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1月の半導体販売高、前年比15.2%増;対中規制さらに強化要請等の動き

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、2024年の年初、1月について$47.6 billion、前年同月比15.2%増ながら前月比は2.1%減と、10ヶ月続いた前月比増加が止まっている。パソコン、メモリ半導体の底打ち、そしてAI(人工知能)半導体の急伸の期待から、今後の推移に注目するところである。次に、中国での先端半導体開発の動きを受けて、米国政府が対中国の半導体輸出規制を強化するよう、我が国およびオランダへの働きかけが見られている。地政学的なリスクが高まる一途の国際情勢のなか、米国大統領選挙を控えて米国から同盟国への一層の様々な圧力が予想され、半導体関連においても注視を要するところと思われる。

長見晃の海外トピックス

≪1月の世界半導体販売高≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○1月のグローバル半導体販売高が、前年同月比15.2%増―1月の前年比市場の伸びは、2022年5月以来ぶり;世界半導体販売高、前月比は2.1%減 …3月4日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年1月のグローバル半導体業界販売高が$47.6 billionとなり、前年同月、2023年1月の$41.3 billionに対して15.2%の増加、しかしながら、前月、2023年12月の$48.7 billionからは2.1%減少した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「グローバル半導体市場は新しい年を力強くスタートし、世界販売高が2022年5月以来最大の割合で前年比増加した。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「市場の成長は今年いっぱい続くと見通され、2024年の年間販売額は2023年に比べて2桁増加すると予測されている。」

地域別では、販売高前年同月比で、China(26.6%), the Americas(20.3%), およびAsia Pacific/All other(12.8%)と増加したが、Japan(-6.4%)とEurope(-1.4%)は減少した。前月比では、Asia Pacific/All Other(-1.4%), the Americas(-1.5%), China(-2.5%), Europe(-2.8%), and Japan(-3.9%)とすべての市場にわたって減少した。

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jan 2023
Dec 2023
Jan 2024
前年同月比
前月比
========
Americas
10.51
12.83
12.64
20.3
-1.5
Europe
4.48
4.55
4.42
-1.4
-2.8
Japan
3.92
3.81
3.67
-6.4
-3.9
China
11.66
15.14
14.76
26.6
-2.5
Asia Pacific/All Other
10.77
12.32
12.15
12.8
-1.4
$41.33 B
$48.66 B
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %

--------------------------------------
市場地域
8-10月平均
11- 1月平均
change
Americas
12.13
12.64
4.2
Europe
4.82
4.42
-8.3
Japan
3.93
3.67
-6.7
China
13.84
14.76
6.6
Asia Pacific/All Other
11.87
12.15
2.4
$46.59 B
$47.63 B
2.2 %

--------------------------------------

※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2024/03/January-2024-GSR-table-and-graph-for-press-release-1.pdf
★★★↑↑↑↑↑


この発表を受けた取り上げが、次の通りである。

◇Global semiconductor sales increase 15% in January, says SIA (3月5日付け DIGITIMES)

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、昨年、2023年は減少に転じた経緯であるが、2024年はどうなるかということで、2022年以降の推移で照らし合わせながら見ていくことにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年の出だし、1月は$47 Billion台の販売高であるが、2022年の前半のように$50 Billion台が続けられるかどうか、今後の推移に注目していくことになる。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
→史上最高更新
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %


本年の半導体市場の見方に関連する内容が、以下の通りである。

◇Global semiconductor revenue to top US$600 billion in 2024, says DIGITIMES Research―Forecast: Global chip revenue on its way to $600B in 2024 (3月4日付け DIGITIMES)
→2023年、世界の半導体市場は厳しい状況に直面した旨。地政学や経済の一層広がりなど様々な不確定要素がある中、DIGITIMES Researchの予測では、2023年の世界のIC設計およびIDM分野の売上高は$523 billionで、前年比8.9%減と見ている旨。
DIGITIMES Researchによると、AIアプリケーション半導体とメモリ需要に牽引される2024年を見据えて、世界半導体売上は成長を再開して17%増の$600 billionに達する見込みである旨。

