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米国半導体製造強化関連の進展および米中摩擦の各国への影響の現況

米国国内の半導体製造強化、および主として米中摩擦からくる米国の輸出規制は表裏一体を成す安全保障に向けた戦略的な取り組みであるが、前者の米国「チップス法」による補助金交付を巡る動きが依然目につく一方、対中国を意識した規制のさらなる動きが並行している現時点である。補助金の配分がなかなか決まらないとして、インテルはオハイオ州での工場建設を遅らせる動きが見られている。また、米国の半導体装置輸出規制は「公平な競争条件」を確保する上で見直しが必要、と米国・SIAが米国政府に求めている。
国内の半導体製造強化に向けて国内外各社に補助金を配分していく段取りの一方で、輸出規制強化の施し具合に追われる現状が見え隠れしている。

長見晃の海外トピックス

≪促進と引き締めの舵取り≫

CHIPS and Science Act、すなわち米国「チップス法」による米国国内の半導体製造強化に向けた補助金の支給スケジュール関係の内容が、以下の通りあらわされている。

◇Eager for Economic Wins, Biden to Announce Billions for Advanced Chips―US prepares to award billions in chip subsidies―Industry, lawmakers worry semiconductor production could take years because of negotiations, permitting and worker shortages (1月27日付け The Wall Street Journal)
→バイデン政権は、先端半導体補助金を通じて米国半導体産業に数十億ドルを投資する予定である旨。インテルと台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)など、この助成金の恩恵を受ける企業である旨。

◇U.S. to reportedly announce billions of dollars in subsidies for advanced chips (1月28日付け CNBC)
→バイデン政権は、インテル社および台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)を含む半導体トップ企業に対し、数週間以内に数十億ドルの補助金を交付し、米国内での工場新設を支援する見通しであると、土曜27日のウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている旨。

◇US to award chip fab grants in March―DECONCENTRATION: About a dozen grants from US$39 billion in CHIPS and Science Act-related funds are to be announced for US fabs in an effort to shift Asian supply risk (1月29日付け Taipei Times)
→米国は3月末までに大規模な半導体補助金を発表する予定であると、この計画に詳しい関係者が語り、国内生産を活性化させるため、半導体メーカーに何十億ドルもの資金を提供する道を開くものである旨。
この助成金は、インテル社やその他の半導体メーカーに贈られる予定で、米国の製造業を活性化させるために直接助成金として$39 billionを確保した米国の2022年CHIPSおよび科学法の中心的な部分である旨。

中国からの本件の見方である。

◇US' calculations loss-leading for chip industry: China Daily editorial (1月29日付け China Daily.com.cn)
→ジョー・バイデン政権が強調する "特徴的な経済イニシアティブ"が、暗い色合いを帯び続けている旨。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、同政権は今後数週間以内に、大手半導体企業に対して数十億ドルの補助金を支給し、新工場の建設を支援する予定の旨。
この補助金は$53 billion規模の「チップス法」の一部であり、先端マイクロチップの生産を米国内に取り戻し、独自の半導体産業を急速に発展させている中国本土を撃退することを目的としている旨。該報道は業界専門家の話として、この資金援助は人工知能(AI)や兵器システム用途の先端半導体製造の開始を目的としており、バイデン政権の戦争欲を考えれば驚くには当たらないと述べている旨。

米国「チップス法」に関連する内容が、並行して以下の通りである。

◇The chip industry's dirty little secret: It's very dirty (1月29日付け Fortune)
→CHIPS法は、半導体工場が環境に与える影響を軽減することを目的とし、水や電力の使用量、炭素排出量などに関する懸念に対処するものである旨。

欧州EUの「チップス法」については、以下の否定的な見方である。

◇EU chip goal ‘totally unrealistic’ says ASML CEO―ASML CEO Peter Wennink: EU's chip goal "totally unrealistic" (1月29日付け Electronics Weekly (UK))
→2030年までに欧州メーカーの世界市場シェア20%を達成するというEUの$43 billion規模の「Chips Act(チップス法)」の目標は、「まったく非現実的」とASMLのCEO、Peter Wennink(ピーター・ウェンニンク)氏。

