マイクロン・テクノロジーも2025年から広島工場(広島県東広島市)で次世代品の量産を始める。先行する韓国SKハイニックスを追い上げ、AI特需の取り込みを図る。


さて、そのSK Hynixは、AI向けHBM半導体が来年までほぼ完売とし、韓国の新工場に取り組むとして、以下の通りである。

◇SK Hynix Boosting HBM Output with $14.6 Billion Investment―The company recently announced an advanced-packaging project in the U.S. for HBM. (4月30日付け EE Times)
→AI半導体の性能を高速化する広帯域メモリー(HBM)の世界的な大手メーカーであるSKハイニックスは、韓国の新工場に20兆ウォン($14.6 billion)以上を投資する計画。
同社は4月24日に発表したプレス声明で、急増する需要に対応し、市場でのリーダーシップを強化するため、2025年11月までに該拠点の建設を完了することを目指していると述べた。忠清北道清州市(Cheongju, North Chungcheong Province)にあるM15Xと名付けられたこの新工場は、次世代DRAMとHBMの生産能力を拡大する。

◇Nvidia supplier SK Hynix says HBM chips almost sold out for 2025―SK Hynix nearly sold out of HBM chips for 2025 (5月2日付け Reuters)
→SKハイニックスは、AI需要で同社の広帯域メモリ(HBM)半導体の売上げが好調で、来年の生産能力はほぼ完売したと報告している。同社は今月中に12層HBM3Eをサンプル出荷し、第3四半期に量産を開始する予定。

◇SK hynix reports explosive sales for AI chips―Korean memory chip maker to produce 12-layer HBM3E in Q3 (5月2日付け The Korea Times (Seoul))
→SK hynixが、AI半導体であるhigh bandwidth memory(HBM)半導体の今年生産分をすべて完売、来年の生産能力もほぼ完売となり、AI半導体でのリーダーシップを固めつつある、とKwak Noh-jun(クァク・ノジョン)最高経営責任者(CEO)が木曜2日明らかにした。

◇SK hynix to mass-produce industry-leading 12H HBM for AI chip leadership: CEO (5月2日付け Yonhap News Agency)
→韓国の半導体メーカー、SKハイニックスのKwak Noh-jung(クァク・ノジョン)最高経営責任者(CEO)は木曜2日、需要が急増する人工知能(AI)メモリー市場での主導権を確固たるものにするため、第3四半期に12層の最新型高帯域幅メモリー(HBM)半導体を量産する計画を明らかにした。


米国の輸出規制を受ける中国、Huaweiのスマホ搭載半導体の先端度に集まる注目である。SMICの7-nm技術での製造が改めて確認されているが、自国内完結の取り組みの推移に注目である。

◇Huawei reportedly keeps getting advanced chips, even as the U.S. tries to tighten the screws on China’s semiconductor industry (4月26日付け Fortune)
→1)ファーウェイはまたしてもテック界を驚かせた。昨年、中国の該巨大企業は、中国の半導体産業を打ちのめすことを意図した米国の輸出規制にもかかわらず、高度なプロセッサを搭載したMate 60 Proスマートフォンで観測筋に衝撃を与えた。当時、専門家たちは、ファーウェイとそのサプライヤーが高度な半導体を大規模に製造するのに苦労するだろうから、このスマートフォンは一過性のものになるかもしれないと感じていた。
 2)ファーウェイは、SMIC製のKirin 9010プロセッサを搭載したPura 70スマートフォンで、米国の輸出規制に立ち向かった。

◇Huawei’s Pura 70 smartphone contains new 7-nm HiSilicon chip made by top Chinese foundry SMIC, report says (4月28日付け South China Morning Post
→*TechInsightsによると、Pura 70のシステムオンチップ(SoC)は、SMICが7nm N+2ノードを使用して製造したKirin 9010プロセッサーであることが確認された。
 *この新しい携帯電話は、ファーウェイが代替半導体に向けて地元のパートナーに目を向けたことで、サプライチェーンにおけるさらなるボトルネックを解決できたことを示すものだ。

