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半導体製造強化に向けた投資&連携呼びかけ:インテルの取り組みから

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜1日午前時点、世界全体で6億1726万人、先週金曜午後から318万人増と横ばいである。カナダ、オーストラリアで、それぞれ入国、隔離の規制が撤廃されている。半導体製造強化に向けた各国の投資および連携を呼びかける動きが続いており、米国のハリス副大統領の日本および韓国訪問の中で行われるとともに、米国が主導する"Chip 4"同盟の準備会合の記事が見られている。半導体市況の悪化が見えてきている中でも、投資に踏み切る様々な取り組みが並行している。一方、今後の市場創出&展開に向けた新機軸&新製品の打ち上げに期待のタイミングとなるが、インテルのInnovation event 2022はじめ取り組みに注目している。

≪難局後に備える動き&取り組み≫

米国が主導、日本、韓国および台湾との半導体サプライチェーン・ネットワーク強靭化を目指す"Chip 4"半導体同盟の予備会合が、次の通り取り沙汰されている。

◇US plans ‘Chip 4’ meeting to bring semiconductor manufacturing back to its shores (9月26日付け Global Times)
→伝えられるところによると、米国は今週、予備的な"チップ4"会議を開催し、11月初旬に台湾との科学技術会議を開催して、半導体製造を米国本土に戻す一方で、中国本土をグローバルサプライチェーンから除外しようとしている旨。
米国主導の"Chip 4"半導体同盟の最初の会議が今週開催される予定である、とKorea Heraldが報じた旨。

この会合は、以下の通り開催された模様である。中国を除く形での今後の進み具合に注目するところである。

◇In a Switch, South Korea Joining Chip 4 Talks (9月30日付け EE Times)
→中国との貿易戦争の可能性を懸念して、米国、日本、台湾との"Chip 4"同盟の形成について話し合うことに消極的だった韓国が、交渉に参加している、と情報筋がEE Timesに語った旨。
米国は、台湾のアメリカン・インスティテュートの後援の下、火曜27日に米国・東アジア半導体サプライチェーン・レジリエンシー・ワーキング・グループのvirtual予備会議を主催し、半導体業界のサプライチェーンを強化する方法について話し合った、と米国国務省がEE Timesに語った旨。米国、日本、韓国、および台湾からの参加者とオブザーバーが議論に参加した旨。

◇Taiwan says U.S.-led 'Chip 4' group discussed supply chain resilience‐US, East Asian nations meet over supply chain issues (9月30日付け Reuters)
→台湾の王美花経済相が、米国が東アジア諸国の作業部会と予備会談を行い、半導体のサプライチェーン問題について意見を交換したと述べた旨。
"チップ 4"グループには、韓国と日本の当局者も含まれている、と王美花氏は述べた旨。

米国のハリス副大統領の日本および韓国訪問では、米国での半導体製造への投資促進、そして"Chip 4"での役割貢献の期待が、以下の通りあらわされている。

◇ハリス副大統領、日本の半導体企業トップと28日会談=米政府高官 (9月27日付け ロイター 日本語版)
→ハリス米副大統領は28日、日本の半導体関連企業のトップと会談する旨。米政府高官が27日に明らかにした旨。
副大統領は、日本企業による米国での半導体製造への投資の可能性について言及する旨。
米国政府関係者によると、サンケン電気や東京エレクトロン、富士通、ニコンなど少なくとも13社の幹部が出席する旨。

◇VP Harris seeks computer chip partners in Japan meetings‐Harris touts Japan's role in global IC supply chain (9月28日付け The Associated Press)
→Kamala Harris米国副大統領が今週、東京で日本の技術幹部、特に半導体製造やmicrochip材料に携わる人々と会合を持った旨。「私たちの国の市民と人々は、製品が半導体チップにどれほど依存しているかさえ知らずに、製品に依存している。」と同氏は述べた旨。

◇Harris Says Japan Plays ‘Critical Role’ in Chips Supply Chain (9月28日付け Bloomberg)
→Kamala Harris米国副大統領が水曜28日、日本は半導体の回復力のあるサプライチェーンを構築する上で"重要な役割"を果たしていると述べた旨。同氏は戦略的目的のために冗長性を構築するためにアジアの同盟国を結集しようとしている旨。

