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先行き景気後退、米国議会難航、対ロシア、半導体関連で見る動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜1日午後時点、世界全体で5億4747万人に達し、7日前の午後から537万人増、前週比113万人増とさらに増え加減である。我が国内でも、猛暑に見舞われる中、増加傾向が続いており、なお警戒を要している。半導体関連での注目であるが、インフレ物価高が続く中、先行きの景気後退につながり得る記事内容が、このところ増えてきている感じ方がある。米国国内での半導体製造強化に向けた$52 Billion法案は、議会両院間の最終調整で停滞しており、迅速な可決を促す商務長官、有力議員などの土壇場切迫の掛け合いが見られている。ウクライナ侵攻を続けるロシアには半導体輸出9割減と、米国商務長官から示されている。

≪現下のリスク&障壁の打開に向けて≫

昨年史上最高の販売高を記録、今年もいまのところさらに最高を更新するデータの流れ&勢いを示している世界半導体販売高であるが、ここにきて先行きの景気後退を案じる内容が目についており、以下基本時間順に取り出している。

◇Semiconductor boom could be coming to an end ‐ analysts‐Omdia: Good times in semiconductor industry are fading ‐Record revenues buoyed by surge in demand over the last couple of years, but nothing lasts forever (6月24日付け The Register (UK))
→Omdia発。半導体市場が、記録的な売上げの期間を経て横ばいになってきている旨。該レポートは、企業が部品を備蓄していることやインフレなどの世界経済への影響により、半導体業界が減速に向かっているという警告の増大するリストに加わっている旨。

◇Semiconductor cycle shows signs of peaking (6月27日付け Asia Times)
→台湾の大手メモリ半導体メーカーが、インフレが世界的な投資を抑制しているため、2022年下半期に売上高が減少すると予想している旨。

Consumer ICsの需要減で、ファウンドリーへの発注の低下である。

◇GF, SMIC may bear the brunt of consumer chips demand downturn‐Sources: Consumer ICs demand downturn hits GF, SMIC (6月27日付け DIGITIMES)
→業界筋発。gadgetsなどconsumer electronics製品に使用されるmicrochipsの需要減少につれて、GlobalFoundriesおよびSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)は、生産圧力を感じている旨。Himax Technologies、MediaTek、Novatek MicroelectronicsおよびQualcommは、それぞれのファウンドリーでの発注が少なくなっている旨。

米国では、年内の景気後退の見方があらわれている。

◇米景気後退、年内予測も、「バナナ」におびえるFRB議長 (6月28日付け 日経 電子版 07:59)
→米経済の景気後退入りは、そう遠くない。こんな見方が急速に広がっている旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は急ピッチの利上げでも経済の軟着陸(ソフトランディング)は可能だと主張するが、市場では年内の景気後退入りを予測する声も出てきた旨。インフレが収まらないうちに景気後退に入る「スタグフレーション」が現実味を帯びる旨。
(注)「バナナ」は1970年代にカーター大統領から景気後退(recession)という単語を口にしないよう叱責された経済顧問が使い始めたとされる。

TSMCは、先行き懸念の声の中、はや来年の値上げの打ち上げである。

◇TSMC to initiate about 6% price hike in 2023‐Sources: TSMC plans a 6% price increase next year (6月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCは、多くの末端市場に向けて失望的な可能性の2022年の後半を巡る懸念が最近提起されているにもかかわらず、ほとんどの製造プロセスの価格を2023年1月から約6%上げると決定の旨。

メモリ半導体の需給改善が見込めない、とSK Hynix発である。

◇Hard Landing for Chip Industry in 2H22 Unlikely SK hynix: Supply-Demand Improvement in 2H22 Less Likely‐SK Hynix sees no supply chain improvement in 2022 (6月28日付け BusinessKorea)
→インフレ率の上昇と供給ネットワークの混乱に起因する収益予測の下方修正が、2022年下半期のメモリ半導体の需給ダイナミクスの改善を遅らせる旨。

◇Memory chip price drops widen‐Sources: Spot prices for DRAMs and NAND flash are in freefall (6月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。DRAMおよびNANDフラッシュメモリ半導体のスポット市場価格は、下流のモジュールおよびデバイス企業が過剰な在庫負担を減らすため、6月下旬から急速に下落し始めている旨。

