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この夏の間のDRAM販売高激減、米国の対中規制強化への各社の対応

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜23日午後時点、世界全体で6億1408万人、7日前の午後から312万人増、前週比39万人減である。タイで2年半ぶりにコロナ対策非常事態宣言解除に向かうなど、制限緩和の流れは続いてはいる。今年後半からのDRAM市場悪化を事前警告する業績発表が見られたが、DRAM販売高がこの5月に最高に達してから、7月にはその半分に急落というデータの見方が、IC Insightsよりあらわされている。韓国のDRAM輸出高も、7月の前年比7%減から8月は前年比24.7%減となっている。一方、米国の対中国への半導体関連規制強化の声が強まる中、各社の様々な動き&反応が見られている。予断を許さない今年後半の半導体市場となっている。

≪世界経済激動の中の半導体市場≫

まずは、現下の市場から、韓国のDRAM市場の7月および8月の状況である。

◇South Korean exports of key DRAM chips plummet‐HIGH-TECH CONCERNS: Trade ministry data showed that shipments of DRAM last month fell 24.7 percent from a year earlier, compared with a 7 percent July drop (9月17日付け Taipei Times)
→最も収益性の高いメモリ半導体の韓国の輸出が、2019年以来最大の落ち込みであり、世界経済の成長の中心である技術需要の落ち込みが深まっていることを示している旨。

ウェアラブル機器市場では、本年横ばいとしてはいるが、前半は減少が続いている。

◇Wearables market to be flat for all 2022 on inflation, recession worries (9月19日付け FierceElectronics)
→スマートウォッチ、イヤホンなどのウェアラブル技術は、パンデミックの2年間で力強い成長を遂げたが、本年第一四半期の前年同期比3%の減少に続いて、第二四半期は同ほぼ7%の減少となった旨。2022年全体の成長率は、昨年と比べて横ばいと予想されている旨。IDC によると、第二四半期の出荷数量は1億700万台に減少し、買い手はインフレの上昇や不況への懸念および電子機器以外の製品への支出を懸念しているとしている旨。

直近のOmdiaの第二四半期データでは、Samsungが4四半期連続で半導体売上高1位との見方である。しかし、後半はメモリー半導体市場が萎縮、首位の座は危ないとしている。

◇Samsung Electronics expands market share of semiconductor industry in Q2‐Omdia: Samsung increases its chip market share (9月19日付け JoongAng Daily (South Korea))
→Samsungの半導体売上げが、第二四半期に$20.3 billionに増加、第一四半期の12.5%と比較して、世界のmicrochip市場の12.8%を占める、とOmdiaは推定している旨。Omdiaによると、世界の半導体市場は第二四半期に$158 billion以上に達した旨。

◇Samsung widens gap between Intel as world's largest chipmaker by revenue in Q2 (9月19日付け The Korea Herald)

◇サムスン電子、4四半期連続で半導体売上高1位 (9月19日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子が4四半期連続でインテルを抑えて世界半導体売上高1位となった旨。しかしメモリー半導体市場が萎縮し、下半期にはトップを奪われるという見方も出ている旨。
市場調査会社オムディアによると、今年4−6月期の世界半導体市場規模は$158.113 billion(約220兆ウォン、23兆円)と、前期(161.224 billion)に比べ$3.111 billion減少した旨。
サムスン電子の4−6月期の半導体売上高は$20.3 billionと、前期($20.155 billion)比$145 million増えた旨。オムディアはサーバー用半導体の需要維持とシステム半導体(非メモリー)の成長を売上増加の主な背景に挙げた旨。サムスン電子の市場シェアは12.5%から0.3ポイント増の12.8%で、インテルとは3.4ポイントの差だった旨。前期の両社のシェアは1.4ポイント差だった旨。
インテルの4−6月期の売上高は$14.865 billionと、前期($17.827 billion)比16.6%減少した旨。

GAFAMなど米国IT大手の設備投資の第二四半期の伸びが鈍化、半導体市場の下振れ懸念があらわされている。

◇米IT、設備投資鈍化、大手4社の伸び、4〜6月20%に 半導体など関連需要、下振れの恐れ (9月21日付け 日経)
→米マイクロソフトや米アマゾン・ドット・コムなど、クラウドサービスを手掛ける大手IT各社の投資拡大ペースが鈍っている旨。大手4社の2022年4〜6月期の設備投資の伸び率は前年同期比で20%まで鈍化した旨。伸び率は2020年4〜6月期以来の低い水準となる旨。クラウドサービスの拡大に伴ってデータセンター投資を拡大してきた牽引役の大手ITで鈍化傾向が大きくなれば、関連需要も下振れしかねない旨。

