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米中対立の地政学的インパクト、各国各社それぞれの反応、越年へ

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は23日金曜夕方時点、世界全体で6億5597万人、1週間前からから412万人増、前週比11万人増である。WHOの集計では、我が国が7週連続感染最多となっているが、今月だけで莫大な数という情報が見られる中国の状況が気がかりとなる。数年にわたる米中摩擦にコロナ禍、本年はウクライナ侵攻が加わって、地政学的インパクトの覆いが厚くなる一途の現時点、経済安全保障の中核の1つと見なされる半導体およびそれが引き出す関連について、各国そして各社のそれぞれの立場、立ち位置での反応が引き続き相次いで取り出している。急に後退局面に入った半導体市場がいつ回復するか、不透明な先行きを追いながらの越年模様である。

≪それぞれ入り混じる期待と懸念≫

まずは、米国関連の状況から。

対中国の輸出規制強化について、米国の半導体業界は複雑な反応模様。次の通りあらわされている。

◇How chip executives react to US trade sanctions on China (12月16日付け ierceElectronics)
→中国企業への半導体および半導体製造装置の販売に対する最近の米国の制裁により、米国の半導体幹部はほとんど沈黙している旨。一部の人は反応したが、一般的なものに過ぎない旨。

我が国など同盟国への協調働きかけが続いている。

◇米国、中国の経済圧力抑止へ連携;同盟国と (12月19日付け 日経 電子版 02:00)
→米政府・議会は日本や欧州連合(EU)など同盟国・地域と協力し、中国による経済的な威圧行為の抑止策を検討する旨。中国は巨大な経済力を外交の武器に利用する動きを鮮明にしている旨。同盟国・地域が足並みをそろえて中国に圧力をかけて、中国が対立する国に経済規制を課すのを阻止することを狙う旨。

米国下院は、年明けから共和党が多数派となるが、対中国の具体的な動きである。

◇米下院、中国特別委を年初設置;新委員長「共産党は敵」 (12月19日付け 日経 電子版 17:00)
→米議会下院は2023年1月に始まる新議会で、中国問題を集中的に扱う「中国特別委員会」を創設する方針。11月の中間選挙を受けて多数派となる野党・共和党が主導し、安全保障や経済などを巡るバイデン政権の対中政策を監視する旨。2024年に次期大統領選を控え、超党派で対中圧力を強める議会の姿勢が政府の対中外交に影響する可能性がある旨。

今夏成立したCHIPS and Science Actによる研究、人材開発への追加資金を、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が歓迎している。

◇SIA Applauds Increased Funding for Research, Workforce Development in Year-End Funding Package (12月21日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2023会計年度(2023年度)のオムニバスに主要な研究機関への追加資金を含めることに関して、SIAのvice president of government affairs、David Isaacs氏からの声明を発表、CHIPS and Science Actにより行われた重要な投資構築を称賛した旨。

◇SIA Applauds Increased Funding for Research, Workforce Development in Year-End Funding Package (12月22日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

"半導体軍拡競争"とのあらわし方であるが、米国の強力なスタンスが改めてあらわされている。

◇US vs China ‐ “semiconductor arms race” in microelectronics (12月22日付け Modern Diplomacy)
→最近の記事で、ニューヨークを拠点とする国際関係のジャーナル、Foreign Affairsが、米国と中国の間の"経済的な軍拡競争"の必然性を予測した旨。これは主にマイクロエレクトロニクスの生産に影響を与える可能性があり、ワシントンはすでにこのレースに勝つために、非市場の手段を含め、利用可能なあらゆる手段を使用したいという強い願望を示している旨。可能であれば、他を犠牲にして、何があってもそれを乗り越えるという100%のアメリカの戦術である旨。

次に、半導体の最先端および製造を世界的に引っ張っている台湾である。米中の狭間にあって、それぞれの国・地域ごとへの対応に腐心するコメントが印象的な以下、TSMCのCEO、C.C. Wei氏についてである。

◇'No chance' overseas fabs will blunt Taiwan's semiconductor edge: TSMC CEO‐TSMC CEO: Industry beset by geopolitical confrontation (12月17日付け Focus Taiwan)
→TSMCのCEO、C.C. Wei(魏哲家)氏が土曜17日、"地政学的な対立"を懸念しており、「販売を許可されていない製品もあれば、入国を許可されていない国もある一方、特定の製品しか使用できないと言う国もある。」と特に言及の旨。

