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CHIPS ActにBiden大統領署名、「一世一代」の投資と強調、様々な波紋

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜12日午後時点、世界全体で5億8847万人に達し、7日前の午後から649万人増、前週比66万人減である。
我が国では、用心&警戒しながらのお盆を迎えている。米国でのこと、7月27日に上院で、そして翌28日に下院で可決されたいわゆる国内半導体産業支援法案のCHIPS and Science Actに、Biden大統領が8月9日の朝、ホワイトハウスの南芝生で、ビジネスや政府からの数十人の支持者が出席のもと、署名を行っている。やっとたどり着いて、Biden大統領は「一世一代」の投資と強調しているが、早速方々から数多の要求の手が挙がっている一方、関係方面に様々な波紋を広げている。中国からは、当然の反発の反応である。

≪方々からの要求、一方の反発≫

Biden大統領の署名直前の状況があらわされている。

◇CEOs meet in summit before Chips Act signed into law‐CEOs hold closed-door summit as chips bill signing comes (8月9日付け DIGITIMES)
→Applied Materials, Ford Motor Co.およびGlobalFoundriesのCEOsが、Washington, D.C.で非公開の会合を開き、Joe Biden大統領がChips and Science Actに署名に備える前の旨。AppliedのCEO、Gary Dickerson氏は声明で、「Chips and Science Actは、業界がサプライチェーンをより強固なものにし、革新と次世代技術の商用化を加速し、そして米国で数千の雇用を創出するための投資を加速する触媒となる。」と述べた旨。

米国半導体法の署名、成立について、業界各紙それぞれの取り上げ&あらわし方である。

◇Biden signs bill to boost U.S. chips, compete with China (8月9日付け Reuters)

◇President Biden Signs CHIPS Act Into Law (8月9日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇米で中国対抗半導体法が成立、バイデン氏署名、「一世一代の投資」 (8月10日付け ロイター 日本語版)
→バイデン米大統領は9日、中国に対する競争力向上を目指す国内半導体産業支援法案に署名し、同法が成立した旨。バイデン大統領は署名式で「米国への一世一代の投資」とし、「未来は米国で作られるようになる」と言明した旨。
署名式には半導体大手のマイクロンやインテル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、防衛機器大手ロッキード・マーチン、パソコン大手HPなどの首脳や、ペンシルベニア州やイリノイ州の知事、デトロイトやクリーブランドの市長らが出席したほか、共和党員の姿も見られた旨。

◇米半導体法が成立、国内研究開発への補助金などで7兆円規模‐バイデン大統領が9日署名、「一世一代」の米国への投資と強調‐インテルやTSMCなどに支給見通し、中国で増産しないことが条件 (8月10日付け ブルームバーグ 日本語版)
→バイデン米大統領は9日、$52 billion(約7兆200億円)の補助金・奨励金を盛り込んだ国内半導体業界支援法案に署名し、同法は成立した旨。バイデン氏は署名式で、「一世一代」の米国への投資だと強調した旨。
署名に先立って対戦車ミサイル「ジャベリン」の製造施設を訪れたというバイデン氏は、ミサイルにも使われる最先端の半導体製造において「米国が世界をリードする必要がある。支援法案はまさにこれを実現するものだ」と述べた旨。バイデン政権や議員らからはこれまで、同法案における安全保障面での重要性を指摘し、中国との競争、対抗に不可欠だとの声が上がっていた旨。

◇米国、半導体補助金法が成立、7兆円で生産・開発支援 (8月10日付け 日経 電子版 05:07)
→バイデン米大統領は9日、半導体の生産や研究開発に$527 billion(約7兆1千億円)の補助金を投じる法案に署名、上下院が7月に可決済みで、バイデン氏の署名で成立した旨。米インテルなどメーカーに支給し、米国内の新工場建設を支援する旨。
バイデン氏はホワイトハウスで演説し「米国で一世代に一度の投資になる」と意義を強調、中国を念頭に「21世紀の競争に打ち勝つため、米国は世界で最も優位になった」と成果をアピールした旨。