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)の月次世界半導体販売高のデータでも、この5月に史上最高を記録、その後、6月、7月と下げており、今後に注目している現時点である。そこに、IC Insightsより5月から7月各月のDRAM販売高が以下の通り発表されている。

◇DRAM Market Deflates, Cyclical Downturn Looms‐Monthly DRAM sales drop as end-users adjust inventory levels; consumer spending succumbs to inflation/recession pressure. (9月20日付け IC Insights)
→5月にここ2年以上で最高の月間販売量を記録した後、DRAMの販売高は6月に36%、7月にさらに21%減少した旨。市場の崩壊は急激かつ急速で、7月のDRAM市場は5月の約半分の規模であった旨。

5月
6月
7月
約$10,000M
約$6,250M
約$5,000M

急激なインフレと不況への懸念により、新しいスマートフォン、コンピューター、テレビ、その他の電子製品に対する消費者支出が減少している旨。一方、システム メーカーは、蓄積した既存の在庫を使い果たす必要性を理由に、新しいDRAMの注文を後退させている旨。

◇DRAM collapses‐IC Insights: DRAM market faltered during the summer ‐As the DRAM market deflates, a cyclical downturn looms, says IC Insights. (9月21日付け Electronics Weekly (UK))
→エンドユーザーが在庫レベルを調整し、消費者支出がインフレ/不況の圧力に屈するにつれて、毎月のDRAM販売高が減少している旨。
2020年の後半に始まり、2022年5月まで続いた精力的なDRAM市場の好転は、誰に聞いても終わったと、IC InsightsのAugust 3Q Update to The McClean Report 2022が述べている旨。

◇DRAM Market Deflates, Cyclical Downturn Looms (9月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

上にも示した韓国のDRAM輸出である。

◇Korea's exports of key memory chip plummet as demand chills (9月20日付け DIGITIMES)
→最も収益性の高いメモリ半導体の韓国の輸出が、2019年以来最大の減少であり、世界経済の成長の中心である技術需要の深刻な落ち込みを示している旨。
通商省が金曜日(9月16日)に発表したデータによると、DRAMの出荷は、前月の7%の減少と比較して、8月の前年比で24.7%減少した旨。

DRAM価格急落の1つの見方である。

◇DRAM prices could fall by 18%: report‐TrendForce: Inflation among reasons DRAM prices are dipping (9月23日付け The Taipei Times (Taiwan))
→市場調査会社、TrendForce(集邦科技)のレポートによると、サプライヤーは過剰な在庫を処分するよう圧力がかかっているため、在庫が最大12週間増加している旨。DRAM半導体の価格は次の四半期に13〜18%の急落率で下落すると予想されている旨。

次に、強まる一途の米国の対中半導体関連規制についてであるが、中国の各社は海外からの装置&材料購入に駆け込みである。

◇China gearing up to mass purchase IC equipment and materials‐Chinese chipmakers are reportedly buying IC gear, materials (9月19日付け DIGITIMES)
→米国が中国の半導体業界に対してより厳しい措置を講じると予想されるため、中国の半導体各社が、可能な限り多くの半導体装置と材料を海外から購入するよう全速力で動いており、大幅な後押しをしている旨。

韓国では、余波の懸念があらわされている。

◇「先端半導体、中国に売るな」米輸出規制さらに強く…韓国企業も影響あるか (9月20日付け コリア・エレクトロニクス)
→バイデン米政府が人工知能(AI)用先端半導体と関連製造装備に関する強化された対中輸出規制を公式化し拡大する予定の旨。未来技術覇権をめぐり、米国の中国牽制の水位がますます高まっている旨。韓国メディア「マネートゥデイ」が報じた旨。

NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、中国でのビジネスに米国の規制は問題ではない、と以下の見方である。

◇Huang still sees “plenty of room” to sell into China after latest US trade curb (9月21日付け FierceElectronics)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、AmpereおよびHopperアーキテクチャを使用している中国の顧客にとって、中国への販売に対する最近の米国の貿易制限は問題ではないと述べた旨。同社は顧客にサービスを提供する十分な余地を与えることができるとしている旨。