◇“This is really bad,” says TSMC CEO‐C. C. Wei, CEO of TSMC has deplored the negative effects of political confrontation on globalisation. (12月19日付け Electronics Weekly (UK))
→「地政学的な対立が市場全体をゆがめている」とTSMCのCEO、C. C. Wei氏が土曜17日にMonte Jade Science and Technology Association(台湾で最も高い山に因んだ名前)が主催するフォーラムで語った旨。「以前は、製品を作って全世界に販売することができた。現在、一部の製品は販売が許可されておらず、一部の国では入国が許可されておらず、一部の国では特定の製品しか使用できないとされている。」

◇TSMC fab construction in Japan mainly requested by its largest client, says CEO CC Wei (12月19日付け DIGITIMES)
→TSMCのCEO、CC Wei氏によると、TSMCが日本にファブを建設するという決定は、低コストの場所ではないが、主に最大手のクライアントの要求に基づいて行われ、顧客のニーズを優先することは、常にファウンドリーの中心的な考慮事項である旨。

◇TSMC's CEO is not pleased with the growing US-China rift‐Leader of the the world's largest contract chip manufacturer would like it if the two world powers could work out their differences (12月21日付け The Register)

米中対立、地政学的インパクトの渦中であるからこそ、一層重みが目立ってくる台湾である。

◇Bolstering Taiwan's chip prowess 12月22日付け (Taipei Times)
→台湾の半導体産業の競争上の優位性は、特に中国の好戦的な態度と台湾海峡での緊張の高まりの中で、国際社会の間でますます認識されるようになっている旨。

その台湾で、中国の半導体企業へ投資したHon Haiが、手にした株式を売却せざるを得なくなった、以下の内容である。狭間で収まりがつかない状況がうかがえている。

◇Hon Hai to sell stake in China's Tsinghua Unigroup (12月17日付け Focus Taiwan)
→台湾を拠点とする製造大手の鴻海精密工業が、中国の半導体開発企業であるTsinghua Unigroup(清華ユニグループ)の全株式を別の中国企業に売却することに合意した旨。

◇Foxconn fine for unauthorised China investment likely to be imposed soon - source‐Taiwan fines Foxconn for investing in Tsinghua Unigroup (12月19日付け Reuters)
→世界最大の契約電子機器メーカー、Foxconnが、中国の半導体メーカーへの無許可の投資を理由に、台湾政府から近く罰金を科される可能性が高い、と該状況を直接知る人物が月曜19日に語った旨。

◇Taiwan likely to penalise Apple supplier Foxconn for unauthorised investment in China's Tsinghua Unigroup: source (12月19日付け South China Morning Post)
→*7月に中国の半導体コングロマリット、Tsinghua Unigroup(清華ユニグループ)の株主であることを明らかにしたFoxconnは、金曜16日に該株式を売却すると発表した旨。
 *Reutersによると、同社は最大2,500万台湾ドル($813,749) の罰金を科される可能性がある旨。

◇Hon Hai to sell its stake in Tsinghua‐UNWINDING CHINA DEAL: The company said the investment had not yet been finalized, amid an ongoing government probe that could lead to a NT$25 million fine (12月19日付け Taipei Times)
→Hon Hai Precision Industry Co(鴻海精密)の子会社が、中国の半導体大手、Tsinghua Unigroup Co(清華紫光)の間接少数株主持分を売却することを計画、これは、北京の半導体産業が世界の他の地域からますます孤立していることを示す最新の兆候である旨。

◇Hon Hai unit sees no impact from disposal of Tsinghua Unigroup stake (12月20日付け Focus Taiwan)
→Foxconn Industrial Internet Co.(FII)による、中国の半導体開発企業、Tsinghua Unigroupの間接的な株式を処分するという決定は、台湾に本拠を置く製造大手、Hon Hai Precision Industry Coの上海上場の通信ネットワーク機器子会社である同社の日常業務に影響を与える可能性は低い旨。

◇Hon Hai warns about Tsinghua investment (12月22日付け Taipei Times)
→Hon Hai Precision Industry Co(鴻海精密)が昨日、中国の清華紫光の9.8%の株式の売却による収益の受け取りが遅れる可能性があることを投資家に事前警告した旨。