◇米、半導体補助金法が成立、大統領署名、生産・研究に7兆円 (8月10日付け 日経)

署名、成立を受けての様々な反応。まず、インテル、Global Foundriesなど半導体各社である。

◇President Biden signs CHIPS and Science Act: comments and reactions (8月9日付け FierceElectronics)
→Biden大統領が、晴れた火曜9日の朝、ホワイトハウスの南芝生で、ビジネスや政府からの数十人の支持者が出席して、CHIPS and Science Actに署名した旨。
IntelのCEO、Pat Gelsinger氏:
「インテルは、ここ米国でend-to-endのリーダーシップ、イノベーションおよび製造を回復することに取り組んでいる。私たちは自分たちの役割を果たしており、連邦政府は今やその役割を果たしている。」
Global FoundriesのCEO、Tom Caufield氏:
「この$52 billionは、$150 billionの"民間投資"を解放することになる。設備投資を考えると、これは大金。」

◇Intel and the semiconductor industry celebrated as Biden signed the CHIPS Act into law (8月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社および半導体業界が、数十億ドルの業界インセンティブを提供するCHIPS Actの署名を祝った旨。

マイクロンは、すぐさま長期投資計画を打ち上げている。

◇Micron to Invest $40 Billion in U.S. with Passage of CHIPS Act (8月9日付け EE Times)
→世界第3位のメモリ半導体メーカー、Micronが本日、米国CHIPS and Science Actの成立に伴い、米国での事業拡大に$40 billionを投資する予定であると発表した旨。

◇Micron plans $40B in memory plants on heels of CHIPS Act (8月9日付け FierceElectronics)
→Micron Technologyが、米国で最先端のメモリ製造を構築するために 2029年までに$40 billionを投資する計画で、可決されて火曜9日に大統領が署名したCHIPS and Science Actを利用の旨。

◇A new era of industrial policy kicks off with signing of the Chips Act‐The legislation provides $52 billion to companies building computer chip factories in the United States, an intervention conservatives long opposed as picking winners and losers‐Micron budgets $40B for US wafer fabs under Chips Act (8月9日付け The Washington Post)
→「この法律により、米国では行われなかったであろう投資を行うことが可能になる。」と、Micronのchief executive、Sanjay Mehrotra氏がThe Washington Postに対し。「該新拠点は"最先端"の半導体を製造するだろう。」、「Chips Actがなければ、この生産は米国にはなかったであろう。」

◇Micron Announces $40 Billion Investment in Leading-Edge Memory Manufacturing in the US (8月9日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体世界最大手の1つ、米国を本拠地とする唯一のメモリメーカー、Micron Technology社が本日、最先端のメモリ製造を構築するために10年間で$40 billionを投資する計画を発表した旨。CHIPS and Science Actによって可能になった予想される助成金とクレジットにより、この投資はアメリカで世界で最も先進的なメモリ製造を可能にする旨。

◇USA can make a tenth of the world’s memory chips, says Micron‐Micron claims the US can produce 10% of all memory chips (8月11日付け Electronics Weekly (UK))
→Micronが、予想されるChips Act資金へのアクセスのおかげで、今後8年間で米国での製造拡大に$40 billionを投資する予定の旨。

半導体関連業界団体、SIAおよびSEMIからの称賛するステートメントである。

◇SIA Applauds Enactment of CHIPS Act‐President Biden signed the bill into law earlier today; legislation includes critical semiconductor manufacturing incentives and research investments (8月9日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、CHIPS Act of 2022(H.R. 4346)に署名して法制化したBiden大統領を称賛する、President and CEO、John Neuffer氏からの声明を発表した旨。この法律は、半導体製造のインセンティブと研究投資に$52 billionを提供し、半導体製造に対する投資税額控除も提供する旨。