◇Nvidia CEO sees 'large space' for China sales despite U.S. restrictions‐Nvidia's Huang is optimistic about chip sales in China (9月21日付け Reuters)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、米国政府が半導体ベンダーの最も強力なデバイスの販売を制限しているにもかかわらず、半導体設計会社は中国でビジネスを行うことができると述べている、とロイターは報じている旨。
「当社の顧客の大部分は、該仕様に感服されていない。」とHuang氏は。「したがって、米国と中国であっても、アーキテクチャ的に互換性があり、制限内であり、ライセンスを必要としない製品が多数あると予想している。」

米国では、国内製造強化に向けたCHIPS Actの実施について、Leadership Teamが発表されている。

◇CHIPS for America Leadership Team Announced (9月22日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Ronnie Chatterji氏が、国家経済評議会(NEC)にてWhite House Coordinator for CHIPS Implementationを務める旨。Biden大統領のCHIPS実施に関する大統領令に示されているように、この役職で同氏は、CHIPS実施運営評議会の作業を管理し、国家安全保障会議(NSC)、科学技術政策局、商務省および効果的な機関間の調整を確保するための運営評議会と密接に働く旨。

中国・Huawei Technologiesは、米国の規制を回避するよう、半導体の再設計を行っているとのこと。

◇Huawei dives into chip production to battle U.S. clampdown‐Huawei restarts chip production, despite US restrictions ‐Telecom equipment maker is partnering with fellow blacklisted companies (9月22日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Huawei Technologiesが、アメリカの規制を回避するために一部の半導体を再設計している旨。同社は、必要なmicrochipsを入手するために、"US フリー"のfabラインに目を向けている旨。

アップルのiPhone 14での中国・YMTC製メモリ採用について、米国議会議員よりリスク分析調査の要請である。

◇米議員、リスク分析要請 iPhoneの中国製メモリー採用で (9月23日付け 日経 電子版 18:17)
→米上院情報特別委員会のメンバーは22日、中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)と米アップルとの潜在的な取引が国家安全保障にもたらす脅威を分析するよう米情報機関トップに要請したと明らかにした旨。議員らは取引が実現すれば「中国企業に大きな利益をもたらし、米国企業を世界的に弱体化させる」との懸念を示している旨。

激動の情勢下の推移に一層注目するところである。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月19日(月)

円下落が進んで、24年ぶり1ドル=145円台に。日本政府・日銀の円買い介入が行われたが、圧力を収めきれない以下今週の動きである。

◇円安で縮む日本、ドル建てGDP、30年ぶり4兆ドル割れ
 ・ドルでみた日本が縮小。GDPは30年前に逆戻り
 ・国力低下、円安止まらず。安い賃金、株買いも弱く
 ・ITなど投資不足。高付加価値の産業へ転換が重要 (日経 電子版 02:00)
→ドル建てでみた日本が縮んでいる旨。1ドル=140円換算なら2022年の名目
国内総生産(GDP)は30年ぶりに4兆ドル(約560兆円)を下回り、4位のドイツとほぼ並ぶ見込み。ドル建ての日経平均株価は今年2割安に沈む旨。賃金も30年前に逆戻りし、日本の購買力や人材吸引力を低下させている旨。付加価値の高い産業を基盤に、賃金が上がり通貨も強い経済構造への転換が急務。

□9月20日(火)

米国・Biden大統領が、台湾を守るスタンスをまたも明らかにしている。

◇バイデン大統領、中国が台湾侵攻なら米軍が防衛 (日経 電子版 05:10)
→バイデン米大統領は18日放送の米CBSテレビのインタビューで、中国が台湾を攻撃すれば米軍が防衛すると明言した旨。中国が台湾へ武力行使した場合の対応を明確にしない歴代政権の「あいまい戦略」の修正と受け止められかねない発言。

米連邦準備理事会(FRB)が、インフレ対策の引き締めで3回連続の0.75%利上げ、パウエルFRB議長からは、米経済は「ニューノーマル」に入りつつあるとの見方である。年初来安値を記録した今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反発、197ドル高、前週の大幅安の反動で (日経 電子版 06:11)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前週末比197ドル26セント(0.6%)高の3万1019ドル68セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長期化するとの見方から米長期金利が一時、11年ぶりの高水準を付け、嫌気する売りが先行した旨。売り一巡後は前週に大幅下落した反動で短期的な戻りを見込む買いが優勢となり、ダウ平均は上昇に転じた旨。

