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米国政府の対中国規制の効果の評価&見方の中、マイクロンに補助金

米中摩擦が引き続いている中、米国政府の対中国規制の効果はどうなのか、それに関わる内容がいくつか見られている。Gina Raimondo米国商務長官は、Huaweiのスマホにおける中国製半導体は規制が成功して米国より何年も遅れているとの見方をあらわしている。一方、中国では、Huaweiが規制に対抗して半導体研究拠点を設ける動きのほか、米国製AI半導体が規制をすり抜けて渡っている事例が報じられている。このような応酬、せめぎあいの中、米国国内の半導体製造強化に向けた米国政府のCHIPS and Science Actによる補助金支給の発表が続いており、今回は米国のマイクロンに対して行われ、支給先の全体像があらわされ始めている。

≪輸出規制、製造強化、ともに問われる効果≫

米国政府の対中国規制を巡って、中国と韓国の間の次の状況が見られている。

◇Chip wars: can US sanctions shift the semiconductor landscape? (4月19日付け DIGITIMES)
→中国の半導体ファウンドリー企業は積極的な価格戦略を執拗に採用しており、韓国の8インチウェーハメーカーの市場シェアを容赦なく圧迫している。このような状況の中で、韓国の業界関係者は、米国が対中制裁を拡大し、より成熟した半導体プロセスを包含するようになれば、潜在的な利益が得られると見ている。

この規制は奏功して、米国の半導体先端性の優位がしっかり維持されている、とGina Raimondo米商務長官が次のように見解をあらわしている。

◇Raimondo Says Huawei’s Chip Breakthrough Is Years Behind US Tech (4月21日付け BNN Bloomberg (Canada))
→CBSニュースの『60 Minutes』とのインタビューで、Gina Raimondo米商務長官は、画期的な技術であるというHuawei Technologies社の主張を軽視し、技術格差はバイデン政権が中国への輸出規制を課すことに成功していることを示していると述べた。

◇China is still years behind the U.S. despite Huawei’s breakthrough chips, Raimondo tells ’60 Minutes’ (4月22日付け CNBC)
→*中国のHuawei社による半導体の躍進にもかかわらず、中国はこの重要技術で米国に何年も遅れたままである、とGina Raimondo商務長官が述べた。
 *Raimondo氏によると、Biden政権の半導体輸出政策は機能しており、米国は半導体に関する国家安全保障を守り続ける。

◇US commerce secretary downplays chip in advanced Huawei phone―Commerce chief points to Huawei chip as sanctions win (4月22日付け Reuters)
→Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は、米国の対中輸出規制が機能している証拠として、ファーウェイ・テクノロジーズの最新半導体を軽く見ている。Mate 60 Proのテクノロジーは「米国にあるものより何年も遅れている」と同氏。

これに対して、中国での現下の関連する動き、状況が以下の通りである。

Huaweiのスマホに搭載の半導体についての見方である。

◇Huawei Mate 60 Pro processor made on SMIC 7nm N+2 process―TechInsights: Huawei's Mate 60 Pro uses SMIC's 7nm N+2 process (4月22日付け Electronics Weekly (UK))
→ファーウェイの最新スマートフォン「Mate 60 Pro」には、SMICのN+2プロセスで製造された7nm HiSilicon Kirinプロセッサーが搭載されている、とTechInsightsは結論付けている。

◇Huawei’s New Phone Sports Latest Version of Made-in-China Chip―TechInsights: Huawei's Pura 70 phone uses Kirin 9010 (4月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→TechInsightsの分析によると、Huawei Technologiesのスマートフォン、Pura 70には、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)の7ナノメートルN+2プロセスで製造された先進的な中国製プロセッサ、Kirin 9010が搭載されていることが判明した。Kirin 9010は、昨年8月にファーウェイのMate 60 Proに搭載されたものよりも新しいバージョンである。