"在庫の山"という表現もあらわれている。

◇Electronics companies dealing with a 'mountain of inventory'‐Samsung and LG have a "mountain of inventory" (6月30日付け JoongAng Daily (South Korea))
→Samsung ElectronicsおよびLG Electronicsが、電子機器の需要が弱まり、世界がスマートフォンから電化製品に至るまであらゆるものに溢れているため、歴史的に高い在庫レベルに直面している旨。

◇DRAM価格、1年で3割下落、PC・スマホ向け需要減 (6月30日付け 日経産業)
→DRAMのスポット(随時契約)価格の下落が続いている旨。指標品は2021年の同時期に比べ3割安い旨。中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)や世界的なインフレによる先行き不安が取引価格を押し下げた旨。デバイスメーカーなどで在庫が膨らんでいる旨。半導体市場では自動車向けのマイコンなどで引き続き需給が逼迫しているが、DRAMの需給は緩和しているとの見方が優勢。

米国・Micronの四半期業績見通しでも、下振れの懸念があらわされている。

◇Micron's weak outlook sparks concerns of chip down cycle‐Micron's outlook leads to worries about weak chip demand (6月30日付け Reuters)

◇Micron warns weakening consumer demand will hurt smartphone sales (6月30日付け CNBC)

◇米マイクロン、6-8月収益見通し予想下回る、半導体需要に減退懸念 (7月1日付け ロイター)
→米半導体大手、マイクロン・テクノロジーが30日に発表した第四四半期(6─8月)の見通しは、売上高と利益見通しが市場予想を下回った旨。地政学的情勢と個人消費の低迷が同社の半導体メモリーに対する需要の重しになる可能性が示された旨。

現下の半導体株についてである。

◇米半導体株指数、2020年11月以来の安値−エヌビディアやTSMC安い (7月1日付け ブルームバーグ)
→6月30日の米株式市場で半導体株が続落し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は一時2.7%下げ2020年11月以来の安値を付けた旨。その後、下げ幅を縮小し1.1%安で終了。エヌビディアと台湾積体電路製造(TSMC)大きく下げた旨。
エヌビディアは一時4.4%安となった後、2.5%安で終了。同社のグラフィックカードの需要が減退する兆候がみられていることが嫌気された旨。

メタが採用を大幅に削減するとしている。

◇メタ、IT技術者の採用を最大4割削減、2022年計画比で (7月1日付け 日経 電子版 16:47)
→米メタが2022年にIT技術者の採用を当初計画より最大で40%減らすことが6月30日、明らかになった旨。SNS(交流サイト)をめぐる競争が激化するなど事業環境が厳しくなり、主力の広告事業が減速する懸念が強まっていることに対応する旨。

次に、米国半導体法の難航する議会可決関連であるが、これも以下の通り日々慌ただしさを増す受け取りである。

まずは、半導体メーカーの議会への煽りである。

◇Chip makers warn Congress' delay could threaten U.S. expansion (6月24日付け Axios)
→半導体メーカーが議会に対し警告。半導体を構築するのは費用がかかり、経済の広い範囲にとって不可欠なインプット、そして他の国々はすでに彼らの国内での製造を奨励することで米国を上回っている旨。

台湾・GlobalWafersはじめ米国への工場を誘致しているが、本法が可決されないと、水泡に帰す可能性、とGina Raimondo米国商務長官が議会への切実な説得である。

◇U.S. commerce secretary presses lawmakers to greenlight $52 billion for chipmaking‐Raimondo urges Congress to pass the Chips Act bill (6月27日付け Reuters)
→Gina Raimondo米国商務長官が、米国でより多くの半導体製造をサポートする法案を可決するよう議会に働きかけ続けている旨。台湾を拠点とするGlobalWafersは、Sherman, Texasに工場を建設し、半導体メーカーが使用する300-millimeterのシリコンウェーハを製造することを計画している旨。

◇U.S. may lose silicon wafer factory if Congress can't fund CHIPS Act, commerce secretary says (6月27日付け CNBC)

◇GlobalWafers to invest US$5 billion in new Texas plant (6月27日付け Focus Taiwan)
→台湾に本拠を置く世界で3番目に大きいシリコンウェーハサプライヤー、GlobalWafers Co.が月曜27日、2025年までに米国テキサス州に$5 billion(NT$14.8 billion)の12インチウェーハ工場を開設する計画を発表した旨。