こんどは中国。米国の輸出禁止リストに加えられた3D NANDフラッシュメモリのYangtze Memory Technologies Corp.(YMTC)を巡る動き、見方が以下の通り続いている。

◇U.S. Blacklists YMTC, 21 Chinese Companies on AI Threat‐YMTC is the latest addition to the U.S. Entity List, among 21 others. (12月16日付け EE Times)
→米商務省が、米国の国家安全保障に対するAIの脅威の疑いがある長江メモリー テクノロジーズ(YMTC)と他の20社以上の中国の半導体メーカーをブラックリストに載せている旨。

◇Blacklisted YMTC May Soon Be Forced to Abandon 3D NAND‐Will YMTC be forced out of 3D NAND memory market? ‐TrendForce: YMTC must thoroughly consider its options. (12月16日付け Tom's Hardware)
→バイデン政権によってビジネス禁止リストに載せられたYangtze Memory Technologies Corp.(YMTC:揚子江メモリーテクノロジーズ社)は、3D NANDメモリーデバイスの市場で競争できないかもしれない、とTrendForceが警告している旨。この中国の半導体メーカーは、サムスン電子、SK ハイニックスおよびマイクロン テクノロジーに追いつけない可能性がある、と該市場リサーチ会社は予想する旨。

◇US blacklists more Chinese tech firms‐TRADE TENSIONS RISING: The commerce department added 36 Chinese firms to the Entity List as policymakers in Beijing are planning subsidies to local chipmakers (12月17日付け Taipei Times)
→米国政府は、Yangtze Memory Technologies Co(長江儲存)、Shanghai Micro Electronics Equipment Group Co(上海微電子機器グループ)、その他数十の中国のテクノロジー企業をブラックリストに載せ、世界の2大経済大国間の貿易紛争を激化させている旨。

◇Why US really blacklisted China's YMTC‐Chinese chipmaker confirmed as a US national security threat but its cutting-edge innovation is what really scares Washington (12月19日付け Asia Times)
→2023年8月に予定されている次回Flash Memory SummitにYMTC が参加するかどうか、参加する場合、エンティティ リストに掲載された後、その代表者が何を言わなければならないか、興味深い旨。

YMTCなどへ中国政府の支援の動きである。

◇China to step up support for local chipmakers‐Sources: China's chipmakers to see financial support (12月20日付け DIGITIMES)
→Yangtze Memory Technology(YMTC)とCambricon Technologiesは、国内の半導体産業の発展を継続するために中国政府から支援を受けると、台湾の情報筋が述べている旨。$143 billionの支援パッケージが中国当局によって開発中である旨。

中国の半導体製造装置の輸入は、この11月、大きな落ち込みである。

◇China's imports of chip gear lowest since mid-2020‐US RESTRICTIONS: Chinese companies imported US$2.3 billion worth of machines used in semiconductor manufacturing, down more than 40 percent year-on^year (12月23日付け Taipei Times)
→水曜21日に発表された通関データによると、中国企業は先月、半導体製造に使用される$2.3 billionの装置を輸入、前年比で40%以上減、2020年5月以来の最低水準となった旨。

欧州での動きから。

ASMLから米国政府に対する懸念が続いている。

◇ASML questions US logic on chip product trade restriction (12月16日付け China Daily.com.cn)
→オランダの半導体装置メーカー、ASML Holding NVは、ワシントンがオランダに中国に対する半導体関連の制限を拡大させようとする試みの背後にある論理に疑問を呈し、米国政府が如何に国家安全保障上の懸念を濫用して世界の半導体産業チェーンを混乱させているかを強調した、と専門家が述べた旨。

一方、TSMCが欧州初の半導体工場をドイツにて検討、との動きである。

◇台湾TSMC、欧州初の半導体工場;ドイツに建設検討 (12月23日付け 日経 電子版 14:03)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、欧州初となる工場をドイツに建設する方向で最終調整に入ったことが、23日分かった旨。年明けに経営幹部が現地入りし、地元政府による支援内容などについて最終協議する旨。早ければ2024年に工場建設を始める旨。投資額は数十億ドルに達する見通し。計画は、複数のサプライヤーの経営幹部が明らかにした旨。