中国の半導体生産の1−3月四半期での急増である。

◇[News] China’s Chip Production Surges by 40% in Q1 (4月22日付け Trend Force)
→4月18日付のSouth China Morning Post紙の報道によると、公的支援と産業界の継続的な拡張投資に後押しされ、2024年第1四半期の中国の半導体総生産量は40%急増し、981億個に達したという。これは、特に輸出規制の中で、中国が半導体開発において成熟したプロセスを増強する方向にシフトしていることをさらに浮き彫りにしている。さらに、半導体生産能力は急速に拡大している。

規制されている米国製のAI半導体が、中国の研究機関や大学に渡っている状況についてである。

◇Tech war: China acquired US-restricted Nvidia AI chips built in Super Micro, Dell and Gigabyte Technology servers, tenders show (4月23日付け South China Morning Post)
→*購入者の中には、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)、山東省人工知能研究所(Shandong Artificial Intelligence Institute)および湖北省地震局(Hubei Earthquake Administration)も含まれている。
 *サーバーメーカーのスーパーマイクロ、デルおよびギガバイト・テクノロジーは、適用される米国の法律を遵守しているが、さらに調査を進めると述べた。

◇中国、米AI半導体調達;輸出規制すり抜けか;ロイター報道 (4月24日付け 日経)
→中国の研究機関や大学が、米国が対中輸出を規制している米エヌビディアの人工知能(AI)向け半導体を調達したことが23日に明らかになった。ロイター通信が報じた。入札情報の分析から判明し、サーバーに組み込まれる形で規制をすり抜けた可能性がある。
中国政府は安全保障上の理由から省庁などが調達するパソコンやインフラの半導体などに中国製品を調達するよう指導しているが、研究機関や大学の先端的な開発では米国製の半導体を求めている実態が浮かび上がったといえそうだ。

規制に対抗して、Huaweiは半導体研究拠点を設ける計画である。

◇ファーウェイ、上海に半導体研究拠点;輸出規制に対抗 (4月23日付け 日経)
→中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は上海に大規模な半導体装置の研究開発(R&D)拠点を設ける計画だ。米国による半導体関連の輸出規制に対抗する。
同拠点は露光装置を含む最新の半導体の製造に必要な装置を研究開発する。米規制により、ファーウェイはオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングやニコン、キヤノンなどが高いシェアを持つ露光装置などが入手しにくくなっているためだ。

今週、米国国務長官が訪中、習近平国家主席はじめ会談が行われる中でも半導体関係が取り上げられているが、引き続き推移に注目である。

米国国内の半導体製造強化に向けたCHIPS and Science Actによる米国政府の補助金支給の動きが続いており、こんどはマイクロンにと、事前にあらわされていた、

◇Micron reportedly receiving $6.1B in CHIPS Act funding (4月19日付け FierceElectronics)
→Micron Technology社が、CHIPS Act資金を獲得する次の大手半導体企業であると伝えられている。複数のメディアが、同社は同プログラムを通じて$6.1 billionの助成金を受け取る予定であると述べており、これらの報道はChuck Schumer上院議員(ニューヨーク州選出)のものとされている。
金曜19日の時点では、マイクロン社もシューマー上院議員事務所も、このニュースについての確認はウェブサイトに掲載しておらず、Bloombergの報道では、正式発表はまだ先であるとのことである。

そして、正式に以下の通り発表が行われている。

◇Biden announces preliminary deal with Micron for up to $6.14 bln in chip grants―Biden heads to N.Y. to announce $6.14B chip grant deal with Micron (4月25日付け Reuters)
→ジョー・バイデン米大統領は木曜25日、ニューヨーク州シラキュース(Syracuse, New York)を訪れ、メモリー半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーとの予備合意を発表した。
米商務省が署名した協定は、半導体の国内製造を促進し、中国や台湾からの供給への依存を減らすことを目的とした「2022 CHIPS and Science Act」に基づき、ニューヨーク州とアイダホ州の拠点に資金を提供する。

◇Micron Secures $6.1B in CHIPS Funding (4月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→バイデン政権は本日、マイクロンがニューヨークとアイダホに半導体工場を建設するためのCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)による$6.1 billionの連邦資金の一部として、労働和平協定について協議するために全米通信労組と会談する予定であることを発表した。バイデン大統領とChuck Schumer(チャック・シューマー)上院院内総務は、連邦資金はアメリカの製造業を活性化させ、労働組合による良質な雇用を創出することによって中産階級を再建するために使われるべきであり、これはその目標に向けた大きな一歩であるとの明確な期待を示している。