◇SEMI APPLAUDS PRESIDENT BIDEN'S SIGNING OF CHIPS AND SCIENCE ACT OF 2022 (8月9日付け SEMI)
→世界のエレクトロニクス設計および製造サプライ チェーンにサービスを提供する業界団体、SEMIが本日、Joe Biden米国大統領によるCHIPS and Science Act of 2022への署名を称賛した旨。この法律は、半導体あるいは半導体製造装置を製造する米国の拠点に25%の税額控除を提供し、新しい半導体プログラムに$52 billionの資金を提供する旨。この資金には、半導体メーカー並びに半導体装置および材料の供給業者が利用できる助成金に$39 billion、連邦半導体研究プログラムへの$11 billionが含まれる旨。

隣国のメキシコから、次の表明である。

◇メキシコ経済省幹部「米半導体補助金、メキシコに恩恵」 (8月13日付け 日経 電子版 03:08)
→メキシコ経済省が12日、米国で成立した半導体産業に$52.7 billion(約7兆円)の補助金を出す新法に関して、「メキシコにも恩恵となる」と表明した旨。米国に関税ゼロで輸出できる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を生かし、メキシコに半導体関連の投資を呼び込みたい考え。

一方、Chip 4とともに本法については、米中の狭間で苦悩が深まる韓国である。

◇米国の半導体産業支援法に頭を抱えるサムスンとSK「中国事業が地雷原に」 (8月13日付け chosun Online 朝鮮日報)
→*「中国工場への投資禁止」を定めたガードレール条項で非常事態
 *今回の米国の補助金を受ければ中国での先端設備導入が不可能
 *台湾TSMCや米インテルなども打撃…細かい内容をめぐり交渉が始まる見通し
 *「韓国政府は積極的に対話を」

産業政策新時代のはじまり、など本法についての評論がいくつか、以下の通りである。

◇A new era of industrial policy kicks off with signing of the Chips Act (8月9日付け The Washington Post)
→この法律は、米国内にコンピュータ用半導体工場と研究施設を建設する企業に$52 billionを提供、勝者と敗者を選ぶこととして保守派が長い間反対していた介入の旨。

◇The CHIPS Act has been signed into law: Now what? (8月9日付け TechRepublic)
→業界のオブザーバーは、即時の影響はないが、この法律はサプライチェーンと米国経済を強化すると述べている旨。

◇Lee: CHIPS Act marks a vital first step (8月10日付け FierceElectronics)
→CHIPS Actの成立は、米国の半導体サプライ チェーンのレジリエンス強化の必要性に直接対処する歴史的な成果であると同時に、長期的な米国の技術および重要な半導体業界における市場シェアのリーダーシップを確保するためのより長期的で包括的な政策努力に対するタイムリーで重要なコミットメントでもある旨。

◇Chips Act signed into law but tough challenges ahead‐Biden signs CHIPS Act, what's next (8月10日付け DIGITIMES)
→Joe Biden大統領が、火曜9日にCHIPS and Science Act of 2022に署名し、連邦政府が米国での半導体製造に補助金を提供できるようにした旨。
「(該CHIPS Actは、)政府が正しい政策を持っており、半導体製造の国内回帰を支援できることを示しており、半導体メーカーに少なくとも米国を拠点とするfabsの建設を考える自信を与えている。」と、GartnerのGaurav Gupta氏。

◇Why Biden's plan to boost semiconductor chip manufacturing in the U.S. is so critical‐Q&A: The CHIPS Act and US tech manufacturing (8月12日付け National Public Radio)
→Institute for China-America Studiesのsenior Asia-Pacific policy specialist、Sourabh Gupta氏が、CHIPS and Science Actが米国のテクノロジー製造にどのような影響を与える可能性があるかについて語っている旨。半導体の輸入はまた、"多くのイノベーション、次世代のイノベーションの基盤を提供し、これは第4次産業革命と呼ばれている"、とGupta氏は特に言及の旨。

不安視する論調も見られている。

◇Opinion: CHIPS Act Escalates Long-Standing U.S.-China Tech Rivalry (8月10日付け EE Times)
→米国下院議長、Nancy Pelosi氏が先週台北に飛んだとき、Joe Biden大統領は、米国の半導体生産を後押しするためにCHIPS and Science Actに署名した旨。 しかし、それは米国の半導体の競争力を高めるだろうか、それとも現在進行中の中国との技術競争で米国産業を後退させるだろうか?私は後者を恐れている旨。

