一筋縄ではいかぬ進展:CHIPS Act米上院投票およびChip 4を巡る動き
新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜22日午後時点、世界全体で5億6787万人に達し、7日前の午後から748万人増、前週比55万人増と引き続く増加である。我が国では、新たな全国の感染がこのところ過去最多を更新、またもや一段の警戒&対策が求められている。米国国内の半導体業界支援に向けた約$52 billionの連邦補助金供給法案が、米上院で火曜19日夜に64-34の投票が行われ、一部の投票確認を残しながらもやっと前進の状況がうかがえている。この間の一筋縄ではいかぬ波乱含みの動き&進展を以下追っている。もう1つ、米国が主導する韓国、台湾、および日本での‘Chip 4’同盟について、中国との板挟みの韓国の苦境があらわれている。
≪米中摩擦からくる幾山河≫
対中国の競争力向上、そして台湾が支配的な半導体生産への対策が背景にあって米国内の半導体、特に製造の強化を目指す$52 billion CHIPS Act(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America Act)は、提案されたのが2020年6月のこと。上院と下院の間の調整でこのところ停滞する状況が続いてきているが、ここにきて上院での投票を進める環境に至った以下前日の様子があらわされている。
◇Republicans warm to $52B computer chip bill, adding momentum‐GOP lawmakers support $52B IC bill as a vote nears (7月18日付け The Associated Press)
→共和党議員が、気候変動と課税に関する他の立法案が途方に暮れる中、米国の半導体業界を支援するために約$52 billionの連邦補助金を供給する法案の可決に傾倒している旨。「米国の経済や国家安全保障を保護するために、世界中のどこか他でfabあるいは製造拠点を置くことは何の役にも立たない」と、John Cornyn上院議員(R-Texas)。「ここ米国に必要だ。」
◇U.S. Senate to start voting Tuesday on slimmed-down China semiconductor bill (7月18日付け Reuters)
→民主党の多数党院内総務、Chuck Schumer氏が、米国上院が火曜19日に、米国の半導体産業を後押しし、中国との競争力を向上させるための法案に投票を開始すると述べた旨。
上院開会の週、同氏は月曜18日、「我々は迅速に動く必要がある」と言った旨。
◇CHIP Act could provide Idaho industry with billions in subsidies‐Idaho may benefit from federal fab funding with CHIPS Act ‐The CHIPS Act has passed the House with bipartisan support (7月18日付け BoiseDev (Idaho))
→上院多数党院内総務、Chuck Schumer氏によると、米国の半導体生産を強化するための投票は、早ければ火曜19日にも行われる可能性がある旨。該CHIP Actは、Idahoが本拠のmicron technologyのように、自らの半導体の設計および製造を行う半導体企業に$52 billionの補助金を供給することを目的としている旨。
いろいろな見方、思惑の交錯がうかがえる中、火曜19日夜に投票が行われ、64-34と、前進に向かう結果となっている。以下、業界各紙の取り上げ、あらわし方である。
◇U.S. Senate votes to move ahead on chip bill to compete with China‐Senate votes to advance chip legislation, NSF funding (7月19日付け Reuters)
→米国上院が火曜19日の夜に64-34で投票し、米国の半導体メーカーに連邦補助金を提供し、National Science Foundation(NSF:全米科学財団)に数十億ドルの資金を追加することを進めた旨。「わが国の将来にとって非常に重要であるため、上院がこの法案に科学条項を含めることが私の選択」と多数党院内総務、Charles Schumer氏。
◇Senate votes to proceed to bill to help semiconductor industry (7月19日付け The Hill)
◇When the Chips Are Down, Congress Should Support the Semiconductor Industry‐Proposed grants would help consumers and strengthen the economy and U.S. national security. (7月19日付け The Wall Street Journal)
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より、早速に上院の行動を称賛するステートメントが出されている。
