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改めて知る激動/枝分かれの展望/グローバル雑学王−24

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グローバルな金融危機の影響が、日々ますます広範に具体的に影を落としてきている。今年もあと僅かと押し迫っているのに、通常の年の瀬ならぬ慌しさが漂っていて、なかなか締まらないもどかしさがある。世界経済全体の動きに目を遣って、我が判断、行動の正しからんことを祈るこのところではある。

≪改めて知る激動≫

それにしてもここまでの激変とは、と思い知らされる事態に事欠かない昨今である。まずは半導体在庫から、次の通り。

◇Excess inventory likely to triple in Q4, could delay semiconductor industry recovery, iSuppli reports -With OEMs unable to cut production as fast as they would like, reduced inventory targets, and lowered demand, excess stockpiles are accumulating in Q4 that could cut into chip industry growth and push off the industry's upturn, iSuppli reports.(12月17日付け Electronics Design, Strategy, News)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。今四半期の業界半導体在庫総計が、前第三四半期の$3.8Bから168%増の$10.2Bに急騰、2007年末レベルの$2.3Bから4倍以上の旨。

半導体市場の今年以降の予測も、ここにきて毎週のように見直されているような印象があり、むべなるかなという思いも沸いてくる。下記の例も、先月時点では今年はプラス伸長、2009年は2.2%減と見ている。まさに"改めて知る激動"ぶりを物語っていると思う。

◇2008, 2009 will be industry's first back-to-back years of declining sales, Gartner says-Sales could fall nearly 25% next year, but are expected to bounce back in 2010 and 2011, with worldwide semiconductor revenue climbing 14.6% and 9.4% respectively.(12月16日付け Electronics Design, Strategy, News)
→Gartner社今朝発表、半導体業界史上初、2008年および2009年立て続けに売上げ減少になると見る旨。
現下の第四四半期の半導体販売高が前四半期比24.4%減の記録的落ち込み、2001年第二四半期の20%減を上回る旨。2009年は2008年から16.3%減の$219.2B、以降以下と見る旨。
    2010年    2011年
   $251.2B   $274.9B
   14.6%増    9.4%増


≪枝分かれの展望≫

このような激動を受けて、今後の展望も勢い枝分かれの色合いが濃くなるかと思う。International Electron Devices Meeting(IEDM)(12月14-17日:San Francisco)の記事から、まずは技術面での展望例である。

◇'Universal memory' race still on the starting block(12月19日付け EE Times)
→沢山の有望な''universal memory''技術(DRAMのcapacityおよびコスト+SRAMの高速read and write性能+フラッシュのnon-volatility)が今回披露されたが、まもなくmass adoptionとはなかなかいかない状況の旨。

◇Flash memory at the 'crossroads'(12月15日付け EE Times)
→Being Advanced Memory Corp.社(Woodside, Calif.)のpresident and CTO、Stefan Lai氏。今日のフラッシュメモリ技術はscaling limitsに達してきており、長らく待望の''universal memory''のニーズが作り出されている旨。候補として以下の通り。
 =3D or thru-silicon-vias(TSVs)
 =3D or cross-point memory
 =MRAM
 =phase-change, programmable metallization cell(PCM)
 =resistive RAM(RRAM)

古くて新しい"次のメモリ"への期待が一気に高まるムードがあるかと思う。
現下のもどかしさを振り払いたい気分を想像してしまう。そう思ったら、以下のような具体的な動きが目に入ってきている。

◇Numonyx begins commercial supply of phase-change memory(12月19日付け EE Times)
→ノンボラメモリのNumonyx BV(Geneva, Switzerland)が金曜19日、'Alverstone'(90-nm CMOSにインプリのノンボラphase-change memory)の128Mビット品を、embedded分野の選択顧客に向けて商用供給開始の旨。

次に、市場面、ビジネス面の展望であるが、これはさらに一筋にはいかず、いろいろな見方があって然りと思う。待ち遠しい来る回復、上昇基調はいつ?という問いかけに関係する記事を取り出して、以下の通り。

◇Think quarterly, not annually, for better 2009 outlook, IC Insights suggests-"If you consider the worldwide economy and IC market on a quarterly basis instead of annual one, you can then begin to form a positive outlook about the 'other side' of this downturn, in the second half of 2009 and beyond," IC Insights President Bill McClean said. (12月19日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IC Insights社president、Bill McClean氏、以下の観点。
 ・2009年でプラスに働く点
  1. Stimulus packages(中国はじめ各国の景気刺激策)、
  2. Lower interest rates、
  3. 原油価格低下。
 ・2001年とのIC業界比較
 ・急速な落ち込みから素早い伸びへ

◇DRAM price surge coming, IC Insights reports-As producers fall behind the curve in capital spending, average selling prices will rise once again in the volatile DRAM market come 2010, according to a coming report from IC Insights. But the market research company is skeptical on how long the DRAM market "recovery" will last the next time around.(12月15日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IC Insights発。DRAMメーカーが現状の市場低迷に、特に著しいcapital spending削減など深刻な過剰反応、2010年および2011年に到来が予想される力強い需要に業界は対応できなくなる旨。
DRAMのcapital expenditures、推移と予測、以下の通り。
 2004年    $9.1B
 2005年    $10.2B
             Total 2004-2005 $19.3B
 2006年    $15.6B
 2007年    $18.7B
             Total 2006-2007 $34.3B
 2008年    $9.6B
 2009年(予測) $7.3B
             Total 2008-2009(予測) $16.9B
  [Source: IC Insights, December 2008]