◇ハリス米副大統領、日本の半導体企業に米国投資呼びかけ (9月28日付け 日経 電子版 17:30)
→来日中のハリス米副大統領は28日、東京エレクトロンや富士通など日本の半導体関連企業の幹部らと米駐日大使公邸(東京・港)で会合を開き、製造や研究開発で米国拠点への投資を呼びかけた旨。米中摩擦やロシアのウクライナ侵攻などで経済安全保障の重要性が増しており、サプライチェーン(供給網)の強化を狙う旨。

◇Inflation Reduction Act fuels South Korean uncertainty on Chip 4 membership‐Korean companies are wary about Chip 4 alliance (9月29日付け DIGITIMES)
→韓国を訪問した米国のKamala Harris副大統領は、米国のインフレ抑制法(IRA)をめぐる論争を解決するために韓国と協力することを誓った旨。先月署名されたIRAは、電気製品に最大$7,500の税額控除を設定している旨。

各国、各社の同様の投資&連携に向けた動き関連が続いている。

インドの半導体製造に賭ける意気込みである。

◇‘India has a big role to play’: New Delhi is trying to turn the country into a chip powerhouse‐Analysts: New Delhi touts India's capacity for microchips (9月25日付け CNBC)
→*アナリストによると、インドは半導体業界で大きな役割を果たす可能性がある旨。
 *インドは、半導体の製造を国内に持ち込む動きを見せている旨。
 *ニューデリーの戦略は2つあり、外国企業を誘い込むことと、半導体設計などインドが有利な分野を強化すること。

◇Government Approves 50% Incentives for Chip Fabs Across All Tech Nodes (9月28日付け EE Times India)
→Narendra Modi首相が議長を務めるインドの中央内閣が、インドの半導体およびディスプレイ製造エコシステムの開発プログラムの修正を承認した旨。

難局に備えて、韓国でのサムスンとLGのトップmeeting開催である。

◇Samsung, LG hold CEOs' meetings amid deepening economic downturn (9月27日付け The Korea Times)
→業界筋、火曜27日発。サムスングループとLGグループが、為替レート、金利および価格の高騰による世界的な景気後退の影響を緩和するために、社長レベルの会議を開催している旨。

韓国の半導体業界支援に向けた韓国開発銀行(KDB)の取り組みである。

◇KDB to spend $21 bn over 5 yrs to promote Korea's chip industry‐Korea Development Bank to invest $21B for chip industry (9月27日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→政策金融機関の韓国開発銀行(KDB)が、同国の半導体業界を支援するために、今後5年間で30 trillion won($21 billion)を費やす予定である、と同社のKang Seog-hoon会長が火曜27日に述べた旨。

市況悪化でも投資継続、とサムスンの方針打ち出しである。

◇サムスン「市況悪化でも投資継続」、半導体部門CEOが強調 (9月28日付け 日経産業)
→韓国サムスン電子の半導体部門を統括する慶桂顕(キョン・ゲヒョン)最高経営責任者(CEO)は「市況と関係なく一貫して投資を継続する」と強調した旨。足元で半導体市況は悪化しているものの、メモリーと受託生産の両事業で生産能力を高めていく方針を打ち出した旨。

韓国政府のAI半導体開発に向けた支援である。

◇S. Korean gov't to invest $837 mn in AI chip tech under new digital push ‐South Korea earmarks funds for AI semiconductor tech investments (9月29日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国が、国内のデジタル イノベーションに向けて人工知能(AI)、モバイル ネットワーク、量子コンピューティング、メタバース、およびサイバー セキュリティを整備するための国家的な取り組みの一環として、AI半導体技術の開発に1.2 trillion won($837 million)を割り当てた旨。

我が国関連であるが、半導体材料メーカー間の連携である。

◇半導体、材料では負けられない、日本メーカー12社連携 (9月28日付け 日経 電子版 05:00)
→日本の半導体材料メーカーなど12社が、先端半導体パッケージ材料の開発を迅速化する共同研究を2022年度内にも本格化する旨。半導体を高性能化する"3次元実装"などの技術進化で製造プロセスが複雑化するなか、半導体メーカーからの手戻りが減ることで開発期間を短縮し、半導体メーカーへの提案力も高める旨。

日本政府の半導体戦略について、インテルから提携への意欲が示されている。

◇日本政府の半導体戦略、インテル「提携の機会ある」、副社長、供給網の強化に意欲 (9月28日付け 日経)
→米インテルで各国政府との交渉などを担うCorporate Vice President and Chief Government Affairs Officer、Bruce Andrews氏が日本経済新聞社のインタビューに応じ、日本政府の半導体戦略について「インテルが提携できる機会がある」と話した旨。生産受託事業(ファウンドリー)の展開に向け世界で製造拠点の整備を進める中で、日米連携への関与にも意欲を示した格好。