◇AI chips to reach over 1.8 billion shipments by 2030―Forecast: AI chipsets to top 1.8B shipments by 2030 (3月5日付け Electronics360)
→ABI Researchによると、AIチップセットの出荷台数は、ジェネレーティブAI需要に後押しされ、向こう10年末までに18億台以上に成長すると予想されている旨。ABIのアナリストであるPaul Schell(ポール・シェル)氏は、AIアプリケーションがデバイスに移行し、クラウドから離れるにつれて、ヘテロジニアスAIチップセットが必要になると述べている旨。

DRAMの好転の兆しがあらわされている。

◇Samsung’s DRAM Division Finally Sees Profitability After Years of Struggle―Samsung sees potential upturn in DRAM division profitability (3月6日付け Wccftech)
→サムスンのDRAM部門は、在庫水準と消費者需要に長年苦しんできたが、ようやく光が見えてきており、売上げ全体で黒字を計上している旨。
サムスンのDRAM部門における精力的な在庫是正と値上げの努力がついに実を結び、アナリストは好転を予想している旨。

パソコンも回復の気配である。

◇IDC Forecasts Global PC Shipments to Grow 2.0% in 2024, Led by the Arrival of AI PCs and the Start of a Commercial Refresh Cycle (3月6日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC)のWorldwide Quarterly Personal Computing Device Trackerによると、世界経済が回復に向かうにつれてPC市場も回復し、2024年の世界出荷台数は前年比2.0%増の2億6,540万台に達すると予測されている旨。ベンダーは2023年の在庫一掃に注力する一方、IDCは2024年がAI PCの導入による拡大の年になると予想しており、最終的に2028年の市場規模は2億9,220万台、2024〜2028年の予測期間における年間平均成長率(CAGR)は2.4%になると予測している旨。

中国の輸入でも、半導体の復調である。

◇中国輸入、1〜2月3.5%増;半導体・液晶パネルが復調 (3月8日付け 日経)
→中国税関総署が7日発表した2024年1〜2月の輸入(ドル建て)は前年同期比3.5%増えた旨。世界的に落ち込んでいたパソコン需要に底打ち感が出て、半導体や液晶パネルの調達が伸びた旨。国産シフトが進む化粧品などは落ち込んだ旨。

次に、米国製の対中国半導体輸出規制についてであるが、HuaweiおよびSMICが取り組むなど先端半導体関連が次の通りである。

◇SMIC unhindered by US sanctions as Chinese foundry strives toward 5nm (3月1日付け DIGITIMES)
→米国の貿易制裁と技術輸出規制の中、中国の大手ファウンドリー、SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)は売上げに大きな影響を受けていないだけではない旨。しかし、政府の産業政策とファーウェイからの大規模な顧客注文に支えられ、ファーウェイの7nmと今後の5nm半導体の生産ニーズに応えるため、12インチウェーハ生産ラインを積極的に拡張している旨。

◇Tech war: Huawei’s AI chip capabilities under intense scrutiny after market leader Nvidia taps it as potential rival (3月3日付け South China Morning Post)
→*ファーウェイのAscend 910B半導体はすでに本土で販売されており、Nvidiaの引っ張りだこのA100 GPUと同等の演算能力を持つと言われている旨。
 *半導体調査会社SemiAnalysisによると、中国が開発した半導体は、AIアルゴリズムのパワーという点で、NvidiaのA100に匹敵できる旨。

◇BYDだけではない、中国車メーカーが次々と半導体内製 (3月8日付け 日経 電子版 05:00)
→・新興メーカーを中心に自動運転用チップなどを内製化
 ・7nm品をすでに実用化、5nm品は2025年に搭載へ
 ・BYDや国内大手はパワー半導体に注力
中国の有力な自動車メーカーが半導体の内製化に次々と乗り出している旨。新興を中心に目立つのが、運転支援や自動運転に使うチップの自社開発。重要部品の内製志向が、電気自動車(EV)の基本性能を左右する電池やモーターからクルマの知能化を支える半導体へと広がりつつある旨。