そして最後に我が国。政府が引っ張る動きが、以下の通りである。

◇経済安全保障「重要物資」半導体など11分野、閣議決定 (12月20日付け 日経 電子版 12:08)
→政府は20日、経済安全保障推進法の「特定重要物資」に関し半導体や蓄電池など11分野の指定を閣議決定した旨。対象分野で国内での生産体制を強化し備蓄も拡充する旨。そのための企業の取り組みには国が財政支援する旨。有事に海外から供給が途絶えても安定して物資を確保できる体制を整える旨。

◇半導体成長戦略、来年半ばに改定;経産相 (12月20日付け 日経)
→西村康稔経済産業相は19日、半導体産業の成長戦略を2023年半ばに改定すると述べた旨。人材育成やデータセンターなど公共インフラの整備に向けた取り組みを強化する旨。政府の継続的な支援を明確にして半導体産業への投資の活性化につなげる旨。

◇Japan ruling party lawmaker: TSMC considering second plant in country‐Lawmaker: TSMC contemplates a second wafer fab in Japan (12月23日付け Reuters)
→半導体戦略に関する日本の与党議員グループ、自民党の半導体戦略推進議員連盟の事務局長、関芳弘氏(衆議院議員)が金曜23日、台湾のTSMCが日本で2番目の半導体工場を検討しており、日本はそのような決定を助長する環境を作る必要があると信じている、と述べた旨。

対立懸念の渦中でのそれぞれの期待について、当面の推移に引き続き注目である。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□12月20日(火)

景気懸念の覆いの中での上げ下げが続いた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、162ドル安、景気懸念の売り優勢 (日経 電子版 06:32)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前週末比162ドル92セント(0.5%)安の3万2757ドル54セントで終えた旨。米利上げの継続が景気を冷やすとの懸念から売りが続いた旨。米長期金利の上昇を受け、相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が売られたことも相場の重荷となった旨。

日銀が大規模緩和の修正を決めて、円が上昇している。

◇円、一時133円台前半;日銀の緩和縮小で4円上昇 (日経 電子版 12:19)
→20日の外国為替市場で、円が対ドルで上昇し、一時1ドル=133円台前半を付けた旨。日銀が金融政策決定会合で金融緩和の修正を決定。日米金利差の縮小を見込んだ円買いが膨らみ、8月中旬以来4カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた旨。

◇日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に引き上げ (日経 電子版 12:43)
→日銀は19〜20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた旨。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する旨。20日から適用する旨。長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる旨。変動幅の拡大は2021年3月に0.2%から0.25%に事実上、引き上げて以来となる旨。

□12月21日(水)

◇NYダウ反発92ドル高;金融引き締め警戒で上値重く (日経 電子版 06:45)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比92ドル20セント(0.3%)高の3万2849ドル74セントで終えた旨。ダウ平均は前日までの4日営業日で約1350ドル下げており、主力銘柄の一部に短期的な戻りを見込む買いが入った旨。ただ、世界の主要中央銀行による金融引き締めが景気を冷やすとの懸念は根強く、上値は重かった旨。

◇円相場、一時130円台に;日銀の大規模緩和修正で (日経 電子版 07:14)
→20日のニューヨーク外国為替市場で円高・ドル安が進行し、円相場は一時1ドル=130円台を付けた旨。130円台を付けるのは8月上旬以来、約4カ月半ぶり。日銀は20日、長期金利の上限を引き上げて大規模緩和の事実上の修正に乗り出した旨。日本の長期金利が急伸し日米金利差が縮小したことから、米国時間でも円買いが優勢となっている旨。

□12月22日(木)

◇NYダウ続伸、526ドル高;ナイキの好決算で心理改善 (日経 電子版 06:28)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比526ドル74セント(1.6%)高の3万3376ドル48セントで終えた旨。前日夕に発表した四半期決算が市場予想を上回ったスポーツ用品のナイキが急伸した旨。投資家心理が上向き、幅広い銘柄に買いが広がった旨。

WHOからのコロナ感染の世界の状況であるが、以下に続く中国の実態に注目を要している。

◇コロナ感染、7週連続で日本が世界最多 (共同通信社)
→世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症の集計で、12〜18日の週間感染者数が日本は前週比23%増の104万6650人で、7週連続で世界最多となった旨。次いで多いのは9%増で45万人の韓国、3%減で44万人の米国だった旨。

