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AI半導体を巡る戦略的な動き:Nvidia、OpenAI、SK HynixとTSMC連携...

AI(人工知能)需要増大を巡る様々な切り口の活発な動きが続いている。AI半導体について見ると、現状席巻しているNvidiaが新たなカスタムAI半導体部門をつくる計画が報じられている。ChatGPTで知られるOpenAIのCEO、Sam Altman氏は、新しいAI半導体プロジェクトに$7 trillionの途方もない資金が必要と、業界の景観を一新する取り組みである。そして、HBM3メモリで先行するSK HynixとTSMCが連携、AI向けHBM4の共同生産にもっていく動きで、Samsungへの対抗軸とも見られている。他にも、ソニーのAIデータ大量保存など関連する取り組みなど並行して随所にあらわれくる現時点である。
AI関連の新たな機能打ち上げの一方で、規制を図る動きも見られている。

長見晃の海外トピックス

≪AI需要増大の波へのそれぞれの対応≫

AI半導体を現状大きく引っ張るNvidiaであるが、新たなカスタムAI半導体部門をつくる動きが次のようにあらわされている。

◇Exclusive: Nvidia pursues $30 billion custom chip opportunity with new unit―Report: Nvidia plans to build custom AI chips with new unit (2月9日付け Reuters)
→エヌビディアは、クラウドコンピューティング企業向けの専門事業部門を通じて、カスタムAI半導体市場に$30 billionを割り当てると報じられている旨。AI半導体のリーダーである同社は、自社製品の代替品を求める企業から身を守ろうとしている、と報道されている旨。

◇Nvidia pursues US$30bn custom chip scheme―BESPOKE CHIPS: Nvidia aims to capture a portion of an exploding market for custom AI and cloud computing chips and shield itself from companies pursuing alternatives (2月11日付け Taipei Times)
→エヌビディア社は、クラウド・コンピューティング企業やその他の企業向けに、高度な人工知能(AI)プロセッサーを含む特注半導体の設計に焦点を当てた新しい事業部門を構築している、と同社の計画に詳しい9人の情報筋がロイターに語った旨。

同社の新たなGPU製品発表である。

◇Nvidia launches Ada Generation GPU with 19.9B transistors―Nvidia debuts RTX 2000 Ada Generation GPU for AI with 19.9B transistors (2月12日付け VentureBeat)
→1)Nvidiaは、AI加速設計とビジュアライゼーションの需要に応えるために設計されたグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、RTX 2000 Ada Generation GPUを発表した旨。
 2)199億個のトランジスタで構築されるRTXラインアップに加わったこの最新モデルは、性能、汎用性、およびAI対応能力をアピールし、さまざまな分野のプロフェッショナル向けのソリューションとして位置づけられている旨。

AI半導体ブームに乗って、Nvidiaの株式時価総額が以下の通り世界4位にまでなっている。

◇Nvidia is now worth more than Amazon thanks to the AI chip boom (2月13日付け CNBC)
→*火曜13日にエヌビディアの時価総額がアマゾンを上回った旨。
 *これは、最先端のAIを実行できる半導体に対する需要がいかに強いか、また半導体を製造する企業に対する投資家の意欲を示すもの。
 *エヌビディアの時価総額がアマゾンを上回ったのは、2002年以来初めてのこと。

◇NVIDIA時価総額、Amazonに並ぶ;AI追い風に270兆円 (2月13日付け 日経 電子版 02:46)
→米エヌビディアの時価総額が12日、一時米アマゾン・ドット・コムを抜いて世界時価総額ランキングで5位となった旨。生成AI(人工知能)ブームで同社が圧倒的なシェアを握る画像処理半導体(GPU)の需要が急速に高まったことで、テクノロジー大手の株式市場での勢力図が変わりつつある旨。

◇Nvidia replaces Alphabet as Wall St's third most valuable company―Nvidia passes Alphabet to become the third highest valued US firm (2月14日付け Reuters)
→エヌビディアは水曜14日、アマゾンを抜いた直後、グーグル親会社のアルファベットを抜き、米国で3番目に価値のある企業となった旨。
投資家は席巻するAI半導体メーカーの今後の四半期報告に注目した旨。