中国からは、当然ながら断固反対の反応である。

◇China criticizes US chip law as threat to trade‐China takes issue with the CHIPS and Science Act (8月10日付け The Associated Press)
→中国は、Joe Biden大統領が今週署名したCHIPS and Science Act法案を、貿易に対する脅威と見なしている旨。中国外務省のスポークスマン、Wang Wenbin(汪 文斌)氏は、米国の該法律は「国際貿易を混乱させ、世界の半導体サプライチェーンをゆがめるものである」と述べ、「中国は断固反対する」と付け加えた旨。

◇China calls out US semiconductor bill as anti-competitive‐China's trade and commerce associations say the US Chips and Science Act is not in line with global trade principles and will result in unfair competition with "any country of concern". (8月10日付け ZDNet)

CHIPS and Science Act 2022が掲げている7つの分野について、見逃しがないようにと、注意を喚起する以下の内容である。

◇What You May Have Missed In The CHIPS and Science Act (8月9日付け 3D InCites)
→CHIPS and Science Act 2022の7つの分野で、見逃している可能性があるものを以下に示す。
・これまでに類を見ないSTEM教育のための全米科学財団の創設と、半導体業界全体の労働力の構築。
・新しい連邦AI奨学金プログラム、全国ネットワークおよびマイクロエレクトロニクス教育のための4つの科学研究センターの設立、サイバーセキュリティ労働力の継続的なサポート、地方でのSTEM教育へのアクセスを拡大するための追加の研究開発。
・地域のイノベーションを構築し、地元の雇用を創出し、持続的に苦境にあるコミュニティを支援するために、まだ技術センターをリードしていない地域で、5年間にわたって全米で20の地域技術ハブを設立
・クリーン エネルギーの革新を支援することで経済発展を促進する、全米のパートナーシップによる新しい地域クリーン エネルギー プログラムの確立。
・州レベルでのサプライ チェーンの混乱に対処するための自発的な全国サプライ チェーン データベースの作成。
・新しいエネルギー技術を開発できる新しい生物学、環境、および気候変動研究への資金提供。
・NASAへの力付与:国際宇宙ステーションの寿命は2030年まで延長され、NASA は特定の研究と科学の目標を追求する必要がある。これには、宇宙での生命の探索、よりクリーンで静かな飛行機、気候に関連する地球科学研究、および火星での有人探査などがある。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□8月9日(火)

中国のロックダウンなど水を差された第二四半期の世界の業況である。

◇世界企業が7四半期ぶり減益、4〜6月、中国封鎖響く (日経 電子版 05:07)
→新型コロナウイルス禍からの回復が続いてきた世界の企業業績が悪化に転じた旨。主要企業の2022年4〜6月期の純利益は前年同期比7%減と、2020年7〜9月期以来7四半期ぶりにマイナスとなった旨。原材料高や中国の都市封鎖(ロックダウン)、株安などが重荷となり、自動車や電機、情報通信、金融などが振るわなかった旨。

Micron、Nvidiaの業績見通し低迷を受けて1日下げたが、あとは当面の懸念後退で上げた、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、29ドル高、景気懸念後退も上値重く (日経 電子版 05:48)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比29ドル07セント(0.1%)高の3万2832ドル54セントで終えた旨。前週発表の7月の米雇用統計が市場予想を大幅に上回り、米景気への懸念が後退した旨。ただ、半導体のエヌビディアが業績の下方修正を発表したのを嫌気し、ハイテク株を中心に売りも出て上値は重かった旨。

台湾についての米中にらみ合いが続いている。

◇米軍、対中国の警戒態勢維持、台湾海峡を航行へ (日経 電子版 07:32)
→米軍は中国に対する警戒態勢を当面維持する方針。中国を抑止し、中国が台湾周辺で実施する軍事演習によって物流が停滞するリスクにも目配りする旨。台湾海峡を数週間以内に航行し、中国による現状変更を認めない姿勢を打ち出す旨。