◇Huawei’s Pivotal Role in the US-China Tech War, from 5G to Chips―Huawei bouncing back from US containment efforts with wider ambitions (4月29日付け BNN Bloomberg (Canada))
→トランプ政権が2019年、スパイ行為への懸念からファーウェイ・テクノロジーズ社をブラックリストに載せたとき、この動きは中国企業の世界的なスマートフォン事業をほぼ一掃した。しかし、同社は中国政府の支援を受けて立ち直り、今では西側からの技術的独立を達成するための国家的努力の中心となっている。

最先端および市場シェアの今後について、やはり目が離せない台湾、韓国および中国のこれら主要プレイヤーである。


コロナ「5類」移行とはいえ、依然用心怠りなくの現状と思われ、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□4月29日(月)

ドイツのGDPの伸び低迷である。

◇ドイツ2024年成長率、日本下回りG7最低;産業空洞化の影 (日経 電子版 00:00)
→欧州最大の経済大国ドイツで景気回復の遅れが目立っている。ドイツ政府の試算では2024年の実質成長率は0.3%と振るわず、日本を含む主要7カ国(G7)で最低になる見通しだ。ショルツ政権への不信から産業空洞化の懸念も影を落とす。

□4月30日(火)

円乱高下の今週、以下示す通りである。

◇介入観測で円乱高下;NY市場156円台、「円安傾向続く」 (日経 電子版 06:59)
→29日の日本政府・日銀による為替介入の観測を受け、同日のニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が不安定な動きを続けた。瞬間的に1円50銭ほど円高・ドル安が進む場面もあり、29日夕は1ドル=156円程度で推移した。米市場では介入があったとしても日米金利差の縮小が当面見通せず、円安傾向は続くとの見方が出ている。

下げ幅今年最大が2日目にあったものの、それ以外は金利の一服ないし低下から上げる展開となった今週の米国株式市場である。米連邦準備理事会(FRB)の記者会見および米国雇用統計発表に反応している。

◇NYダウ146ドル高、金利上昇が一服;テスラ15%高 (日経 電子版 08:04)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前週末比146ドル43セント(0.38%)高の3万8386ドル09セントで終えた。アップルとテスラの上昇が投資家心理を支えた。長期金利の上昇が一服していることも、株買いにつながった。

□5月1日(水)

◇NYダウ3日ぶり反落、570ドル安;賃金インフレを警戒 (日経 電子版 06:16)
→4月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比570ドル17セント(1.48%)安の3万7815ドル92セントで終えた。ダウ平均の下げ幅は今年最大だった。同日発表の雇用関連指標が賃金インフレの高まりを示し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期への不透明感が強まった。引けにかけて売りが加速し、この日の安値圏で引けた。

□5月2日(木)

◇NYダウ反発、87ドル高;利上げリスク薄れ買い入る (日経 電子版 06:19)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比87ドル37セント(0.23%)高の3万7903ドル29セントで終えた。ダウ平均は前日に今年最大の下げ幅を記録した後で、主力株の一部に自律反発を見込んだ買いが入った。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見中に上げ幅を広げる場面があった。

◇FRB、揺らぐ年内利下げ;インフレ収束「進展なし (日経 電子版 07:04)
→米連邦準備理事会(FRB)は1日、米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて政策金利の据え置きを決めた。記者会見したパウエル議長は高インフレの収束が「進展していない」と認め、年内の利下げ開始についての言及を封印した。高金利政策はさらに長期化する見通しだ。

◇円一時153円台に急騰;FOMC後4円上昇、介入の見方 (日経 電子版 07:55)
→1日のニューヨーク外国為替市場で同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に急な円高・ドル安が進み、円相場は一時1ドル=153円台まで上昇した。
1時間程度で4円超の円高になった。市場では日本政府・日銀が円買い介入に踏み切ったという見方が出ている。

□5月3日(金)

◇NYダウ、続伸322ドル高;米長期金利の低下が支えに (日経 電子版 06:22)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比322ドル37セント(0.85%)高の3万8225ドル66セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が前日に再利上げに否定的な見方を示したのが引き続き買い材料視された。米長期金利が低下したほか、決算を発表した一部の半導体株が大幅に上昇したのも投資家心理を支えた。