規制しているにもかかわらずということか、米国政府のさらなる強化を図る気配がAMDのAI半導体に対して、以下の通りである。

◇AMD reportedly hits U.S. regulatory roadblock for China-tailored chip (3月5日付け CNBC)
→*AMDは、中国向け半導体販売に関する米国の貿易制限を回避できることを期待していた中国向け製半導体の輸出許可が必要になる、と報じられている旨。
 *このニュースは、米国の半導体企業が中国戦略を調整しようとし、米国の規制当局が貿易の抜け穴と見られるものを塞ごうと動いている中で、飛び込んできたものである旨。

◇AMDの中国向けAI半導体輸出、米政府が「待った」−関係者―中国以外で販売する製品より性能が低く輸出規制を満たす設計だった―性能が高過ぎるとしてBIS(Bureau of Industry and Security:米国商務省産業安全保障局)の許可を得る必要があると米当局は主張 (3月5日付け ブルームバーグ 日本語版)
→米半導体メーカー、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の中国市場向け人工知能(AI)半導体輸出が、米政府の介入で障害に直面していると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした旨。先端技術の対中輸出規制の一環の旨。
非公開情報を理由に関係者が匿名で語ったところでは、AMDは中国顧客向けのAIプロセッサー製品販売に米商務省から許可が得られると期待していた旨。同社が中国以外で販売する製品に比べ性能が劣り、米国の対中輸出規制を満たす設計になっていた旨。

◇AMD hits snag in China AI chip plans―US ROADBLOCK: To meet restrictions, AMD made the chip to have lower performance than what it sells outside of China, but officials in the US said it was still too powerful (3月6日付け Taipei Times)
→アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社(AMD)が、中国市場向けに開発された人工知能(AI)半導体を販売しようとしたところ、米国政府から止められた、とこの問題に詳しい関係者が語った旨。
AMDはAIプロセッサを中国の顧客に販売するため、米商務省から許可を得ることを望んでいた、とこの状況はプライベートなものであるため、身元を明かさないことを求めた該関係者。

米国政府の規制強化を図る要請が、同盟国、そしてまず我が国およびオランダに対して行われている。

◇US Urges Allies to Further Squeeze China on Chip Technology―Sources: US wants allies to follow its lead on China, chips (3月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国政府は、中国の半導体技術へのアクセスをさらに制限するよう同盟国に要請している、と情報筋は伝えている旨。オランダ、日本、韓国およびドイツなどの政府は、現在の制限の効果を見極めたいと考えている旨。

◇US wants allies to boost chip ban against China―Newly-suggested export ban has limited impact on China’s chip sector; it’s more like a political campaign (3月7日付け Asia Times)
→中国が今年、深紫外(DUV)露光機を使って5ナノメートルの半導体を大量生産するとメディアが報じたことを受け、アメリカは日本やオランダを含む同盟国に対し、半導体輸出の禁止を強化するよう求めた旨。
バイデン政権は日本企業に対し、フォトレジストを含む半導体製造用の特殊な化学薬品の中国への輸出を制限するよう求めている、とブルームバーグが水曜6日に関係者の話を引用して報じた旨。

◇米国の対中半導体規制、日蘭に強化要請;製造装置や材料 (3月8日付け 日経 電子版 07:09)
→米政府が中国への半導体輸出規制をめぐって、日本やオランダに対象を広げて監視を強めるよう求めたことが7日、わかった旨。これまで先端製品に限っていた半導体製造装置の販売制限を一部の中上位機にまで広げるほか、半導体をつくるのに欠かせない化学材料も含める旨。日本の関連メーカーの海外戦略に影響を及ぼす可能性がある旨。