TSMCのアリゾナ工場について、米国政府が労働力需要対応への配慮である。

◇TSMC announces new apprenticeship program to grow semiconductor technician talent (1月30日付け Chamber Business News)
→Biden政権の高官が先週Phoenixを訪れ、TSMCによる半導体技術者志望者向けの新しい実習プログラム投資を発表した旨。このイニシアチブは、Phoenixがワークフォース・ハブとして指定された一環であり、Chips and Science Actの労働力需要に国が応えられるようにするホワイトハウスの計画に基づく集中重点地域である旨。

米国「チップス法」運用の上での税制法案の下院通過を、米国・SIAが称賛している。

◇SIA Applauds House Passage of Tax Relief for American Families and Workers Act (1月31日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)、SIA President and CEO、John Neuffer氏の声明を発表、今夜下院でTax Relief for American Families and Workers Actが可決されたことを称賛した旨。この法案には、半導体業界にとって重要な2つの条項、即座の国内R&D expensingの回復およびUnited States-Taiwan Expedited Double-Tax Relief Actが含まれている旨。該法案は357対70で可決された旨。
「Tax Relief for American Families and Workers Actは、技術革新を促進し、最大の貿易相手国の1つである台湾とのビジネスに対する障害を取り除くことにより、米国半導体産業を強化するものである。この法案は、米国内の研究開発費の即時控除を復活させ、米国と台湾間の税務問題を解決することを目的としている。この2つの条項は、米国半導体産業の競争力を高め、CHIPS and Science Actの潜在能力をフルに発揮するために極めて重要である。我々は、超党派の強力な支持を得て法案を承認した下院に拍手を送るとともに、上院が速やかに追随することを強く求める。」

TSMCが席巻する現状が改めてあらわされている。

◇The challenge of reviving US chip industry―You can subsidize semiconductor plants, but you can’t buy the skills to run them (1月31日付け Asia Times)
→半導体産業は米国で発明され発展してきたが、現在、最高性能の半導体のほとんどは台湾積体電路製造(TSMC)が製造しており、他社が設計したデバイスのチップ製造だけで年間$70 billion以上の売上げを上げている旨。

米国の半導体サプライチェーンの多様化が、フィリピンにも向けられている。

◇US to aid Philippines in development of semicon industry―US looks to Philippines to diversify semiconductor supply chain (2月1日付け The Philippine Star)
→米国国務省の関係者によると、米国はフィリピンを半導体サプライチェーンの多様化を目的とした$500 millionのプログラムの恩恵を受ける7カ国のうちの1つに指定し、フィリピンと協力して半導体産業を成長させようとしている旨。

インテルは、市場低迷の中、補助金の支給が遅れているとして、オハイオ州での工場建設を遅らせている。

◇Intel Delays $20 Billion Ohio Project, Citing Slow Chip Market―Intel reschedules $20B Ohio chipmaking project―Construction on two factories now slated to be finished in late 2026 as company also waits for government incentives (2月2日付け The Wall Street Journal)
→インテルは、来年生産を開始する予定だったオハイオ州の2つの半導体製造工場の建設を延期し、建設完了は今2026年後半となっている旨。インテルは、市場の低迷と米国政府の資金配分が予想以上に長引いていることを延期の理由として挙げている旨。

SK Hynixは、先端実装拠点の米国での立地を変える動きである。

◇Indiana poised to win a $15 billion chip packaging plant from South Korea’s SK Hynix that could solve a major bottleneck in the U.S. supply chain―SK Hynix set to pick Ind. instead of Ariz. for $15B packaging plant (2月2日付け Fortune)
→韓国の半導体メーカー、SKハイニックスは、米国初の大型投資としてアリゾナ州ではなくインディアナ州を選ぶ構え、$15 billionの先端実装拠点は、中西部と半導体サプライチェーンを構築する米国の努力にとって勝利となる旨。

次に、こんどは米国の引き締める方の動きであるが、まずは、AI半導体で注目のNvidiaのCEO、Jensen Huang氏が中国から台湾に移動、TSMCとのコンタクトである。