我が国でも、30年余りぶりの消費者物価上昇率である。

◇消費者物価8月2.8%上昇、30年11カ月ぶりの上昇率 (日経 電子版 11:57)
→総務省が20日発表した8月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.5となり、前年同月比2.8%上昇した旨。消費増税の影響を除くと1991年9月(2.8%)以来、30年11カ月ぶりの上昇率、5カ月連続で2%台となった旨。資源高や円安が、エネルギー関連、食料品の価格を押し上げた旨。

□9月21日(水)

◇NYダウ反落313ドル安、長期金利の上昇が重荷 (日経 電子版 05:49)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比313ドル45セント(1.0%)安の3万0706ドル23セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め観測を受けて米長期金利が11年ぶりの高水準を付け、株売りを促した旨。21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表を控え、タカ派姿勢が改めて示されるとの警戒感も相場の重荷だった旨。

◇Fed Raises Interest Rates by 0.75 Percentage Point for Third Straight Meeting‐Fed raises benchmark interest rate by 75 basis points ‐Officials project short-term rates will rise above 4.25% by year's end, signal further large increases at coming meetings (The Wall Street Journal)
→連邦準備制度理事会(FRB)は満場一致で3回連続で75 ベーシスポイントの利上げを採用することを決定し、今後数か月でさらに利上げが行われる可能性が高いことを示唆している旨。ほとんどの政策立案者は、年末までにfederal funds rateを4%から4.5%に引き上げると予想していることを示している旨。「インフレを遅らせなければならない。」と、FRB議長、Jerome Powell氏。「それを行うための痛みのない方法があればいいのにと思うが、それはない。」

□9月22日(木)

◇FRB、3回連続の0.75%利上げ 年末4.4%で景気に試練
 ・政策金利3%超に、リーマン危機以前の水準に引き上げ
 ・年末見通しは3.4%から4.4%へ、大幅に上方修正
 ・利上げの到達点は4.6%、2024年から利下げも視野 (日経 電子版 06:04)
→米連邦準備理事会(FRB)は21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めた旨。通常の3倍の利上げ幅で、6月に約27年ぶりに実施してからは3会合連続となる旨。高インフレの長期化を回避するための急ピッチの金融引き締めにより、景気の悪化懸念は一段と強まりそう。

◇NYダウ522ドル安、大幅利上げで2年金利は15年ぶり水準 (日経 電子版 08:19)
→米連邦準備理事会(FRB)が21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げを続ける方針を示したことを受け、米債券市場では政策金利の動向に敏感な2年物国債利回りが一時4.1%台まで上昇(価格は下落)、2007年10月以来、約15年ぶりの高水準になった旨。景気の先行き不安からダウ工業株30種平均は前日比522ドル安の3万0183ドルで終えた旨。

◇円下落、24年ぶり1ドル=145円台、日米の金利差が拡大 (日経 電子版 11:54)
→22日の外国為替市場で円相場が下落し、一時1ドル=145円台を付けた。円が対ドルで145円台を付けるのは1998年8月以来およそ24年ぶり。米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の利上げを決めた一方、日銀は政策を据え置き、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが膨らんだ旨。日本が金融危機にあった1998年8月に付けた147円台の円安水準に急速に接近している旨。

◇政府・日銀、24年ぶり円買い介入、円一時140円台に上昇 (日経 電子版 17:55)
→政府・日銀は22日、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った旨。財務省の神田真人財務官が表明した旨。財務官は「足元の為替市場では投機的な動きも背景に、急速で一方的な動きが見られている」と指摘し「こうした過度な変動を憂慮し、さきほど断固たる措置に踏み切ったところだ」と述べた旨。介入かとの問いに「そうだ」と認めた旨。

□9月23日(金)

◇NYダウ3日続落、107ドル安、米欧中銀の大幅利上げ警戒 (日経 電子版 06:08)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比107ドル10セント(0.4%)安の3万0076ドル68セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)や欧州の中央銀行が大幅な利上げを継続し、世界景気を冷やすとの懸念が広がった旨。景気敏感株や生活必需品以外の消費関連株の下げが目立った旨。