◇U.S. job growth totaled 175,000 in April, much less than expected, while unemployment rose to 3.9% (CNBC)
→*非農業部門雇用者数は前月比17.5万人増と、Dow Jonesのコンセンサスによる予想24万人を下回った。
 *失業率は3.8%で横ばいとの予想に反して3.9%に上昇した。より包括的な失業率は7.4%に上昇し、2021年11月以来の高水準となった。
 *最近の傾向と同様、医療が5万6,000人増で雇用創出を牽引した。その他のセクターでは、社会補助(31,000人)、運輸・倉庫(22,000人)、小売(20,000人)などが大幅に増加した。
 *この報告を受けて、トレーダーは2024年末までに2回の利下げが実施される可能性が高いと予想した。

□5月4日(土)

◇NYダウ450ドル高、金利低下追い風;Appleは6%高 (日経 電子版 06:40)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比450ドル02セント(1.17%)高の3万8675ドル68セントで終えた。同日発表の4月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回った。賃金上昇のペースも鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が先送りになるとの懸念が後退。ダウ平均の上げ幅は500ドルを超える場面があった。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

昨年の半導体サプライヤランキングでは首位に挙げられている一方、技術およびビジネスともにいろいろ苦境が伝えられる現下のインテルである。両面の関連する内容を以下取り出している。

◇Intel used to dominate the U.S. chip industry. Now it’s struggling to stay relevant (4月26日付け CNBC)
→*かつては米国最大かつ最も価値のある半導体企業であったインテルは、ここ数年、相次ぐ失策により数多くのライバル企業に追い抜かれている。
 *金曜26日には、期待はずれの決算を受けて株価はさらに急落した。
 *インテルは現在、S&P500種株価指数で今年最もパフォーマンスの悪いハイテク株であり、ライバルの半導体メーカーであるエヌビディアは同指数で2番目にパフォーマンスの良い株である。

◇Intel has a wafer-level assembly problem, and it's hurting Core Ultra sales (4月28日付け TechSpot)
→顧客はインテルのCore Ultra CPUsを熱望しているが、該半導体メーカーでは後工程のウェハー・レベル・アセンブリーがボトルネックになっている。これは重大な問題であり、インテルがこの制約のせいもあって第2四半期の売上が横ばいになると予測しているほど大きな問題。インテルはこの分野の能力を拡大するために迅速に動いているが、少なくとも当面は需要が供給を上回り続ける兆しがある。

◇Intel tells mobo makers to go easy on the BIOS settings amid CPU instability reports―Intel asks motherboard makers to maintain defaults on BIOS settings ―Do not disable safeguards by default, says chipmaker (4月29日付け The Register (UK))
→インテルは、第13世代および第14世代半導体のCPU不安定化問題を阻止するため、マザーボード・メーカーに対し、推奨BIOS設定をデフォルトで使用するよう指示したと報じられている。
Igor'sラボが公開したマザーボードベンダーへのEメールによると、「インテルは、システムおよびマザーボードメーカーに対し、インテルの推奨設定に一致するデフォルトのBIOSプロファイルをエンドユーザーに提供するよう要請する」とのこと。

◇World’s Biggest Neuromorphic Computer Can Run Deep Learning (4月30日付け EE Times)
→世界最大のneuromorphic computerがSandia National Labs(サンディア国立研究所)に発注された。Hala Pointは、1152個のインテル第2世代Loihi 2半導体を使用し、合計11億5000万個のニューロンを搭載する。脳から着想を得たspiking neural networks(SNNs)と、主流のdeep learning based neural networks(DNNs)の両方の推論を実行する。このシステムはサンディアの委託を受け、インテルが構築したもので、サンディアの研究者が使用する研究用プロトタイプである。

◇Intel expects paltry $500 million in Gaudi 3 AI sales for the rest of the year ― Nvidia to rake in $40 billion for data center AI this year―Intel expects $500M in Gaudi 3 sales this year, looks to 2025―Intel provides uninspiring guidance for its Gaudi 3 AI accelerator. (4月30日付け Tom's Hardware)
→インテルは、AIプロセッサー「Gaudi 3」の販売についてガイダンスを示し、今年は$500 million程度にとどまるが、2025年には勢いが増すだろうと述べた。NvidiaとAdvanced Micro Devices(AMD)は、データセンターAIでそれぞれ$40 billionおよび$3.5 billionの売上を見込んでいる。


【Apple関連】

iPhoneの中国でのプレゼンスが、現地勢の伸びで大きく低下とされているAppleについて、以下の内容に注目している。冒頭の、中国がAppleを求める以上にAppleには中国が必要、という表わし方に、米国政府との狭間を感じている。