◇Heads of chip giants Nvidia, TSMC meet in Taiwan as tight chip supply threatens to hinder AI boom (1月26日付け South China Morning Post)
→*Nvidiaの創業者であるJensen Huang氏は、TSMCの創業者であるMorris Chang氏およびCEOのC.C. Wei氏と台北で会食し、半導体供給について話し合った旨。
 *台湾出身のホアン氏は、4年ぶりの中国本土訪問を終えて台北に到着し、台北のコンピュータ産業について語った旨。

◇Nvidia founder Jensen Huang meets with TSMC counterparts to discuss AI―NEW ERA: They met to discuss TSMC's role as producer of the Nvidia chips that power the majority of generative AI training systems worldwide, Huang told reporters in Taipei (1月27日付け Taipei Times)
→Nvidia Corpの最高経営責任者(CEO)であるJensen Huang氏は今週、台湾積体電路製造(TSMC、台電)の担当者と会談し、昨年盛り上がったAIブームに対する大きな課題である人工知能(AI)半導体供給の制約について話し合った旨。
世界で最も価値のある2つの半導体企業のトップは台北で夕食を共にしながら会談し、世界中の生成AIトレーニングシステムの大部分を動かすNvidia半導体の生産者としての該台湾企業の役割について議論したと、黄氏は台北で記者団に語った旨。

改めて知る米国半導体装置メーカーの中国向け売上げ比率である。

◇Tech war: strong China demand for chip tools bolsters revenue at Lam Research and ASML despite US trade sanctions (1月26日付け South China Morning Post)
→*ラム・リサーチ社、中国本土向け売上高が12月期総売上高$3.76 billionの40%を占める旨。
 *先端半導体装置へのアクセスを遮断することを目的とした米国の制裁強化にもかかわらず、中国の需要は底堅い旨。

韓国での中国向け輸出の露見例である。

◇Massive Operation Smuggling Semiconductors from US to China Uncovered―US-made chips stopped in S. Korea on way to China (1月26日付け BusinessKorea)
→韓国の税関当局は、韓国国内向けに輸入された米国製半導体を中国に移動させようとする大規模な密輸作戦を発見した旨。約10万個、約$11.6 million相当の半導体が密輸され、その約半分は戦略品目に分類される半導体であった旨。

米国商務省が、AI悪用阻止に向けた規制を施す動きである。

◇US proposes cloud computing rules with eye on China (1月28日付け Taipei Times)
→ジーナ・ライモンド米商務長官が金曜26日に語ったところによると、ホワイトハウスは米国のクラウド企業に対し、外国企業が人工知能(AI)モデルを訓練するために米国のデータセンターにアクセスしているかどうかを判断するよう求めることを提案している旨。
「非国家主体や中国など、我々のクラウドにアクセスしてモデルを訓練させることはできない」とライモンド長官はインタビューに答えた旨。

◇米、クラウド大手に海外顧客の報告義務;中国AI悪用阻止 (1月30日付け 日経 電子版 05:44)
→米商務省は29日、人工知能(AI)関連企業に海外顧客の報告を義務付ける制度案を発表した旨。クラウドを通じて米国の高度なAIサービスにアクセスしようとする中国企業を排除する狙い。AIを巡る米中分断が加速する可能性がある旨。
米グーグルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどのクラウド企業が対象になる旨。米企業だけでなく海外の再販業者にも適用する旨。

サプライチェーンの現地での混乱から、中国でのテスト装置製造を撤退に追い込まれた事例である。

◇Teradyne pulled $1 billion worth of manufacturing from China amid US export controls―Teradyne: US export controls led it to pull $1B from China (1月29日付け Reuters)
→マサチューセッツ州に本社を置く半導体テスト装置サプライヤーのテラダイン社は、米国の輸出規制の中でサプライチェーンが混乱したため、$1 billion相当の製造を中国から撤退したと発表した旨。テラダイン社によると、同社は中国での製造について緊急認可を得たが、一部の企業が中国への出荷を拒否したため、サプライチェーンに混乱が生じた旨。