オランダでの関連する動きが以下の通りである。

◇Dutch government scrambling to keep ASML in Netherlands―Report: Dutch government seeks to keep ASML at home (3月6日付け Reuters)
→オランダ政府は、半導体製造装置メーカーのASMLをオランダに残すべく、同社と交渉している旨。

◇Semiconductors a bright spot in Dutch startup landscape, report says (3月6日付け Reuters)
→Techleapによれば、オランダの半導体新興企業はベンチャーキャピタル(VC)からの資金をますます集めるようになっており、昨年は5年連続で増加し、$234 millionに達した旨。

◇Netherlands seeks to prevent ASML expansion abroad, report says (3月7日付け Taipei Times)
→オランダのビジネス環境に対する懸念が高まる中、退任するオランダ政府は、ヨーロッパで最も価値のあるテクノロジー企業がオランダ国外に進出しないよう、コードネーム「Beethoven(ベートーベン)」と呼ばれるタスクフォースを設置した旨。
Veldhoven(ヴェルドホーフェン)に本社を置くASMLホールディングNVは、内閣に対し、オランダ国内での事業展開に懸念を抱いていることを明らかにした、とこの情報は公開されていないため、身元を明かさないようにと求めたこの問題に詳しい政府関係者発。

我が国は、まだ新たには動かないスタンスである。

◇中国への半導体の輸出規制「新たな措置予定せず」経産相 (3月8日付け 日経 電子版 10:13)
→斎藤健経済産業相は8日の閣議後の記者会見で、米政府が中国への半導体輸出の規制強化を日本側に求めたとの報道を問われ「外交上のやりとりのため回答を差し控えたい」と述べた旨。日本が2023年7月に始めた輸出管理について「現時点で新しい措置をとることは予定していない」と語った旨。

米国は、半導体の国内製造の強化が急務であり、そのための補助金の配布関連の動きが続いている。

◇Chipmakers including Intel in 'tough negotiations' for Chips Act funds (3月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→連邦政府当局によれば、Chips Actの補助金は4〜6週間後に発表される予定の旨。

◇US Officials Face Tough Choices for Subsidizing AI Chip Manufacturing―Biden's AI chip drive efforts face challenges (3月6日付け U.S. News & World Report/Reuters)
→バイデン政権は、国内のAI半導体製造を促進するために数十億ドルを投資する計画を持っているが、台湾半導体製造(TSMC)、インテルおよびサムスン電子などの大手企業の間で資金をどのように配分するかを決定する際、厳しい選択に直面している旨。一部の専門家は、AI技術の変化は非常に速いため、2022年CHIPS and Science Actのもとで今日資金援助を受ける企業が明日のリーダーとは限らず、この政策はリスクの高い投資だと警告している旨。

◇Intel Stands to Win $3.5 Billion to Produce Chips for Military―Aides: Intel in line for $3.5B in military chip investment (3月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国は、インテル社に$3.5 billionを投資し、該半導体メーカーが防衛・諜報用半導体を生産できるようにする、と議会側近が語った旨。この資金は"secure enclave"プログラムの下に割り当てられ、$39 billionのCHIPS and Science Actの一部である旨。

以上、連動、そして絡み合う推移に引き続き注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□3月4日(月)

我が国の株価高騰の様相である。熱し加減、半導体が大きく絡んで、これも注目である。

◇日経平均株価、終値も4万円台;史上初 (日経 電子版 15:00)
→4日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、終値は前週末比198円41銭(0.5%)高の4万0109円23銭で終え、史上初の4万円台に乗せた旨。午前には上げ幅が400円を超え一時4万0300円台をつけた旨。前週末の米ハイテク株高を背景に、東京市場でも生成AI(人工知能)ブームに乗る半導体関連の銘柄が上昇を牽引した旨。

□3月5日(火)

最高値域にあって、前半2日は下げ、後半3日は上げた、今週の米国株式市場、AI半導体のNvidiaが引き続き引き合いに出されている。

◇NYダウ平均が反落、97ドル安;AppleはEU制裁で2.5%安 (日経 電子版 08:10)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比97ドル55セント(0.24%)安の3万8989ドル83セントで終えた旨。前週末に主要な株価指数が最高値を付けた後で、主力株を中心に利益確定売りが出た旨。もっとも、米経済が底堅さを維持するとの見方から下値では押し目買いも入った旨。