◇Micron preliminary CHIPS grant of $6.1B confirmed for DRAM fabs (4月25日付け FierceElectronics)
→米国当局は木曜日、メモリメーカーのマイクロンがCHIPS法資金から$6.1 billionの予備助成を受けたという1週間前の報道を確認した。さらに$7.5 billionの融資案がマイクロンに支払われる予定である。
マイクロンは、CHIPS法資金$6.1 billionを使い、アイダホ州ボイシ(Boise, Idaho)とニューヨーク州クレイ(Clay, New York)に3つのDRAM工場を計画している。

◇米国、マイクロンに1兆円補助;DRAMの製造拠点に (4月25日付け 日経 電子版 21:45)
→米政府は25日、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーが東部ニューヨーク州と西部アイダホ州に建設する半導体工場に対し最大$6.14 billion(約9500億円)の補助金を支給すると発表した。アジアに依存しない半導体供給網の構築と、雇用創出を目指す。
2022年成立の「CHIPS・科学法」に基づき補助金を支給する。補助金とは別に最大$7.5 billionの融資枠も提供する。

米国・SIAが、マイクロンへの補助金を歓迎している。

◇SIA Commends CHIPS Act Incentives for Micron’s Manufacturing Projects in New York and Idaho (4月25日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、米国商務省とマイクロンが発表した半導体製造奨励策を称賛するSIAのPresident and CEO、John Neuffer氏の声明を発表した。この優遇措置はCHIPS and Science Actの一部であり、ニューヨークとアイダホにあるMicronのメモリ半導体生産拠点の開発を支援する。
米商務省はこれまでに、サムスン、TSMC、インテル、グローバルファウンドリーズ、マイクロチップ・テクノロジー、およびBAEシステムズに対する奨励金を発表している。

Texas Instruments(TI)が、業績発表を行う中で、CHIPS and Science Actによる支援への期待が表明されている。

◇TI revenue down, outlook better as it awaits CHIPS Act news (4月24日付け FierceElectronics)
→TIのRafael Lizardi(ラファエル・リザディ)最高財務責任者(CFO)は、今週の第1四半期決算説明会で最新情報を聞かれ、「まだ手続きを進めているところだ。昨年末に申請書を提出し、CHIPSプログラム・オフィスと詳細を詰めているところ。前にも述べたように、テキサスとユタの両州における製造への投資は、CHIPSプログラム・オフィスの目的とうまく合致していると考えている」と述べた。

Chips法補助金の配布状況が、4月21日付けの上記のRaimondo米商務長官に関する記事で、次の通りまとめてあらわされている。時間は前後するもののマイクロンも含めた表し方である。

◇Raimondo Says Huawei’s Chip Breakthrough Is Years Behind US Tech (BNN Bloomberg (Canada))
→ インテル $8.5B
  TSMC 6.6B
  Samsung Electronics 6.4B
  Micron Technology 6.1B
  Secure Enclave Program 3.5B
  GlobalFoundries 1.5B
  Microchip Technology 162.0M
  BAE Systems 35.0M
  Remaining funds 6.2B

それぞれの進捗、効果について、引き続き注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、依然用心怠りなくの現状と思われ、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□4月23日(火)

前半上げて2週間ぶり高値となったが、インフレ懸念が重荷で下げ、締めはハイテク株高で持ち直す推移となった今週の米国株式市場である。

◇NYダウ253ドル高、中東への警戒和らぐ;NVIDIA4%高 (日経 電子版 05:54)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日続伸し、前週末比253ドル58セント(0.66%)高の3万8239ドル98セントで終えた。中東情勢悪化への過度の懸念が和らいだことが投資家心理を上向けた。前週末にかけてハイテク株などの下げが加速したあとで、目先の自律反発を期待した買いが入った。

□4月24日(水)