米国の規制を受ける中国の半導体メーカーの苦境の実態である。

◇China’s top fabless chip firms estimate big 2023 losses despite push for greater self-sufficiency in semiconductors (1月31日付け South China Morning Post)
→*中国の半導体大手、Loongson Technologyは、2023年の業績低迷について、産業用半導体市場の軟調さと研究開発への多額の支出を挙げている旨。
 *厳しい米国制裁と中国企業の限られた製品カタログが国内半導体開発を妨げているとアナリストは指摘する旨。

Nvidiaは、中国向けに仕立てたグラフィックカードの予約を受けているとのこと。

◇Exclusive: Nvidia's new China-focused AI chip set to be sold at similar price to Huawei product―Nvidia's AI chip for China priced on par with Huawei's (2月1日付け Reuters)
→Nvidiaは、中国で販売するために開発されたH20グラフィックカードの予約注文を受け付けており、販売代理店はHuaweiのAscend 910B製品と同様の価格を設定している旨。

米国の半導体装置輸出規制は「公平な競争」を妨げていると、米国・SIAが米国政府に見直しの検討を求めている。

◇US industry group calls for multilateral chip export controls to address disadvantage over Korea, other allies―SIA urges US to revise chip export controls for fairness (2月1日付け The Korea Times (Seoul))
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は、商務省の産業安全保障局が一方的な半導体装置輸出規制を再考すべきであり、それは米国企業を不利な立場に置くものであるとしている旨。多国間規制は「公平な競争条件」を作り出し、米国企業が競争力を維持することを可能にする旨。

◇(LEAD)U.S. industry group calls for multilateral chip export controls to address disadvantage over S. Korea, other allies (2月1日付け Yonhap News Agency)
→米国の業界団体が、米国政府に対し、新たな多国間の半導体装置輸出規制を策定するよう要請した旨。現在の厳しい一方的な規制は、米国企業を韓国や他の国々のライバル企業よりも不利な立場に置くものであるとしている旨。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は1月17日、商務省傘下の産業安全保障局(BIS)に送った意見書の中で、「公平な競争条件」を確保するための新たな規制の必要性を強調した旨。

ロシアに欧米の先端半導体が流れているとの記事である。

◇Russia buying advanced US-made and EU-made ICs-Data shows Russia importing $1.7B in advanced chips from US, EU (2月2日付け Electronics Weekly (UK))
→ロシア税関の機密データを入手したブルームバーグによれば、ロシアは米国とEUで製造された先進的なICを入手している旨。

米国国防総省による中国半導体メーカーなどブラックリスト追加である。

◇US accuses Chinese memorychip maker, AI firms of aiding PLA (2月2日付け Taipei Times)
→米国国防総省は水曜31日、中国の大手メモリー半導体メーカーと、人工知能(AI)、エネルギーおよび自動車の各分野の著名企業を、アジア諸国の軍事を支援と非難する企業リストに加え、潜在的な国家安全保障上の脅威に対する同盟国への警告を意図したリストを拡大した旨。(注)PLA…中国人民解放軍

多岐にわたって、施しと規制の舵取りバランスの難しさを感じさせる、以上現時点である。引き続き推移に注目するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□1月30日(火)

中日に下げたものの、それ以外は連日の史上最高値、今週の米国株式市場が以下に示す通りである。

◇NYダウ続伸、224ドル高で連日の最高値;金利低下が支え (日経 電子版 07:00)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、前週末比224ドル02セント(0.58%)高の3万8333ドル45セントで終え、連日で最高値を更新した旨。米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが入った旨。もっとも、大型ハイテク銘柄の決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)を週内に控えて様子見の雰囲気も強く、ダウ平均は下げる場面もあった旨。

国際通貨基金(IMF)が、世界経済成長率予測を引き上げている。

◇世界経済「軟着陸に道筋」;IMF、2024年3.1%成長に上げ (日経 電子版 22:00)
→国際通貨基金(IMF)は30日、四半期に1度の経済見通しを公表、2024年の世界の実質経済成長率を前年並みの3.1%とし、2023年10月の前回予測から0.2ポイント引き上げた旨。景気を失速させずに物価上昇率を下げるソフトランディング(軟着陸)への道筋がみえたと強調した旨。

□1月31日(水)