経済低迷の様相の中国、今年の成長目標が5%前後とあらわされている。

◇中国、成長目標「5%前後」で据え置き;全人代開幕 (日経 電子版 10:52)
→中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第2回会議が5日午前、北京の人民大会堂で開幕した旨。李強(リー・チャン)首相は2024年の実質経済成長率の目標を「5%前後」とし、2023年目標と同水準に据え置いた旨。不動産不況や消費低迷が続くなか積極財政を強める方針を強調した旨。

◇Chinese Stocks Extend Gains in Afternoon as ETF Turnover Spikes―China sets 5% growth target for 2024 ―Mainland-listed shares climb while those in Hong Kong fall―China's 5% growth target a disappointment to some investors (Bloomberg)
→中国は、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の経済成長率予測を上回る5%を今年の経済成長目標に掲げた旨。Li Qiang(李強)首相は、財政赤字目標と新たな中央政府特別国債を発表したが、より大きな景気刺激策を発表することはなかった旨。多くの中国株が上場している香港のHang Seng(ハンセン)指数は、投資家がこの発表に反応したため、本日2.7%下落した旨。

◇China Sets High Bar for Growth - and Turns to an Old Crisis Playbook―Beijing’s official target of 5% growth this year came alongside a rare issuance of special government bonds typically reserved for emergencies (The Wall Street Journal)

□3月6日(水)

◇NYダウが404ドル安;中国懸念、AppleなどIT株の重荷に (日経 電子版 07:45)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比404ドル64セント(1.03%)安の3万8585ドル19セントで終えた旨。1日としての下げ幅は2月13日(524ドル安)以来の大きさだった旨。中国での米アップルのスマートフォン販売減少や、米企業による中国向け半導体輸出が不許可になった報道など、中国市場にまつわる懸念が重荷となった旨。


□3月7日(木)

◇NYダウ反発、75ドル高;パウエル議長証言は想定内 (日経 電子版 07:04)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比75ドル86セント(0.19%)高の3万8661ドル05セントで終えた旨。前日までの2日間で500ドルあまり下げた後で、値ごろ感からの買いが先行した旨。午前のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言は、市場の想定の範囲内だったとの受け止めも買い安心感につながった旨。

□3月8日(金)

日米欧の中央銀行の金利を巡るそれぞれの現状である。

◇日米欧中銀、綱渡りの終盤戦;ECB総裁「利下げ議論まだ」 (日経 電子版 05:16)
→・米欧中銀、利上げ効果を見極める最終局面に
 ・市場は年央の利下げ織り込み、中銀との温度差縮小
 ・緩和出口探る日銀、「マイナス金利」3月解除に現実味
日米欧の中央銀行が市場と神経戦を続けている旨。米欧は利下げ転換、日銀はマイナス金利解除が次の一手との認識は共有しつつも、具体的な時期を示せないでいるため。

◇NYダウ続伸130ドル高;ハイテク株高、S&P500は最高値;NVIDIA一時4%高 (日経 電子版 07:25)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比130ドル30セント(0.33%)高の3万8791ドル35セントで終えた旨。米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの期待が相場の支えとなった旨。アナリストが投資判断や目標株価を引き上げたエヌビディアなど半導体株が上昇し、主要ハイテク株も全般に買われた旨。

□3月9日(土)

◇NY株、続伸 (熊本日日新聞)
→8日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は続伸し、午前10時現在は前日比158.29ドル高の3万8949.64ドルを付けた旨。
米労働省が朝方発表した2月の雇用統計で、失業率が前月から悪化したことを受け米連邦準備制度理事会(FRB)が今年半ばにも利下げを開始するとの見方が強まり、買い注文が広がった旨。