□8月10日(水)

◇米国株式市場=ナスダック下落、マイクロンの軟調な見通し受け半導体株に売り (ロイター 日本語版)
→米国株式市場はナスダック総合が下落して取引を終えた旨。米半導体大手マイクロン・テクノロジーが発表した軟調な業績見通しを受け、半導体株やハイテク株が売られた旨。

◇NYダウ反落、58ドル安、ハイテク株に売り (日経 電子版 05:25)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比58ドル13セント(0.2%)安の3万2774ドル41セントで終えた旨。半導体大手の業績予想の下方修正が相次ぎ(マイクロン・テクノロジー、エヌビディア)、ハイテク株への売りが優勢となった旨。ただ、7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を10日に控えて積極的な売りは限られ、相場の下値は堅かった旨。

□8月11日(木)

◇NYダウ反発、 535ドル高、CPI受けインフレ懸念が後退 (日経 電子版 07:45)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比535ドル10セント(1.6%)高の3万3309ドル51セントで終えた旨。朝方発表の7月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレ懸念が和らいだ旨。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ加速の観測が後退し、ハイテク株をはじめ幅広い銘柄が買われた旨。

□8月12日(金)

◇NYダウ続伸、27ドル高、利上げ懸念和らぐも上値重く (日経 電子版 05:46)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比27ドル16セント(0.1%)高の3万3336ドル67セントで終えた旨。11日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)が前月比で下落し、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急ぐとの観測が後退した旨。ただ、米長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが広がるとダウ平均は伸び悩み、下げに転じる場面もあった旨。

□8月13日(土)

中間選挙、党大会を控える米中の接触に、今後とも注目である。

◇米中首脳、11月に対面会談計画、米紙報道 (日経 電子版 04:44)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは12日、中国政府が習近平(シー・ジンピン)国家主席とバイデン米大統領による初の対面での会談を11月に実施する計画を検討していると報じた旨。インドネシアで開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)など東南アジアでの国際会議に合わせる案を探っているもよう。

◇NYダウ3日続伸、424ドル高、インフレ懸念後退で (日経 電子版 05:55)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比424ドル38セント(1.3%)高の3万3761ドル05セントで終えた旨。インフレがピークアウトしたとの見方が広がり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの期待が相場を押し上げた旨。消費関連銘柄の上昇が目立ち、米長期金利の低下でハイテク株も買われた旨。


≪市場実態PickUp≫

【FoxconnのTsinghua Unigroupへの投資】

台湾の製造大手、Foxconnの中国の半導体大手、Tsinghua Unigroupへの投資の1件が、台湾当局の承認を得られそうにない以下の現状である。Foxconnの誤解打開あるいは代案提起が今後功を奏するかどうか。

◇Taiwan security officials want Foxconn to drop stake in Chinese chipmaker - FT (8月9日付け Reuters)

◇Foxconn's proposed investment in China chip conglomerate Tsinghua Unigroup likely to be blocked by Taipei: report (8月10日付け South China Morning Post)
→*FTの報道によると、Foxconnの該投資計画は台湾経済部の承認待ちであり、「絶対に実現しない」とのこと。
 *この展開は、米国と中国の間で技術面の緊張が高まっている中で、ペロシ下院議長の台湾訪問後に出ている旨。

◇Foxconn stands by China chip deal as cross-strait tensions rise‐Foxconn defends its investment in Tsinghua Unigroup ‐Public has 'misunderstood' nature of Tsinghua Unigroup, says Taiwan tech titan (8月10日付け NIKKEI Asia)
→台湾の国家安全保障当局者は、Foxconnが中国の半導体メーカー、Tsinghua Unigroupに$798 millionの投資を行うことを許可しないようロビー活動を行っている、とFinancial Timesが報じている旨。該契約電子機器メーカーは、投資が「誤解されている」と主張している旨。