◇NVIDIA時価総額275兆円;アルファベット超え、世界4位 (2月15日付け 日経 電子版 10:34)
→米エヌビディアの時価総額が14日、米グーグルの親会社アルファベットを抜いて世界の時価総額ランキングで4位となった旨。13日には終値で米アマゾン・ドット・コムの時価総額も上回っており、生成AI(人工知能)の戦略が株式市場での評価を大きく左右する構図が鮮明になっている旨。

◇Chip giant Nvidia is worth more than Google owner Alphabet, a day after surpassing Amazon in value (2月15日付け CNBC)
→*エヌビディアの水曜14日の時価総額は約$1.83 trillionとなり、アルファベットの$1.82 trillionを上回った旨。
 *同社のプロセッサーの需要に後押しされた該株価は、AIから大きな売上げ伸長を達成した数少ない企業のひとつである旨。

AIの危険性が取り上げられる中、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏のコメントである。

◇Nvidia CEO says countries need own AI infrastructure (2月13日付け Taipei Times)
→*人工知能(AI): ジェンセン・フアン氏は、AIの危険性についての懸念は誇張されすぎていると述べ、すべての国が独自のインフラをできるだけ早く構築する必要があると付け加えた旨。
 *エヌビディア・コーポレーションの最高経営責任者(CEO)、ジェンセン・フアン氏は昨日、自国の文化を守りつつ経済的可能性を活用するために、すべての国が独自の人工知能(AI)インフラを持つ必要があると述べた旨。
ドバイで開催されたWorld Government Summitで、フアンCEOは「他の人々に任せられない(AIを他国に任せることはできない)」と語った旨。

NvidiaのAIスーパーコンピューターが、次の通り披露されている。

◇Nvidia provides the first public view of its fastest AI supercomputer ‐ Eos is powered by 4,608 H100 GPUs, tuned for generative AI―Nvidia unveils Eos AI supercomputer ―Eos is the world's 9th highest-preforming supercomputer. (2月15日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは、世界で9番目に高性能であり、純粋なAIワークロードでは最速のひとつであろうスーパーコンピューター、Eosのビデオを公開した旨。Eosは4,608個のH100グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)を搭載している旨。

次に、OpenAIのCEO、Sam Altman氏による半導体業界大改造を図るとも見られる動きである。新しいAI半導体プロジェクトに向けて、我が国GDPの倍にも匹敵する資金規模が謳われている。

◇OpenAI CEO Sam Altman seeks as much as $7 trillion for new AI chip project: Report (2月9日付け CNBC)
→*OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、数兆ドルの投資で世界の半導体業界をオーバーホールしたいと考えている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた旨。
 *同氏は、AI半導体の限界がOpenAIの成長を妨げていると述べており、このプロジェクトは半導体製造能力を世界的に向上させるものであるため、アラブ首長国連邦(UAE)政府を含む投資家と交渉中であると該ジャーナル紙は伝えている旨。
 *同氏はこのプロジェクトのために$5 trillionから$7 trillionの資金を調達する必要がある、と該Journal紙はある情報筋の話を引用して報じている旨。CNBCはこの数字を確認できなかった旨。

そこまでの投資は必要ない、とNvidiaのCEO、Jensen Huang氏である。

◇AI chips don’t need trillion-dollar investments: Nvidia CEO―Nvidia CEO says the AI chip industry won't need trillions ―Jensen Huang remarked on OpenAI CEO, Sam Altman’s plan to raise up to $7 trillion for an AI chip initiative, saying the amount assumes that computers won’t get faster. (2月12日付け Computerworld)
→Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは、AI半導体業界にはOpenAIのサム・アルトマンCEOが求めるようなレベルの投資は必要ない、と述べている旨。Huang氏は、"AIの民主化 "に対するNvidiaのアクセシビリティの重要性を指摘している旨。