◇NYダウ、4日続伸し263ドル高;中東情勢への警戒和らぐ (日経 電子版 06:39)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸した。前日比263ドル71セント(0.68%)高の3万8503ドル69セントと2週間ぶりの高値で終えた。中東の地政学リスクへの過度な警戒が和らぐなか、幅広い銘柄に押し目買いが入った。同日発表の米経済指標が米国のインフレ再加速への懸念を高めなかったことも株買いを促し、ダウ平均の上げ幅は一時300ドルを超えた。

世界のGDPの国・地域別比率の現状を改めて確認する以下の内容である。

◇America’s Economy Is No. 1. That Means Trouble.―IMF: US to account for over a quarter of global growth―Solid growth, big deficits and a strong dollar stir memories of past crises (The Wall Street Journal)
→国際通貨基金(IMF)の試算によると、今年の世界GDPに占める米国の割合は26.3%となり、過去20年近くで最も高くなる。2018年以降、欧州のシェアは1.4ポイント、日本は2.1ポイント減少したが、米国のシェアは2.3ポイント上昇している。中国のシェアも伸びているが、経済規模は2018年の67%に対し、米国の64%に減少している。

□4月25日(木)

◇NYダウ42ドル安、GDP前に買い手控え;テスラは12%高 (日経 電子版 06:10)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比42ドル77セント(0.11%)安の3万8460ドル92セントで終えた。米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されやすかった。主力ハイテク企業の決算や主要な米経済指標の発表を前に、積極的な買いが入りにくかった。半面、決算を発表した銘柄の一部が上昇し、相場を支えた。

韓国そして米国の1−3月GDPである。特に、米国の収まらないインフレ基調である。

◇韓国GDPが1.3%成長;1〜3月、建設投資が回復 (日経 電子版 10:23)
→韓国銀行(中央銀行)が25日発表した2024年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は前期比1.3%増加した。プラス成長は5四半期連続となる。建設投資が拡大し、民間消費も回復した。
四半期ベースで増加率が1%を上回るのは2021年10〜12月期以来、2年3カ月ぶりとなる。

◇GDP growth slowed to a 1.6% rate in the first quarter, well below expectations (CNBC)
→*1-3月期の国内総生産(GDP)は、年率1.6%増と予想の2.4%増を下回った。
 *米連邦準備制度理事会(FRB)の重要なインフレ指標である個人消費支出物価指数は、年率3.4%増と過去1年間で最大の伸びとなった。
 *個人消費支出は2.5%増と、第4四半期の3.3%増を下回り、ウォール街予想の3%増を下回った。

□4月26日(金)

◇NYダウ375ドル安、インフレ懸念が重荷;メタは11%安 (日経 電子版 05:31)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比375ドル12セント安の3万8085ドル80セント(速報値)で終えた。同日発表の2024年1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値が投資家のインフレ懸念を強める内容となった。四半期決算を発表した銘柄の一部が大幅安となったのも投資家心理を冷やし、ダウ平均の下げ幅は一時700ドルを超えた。

□4月27日(土)

◇NYダウ3日ぶり反発、153ドル高;ハイテク株高が支え (日経 電子版 06:21)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比153ドル86セント(0.40%)高の3万8239ドル66セントで終えた。前日夕に発表した四半期決算が市場予想を上回ったマイクロソフトとアルファベットに買いが入り、投資家心理の支えとなった。

円安が加速してのゴールデンウイーク入りとなっている。

◇円安加速、34年ぶり158円台;米「3高」に歯止め利かず (日経 電子版 06:48)
→26日のニューヨーク外国為替市場で円は1ドル=158円台前半まで下落した。1990年5月以来、34年ぶりの安値をつけた。日本の財務省は円買い・ドル売りの為替介入をちらつかせるものの、現在の円安・ドル高は米国の高い経済成長率、高インフレ、高金利という「3高」が根底にあり、日本の当局が打てる手は限られているとの見方も強い。