本年の世界政治&経済の激動のレビューである。

◇「大いなる安定」は終わった;株・債券28年ぶり同時安Review 2022(1) (日経 電子版 17:30)
→歴史的な急変動に見舞われた2022年の市場を振り返る。初回は物価が安定する「グレートモデレーション(大いなる安定)」の終わり。各国の急速な金融引き締めを受け、暗号資産(仮想通貨)など高リスク資産が急落。ヘッジファンドには受難の年となった。株式と債券は28年ぶりの同時安となり、長期投資家も大きな痛みを被った。低金利が前提の従来の投資戦略が通用しなくなっている。・・・・・

□12月23日(金)

◇NYダウ反落、348ドル安;ハイテク全般に売り (日経 電子版 06:30)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比348ドル99セント(1.0%)安の3万3027ドル49セントで終えた旨。ダウ平均の構成銘柄ではないが21日夕に半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーが発表した四半期決算や見通しが市場予想を下回った旨。半導体株を中心にハイテク株全般で業績下振れ懸念が強まった旨。

月初めの値上げがニュースで続いているが、11月の消費者物価指数の上昇が40年あまりぶりの水準となっている。

◇日本の消費者物価、11月3.7%上昇;40年11カ月ぶり水準 (日経 電子版 11:16)
→総務省が23日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.8となり、前年同月比で3.7%上昇した旨。第2次石油危機の影響で物価高が続いていた1981年12月の4.0%以来、40年11カ月ぶりの伸び率となった旨。円安や資源高の影響で、食料品やエネルギーといった生活に欠かせない品目が値上がりしている旨。

□12月24日(土)

◇中国のコロナ感染、12月に2億4800万人か、資料流出 (日経 電子版 04:16)
→米政府系のラジオ自由アジア(RFA)は23日までに、中国で今月、総人口の約18%に当たる2億4800万人が新型コロナウイルスに感染したとする中国政府の内部資料が流出したと伝えた旨。事実なら公式発表をはるかに上回る大規模流行となる旨。

◇NYダウ反発、176ドル高;原油高で資源関連株に買い (日経 電子版 06:47)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比176ドル44セント(0.5%)高の3万3203ドル93セントで終えた旨。原油高を受けて資源高の恩恵を受けやすい銘柄が買われた旨。半面、米利上げ継続が景気を冷やすとの警戒は根強く、ダウ平均は安くなる場面もあった旨。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

インテルのドイツの半導体工場の遅れが、以下の通り伝えられている。さらなる地元の助成を求める様相である。

◇Intel delaying German factory start, wants more subsidies, Volksstimme reports‐Report: Intel seeks additional subsidies for German wafer fab (12月18日付け Reuters)
→インテルは、2023年前半にドイツ東部の都市、Magdeburgに半導体工場を開設するという当初の目標から後退した、と地方紙、Volksstimmeが報じ、同社はより多くの公的助成を欲しているとしている旨。

◇Intel delays German chip plant‐Seeking SUBSIDIES: The chipmaker cited geopolitical challenges, industry demand issues, inflation and recession as reasons for increased cost and delay of the project (12月19日付け Taipei Times)

インテルの次期ラップトップCPUの性能に注目である。

◇Intel's upcoming laptop CPU may destroy even the best desktop chips‐Intel details Core i9-13900HX chip for laptops (12月20日付け Digital Trends)
→ラップトップ用の新しいCore i9-13900HXプロセッサは、Appleの次期M2 Maxカスタム デザインCPU に挑戦する可能性がある旨。該Core i9-13900HXプロセッサは、32スレッドの24コアを誇り、3.9ギガヘルツで動作し、5.4 GHzまでプッシュできる旨。

インテルがグラフィックス半導体部門を2つに分ける組織改編を行うとのこと。

◇Intel splits graphic chips unit into two‐Intel's graphic chips unit divided to better compete (12月21日付け Reuters)
→Intelが、Advanced Micro Devices(AMD)およびNvidiaとの競争力を高めるために、グラフィック半導体ユニットを再編している旨。コンシューマ グラフィックス ユニットは同社のクライアント コンピューティング グループと合併し、アクセラレーテッド コンピューティング チームはデータセンターおよび人工知能(AI)ユニットの一部となる旨。