◇米議会、速やかに半導体支援法案の可決を=商務長官 (6月28日付け ロイター)
→レモンド米商務長官は27日、半導体メーカーの生産体制強化に$52 billionの補助金を提供する法案を、連邦議会が早期に可決すべきだと訴えた旨。レモンド氏はCNBCのインタビューで、9月5日のレイバー・デーまでに法案が可決していなければ、「企業は待ちきれず、他の国々で事業を拡大するだろう」と警鐘を鳴らした旨。
台湾のシリコンウエハーメーカー、環球晶円(グローバルウェーハズ)が同日、テキサス州での工場建設計画を発表したことについてレモンド氏は、同社CEOから議会の法案可決が投資の条件だと告げられたと説明。法案可決による「わが国の国家安全保障への影響は重大だ」と述べた旨。

◇GlobalWafers to build silicon wafer fab in Texas (6月28日付け DIGITIMES)
→台湾を拠点とする世界的な半導体シリコンウェーハメーカー、GlobalWafersが、米国Sherman, Texasに300mmシリコンウェーハfabを建設する計画を発表、これは、米国で20年以上ぶりとなる旨。

米国と台湾の戦略対話が先立って行われている。

◇米国と台湾、戦略対話を先週開催、武器支援めぐり協議 (6月28日付け 日経 電子版 09:55)
→米国と台湾が先週、安全保障担当高官による戦略対話、「モントレー対話」を米国で開いたことが27日、分かった旨。関係者が日本経済新聞の取材で明らかにした旨。中国が台湾に軍事的圧力を強めるなか、米国が台湾に提供する武器や軍事訓練について協議したとみられる旨。

◇台湾企業、米国での投資を相次ぎ強化−半導体生産巡る米の懸念緩和へ‐台湾の環球晶円と聯発科技は米国で新工場・研究センターを計画‐ウクライナ侵攻きっかけに半導体生産を台湾に過度依存との懸念浮上 (6月29日付け ブルームバーグ)
→台湾のグローバルウェーハズ(環球晶円)は今週に入り、米国での$5 billion(約6800億円)規模の投資を発表したほか、同じく台湾の聯発科技(メディアテック)は米中西部で研究センターの設立を計画している旨。

◇米商務省、ASMLに続いてGlobalWafersの300mmウェハ工場の米国誘致に成功 (6月29日付け マイナビニュース)
→米国商務省は、台湾に本拠を置くシリコンウェハ(結晶成長・加工)メーカー、GlobalWafersが米国テキサス州シャーマンに、大規模な300mmシリコンウェハ製造工場の建設(敷地面積320万平方フィート)を2022年後半にも始める計画であることを発表した旨。商務省は、同省の要請に応じてASMLが米国への投資を拡大することを決めたことを先だって明らかにしていたが、今回、さらにGlobalWafersが誘致に応じたことを明らかにした形となる旨。

◇GlobalWafers Picks Texas for New Silicon Wafer Site (6月30日付け EE Times)
→世界トップ3のシリコンウェーハメーカーの1つ、GlobalWafers(台湾)が、テキサス州シャーマン(Sherman, Texas)に新しい300−mm拠点を建設することを計画、これは、20年以上で初の米国への投資となる旨。

さて、肝心の議会関係者の動きであるが、以下の通りまだ収まりきらないやりとりがうかがえている。

◇McConnell threatens semiconductor bill, prompting White House rebuke (6月30日付け The Hill)
→民主党が別の和解パッケージで前進した場合、上院の少数党指導者、Mitch McConnell氏(R-Ky.)が共和党の該法案への支持を強く迫ったため、木曜30日に国内の半導体産業を後押しすることを目的とした超党派の法律をめぐって党派の戦いが勃発した旨。

◇McConnell warns Dems of fallout for reviving Biden bill‐McConnell threatens GOP support for Chips Act bill (6月30日付け The Associated Press)
→上院のマイノリティリーダー、Mitch McConnell氏(R-Ky.)が、民主党に、エネルギーと経済イニシアチブの停滞したパッケージを取り戻すための努力によって超党派の半導体法法案の可決が妨げられる可能性があると警告している旨。「完全にはっきりさせておきたい。民主党が党派の和解法案を追求している限り、超党派のUSICA(the U.S. Innovation and Competition Act:米国イノベーション・競争法)は存在しないだろう」とこの共和党の指導者はツイートした旨。

◇Scoop: Schumer's CHIPS Act gambit (6月30日付け Axios)
→上院多数党の指導者、Chuck Schumer氏(D-N.Y.)は先週、12人の上院民主党員をしっかりとした進軍命令で同氏の事務所に召喚、最寄りのCEOに電話して、該中国競争法案について共和党の上院議員に圧力をかけるよう依頼の旨。

