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CHIPS Act施行に向けたBiden政権の地固め:各社fabs起工、対中規制

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜16日午後時点、世界全体で6億1096万人、7日前の午後から351万人増、前週比23万人減である。我が国では新規感染が高水準で依然警戒を要する感じ方であるが、世界保健機関(WHO)の事務局長からは、コロナの終わりが"視野に入った"とのコメントが出ている。Biden大統領が署名した米国CHIPS Actの施行に向けて、インテル、マイクロンの新工場起工式が行われ、大統領はじめ政権メンバーが立ち会う熱の入れようである。米国勢のみならず、SamsungおよびTSMCが米国新工場を進めており、該法案による資金支援がどう活かされるかに注目である。対中国のさらなる米国の規制強化の動きのくすぶりも続いている。

≪激動の政治&経済情勢下での取り組み≫

インテルのオハイオ州での新工場起工式に、Biden大統領が出席、米国での各社の半導体新工場の取り組みにも以下の通り言及している。

◇Intel breaks ground on $20B fab megasite in Ohio (9月9日付け FierceElectronics)
→Biden大統領が金曜9日、オハイオ州中部にあるIntelの$20 billion規模のメガファブ サイトの起工式で同社CEO、Pat Gelsinger氏と合流、米国国内の半導体の覇権とIntelインテルの40年ぶりの最新半導体拠点の新たなスタートを切っていく旨。

◇Wolfspeed fab for NC is latest on CHIPS Act list, Biden says (9月12日付け FierceElectronics)
→Intelのオハイオ州の$20 billion規模のメガファブ サイトでの起工に向けての発言の中で、Biden大統領は、彼の在職期間中の668,000の国内製造業雇用の拡大、特に8月に署名したCHIPS Actに基づく半導体生産に注意を喚起した旨。
オハイオ州中部でのIntelのインパクトに加えて、Biden氏は金曜9日、マイクロンがメモリ半導体の製造に10年間で$40 billionを投じる計画と、クアルコムとの$4 billionの GlobalFoundriesパートナーシップについて言及した旨。
同氏が言及した新しいものは、ノースカロライナ州のEV用半導体に使用されるウエハーを作るために、Wolfspeedが$5 billionを充てること。

そこで、現在見えている米国内の半導体新工場の一覧をまとめた記事である。

◇Here's the latest hot list of cool chip fabs coming to the US (9月12日付け FierceElectronics)
→以下の米国内半導体fabsの拡大するのリストには、8月に可決された$52 billionの米国CHIPS Actから勢いを得ているものが含まれている旨。ただし、利用可能な土地、教育を受けた労働力、地元からの寄付および合理化された規制のすべてが、fabsが建設される場所に影響を与える旨。一部のプロジェクトは他よりもしっかりしている旨。

≪今後に見えている米国内fabs≫

GlobalFoundries and Qualcomm
 upstate New York;2028年までに$7 billionの半導体をQualcommが購入
Intel
 Ohio中央部の2つfabsに$20 billion
 Chandler, Arizonaに2つの新fabs、$20 billion
 New Mexicoの先端実装拠点
Micron
 Boise HQにメモリ半導体の$15 billion fab
 Austin, Texas近郊などのfabsにbillions of dollars
Samsung
 Taylor, Texasの$17 billion fab
 向こう何年かでTexasに11のfabs、約$191 billion
Texas Instruments
 Sherman, Texasに4 fabs、$30 billion
TSMC
 Camas, Washingtonのfab
 Phoenixに建設中の$12 billion fab、5-nmプロセス
Wolfspeed
 North Carolina中央部に$5 billionのsilicon carbide(SiC)ウェーハfab

インテルに続いて行われたマイクロンのアイダホ州での起工式が、以下の通りである。Biden政権、議会、自治体の関係者が出席である。

◇Micron breaks ground on $15 billion U.S. chip plant, says more to come soon‐Micron begins construction on $15B wafer fab in Boise, Idaho (9月12日付け Reuters)
→米国最大のメモリ半導体企業、Micron Technology社が月曜12日、アイダホ州ボイジーに$15 billion規模の工場を起工し、同社の最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、別の新しい米国工場の発表が間もなく行われると語った旨。