昨年のGDPで我が国を抜いたとされるドイツであるが、本年も苦境の経済があらわされている。

◇2023年GDP、ドイツ3位・日本4位へ;1ドル132円なら並ぶ (日経 電子版 00:00)
→ドイツの2023年の名目GDP(国内総生産)が4.4兆ドルとなり、日本のGDPが世界4位に転落することが濃厚になった旨。ドイツ経済は低迷しているが、外国為替が円安になり日本のGDPがドル建てで目減りする旨。
2000年にはドイツの2.5倍あった日本のGDPが逆転されるのは、金融緩和下で生産性の向上が滞ったことを映す旨。

◇ドイツ経済、遠のく景気浮揚;2024年もマイナス成長の見方 (日経 電子版 06:26)
→欧州最大の経済大国ドイツが景気浮揚の道筋を描けずにいる旨。2023年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は速報値で前期比0.3%減と、成長率でフランスやイタリアを下回った旨。先行きの景気回復シナリオに慎重論が広がり、2024年も2年連続でマイナス成長に陥るとの見方が出ている旨。

◇NYダウ、133ドル高で最高値更新;金融・消費株に買い (日経 電子版 06:54)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸、前日比133ドル86セント(0.35%)高の3万8467ドル31セントで終え、4日連続で過去最高値を更新した旨。金融株や消費関連株の一角に買いが入り、ダウ平均を押し上げた旨。もっとも、30日夕の大型ハイテク企業の決算発表を見極めたいとの雰囲気が強かった旨。

□2月1日(木)

◇NYダウ反落、77ドル安で推移;早期利下げにFRB慎重で (日経 電子版 05:34)
→1月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、午後3時(日本時間2月1日午前5時)現在は前日比77ドル40セント安の3万8389ドル91セントで推移している旨。米連邦準備理事会(FRB)が31日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で早期の利下げに慎重な姿勢を示したことが相場の重荷となっている旨。一方、FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見が行われるなかで売り買いが交錯し、ダウ平均は上昇に転じる場面がある旨。

□2月2日(金)

我が国の経済安全保障上の秘密情報漏洩についての罰則が、以下あらわされている

◇経済安保、情報漏洩に懲役5年以下の罰則;新資格で新法 (日経 電子版 02:00)
→・経済安保、秘密保護法と二段構えに
 ・海外との共同開発や入札参加拡大も
 ・人権侵害への懸念の声、付則で対応
経済安全保障上の秘密情報を扱う人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度を創設する法案の全容が判明した旨。安全保障に支障を及ぼす「重要経済安保情報」を新たに指定し、情報を漏洩した場合は懲役5年以下などの罰則を科す旨。

◇NYダウ369ドル高、再び最高値更新;労働指標を好感 (日経 電子版 07:34)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比369ドル54セント(0.96%)高の3万8519ドル84セントで終え、1月30日に付けた過去最高値を更新した旨。朝発表の米雇用指標が労働需給の緩和を示し、物価上昇が一段と沈静化するとの見方が広がった旨。米長期金利が低下し、一時約1カ月ぶりの低水準を付けたことも株買いを誘った旨。

□2月3日(土)

◇NYダウ134ドル高、最高値を更新;好決算テック株が支え (日経 電子版 07:07)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比134ドル58セント(0.34%)高の3万8654ドル42セントと最高値で終えた旨。前日に決算を発表した一部の大型ハイテク株が大幅に上昇し、米株相場を押し上げた旨。
1月の米雇用統計が市場予想を上回る内容となった旨。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退したものの、米経済の底堅さを示したとの受け止めもあった旨。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

2023年の半導体ベンダーランキングで首位の座を取り戻したインテルであるが、現下の第一四半期業績見通しには期待外れの市場反応である。

◇Intel stock drops on disappointing 1Q forecast (1月26日付け FierceElectronics)
→インテルの株価は、期待外れの第一四半期見通しを含む木曜25日の最新決算説明会を受けて11%近く下落した旨。
同社は、第一四半期の売上高は$12.2 to $13.2 billion、粗利益率は44.5%近くになるはずだと述べているが、インテルの中核事業のこのような売上高は、通常の季節的パターンのやや低い方だと考えられる旨。