マイクロンも、現下の市況の厳しさから投資を削減するとしているが、広島工場については日本政府の支援があらわされている。

◇マイクロン、投資30%削減へ、半導体需要減で見通し厳しく (9月30日付け ロイター 日本語版)
→米半導体大手、マイクロン・テクノロジーが29日、パソコンやスマートフォンなどに利用される半導体の需要が減少しているとし、今後さらに厳しい状況が見込まれると警告、投資を削減する計画を発表した旨。
サンジャイ・メロトラ(Sanjay Mehrotra)最高経営責任者(CEO)は決算会見で「設備投資を大幅に削減した。2023年度は前年度を30%超下回る約$8 billionになる見通し」と述べた旨。ウエハー製造装置への投資は50%削減する旨。

◇西村経産相、米マイクロンの広島工場計画認定−最大465億円助成‐半導体分野の日米連携強化に資するものと考えている‐先端半導体の安定供給確保、安全保障上の重要課題と政府位置付け (9月30日付け ブルームバーグ 日本語版)
→西村康稔経済産業相は30日、米半導体大手、マイクロンテクノロジーと同社の日本子会社による広島県での先端メモリー半導体の生産計画を認定し、最大で約465億円の支援を行うと発表した旨。

ここからは、挽回を図る最大手、インテルに注目していく。

◇Intel shares are off 45% this year, making it the Dow's 'biggest loser' (9月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→CEOのPat Gelsinger氏率いるインテルは今年、株価が急落し、ダウ30の他のどの銘柄よりも悪い成績となっている旨。CNN の見出しは、巨大な半導体メーカーが荒い投資環境に直面していることを強調している旨。

米国の複数地点で拠点構築に取り組んでいるインテルである。

◇Intel finds last piece of $2B+ incentive puzzle in Ohio (9月28日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→インテルの本社はシリコン バレーにあるかもしれないが、他の州(オハイオ州、オレゴン州、アリゾナ州)は、インセンティブが地域社会により多くのインテル ビジネスをもたらすことを望んでいる旨。

インテルは、先端実装、チップレット組立の拠点構築に、イタリアを選んでいる。

◇Intel picks Italian site for chiplet plant (9月26日付け EE News Europe)
→報道によると、Intelは4.5 billionユーロのチップレット組立工場に向けて、イタリア北部のVerona近くの場所を選択した旨。ローマ政府は、公的資金と人件費とエネルギー コストに関する特別条件を通じて、最大40%の支援を提供する予定の旨。この組立工場の稼働は、2025年から2027年の間のある時点で開始される予定。

◇Exclusive: Italy and Intel pick Veneto as preferred region for new chip plant‐Report: Intel to spend on a plant in Vigasio, Italy (9月26日付け Reuters)
→ロイター通信によると、Intelが、ICパッケージングおよびアセンブリ工場のためにイタリアの Veneto地方の場所を選択した旨。同社は、Vigasioの該新拠点が5,000人の雇用を創出すると予想している旨。

◇Intel's new packaging facility settles in Italy (9月26日付け DIGITIMES)

インテルのCEO、Pat Gelsinger氏のInnovation event 2022はじめ今後に向けた展望、考え方、そして新たな取り組みの打ち上げが、以下の通り行われている。

◇Gelsinger Reiterates Ambitious Package Power Goal (9月26日付け EE Times)
→高い目標を掲げていることを市場に知らせるにはどうすればよいか? Hot Chipsの基調講演でそれを言うこと。以前に言ったことがあるとしても。
新たな分野の開拓のないそのオンライン カンファレンスでのスピーチで、インテルのCEO、Pat Gelsinger氏は、2030年までにパッケージの消費電力が 10 倍になると予測した旨。該Hot Chips講演で、同氏は、RibbonFET、PowerVia、および高NA EUVのおかげで、2030年までにパッケージ電力が10倍になると予測の旨。

◇Intel boasts cheaper gamer graphics card, Arc A770, starting at $329 (9月27日付け FierceElectronics)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、主にゲーマー向けの新しいIntel Arc A770 GPUが10月12日に$329で出荷されると発表、これは、Nvidiaグラフィック カードの高価格に対する最近の懸念に対する明確な答えである旨。
カリフォルニア州サンノゼで開催されたInnovation 2022イベントの火曜27日のオープニングで、Gelsinger氏は出席者に向かって、「GPU は非常に高価になり、その必要はない。」と語った旨。「価格が高いという苦情が寄せられている。これがそれに対するArc A 770。」

