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AI-drivenの様相、2件の大型M&A:米国のNSTCコンソーシアム運営機関

半導体各社の業績発表でもAI(人工知能)需要による売上げ伸長が見込まれ、TSMCは本年20%増を見込むとの発表が行われている。年初早々半導体関連の大型M&A(企業の合併・買収)が2件報じられ、Hewlett Packard Enterprise(HPE)がJuniper Networksを、そしてSysnopsysがAnsysを、ともにAI需要の拡大への技術対応が説明されている。次に、米国政府がCHIPS and Science Actにより設立したNational Semiconductor Technology Center(NSTC)を運営するために設立されたNational Center for the Advancement of Semiconductor Technology(Natcast)が発表され、注目している。大統領選挙に向け、半導体に焦点が当てられる中、今後の半導体開発の方向性が問われていく。

長見晃の海外トピックス

≪AIが引っ張る市況への備え≫

大型M&Aについて、まず、HPEによるJuniper Networksの$14 billionの買収が以下の通りである。AI-Drivenの革新加速が狙いとして謳われている。

◇How HPE's $14B Juniper deal creates new core business focused on AI-driven networking (1月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ヒューレット・パッカード・エンタープライズの首脳陣は、ソフトウェア大手のJuniper Networksの$14 billionの買収が、同社の人工知能(AI)への取り組みに何をもたらすかを強調した旨。

◇HPE to acquire Juniper Networks for $14 billion (1月9日付け CNBC)
→*HPEはJuniper Networksを約$14 billionの現金で買収すると、両社は火曜9日に発表した旨。
 *ジュニパーの株価は、ウォールストリート・ジャーナル紙が月曜遅くに買収の可能性を報じたことを受け、火曜日には過去20年間で最高の1日となった旨。
 *1株40ドルという価格は、WSJが報じる前の月曜日のジュニパーの終値に比べ32%のプレミアムとなる旨。

◇HPE to Acquire Juniper Networks to Accelerate AI-Driven Innovation (1月9日付け Signal Integrity Journal)
→ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)と、AIネイティブ(AIを使い慣れた)・ネットワークのリーダーであるジュニパーネットワークスは本日、HPEがジュニパーを1株当たり40ドル(約$14 billionの株式価値)で全額現金取引により買収する最終合意に達したと発表した旨。

次に、SysnopsysによるAnsysの$35 billionとさらに大規模の買収である。
AI半導体に向けたチップレット実装への対応強化が目的としてあらわされている。

◇How Ansys' prior experience with Synopsys helped seal $35B deal (1月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→シノプシスが計画している$35 billion規模のアンシス買収の種は、約7年前に両社が共同でプロジェクトに取り組み、両社の製品をよりよく統合し始めたときにまかれた旨。

◇Synopsys announces plans to acquire software and simulation company Ansys for $35B (1月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→サニーベールに本社を置くシノプシス社は火曜16日、ソフトウェアとシミュレーション会社のAnsys社(Pennsyvlania)を$35 billionで買収する計画を発表した旨。

◇Synopsys acquires Ansys for $35B in deal driven by AI demands (1月16日付け FierceElectronics)
→主に半導体業界で使用される電子設計自動化(EDA)ツールで知られるシノプシスが、補完的なシミュレーションと解析ソフトウェアのメーカーであるアンシスを$35 billionで買収、2024年半導体分野最初の本当に大きな取引となる旨。
このメガディールは、AIなどのメガトレンドと、シノプシスとアンシスの両社が直面している多くの業界での要件の高まりに影響されている旨。

◇CHIP PACKAGING TRUMPS EDA: WHY SYNOPSYS IS PAYING $35 BILLION FOR ANSYS―Synopsys to buy Ansys for $35B for chiplet packaging (1月16日付け The Next Platform)
→シノプシスは、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)シミュレーション・ソフトウェアのリーダーであるアンシスを$35 billionで買収、電子設計自動化(EDA)からチップレット実装への動きと見られるものの旨。来年完了見込みのこの買収は、Hewlett Packard Enterprise(HPE)がJuniper Networksを$14 billionで買収したのに続くものの旨。

◇Synopsys to acquire graphics software maker Ansys in $35 billion tech deal (1月16日付け CNBC)
→*シノプシスは、$35 billionの現金と株式でアンシスを買収し、2つのソフトウェア会社を統合すると発表した旨。
 *この買収は、規制当局と株主の承認を経て、2025年前半に完了する予定である旨。