◇SIA Applauds Senate Advancing CHIPS Act‐Bill would provide $52 billion for semiconductor manufacturing incentives and research investments, also includes investment tax credit for chip manufacturing (7月19日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は、半導体製造のインセンティブと研究投資に向けて$52 billionを供給する法律、CHIPS Act (H.R. 4346)を推進するた本日の上院の行動を称賛する、President and CEO、John Neuffer氏からの声明を発表した旨。この法律には、半導体製造に対する投資税額控除も含まれている旨。
上院での本投票についての関係する内容が続いていく。
◇CHIPS Act passes U.S. Senate in 64-34 preliminary vote (7月20日付け FierceElectronics)
→米国上院が火曜19日の夜に、国内の半導体製造インセンティブと研究投資に$52 billionを供給し、半導体製造に向けて25%の投資税額控除を提供する、CHIPS Actの法制化を前進させた旨。
64-34の最初の手続き上の投票は最終的なものではないが、一部の上院議員は、最終的な賛成票が来週にも行われる可能性があると予測している旨。彼らは、それが超党派の支持を獲得し、上院議事妨害を克服するために60票以上を得たと指摘の旨。
法案の最初の導入から約2年、その後上院が米国下院に向かう前に法案を可決してから、この法案に対する措置が取られる旨。議員たちは、8月の休会と秋の議会選挙の前にこの措置を推し進めることを熱望している旨。
上院を通過した場合、それを支持するバイデン大統領に向かう前に、最終承認のために下院に戻る旨。
下院議長から、本投票を受けて下院で推進を図る反応である。
◇Pelosi backs chips bill, says House could vote on measure next week‐Pelosi: CHIPS Act vote could take place next week (7月20日付け Reuters)
→Nancy Pelosi米下院議長が、来週下院で投票するために提案されたCHIPS Act法案を提出する予定であり、"これは、世界の舞台でアメリカの競争力を再燃させながら、ここにいる家族に向けたコストを下げる大胆な超党派のパッケージ"としている旨。上院は今週初めに該法案を余裕を持って承認した旨。
◇Senate advances more than $50 billion bill to boost U.S. semiconductor production (7月20日付け CNBC)
→*米上院が火曜19日、中国との米国の半導体競争を後押しするために設計された法案のスリム化されたバージョンを進めることに投票した旨。
*米国のコンピュータ半導体製造を強化するために約$50 billionの助成金を提供する法案は、多面的な超党派の取り組み。
*しかし、現在の法律は、上院が中国と競争するために米国の半導体製造を強化する$250 billionの法案を最初に承認してから1年以上経つ旨。
SEMIより上院での進展が称賛されている。
◇SEMI Applauds Senate Progress on CHIPS Act of 2022, Urges Timely Congressional Approval (7月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→グローバルな電子機器の設計および製造サプライチェーンにサービスを提供する業界団体、SEMIが本日、半導体サプライチェーンに対する連邦政府のインセンティブの強力なパッケージに関する米国上院の進展を称賛し、議会でのタイムリーな通過を促した旨。
本法案について、すべてが歓迎なら問題はないが、いぶかる、あるいは批判の目も伴っている。
製造が主体で、ファブレスメーカーには利があるのか、との見方である。
◇Chip designers warm to U.S. bill despite big benefits to Intel‐Sources: IC firms may oppose chip industry bill (7月18日付け Reuters)
→本件事情通筋引用、Reuters発。一部の米国の半導体サプライヤーは、インテルや他の巨大な半導体メーカーが政府の補助金にさらに支持されていく場合、米国のmicrochip業界をサポートするために提案された該連邦法に反対する可能性がある旨。提案された該法律は、Advanced Micro Devices(AMD)、NvidiaおよびQualcommなどのファブレス半導体企業にとってはそれほど有用ではない可能性がある旨。
インテルが、それに対して切り返している。
◇INTEL FIGHTS BACK: CHIPS ACT WILL BENEFIT THE US SEMICONDUCTOR INDUSTRY‐Intel dismisses criticism over the CHIPS bill (7月18日付け CRN (US))
→Intelは、提案されているCHIPS Actによって非常に大きく支持されるという主張に異議を唱えている旨。「これには、今日ほとんどの製造をオフショアで行っていて、コスト競争力のある米国ベースの製造オプションを幅広く獲得できる、メーカーとファブレス企業の両方が含まれる。」とIntelがステートメントにて。「CHIPS Actは、製品を半導体に依存しているすべてのアメリカの産業にも利益をもたらす。」
上院での投票前日であるが、関連する同様の内容の記事が続いている。