◇Intel says Moore's Law is still alive and well. Nvidia says it's ended.‐Intel: Moore's Law is alive and well; counters Nvidia (9月27日付け CNBC)
→1)IntelのCEO、Pat Gelsingerが今週、ムーアの法則は"健在"であると述べた旨。NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、ムーアの法則は完了したと何度か述べており、最近では先週もそうであった旨。
 2)*IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、火曜日の会社発表イベントで、ムーアの法則は"健在"であると述べた旨。
  *NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は先週、ムーアの法則は終わったと語った旨。
  *Intelは一部の半導体の製造を継続することを約束したが、Nvidiaは製造をサードパーティのファウンドリに完全に依存している旨。

◇Intel expands developer cloud to enable customers to try out new chips‐Intel touts Intel Developer Cloud, other new offerings (9月27日付け Reuters)
→Intel Developer Cloudは、Intelの最新プロセッサでのテスト ドライブをサポートするようになった旨。同社はまた、"Sonoma Creek"コンピュータ ビジョン プラットフォームのブランド変更であるIntel Getiを、人工知能(AI)の深層学習(DL)および推論用のOpenVINOソフトウェアとともに発表した旨。

◇Intel Geti and OpenVINO efforts advance AI and computer vision (9月27日付け VentureBeat)
→本日のIntel Innovation 2022イベントで、Intelは、Intel GetiプラットフォームとAIディープラーニングと推論用のOpenVINOツールキット ソフトウェアを使用したコンピューター ビジョンへの進出についての詳細を明らかにした旨。

◇What Intel Learned When an Elevator Smashed Into Its Supercomputer Chips‐In advancing from today's Ponte Vecchio processors to 2023's Meteor Lake, Intel says there's less risk of human error. (9月27日付け CNET)
→インテルは、プロセッサーの製造において多くの課題を抱えている旨。しかし、Auroraスーパーコンピューターの構築に使用されているプロセッサの頭脳であるPonte Vecchioの開発中に、危険なエレベーターのドアを新たに見い出した旨。

◇Intel touts 13th gen processors at annual Innovation event (9月28日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→CEOのPat Gelsinger氏が率いるIntelが、火曜27日、San Joseでの同社イベントにて、最新のプロセッサを披露、いくつかのアイテムの詳細が説明された旨。

◇Intel launches 13th Gen Core processor family (9月28日付け DIGITIMES)
→Intelが、最上位のCore i9-13900Kを筆頭に、第13世代Coreプロセッサ ファミリを発表、この新しいCoreファミリには、ゲーム、ストリーミング、レコーディング アプリケーション向けに、最大24コアと32スレッド、最大5.8 GHzのクロック速度を備えた6つの新しいアンロック デスクトップ プロセッサが含まれている旨。

Intel Foundryの最大顧客は米国国防総省(DoD)、とあらわされている。

◇Intel Foundry’s ‘No. 1’ Customer−U.S. DoD−Targets GAA‐Randhir Thakur told EE Times that IFS plans to be part of the U.S. DoD SHIP program, which will necessitate deep knowledge of GAA technology facilitating high-transistor?density 3D chips. (9月29日付け EE Times)
→米国国防総省(DoD)はIntel Foundry Services(IFS)の"No. 1"の顧客である、とIFSの社長、Randhir Thakur氏はEE Timesに語り、IFSはDoDの最先端の異種統合パッケージング(state-of-the-art heterogeneous integrated packaging:SHIP)プログラムの一部になる予定であると述べた旨。そのプログラムには、高トランジスタ密度の3D半導体を促進するゲートオールアラウンド(GAA)技術に関する深い知識が必要である旨。

◇Intel touts 'software-first' strategy at Intel Innovation event (9月29日付け FierceElectronics)
→Intelが、カリフォルニア州サンノゼで開催されたIntel Innovation event 2022のDay 2で、さまざまなソフトウェアの発表を行い、より多くの半導体企業がコンピューティングのソフトウェアスタック層により重点を置き始めているときに、同社はオープン ソフトウェアへの取り組みを強化している旨。

インテルとしての改めての意思&意志が、以下込められている。

◇Intel exec on its turnaround: ‘We’ve got to build back that customer trust’ (9月29日付け Yahoo)
→インテルは復活に取り組んでいる旨。その一環として、地球上で最も先進的な半導体企業として再び立つという約束を果たす必要があることを認めている旨。