◇米シノプシス、ソフト開発のアンシスを買収;5.1兆円で (1月17日付け 日経 電子版 04:29)
→半導体設計ソフトを手がける米シノプシスは16日、シミュレーションソフト開発の米アンシスを約350億ドル(約5兆1500億円)で買収すると発表、人工知能(AI)を使った自動設計など、より高度な設計システムの開発につなげる旨。
シノプシスは半導体の製造工程に必要な回路図を描く自動設計ソフトを手がける旨。アンシスの製造業向けの3Dシミュレーション技術を取り込み、半導体を中心とする設計の自動化技術の競争力を高める狙いがある旨。

AnsysのAI活用の新ツールが、このタイミングで発表されている。

◇既存データでAIを学習させて解析速度アップ;米Ansysが新ツール (1月18日付け 日経XTECH)
→米Ansys(アンシス)は、AI(人工知能)の活用によって速度を高めたシミュレーションツール「Ansys SimAI」を発表、計算負荷の高いプロジェクトでも設計プロセスを10〜100倍高速化できるとしている旨。2024年第一四半期に、SaaS(Software as a Service)アプリケーションとして提供を予定する旨。

米国政府が半導体の強化に向けて設立したNational Semiconductor Technology Center(NSTC)については、土台作りが行われてきたが、このほどその運営に向けて設立された新しい非営利団体、National Center for the Advancement of Semiconductor Technology(Natcast)が次の通り発表されている。

◇Biden administration hopes chips will give it an election year boost―Biden administration puts chips front and center―The Commerce Department's launch of a new strategic chips center reflects the administration's big bet on semiconductors (1月16日付け The Washington Post)
→バイデン政権は、雇用、米国製造業および世界的な技術リーダーシップの計画を含む選挙年の政策において、半導体に焦点を当てている旨。商務省は、研究開発(R&D)のためにNational Center for the Advancement of Semiconductor Technologyを設立する旨。

米国・SIAより歓迎の声明が出されている。

◇SIA Commends Appointment of Deirdre Hanford as CEO of NSTC Operator Natcast (1月16日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、National Semiconductor Technology Center(NSTC)コンソーシアムを運営するNational Center for the Advancement of Semiconductor Technology(Natcast)のCEOに業界のベテラン、Deirdre Hanford氏が任命されたことを歓迎する、SIAのPresident and CEO、John Neuffer氏の声明を発表した旨。NSTCは、米国の半導体研究開発を促進するために2022年のCHIPS and Science Actによって設立された極めて重要な組織である旨。

AIを軸とした当面の開発関連の動きに、引き続き注目するところである。


コロナ「5類」移行とはいえ、インフルエンザが加わり、直近ではコロナ新変異型が取り沙汰されて、一層用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□1月14日(日)

台湾の次期総統が決まり、米国からの非公式代表団派遣である。

◇ 米、台湾に非公式代表団を派遣へ;頼清徳氏の総統当選で (日経 電子版 23:39)
→台湾総統選の投開票が13日実施され、中国に対して強硬姿勢を貫く与党候補の頼清徳氏が当選した旨。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢が混迷を極めるなか、台湾を巡っても、今後一段と米中対立が先鋭化し、世界は不安定化する恐れがある旨。頼氏の当選を受け、日米などは祝意を示した旨。中国は激しく反発した旨。

□1月16日(火)

地政学リスクに揺さぶられる中のダボス会議開催である。

◇ダボス会議、地政学リスク主題に;揺れる世界秩序映す (日経 電子版 17:22)
→スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では16日、地政学リスクが主要議題となった旨。ウクライナとパレスチナの2つの戦乱で世界秩序が大きく揺れ、武力衝突がグローバル経済の先行きに影を落とす異例の時代に入ったことを示す旨。
今年のダボス会議は「分断された世界における安全保障と協力の実現」をテーマに掲げた旨。

□1月17日(水)