◇Apple needs China more than China needs Apple―iPhone sales slip as government imposes bans and local rivals seize market share but Apple still uses Chinese firms for over 80% of its supplies (4月29日付け Asia Times)
→アップルは中国の携帯電話販売ランキングで5位に後退し、現地のライバルであるファーウェイ、OPPO、Honorおよびvivoに抜かれた。
中国製携帯電話はアップルのiPhoneとの性能差を縮めつつある一方、アメリカ政府による中国ハイテク企業への嫌がらせにより、現地品購入が一部の人々のプライドの源となっている。

◇Appleの取引先、中国企業が増加;米中対立下で綱渡り (4月30日付け 日経 電子版 16:00)
→米アップルが部品調達や組み立てなどで中国企業との取引を増やしている。最新のサプライヤー(供給業者)リストによると2023年の取引社数は52社と、前の年と比べて4社増えた。先端技術を巡る米中対立が激しくなるなかでも中国依存度が高まっており、同社は政治リスクと経営合理化のバランスをとろうと腐心している。

◇米Apple、1〜3月減収減益;iPhone売上高が10%減 (5月3日付け 日経 電子版 07:38)
→米アップルが2日発表した2024年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比4%減の$90.753 billion(約14兆円)、純利益が2%減の$23.636 billionだった。4四半期ぶりの減収減益となった。売上高の約半分を占めるスマートフォン「iPhone」が10%減で、中国での落ち込みが響いた。


【Microsoft関連】

MicrosoftのナデラCEOが、新しいクラウドとAIインフラの構築に向けて、東南アジア諸国を訪問、インドネシアおよびタイについて投資&展開計画を発表している。

◇Microsoft to invest $1.7 billion in cloud, AI in Indonesia, CEO says―CEO: Microsoft allocates $1.7B to expand cloud, AI services in Indonesia (4月30日付け Reuters)
→マイクロソフトがデータセンターの建設を含め、インドネシアにおけるクラウドサービスと人工知能(AI)の拡大に今後4年間で$1.7 billionを投資すると、訪問中のSatya Nadella(サティア・ナデラ)最高経営責任者(CEO)が火曜30日に述べた。
ジャカルタは、ナデラCEOが東南アジア諸国を訪問する最初の訪問地である。ナデラCEOは今週後半にマレーシアとタイを訪問する予定。

◇Microsoft pledges to spend US$1.7bn on AI, cloud computing in Indonesia (5月1日付け Taipei Times)
→マイクロソフト社のSatya Nadella(サティア・ナデラ)CEOは昨日、インドネシアの大統領と会談した後、人工知能(AI)とクラウドコンピューティングに$1.7 billionを投資し、インドネシアのAIインフラを発展させることを約束した。

◇Microsoft to open new data center in Thailand as it doubles down on AI and Southeast Asia (5月1日付け CNBC)
→*マイクロソフトのSatya Nadella(サティア・ナデラ)会長兼最高経営責任者(CEO)は水曜1日、タイに新たな地域データセンターを建設するなどの「重要なコミットメント」を発表した。
 *これは、同社が前日、新しいクラウドとAIインフラを構築するため、今後4年間でインドネシアに$1.7 billionを投資すると発表したことを受けたもの。
 *「本日のマイクロソフトとの発表は、我々の"Ignite Thailand"ビジョンの旅程における重要なマイルストーンであり、すべてのタイ人のための成長、革新、および繁栄のための新たな機会を約束するものだ」と、タイのSrettha Thavisin(スレッタ・タヴィシン)首相は声明で述べた。

◇Microsoft Corp to build Thai data center region (5月2日付け Taipei Times)
→マイクロソフト社は昨日、クラウドと人工知能(AI)インフラを強化するため、タイ初のデータセンター地域を創設し、技術開発のために10万人以上にAIトレーニングを提供すると発表した。
バンコクは東南アジアにおける重要な経済プレーヤーだが、ハイテク産業に関してはインドネシアやシンガポールに遅れをとっている。