AI応用に向けたHBM(High Bandwidth Memory:高帯域幅メモリ)について、標準化の段階を踏んでHBM3で先行しているSK Hynixが、TSMCと提携してAI向けHBM4を共同生産する動きが、以下の通りである。Samsungに対抗する戦線の可能性である。

◇[Exclusive] SK Hynix, TSMC 'Samsung Check Alliance'―Report: SK Hynix, TSMC form alliance for HBM4 production *HBM and Foundry's two No. 1 companies *Co-development of next-generation AI semiconductors *Against Samsung Electronics' Turnkey Strategy (2月8日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SKハイニックスと台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)は、AI向けHBM4を共同生産するための提携を結んだと報じられている旨。該AI半導体アライアンスは、"ワンチーム戦略 "の下、両社の足並みを揃えることが期待されている旨。
このAI半導体アライアンスは、サムスン電子に対抗する統一戦線を確立する次元のものと解釈されている旨。

◇TSMC and SK Hynix team up for HBM4 co-production: Report―TSMC and SK Hynix reportedly form 'AI Semiconductor Alliance.' (2月9日付け Tom's Hardware)
→HBM4メモリーは、2048ビット・インターフェースのおかげでピークメモリー帯域幅を飛躍的に向上させることが期待されており、帯域幅を必要とする人工知能(AI)やハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)プロセッサーにとって非常に有用となる旨。しかし、HBM4は、広帯域メモリの製造方法と統合方法に多くの変更を必要とするため、ロジックファウンドリとメモリメーカーの協力関係をさらに緊密にする必要がある旨。TSMCとSKハイニックスは確かにそのことを知っており、HBM4を共同生産するために提携を結んだと報じられている旨。

AIおよびHPC(High Performance Computing)応用が引っ張って、HBMの伸びがDRAMを上回るとの見方である。

◇HBM set to outpace overall DRAM growth―Yole: HBM market growth likely to outpace DRAM (2月13日付け Electronics Weekly (UK))
→1)Yole Developpementによると、高帯域幅メモリ(HBM)市場は今年$14 billionに成長する可能性があり、CAGR23-29は〜38%で、2029年には約$37.7 billionに達する旨。
 2)Yole Developpementによると、高帯域幅メモリ(HBM)分野は2024年に$14 billion増加し、DRAM市場を上回る可能性が高いと予測している旨。AIと高性能コンピューティング(HPC)がHBM市場の成長に拍車をかけている旨。

さらには、AIデータの大量保存に向けて、ソニーがSeagateと連携する動きである。

◇Sony to partner with Seagate on hard disk drives used for AI -Nikkei―Report: Sony, Seagate teaming up on HDD mass production (2月16日付け Reuters)
→日経新聞によると、ソニーはシーゲイト・テクノロジーと提携し、AI用途のハードディスク・ドライブ(HDDs)を量産する旨。Sony Semiconductor Solutionsは、30テラバイトのストレージを持つ3.5インチHDDs用のレーザーダイオードの生産を5月に開始する予定の旨。

◇Sony to make laser diodes that can help double hard drive capacity―Chip unit partners with Seagate Technology of the U.S. for 30TB disk (2月16日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇ソニー、HDD容量倍増;新半導体部品でAIデータ大量保存―【イブニングスクープ】 (2月16日付け 日経 電子版 18:00)
→ソニーグループは大容量ハードディスク駆動装置(HDD)向けに半導体レーザーを5月から量産する旨。半導体や光学技術を応用し、ディスク記憶容量を倍増させる技術を開発した旨。生成AI(人工知能)普及に伴い急増する情報を保持するデータセンターが世界的に不足している旨。ソニーの新技術が課題解決に貢献する旨。

競争と協調、そして規制、と日々相次いで見られるAI関連の動きを、以下取り出している。

◇Microsoft’s AI growth is helping its cloud business weaken Amazon's lead (2月12日付け CNBC)
→*マイクロソフトのクラウドは、OpenAIとの癒着もあって、ここ最近アマゾン・ウェブ・サービスを大きく上回るペースで成長している旨。
 *アナリストらは、5年前にはAWSの約半分の規模だったAzureが、今では4分の3の規模になっていると推定している旨。
 *AWSの前年同期比13%の成長に対し、Azureの売上は四半期で30%増加した旨。