休日があって4日の取引、前半下げて後半上げる展開、最高値を上回る推移で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、231ドル安;米長期金利の上昇で売り (日経 電子版 06:39)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比231ドル86セント(0.61%)安の3万7361ドル12セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)高官による早期利下げ観測を牽制する発言を受け、米債券市場で長期金利が上昇(債券価格は下落)した旨。長期金利の上昇で株式の相対的な割高感を意識した売りが優勢だった旨。ダウ平均の下げ幅は390ドルを超える場面があった旨。

中国の2023年GDPが発表されたが、続いて示す通り、米国では過大評価との疑念が沸き起こっている。

◇中国実質GDP成長率、2023年5.2%増;8年ぶり「名実逆転」 (日経 電子版 11:06)
→中国国家統計局が17日発表した2023年の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年比5.2%増えた旨。政府目標の「5%前後」は達成したが、「ゼロコロナ」政策で景気が低迷した2022年からの反動増もある旨。
不動産不況など内需は不足し、GDP増減率は8年ぶりに名目が実質を下回った旨。デフレ圧力の強さを示した旨。

中国の経済への懸念が高まるこのところである。

◇中国のドル建てGDP、29年ぶり減;世界経済のシェア低下 (日経 電子版 20:32)
→中国国家統計局が17日発表した2023年の実質国内総生産(GDP)は、人民元建てで前年比5.2%増えた旨。政府目標は達成したが、2022年の「ゼロコロナ」政策の反動が大きい旨。ドル建ての名目GDPは29年ぶりに減少し、世界のGDPシェアは2年連続で低下。中国の牽引力が弱まれば、世界経済の安定にも響く旨。

□1月18日(木)

◇NYダウ3日続落、94ドル安;早期利下げ観測後退 (日経 電子版 06:58)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比94ドル45セント(0.25%)安の3万7266ドル67セントで終えた旨。17日発表の2023年12月の米小売売上高が市場予想を上回って伸びた旨。米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測が後退し、株売りにつながった旨。ダウ平均の下げ幅は200ドルを超える場面があった旨。

□1月19日(金)

◇中国「5%成長達成」に疑念;米民間、過大評価の声も (日経 電子版 05:46)
→中国政府が2023年の実質成長率で「5%目標」の達成を表明したことを巡り、米国で疑念の声が出ている旨。固定資産投資の伸びなどが過大評価されているとの見方が多く、一部の米民間調査会社は実際の成長率が1.5%程度にとどまると指摘する旨。世界経済の浮沈を占う中国の「実力」に改めて関心が向かっている旨。

◇NYダウ4日ぶり反発、201ドル高;Apple株は3%上昇 (日経 電子版 06:43)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比201ドル94セント(0.54%)高の3万7468ドル61セントで終えた旨。足元で下げが目立っていたスマートフォンのアップルを中心にハイテク株が買われた旨。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が18日に示した業績見通しが好感され、インテルなど半導体株も高かった旨。

□1月20日(土)

AI半導体による株価押し上げがあらわされている。

◇NYダウ、続伸し最高値圏;404ドル高で推移 (日経 電子版 05:20)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、午後3時(日本時間20日午前5時)現在は前日比404ドル81セント高の3万7873ドル42セントと、2日に付けた最高値(3万7715ドル)を上回って推移している旨。人工知能(AI)が企業収益を押し上げるとの期待からハイテク株や半導体関連株に連日で買いが入り、相場上昇を牽引している旨。米消費者の景況感の改善も、経済のソフトランディング(軟着陸)を見込んだ買いにつながった旨。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、ブロードコムなど半導体株の上昇が目立つ旨。


≪市場実態PickUp≫

【2023年ランキング】

半導体そしてスマートフォンの2023年ベンダー・ランキングがあらわされている。

半導体についてGartnerから、次の通りである。インテルの首位返り咲き、そしてAI半導体を席巻するNvidiaの飛躍がポイントである。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Declined 11% in 2023―Memory Revenue Poised to Record One of the Worst Downturns in History―Intel Regained No. 1 Spot from Samsung―Nvidia Made Debut in Top 5 Semiconductor Vendor Ranking (1月16日付け Gartner)
→ガートナー社の速報によると、2023年の世界半導体売上高は$533 billionで、2022年から11.1%減少した旨。

≪2023年半導体ベンダー売上げトップ10≫ (金額:USB$)