【Tesla関連】

中国勢の安値攻勢で押され気味の電気自動車(EV)の状況が伝えられるTeslaについて、現下の関連する動きを取り出している。

◇Tesla CEO Musk meets China's No.2 official in Beijing―Musk meets with Chinese Premier Li Qiang in Beijing (4月28日付け The Korea Times (Seoul))
→ハイテク億万長者でテスラCEOのイーロン・マスク氏は日曜28日、北京で中国のナンバー2であるLi Qiang(李強)首相と会談し、同首相は中国が外国企業に対して「常に」オープンであることを約束した。

◇テスラ、AI開発強化へ1.5兆円投資;自動運転見据え (4月29日付け 日経 電子版 00:18)
→米テスラは28日、2024年に自動運転など向けの人工知能(AI)開発に$10 billion(約1兆5800億円)を投資する方針を明らかにした。同日、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が自身のX(旧ツイッター)で表明した。電気自動車(EV)販売が失速する中、次の柱とするAI関連投資を大幅に増やす。

◇テスラ、中国で自動運転実用化;当局承認観測で株15%高 (4月30日付け 日経 電子版 07:17)
→米テスラの株価が29日に一時前週終値比で18%上昇した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が前週末に訪中し、同国での自動運転システムの実用化への期待が高まった。自動運転のデータ収集では百度(バイドゥ)と提携する方針で、同国でのサービス参入へ前進する。「マスク外交」の成否は世界販売の6割を占める中国での失地回復を占うものになりそうだ。

◇テスラ、充電器部門を閉鎖;最大「標準規格」に揺らぎ (5月1日付け 日経 電子版 06:35)
→米テスラが急速充電器を担当する部門を事実上閉鎖し、担当幹部と数百人の従業員を解雇したことがわかった。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が30日報じた。同社の急速充電器は世界最大級のインフラ網を持ち、独自の充電規格「NACS」は米国の標準規格にも採用されている。


【Siウェーハ出荷】

SEMIより四半期ごとの世界のSiウェーハ出荷データが更新発表されている。
この1−3月四半期は、低下傾向が継続、しかしながらここが底というコメントが付されている。半導体市場の本格立ち上がりの期待に通じている。

◇WORLDWIDE SILICON WAFER SHIPMENTS DIP 5% IN Q1 2024, SEMI REPORTS (5月1日付け SEMI)

◇Worldwide Silicon Wafer Shipments Dip 5% in Q1 2024, SEMI Reports (5月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)は、シリコンウェーハ業界に関する四半期分析で、2024年第1四半期の世界のシリコンウェーハ出荷が前四半期比5.4%減の28億3400万平方インチとなり、前年同期の32億6500万平方インチから13.2%減少した、と報告した。
「IC工場の稼働率の継続的な低下と在庫調整により、2024年第1四半期はすべてのウエハーサイズでマイナス成長となり、ポリッシュウエハーの出荷量はEPIウエハーの出荷量よりも前年同期比でわずかに減少した。」と、Chairman of SEMI SMGおよびVice President and Chief Auditor at GlobalWafersのLee Chungwei(李崇偉)氏。「注目すべきは、AIの普及がデータセンター向け先端ノードロジック製品とメモリ需要の増加を後押ししたため、一部のファブの稼働率が2023年第4四半期に底を打ったことである。」
※Silicon Area Shipment Trends ― Semiconductor Applications Only (Millions of Square Inches)

4Q 2022
1Q 2023
2Q 2023
3Q 2023
4Q 2023
1Q 2024
Total
3,589
3,265
3,331
3,010
2,996
2,834

[Source: SEMI (www.semi.org), May 2024]

◇Q1 wafers fall―SEMI: Wafer shipments dipped in Q1 (5月2日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SEMIによると、第1四半期のウェーハ出荷は前四半期比5.4%減の2,834 million square inches、前年同期の3,265 million square inchesから13.2%減となっている。
 2)SEMIによると、第1四半期のウェーハ出荷量は2023年第4四半期から5.4%減少し、2023年第1四半期からは13.2%減少した。SEMIのLee Chungwei氏は、「ICファブの稼働率の継続的な低下と在庫調整により、2024年第1四半期はすべてのウェーハサイズでマイナス成長となった」とし、「AI導入の拡大が先端ノードロジック製品とデータセンター向けメモリ需要の高まりを煽ったため、一部のファブの稼働率は2023年第4四半期に底を打った」と付け加えた。

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