□9月24日(土)

米中の摩擦&衝突回避に向けた会談である。

◇米中外相、対話維持の必要性議論、台湾緊張も衝突は回避 (日経 電子版 03:45)
→ブリンケン米国務長官と中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は23日、訪問先のニューヨークで会談、米国務省によると、米中の緊張が高まる時に意思疎通を維持し、両国関係を管理する必要性を議論した旨。ペロシ米下院議長の台湾訪問で関係が悪化する米中が偶発的な衝突に発展するのを避ける狙いがある旨。

◇NYダウが年初来安値、英は金利急騰、ポンド安に (日経 電子版 07:25)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比486ドル27セント(1.6%)安の2万9590ドル41セントで終えた旨。6月につけた年初来安値を更新し、約3カ月ぶりの3万ドル割れとなった旨。米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げで、景気後退に陥るとの懸念が強まり、リスク資産の売りが広がる旨。債券市場では米長期金利が12年半ぶりの水準に急上昇し、株式相場の重荷となった旨。

◇パウエルFRB議長、米経済は「ニューノーマル」に突入の可能性 (ブルームバーグ 日本語版)
→パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済について、新型コロナウイルス禍による混乱を受けて「ニューノーマル(新常態)」に入りつつある可能性があるとの見解を示した旨。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

Nvidiaとの関係悪化が取り沙汰されているが、PCグラフィックスカードのEVGAが、ビデオカード市場からの撤退を表明している。

◇Nvidia has lost this big GPU manufacturing partner‐Report: EVGA ends relationship with Nvidia‐No more Nvidia cards from EVGA (9月16日付け Tom's Guide)
→PCグラフィックス カードのサプライヤー、EVGAが、Nvidiaとのサプライヤー関係を終了したと、Gamers Nexusのウェブサイトが報じている旨。
「私たちは長年にわたってEVGAと素晴らしいパートナーシップを築いており、現在の世代の製品で引き続きサポートしていく。」とNvidiaのspokesperson、Bryan Del Rizzo氏。

◇GeForce GPUs are 80% of EVGA's revenue but it's cutting ties with Nvidia anyway‐EVGA will continue selling current-gen GeForce cards until it runs out of stock. (9月16日付け Ars Technica)

◇EVGA Abandons the GPU Market, Reportedly Citing Conflicts With Nvidia‐A huge shift in the GPU business. (9月16日付け Tom's Hardware)

NvidiaのGTC Fall Conferenceでの同社CEO、Jensen Huang氏の発表、および関連する動きである。

◇Nvidia ramps up Hopper, AI large language model service (9月20日付け FierceElectronics)
→Nvidia は、現代のエンタープライズ データ センターを"AIファクトリー"と表現するのを好み、コンピューティング パワーに対する飽くなき欲求を持っているように見え、同社は該野獣を養い続けている旨。今週のGTC Fallイベントで、Nvidiaのfounder and CEO、Jensen Huang氏は、該AIファクトリーの生産継続を支える最新製品、同社のHopper H100 Tensor Core GPUが、フル生産に入っていると発表、Amazon Web Services、Google、Microsoft Azure、HP、Dell、およびCisco Systemsなどが該新半導体アーキテクチャーを活用する独自の製品とサービスを今後数か月以内に提供する予定の旨。

◇Nvidia announces Drive Thor SoC to centralize car compute (9月20日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが、2025年に生産を開始するZeekrインテリジェントEVsに最初に登場する、自動運転と車内インフォテインメントの機能を統合する野心的な集中型car computer cluster、Drive Thorを発表した旨。
Thorは同じタイムラインでDrive Atlanを置き換えるSystem on Chip(SoC)であり、現在生産中のDrive Orinの次世代になると、Nvidiaが火曜20日のGTCイベントで述べた旨。

◇Lowe's leverages Nvidia Omniverse for digital twins of stores (9月21日付け FierceElectronics)
→NvidiaのGTC Fall Conferenceにて、同社は、Nvidiaの新しいパートナーである住宅改善小売業者、Lowe'sと、および以前に発表された他のパートナーが、NvidiaのOmniverseプラットフォームを使用して、これらの仮想環境用の新しいデジタル ツインとアプリケーションを作成する方法について説明した旨。