◇Recession not a reason to stop investing: Intel‐Intel CEO: Chip tech investments are recession proof (9月29日付け The Taipei Times (Taiwan))
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏は、景気後退があっても同社は次世代IC技術への投資を続けるとしている旨。Gelsinger氏は記者団に対し、「短期的な財務状況に左右されてはならない。我々は長期的に投資している。」と語った旨。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月26日(月)

経済協力開発機構(OECD)が、2023年の成長率を下方修正している。

◇「戦争の代償」世界2.2%成長に減速、2023年、OECD予測 (日経 電子版 18:08)
→長引く戦争の代償が重くのしかかる旨。経済協力開発機構(OECD)が26日公表した経済見通しによると、2023年の世界の実質成長率は2.2%と前回6月の予測から0.6ポイント下振れする旨。ウクライナ危機前の2021年12月時点と比べると1.0ポイントの下方修正。各国はインフレ対応の利上げを急いでおり、世界景気の回復シナリオは軌道修正を迫られている旨。

□9月27日(火)

年初来安値が続き、中日で上げたものの2年ぶりの安値で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落329ドル安、年初来安値、長期金利上昇を嫌気 (日経 電子版 07:05)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前週末比329ドル60セント(1.1%)安の2万9260ドル81セントで終えた旨。前週末に付けた年初来安値を下回った旨。欧米の中央銀行の大幅利上げ方針を背景に米長期金利が一時3.90%と2010年4月以来、12年ぶりの水準に上昇し、株式相場の重荷になった旨。金融引き締めが景気後退を招くとの見方も株売りを促した旨。

英国ポンドも、過去最安値を更新、新たな火種である。

◇英ポンド最安値、大減税に動揺、世界市場へ新たな火種 (日経 電子版 07:16)
→英国で通貨安と金利上昇が加速し、金融市場の新たな火種になってきた旨。ポンドは26日に対ドルでの過去最安値を更新した旨。トラス政権が減税を柱とする経済対策を打ち出し、財政やインフレの悪化につながる懸念を生んだため。英市場の動揺は、世界が直面するインフレ対処の難しさを映す旨。

□9月28日(水)

◇NYダウ6日続落、125ドル安、長期金利上昇を嫌気 (日経 電子版 05:36)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続落し、前日比125ドル82セント(0.4%)安の2万9134ドル99セントで終えた旨。年初来安値を3営業日連続で更新し、2020年11月以来の安値で終えた旨。世界的な金融引き締め観測から米長期金利が4%に迫り、相対的な割高感を意識した売りが出た旨。ただ、短期的に「売られすぎ」とみた買いも入り、午前中は上昇する場面もあった旨。

□9月29日(木)

第一、第二四半期ともに縮小が見込まれる米国経済である。

◇US economy drops at 0.6% annual rate from April through June‐Revised data confirms US economy shrank in Q2 (The Associated Press)
→米国経済は、経済分析局の第3の最終的な見積もりによると、第二四半期に0.6%減少し、2四半期連続で縮小した旨。インフレと金利の上昇が経済の縮小の主な原因であり、消費者支出の2%の増加は、事業在庫と住宅購入の減少によって相殺された旨。

◇NYダウ7日ぶり反発、548ドル高、米長期金利の急低下で (日経 電子版 08:05)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに反発し、前日比548ドル75セント(1.9%)高の2万9683ドル74セントで終えた旨。英イングランド銀行(中央銀行)が英長期国債を購入すると発表し、欧米の長期金利が大幅に低下した旨。相対的な株式の割高感が薄れ、幅広い銘柄に買いが入った旨。ダウ平均は前日までの6営業日で1900ドル近く下げており、短期的に売られすぎとみた押し目買いも入った旨。

□9月30日(金)

IPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)が手控えとなっている現状である。

◇世界の投資銀行業務、7〜9月の手数料半減、人員削減も (日経 電子版 02:35)
→世界の金融機関の投資銀行業務が急減速している旨。関連業務からの手数料収入は2022年7〜9月期に前年同期から半減した旨。景気後退懸念や株式相場の変調で、企業が新規株式公開(IPO)などによる資金調達やM&A(合併・買収)を手控えている旨。冷え込みは長引く懸念が強まっており、米ゴールドマン・サックスは人員削減を再開。コスト削減のため他社もリストラに乗り出す可能性がある旨。