一筋縄ではいかない論評の1つからである。

◇Biden's Uphill Battle to Restructure the Global Semiconductor Sector‐US chipmakers' place atop GVG boosts innovation ‐Is it possible ‐ or advisable ‐ to remake global value chains in order to boost U.S. national security? (7月1日付け The Diplomat)
→グローバルバリューチェーンは、米国の半導体メーカーが半導体業界を支配するのを助け、同時に米国の電子設計自動化(EDA)技術のベンダーを後押ししている旨。「世界の半導体分野における米国の優位性は、GVC(global value chain)のハイエンドを占めるという強みに基づいていることは明らか」と本稿の著者は述べ、アジアから米国に製造operationsを持ち込む費用がその優位性を脅かす可能性があると付け加えている旨。

最後に、以下などロシアへの制裁がさらに強化されている。

◇G7、ロシアの戦費遮断急ぐ、石油価格に上限・金も禁輸 (6月28日付け 日経 電子版 05:10)
→主要7カ国首脳会議(G7サミット)は27日、ウクライナに侵攻したロシアの戦費調達を遮断するため、エネルギーの制裁強化を検討した旨。ロシア産石油の輸入停止措置は、原油高で狙い通りの成果を上げられていない旨。価格に上限を設ける案で合意したが、今後の制度設計に課題が多い旨。

半導体で見ると、ロシア向け輸出が9割減と、米国商務長官が明らかにしている。

◇Chip exports to Russia plunged by 90% after curbs-U.S. official (6月29日付け Reuters)

◇US tech controls squeezing the Russians‐Raimondo: Microchip exports to Russia plummet by 90%‐The US and its allies are squeezing the Russians by denying them technology, said the US Secretary of Commerce Gina Raimondo earlier this week. (6月30日付け Electronics Weekly (UK))
→Gina Raimondo米国商務長官によると、ロシアがウクライナに侵攻して以来、ロシアへの世界の半導体輸出は90%近く減少した旨。「ロシアは、スペアパーツのためにそれらを共食いするために、今後4年間でその民間航空機の半分から3分の2の運航停止を余儀なくされるかもしれない」と同氏は付け加えた旨。

◇世界のロシア向け半導体輸出、同盟国との規制で9割減=米商務長官 (6月30日付け ロイター)
→レモンド米商務長官は29日、米国と同盟国が輸出規制を発動して以降、世界のロシア向け半導体輸出が90%減少したと明らかにした旨。また、商務省の年次会議で、ロシアの航空宇宙部門に対する規制も効果が出ていると指摘。「ロシアは今後4年間で、民間航空機の半分から3分の2の運航停止を余儀なくされるかもしれない」と述べた旨。
さらに、中国半導体最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)がロシアに半導体を供給していることが判明した場合、「閉鎖に追い込む」と強調。「世界と中国のほぼ全ての半導体は米国の装置とソフトウエアを用いて製造されている」と語った旨。

このようなリスク&障壁要因の推移をしっかり注目しながら、世界半導体販売高の今後のデータを待つことになる。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□6月28日(火)

上半期を終えた今週であるが、60年ぶりのダウ平均下落率とのこと。低水準で上げ下げの今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落、62ドル安、金融引き締めに警戒根強く (日経 電子版 05:53)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比62ドル42セント(0.2%)安の3万1438ドル26セントで終えた旨。ダウ平均は前週に1600ドルあまり上昇し、短期的に利益を確定する売りが優勢だった旨。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが景気後退を招くとの警戒感も引き続き相場の重荷だった旨。

□6月29日(水)

◇NYダウ続落、491ドル安、消費者の景況感悪化を嫌気 (日経 電子版 05:35)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比491ドル27セント(1.6%)安の3万0946ドル99セントで終えた旨。中国の新型コロナウイルス感染防止の水際対策の緩和を好感した買いが先行したが、消費者の景況感悪化を映す指標を受け、売りが強まった旨。引け間際にこの日の最安値まで下げ、午前の高値からの下落幅は一時950ドルに達した旨。

NATO関連の動きが、以下の通り。対ロシア、そして対中国のスタンスが固められている。

◇北欧2カ国、NATO加盟へ、トルコが容認 (日経 電子版 06:48)
→北欧のフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現する見通しになった旨。両国と、NATO加盟に反対していたトルコの首脳が28日にスペインのマドリードで会談し、トルコが支持することで合意した旨。北欧2カ国のNATO加盟で、対ロシアでの欧州の防衛力が一段と高まる旨。