≪市場実態PickUp≫

【TSMC関連】

4月3日に続いて4月23日に強い地震に見舞われた台湾であるが、TSMCを主とするその影響関連の記事である。

◇TSMC to recognize earthquake damage losses of NT$3 billion in 2Q24 (4月19日付け DIGITIMES)
→TSMCは、4月18日に第1四半期決算を発表した後、その夕方遅く、4月3日に発生した地震の影響に関するもう1つ重要なニュースリリースを発表した。保険金控除後の地震関連損失のTSMCの概算は約30億台湾ドル($92 million)。これは第2四半期に認識される予定。

◇TSMC says operations not affected by quakes (4月24日付け Taipei Times)
→TSMC(台積電)は昨日、台湾東部を震源とし、昨日早朝に台湾全土を震撼させた一連の強い地震による操業への影響はなかった、と発表した。

◇Taiwan Hit by Another Earthquake: Semiconductor Price Hikes on Horizon (4月24日付け Business Korea)
→世界トップ半導体企業の主要拠点である台湾が、相次ぐ地震に見舞われ、半導体供給の一時的な遅れおよび潜在的な価格上昇を招いている。

◇Taiwan Hit by Another Earthquake: Semiconductor Price Hikes on Horizon―Earthquake in Taiwan could disrupt the chip supply (4月24日付け BusinessKorea (South Korea))
→半導体業界は、台湾が最近の地震と関連余震の余波に対処し続けているため、供給の途絶と価格上昇の可能性に備えている。半導体装置は振動を感知すると自動的に動作を停止するが、今回の地震による被害はまだ報告されていない。

◇TSMC「事業に影響なし」;台湾で連続地震、一時避難 (4月24日付け 日経)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は23日、台湾東部を震源に同日未明から続いた地震に関し、現時点で事業への影響は見込んでいないと明らかにした。一部工場で安全確保のため従業員が避難したが、全員が復帰したという。

ナノメートルからオングストロームへ、TSMCが「A16」製造技術が2026年後半に生産を開始、と発表している。1.6ナノメートル、すなわち16オングストローム世代に入っていく。

◇TSMC says first 1.6nm chips coming in 2026―TSMC previews A16 process in move toward HPC products―Watch out Intel ... Angstrom-class A16 with Super Rail backside power tech incoming (4月25日付け The Register (UK))
→TSMCが、プロセス技術のAシリーズの最初のものを詳述している。オングストロームにちなんで命名されたA16は、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーションに向けた動きと見られ、2026年に市販される予定である。

◇TSMC Uncorks A16 With Super Power Rail―Reporter’s Notebook: Aggressive roadmap ramps up competition at the leading edge. (4月25日付け Semiconductor Engineering)
→TSMCは今週開催された第30回North American Technology Symposiumで、2026年後半をターゲットとするA16プロセス技術ノードを披露した。該ファウンドリがナノメートルからオングストロームのプロセス番号に移行するのに伴い、新しいノードには(「N」の代わりに)「A」というプレフィックスが付くことになり、A16はTSMCにとって最初のものである。

◇‘A16’ chipmaking tech to arrive in 2026, TSMC says (4月26日付け Taipei Times)
→TSMCは水曜24日、「A16」と呼ばれる新しい半導体製造技術が2026年後半に生産を開始すると発表、誰が最速の半導体を製造できるかをめぐり、長年のライバルであるインテルとの対決が始まる。


【SK Hynix関連】

AI半導体製造について、TSMCとの協力が発表されている。

◇SK Hynix, TSMC to collaborate on HBM chips for AI (4月20日付け Taipei Times)
→世界第2位のメモリー半導体メーカーである韓国のSKハイニックスは昨日、人工知能(AI)技術に使用される次世代広帯域メモリー(HBM)半導体を製造するため、TSMCと協力すると発表した。