◇NYダウ反落、458ドル安、Appleが下げ主導 (日経 電子版 08:06)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比458ドル13セント(1.5%)安の2万9225ドル61セントで終えた旨。取引時間中には2万9000ドルを割り込み、年初来安値を下回る場面もあった旨。前日に急低下した米長期金利が再び上昇し、ハイテク株を中心に売りが広がった旨。世界的な金融引き締めが景気を冷やし、企業業績が悪化するとの懸念も相場の重荷となった旨。
長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が相場の下げを主導した旨。アナリストが投資判断を引き下げたスマートフォンのアップルは5%安で終えた旨。

中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、9月にやっと好転している。

◇中国の製造業景況感3カ月ぶり50超え、9月、電力不足緩和 (日経 電子版 11:05)
→中国国家統計局が30日発表した2022年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1、8月より0.7ポイント改善し、好調・不調の境目である50を3カ月ぶりに上回った旨。8月の工場稼働を抑制した電力不足が和らぎ、生産が持ち直した旨。

□10月1日(土)

◇NYダウ続落500ドル安、2年ぶり2万9000ドル割れ (日経 電子版 05:59)
→9月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、前日比500ドル10セント(1.7%)安の2万8725ドル51セントで終え、3日ぶりに年初来安値を更新した旨。2万9000ドルを割り込むのは2020年11月以来、約2年ぶり。世界の主要中央銀行による急速な金融引き締めが景気を冷やし、企業収益を圧迫するとの見方から幅広い銘柄に売りが出た旨。


≪市場実態PickUp≫

【市況悪化関連】

期待がかかる新型iPhone 14であるが、標準モデルの不調が取り沙汰されている。

◇Sales of Apple’s new iPhone 14 a mixed bag in China, with Pro models in hot demand but lukewarm response for standard models (9月26日付け South China Morning Post)
→*AppleのサプライヤーであるFoxconn Technology Groupは、標準のiPhone 14の生産ラインの一部を解体し、それらをProに切り替えたと言われている旨。
 *アナリストによると、Apple は中国での標準モデルとProモデルの差別化戦略を微調整する必要があるかもしれない旨。

◇Apple ditches plan to boost iPhone 14 production‐PRICE POINT: While overall demand has lagged expectations, higher-priced iPhone 14 Pro models appear to attract more attention than entry-level versions, sources said (9月29日付け Taipei Times)
→事情に詳しい複数の関係者によると、予想されていた需要の急増が実現しなかったため、アップルは今年の新型アイフォーンの増産計画を撤回している旨。

TSMCでも、先行きの低迷が見え始めているとのこと。

◇TSMC sees major fabless clients scale back orders for 2023‐Sources: Fabless semiconductor firms cut 2023 orders to TSMC (9月27日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCには、主要なファブレス顧客が2023年に向けてウェーハの開始を削減し始めているのが見えており、これにより、該専業ファウンドリーは1月の投資家会議で売上げ見通しを修正する可能性がある旨。

メモリ半導体需要の急減関連の見方、対応が続いている。

◇'Memory downcycle could last until 2025' (9月27日付け The Korea Herald)
→メモリ半導体のアップサイクルは今年すでにピークに達しているが、ダウンサイクルは最悪のシナリオでは2025年まで続くと予測されている、と米国に本拠を置く市場intelligence、IDCの幹部が火曜27日に語った旨。

◇キオクシア、四日市工場などで10月から当面約3割削減の生産調整‐需要動向に伴う生産調整で生産と販売のバランスを図る、と会社側‐半導体セクター全体への波及は避けられそうにない−アナリスト (9月30日付け ブルームバーグ 日本語版)
→キオクシアホールディングス(HD)は30日、四日市工場(三重県四日市市)と北上工場(岩手県北上市)で、10月から当面、同社分のウエハー投入量の約3割を削減する生産調整を行うと発表した旨。

景気悪化を受けて、米国巨大ITのGAFAでも、以下の動きが見られている。

◇Mark Zuckerberg told Meta workers to expect a hiring freeze and a smaller company in 2023 (9月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇メタが人材採用を凍結、コスト削減優先、米報道 (9月30日付け 日経 電子版 07:26)
→米メタが人材採用を凍結することが29日、わかった旨。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が社員集会で方針を伝えたと、米メディアが報じた旨。幅広い事業で予算を減らし、従業員数も減少に転じる見通し。景況感の悪化や競争激化で主力の広告事業が減速するなか、コスト削減を優先する旨。

◇Google、クラウドゲーム「Stadia」から撤退、コスト削減 (9月30日付け 日経 電子版 05:07)
→米グーグルは29日、クラウドコンピューティングの仕組みを活用したゲーム配信サービス「Stadia(スタディア)」から撤退すると発表、景気の減速を懸念してコスト削減を強化するなか、十分な利用者を確保できなかった同サービスを続けるのは難しいと判断した旨。