【Arm買収協議に至るか?】

いろいろなあらわし方がある以下の内容であるが、ソフトバンクが10月に韓国でSamsungと戦略提携の協議の予定があり、孫正義会長兼社長と李在鎔副会長の間でARM買収が話し合われるか、注目されている。

◇サムスン電子の李副会長、ソフトバンク孫氏がアーム巡り提案も−報道 (9月21日付け ブルームバーグ 日本語版)
→韓国メディアのEデーリーは、ソフトバンクグループの孫正義社長が10月にソウルを訪問する可能性があり、同社傘下の英半導体設計会社、アームに関する提案を行うかもしれないとサムスン電子の李在鎔副会長が記者団に語ったと報じた旨。

◇SoftBank looks to form a 'strategic alliance' between Arm and Samsung‐SoftBank CEO envisions Arm IPO with Samsung support (9月22日付け Reuters)
→SoftBank GroupのCEO、孫正義氏が、Arm のIPOを検討していると言われており、たぶんにSamsung Electronicsと協力している旨。業界アナリストは、NvidiaのArm買収計画が反トラスト問題により頓挫した後、Arm買収のためのコンソーシアムに目を向けている旨。

◇Samsung may discuss joining Arm pre-IPO scheme when Softbank Son visits Seoul (9月22日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))

◇サムスン李在鎔副会長、来月ソフトバンクとARM買収を協議 (9月22日付け chosun Online 朝鮮日報)
→サムスン電子がソフトバンク系列で英国に本社を置く世界的な半導体ファブレス(設計)企業ARMの買収戦に参入する見通しとなった旨。
海外出張を終えて帰国したサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は21日、「ARM経営陣に会ったのか」という質問に対し、「会っていない」とした上で、「来月(ソフトバンクの)孫正義会長がソウルに来る。おそらくその際に何か提案があると思うが、よく分からない」と述べた旨。

◇サムスンと戦略提携協議へ SBG、傘下のアーム巡り (9月22日付け 共同通信社)
→ソフトバンクグループ(SBG)が、傘下の英半導体開発大手、アームを巡り、韓国の電機大手サムスン電子と戦略提携に向けて協議することが22日、分かった旨。SBGの孫正義会長兼社長が来月、韓国を訪問し、サムスン側と提携の具体策を議論する旨。

◇Samsung chief's comments viewed as intent to acquire British chip design company (9月22日付け The Korea Times)
→Samsung ElectronicsのVice Chairman、Lee Jae-yong氏が、来月ソウルでソフトバンクの孫正義社長と会談する計画を発表、サムスングループのリーダーが日本のソフトバンクから英国の半導体アーキテクチャ設計会社アームを買収する意向を示した旨。サムスンの秘密主義の性質を考えると、業界アナリストは木曜22日、サムスンのリーダーの発言は驚きであり、アームを買収する強い意志を示していると述べた旨。


【インテル関連】

インテルが、「Pentium」および「Celeron」半導体のブランド変更を計画、2023年には「Intel Processor」が登場する、としている。

◇Intel to rebrand its Pentium and Celeron laptop chip lineups‐Intel plans to rebrand laptop chip product lines (9月16日付け SiliconAngle)
→Intelが、2023年にラップトップ用のPentiumおよびCeleron半導体のブランド変更を計画している旨。新しいブランドはIntel Processorとなり、来年の第一四半期に有効になると、同社は発表した旨。

◇PentiumとCeleronに代わる「Intel Processor」が登場 (9月20日付け PC Watch)
→Intelは16日、エントリー向けCPUにあたるブランド「Pentium」および「Celeron」の代わりに「Intel Processor」(日本語名:インテル プロセッサー)を投入することを発表した旨。2023年よりノートPC向けに提供される予定。
今回のブランド変更は、PC事業部全体のブランド体系を明確化し、各製品の提供価値を伝えるカスタマーコミュニケーションを有効かつ強化するとともに、購買体験をよりシンプルなものにする旨。

超小型PC、NUC(Next Unit of Computing)についての発表である。

◇Intel pushes out NUC mini PC with Arc graphics‐Intel bows the NUC 12 Enthusiast with Arc GPUs ‐NUC NUC. Who's there? It's me again. You folks still want computers, right? (9月20日付け The Register (UK))
→Intelが、同社のArc GPUsの1つを最初に搭載し、コンテンツ クリエーターとゲーマーを対象としたNUC 12 Enthusiastの最新のNUCラインナップを発表した旨。