□6月30日(木)

◇NATO「中国は体制上の挑戦」、戦略概念で初言及 (日経 電子版 05:04)
→北大西洋条約機構(NATO)は29日、今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択するとともに、首脳宣言を発表、NATOの戦略概念として初めて中国に言及。中国が「体制上の挑戦」を突きつけていると明記した旨。

円安の進行、上半期の下落も以下にあらわされている。

◇円、一時137円台に下落、24年ぶり円安水準 (日経 電子版 05:08)
→29日の外国為替市場で円が対ドルで一時1ドル=137円台と、1998年9月以来およそ24年ぶりの円安・ドル高水準を付けた旨。21日に付けた1ドル=136円71銭の直近安値を超えて円安・ドル高が進んだ旨。6月に続き7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75%の大幅利上げを実施する可能性が意識されており、世界の主要中銀で唯一大規模な金融緩和を続ける日本の円を売る動きが続いている旨。

◇NYダウ反発、82ドル高、期末の買いが支え (日経 電子版 05:39)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比82ドル32セント(0.3%)高の3万1029ドル31セントで終えた旨。四半期末とあって機関投資家の資産配分見直しに伴う買いが入るとの期待が相場を支えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めと景気後退への警戒感から上値は重かった旨。

□7月1日(金)

◇高インフレで市場急変、上半期円22円下落、米株20%安 (日経 電子版 02:00)
→2022年1〜6月の金融市場は歴史的な急変動となった旨。円相場は対ドルで22円円安と40年ぶりの下落幅となり、米国株は20%安(29日時点)と52年ぶりの下げ相場となった旨。米欧で1970〜80年代以来の高インフレとなり、低インフレ・低金利の環境に慣れきった投資マネーにショックをもたらしている旨。経済構造の長期的な転換点との見方も広がっている旨。

◇NYダウ反落、253ドル安、上半期は60年ぶり下落率 (日経 電子版 05:55)
→6月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比253ドル88セント(0.8%)安の3万0775ドル43セントで終えた旨。同日発表の5月の米個人消費支出(PCE)で消費の伸び鈍化が示され、景気の減速懸念が強まった旨。半面、四半期末の機関投資家の資産配分見直しに伴う資金流入への期待は相場を下支えした旨。上半期(1〜6月期)のダウ平均の下落率は60年ぶりの大きさだった旨。

□7月2日(土)

◇NYダウ反発321ドル高、長期金利の低下が支え (日経 電子版 05:55)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比321ドル83セント(1.0%)高の3万1097ドル26セントで終えた旨。米長期金利の低下が株式相場を支えた旨。ハイテク株の一角が買われたほか、景気動向に業績が左右されにくいディフェンシブ株が上昇した旨。3連休となる週末を前に持ち高調整の買いが入り、取引終了にかけ上げ幅を広げた旨。


≪市場実態PickUp≫

【Samsungの3-nm量産開始】

前回、3-nm量産、2-nm視野の各社アプローチを取り上げたが、予定通りSamsungが、世界初、3-nm量産開始を発表している。注目の発表ということで、以下業界各紙それぞれの取り上げである。先行するTSMCとのしのぎ合いに引き続き注視していく。

◇Samsung Elec starts 3-nanometre chip production to lure new foundry customers (6月29日付け Reuters)

◇Samsung starts mass production of chips using advanced 3nm process node‐Samsung has begun mass production of chips using its 3nm process node its most advanced chip production technology yet that allows smaller chips to pack even more power. (6月29日付け ZDNet)

◇Samsung Begins Chip Production Using 3nm Process Technology with GAA Architecture (6月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung Electronics Co., Ltd.が本日、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタアーキテクチャを適用した3ナノメートル(nm)プロセスノードの初期生産を開始したと発表の旨。
サムスンのGAAテクノロジーであるマルチブリッジチャネルFET(MBCFET[TM])は、FinFETのパフォーマンス制約に対抗、供給電圧レベルを下げることで電力効率を向上させると同時に、駆動電流能力を高めることでパフォーマンスを向上させる旨。