≪市場実態PickUp≫

【韓国半導体市場から】

SK HynixのAI向けHBMの一層強化を図る動きである。

◇SK Hynix Investing $1 Billion to Widen Lead in AI Memory Chips―SK Hynix looks to solidify HBM market lead with $1B investment (3月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→SK Hynixは、人工知能(AI)開発に不可欠なコンポーネントである広帯域メモリ(HBM)に対する急成長する需要をさらに取り込もうと、先進的な半導体実装への投資を拡大している旨。
Icheon(利川市)を拠点とするSKハイニックスは、半導体製造の最終工程を拡大・改善するため、今年韓国に$1 billion以上を投資する予定、とサムスン電子の元エンジニアで現在はSKハイニックスの実装開発責任者を務めるLee Kang-Wook(イ・ガンウク)氏は語った旨。

◇SK Hynix invests US$1 Billion in key AI memory chip technology―SK Hynix banks on advanced packaging for AI with $1B investment (3月7日付け DIGITIMES)
→SKハイニックスは、人工知能(AI)開発において重要な要素である広帯域メモリ(HBM)に対する急成長する需要をさらに取り込もうと、先端半導体実装への投資を拡大している旨。

◇SK Hynix invests US$1bn in key AI chip technology (3月8日付け Taipei Times)
→SKハイニックスは、人工知能(AI)開発において重要なコンポーネントである広帯域メモリー(HBM)の急成長する需要をさらに取り込もうと、先進的な半導体実装への投資を拡大している旨。

Samsungが、先端プロセスの名称を変更、「2nmプロセス」があらわされている。

◇Samsung reportedly renaming 2nd-gen 3nm process to '2nm' process (3月6日付け DIGITIMES)
→サムスン電子が第2世代3nmプロセスの名称を「2nmプロセス」に変更し、2024年後半に量産を開始する見込みであると報じられている旨。
サムスンが第2世代3nmプロセスの名称を2nmに変更するという噂は2023年末に浮上したが、ZDNet Koreaが業界筋の話を引用して報じたところによると、サムスンは2024年初めから「第2世代3nmプロセス」を「2nmプロセス」に名称変更することを顧客やパートナーに通知し始めた旨。

KAISTでのAI半導体の開発の取り組みである。

◇KAIST develops human brain-like AI chip―Korean researchers develop AI chip to mimic human brain (3月6日付け The Korea Times (Seoul))
→Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST:韓国科学技術院)の研究者が、消費電力を抑えながら超高速でデータを処理するAI半導体を発表し、ニューロモーフィック・コンピューティング・システムを人間の脳の機能と構造になぞらえている旨。該相補変換型AI半導体技術は、サムスン電子の28ナノメートル・プロセスを使用している旨。


【AI関連起訴&提訴】

AI機密を盗んだとして、Googleの中国籍元社員が米国司法省により起訴されている。

◇米司法省、Googleの中国籍元社員起訴;AI機密窃取疑い (3月7日付け 日経 電子版 12:01)
→米司法省は6日、人工知能(AI)に関する機密情報を米グーグルから盗んだとして、中国籍の同社元社員(38)を起訴したと発表、機密情報を記録した500を超すファイルを不正に持ち出して中国企業に横流ししたほか、自らの起業に使おうとした疑いが持たれている旨。

◇Former Google engineer charged with stealing AI trade secrets (3月6日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→声明によると、"盗んだとされる技術は、グーグルの高度なスーパーコンピューティング・データセンターの構成要素に関わるもので、大規模なAIモデルの訓練やホスティングに使用される機械学習(ML)ワークロードをサポートするように設計されている"旨。
この中国人は "アメリカのイノベーション "を盗んだ罪で起訴された旨。

◇Ex-Google engineer Linwei Ding charged with stealing AI secrets to aid Chinese companies (3月7日付け South China Morning Post)
→*中国籍のDing(ディン)氏は、4件の連邦企業秘密窃盗容疑でカリフォルニア州で逮捕され、それぞれ最高10年の禁固刑に処される旨。
 *スーパーコンピューティング・データセンターの機密情報にアクセスしていたDing(丁)氏は、グーグル社に開示することなく、中国国内の企業と協力していたと言われている旨。