DRAM新工場の韓国・清州(Cheongju)での建設計画が発表されている。

◇SK Hynix to invest $3.86 bln in DRAM chip production in South Korea―SK Hynix putting $3.86B into DRAM chip factory (4月24日付け Reuters)
→1)韓国のメモリー半導体メーカー、SKハイニックスは水曜24日に、5兆3000億ウォン($3.86 billion)を投資し、韓国に新しいDRAM半導体生産拠点のための半導体工場を建設する計画であると発表した。Nvidiaのサプライヤーは、4月末にM15Xと呼ばれる半導体工場の建設を開始する計画で、2025年11月までに量産準備を整えることを目指している。
 2)SK Hynixは来年末までに$3.86 billionを投資して韓国に新工場を建設し、そこでDRAM半導体を生産する計画である。該M15X工場は、2027年にオープンする龍仁半導体クラスターを含む同社の国内投資の一部に過ぎない。

◇SK hynix to boost production of advanced DRAMs at new fab in Cheongju (4月24日付け The Korea Times)
→SK hynix Inc.が水曜24日、artificial intelligence(AI)半導体の需要増に対応して次世代DRAMの生産能力を増強すると発表した。
これに先立ち、世界第2位の該メモリー半導体メーカーは取締役会で、ソウルの南約140kmに位置する清州(Cheongju)のM15Xと名付けられた新工場をDRAM生産拠点に転換するため、5兆3000億ウォン($3.85 billion)を投資することを決定した。

◇SK hynix pledges W20tr to ramp up DRAM production at home (4月24日付け The Korea Herald (Seoul))
→世界第2位のメモリー半導体メーカーであるSKハイニックスは水曜24日、AI半導体の需要急増に対応するため、生成型人工知能(AI)ツールに不可欠な広帯域メモリー(HBM)を含む次世代DRAMの生産能力を拡大すると発表した。同社によると、この決定は、この日の取締役会で、忠清北道清州市(Cheongju, North Chungcheong Province)に新たなDRAM生産拠点としてM15X工場を建設する計画が承認されたことによる。

◇SK、先端DRAM工場;生成AI向け+韓国で2兆円投資 (4月25日付け 日経)
→韓国半導体大手SKハイニックスは24日、韓国・清州市に半導体工場を新設すると発表した。計20兆ウォン(約2兆2000億円)以上を投じ、生成AI(人工知能)向けの高性能なメモリー半導体を増産する。技術開発で先行する分野で製造能力の増強でも先手を打ち、シェアの拡大を急ぐ。

AI向けHBMメモリ半導体で先行したSK Hynixであるが、この第一四半期に6四半期ぶり黒字化、と以下の通りである。

◇SK hynix's Q1 operating profit surges 734% to $2.1 bil.―SK Hynix saw operating profit, HBM chip sales increase in Q1 (4月25日付け The Korea Times (Seoul))
→SKハイニックスの第1四半期の営業利益は、主に高帯域幅メモリー(HBM)半導体の好調な販売とメモリー半導体価格の上昇により、前の3ヶ月間から700%以上急増したと、該半導体メーカーが木曜25日に発表した。
1-3月期の営業利益は734%増の2兆8800億ウォン($2.1 billion)。売上高は同10%増の12兆4300億ウォンで、四半期としては過去最高を記録した。

◇SK hynix returns to profit in Q1 on solid demand for AI chips (4月25日付け The Korea Times)
→SKハイニックスは木曜25日、人工知能(AI)コンピューティングに使用されるプレミアムメモリ半導体製品に対する世界的な需要の高まりを背景に、今年第1四半期は黒字に転換したと発表した。

◇SK、6四半期ぶり黒字;1〜3月;生成AI向け活況 (4月26日付け 日経)
→韓国半導体大手のSKハイニックスが25日発表した2024年1〜3月期の連結純利益は1兆9170億ウォン(約2100億円)となり、6四半期ぶりに黒字転換した。前年同期は2兆5850億ウォンの赤字だった。生成AI(人工知能)向け高性能半導体を中心に需要が高まっており、回復基調が鮮明だ。最終損益が黒字になるのは2022年7〜9月期以来。新型コロナウイルス禍のデジタル機器特需の反動で不況が続いていた。