◇韓国サムスン電子、3ナノ半導体の量産開始 世界初 (6月30日付け ロイター)
→韓国の半導体大手サムスン電子は30日、回路線幅3ナノメートルの半導体の量産を開始したと発表、3ナノ製品の量産化は世界で初めてで、ライバルの台湾積体電路製造(TSMC)に先行した旨。
サムスンは声明で、新たに開発した3ナノ製品は従来の5ナノ半導体と比較して消費電力を最大45%削減、性能は23%向上し、面積は16%縮小できると説明した旨。
受託生産の顧客を明らかにしておらず、アナリストはサムソンが自社の製品に採用するほか、中国企業が最初の顧客になるとの見方を示している旨。

◇Samsung Elec makes a head start in 3nm chipset mass production‐Samsung begins volume producton of 3nm chipsets (6月30日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsが、より多くのファウンドリー顧客を対象に、3ナノメートルのプロセス技術でのチップセットの量産を開始した旨。該先端チップセットは、3nmゲートオールアラウンド(GAA)アーキテクチャを用いている旨。

◇Samsung begins mass production of 3nm chips (6月30日付け Yonhap News Agency)
→Samsung Electronics Co.が木曜30日、3ナノメートルの半導体の大量生産を開始、最先端のチップ製造プロセスノードでの対抗力強化、ファウンドリーのライバルであり業界のリーダーであるTSMCを打ち負かしていく旨。

◇Samsung、GAAを適用した3nmプロセスの生産を開始 (6月30日付け EE Times Japan)
→Samsung Electronicsは、2022年6月30日(韓国時間)、GAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造を適用した3nmプロセスノードの初期生産を開始したと発表した旨。まずは、高性能、低消費電力コンピューティングに向けた半導体に適用し、その後モバイルプロセッサにも適用していく計画。

◇サムスン、最先端の半導体 「世界初」の3ナノ量産開始 (7月1日付け 日経)
→韓国サムスン電子は30日、次世代の先端半導体の量産を始めたと発表、半導体の性能を左右する回路線幅は3ナノメートルで「世界初の技術」としている旨。先端技術の開発を急ぎ、半導体の受託生産で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)を追う旨。

◇Samsung Leads Chip Industry with Nanochip Production (7月1日付け EE Times)
→Samsung Electronicsが、業界をリードする3nmプロセスノードで新しいナノシートトランジスタアーキテクチャを使用、半導体の生産を開始する計画、世界初としている旨。

【インテル関連】

昨年のマイクロプロセッサー(MPU)売上高トップ5が、IC Insightsよりあらわされている。圧倒的首位のインテルに迫る2位以下がはっきりあらわれている。

◇Top 5 MPU suppliers take 86% share‐IC Insights: 5 leading MPU suppliers held 86% market share (6月30日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。MPUサプライヤー上位5社の2021年市場シェアが86%、Intelはマイクロプロセッサーの総売上高の半分近くを占めている旨。
2021年MPUサプライヤー・トップ5:

販売高
2021/2020伸び率
2021年シェア
1 Intel
$52.3B
3%
50.9%
2 Apple
$13.4B
27%
13.0%
3 Qualcomm
$9.4B
26%
9.1%
4 AMD
$9.2B
56%
8.9%
5 Mediatek
$4.1B
51%
4.0%

(注) Appleは、ICファウンドリーが製造する同社製品向けカスタム設計

画像処理および演算向けで躍進著しいNvidiaおよびAMDに対して、インテルがゲーム用パソコン向けに本格的に取り組むとしている。

◇ゲームPCにインテル本気 GPU投入、エヌビディアに挑む (6月30日付け 日経 電子版 05:00)
→米インテルがゲーム用パソコン(PC)の「頭脳」を担う半導体の開拓を急ぐ旨。画像処理向けの専用製品を本格投入するほか、演算向けの製品でもシェアの奪還を進める旨。画像処理向けはこれまで米エヌビディアが強く、演算向けでも米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の存在感が増していた旨。半導体がメタバース(仮想空間)など向けに高度な性能を要求される中、ゲーム用の市場は各社の技術力を示す格好の試金石ともなる旨。

◇インテル、ゲームPCに的、画像半導体を本格投入、メタバース時代に備え (7月1日付け 日経)
→米インテルがゲーム用パソコン(PC)の「頭脳」を担う半導体の開拓を急ぐ旨。画像処理向けの専用製品を本格投入するほか、演算向けの製品でもシェアの奪還を進める旨。画像処理向けはこれまで米エヌビディアが強く、演算向けでも米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の存在感が増していた旨。半導体がメタバース(仮想空間)など向けに高度な性能を要求される中、ゲーム用の市場は各社の技術力を示す格好の試金石ともなる旨。