◇Rift forms in chip industry over big subsidies planned for Intel, Micron (7月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→半導体メーカーが議会通過に取り組んでいる助成金をめぐって亀裂が生じている旨。伝えられるところによると、AMD、Intelなどは、彼らのような米国の半導体メーカーと半導体設計者の両方に補助金を提供する下院法案を支持する旨。
◇U.S. chip industry split over CHIPS act benefits to Intel (7月18日付け CNBC)
→*いくつかの米国の半導体企業が、法律の最終的な文言がインテルのようなメーカーに不釣り合いに利益をもたらす場合、半導体業界の補助金のパッケージに反対するかどうかを検討している旨。
*上院多数党の指導者、Chuck Schumer氏は、火曜19日にも投票が行われる可能性があると議員に語った旨。
*この法案は、台頭する中国に対して米国をより競争力のあるものにすることを目的としている旨。
これは投票直前か、ファブレスも急に支持側に回っている。
◇米半導体補助金法案、設計会社が一転支持、恩恵限定的と懸念でも (7月19日付け ロイター 日本語版)
→米国の半導体産業を強化し、中国との競争力を高めるための法案を巡り、インテルなどの一部メーカーに偏った恩恵をもたらすと懸念していた主要設計企業が一転して支持に回っている旨。
法案には半導体の国内生産拡大に向けた$52 billionの補助金や投資税額控除が含まれている旨。上院民主党トップのシューマー院内総務は早ければ19日にも上院で採決が行われるとしている旨。
上院での投票後のいろいろな反応である。
GlobalFoundriesは、新工場建設は本法案に依存するとしている。
◇GlobalFoundries CEO: New York chip factory likely delayed if U.S. subsidy bill fails‐N.Y. chip factory may depend on bill passage (7月19日付け Reuters)
→GlobalFoundriesのCEO、Tom Caulfield氏が、米国を拠点とする半導体メーカーに連邦補助金を供給する法律を議会が可決しなかった場合、同社はMalta, N.Y.のウェーハ製造拠点の建設を遅らせる可能性があると述べている旨。「遅かれ早かれそれを行うには、政府が我々と共同投資する必要があるだろう」とCaulfield氏。
インテルの利点の度合いがなお議論されている。
◇Chip industry splits over U.S. CHIPS Act benefits for Intel (7月19日付け FierceElectronics)
→米国のいくつかの半導体企業が、最終的な取引がIntelやその他の企業に不釣り合いに有利な場合、半導体ファブ建設に対する議会の補助金、$52 billionに反対するかどうかを議論している旨。
この業界の分裂はReutersによって報告され、Intelなどの直接の競合他社にもたらされる可能性のある利点について懸念している2つの名前のない情報源を引用している旨。
米国の支援を受けている会社、中国への投資まかりならず、とのホワイトハウスのお達しには、インテルはじめ反対している。
◇ホワイトハウス「米国の支援を受けている半導体会社、中国投資禁止」…業界は「反対」 (7月20日付け 韓国・中央日報)
→米国議会が19日(現地時間)、半導体産業支援法案(CHIPS Act)処理に向けた議論を始める中で、資金面で優遇を受ける企業に対して、向こう10年間中国半導体投資を制限する条項が議論になっている旨。ジョー・バイデン政府は政府支援を受けて米国に工場を設立した半導体企業の中国投資制限は当然だという立場だが、インテルなど米国半導体業界は企業の国際競争力を弱める発想だとして反対している旨。
SkyWater TechnologyのIndiana州での工場建設、やはりCHIPS Act資金が前提のもようである。
◇SkyWater to build $1.8bn IC R&D facility at Purdue‐SkyWater plans to invest in R&D fab at Purdue University ‐SkyWater, the Minnesota hi-rel fab ‐ plans to invest $1.8 billion for an IC R&D research facility in Indiana, in partnership with the state and Purdue University. (7月21日付け Electronics Weekly (UK))
→Minnesotaを拠点とするシリコンファウンドリー、SkyWater Technologyが、Indiana州のPurdue Universityのキャンパスにある研究開発用ウェーハ製造施設に$1.8 billionを投資する旨。「当社の半導体製造施設を強化するこの取り組みは、CHIPS Actからの資金提供に依存する。」とSkyWaterのCEO、Thomas Sonderman氏。「連邦政府の投資により、SkyWaterは、半導体製造の戦略的回帰の必要性に対処するための取り組みをより迅速に拡大できるようになる。」
◇SkyWater's $1.8B Purdue plan shows what CHIPS Act money could accomplish (7月22日付け FierceElectronics)