◇Micron Breaks Ground on Leading-Edge Manufacturing Fab in Boise, Idaho (9月12日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→世界最大手の半導体企業の1つであり、米国を本拠地とする唯一のメモリメーカーであるMicron Technology社が、Boise, Idahoで最先端のメモリ製造fabを起工の旨。これは、20年ぶりに米国での新しいメモリ製造fabとなる旨。 マイクロンは、Jennifer M. Granholm米国エネルギー長官、Dr. Alondra Nelsonホワイトハウス科学技術政策局長代行、Jim Risch上院議員、Brad Littleアイダホ州知事およびBoise市長、Lauren McLean氏が出席した式典でこの機会を祝った旨。

メキシコも、Biden政権による該半導体投資の利用を目指す動きである。

◇US, Mexico to cooperate on semiconductors, electric vehicles‐US to collaborate with Mexico on EVs, microchips (9月13日付け The Associated Press)
→メキシコと米国は、Biden政権による半導体生産への巨額の投資を利用して、サプライチェーンの統合を推進し、メキシコの国有化されたリチウム産業を通じて電気自動車(EVs)の生産拡大に協力することを計画している、と両国の当局者が月曜12日に述べた旨。

台湾のウェーハメーカー、GlobalWafersも、Biden政権が説得との報道もあるが、テキサス州での工場建設である。

◇Taiwan's GlobalWafers sees Nov groundbreaking for $5 bln Texas plant‐GlobalWafers to break ground for its $5B Texas plant in fall (9月13日付け Reuters)
→台湾のGlobalWafers Co Ltdが、テキサス州で$5 billion規模の新しい工場の建設を11月に開始する予定である、と同社の会長兼CEOが火曜13日に述べた旨。

上記に示すように、Biden大統領が最新の顔ぶれとして紹介しているWolfspeedのSiC工場が次の通りである。

◇Will This Be the World’s Largest Silicon-Carbide Materials Factory?‐Wolfspeed plans $5B silicon-carbide materials plant ‐Wolfspeed said it will spend up to $5 billion in a new silicon-carbide materials facility in North Carolina. (9月16日付け Electronic Design)
→Wolfspeedは、シリコンカーバイド(SiC)材料の工場に$5 billionもの投資を行う可能性があり、完成すれば世界最大になる旨。該ノースカロライナ工場は、電気自動車の普及が進むにつれて、WolfspeedがSiCウェーハの需要に対応できるようにするのに役立つ旨。

このような新工場ラッシュの一方、米国の中国に対する規制強化絡みの動きが以下の通り続いている。

中国・Huaweiについては、技術標準への参加を認める動きの模様である。

◇US eases Huawei curbs to counter China’s push on tech standards (9月9日付け South China Morning Post)
→*米国商務省の産業安全保障局が、特定の"低レベル"の技術とソフトウェアの共有を許可する新しい規則を発行している旨。
 *中国のハイテク大手、Huaweiは2019年にブラックリストに載せられたが、この動きにより、米国企業は標準関連の活動への参加を制限することにもなる旨。

人工知能(AI)半導体および半導体製造装置については、より広範な輸出制限が検討されている。

◇Exclusive: Biden to hit China with broader curbs on U.S. chip and tool exports‐Report: US will curb exports of chips and IC gear to China (9月12日付け Reuters)
→ロイター通信発。Biden政権は、人工知能(AI)microchipsおよび半導体製造装置に対するより広範な輸出制限を検討している旨。本件の事情に詳しい関係者によると、商務省は以前、Applied Materials, KLAおよびLam Researchに対し、それぞれの半導体製造toolsを中国に輸出することについて警告していた旨。

◇Biden may broaden curbs on chip exports to China‐RESTRICTIONS: The commerce department intends to publish new rules forbidding select companies from selling chipmaking equipment to Chinese factories (9月13日付け Taipei Times)
→本件事情通の複数の関係者によると、Joe Biden政権は来月、人工知能(AI)や半導体製造ツールに使用される半導体の中国への米国からの出荷を制限を拡大する計画の旨。