◇Google engineer charged with AI theft for Chinese firms (3月8日付け Taipei Times)
→米アルファベット社のグーグルに勤務する中国人ソフトウェア・エンジニアが、同社のスーパーコンピューティング・データセンターから人工知能(AI)開発の企業秘密を盗んだとして、米司法省に起訴された旨。

マイクロソフトのエンジニアが、同社のAI画像ジェネレーターについての問題で以下の通り訴えている。

◇Microsoft engineer warns company’s AI tool creates violent, sexual images, ignores copyrights (3月7日付け CNBC)
→*マイクロソフト社に6年間勤務しているShane Jones(シェーン・ジョーンズ)氏は、空き時間に同社のAI画像ジェネレーターをテストしており、その結果に心を痛めているとCNBCに語った旨。
 *同氏はマイクロソフト社に、この製品であるCopilot Designerが作成する性的で暴力的なコンテンツについて警告しているが、同社は適切な対応をしていない旨。
 *水曜6日、ジョーンズ氏はこの問題をエスカレートさせ、FTCのLina Khan(リナ・カーン)委員長とマイクロソフト社の取締役会に書簡を送り、CNBCに見せられた旨。


【インドの取り組み】

先週の前回も取り上げているが、半導体製造に本格的に取り組むインドに関連する内容が、以下の通り続いている。

◇India approves three chip plants with over $15 billion in investments to realize semiconductor ambitions (2月29日付け CNBC)
→*インドは、米国、台湾および韓国のような主要な半導体ハブになるという野望を抱いており、外国企業の進出を誘致している旨。
 *「インド半導体ミッションは短期間で4つの大きな成功を収めた。これらのユニットにより、半導体エコシステムはインドで確立されるだろう」とインド政府は報道声明で述べた旨。
 *インドは2023年6月、マイクロンがSanand, Gujarat(グジャラート州サナンド)に半導体工場を設立することを承認した旨。

◇Renesas signs up for OSAT JV in India―Renesas joining OSAT venture in India ―Renesas Electronics is part of a consortium building an OSAT (outsourced semiconductor assembly and test) facility at Sanand near Ahmedabad in Gujarat India. (3月1日付け Electronics Weekly (UK))
→ルネサスエレクトロニクスは、インドのGujarat(グジャラート)州でのoutsourced semiconductor assembly and test(OSAT)拠点に向けた契約を締結した旨。この合弁会社には、エンジニアリングコングロマリットであるCG Power and Industrial Solutions社と、タイのOSATプロバイダーであるStars Microelectronics社が参加している旨。

◇How India’s first semiconductor fabrication plant can help plug in to global value chain (3月1日付け The Indian Express)
→この工場は、タタ・グループと台湾のPSMCによるもので、多くの産業向けに半導体ウエハーを製造する専業ファウンドリーとして開発される予定である旨。高性能コンピューティング(HPC)、ディスプレイ・ドライバおよびマイクロコントローラ(MCU)などが含まれる旨。

◇Tata-PSMC, CG Power-Renesas chip projects approved by India (3月1日付け DIGITIMES)
→インドは、マイクロン社のATMP拠点に続き、さらに3つの半導体製造プロジェクトを承認し、そのうち2つはタタ社が提案しているもの、インドは半導体製造のハブを築きつつある旨。

◇India gearing up to be a chip-making powerhouse―India to build fabs with Taiwanese, Japanese and Thai partners with an eye on winning 10% of global chip market by 2030 (3月6日付け Asia Times)
→タタ・エレクトロニクスは、競争力のある国内半導体産業の確立という国の目標に向けた大きな一歩として、前工程の半導体ウェハ製造施設と後工程のパッケージング・テスト施設の両方をインドに建設する計画である旨。台湾のファウンドリーPowerchip Semiconductor Manufacturing Corporation(PSMC)と共同で、タタ・エレクトロニクスはインド初の300mm半導体ウェハー工場の建設を開始する予定である旨。