2023年2022年ベンダー
2023年
2023年
2022年
売上げ
順位順位
売上げ
シェア
売上げ
前年比
1
2
Intel
48.664
9.1
58.436
-16.7
2
1
Samsung Electronics
39.905
7.5
63.823
-37.5
3
3
Qualcomm
29.015
5.4
34.780
-16.6
4
6
Broadcom
25.585
4.8
23.868
7.2
5
12
NVIDIA
23.983
4.5
15.331
56.4
6
4
SK Hynix
22.756
4.3
33.505
-32.1
7
7
AMD
22.305
4.2
23.620
-5.6
8
11
STMicroelectronics
17.057
3.2
15.842
7.7
9
9
Apple
17.050
3.2
18.099
-5.8
10
8
Texas Instruments
16.537
3.1
18.844
-12.2
Others (outside top 10)
268.853
50.7
294.729
-8.8
Total Market
533.025
100.0
599.562
-11.1

[Source: Gartner (January 2024)]

◇Intel and Nvidia shine in Gartner’s latest global semiconductor revenue rankings―Gartner: Intel, Nvidia move up in chip revenue ranking (1月17日付け SiliconAngle)
→ガートナー社の2023年「売上高半導体ベンダー上位10社」レポートでは、インテルが1位に浮上し、エヌビディアは12位から5位に順位を上げた旨。サムスン電子は1位から2位に転落し、クアルコムは3位を維持、ブロードコムは4位と、2022年の6位から順位を上げた旨。

◇世界の半導体市場、昨年11%減 (1月17日付け 日経)
→米調査会社ガートナーは16日、2023年の世界の半導体市場が2022年比11.1%減の$533.0 billion(約77兆8100億円)だったとの推計を発表、スマートフォンやパソコンの需要が低迷し、記憶用のメモリーを中心に半導体の売り上げが大きく落ち込んだ旨。個別企業の売上高では米インテルが3年ぶりに世界首位となり、米エヌビディアは5位と初めて10位以内に入った旨。

スマートフォンについては、長年首位を占めたサムスンに替わってアップルが初めて年間トップに立っている。

◇2023年世界スマホ出荷、Apple首位;サムスン13年ぶり陥落 (1月16日付け 日経 電子版 13:34)
→米調査会社IDCは15日、2023年のスマートフォンの世界出荷台数で米アップルが首位に立ったと発表、韓国サムスン電子が13年ぶりに首位の座を明け渡した旨。2023年の世界市場は2022年比3.2%減の11億6690万台で、世界的なインフレや技術の成熟の影響で、過去10年で最低となった旨。

◇スマートフォン年間出荷台数、Samsungが13年ぶり首位陥落、Appleが初のトップ (1月17日付け マイナビニュース)
→IDCの調査によると、世界のスマートフォン出荷台数で2023年にAppleがSamsungを上回り、初めて年間トップに立った。前回、Mobile Phone TrackerでSamsung以外の企業が年間首位になったのは2010年で、その時の1位はNokiaだった。

≪2023年の世界スマートフォン出荷台数とシェア≫
              (暫定値、出荷台数の単位:100万)

23出荷
23シェア
22出荷
22シェア
23/22growth
Apple
234.6
20.1
226.3
18.8
3.7
Samsung
226.6
19.4
262.2
21.7
-13.6
Xiaomi
145.9
12.5
153.2
12.7
-4.7
OPPO
103.1
8.8
114.4
9.5
-9.9
Transsion
94.9
8.1
72.6
6.0
30.8
Others
361.8
31.0
377.2
31.3
-4.1
TOTAL
1,166.9
100.0
1.205.9
100.0
-3.2

[Source: IDC Worldwide Quarterly Mobile Phone Tracker, January 15, 2024]


◇Apple passes Samsung as world’s top phone maker (1月18日付け Taipei Times)


【TSMCの業績発表】

TSMCの2023年10-12月第四四半期業績発表が行われ、前年比ほぼ横ばいと予想を上回る売上高、そしてAI需要拡大から本年20%の売上げ伸長を予想して、株価が急騰している。

◇TSMC's Q4 profit to slide 23%, focus on rebounding demand this year (1月16日付け Reuters)
 →・アナリスト予想:第四四半期の利益は2,264億Tドル
 ・第四四半期の売上高は横ばいも会社予想を上回る
 ・AI向け半導体需要で株価急騰
 ・木曜日0600GMTに決算説明会を開催
TSMCの第四四半期の利益が23%減少すると予想されるが、アナリストは需要の回復を背景に今年はより良い成長を予測している旨。