◇Google doesn't want to be outsmarted by Apple again and is ensuring that TSMC & Samsung will deliver 2nm chips on time for 2025 (2月13日付け Patently Apple)
→グーグル、TSMCとサムスンから2nmチップをタイムリーに供給する努力を強化。

◇ソフトバンク、NVIDIAと連携;AI基地局で業界団体設立 (2月14日付け 日経 電子版 02:39)
→ソフトバンクグループ(SBG)の国内通信会社ソフトバンクが携帯電話の基地局に人工知能(AI)を搭載してデータ処理を分散させる技術の実用化に向け、米エヌビディアなどと業界団体を設立することが分かった旨。AIを活用して通信量(トラフィック)が特定の基地局に集中するのを防ぐほか、基地局の電力削減につなげる技術の実用化を目指す旨。
新団体「AI-RANアライアンス」を立ち上げる旨。エヌビディアのほか、スウェーデンの通信機器大手エリクソンやフィンランドのノキアなど10社程度が参加する見通し。AIを活用した基地局の技術を世界で標準化していくとみられる旨。

◇生成AI法規制、政府に促す;自民が偽情報や権利侵害防止 (2月15日付け 日経 電子版 17:00)
→自民党は文章や画像を作ることができる生成AI(人工知能)に関する法規制の制定を政府に促す報告書をまとめる旨。開発や活用に関するルールを整備し、違反時には罰則を設けることで偽情報の拡散や権利侵害を防ぐ旨。先行する米欧などと足並みをそろえる旨。
政府にAI推進基本法(仮)を2024年中にも整備するよう働きかける旨。生成AIは所管省庁が曖昧になっている旨。

◇グーグル、生成AI技術改良;情報処理30倍 (2月16日付け 日経)
→米グーグルは15日、生成AI(人工知能)の基盤技術である大規模言語モデル(LLM)を改良し、同日から提供を始めたと発表、一度に処理できる情報の量を従来の30倍以上に増やし、映画から目的のシーンを瞬時に見つけるといったことを可能にする旨。消費電力も抑え、米オープンAIなどに対抗する旨。

◇OpenAIが動画生成モデル「Sora」公開;文章で指示 (2月16日付け 日経 電子版 07:53)
→対話型AI(人工知能)「ChatGPT」を手がける米オープンAIは15日、自社開発のAIが生成した動画を公開した旨。人物や背景などを文章で指示するとAIが動画を作る旨。まずは専門家を交えて悪用されるリスクを検証する旨。サービスとして提供する時期は明らかにしていない旨。
動画を作成するAIモデル「Sora(ソラ)」を開発していると明らかにした旨。文章で指示すると、最長1分の動画を作れる旨。

◇Microsoft、ドイツでAIインフラに5200億円投資 (2月16日付け 日経 電子版 08:04)
→米マイクロソフトは15日、ドイツで人工知能(AI)に使うインフラに今後2年間で32億ユーロ(約5200億円)を投資すると発表した旨。生成AIで使うデータを欧州内で処理することで、プライバシー対策をアピールし、規制強化に備える狙いがある旨。

◇IT大手20社、AIの選挙妨害対策で協定;大型選挙ひかえ (2月17日付け 日経 電子版 04:05)
→米マイクロソフトやメタ、オープンAIなど世界の大手テクノロジー企業20社は16日、生成人工知能(AI)による偽情報コンテンツが世界各地で今年実施される選挙を妨害しないよう協力すると発表、同日のミュンヘン安全保障会議で協定を結び、対策を急ぐ方針を確認した旨。

AI関連、とりわけAI半導体を巡る戦略的な動きの推移に引き続き注目するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□2月13日(火)