◇Intel has worst day since 2020 on weak outlook (1月26日付け CNBC)
→*インテルの株価は、同社が今四半期の弱い見通しを発表した翌日、低迷した旨。
 *CNBCの調査によると、インテルの第一四半期の売上高ガイダンスはすべてのアナリストの予測を下回った旨。

工場建設の取り組み関連が、以下の通りである。

◇Intel is using hot water to cut natural gas use in its factories―Intel captures, reuses machine-generated heat (1月26日付け BusinessGreen (UK))
→アイルランドにあるインテルのマイクロチップ製造工場では、機械が生み出す熱を無駄にしていない旨。天然ガスを燃やす代わりに熱を回収し、他の製造工程の一部や冬の暖房に利用している旨。インテルはドイツ、オハイオおよびアリゾナの工場でも同様のプロセスを導入している、とサステナビリティ最高責任者のTodd Brady氏。同氏は、機器の配置の重要性を強調する旨。

◇Intel Opens Fab 9 in New Mexico (1月29日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→インテルは、ニューメキシコ州Rio Rancho(リオランチョ)の最先端工場であるFab 9の開設を祝った旨。このマイルストーンは、インテルの画期的な3Dパッケージング技術であるFoverosを含む、先進的な半導体パッケージング技術の製造のためのニューメキシコ工場への$3.5 billionの投資の一環であり、電力、性能およびコストを最適化した複数の半導体を組み合わせるための柔軟なオプションを提供するものである旨。


【Samsung関連】

米国での次世代3D DRAM開発に向けた研究所の設立である。

◇Samsung opens new research lab for next-gen 3D DRAM development―Samsung's new US lab to focus on 3D DRAM upgrades (1月28日付け The Economic Times (India))
→サムスン電子は、次世代3Dダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)開発のための研究所を米国に開設する旨。同社Device Solutions Americaがこの研究所を監督する旨。

◇Samsung Electronics opens new research lab for next-gen 3D DRAM development (1月28日付け Yonhap News Agency)
→世界最大のメモリー半導体メーカーであるサムスン電子が、次世代3次元(3D)DRAMの開発に注力するため、米国に新たな研究所を設立した、と業界筋が日曜28日に明らかにした旨。
この新しい研究所は、シリコンバレーに本社を置きSamsungの米国における半導体生産を監督するDevice Solutions America(DSA)の下で運営されており、Samsungが世界の3Dメモリー半導体市場をリードできるよう、アップグレードされたDRAMモデルの開発に取り組む旨。

2023年10−12月、第四四半期の業績は、前年比まだ大きくマイナスであるが、DRAMは黒に戻しているなど、以下の内容である。

◇Samsung sees tech devices demand recovering in 2024 after record chip loss―Samsung bullish on chips despite 34.4% profit drop (1月30日付け Reuters)
→サムスン電子の第四四半期の利益は、半導体事業の不振で前年同期比34.4%減となったが、同社はメモリー半導体部門の回復で明るい未来が待っていると見ている旨。サムスンは今年、アップルに対抗するため、AI機能を搭載したスマートフォンの出荷台数を増やす計画。

◇Samsung Q4 profit drops 34.4%, but memory chip rebounds (1月31日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は水曜31日、半導体事業の不振が主因で第四四半期の営業利益が前年同期比34.4%減となったが、メモリー半導体部門は需要回復で黒字転換したと発表した旨。

◇サムスン、半導体赤字1兆6500億円で過去最大;2023年 (1月31日付け 日経 電子版 10:13)
→韓国サムスン電子が31日発表した2023年12月期の事業別業績で、半導体部門の営業損益は14兆8800億ウォン(約1兆6500億円)の赤字(前の期は23兆8200億ウォンの黒字)。半導体部門の赤字は15年ぶりで、過去最大の赤字を計上した旨。
同部門の売上高は同32%減の66兆5900億ウォン。そのうちメモリー売上高は36%減の44兆1300億ウォン、受託生産(ファウンドリー)などの「その他の半導体」の売上高は25%減の22兆4600億ウォン。