◇TSMC bullish on AI demand, forecasts 20% revenue growth this year―TSMC optimistic on growth amid demand for AI chips (1月18日付け Reuters)
→台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)は、AI半導体の需要が続く中、2024年に20%の売上げ成長を予測している旨。同社の第四四半期の純利益は市場予想を上回った旨。

◇TSMC beats profit and revenue expectations in the fourth quarter (1月18日付け CNBC)
→*TSMCの第四四半期の売上高は前年同期比1.5%減の6,255億3,000万台湾ドル、純利益は同19.3%減の2,387億1,000万台湾ドルとなった旨。
 *TSMCはアップルとNvidiaを最大の顧客としている旨。TSMCはアップルのiPhoneに搭載されている最先端のプロセッサを製造している旨。

◇TSMC、10〜12月売上高が前年水準に回復;生成AI牽引 (1月18日付け 日経 電子版 15:34)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が18日発表した2023年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比で微減の6255億台湾ドル(約2兆9000億円)。生成AI(人工知能)向けなどの需要が牽引し、四半期ベースで過去最高だった前年同期の水準にまでほぼ回復した旨。純利益は同19.3%減の2387億台湾ドル。先端半導体の開発や工場建設に伴う費用がかさんだ旨。

◇US semiconductor index jumps as TSMC signals strong AI chip demand―TSMC optimism on AI chips lifts semiconductor index (1月18日付け Reuters)
→台湾積体電路製造股份有限公司(TSMC)がAI半導体の旺盛な需要を示し、米半導体指数と半導体銘柄は上昇した旨。TSMCは今年20%の売上げ伸長を見込んでいる旨。

◇TSMC反転、今期2割増収へ;AI半導体需要増;熊本工場の量産10〜12月;かさむ投資、利益率に課題 (1月19日付け 日経)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が生成AI(人工知能)向けの需要をつかみ反転攻勢に出る旨。18日、2024年12月期の売上高が前期比で2割増え、過去最高を更新するとの予想を示した旨。拡大路線をとるなかで、利益率の確保や日米工場の円滑な立ち上げが課題となる旨。

熊本での続く工場建設の検討が言及されている。

◇TSMC expects up to 25% revenue growth―BOOST: Demand for AI-related products increased suddenly in Q4 of last year, a company official said, adding that TSMC is considering building another fab in Kumamoto, Japan (1月19日付け Taipei Times)
→台湾積電股份有限公司(TSMC、台積電)は昨日、高性能コンピューティング(HPC)と人工知能(AI)アプリケーション向けの先端半導体の旺盛な需要に牽引され、今年の売上高は最大25%成長すると発表した旨。


【MetaのAI構築対応】

MetaのAI対応立ち上げが、以下の通りあらわされている。同社のGPUs需要が株価の押し上げ要因となっている。

◇Zuckerberg wants to build a different kind of artificial intelligence (1月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Meta Platformsは、オープンソースのartificial general intelligence(AGI)を構築しようとしている旨。

◇Meta ramps up AI efforts by building chip arsenal, consolidating teams―Meta accelerates its push for generative AI in its products (1月18日付け Reuters)
→メタ社は、AI研究チームを集結させ、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の備蓄を増強し、ジェネレーティブAI技術を製品に搭載することに取り組んでいる旨。Nvidiaは約35万個のH100 GPUsを提供しており、他のサプライヤーからの半導体と合わせると、メタ社のGPUの合計は今年約60万個になる旨。

◇Mark Zuckerberg indicates Meta is spending billions of dollars on Nvidia AI chips (1月18日付け CNBC)
→*マーク・ザッカーバーグ氏は木曜18日、2024年末までに同社のコンピューティング・インフラには35万枚のH100グラフィックカードが含まれるだろうと述べた旨。
 *これは、同社が非常に大きな需要によりeBayで4万ドルを超えることもあるエヌビディアの主要半導体に数十億ドルを費やしていることを示唆している旨。
 *ザッカーバーグ氏は10月に、"AIはエンジニアリングとコンピュータリソースの両方で、2024年に我々の最大の投資分野になるだろう"と述べた旨。