◇Hon Hai touts plan B if Unigroup investment fails to secure approval (8月10日付け Focus Taiwan)
→台湾を本拠地とする製造大手、鴻海精密工業(鴻海科技集団[フォックスコン・テクノロジー・グループ、Foxconn/富士康]の中核会社)のLiu Young-way(劉揚偉)会長が水曜10日、中国の半導体コングロマリット、Tsinghua Unigroup(清華ユニグループ)への投資について、台湾で規制当局の承認を得ることができなかった場合、同社にはバックアップ計画があると述べた旨。

【中国半導体関連】

中国の国策ファンド、Big Fundあるいは上記のTsinghua Unigroupも然り、綱紀粛正の一層の強化が、中国半導体自立化に求められている。

◇中国半導体、摘発の連鎖、強化資金18兆円で不正か、国産化、期待ほど伸びず (8月6日付け 日経)
→中国当局が半導体業界を巡る摘発に乗り出した旨。国策ファンドや紫光集団の元トップといった業界の大物が相次いで身柄を拘束された旨。習近平(シー・ジンピン)指導部の号令の下、業界に集まった約18兆円に上る強化資金の一部が不正流用された恐れがある旨。資金の投下ほど産業の競争力向上は進んでおらず、米国の制裁に加え、腐敗の横行が「半導体強国」の道を阻む旨。

◇Three more China chip fund executives caught in corruption probe into state-backed investments (8月10日付け South China Morning Post)
→*現在、中国の反汚職監視機関による調査中の件、いわゆるBig Fundに関連する少なくとも5人の重鎮がいる旨。
 *該汚職捜査は、中国が半導体の自給自足の野望を達成する上で強い逆風に直面しているときに行われる旨。

最先端微細化のアプローチ、gate all-around(GAA)トランジスタ関連のEDAソフトウェアの中国への輸出を、米国が禁止する可能性である。

◇US may ban export of GAA EDA to China‐Report: US may restrict gate all-around EDA tool sales to China (8月10日付け Electronics Weekly (UK))
→Protocol web-site発。米国は、gate all-aroundトランジスタに基づくIC用のEDAソフトウェアの販売を禁止しようとしている旨。

【各社業績から】

Micron、Nvidiaの直近四半期業績が落ち込んで、米国株式市場に影響を与えたのは、上記の通りである。まず、Nvidiaについて。

◇Nvidia Loses Its Game‐Nvidia lowers revenue forecast by 17% due to PCs, games (8月8日付け The Wall Street Journal)
→PC需要の低迷とビデオゲームの弱い流れにより、Nvidiaがまれな売上げ不足に陥る旨。

◇Nvidia sales plunge on PC industry slump (8月10日付け Taipei Times)
→Nvidia社の四半期売上げが、予測を$1 billion以上下回り、投資家を驚かせ、2年間のブームの後、電子部品の需要が急速に枯渇していることを示す多くの証拠が積み上げられた旨。
同社は月曜8日の声明で、第二四半期の売上げは約$6.7 billionで、以前の予測、$8.1 billionを下回ったと述べた旨。

Micronの6─8月業績である。

◇Micron's warning of weak demand rattles chip stocks‐Micron reduces forecast, warns on PC and phone chips demand (8月9日付け Reuters)

◇マイクロン、6─8月売上高が従来予想下限以下の可能性と発表 (8月10日付け ロイター 日本語版)
→米半導体大手、マイクロン・テクノロジーが9日、第四四半期(6─8月)の売上高が6月に発表した従来予想の下限以下になる可能性があると発表、パソコンやスマートフォンに使用される半導体の需要が減少している旨。これを受け、株価は序盤の取引で約5%下落。

次に、最高を記録とあらわされている、TSMCの7月およびGlobalFoundriesの第二四半期業績である。

◇TSMC July sales hit new high, up over 6% from June (8月10日付け Focus Taiwan)

◇TSMC posts record July revenue‐TSMC reports July revenue of $6.23B (8月11日付け DIGITIMES)
→TSMCの7月売上げが、過去最高のNT$186.76 billion($6.23 billion)に達し、2022年1−7月累計がNT$1.21 trillionで前年同期比41%増。