インドとオランダの接近があらわされている。

◇India and the Netherlands join hands on semiconductor opportunities (3月7日付け DIGITIMES)
→インドとオランダが共同開発した報告書によると、両国は半導体分野で手を結ぶことになる旨。
Economic Times、CXO Today、およびManufacturing Todayによると、India Electronics and Semiconductor Association(IESA)と在インドオランダ大使館傘下のNetherlands Innovation Networkは、報告書"Indi-Dutch Semiconductor Opportunities"を発表した旨。


【Newport Wafer Fabの買収】

英国の200mm半導体工場、Newport Wafer Fabが、中国企業傘下のNexperiaに買収され、英国政府が反対した1件である。米国のVishayが該工場を買収、Newport Vishayとして新たにスタートする模様である。

◇Newport Wafer Fab: Semiconductor plant takeover gets go-ahead―Newport Wafer Fab takeover by Vishay approved in UK (3月1日付け BBC)
→米エレクトロニクス大手のVishay(ヴィッセイ)は、英国のNewport Wafer Fabの買収を承認され、同拠点をNewport Vishayと改称する旨。同社は同地での事業を拡大し、化合物半導体の開発に注力する計画。

◇Government approves Vishay takeover of Newport Wafer Fab (3月4日付け Electronics Weekly (UK))
→Oliver Dowden(オリバー・ダウデン)内閣府副首相兼国務長官により、ついにVishay(ヴィッセイ)によるNewport Wafer Fab買収に対する政府の同意が得られた旨。


【AIモデル関連】

AmazonおよびGoogleが支援する米スタートアップ、Anthropicによる最新改良版、Claude 3が、以下の通りである。

◇Anthropic, backed by Amazon and Google, debuts its most powerful chatbot yet (3月4日付け CNBC)
→*Anthropic社は月曜4日、チャットボットとAIモデル一式であるClaude 3を発表、最も高速で強力なものとしている旨。
 *元OpenAIの研究幹部によって設立された同社は、グーグル、セールスフォースおよびアマゾンなどの支援を受けており、過去1年間に5つの異なる資金調達案件を成立させ、その総額は約$7.3 billionにのぼる旨。
 *この新しいチャットボットは、ChatGPTの要約能力が約3,000語であるのに対し、最大約15万語、つまり長編の本を要約する能力を持っている旨。Anthropicはまた、初めて画像と文書のアップロードを行えるようにしている旨。

◇米アンソロピック、生成AI基盤技術を改良;ChatGPT対抗 (3月5日付け 日経 電子版 09:02)
→OpenAI の元メンバーによって設立された米スタートアップ企業のアンソロピック(Anthropic)は4日、生成AI(人工知能)の新しい技術基盤「クロード(Claude)3」を発表した旨。難しい回答への正答率が2倍になり、大学の学部生クラスの知識が求められる問題や数学などいくつかの指標で米オープンAIや米グーグルのAIの性能を上回ったとしている旨。各社の開発競争が激化している旨。

著作権保護されたコンテンツを生成する頻度について、調査結果があらわされている。

◇Researchers tested leading AI models for copyright infringement using popular books, and GPT-4 performed worst (3月6日付け CNBC)
→*元Metaの研究者によって設立されたAIモデル評価会社Patronus AIは水曜6日、主要なAIモデルが著作権保護されたコンテンツを生成する頻度を示す調査結果を発表した旨。
 *同社は、OpenAIのGPT-4、AnthropicのClaude 2、MetaのLlama 2およびMistral AIのMixtralをテストし、米国の著作権法で保護されている一般的な書籍からテキストを生成させた旨。
 *OpenAIのGPT-4は、著作権保護されたコンテンツを最も多く生成し、著作権保護されたテキストを含む書籍からのテキストを要求するプロンプトの平均44%に応答した旨。

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