同社データセンター部門を率いるSandra Rivera氏のコメントである。

◇Intel Executive With Industry's Toughest Job Plots Comeback‐Intel's Sandra Rivera leads the chipmaker's data center unit (9月21日付け Bloomberg)
→*かつて繁栄していたIntel社のデータセンター部門を運営しているSandra Rivera氏。
 *該divisionのターンアラウンドは予想よりも長くかかるだろう、と彼女は言う旨。


【東芝関連】

東芝の再編について、産業革新投資機構(JIC)が日本産業パートナーズ(JIP)との連携を解消、米ベインキャピタルと連合を組む方向、とあらわされている。

◇Japan state-backed fund in talks with Bain on Toshiba buy-out -Nikkei ‐Report: Japan Investment seeks new Toshiba restructuring path (9月21日付け Reuters)
→共同通信発。Japan Investment Corp(産業革新投資機構)は、Japan Industrial Partners(日本産業パートナーズ)との交渉を終了した後、東芝を再編するための別のコンソーシアムを探している旨。非公開を選択するなど、多くのオプションが検討されている旨。

◇東芝再編、革新機構がベインと連合、当初の国内勢と解消 (9月22日付け 日経 電子版 05:31)
→東芝の再編を巡り、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が共同で2次入札に進んだ日本産業パートナーズ(JIP)との連携を解消する方針であることが21日、わかった旨。JICは同じく2次入札に進んでいる米ベインキャピタルと連合を組む方向で調整している旨。JIPは国内企業の出資を募り2次入札に臨む方針で、合従連衡が激しくなっている旨。


【台湾関連】

台湾南東部での甚大な被害の地震発生であるが、半導体関連では大きな被害はないとされている。

◇台湾南東部で震度6強、1人死亡、建物倒壊や列車脱線 (9月18日付け 日経 電子版 23:04)
→台湾当局によると、台湾南東部台東県で18日午後2時44分(日本時間同3時44分)、マグニチュード(M)6.8の地震があり、震度6強を観測した旨。消防当局によると、1人が死亡、約80人が負傷した旨。台湾では17日夜にも台東県で震度6強を観測するなど地震が続き、18日も全島で揺れが確認された旨。

◇Semiconductor manufacturing not affected by strong earthquake in Taiwan (9月19日付け DIGITIMES)
→9月18日に台湾でマグニチュード6.8の地震と余震が発生したが、震源地が島の南東沖にあったため、半導体製造各社は生産ラインに大きな被害はなかったと述べている旨。

TSMCが、台南にて水のリサイクル施設をオープンしている。

◇TSMC inaugurates water recycling plant in southern Taiwan‐TSMC opens a southern Taiwan water recycling plant (9月19日付け Focus Taiwan)
→TSMC(台湾積体電路製造有限公司)が、台湾南部サイエンス パークの台南地区に水のリサイクル施設を開設した旨。該工場は、来月から1日あたり5,000トンの工業用水をリサイクルし、2023年中に毎日20,000トンを処理する予定の旨。

台湾でのアナログIC設計で、費用対効果からウェーハが8インチから12インチに移行しているとのこと。

◇Taiwan analog IC firms step up transition to 12-inch wafer manufacturing‐Analog IC design firms in Taiwan adopt 12-inch wafers (9月20日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC設計会社が、12インチ ウエハーでの半導体製造を採用しており、8インチの製造は費用対効果が低くなってきている旨。

AMDのCEO、Lisa Su氏はじめ、近く台湾を訪問、TSMCはじめ連携を話し合う予定とされている。Su氏は、台湾系米国人である。

◇AMD CEO to Negotiate 2nm, 3nm Chip Supplies With TSMC‐AMD CEO Lisa Su heads to Taiwan for talks with TSMC ‐Head of AMD to talk about beyond-2024 collaboration with TSMC. (9月21日付け Tom's Hardware)
→AMDの最高経営責任者(CEO)、Lisa Su氏と他の企業のCレベルの幹部が、9月下旬から11月上旬に台湾を訪れ、地元のパートナーとの協力について話し合う予定の旨。AMDの経営陣が会合を予定している企業の中には、TSMC、半導体実装のスペシャリスト、および大手PCメーカーが含まれる旨。

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