→ミネソタを拠点とする半導体メーカー、SkyWater Technologyが今週始め、Purdue Universityに$1.8 billionの最先端の半導体製造施設を建設することを約束した旨。この計画は、SkyWaterの発表の数時間後に米国上院がCHIPS Actを予備承認したことで現実に一歩近づいた旨。
半導体業界こぞってとはいかない反応が引き続いている。
◇U.S. CHIPS Act Nears Approval After Senate Passage (7月21日付け EE Times)
→米国のCHIPS Actが、64-34の上院の投票後、承認に近づいている旨。しかし、ファブレス半導体の設計者は、該刺激策に懐疑的なままの旨。
◇CHIPS bill gets praise -- and a ding (7月22日付け FierceElectronics)
→米国上院は火曜19日に64-34までにCHIPS Act法制化を進め、半導体業界のほとんどのトップリーダーからの称賛を勝ち取ったが、少数のイノベーターからは批判を受けた旨。CHIPS Actには、STEM教育のサポートなど、半導体ファブへの助成金以上のものがある旨。しかし、それでも、Edge Qは十分に進んでいないと感じている旨。
台湾が世界の半導体製造を席巻している現状、米国が強くなって早く抜け出すよう、と本法案に賭けるGina Raimondo米国商務長官である。
◇US warns losing access to Taiwanese chips could break the economy‐Raimondo: US needs access to Taiwan-produced microchips ‐Stark warning of a 'deep and immediate recession' if China takes over (7月21日付け The Register (UK))
→台湾が世界の半導体製造能力のほとんどを支配しており、それが米国商務長官のGina Raimondo氏を悩ませている旨。
◇半導体での米国の台湾依存は維持不可能で危険−レモンド商務長官‐高性能コンピューターチップの国内生産支援する法案通過が必要‐今は米国が追いつき追い越すためのスプートニク・モーメントだ (7月22日付け ブルームバーグ 日本語版)
→レモンド米商務長官は21日、米国は半導体に関して台湾に依存し続けることはできないとした上で、高性能コンピューター半導体の国内生産を支援する法案を通過させる必要があるとの考えを示した旨。
もう1つ、米国が主導する、韓国、台湾、および日本とから成る‘Chip 4’同盟について、中国との板挟みに苦しむ韓国の現状が以下あらわされている。中国側の強烈な反発もあらわれている。
◇Korea mulls U.S.-led exclusive grouping on chips amid China's opposition (7月20日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国政府が、韓国、台湾、および日本を含む‘Chip 4’同盟と呼ばれる、ワシントン主導の中国を含まない半導体供給に参加するかどうかを検討している旨。米国政府が示す期限、8月末までに決定する予定だが、韓国の大手半導体メーカー、Samsung ElectronicsおよびSK hynixは、販売高の大部分がこの動きに不快な中国からのものであり、複雑なジレンマに陥っている旨。
◇韓国に「チップ4」同盟を提案した米国…中国「脅迫外交」に反対表明 (7月20日付け 韓国・中央日報)
→米国が韓国に半導体サプライチェーン同盟(チップ4、韓国・日本・米国・台湾)の参加を促している中、中国政府が事実上反対の立場を明らかにした旨。
中国外交部の趙立堅報道官は19日、定例記者会見で米国が韓国にチップ4同盟を提案したことに関する質問を受けて「半導体産業は高度にグローバル化し、各国が分業して協力し、半導体技術の持続的な進歩をともに追求した」と答えた旨。同時に、「米国は一貫して自由貿易原則を標ぼうしつつも、国の力を乱用して科学技術と経済貿易問題を政治化・道具化・武器化して『脅迫外交』を繰り返している」と批判した旨。
◇China says U.S.-led chip alliance should not harm global market‐China criticizes the "Chip 4" alliance (7月21日付け Reuters)
→日本、韓国、台湾および米国の間で提案されている"Chip 4"技術同盟が、中国の商務省によって批判されている旨。Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが中国の顧客への販売で大きな売上げを生み出しているため、中国の立場は国際的なサプライチェーン同盟における韓国の役割を複雑にする可能性がある旨。
CHIPS ActおよびChip 4と、今後の推移に注目するところである。
以上をまとめた時点で目に留まった気になる内容。確認を要するが、TechInsightsの記事にて、中国のSMICが7-nm半導体を製造して出荷しているとのこと。米国の制裁を受けながらにつくれたのか、今後気にかけていくことに。
◇China's SMIC Shipping 7nm Chips, Reportedly Copied TSMC's Tech‐China's 7nm shipping silently since 2021 (7月21日付け Tom's Hardware)