消費者物価指数(CPI)および卸売物価指数(PPI)の予想を上回る伸びで、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退、最高値の水準の上げ下げ推移の中で下げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、125ドル高;英アーム株一時4割高 (日経 電子版 07:08)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前週末比125ドル69セント(0.32%)高の3万8797ドル38セントと最高値で終えた旨。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が相場を押し上げた旨。半面、ハイテク株を中心に利益確定売りが出たのは相場の重荷だった旨。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、先週に好決算を発表した英半導体設計のアーム・ホールディングスは一時4割高と大幅に上昇。他の半導体株も強含み、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は午前に一時1万6080と2021年11月に付けた最高値を上回った旨。

◇Hotter-Than-Expected Inflation Clouds Rate-Cut Outlook―US CPI up more than expected in Jan. ―Consumer prices rose 3.1% in January, ahead of economist forecasts (The Wall Street Journal)
→米労働省が発表した1月の消費者物価は予想以上に上昇した旨。消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇、12ヵ月ベースでは3.1%となった旨。エコノミストは0.2%の上昇、年率2.9%の上昇を予想していた旨。コアCPIも0.4%上昇した旨。このニュースを受けて株価先物は下落し、10年債利回りは4.297%まで上昇した旨。


□2月14日(水)

◇米CPI、遠い2%目標;大統領「ステルス値上げ」批判 (日経 電子版 04:57)
→米労働省が13日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は市場が予想した「3%割れ」を実現できなかった旨。11月の次期大統領選を控え、インフレ鎮圧の勝利宣言と利下げを待ち望む政権には焦りがにじむ旨。バイデン大統領は怒りの矛先を企業に向けようと「ステルス値上げ」批判を展開し始めた旨。

◇NYダウ524ドル安;粘着インフレ「適温相場」に冷や水 (日経 電子版 06:45)
→13日の米株式市場で主要な株価指数であるダウ工業株30種平均は反落し、前日比524ドル(1.4%)安の3万8272ドルで終えた旨。米労働省が同日発表した1月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退した旨。日米金利差を意識した円売り・ドル買いが広がり、円相場は1ドル=150円80銭台まで下落した旨。

□2月15日(木)

◇NYダウ反発、151ドル高;FRB幹部が利下げ支持発言 (日経 電子版 07:10)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比151ドル52セント(0.39%)高の3万8424ドル27セントで終えた旨。前日に大きく下げた後で、ハイテク株や景気敏感株の一角に押し目買いが入った旨。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待などから引けにかけて買いの勢いが強まり、この日の高値圏で引けた旨。

昨年、2023年の我が国の名目GDPが、ドイツに抜かれて4位に後退である。

◇名目GDP、ドイツに抜かれ4位;2023年4兆2106億ドル (日経 電子版 10:43)
→2023年のドル建ての名目国内総生産(GDP)は日本がドイツに抜かれ、世界4位に後退した旨。内閣府が23年のGDP速報値をドル換算したところ、日本は4兆2106億ドルで、ドイツは4兆4561億ドルだった旨。外国為替や物価などの要因で逆転された旨。
日本は1968年に国民総生産(GNP)で西ドイツ(当時)を抜いている旨。ドイツの経済規模を下回るのはおよそ半世紀ぶりとなる旨。日本は名目GDPで2010年に中国に抜かれ、世界2位から3位に転落していた旨。

□2月16日(金)

米国の値上げと消費、どこまで耐えられるのか。先行きのアラームがあらわされている。

◇米消費に失速兆候;1月小売り0.8%減、迫る値上げの限界 (日経 電子版 06:44)
→米商務省が15日発表した1月の小売売上高(速報値、季節調整済み)は前月比0.8%減と、市場予想(0.3%減)を大きく下回った旨。相次ぐ値上げが消費者の購買意欲を冷やしており、消費が失速する恐れが出てきた旨。客離れを恐れる企業は値上げを抑える代わりにリストラを迫られている旨。景気の軟着陸に向け米経済は難しい局面を迎えている旨。