【Samsung関連】

現下の厳しいメモリ半導体市場の局面の一端があらわされている。

◇Samsung, SK hynix to face grim Q4 due to weak demand: report‐Less demand for memories, affecting Samsung, SK Hynix (12月19日付け The Korea Herald (Seoul))
→Daol Investment and Securitiesの予測。Samsung ElectronicsとSK Hynixが、2022年第四四半期にメモリ半導体の需要の低下に直面している旨。
「新しいGalaxy Fold(本体をディスプレイごと2つに折り畳める[クラムシェル型の]構造のスマホ)とZ Flipの人気が衰えるにつれて、メモリ半導体の全体的な需要は減少し、(サムスンの)携帯電話事業も苦戦するだろう。」と、DaolのKim Yang-jae氏。

業界初、12nm-級 DDR5 DRAMの開発が発表されている。

◇Samsung develops '12nm' DDR5 DRAM as CPU DDR5 support widens‐Samsung's 12nm DDR5 DRAMs targets AI, ML, big data ‐The tech giant's latest DRAM boasts a top speed of 7.2Gbps, which means bit can process 60GB per second. (12月20日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、12 ナノメートル プロセスで製造されたDDR5 DRAMデバイスを生産していると報告している旨。該新メモリ半導体は、人工知能(AI)、ビッグデータ分析および機械学習のアプリケーション向けに来年市場に出回る予定の旨。

◇Samsung Electronics Develops Industry's First 12nm-Class DDR5 DRAM (12月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung Electronics Co., Ltd.が、業界初の 12 ナノメートル(nm)クラスのプロセス技術を使用して構築された16ギガビット(Gb) DDR5 DRAMの開発と、AMDとの互換性に向けた製品評価の完了を発表した旨。

◇Samsung Electronics develops 12-nanometer DDR5 DRAM (12月21日付け JoongAng Daily (South Korea))

Lee Jae-yong会長が、R&Dセンター完成祝いでベトナムを訪れる運びである。

◇Samsung chief heading to Vietnam to inspect new R&D center (12月20日付け The Korea Herald)
→業界筋、火曜20日発。サムスン電子のLee Jae-yong会長が今週、同社の新しい研究開発(R&D)センターの完成を祝うためにベトナムに向かう予定の旨。同氏は、ベトナムのNguyen Xuan Phuc(グエン・スアン・フック)大統領とも会談する可能性が高い旨。


【市況悪化関連】

各社の設備投資計画の縮小が相次いで、SEMIの世界の設備投資額見通しが下方修正されている。

◇投資計画の縮小相次ぐ;半導体市況が悪化(NIKKEIAsia) (12月20日付け 日経産業)
→新型コロナウイルス禍で活況だった半導体市況が悪化したことで、半導体メーカー各社は積極的だった設備投資計画を縮小している旨。今回の不況はこれまでよりも長期化するとの懸念もある旨。
米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体大手は年初には大きな期待を抱き、先を争うように工場の建設や製造装置の購入を進めていた旨。だが今や各社は相次ぎ計画を縮小している旨。業界の国際団体、SEMIは2023年の世界の設備投資額の見通しを4月時点の$165.5 billion(約23兆円)から、$138.1 billionに下方修正した旨。

先駆ける動きで注目させられるマイクロンであるが、人員削減の発表が以下の通りである。

◇Semiconductor maker Micron announces 10% staff reduction, suspends bonuses‐Micron to reduce its headcount by around 10% (12月21日付け CNBC)
→Micron Technologyは来年、従業員の約10人に1人をレイオフし、2023年には従業員のボーナスを削減する予定の旨。その結果、メモリ半導体の同社は、"厳しい業界状況"を理由に、今四半期に$30 millionを充てる予定の旨。

◇米マイクロン、従業員1割削減;半導体需要減速で (12月23日付け 日経 電子版 07:31)
→半導体業界にも雇用調整が広がり始めた旨。米メモリー大手のマイクロン・テクノロジーは22日までに、2023年を通じて従業員を10%減らすと発表、パソコンやスマートフォンの需要が減速するなか、半導体の供給能力のだぶつきが目立ってきたため。リストラ費用として、約$30 million(約40億円)を引き当てる旨。