インテルがマサチューセッツ州のR&Dウェーハfabを売却とあるが、この場所には以下の記事に続く謂れ。1980年代に定期打ち合わせで訪れたDEC社を思い起こしている。

◇Intel to sell Massachusetts R&D site, once home to its only New England fab‐Intel plans to sell Massachusetts R&D wafer fab ‐End of another era as former DEC facility faces demolition (6月30日付け The Register (UK))
→Intelがアリゾナ州とオハイオ州での新しいファブの構築に注力しているため、同社はマサチューセッツ州ハドソンでの研究開発(R&D)用のウェーハファブを売りに出している旨。該拠点の800人以上の従業員は、マサチューセッツ州ハーバードの近くにある賃貸ビルに移転される旨。

(追記)歴史的に重要な場所
ハドソンのサイトは、1979年にデジタルイクイップメントコーポレーション(DEC)によって建設されたアメリカのコンピューター産業の歴史において重要な意味を持っている。このとき、DECやマサチューセッツ州のルート128回廊を拠点とする他のテクノロジー企業がシリコンバレーの企業に匹敵した。DECのハドソンサイトには、2つの研究開発ビルと1つのチップ製造工場があり、1980年代に「世界で最も洗練されたマイクロプロセッサを構築」した。ボストングローブの回顧展によると、ピーク時には、DECはかつてIBMに次ぐ世界第2位のコンピューターメーカーであり、1989年にはマサチューセッツ州で最大の民間企業であった。

【TSMC関連】

TSMCが、熊本に続いてつくばと我が国への進出。関連記事が続いている。

◇TSMC subsidiary in Japan inaugurates new clean room facility‐TSMC's unit launches clean-room facility in Japan (6月25日付け Focus Taiwan)
→日本の台湾積体電路(TSMC)の子会社が所有するクリーンルーム施設(つくば)が金曜24日に発足、同社がハイエンドの集積回路実装およびテストサービスを開発する道を開いた旨。

◇TSMC Japan 3DIC R&D center completes clean room‐AHEAD OF THE PACK: The TSMC subsidiary was set up to research next generations of 3D silicon stacking and advanced packaging technology in materials science (6月25日付け Taipei Times)

◇台湾TSMCつくば研究拠点、経産相が視察、最先端半導体で連携 (6月27日付け 日刊工業)
→萩生田光一経済産業相は、台湾積体電路製造(TSMC)が産業技術総合研究所つくばセンター(茨城県つくば市)内に開設した先端半導体の生産工程技術の研究開発拠点「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」を視察した旨。
3次元集積回路(3DIC)製造の後工程(実装)の新材料・プロセス技術について、同社や産総研、国内企業が共同で研究を進める旨。

◇TSMCにガス供給、Jマテリアル、熊本の工場取得 (7月1日付け 日経)
→半導体製造設備の保守管理を担うジャパンマテリアルは、このほど三井ハイテックから熊本県内の工場を取得、台湾積体電路製造(TSMC)などが熊本県で建設している半導体工場にガス設備を供給する旨。1兆円を超す資金が投じられるTSMCの新工場をめぐり、関連企業の投資も活発になってきた旨。

四半期売上げで、TSMCがインテルを上回ったのではないか、との見方が取り沙汰されている。

◇TSMC may surpass Intel in quarterly revenue for first time‐Fab frenemies: x86 giant set to give Taiwanese chipmaker more money as it revitalizes foundry business (6月27日付け The Register)
→半導体業界の運命がどのように変化したかを示すさらに別の兆候、台湾のファウンドリー大手TSMCは、四半期売上げで初めてIntelを上回ると予想されている旨。
ウォール街のアナリストは、TSMCが第二四半期の売上げを前四半期比43%の$18.1 billionになると予測、一方、Yahoo Financeが収集した見積もりによると、Intelは同期間に売上高が前四半期比2%減少して$17.98 billionになると予想されている旨。

今後の最先端半導体は、TSMCとASMLの組み合わせでないと成り立たない、と現下の実態の率直なあらわし方である。

◇次世代技術、命運握る台湾TSMCとオランダASML‐先端半導体でタッグ、米中対立に影響 (6月28日付け 日経 電子版 11:21)
→自動運転など次世代技術の核心となる先端半導体の製造が、世界でたった2つの企業に独占され始めている旨。台湾積体電路製造(TSMC)とオランダの半導体製造装置大手のASML。両社がいなければ、もはや先端製品が生まれない状況にさえなりつつある旨。世界に備えはあるのか。技術覇権を激しく争う米中にも大きな影響を及ぼすのは必至。