◇NYダウ続伸、348ドル高;S&P500は最高値更新 (日経 電子版 06:55)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比348ドル85セント(0.90%)高の3万8773ドル12セントで終えた旨。1月の米消費者物価指数(CPI)を受けて今週大きく下げる場面があり、15日は景気敏感株を中心に押し目買いが続いた旨。米長期金利が低下(長期債価格が上昇)し、株式の相対的な割高感が薄れたことも相場を支えた旨。

□2月17日(土)

◇NYダウ反落、145ドル安;FRBの早期利下げ観測が後退 (日経 電子版 06:52)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比145ドル13セント(0.37%)安の3万8627ドル99セントで終えた旨。同日発表の1月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退した旨。米長期金利が上昇(債券価格は下落)し、株式の相対的な割高感が意識されたのも相場の重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国の半導体強化】

米国の技術的リーダーシップ維持・強化に向けて設けられたNational Semiconductor Technology Center(NSTC)への米国政府による資金提供について、前回も少し触れたが、業界各紙の取り上げが以下の通り続いている。

◇US to invest $5B in chip R&D through new public-private consortium (2月9日付け FierceElectronics)
→1)ジーナ・ライモンド米商務長官を含むホワイトハウス当局者は、新しい半導体技術の商業化にかかる時間とコストを削減する方法など、半導体の研究開発に専念する官民コンソーシアムである新しいNational Semiconductor Technology Center(NSTC)への$5 billionの資金提供を発表した旨。
 2)バイデン政権は金曜9日、CHIPS法の$5 billion以上の資金を、労働力の必要性を含む半導体関連研究に充てると発表し、そのほぼ全額を新しいNational Semiconductor Technology Center(NSTC)に充てることを明らかにした旨。

◇White House touts $11 billion US semiconductor R&D program―White House plans $5B investment in semiconductor R&D (2月9日付け Reuters)
→ホワイトハウスは、米国における半導体設計およびハードウェア革新を後押しすることを目的とした$5 billionの半導体研究コンソーシアム、National Semiconductor Technology Center(NSTC)の計画を発表した旨。2022 Chips Actの一部である該NSTCは、米国の研究エコシステムにおけるギャップに対処し、中国に対抗するため、人材育成および研究助成金に投資する旨。

◇US to Launch $5 Billion Research Hub in China Chips Race―Officials seek to prevent China from benefiting from funding―R&D effort seeks to fill hardware, packaging innovation gaps (2月9日付け Bloomberg)
→ジョー・バイデン大統領の政権は、$5 billionの半導体研究コンソーシアムを立ち上げ、米国内の半導体設計とハードウェアの技術革新を強化し、業界の最先端を狙う中国の動きに対抗する計画である旨。

◇US announces US$5bn for computer chip R&D (2月11日付け Taipei Times)
→ジョー・バイデン米大統領政権は金曜9日、先端コンピューター半導体の研究開発を支援する目的で新設された官民コンソーシアムに$5 billionを投資すると発表した旨。


【インドにおける半導体関連】

イスラエル・Tower Semiconductorによる半導体製造工場のインド設立提案である。

◇Israeli chipmaker Tower closes in on $8 billion fabrication plant in India―Tower's proposed $8B fab in India eyed as major boost for New Delhi (2月12日付け The Indian Express (India))
→イスラエルの半導体製造会社、Tower Semiconductorは、約$8 billion相当の半導体製造工場をインドに設立する提案書を提出した旨。政府はその提案を評価中で、今年の総選挙を前にモデル行動規範が施行される前にクリアしたいとしている旨。
タワー社の提案が政府に受理されれば、インドの$10 billion規模の半導体製造計画に参加する最初の半導体製造会社となり、ニューデリーの半導体製造の野望を大きく後押しすることになる旨。

インドの輸入規制に関わる以下の内容である。

◇Xiaomi says ‘confidence building’ measures needed from India after Delhi’s scrutiny of Chinese firms unnerves suppliers (2月12日付け South China Morning Post)
→*Xiaomiが、シャオミ・インディア社長の書簡で、さらなる輸入関税引き下げと部品への優遇措置を求めている旨。
 *インドは、2020年の両国間の国境紛争以来、中国関連の投資を注視している旨。