中国発のAI関連インパクトの記事が続いている。

◇Tech war: Why the US Nvidia chip ban is a direct threat to Beijing's artificial intelligence ambitions (9月12日付け South China Morning Post)
→*NvidiaデータセンターGPUに対する米国の輸出制限は、該半導体に依存する中国の最も強力な人工知能(AI)システムに打撃を与える可能性がある旨。
 *業界関係者は、来年の禁止が発効する前に、企業各社がNvidia半導体を備蓄することを見込んでいる一方、自動車メーカーのXpengは、何年にもわたる前準備があるとしている旨。

◇Tech war: China chip veteran says Nvidia is hard to replace in artificial intelligence, urges start-ups to catch up (9月14日付け South China Morning Post) 
→*Nvidiaは、AIトレーニング システムの汎用GPUの95%を供給していると、上海を拠点とする半導体のライバル、Iluvatar Corexのchief technology officer(CTO)、Lu Jianping 氏は述べている旨。
 *中国のGPU新興企業は、該半導体がより多くのシステムでサポートされるようにするために、より多くのアルゴリズムをサポートすることにより、"汎用性"に焦点を当てる必要がある、と同氏は述べた旨。

米国の規制の台湾への影響についての見方である。

◇U.S. curbs on chip tool sales to China won't hurt Taiwan much: Economist (9月13日付け Focus Taiwan)
→米Joe Biden政権が米国製IC半導体と製造設備の中国への販売を大幅に制限したと報じられたが、台湾の半導体産業への影響は限定的である可能性が高い、と現地エコノミストが火曜13日に述べた旨。

対中規制はまだ最終決定ではない、と依然今後に含みのある以下の内容である。

◇U.S. investments in foreign chip firms a potential concern, White House says‐How will the White House handle US chip firms investing in China? (9月14日付け Reuters)
→ホワイトハウスの当局者が水曜14日、外国の半導体企業への米国の投資はBiden政権にとって潜在的な懸念事項であると述べたが、米国の中国への投資を規制する潜在的なメカニズムについてはまだ最終決定を下していないと強調した旨。

◇外国半導体企業への米投資、潜在的な懸念=米政府高官 (9月15日付け ロイター 日本語版)
→米国家安全保障会議(NSC)のハレル高官は14日、海外の半導体企業に対する米国の投資が潜在的な懸念という認識を示しつつも、米国の対中投資に関する規制の枠組みについては最終決定は行われていないと述べた旨。
ハレル氏は、米国で8月に成立した中国に対する競争力向上を目指す国内半導体産業支援法を評価しつつも、「外国の競合半導体企業に対する米国の投資の特定のカテゴリーが、こうした政策手段の効果を損なう可能性があるかどうか、どのように損なわれるかを検討することが重要」と語った旨。

米国での半導体新工場建設、そして米国の対中規制の現時点を見てきたが、関連する記事内容を以下取り出している。

米国のBlinken国務長官を取り上げた2件、2番目は中国発である。

◇Secretaries of State, Commerce Discuss Efforts to Build a U.S Microelectronics Ecosystem (9月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→米国のAntony J. Blinken国務長官とGina Raimondo商務長官が火曜13日、Purdue Universityを訪問、大学の研究施設を見学、そして米国の半導体産業を強化するという使命に着手する学生たちに会った旨。

◇US must be ‘at the table’ in semiconductor field: Blinken (9月14日付け South China Morning Post) 
→*Blinken米国務長官は、"決定が下されているときに米国がテーブルにいることを確認して、その技術外交に入る"ことの重要性を強調した旨。
 *Joe Biden米大統領が先月署名したChips and Science Actには、半導体の国内生産を促進するための約$52 billionが含まれている旨。

EUVリソ装置のオランダ・ASMLには、米国は非常に敏感であるが、同社の中国拠点の状況である。

◇Tech war: Dutch chip manufacturing tool maker ASML still aims to expand China workforce, despite tighter US export restrictions (9月13日付け South China Morning Post)
→*中国本土でのASMLの総従業員数は、2017年の500人未満から、この8月末には1,500人以上に達した旨。
 *該オランダの会社は、今年200人以上の新しい従業員を雇用する予定の旨。