端的な指標となる台湾のIT主要各社の売上げであるが、伸びが続いた中、11月は7ヵ月ぶりで大きな前年比減となっている。

◇台湾IT、7ヵ月ぶり減収 11月8%減、中国リスク浮き彫り (12月23日付け 日経産業)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾主要メーカーの11月売上高は、7カ月ぶりに前年水準を下回った旨。上場IT、19社の売上高合計は前年同月比で8.1%減少した旨。新型コロナウイルス感染拡大を巡る混乱などの中国リスクを背景に、鴻海(ホンハイ)精密工業など14社が減収となった旨。


【Huawei関連】

Huaweiのスマホに用いる同社子会社、HiSiliconが設計の半導体の在庫が切れているとのこと。米国の規制の影響があらわれている。

◇US sanctions drain Huawei of homegrown advanced chips‐Report: Huawei is running out of smartphone chipsets ‐Huawei to the chipless zone prediction (12月21日付け The Register (UK))
→中国の通信大手、ファーウェイは、トランプ時代の米国による経済制裁に より、スマートフォン用の自社開発の高度な半導体を使い果たしたと伝えられている旨。

◇Struggling Huawei runs out of advanced in-house-designed chips for smartphones amid US trade sanctions, Counterpoint report says (12月21日付け South China Morning Post)
→*Counterpointのレポートによると、半導体ユニットのHiSiliconによって設計されたHuaweiのスマートフォン半導体の在庫は、第三四半期にゼロに達した旨。
 *該中国のハイテク巨人は、米国の規制が強化されたため、主要な半導体ファウンドリが製造する高度な新しい半導体を入手するのに苦労している旨。

機敏な変身対応ということか、車載部品分野の一角を占めるようになってきているHuaweiがあらわされている。

◇ファーウェイ、気づけば車部品メガサプライヤー視界に (12月21日付け 日経 電子版 05:00)
→「日欧のメガサプライヤー(巨大な自動車部品メーカー)のライバルになり得る存在」――。こうした評価を耳にすることが増えたのが、中国・華為技術(ファーウェイ)である旨。同社が車載部品事業を本格化したのは2012年のこと。通信機器大手がいつの間にか、自動車業界のダークホースとして急浮上してきた旨。


【東芝関連】

東芝の姫路工場に新棟を建設、車載パワー半導体の生産能力倍増が行われる運びである。

◇東芝、姫路工場にパワー半導体の新棟;車用生産能力2倍 (12月18日付け 日経 電子版 19:30)
→東芝は車や家電の電力制御に使うパワー半導体の新たな製造棟を姫路半導体工場(兵庫県太子町)内に設ける旨。省エネルギー性能を高めた製品を生産し、同工場の車用の生産能力を2倍以上に高める旨。電気自動車(EV)シフトなどの需要増に対応する旨。

◇Toshiba to Expand Power Semiconductor Production Capacity with New Production Facility (12月19日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇東芝D&S、車載パワー半導体の生産能力倍増;姫路に新棟 (12月20日付け 日刊工業)
→東芝デバイス&ストレージ(川崎市幸区)は19日、2025年春に姫路半導体工場(兵庫県太子町)内で車載向けパワー半導体の後工程製造を担う新工場棟を稼働すると発表、同工場の車載向けパワー半導体の生産能力を2022年度比2倍以上に増やす旨。投資額は建屋のみで数十億円で、導入する設備に応じて上積みする旨。2024年6月に着工する旨。

株式非公開化に向けた交渉関連の動きである。

◇東芝、株式非公開化の交渉継続;オープンレター公開 (12月19日付け 日刊工業)
→東芝は渡辺章博取締役会議長とジェリー・ブラック特別委員会委員長が、株主に対するオープンレターを公開した旨。株式非公開化を含む経営戦略の検討状況について、買収などの提案をしているパートナー候補との間で「合意に達することを確約できる状況にない」とした上で、「法的拘束力のある提案を受け取り、必要な交渉を経た上で可能な限り早い時期に結論に至るよう最大限の努力をする」と交渉を継続する方針を改めて示した旨。

◇Toshiba's preferred bidder to seal $10.6 bln loan deal this week -Yomiuri‐Report: JIP expected to wrap up $10.6B loan for Toshiba bid (12月22日付け Reuters)
→東芝を買収する優先入札者であるジャパン・インダストリアル・パートナーズ(JIP)が、今週中に融資先と約1兆4000億円($10.62 billion)の融資契約に調印する予定である、と読売新聞が木曜22日に報じた旨。

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