【東芝関連】

再編に向けたアプローチを問う東芝の株主総会については、すでにテレビの主要ニュースで取り上げの通りであるが、業界各紙のあらわし方を目についた範囲、取り出している。

◇Toshiba appoints activist shareholders‐Toshiba names 2 activist shareholders to its board ‐Toshiba has appointed two directors from activist hedge funds to its board possibly paving the way to a sale of the company to private equity. (6月28日付け Electronics Weekly (UK))

◇東芝株主総会、物言う株主2人含む全13人の取締役を選任 (6月28日付け 日経 電子版 12:11)
→東芝が28日に開いた定時株主総会で、取締役候補者全13人の選任案が可決された旨。物言う株主(アクティビスト)の投資ファンド幹部2人が含まれ、株主の賛否が焦点となっていた旨。東芝は現在、株式非公開化を含む再編を検討しており、新たな取締役体制で手続きは本格化する旨。再編を含む経営方針に対し、アクティビストの影響力が強まる可能性がある旨。

◇東芝再編、「物言う株主」が主導、幹部2人取締役に選任‐批判した綿引氏は辞任、交渉の公平性課題に (6月29日付け 日経 電子版 05:06)
→東芝は28日、定時株主総会を開き、物言う株主(アクティビスト)の投資ファンド幹部2人を社外取締役として選任した旨。新体制は非公開化を含む再編案の交渉を担うが、2人の選任に反対していた社外取締役が再任後に辞任するなど混乱は続く旨。特定のファンド出身者が2人になるなど偏った体制との批判がある中、短期的な利益だけでなく、長期的な視点で保有する株主の利益にもつながるような公平性や透明性が課題となる旨。

◇Over 20% of Toshiba investors against activist fund execs, dissident director‐Many Toshiba shareholders oppose proposed directors (6月30日付け Reuters)
→東芝の株主の20%以上が、反対意見の社外取締役と「モノ言う株主」のヘッジファンド投資家からの2人の取締役候補者に対して投票用紙を投じた旨。Elliott ManagementおよびFarallon Capital Managementの取締役候補者が東芝の取締役に就任することを望まなかった社外取締役、Mariko Watahiki氏は株主投票を受けて該役員会から辞任した旨。

【Apple関連】

Appleの来年、2023年のiPhoneのモデム半導体に、Qualcomm品が引き続き使われるとの見方が、以下の通りあらわされている。自前開発の方は如何、との視線もある。

◇Qualcomm stock jumps after analyst predicts Apple will use its modems for 2023 iPhone (6月28日付け CNBC)
→*アナリストが2023年のiPhoneでAppleが同社の5Gモデムを使用すると見ているとして、火曜28日の間にQualcommの株価は3%以上上昇した旨。
 *Qualcommは以前、2023年にiPhoneモデムの20%を供給することを期待していると述べた旨。

◇Qualcomm's Apple Slice Still Has an Expiration Date‐Apple may still need modem chips from Qualcomm‐Apple's reported struggle to develop in-house modem chip only delays the inevitable, but the extra cash flow can help Qualcomm diversify further (6月30日付け The Wall Street Journal)
→TF International SecuritiesのMin-Chi Kuo氏は、モバイルデバイス用のカスタム5Gモデム半導体を設計しようとしたAppleの試みは"失敗した可能性がある"と報告、そのようなモデム半導体供給でQualcommに依存し続けることを余儀なくされている旨。その場合、来年発売されるiPhone製品ラインには、Qualcommのモデムmicrochipsが組み込まれる可能性が高い、とKuo氏は述べている旨。

円安の影響とテレビ報道でも。「iPhone」の我が国での値上げである。それでも、米国、英国、中国に比べれば円換算で安いとのことである。

◇Apple、日本で1日から一斉値上げ、「iPhone13」は19% (7月1日付け 日経 電子版 04:48)
→米アップルがスマートフォン「iPhone」を含む主要製品を日本で一斉値上げしたことが明らかになった旨。最新機種「iPhone 13」の最も安価な設定の場合、値上げ率は19%になった旨。日米の金利差の拡大を背景とする急激な円安が、日本人になじみ深い耐久消費財の価格にも影響し始めた旨。

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