◇半導体装置大手ASML、中国の従業員数1500人以上に、同国事業の成長を後押し (9月14日付け 36KrJapan)
→オランダの半導体露光装置(ステッパー)メーカーASMLの中国における従業員数が、2022年8月末時点で1500人を超えたことが明らかになった旨。世界最大級の半導体製造装置メーカーである同社は、世界の複合集積回路メーカーに主要な装置を供給している旨。
ASMLは1988年、中国市場に最初の露光装置を納入し、2000年には中国法人を設立した旨。現在では、中国国内に15のオフィス、11の倉庫・物流センター、3つの開発センター、そして研修センターとメンテナンスセンターをそれぞれ1つずつ設置している旨。

米国・ウォール街での反応があらわされている。

◇U.S. Bid to Revive Chip Manufacturing Collides With Wall Street's Demands‐Chip onshoring conflicts with investors' mandates ‐Intel is among companies facing both political push for more factories in U.S. and investor resistance to capital spending−conflict Chinese competitors don't face (9月14日付け The Wall Street Journal)
→米国の半導体ベンダーがウェーハ製造拠点に投資しているなか、ウォール街がこのファブ ブームを歓迎するかどうかはまだ分からない、とこの分析は言及している旨。「我々は、ここオハイオで、世界で最先端のものを構築するつもり。」と、IntelのCEO、Pat Gelsinger氏。

台湾・蔡総統の困難な環境下での意思表示である。

◇Taiwan president warns of 'volatile' challenges facing chip industry‐President of Taiwan sees hurdles ahead for semi industry (9月14日付け Reuters)
→台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は、半導体業界が新たな"不安定な局面"課題に直面していると警告したが、政府は業界と協力してそれらを克服すると述べた旨。

米国の台湾に向けた積極的なアプローチ&動きである。なにしろ、現下の半導体業界を実質的にリードする台湾ならではである。

◇U.S. to discuss new chips bill with Taiwan next month‐Taiwan and US will discuss joint efforts in chip tech (9月14日付け Reuters)
→米国は来月台湾と会談し、米国の半導体産業を後押しすることを目的とした新しい米国の法律について話し合う、と台北の米国のトップ外交官が水曜14日に述べた旨。

◇Senate panel approves bill granting $4.5B for Taiwan security (9月15日付け FierceElectronics)
→米上院外交委員会が水曜14日、17対5でTaiwan Policy Actに賛成票を投じた旨。この法案は、中国が台湾への軍事的圧力を強める中、4年間で$4.5 billionの安全保障支援を台湾に与える旨。
台湾には、世界最大の受託製造業者であるTSMCを含むいくつかの半導体ファブがあり、TSMCは、Appleやその他の企業向けに半導体を製造しているほか、AIの将来の取り組みに不可欠と見なされる最先端のチップを製造している旨。

韓国大統領も、切実なトーンのコメントである。

◇尹大統領、半導体産業の重要性強調「生死かかっている」 (9月14日付け 聯合ニュース)
→韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は14日、与党「国民の力」の半導体産業競争力強化特別委員会所属の国会議員や産業界の関係者らと大統領室で昼食会を開き、「半導体は産業のコメといい、第4次産業革命で最も重要な分野であり、われわれの生死がかかっている」として、「長期課題でなく、リアルタイムで(対応)しなければならない懸案」と強調し、半導体産業発展に向けた国会の協力を要請した旨。

中国国内の実態を踏まえた中国発の論評記事が引き続いている。

◇Tech war: record number of Chinese chip firms going out of business in sign of Beijing's sputtering self-sufficiency drive‐Nearly 3.5K Chinese chip firms out of business in 2022 (9月15日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*1月から8月の間に、ブランドや事業において"半導体"に中国語を用いる企業を含め、3,470もの企業が登録を取り消された旨。
 *その数は、2021年に閉鎖された3,420社と2020年に消滅した1,397社を上回った旨。

◇Tech war: China's semiconductor trade group sees ‘hostile’ environment after US Chips Act but no quick remedies found‐China's chip industry group mulls reaction to CHIPS Act (9月16日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*商業的利益が国家安全保障上の懸念に取って代わられるにつれて、グローバルサプライチェーンは"短縮"され、地元のサプライヤーへの依存度が高まると専門家は言う旨。
 *米国の輸出管理は、先端分野での規制強化と成熟した半導体技術への寛大さにより、より微調整される可能性が高い旨。