◇サムスン半導体なお赤字;10〜12月2400億円;幅は縮小;SKは黒字転換、高性能品で明暗 (2月1日付け 日経)
→韓国サムスン電子が31日発表した2023年10〜12月期の半導体部門の営業損益は2兆1800億ウォン(約2400億円)の赤字。7〜9月期の3兆7500億ウォンから赤字幅を縮小したが、SKハイニックスは10〜12月期に黒字転換しており韓国半導体2社の明暗が分かれた旨。

◇Samsung expects chip business to shift to profit in Q1 on rising AI demand (2月1日付け The Korea Times)
→サムスン電子は水曜31日、AIメモリー半導体の旺盛な需要に支えられ、今年第一四半期から半導体事業が黒字に転換する見通しだと発表した旨。同社によると、2023年最終四半期の半導体部門は4四半期連続で赤字が続いたが、DRAMメモリー半導体事業は10月から12月にかけて黒字に転換した旨。

今後に向けた最先端の取り組み関連が、以下続いている。

◇Samsung's new QLC Flash could bring 16TB SSDs to market―Samsung set to debut quad-level memory cell SSDs with up to 16TB ―Reclaiming the storage-density crown once more (1月30日付け TechSpot)
→未来志向: マルチレベル・メモリ・セル(MLC)は、1ビット以上のデジタル情報を同時に保存することができ、MLCチップは最新のソリッド・ステート・ドライブ(SSDs)の基礎となっている旨。サムスンは、クアッドレベル・メモリ・セル(QLC)をベースとした新世代のSSDsを発表しようとしており、ストレージ・アプリケーションにかつてない面密度を提供する旨。

◇Why Samsung, TSMC build advanced chip production lines on home turfs, not overseas―Costs, geopolitics push Samsung, TSMC to build at home (1月30日付け The Korea Times (Seoul))
→業界関係者によると、サムスン電子と台湾積体電路製造(TSMC)は、コストと政治的不確実性から、海外ではなく自国内に半導体拠点を建設することを選択している旨。サムスンは2nmプロセスに向けてソウル南部において2047年まで$376 billionを投資しており、TSMCは2025年の量産を視野に入れ、今月2nmプロセス開発を拡大している旨。

◇Samsung to showcase record-smashing 280-layer QLC NAND flash memory chip ‐ expect cheaper, large capacity SSDs but endurance remains an unknown―Samsung to unveil 280-layer QLC NAND flash memory chip ―Samsung's QLC NAND is fast too, at 3.2Gb/s (2月1日付け TechRadar)
→サムスン電子は、記録的な280層QLC V9 NANDフラッシュ・メモリー半導体など新製品をISSCC 2024(国際固体素子回路会議)で発表する予定の旨。この技術は3.2Gb/秒の転送速度を誇り、より大容量で手頃な価格のソリッドステート・ドライブ(SSDs)につながる可能性がある旨。


【TSMC関連】

熊本工場オープンを来る24日に控えるTSMCについて、以下の通りである。第2工場の発表が待たれている。

◇TSMC、第2工場も熊本・菊陽町;農相が明らかに (1月29日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に建設を検討中の第2工場に関し、第1工場と同じ菊陽町とすることが28日、分かった旨。菊陽町を含む熊本3区を地盤とする坂本哲志農相が同日、地元首長や県議を集めた会合で明らかにした旨。TSMCが2月に正式発表する旨。
第1工場の建屋は既に完成し、2月24日に開所式を開く旨。第2工場は、第1工場の近くに立地するとみられる旨。

◇「日本は理想的な場所」;TSMC幹部、工場進捗速度も評価―TSMCがやってきた(2) (1月30日付け 日経 電子版 05:00)
→「日本の意地が伝わった」。2023年12月、台湾積体電路製造(TSMC)は取引先の首脳らを集めた会合で、熊本工場の建設を担う鹿島などを特別表彰した。最高経営責任者(CEO)の魏哲家は「卓越した貢献に感謝します」と発言。あるサプライヤー幹部は「熊本工場の進捗が評価された」と胸をなで下ろした。・・・・・