【半導体製造装置販売高】

市況悪化のインパクトがここにも。昨年の史上最高の半導体販売高の活況が続いて今年も更新の期待であったが、ここにきての現況を受けて、製造装置については、今年も最高更新を予想するものの、伸び率を下方修正というSEMIの見方である。

◇Global Fab Equipment Spending Forecast to Reach All-Time High of Nearly $100 Billion in 2022 (9月27日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIは本日、最新の四半期ごとのWorld Fab Forecastレポートで、フロントエンド装置に対する世界のファブ設備投資が前年比で約9%増加し、2022年には史上最高の$99 billionに達すると予想していることを発表、このレポートはまた、世界のファブ装置業界が今年と2023年に生産能力を増強していることも示している旨。「2022年に記録的なレベルを達成した後、世界のファブ装置市場は、新しいファブとアップグレード活動に牽引されて、来年も引き続き健全であるとの見通しである。」と、SEMIのPresident and CEO、Ajit Manocha氏。

◇半導体の前工程装置、2022年投資額見通しを下方修正 (9月28日付け 日経 電子版 18:30)
→半導体業界の国際団体、SEMIは28日、半導体の回路形成に使う前工程製造装置への世界投資額が2022年に前年比9%増の$99 billion(約14兆3000億円)になりそうだと発表、6月時点の従来予想を$10 billion下方修正した旨。記憶用半導体(メモリー)を中心に市況が悪化したことを受け、投資を絞り込む動きが出ている旨。
2022年の投資額は3年連続の過去最高となる旨。ただ、翌2023年は2022年見込み比2%減の$97 billionと、2019年以来4年ぶりの前年割れを見込む旨。従来予想は横ばいの$109 billionとしていた旨。


【米国CHIPS Act関連】

米国での半導体製造強化に向けたCHIPS Actへの評価が、続いている。

◇Supply Chain Experts Weigh In on CHIPS Act‐What the CHIPS Act will do for US microchip manufacturing‐Federal legislation is, one source says, “an opportunity to think differently around a common problem.” (9月27日付け EE Times)
→1)半導体メーカーはCHIPS Actのおかげで米国内にファウンドリーを建設する計画を発表し続けているが、サプライチェーンの専門家は、ICsの国内供給を確保する以上の努力が必要であると予測している旨。
 2)米国でより多くの半導体製造を促進するための連邦法の下で、Intel、Micron Technology、Samsung ElectronicsおよびTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)はすべて、米国で新しいウェーハ製造拠点を進めている旨。「全体的な観点から見ると、同法は、この技術が産業の生命線にとっていかに重要であるかを認めている。」と、ディストリビュータ、AvnetのVP of global sales enablement and supplier development、Peggy Carrieres氏はCHIPS法について述べている旨。

米国商務省が、CHIPS Act関連推進に向けた諮問委員会を設け、米国・SIAが歓迎している。

◇SIA Applauds Appointment of Industry Leaders to Advise Commerce Department on CHIPS R&D Implementation‐Industrial Advisory Committee is comprised of 24 industry reps from across the semiconductor ecosystem (9月29日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、米国商務省がIndustrial Advisory Committee(IAC:産業諮問委員会)を任命し、CHIPS for America Actの支援における国内の半導体研究に関連するさまざまな問題について商務長官にガイダンスを提供することを称賛する、President and CEO、John Neuffer氏からの声明を発表した旨。新たに任命されたIACメンバーには、半導体業界全体およびより広範なマイクロエレクトロニクス エコシステムの代表者が含まれている旨。

◇U.S. Dept. of Commerce Appoints First Members to Industrial Advisory Committee (9月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)


【中国市場関連】

中国でメモリ半導体を引っ張るYMTCについての記事である。米国の制裁を受ける中の動きである。

◇Tech war: China’s top memory chip maker carefully treads path to semiconductor self-sufficiency as US ponders trade sanctions (9月25日付け South China Morning Post)
→*株式非公開のYangtze Memory Technologies Co(YMTC:長江メモリー テクノロジーズ社は、北京とワシントンの間の緊張が高まっているにもかかわらず、依然として中国のトップ メモリー半導体メーカーである旨。
 *同社は、米国が中国の先進的なメモリ半導体メーカーへの半導体製造装置の販売を禁止する計画があるという報道の中で圧力に直面している旨。