◇台湾PC大手2社、インドで増産;輸入規制に対応 (2月14日付け 日経)
→台湾パソコン大手の宏碁(エイサー)と華碩電脳(エイスース)はインドでの生産を拡大する方針。インド政府が国内ハイテク産業の育成のため、輸入規制の強化を検討していることが背景にある旨。

インドのスマホ市場の現況である。

◇India’s Smartphone Market Grew by 1% YoY in 2023 to 146 Million Units, says IDC―IDC estimates a flat to low single digit annual growth for India’s Smartphone Market in 2024 (2月13日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC)のWorldwide Quarterly Mobile Phone Trackerによると、インドのスマートフォン市場は2023年に1億4600万台のスマートフォンを出荷し、YoY(前年比)成長率は公称1%である旨。

今後のインドの世界半導体業界におけるプレゼンス確立&向上に向けたアプローチが、以下の通りあらわされている。

◇New Report Suggests India Can Expand Role in Global Semiconductor Value Chains with the Right Policies (2月14日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)とIndia Electronics and Semiconductor Association(IESA)は本日、インドの既存の半導体エコシステムと政策枠組みを評価し、米国とインドにおける補完的な半導体エコシステムの長期的な戦略開発を促進するための提言を提供する報告書のリリースを歓迎した旨。該報告書「Assessing India's Readiness to Assume a Greater Role in Global Semiconductor Value Chains」は、Information Technology and Innovation Foundation(ITIF)が執筆した旨。この報告書は、SIAとIESAが米印Initiative on Critical and Emerging Technology(iCET)を通じて委託したもので、この戦略的分野における商業的関係を深めるための政府の取り組みに情報を提供するものである旨。

◇New Report Suggests India Can Expand Role in Global Semiconductor Value Chains with the Right Policies (2月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇US think tank urges India to bolster semiconductor investment appeal―India has a long road to becoming a chip leader, report says (2月16日付け DIGITIMES)
→米国のシンクタンクであるInformation Technology and Innovation Foundationは、世界の半導体バリューチェーンにおけるインドの地位向上への野望を概説し、インドに規制の状況を検討し、米国と協力するよう促している旨。同レポートは、インドが$10 billionの補助金計画を掲げているにもかかわらず、2029年までに5つの半導体工場を提供するに過ぎないと予測している旨。

◇India won't become a semiconductor superpower anytime soon, says think tank―$10 billion subsidies predicted to deliver just five modest fabs by 2029 (2月16日付け The Register (UK))

◇India Riding Wave of Confidence with Chip Design Ecosystem (2月16日付け EE Times India)
→EE TimesはInCoreのMadhusudan G.S.氏に、インドがいかにして世界の半導体設計大国になれるかについて話を聞いた旨。


【ASML関連】

オランダ・ASMLの最先端「High NA EUV」装置の現状、そして地政学的摩擦の渦中に置かれた状況が以下の通りである。

◇ASML's next chip challenge: rollout of its new $350 mln 'High NA EUV' machine―ASML gears up $350M next-gen EUV machine production (2月9日付け Reuters)
→ASMLは、$350 millionを投じて「High NA EUV」マシンの生産を拡大する中で、極端紫外線(EUV)フォトリソグラフィ市場でのリードを維持したいと考えている旨。同社はこの装置をインテルなどの半導体メーカー向けにカスタマイズしている旨。

◇ASML shows off machine behind AI shift (2月11日付け Taipei Times)
→ASMLホールディングNVは、3億5000万ユーロ($380 million)を投じ、エアバスA320型機2機分の重量を誇る最新の半導体製造装置を披露している旨。メディア各社は金曜9日、High-NA極端紫外線(EUV)として知られるシステムの見学を行った旨。インテル社はすでにこの装置を発注し、12月下旬にオレゴン州の工場に最初の1台を出荷した旨。同社は来年後半にこの装置で半導体製造を開始する予定である旨。