韓国製造業に薄日の兆し、の原動力の様相である。

◇韓国製造業、半導体の回復が先行;1〜3月期業績 (4月28日付け 日経 電子版 04:00)
→低迷が続いた韓国の製造業に薄日が差している。2023年1〜3月期の決算を迎え、半導体大手SKハイニックスは1年半ぶりの赤字脱却を発表した。粘着質なインフレに影響を受ける消費動向や中国との価格競争を背景に、家電や鉄鋼など他業種の回復はなお途上だ。景気回復を待つだけでなく、難題を跳ね返す企業戦略が求められる。


【市況および各社業績発表から】

AIが引っ張る持ち直し基調にあるとされながら、本格的な立ち上がりが依然待たれる現況があらわれる、以下の市況および各社業績発表である。

◇Samsung's NAND utilization rate reportedly reaches 90% (4月22日付け DIGITIMES)
→DRAMに代表されるメモリー市場が回復に転じた後、NANDフラッシュも下げ止まりの最終局面を迎えている。顧客在庫が消化され、人工知能(AI)による需要拡大で、サムスン電子のNAND稼働率は90%近くまで高まったとされている。

◇Texas Instruments Gives Solid Forecast in Sign of Chip Comeback―Texas Instruments' sunny forecast could signal recovery (4月23日付け BNN Bloomberg (Canada))
→1)テキサス・インスツルメンツ社の売上予測は、需要低迷が緩和される可能性を示して、株価は水曜24日に8.5%も急騰し、この4年以上で最大の日中上昇率を記録した。
 2)テキサス・インスツルメンツは今期の売上高を最大$3.95 billionと予想し、アナリストの予想を上回り、半導体需要回復の可能性を指摘している。同社は1年以上売上高が減少しており、第1四半期の売上高は2020年以来最低であったため、最近の上昇については慎重ながらも喜ばしい見通しを持っている。

◇Foundry ‘Overcapacity’ Amid AI Semiconductor Wars, Overheated HBM Market (4月23日付け Business Korea)
→AI半導体分野での競争が進む中、ファウンドリー(受託チップ製造)業界は、需要の停滞と過剰生産能力により新たな課題に直面している。同時に、AIに欠かせない高帯域幅メモリ(HBM)分野での覇権争いが激化しており、半導体メーカー間の争いがエスカレートしている。

◇HBM prices likely to fall in 2H24 due to intensified market competition―Competition expected to drive HBM prices down in the second half of 2024 (4月24日付け DIGITIMES)
→Nvidiaは、これまでのところ間違いなく人工知能(AI)の最大の "受益者 "であるが、最近のNvidiaの株価10%急落および時価総額$211 billionの蒸発は、韓国半導体業界に懸念を引き起こしている。
市場では、エヌビディアのAI半導体シェアまで縮小する可能性が高まれば、HBM(High Bandwidth Memory)市場にも影響を及ぼすことが予想され、韓国の2大メーカーであるサムスン電子とSKハイニックスにも影響が及ぶとの見方が出ている。

◇[News] Amid Foundry Overcapacity, Competition for HBM Intensifies Rapidly (4月24日付け Trend Force)
→AI半導体の競争が激化する中、ウェーハファンドリー業界は需要の停滞と過剰生産能力により新たな課題に直面している。広帯域メモリー(HBM)市場の覇権争いも激化している。

◇TI forecasts Q2 revenue above estimates as analog chip demand improves (4月24日付け Reuters)
→テキサス・インスツルメンツは火曜23日、第2四半期の売上高がアナリスト予想を上回ると予想し、長期低迷が続いていた同社のアナログ半導体に対する需要の回復を示唆した。
同社の明るい見通しは、家電需要の改善とともに、アナログ・チップの在庫調整が緩和される可能性を示している。

◇Intel posts Q1 revenue increase, but Q2 outlook fails to impress (4月25日付け FierceElectronics)
→インテルは第1四半期に$12.7 billion強の売上を計上し、これは昨年第1四半期に報告された$11.7 billionから9%増加したが、2024年開幕四半期に予想されていた$12.78 billionを下回った。第2四半期のガイダンスでは、売上高が$12.5 billionから$13.5 billionの間と示唆されており、同社は前四半期比成長を目指すことになるが、この見通しはアナリストが予想していた$13.57 billionを下回っている。