◇China's SMIC Is Shipping 7nm Foundry ASICs‐The Most Advanced Foundry In The World After TSMC And Samsung (7月21日付け SemiAnalysis)
◇中国最大の半導体メーカー、7-nm製造技術確立か−米制裁対象‐SMICは7-nm半導体の出荷を開始−テックインサイツ‐米国はSMICへの10-nm線幅以下の関連装置販売を原則禁止 (7月22日付け ブルームバーグ 日本語版)
→中国最大の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)が、米国の制裁にもかかわらず、自社の半導体製造技術を大きく進化させているもよう。
業界ウオッチャーのテックインサイツは19日、SMICが暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)向けに7-nmプロセスの製造技術を用いた半導体を出荷しているとブログに投稿。SMICは14-nm技術を確立しているが、7-nmはそれより2世代先を行く製造テクノロジー。
コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□7月19日(火)
各国の金融引き締めで、世界の債券価値が急減している。
◇世界の債券価値、半年で2300兆円減、債務依存の成長転機 (日経 電子版 05:07)
→世界の債券価値が急減している旨。今年1〜6月の減少額は17兆ドル(約2300兆円)と、6カ月の期間では遡れる1990年以降で最大となった旨。
各国の金融引き締めで債券利回りが急上昇し、利回りと反対に動く価格は急落した旨。債券市場が収縮し、債務に依存してきた世界経済が曲がり角に差し掛かっている旨。下落が続けば、国債を多く持つ金融機関の経営リスクも高まる旨。
新型コロナ「BA.5」感染、米国での状況である。
◇米で派生型「BA.5」感染じわり拡大、マスク着用再強化も (日経 電子版 05:14)
→米国で新型コロナウイルスの感染が再び広がりつつある旨。感染力が強いとされる「BA.5」などオミクロン型の派生型が流行し、一部でマスク着用を義務付ける動きが出始めている旨。ただ重症者数は少数にとどまっており、感染対策と経済活動の両立をめざす方針は変わっていない旨。
景気&業績懸念の強弱から、中3日上げたもののはじめと終わりに下げた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ反落、215ドル安、業績懸念の高まりで (日経 電子版 05:59)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前週末比215ドル65セント(0.7%)安の3万1072ドル61セントで終えた旨。朝方は主要企業の決算など好材料に反応した買いが先行し、一時は350ドル強上昇した旨。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが景気を冷やすとの観測は根強く、次第に伸び悩んだ旨。スマートフォンのアップルが人材採用を抑制すると午後に伝わると、企業業績を警戒した売りが強まり、ダウ平均も下げに転じた旨。
□7月20日(水)
インド市場での中国企業締め出しの動き、引き続き注視である。
◇インド、中国企業締め出し、資産凍結や買収不許可‐中国の対応は抑制的、今後の関係は悪化も (日経 電子版 05:11)
→インドが自国市場から中国企業を締め出そうとしている旨。スマートフォン大手の資産凍結や、自動車工場の買収不許可といった動きが相次ぐ旨。
一方、中国の対応は抑制的。ロシアとの協調にインドを取り込む狙いがあるとみられるが、中国側が受ける打撃は大きくなっている旨。インドと中国の関係が一段と悪化しかねない旨。
◇NYダウ反発、754ドル高、インフレ懸念弱まる (日経 電子版 05:59)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比754ドル44セント(2.4%)高の3万1827ドル05セントで終えた旨。インフレ加速を背景に米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げが米景気を冷やすとの警戒感が後退。景気敏感株やハイテク株など幅広い銘柄に短期的な戻りを見込んだ買いが入った旨。
□7月21日(木)
◇NYダウ続伸、47ドル高、ハイテク株に買い (日経 電子版 06:27)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比47ドル79セント(0.2%)高の3万1874ドル84セントで終えた旨。市場予想を上回る米企業の決算発表が多く、業績悪化の懸念が和らいだ旨。動画配信のネットフリックスが前日夕に発表した決算が好感され、ハイテク株を中心に買われた旨。市場では米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが加速するとの観測が薄れつつあり、弱気相場は底入れしたとの期待も買いにつながった旨。
□7月22日(金)
欧州での利上げが以下の通り行われようとしている。
◇ECBが11年ぶり利上げ、幅0.5%、マイナス金利解除 (日経 電子版 00:01)
→欧州中央銀行(ECB)は21日の理事会で、政策金利を0.5%引き上げると決めた旨。利上げは11年ぶりで、上げ幅は2000年以来22年ぶりの大きさ。ロシア産天然ガスの供給不安で景気悪化懸念が急速に高まるものの、インフレ阻止を優先した旨。景気後退とインフレが同時に進む「スタグフレーション」のリスクもあり、政策運営の難易度は増している旨。