◇ASML says geopolitics, new export restrictions remain risks―ASML sees business risks in growing export restrictions (2月14日付け Reuters)
→ASMLは年次報告書の中で、地政学的緊張と中国への輸出規制を事業上のリスクとして指摘した旨。ASMLは、「我々はまた、地政学的背景の中で自給自足という野心に駆られた競合他社だけでなく、大きな資金力を持つ新たな競合他社との競争にも直面している」と指摘した旨。


【中国半導体業界関連】

台湾の駐米代表による中国半導体業界の見方である。

◇China ‘cheats’ to lead in tech: official―RELATIONS: Representative to the US Alexander Yui said Taipei welcomes any help from the US and enjoys the friendship of both Republicans and Democrats (2月9日付け Taipei Times)
→Alexander Yui駐米代表は水曜7日、中国は半導体技術で台湾と肩を並べようと "ごまかし "や "盗み "を行ってきたが、巨額の投資にもかかわらず、まだ成功していないと述べるとともに、台湾の対米半導体投資が増えるとの見通しを示した旨。

他方、米国に波紋を生じつつある中国半導体業界の推進力である。

◇China’s chip industry is gaining momentum ― it could alter the global economic and security landscape (2月13日付け The Conversation)
→中国のコンピューター・チップ(半導体)設計・製造のナショナル・チャンピオンであるHiSiliconとセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)が、ワシントンで波紋を広げている旨。
SMICは長い間、遅れをとっていると考えられていた旨。2000年の設立以来、中国政府から何十億ドルもの資金援助を受けているにもかかわらず、技術的フロンティアからはほど遠い存在だった旨。しかし、その認識-そしてそれが米国に与えた自己肯定感-は変わりつつある旨。

◇China's chip industry is gaining indisputable momentum―The ‘chip war’ is all about economic and security dominance, and US moves so far haven't stopped China's ascent to the high-tech frontier (2月14日付け Asia Times)

EV個体電池開発に向けた中国でのコンソーシアム結成である。

◇China consortium formed to push solid state EV battery development―China group races to develop solid-state battery supply (2月13日付け Electronics Weekly (UK))
→1)中国は、他国が中国より先に固体電池を搭載したEVsを発売した場合、自国のEV産業が競争力を失うことを懸念し、この技術を推進するために固体電池開発者のコンソーシアムを結成した旨。
 2)中国のコンソーシアムが、この10年以内に電気自動車用の固体電池のサプライチェーンを開発することを目指している旨。該China All-Solid-State Battery Collaborative Innovation Platform(CASIP)には、中国科学院、CATL、BYD子会社のFinDreams BatteryおよびCALBが参加している旨。

中国の経済低迷が影を落とす現状がここでもあらわされている。

◇China slump drags on for Japan's chip and component suppliers―Inventories are shrinking, but consumer demand lags (2月13日付け Nikkei Asia)
→日本の電子部品と半導体の出荷は回復し始めているが、中国の個人消費が依然低迷しているため、業界関係者は2024年前半は緩やかな回復にとどまると見ている旨。


【ルネサスエレクトロニクス関係】

こんどは顧客設計対応の開発環境強化に向けた米国ソフトウエア会社の買収である。さらに様変わりの段階推移を感じている。

◇Japan chipmaker Renesas to buy software firm Altium for $5.9 bln―Renesas Electronics to spend $5.9B to acquire Altium for device design (2月14日付け Reuters)

◇半導体、ソフトが主戦場;ルネサスが9000億円で米社買収 (2月15日付け 日経 電子版 11:49)
→ルネサスエレクトロニクスは15日、米ソフトウエア会社のアルティウム(Altium:米カリフォルニア州)を2024年後半に91億豪ドル(約8900億円)で買収すると発表した旨。同社は半導体を載せる電子基板を設計するソフトウエアを提供する旨。半導体業界では半導体の品ぞろえから、顧客の設計開発環境をどう充実させるかに競争軸が移っている旨。ソフトが主戦場になるなかで、ルネサスは勝ち残りへの一手を打ち出した旨。

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