世界経済の動きを十分に把握していく重要性を上記からも感じている。それではプラス要素がなかなか見えない来年、2009年について伸びるのは何か、以下一つの見方である。

◇Forecast: Healthcare, wireless may still thrive in 2009(12月17日付け EE Times)
→ABI Researchが予測する2009年に例外的に伸びる市場セグメントについて。
 video surveillance
 telepresence
 healthcare用Wi-Fi技術


≪グローバル雑学王−24≫

中近東、中央アジアと慣れ親しむ表現はあるものの、実態把握には距離感が付きまとう地域の言語に入っていく。

『言語世界地図』(著者 町田  健氏:新潮新書 266)

から、以下のように抜き出すのも長く時間がかかる自分を感じている。世界を巻き込む紛争が集中する地域であり、実態の把握に努めて過ぎることなしと、今後本欄で深めたく思っている。

○中東、アフリカ 〜前半〜

◇アラビア語 −方言間の差異を補う「文語」−
・イスラム教の聖典『コーラン』を記した威信のある言語
 「アッラー・アクバル」(アラー[イスラム教の神]は偉大なり)
・使用する人口は2億5千万人以上、国連の公用語でも。
・いくつもの方言に分化 
 →離れた地域で使われる方言であれば、お互いに意思を通じ合えないくらいの違い
・口語(日常生活)と文語(『コーラン』の文章が代表的)に非常に大きな違い
 文語の語順 →「動詞+主語+目的語」
 口語の語順 →「主語+動詞+目的語」
・文語に関しては、アラビア語使用地域全体でほぼ共通 
 →『汎アラビア主義』実現
・アラビア語を話す場合でも、公的な場面と日常生活で、文語と口語という
 2種類の異なったアラビア語を使い分け。
・アラビア文字の特徴:
 文字は横書きであるが右から左へ書く。
 母音を表わすための文字がない。
 語頭、語中、語末で異なった字形を用いる。
・「語根」と呼ばれる三つの子音から成る単語の基本形
 →単純な形の語根が数多くの単語を生み出すしくみ
  (例) k-t-b:「書く」という意味の語根
      → kataba 書いた
         yaktubu 書く
         kitab 本
         kutubi 本屋
         katib 作家

◇ペルシア語 −問題国家イランから東に広がる語圏−
・イランの公用語
 「ペルシア」→アケメネス朝やササン朝などのペルシア帝国に由来
          アケメネス朝時代の「パールサ」という地名を起源
・「イラン」という名称  
→パフラビー朝が、1935年に正式の国名として採用
 「アーリア」(「高貴な」という意)に由来
・ペルシア語の話者の大多数、約3500万人はイラン国民の約半数に相当。
・ペルシア語の表記に使用される文字は、現代ではアラビア文字、横書きで
 右から左に向けて書き記される。
・現代ペルシア語は、古代ペルシア語とは全く異なった様相、発音も比較的簡単。
・ペルシア語がルーツの語 →「レモン」「オレンジ」「パジャマ」「バザー」

◇トルコ語 −西へ西へと浸透するアジアの言語−
・トルコ最大の都市、イスタンブール 
 →1453年にオスマン・トルコに征服されるまではギリシャ語
  オスマン帝国の首都となってからはトルコ語
・人口7千万を擁するトルコ共和国の公用語
・中央アジア一帯で話される「チュルク諸語」と呼ばれる言語の一員
 →ほかに、アゼルバイジャン語、キルギス語、ウズベク語など
・文法の面では日本語との共通点が多い。
・「母音調和」と呼ばれる現象 
 →同じ単語の中には違う性質の母音が一緒に使われることはない
・トルコ語の脱イスラム化 →現代トルコ語が出来上がる
・アジアからヨーロッパの東端へと移り住んで700年になる民族の心情

◇アフガニスタンの公用語 −国を二分する公用語に対立の因が潜む−
・「パシュトー語」 →アフガニスタンの公用語の一つ
・世界に蒔く紛争の種 
 ←1973年に王政を廃して共和国が樹立されて以来、綿々と続く内戦状態
 ←介入する大国やイスラムテロ組織の間に生じた対立
・アフガニスタンは多民族国家 
 →パシュトー語、ダリー語以外に、チュルク諸語のウズベク語やキルギス語なども使用されている。
・首都カブールはダリー語を使用する地域 
→アフガニスタンで威信をもった共通語として使われているのはダリー語の方

◇チュルク諸語 −中央アジアに広がる近似性−
・「中央アジア」 
 …新疆ウイグル自治区から、旧ソ連領だったウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの各共和国(1991年のソ連崩壊とともに誕生)を含む地域
・イラン系が80%を占めるタジキスタンを除いては、すべてトルコ系民族が多数派の国家群。
・「母音調和」の現象 →上記のトルコ語、参照。
・チュルク諸語と並んでロシア語が、依然としてあらゆる公的場面で勢力を維持。

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