一層流動性を増す半導体の世界の推移に注目するところである。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月13日(火)

8月の米国消費者物価指数(CPI)が予想を上回る上昇、該ショックが世界に波及、株価急落を引き起こした今週の米国株式市場である。

◇NYダウ4日続伸、229ドル高、Appleが牽引 (日経 電子版 07:22)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日続伸し、前週末比229ドル63セント(0.7%)高の3万2381ドル34セントで終えた旨。ドル高の一服で外需企業の収益悪化懸念が薄れたほか、13日に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)がインフレピークアウトを示すとの期待が買いを支えた旨。アップルが大幅高となったのもダウ平均を押し上げた旨。

◇8月の米消費者物価指数、8.3%上昇…市場予想上回る (讀賣新聞オンライン 22:02)
→米労働省が13日発表した8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比8.3%で、7月(8.5%)よりも減速した旨。減速は2か月連続となったが、市場予想(8.1%)は上回り、引き続き高い水準となっている旨。

□9月14日(水)

◇NYダウ急落、1276ドル安、大幅利上げ継続を警戒 (日経 電子版 07:53)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに急反落し、終値は前日比1276ドル(3.9%)安の3万1104ドル、1日の下げ幅としては2020年6月以来2年3カ月ぶりの大きさを記録した旨。同日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続や景気悪化への懸念からリスク回避の株売りが膨らんだ旨。

◇CPIショック再び、世界で株安連鎖、日経平均一時800円安 (日経 電子版 11:57)
→14日の東京株式市場で日経平均株価が一時前日比800円超安と急落した旨。8月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが強く、米連邦準備理事会(FRB)が物価の伸び鈍化とともに利上げを緩めるとの楽観論が後退。景気後退による企業業績の悪化が意識されている旨。6月に続く「CPIショック」が再び発生し、世界で株安が連鎖している旨。

□9月15日(木)

世界的にはということか、コロナの終わりが見えてきた、と世界保健機関(WHO)の事務局長である。

◇WHO事務局長、コロナの終わり「視野に入った」 (日経 電子版 05:15)
→世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は14日、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)について「終わりが視野に入ってきた」と述べた旨。WHOがパンデミックを宣言した2020年3月以来、1週間に報告された死者数が最も少なくなったことを根拠として挙げた旨。

◇NYダウ小反発、30ドル高、前日急落の反動で押し目買い (日経 電子版 05:43)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比30ドル12セント(0.1%)高の3万1135ドル09セントで終えた旨。前日に1276ドル安と今年最大の下げを記録した反動で、短期的な戻りを見込んだ買いが入った旨。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速への警戒感は強く、相場は下げる場面もあり方向感に乏しかった旨。

□9月16日(金)

◇NYダウ反落、173ドル安、ハイテク株に売り (日経 電子版 05:59)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比173ドル27セント(0.6%)安の3万0961ドル82セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを加速するとの警戒感からハイテク株を中心に売られた旨。市場予想を上回る米小売り統計を受けて消費関連株への買いが先行したものの、午後に失速した旨。

戦争を引き起こしていて好意的な反応が得られるわけがない、インドそして中国のロシアとの対面会談での応答&対応である。

◇モディ首相「戦争の時でない」、プーチン氏に苦言 (日経 電子版 23:52)
→インドのモディ首相は16日、訪問先のウズベキスタンのサマルカンドでロシアのプーチン大統領と会談、モディ氏はウクライナ危機に関し「いまは戦争の時ではない」と苦言を呈し、民主主義や外交、対話の重要性を訴えた旨。食料や燃料の確保について「問題を解決する方法を見つけなければならない」と述べた旨。

□9月17日(土)

◇中国・ロシア共同声明出さず、首脳会談、かりそめの結束‐ウクライナ危機巡り温度差 (日経 電子版 02:00)
→ロシアによるウクライナ侵攻後初めてとなる中国との首脳会談は15日、2月の前回会談とは異なり、共同声明を出さないまま終了した旨。対米での結束を演出したものの、ウクライナ侵攻を巡る温度差は明らか。中国は貿易では協力しつつも軍事支援には一貫して慎重で、かりそめの結束をあらわにした旨。