【韓国の半導体メガクラスター】

韓国の尹大統領より、遠大な半導体産業クラスターの取り組みが以下の通りあらわされている。

◇South Korea's Yoon pledges to extend tax benefits for chip investments (1月15日付け Channel NewsAsia (Singapore))

◇Yoon says 'semiconductor mega cluster' outside Seoul will create 3 mln jobs (1月15日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は月曜15日、ソウル郊外に建設中の半導体産業クラスターは、今後20年間で少なくとも300万人の雇用を創出する見込みだと述べた旨。

◇S. Korea unveils plan to build 'semiconductor mega cluster' by 2047―$472B "semiconductor mega cluster" planned in S. Korea (1月15日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国政府は、京畿道南部の複数の工業地帯に広がる「半導体メガクラスター」に$472 billionを投資する計画であり、2047年までにさらに16の製造拠点が追加される見込みである旨。尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は、より多くの人材を誘致し雇用を拡大するための戦略として、国内半導体産業への投資に対する税額控除を挙げている旨。

◇Yoon to extend tax benefits for chip investments―WOOING TALENT: Taiwan is to send delegations to Southeast Asian nations to recruit and groom chip design, assembly and testing professionals (1月16日付け Taipei Times)
→韓国の尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は昨日、国内半導体産業への投資に対する税額控除を拡大し、雇用を促進し、そしてより多くの人材を誘致する、と述べた旨。


【中国の半導体生産&輸入】

米国の規制もあって中国の半導体の輸入は大きく減少している一方、中国国内の生産は着実に伸びている、という現状が以下の通りあらわされている。
中国での生産が伸びて、世界市場が供給過剰になる可能性も示されている。

◇China chip imports suffer steepest drop on record after US curbs―Record decline continues for China's chip imports (1月15日付け The Straits Times (Singapore))
→中国の税関データによると、2023年の中国によるマイクロチップ輸入は、パンデミック後の回復の遅れおよびCOVID-19制限などの要因により15.4%減少、一方、出荷量は10.8%減少している旨。しかしReutersによると、大学、国営研究所および軍を含む中国の団体が、輸出禁止にもかかわらずNvidia半導体を輸入している旨。

◇China sees the largest annual drop in chip import value in 2023 (1月16日付け DIGITIMES)
→最新の公式数字によると、中国の半導体輸入額はここ数年で最も減少しており、これは米国の輸出抑制、中国の国産化努力、および電子機器需要の低迷を示すものである旨。

◇Chip wars could lead to oversupply as China increases domestic capacity―Middle Kingdom can make market moves too... as potential global price battles loom (1月17日付け The Register)
→TrendForce社によると、中国の半導体製造能力は今後5〜7年で2倍以上になると予想されており、これは市場の供給過剰を招き、他の国の半導体企業にとって問題となる可能性がある旨。

◇China's IC output grew 6.9% in 2023, defying weaker customer demand, tighter US sanctions (1月17日付け South China Morning Post)
→中国の半導体生産は2023年に6.9%伸びて、顧客需要の低迷と米国の制裁強化に打ち勝った旨。


【中国でのNvidia半導体】

輸出禁止にもかかわらず中国でNvidia半導体が輸入されている状況がすぐ上にもあらわされているが、いったいどうなっているのか。関連する内容が、以下の通りである。

◇China's military continues to receive Nvidia AI chips despite US ban―Demand for semiconductors in China is outpacing supply and experts predict that the situation could harm China's global competitiveness in AI. (1月15日付け Verdict (UK))
→中国の軍事機関、大学および国営AI研究所は、米国の輸出規制にもかかわらず、NVIDIAの半導体を少量購入することができた、とロイターは報じている旨。
入札文書のレビューを引用し、数十の中国企業がNVIDIA半導体を購入したと報じている旨。

◇China gets banned Nvidia AI chips via gray markets―Thousands of foreign AI chips were smuggled into China in 2023, and 2025 may see a tenfold increase (1月17日付け Asia Times)
→米国の輸出規制にもかかわらず、中国の軍事関連企業、研究センターおよび大学がエヌビディアのハイエンド人工知能(AI)半導体を入手できるという証拠が蓄積されている旨。技術専門家によれば、バイデン政権はこれまで、小規模な販売業者が中国の地下市場に半導体を転売したり密輸したりするのを止められなかった旨。

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