◇Intel shares fall after company provides weak forecast for the current quarter (4月25日付け CNBC)
→*インテルが木曜25日に発表した第1四半期決算は、一株当たり利益ではウォール街の予想を上回ったが、売上高では振るわなかった。
 *インテルは今四半期の見通しを弱いものとした。

◇STMicro cuts FY revenue outlook as softer car demand weighs―STMicro lowers full-year outlook after automotive, laptop chip slowdown (4月25日付け Reuters)
→・通期売上高は$14 billion〜$15 billionを予想
 ・第1四半期のEBITは$551 million
 ・株価は取引開始直後に3.5%下落
 ・アップル出荷減、テスラ人員削減発表後の見通し
欧州の半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスは25日、通期の売上高見通しを下方修正した。この警告は、同社が予想を下回る第1四半期決算を発表した後に出された。


【Samsungの先端メモリ】

第9世代V-NANDおよび世界最先端とされる286層NANDのフラッシュメモリー量産が発表されている。

◇Samsung Electronics Begins Industry’s First Mass Production of 9th-Gen V-NAND (4月23日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→サムスン電子は本日、1テラビット(Tb)トリプルレベルセル(TLC)第9世代縦型NAND(V-NAND)の量産を開始したことを発表し、NANDフラッシュ市場におけるリーダーシップを確固たるものにしている。

◇Samsung 1st to mass-produce 9th generation V-NAND (4月23日付け The Korea Times (Seoul))
→Samsung Electronicsが、1テラビット(Tb)のデータ保存が可能な第9世代Vertical NAND(V-NAND)フラッシュメモリ半導体の量産を開始、世界のNANDフラッシュメモリ半導体市場で主導的地位を固める取り組みを行っている。Samsungによると、同社の最新製品は業界最小のセルサイズと最薄型モールドを特徴とし、そのビット密度は第8世代製品と比べて約50%向上している。

◇サムスン、286層先端メモリー量産;容量は前世代の1.5倍 (4月26日付け 日経)
→韓国サムスン電子はデータの長期保存に使うNAND型フラッシュメモリーで、世界最先端となる286層の量産を始めたと発表した。新たな製造プロセスを採用し、チップ面積あたりのデータ容量を前世代品の1.5倍に高めたとしている。


【展示会から】

「ハノーバーメッセ」および「北京国際自動車ショー」より、現下の流れ、取り組みがあらわされている。

◇欧州AIは産業特化型;独見本市、規制対応で米大手に対抗 (4月24日付け 日経 電子版 14:45)
→世界最大級の産業機器見本市「ハノーバーメッセ」が26日まで独ハノーバーで開かれている。目玉のひとつが人工知能(AI)の活用だ。米国発の生成AIブームが席巻するなか、欧州勢は専門性の高い産業分野に特化。厳しい欧州連合(EU)規制への対応もアピールし、米IT大手との差別化を図る。

◇中国の小米、スマホ中核に車を連携;EV7万台を販売 (4月25日付け 日経 電子版 17:00)
→スマートフォン世界大手の小米(シャオミ)の雷軍・董事長兼最高経営責任者(CEO)は25日に開幕した北京国際自動車ショーで、3月下旬に発売した電気自動車(EV)の予約販売台数が7万5723台に達したと明らかにした。スマホを中核としたサービスの一部として、EVを取り込む。

◇中国勢、車IT化でも先行;トヨタ・テンセント提携;北京自動車ショー;AIなど次世代技術、日本単独対抗厳しく (4月26日付け 日経)
→中国で苦戦する日本車メーカーが、現地IT大手との連携に活路を見いだす。トヨタ自動車は25日、騰訊控股(テンセント)と戦略提携すると発表した。次世代の電気自動車(EV)の核となる人工知能(AI)などの技術は中国ITが世界の先端を走っており、単独で対抗は難しい。中国ITは日本や欧米勢が優位の自動車業界の構図を変えている。
25日に4年ぶりに開幕した世界最大級のモーターショーである北京国際自動車ショー。世界で突出する価格競争力を持つ中国車メーカーは、次世代技術でも日本勢との差を見せつけた。

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