◇NYダウ続落、139ドル安、フェデックスの急落が重荷 (日経 電子版 05:59)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比139ドル40セント(0.5%)安の3万0822ドル42セントと2カ月ぶりの安値で終えた旨。物流大手、フェデックスが15日夕に発表した決算の速報値と業績見通しが振るわず、世界景気や米企業業績の下振れへの懸念が強まった旨。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

市場シェアについて、インテル社CEO、Pat Gelsinger氏の率直な弁である。

◇Intel CEO Expects More Market Share Losses to AMD (9月12日付け EE Times)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が先週、同社がデータセンター機器の市場シェアをライバルの半導体メーカー、AMDに奪われ続けると予想していると語った旨。
「私たちの競争相手はうまくやっている」と、Gelsinger氏がEvercore Technology Conferenceにて、EE Timesが入手した記録の旨。「我々はここ数年そうではなく、まだプロセス技術が不足している。」

インテルが、自動運転技術部門、MobileyeのIPOの規模を縮小、ないし時期先延ばしもあるとしている。

◇Slumping IPO market may make Intel's Mobileye offering smaller, later (9月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→インテルは、自動運転車事業の評価額を$50 billionと望んでいた旨。現在、Mobileyeが株式公開企業として復帰する際には、約$30 billionの評価額を求めると予想されている旨。

◇インテルがモービルアイ部門IPOの規模縮小、先延ばしも−関係者‐IPO規模最大$30 billion見込む、当初は$50 billion超との報道も‐半導体株回復なら年内のIPOあり得ると関係者 (9月13日付け ブルームバーグ 日本語版)
→米インテルは半導体株などの下落を理由に、自動運転技術を手掛けるモービルアイ部門の新規株式公開(IPO)計画の規模を縮小し、状況が改善しない場合はIPOを来年まで先延ばしする可能性がある旨。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした旨。

インテルの注目の新製品関連である。

◇Intel publishes Arc GPU specifications as their launch creeps ever-nearer‐Intel releases Arc GPU specifications, going to market‐Intel's lineup will likely be competing with new GPUs from AMD and Nvidia soon. (9月12日付け Ars Technica)
→Intelが、Advanced Micro Devices(AMD)およびNvidiaのGPUと競合するArc graphics processing units(GPUs)の詳細な仕様を発表した旨。

◇Intel Teases 6 GHz Raptor Lake at Stock, 8 GHz Overclocking World Record‐The Raptors are out of the cage... (9月12日付け Tom's Hardware)
→Intelが、オーバークロックで6ギガヘルツから8 GHzで動作できると伝えられているRaptor Lakeプロセッサを売り込んでいる旨。

特許係争の裁定取り消し要求が、次の通りである。

◇Intel asks U.S. appeals court to overturn $2.1 bln patent loss‐Intel disputes $2.1B jury award in patent case (9月15日付け Reuters)
→Intelが、連邦巡回控訴裁判所に対し、陪審員に不利益を与える証拠は阻止されるべきであると主張して、VLSI Technologyとの特許紛争で出された$2.1 billionの陪審員裁定を取り消すよう求めている旨。VLSIは、オランダに本拠を置くNXP Semiconductorsが所有する特許を取得し、それらをIntelの処理技術に対する侵害請求の根拠として使用した特許保有会社である旨。

【Arm関連】

Samsungトップの英国出張、Arm買収を巡る取り沙汰である。

◇イ副会長、英国出張で加熱する「ARM買収戦」…サムスン電子も参戦するか (9月12日付け コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が今月初め、欧州を訪問する可能性が高くなり、英国の半導体企業ARMの買収可能性が急浮上している旨。世界1位の半導体設計資産(IP)企業、ARMが売りに出されている旨。イ副会長が欧州出張中に英国に立ち寄ってARMの買収戦参戦を公式化できるという観測も出ている旨。韓国メディア「BLOTER」が報じた旨。