◇NYダウ続伸、162ドル高、ハイテク株への買い続く (日経 電子版 06:41)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸、前日比162ドル06セント(0.5%)高の3万2036ドル90セントと6月9日以来、1カ月半ぶりの高値で終えた旨。前日までの続伸を受け、目先の利益を確定する目的の売りが先行した旨。ただ、市場予想を上回る米主要企業の決算発表が多く、売り一巡後は企業業績の底堅さを意識した買いがハイテク株を中心に入り、ダウ平均は上昇に転じた旨。米長期金利が低下したことも、相場上昇を後押しし、この日の高値圏で終えた旨。
□7月23日(土)
◇NYダウ反落137ドル安、欧米景気の悪化懸念で (日経 電子版 07:39)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落し、前日比137ドル61セント(0.4%)安の3万1899ドル29セントで終えた旨。欧米の景気悪化を示す経済統計の発表を受け、リスク資産である株式を売る動きが強まった旨。市場予想を下回る四半期決算を発表した一部ハイテク株の急落が相場全体に波及した旨。
≪市場実態PickUp≫
【市況変わり目関連】
インテルなどに次いで、半導体見積もりの引き上げがほのめかされている。
◇Intel tells customers to expect price hikes due to inflation, company confirms (7月16日付け FierceElectronics)
◇Broadcom, TI plan price increases‐Sources: Higher prices are coming from Broadcom, TI (7月21日付け DIGITIMES)
→BroadcomおよびTexas Instruments(TI)が、需要の変動性に対する懸念が高まっているにもかかわらず、TSMCの跡について、半導体見積もりを引き上げる最新のICベンダーの旨。
台湾・Powerchipより、今四半期での工場稼働率低下見込みがあらわされている。
◇Utilization rate may drop by up to 10%: IC maker‐INVENTORY CORRECTION: An industry slump has dealt a heavy blow to three of Powerchip’s product lines ‐ display driver ICs, specialty DRAM and CMOS sensors (7月16日付け Taipei Times)
→Powerchip Semiconductor Manufacturing Corp(力晶電)が昨日15日、工場の稼働率が今四半期に10%も低下すると予測しているが、業界の低迷を緩和するために、アイドル状態のcapacityをpower management半導体の製造に再割り当てすることに取り組んでいる旨。
SamsungのDRAM売上げの下落ぶりが、改めてあらわされている。
◇サムスン電子DRAMの売上、2四半期連続で下落…収益性の懸念高まる (7月18日付け コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子のメモリ半導体製品であるDRAMの売上げが2四半期連続で下落したことが分かった旨。
周期的に騰落を繰り返すDAM価格が下落局面に進入したうえ、ロシア・ウクライナ戦争の長期化と中国のCOVID-19封鎖措置などの影響でIT製品の生産量に支障が生じたため。韓国メディア「韓国経済TV」が報じた旨。
韓国・SK hynixの設備投資計画へのブレーキである。
◇SK hynix puts brakes on $3.3 bn capex plan to add chip lines at home‐SK hynix backs off from $3.26B capex plan for Korean fabs (7月19日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国のSK hynix社が、インフレと戦争に見舞われた世界経済による業界の不確実性の高まりおよび米ドルに対する韓国通貨の弱体化の中で、国内に新しい生産ラインを建設するという積極的な4.3兆ウォン($3.26 billion)の設備投資計画にブレーキをかけた旨。
米国巨大ITでの人員採用の鈍化が続いて見られている。
◇Apple joins Google, other tech companies with plans to slow hiring (7月19日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Bloomberg発。ビッグテックの巨人、Appleが来年、一部の部門の人員を増やさない旨。
【SEMI関連】
先日のSEMICON West 2022(7月11−14日)の概要が、以下の通りあらわされている。Chips Actが、1つに取り上げられている。
◇SEMICON West 2022: Keynotes and Conversations (7月18日付け 3D InCites)
→12月のSEMICONWest“ Lite”の後、本格的に復活したSEMICON West 2022について、以下の項目。
Semiconductors are Serious Business
Can We Keep Up with Digital Demand?