【光技術を用いる半導体】

我が国のNTTにインテルおよびSK Hynixと日米韓連合での取り組み、日本政府も支援という光技術を用いる半導体である。国際標準に向けた動きに注目である。

◇Japan's NTT, Intel to collaborate on cutting-edge chips using optical tech―Intel, SK Hynix, NTT team up on optical tech chips ―SK Hynix to also join, with Tokyo providing $300m government support (1月29日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→日本の通信事業者であるNTTが、光技術を活用し消費電力を大幅に削減した次世代半導体を量産する技術を、米半導体メーカーのインテルや他の半導体企業と共同で開発することが日本経済新聞の取材で分かった旨。

◇NTTやインテル、光の半導体開発;政府も450億円支援 (1月29日付け 日経 電子版 16:33)
→NTTと米インテルは光技術を活用した次世代半導体を共同で開発する旨。半導体メーカーと連携し、消費電力を大幅に抑える「光電融合」を組み込んだ機器の量産に向け技術連携する旨。韓国半導体大手のSKハイニックスも協力する方向で調整し、日本政府が計約450億円を支援する旨。中国を念頭に、日米韓の枠組みによる先端技術の研究開発が動き出す旨。

◇Japan sets aside \45 billion for NTT-Intel-SK Hynix joint chip project―Japan to contribute $305M to joint project for optical semiconductors (1月30日付け The Japan Times)
→日本政府は火曜30日、日本の通信大手、NTT、米国の大手半導体メーカー、インテルおよび韓国のSKハイニックスが推進する最先端半導体プロジェクトに約450億円($305 million)を提供すると発表した旨。

◇光の半導体で日米韓連合;NTT、インテル・SKと;IOWN普及後押し (1月30日付け 日経)
→NTTは次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network:アイオン)」の中核技術で大幅な消費電力削減につながる光半導体を開発する旨。米インテルなど半導体メーカーと連携し、韓国半導体大手のSKハイニックスとも協力する方向で調整する旨。日本政府が計約450億円を支援する旨。データインフラはデジタル社会の要となる旨。日米韓連合で国際標準のデータ基盤技術の確立を狙う旨。


【人の脳に半導体埋め込み】

Elon Musk氏が共同創設したニューラリンク社が、人の脳に半導体を埋め込んだと発表、以下の内容、そして期待である。

◇Elon Musk's Neuralink implants brain chip in first human―First human patient receives implant from neurotech startup Neuralink (1月30日付け Reuters)
→同社の創業者Elon Musk氏によると、脳半導体の新興企業であるNeuralink(ニューラリンク)社は、同社のデバイスを最初の人体試験参加者に埋め込み、順調に回復しており、初期の結果は「有望なニューロンスパイク検出」を示している旨。この臨床試験では、患者の脳信号を解読し、それを外部で使用する技術のコマンドに変換するのに役立つ、脳の運動機能を司る部位に脳コンピューター・インターフェース・インプラントを外科的に設置するためにロボットが使用される旨。

◇Elon Musk's Neuralink implants brain tech in human patient for the first time (1月30日付け CNBC)
→*イーロン・マスク氏の神経技術スタートアップであるニューラリンク社は、日曜28日にその機器を初めて人間に移植し、その患者は「順調に回復している」とXへの投稿で伝えた旨。
 *ニューラリンク社は、去る5月にFDAから試験実施の承認を受けた後、秋に最初の人体内臨床試験の患者募集を開始した旨。
 *該人体内臨床試験は、ニューラリンク社が商業化に向けた道のりの一歩に過ぎない旨。

◇What to know about Elon Musk's Neuralink, which put an implant into a human brain―Neuralink performed a brain-computer interface implant (1月30日付け National Public Radio)
→特に注目すべき点:Elon Musk氏によると、同氏の会社Neuralinkは先週末、初の "brain-computer interface"インプラントを実施、麻痺のような症状を持つ人々が、より良い環境と相互作用できるようにすることを目的とした処置である旨。マスク氏は、患者についての詳細は明らかにしなかったが、該処置は成功し、患者は順調に回復しており、初期の調査結果では、該デバイスが患者の脳のニューロンからの信号を検出していることを示唆していると述べた旨。

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