そのArmが、次世代データセンター向け半導体の設計技術「Neoverse V2)」を発表している。

◇Arm beefs up Arm Neoverse infrastructure platform‐Arm's infrastructure platform gets an update (9月14日付け VentureBeat)
→Armが、ハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)やその他のアプリケーション向けの半導体の開発を目的としたArm Neoverse V2プラットフォームを発表した旨。同社は、Nvidiaや他のICベンダーと協力している旨。

◇Arm unveils updated Neoverse CPU roadmap, targeting cloud, hyperscale and HPC workloads (9月14日付け SiliconAngle)

◇英アーム、次世代データセンター用半導体の設計技術発表 (9月15日付け ロイター 日本語版)
→ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームが14日、次世代データセンター向け半導体の設計技術「ネオバースV2(Neoverse V2)」を発表、高速通信規格「5G」やインターネットにつながる機器によるデータ量の劇的な増加に対応する旨。
アームは半導体設計のIP(知的財産)を生み出し、クアルコムやアップルなどの企業が使用許可を受けてプロセッサーを独自開発する旨。アームの技術は大半の携帯電話で採用されているが、米インテルや米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の牙城であるデータセンター用半導体にも切り込もうとしている旨。

【NISTとGoogleの連携】

米国商務省傘下のNIST(National Institute of Standards and Technology:米国立標準技術研究所)とグーグルが、米国大学参加のIC設計の開発と製造で連携、以下の通りである。

◇NIST and Google sign deal for open source chips for research (9月13日付け FierceElectronics)

◇Google partners with the US government to supply chips and spur innovation‐NIST teams with Google to develop and make microchips‐The collaboration will dramatically decrease the price of chips used in the semiconductor and nanotechnology industries. (9月13日付け ZDNet)
→米国国立標準技術研究所(NIST)が、少なくとも5つの米国の大学が関与、IC設計の開発と製造についてGoogleと合意した旨。NISTがmicrochipsを設計し、SkyWater Technologyが200mmウェーハ上に該半導体を製造し、Googleが初期IC生産の費用を負担する旨。

◇米、グーグルと半導体の研究・開発で合意 (9月14日付け ロイター 日本語版)
→米商務省は13日、新たなナノテクノロジーや半導体デバイスの開発に利用可能な半導体の製造に向け、所管する国立標準技術研究所(NIST)とアルファベット傘下のグーグルが研究・開発で合意したと発表した旨。
この半導体は、米半導体メーカー、スカイウォーター・テクノロジー(SkyWater Technology)がミネソタ州の工場で製造する旨。

【アップル関連】

中国・YMTCのフラッシュメモリ半導体をアップルが購入する可能性という件が、尾を引いている。

◇If Apple starts buying YMTC chips, Samsung, SK Hynix's good days may be numbered‐Will memory vendors lose business if Apple picks YMTC? (9月12日付け DIGITIMES)
→Appleが、Yangtze Memory Technologies Corp.(YMTC)から新しいiPhone 14ハンドセット用に3D NANDフラッシュ メモリ デバイスを調達する可能性があり、Kioxia, Samsung ElectronicsおよびSK Hynixにはビジネスが減る可能性、と報じられている旨。ビジネスの観点からすると、この動きは、現在のサプライヤーとの今後の交渉において、Appleにとってより多くの切り札となる旨。

iPhone14が発表されたばかりであるが、早くも来年の話。来年のiPhonesやMacs用プロセッサにTSMCの次世代3-nmプロセスが用いられる計画とのこと。

◇Apple to use TSMC's next 3-nm chip tech in iPhones, Macs next year‐Report: Apple's iPhones, Macs to feature TSMC's 3nm chips ‐Move will mark industry's first adoption of updated production technology (9月14日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→業界筋発。Appleは来年、一部のiPhoneとMacコンピューターで、TSMCが製造した次世代の3-nmプロセスのmicrochipsを使用することを計画している旨。TSMCは、同社のN3Eプロセス技術でAppleのA17モバイル プロセッサを製造する旨。

◇Apple to use updated TSMC technology‐PREMIUM IPHONES: ‘Nikkei Asia’ reported that TSMC's A17 mobile would be mass produced using N3E and is expected to be available in the second half of next year (9月15日付け Taipei Times)