Cars Need More Chips. Period.
Chips Act Update
Shaping a More Resilient Supply Chain
半導体製造装置の販売高の今後の読みについては、最高更新が続くとあらわされている。
◇Fab equipment sales up 14%‐SEMI: IC gear sales will rise 15.4% this year to $101B ‐2022 sales of chip manufacturing equipment are forecast by SEMI to be up 14% y-o-y to $117.5 billion. (7月19日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMIによると、今年のウェーハ製造装置の販売高は、2021年から15.4%増の$101 billionに増加し、2023年にはさらに3.2%増の$104.3 billionになる可能性がある旨。「capacityの増強および格上げを推進する半導体業界の決定に沿って、ウェーハfab装置分野は2022年に初めて$100 billionの大台に達する見通し」と、SEMIのCEO、Ajit Manocha氏。
◇半導体装置販売額、4年連続で最高へ (7月19日付け 日経産業)
→半導体業界の国際団体、SEMIは、2023年の半導体製造装置の世界販売額が$120.8 billion(約16兆5000億円)と、4年連続で過去最高を更新する見通しだと発表、2021年12月時点の前回予想から$7.4 billion上方修正した旨。
2022年の世界販売額は前年比15%増の$117.5 billionを見込む旨。地域別では2022、2023年とも台湾が首位になる見通しで、中国、韓国が続く旨。
台湾でのSEMI Auto IC Masterプログラムの取り組みである。
◇Program Forges Tighter Bonds Between Automakers and Taiwan Chipmakers‐Automakers and chipmakers ally interests in microchips (7月19日付け Electronic Design)
→SEMI Taiwan、Foxconn Technology、およびUMCが、台湾の自動車用半導体サプライチェーンとの緊密なパートナーシップを通じて、完全な自動車用半導体ソリューションを供給するように設計されたSEMI Auto IC Masterプログラムを共同でリリースした旨。
【韓国発関連】
Samsungについて、サムスン電機の半導体パッケージ基板、そしてサムスン電子の2億画素のイメージセンサーである。
◇Samsung Electro-Mechanics bets big on its chip substrates‐Samsung Electro-Mechanics boosts its chip substrates (7月18日付け JoongAng Daily (South Korea))
→サムスン電機が、半導体パッケージ基板の生産を売り込んでおり、同社がここ数か月で$1.4 billionを投資した技術の旨。「将来の成長率見通しにより、半導体パッケージ基板市場は、半導体、ファウンドリーあるいは半導体実装市場よりもさらに速く拡大すると予測されている。」と、同社のhead of the package solution support team、Ahn Jeong-hoon氏。
◇サムスンが開発した2億画素のイメージセンサー、シャオミのスマホに搭載 (7月18日付け コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子が開発した2億画素のイメージセンサーがシャオミのスマートフォンに搭載されるという観測が出た旨。
海外ITメディアのサムモバイルは11日、「シャオミは今年末に2億画素カメライメージセンサーが搭載された初めてのスマートフォンである『シャオミ12Tプロ』を発売する予定」とし「シャオミ12Tプロにはサムスン電子の『アイソセルHP3(ISOCELL HP3)』が採用される可能性がある」と報道した旨。韓国メディア「BUSINESSPOST」が報じた旨。
韓国政府が、10年後にほぼ倍にもっていく半導体関連人材育成計画を発表している。
◇半導体関連人材15万人育成へ 韓国政府がプラン発表 (7月19日付け 韓国・聯合ニュース)
→韓国教育部は19日、15万人の半導体関連人材を育てることを柱とした人材育成策を関係官庁と合同で発表した旨。現在約17万7000人の半導体産業の人材を、10年後には30万4000人まで増やす方針。
【Foxconn関連】
台湾・Foxconnによる中国・Tsinghua Unigroupへの投資が、引き続き波紋を呼んでいる。