◇GlobalFoundries announces record 2Q22 results‐GlobalFoundries posts Q2 revenue of $1.99B, up 23% on year (8月11日付け DIGITIMES)
→GlobalFoundries(GF)が、2022年第二四半期の記録的な売上げ$1.99 billionを報告、前年同期比23%増。

先々の懸念ともかく、好調な結果の第二四半期の中国・SMICである。

◇China's SMIC posts quarterly revenue surge but warns of some panic in chip sector‐SMIC reports Q2 revenue of $1.9B, up 42% on year (8月12日付け Reuters)
→中国の半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)が金曜12日、第二四半期の売上げが42%増加と報告したが、この分野は"パニックと不確実性"に直面しているとも述べた旨。

【インテル関連】

遅れが取り沙汰されたばかりのインテルのMeteor Lakeプロセッサについて、予定通りと打ち消しが行われている。

◇Intel denies Meteor Lake is delayed to 2024, says consumer chips will launch in 2023‐Intel asserts Meteor Lake chips will ship in 2023‐It's not clear if there's a grain of truth left (8月5日付け The Verge)
→IntelのMeteor Lakeプロセッサは来年リリースされ、出荷される予定であり、同社は、遅れるという噂に対抗する手段として主張している旨。
IntelのCEO、Pat Gelsinger氏は最近、同社が特定の顧客にMeteor Lake半導体のサンプルを提供しているとアナリストや投資家に語った旨。

インテルの新しいArcグラフィックス プロセッシング ユニット(GPUs)が、次の通り発表されている。

◇New Intel Arc GPUs hint at a change in strategy at Team Blue‐Intel bows Arc GPUs for laptops and workstations ‐Intel Arc GPUs are coming to your work PC (8月9日付け TechRadar)
→Intelが、ビジネス ラップトップや小型ワークステーションでの使用を目的としたArcグラフィックス プロセッシング ユニット(GPUs)を発表、該新GPUは、ray-tracingハードウェアと機械学習(ML)テクノロジーを備えている旨。

インテルが5,000件もの特許を譲渡する動きである。

◇Intel moves more patents to third-party IP manager IPValue (8月11日付け FierceElectronics)
→Intelが、約5,000件の特許をIPValueに譲渡、これは、Intelがマクロ経済の逆風と戦う中で売上げを増加させる可能性がある動きの旨。

【Samsung関連】

ベトナムでの半導体製造開始、OLED専念でLCD撤退、そしてペタバイト規模のデータ ストレージに向けた128TB PCIe SSD、と世代一新&前進のSamsungの以下それぞれの取り組みである。

◇Samsung to start manufacturing semiconductor parts in Vietnam in 2023‐Samsung to produce FC-BGA packages in Vietnam plant (8月8日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、ベトナムのThai Nguyen省にある既存のIC組立&テスト拠点で、半導体用のflip-chip ball grid array(FCBGA)実装の量産を開始する計画の旨。該FC-BGAの製造は来年の夏に開始される予定の旨。

◇サムスン・LG、収益性悪化のLCD事業から撤退…OLED事業で「再跳躍」目指す (8月9日付け コリア・エレクトロニクス)
→ディスプレイ業界が中国企業の低価格攻勢で収益性が悪化したLCD市場から撤退し、有機発光ダイオード(OLED)事業にさらに集中し、プレミアム製品を中心に下半期の業況鈍化に対応する計画。韓国メディア「ヘラルド経済」が報じた旨。

◇Samsung Unveils 128TB PCIe SSD to Tackle Petabyte-Scale Storage‐Samsung targets petabyte-scale storage with 128TB SSD‐Samsung's 128TB SSD looks to make a splash in the enterprise market. (8月10日付け Tom's Hardware)
→Samsung Electronicsが、ペタバイト規模のデータ ストレージを実現できると言われている128テラバイトのsolid-state drive(SSD)を発表、該SSDは、quad-level cell(QLC) NANDフラッシュメモリデバイスに基づいており、NVMe PCIeインタフェースも備えている旨。

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