そのiPhone14であるが、我が国では発売された出だしの状況である。

◇iPhone14割れる出足、標準型に割高感、上級機は堅調 (9月17日付け 日経 電子版 00:00)
→米アップルが16日発売した「iPhone14」の出足が鈍い旨。都内量販店では前の機種と比べてシリーズ全体の予約数が1割減となった旨。消費者の購入の中心だった標準型が低調。全機種で底値が上がり標準でも10万円超えとなったのが影響したよう。一方、高機能の上位機はファンの購入で堅調。普及帯の標準型の買い替え需要が鈍いままだと、国内スマートフォン市場の停滞につながる懸念もある旨。

【好調の台湾】

先行き懸念が高まる一途の半導体市場であるが、台湾では、TSMCの8月売上げが過去最高を記録するなど、以下の通り好調なデータ内容である。ただ、今後の不透明感の注釈付きではある。

◇Taiwan chip giant TSMC sees all-time high revenue in August (9月9日付け Japan Today)
→台湾の半導体大手、TSMCが木曜8日、世界的な需要の急増により、8月の売上げが60%近く増加し、過去最高のTw$218.13 billion($7.06 billion)に達したと発表した旨。TSMCは、世界最大のシリコン ウエハー工場を運営しており、スマートフォンや自動車からミサイルに至るまで、あらゆるものに使用される最先端のmicrochipsを生産している旨。

◇Taiwan ranks as top semiconductor equipment spender in Q2‐SEMI: Taiwan topped Q2 global spending on IC gear (9月9日付け Focus Taiwan)
→世界的な半導体業界団体であるSEMI発。台湾が今年の第二四半期に半導体装置の支出額でトップの座を獲得、前四半期の3位から上昇、台湾のメーカーが拡張投資に精励の旨。

◇台湾主要IT、17.7%増収 8月、iPhone発売控え好調 (9月14日付け 日経)
→米アップルなど巨大IT企業に多くの製品や半導体を供給する台湾メーカーの8月の売上高は好調、アップルの新製品発売を9月に控えて、主要19社の売上高の合計額は前年同月比で17.7%増。ただ中国景気の悪化やインフレは懸念材料で、1年で最大の商戦期を迎える今秋以降には不透明感が漂う旨。

【CMOSイメージセンサ市場】

IC Insightsが、2022年のCMOSイメージセンサ市場について13年ぶりの下落という見方をあらわしている。スマホの低迷のインパクトとしている。

◇CMOS Image Sensors Stall in ‘Perfect Storm’ of 2022‐Optoelectronics' biggest product category is expected to suffer its first sales decline in 13 years because of a smartphone slump, low camera growth in handsets, and weak global economy, says update report (9月15日付け IC Insights)

◇CMOS Image Sensors Stall in ‘Perfect Storm’ of 2022 (9月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇CMOS Image Sensors Stall in ‘Perfect Storm’ of 2022 (9月16日付け EE Times India)
→IC InsightsのAugust 3Q Update of The McClean Reportサービス発。2022年のCMOSイメージセンサー市場は13年ぶりの下落に見舞われ、売上高は7%減の$18.6 billion、出荷数量は11%減の61億個になると予測されている旨。

【インドでの半導体工場】

もう何年になるか、あれこれ仕掛かっては挫折している見え方のインドでの半導体工場建設であるが、台湾・Foxconnとインドの資源大手、Vedantaの取り組みに今後の注目である。

◇Foxconn and Vedanta to invest $19.5bn to build ICs and displays in India‐Foxconn and mining company Vedanta are to invest $19.5 billion in manufacturing facilities for chips and displays in India. (9月16日付け Electronics Weekly (UK))
→FoxconnとVedantaが、ディスプレイとmicrochipsに$19.5 billion投資し、インドにおいて約$12 billionをディスプレイ工場に、$7.6 billionをウェーハ製造拠点に投資する旨。

◇ベダンタと鴻海、インド西部に半導体工場、2.7兆円投資 (9月16日付け 日経)
→インドの資源大手、ベダンタが13日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)と計画している半導体・液晶の合弁工場について、印西部グジャラート州に建設すると発表、同州政府と覚書を交わした旨。電子機器や自動車向けに高まる需要を取り込む旨。

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