◇Exclusive: YMTC CEO Simon Yang replaced due to 'personal reasons'‐YMTC CEO to step down, citing "personal reasons" (9月30日付け DIGITIMES)
→情報筋によると、NANDフラッシュ半導体技術で大きな進歩を遂げた中国最大のメモリ半導体メーカー、Yangtze Memory Technology Corp(YMTC) は、CEOで主要な技術開発者であるSimon Yang氏が入れ替わる旨。

半導体技術の獲得に向けての台湾の侵攻はない、と中国への見方である。

◇No, China will not invade to get its hands on Taiwan's semiconductor industry‐Viewpoint: The PRC won't invade Taiwan for the wafer fabs ‐If China decides to invade Taiwan, semiconductors won't be the reason why (9月25日付け Taiwan News)
→コラムニスト、Courtney Donovan Smith/石東文氏記事。中国は半導体製造技術を得るために台湾を侵略しようとはしない旨。中華人民共和国の習近平国家主席と中国共産党は、中華人民共和国で権力を維持することに関心がある、とDonovan Smith氏は主張する旨。

米国の規制は中国の半導体への決意をかえって強くする、との見方である。

◇Chip bans on countries like China will hurt the U.S. more than they'll help. They won't even work‐Viewpoint: Banning chip tech to China isn't effective (9月28日付け Fortune)
→米国は、高度なmicrochip技術が中国に向かうことを阻止しているが、Rakesh Kumar教授("Reluctant Technophiles"の著者)は、そのような努力は役に立たないと主張している旨。「どちらかといえば、輸出規制は、費用がかかるにもかかわらず、高度な半導体をネイティブに作成するという北京の決意を強化する可能性がある。」とKumar氏は書いている旨。

SMICの天津工場建設の状況である。

◇China's biggest chip maker SMIC pushes ahead with construction of new Tianjin plant despite Covid-19 lockdowns (9月28日付け South China Morning Post) 
→*報告によると、このプロジェクトは総投資額$7.5 billionで、先週の土曜24日に建設を開始した旨。
 *該新工場は、12インチウェーハを月間100,000枚処理する能力を持ち、成熟した半導体製造プロセスノードをカバーしている旨。


【Search for the Next(SFN)のIC製造】

中国の会社による英国・Newport Wafer Fabの買収が、英国政府により問題視されているが、台湾および韓国の半導体生産の独占を終わらせるという目論見に映る、英国の半導体設計会社、Search for the Nextのアプローチが、以下の通りである。さらに中身、そして今後に注目している。

◇Novel logic aims to beat CMOS, on 10 year older fabs‐Beyond CMOS: Search for the Next debuts logic device ‐Nottingham-based SFN (Search for the Next) has characterised its novel transistor-based logic, and claims that it matches CMOS performance even when made in older fabs. (9月29日付け Electronics Weekly (UK))
→英国に本拠を置く半導体設計会社、Search for the Nextが、同社のトランジスタ ベースのロジック テクノロジは、成熟したプロセス ノードで製造できるとしている旨。この技術は、業界標準のCMOSプロセスと同等である旨。

◇SFN looks to end monopoly of Taiwanese and Korean chip producers (9月29日付け New Electronics)
→Search for the Next(SFN)は、英国・Nottinghamを拠点とし、Bizenウェーハ プロセス、ZpolarトランジスタおよびZpolar Tunnel Logic(ZTL)の複合的な組み合わせの開発者であり、4つのITM(Infrastructure Time Machine)のファミリ、プロセスノードを利用可能にした旨。 これにより、半導体設計者は、現在の最先端工場で製造されたCMOSデバイスと同等の性能を持つ、古い180nmおよび1ミクロンgeometryのファブでさえもICを製造できるようになる旨。
SFNによると、英国最大の半導体製造工場であるNewport Wafer Fabなどの180nmフォトリソグラフィー ステッパーを備えたファブは、外国の所有者への売却提案をめぐって政治的および貿易戦争の中心にあることに気づき、いまやZTLを製造する可能性があり、ITM35を実装することにより、35nm CMOSの性能(サイズ、速度および性能))を備えたデバイスを大幅に削減したコストで実現できる旨。
(注)Search for the Next(SFN)のホームページより
・process of reference、‘POR’は、Bizen備前ウェーハプロセスの物理をする。
・プロセス開発キット(PDK)は、Zpolarトランジスタとトンネルを含むBizenデバイスPDK である。
・Zpolar Tunnel Logic(ZTL)ファミリを含むBizenセル ライブラリ。

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