◇Taiwan weighs Foxconn fine for China chip investment‐Taiwan may fine Foxconn for investment in chip firm (7月15日付け Reuters)
→本件の概要を知っている筋発。Foxconn Technology Groupは、中国に本拠を置くmicrochipグループ、Tsinghua Unigroupへの$797 millionの投資に対して、台湾政府から$835,600の罰金を科されている旨。Foxconnは、この多額の投資を行う前に政府の承認を求めなかったため、台湾の法律に違反した可能性がある旨。
◇Foxconn risks fine from Taipei after taking minority stake in Chinese chip champion Tsinghua Unigroup (7月15日付け South China Morning Post)
→*Foxconnの上海上場ユニットが、子会社の投資ファンドを通じてTsinghua Unigroup(紫光集団)に$788 millionを投資した旨。
*しかし、中国本土が台湾の半導体人材を密猟する中、両岸関係が悪化することで、該取引は曇がかる可能性がある旨。
◇Tsinghua Unigroup investment to support Foxconn long-term development‐Foxconn looks long-term with chip firm investment (7月22日付け DIGITIMES)
→Foxconn Industrial Internetが、Foxconn Technology Groupの長期的な開発をサポートするために、Tsinghua Unigroupに投資した旨。この投資は、中国を拠点とする2つのファブレス半導体企業であるUnisocとH3Cにも資金を提供する旨。
NXP SemiconductorsがFoxconnとコラボ、次世代自動車プラットフォームに取り組んでいる。
◇NXP collaborating with Foxconn on next generation vehicle platforms‐Foxconn teams with NXP Semiconductors for EV platforms (7月20日付け New Electronics)
→Foxconnが、NXP Semiconductorsと協働、smart vehicleプラットフォームを開発している旨。「自動車業界は、より速くより効率的にならなければならず、NXPは進んでテクノロジーportfolioを拡げ、電動化、次世代アーキテクチャー、smartで安全確実なcar accessシステムなど可能にしていく。」と、NXP Semiconductorsのpresident and CEO、Kurt Sievers氏。
【ASML関連】
米中の間の板挟みは、上記の韓国のみならず、オランダ・ASMLでも、以下の通りである。
◇Tech war: broader ban on ASML sales to China will hurt firm’s revenue and set back Beijing’s domestic chip-making drive, analysts say (7月19日付け South China Morning Post)
→*あるアナリストによると、中国への深紫外線(DUV)技術の販売が阻止された場合、ASMLは約$2 billionの売上げを失う可能性がある旨。
*ASMLのより広範な販売禁止は依然として極端なシナリオであるが、北京では警鐘を鳴らしている旨。
市況の変わり目がASMLにおいても。第二四半期と第三四半期の様相の違いが以下あらわされている。
◇オランダASML、第二四半期は増益、受注が過去最高 (7月20日付け ロイター 日本語版)
→オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングが20日発表した第二四半期決算は、受注が過去最高を記録して増益となった旨。
純利益は14億1000万ユーロ($1.44 billion)、前年同期は10億4000万ユーロ。市場予想は14億4000万ユーロ。
◇ASML Cuts Forecast After Racing to Deliver Chip-Making Gear‐ASML reduces full-year sales forecast, citing client delays (7月20日付け Bloomberg)
→*第三四半期のnet販売高予測が、アナリストの評価に未達の旨。
*同社CEOが、本年はsupply chain問題が引き続くと見ている旨。