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最先端の微細化&新製品への各社アプローチから:3-nm量産、2-nm視野

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜24日午後時点、世界全体で5億4210万人に達し、7日前の午後から424万人増、前週比59万人増と増え加減である。我が国内、東京都で直近1週間平均の新規感染者(1895人)が前週比120.7%、制限緩和に向かう中、警戒を要している。さて、TSMC 2022 Technology Symposiumが、6月16日、北米を皮切りにスタート、競い合うように最先端の微細化&新製品の各社の動き&アプローチが見え隠れして、以下現時点を追っている。3-nm量産、2-nm視野の先陣をTSMCと競うSamsung、そして後れの挽回を図るインテル、世界初NANDおよび市場初DRAMを打ち上げるMicronが今回目に入っている。日進月歩、絶え間ない飛躍に注目である。

≪それぞれ事情&状況含みのしのぎ合い≫

昔懐かしい感じ方と前回思わずあらわしたTSMC Technology Symposiumであるが、我が国内開催のご案内をいただいて出かけたのが、2000年代はじめのこと。本年は次の開催予定とあらわされている。
 6月16日 北米(シリコンバレー)
 6月20日 欧州
 6月30日 中国
 8月30日 台湾

北米でのTSMCシンポジウムを受けて、前回と重複するが、以下を示していた。

◇TSMC says it will have advanced ASML chipmaking tool in 2024 (6月16日付け Reuters)

◇TSMC to start mass production of 2-nanometer chips by 2025‐TSMC plans volume production of 2nm chips by 2025 (6月17日付け Focus Taiwan)
→台湾積体電路(TSMC)が、同社の3nmプロセス技術に続いて、2-nanometerのfeaturesを備えた半導体の大量生産を目指している旨。TSMCは、2024年に最新のASML extreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムを得る旨。

◇TSMC Readies Five 3nm Process Technologies, Adds FinFlex For Design Flexibility (6月16日付け AnandTech)
→TSMCが木曜16日、2022年のTSMCテクノロジーシンポジウムを開始、該シンポジウムでは、同社は伝統的にプロセステクノロジーのロードマップと将来の拡張計画を共有している旨。TSMCが本日発表する重要なことの1つは、今後数年間で高度なCPU、GPU、およびSoCの製造に使用されるN3(3 nmクラス)およびN2(2nmクラス)ファミリーに属する最先端のノードであり、N3は、今後3年間で5つのノードがある旨。

さて、その後に目にした内容を以下示している。TSMCが2024年に手に入れるというASMLのEUV lithographyシステムについての関連記事から。

◇High-NA EUV May Be Closer Than It Appears‐High-NA EUV process tech may arrive in 2025‐Tools are coming, but advanced resists and masks need to keep pace. (6月16日付け Semiconductor Engineering)
→Intelのdirector of lithography hardware and solutions、Mark Phillips氏が、high numerical-aperture(高開口数)のextreme ultraviolet(EUV) lithography技術が2025年に利用可能になると予測している旨。「しかし、SPIE meetingで明らかになったように、High-NA露光システムは、リソグラフィエンジニアの準備ができているかどうかに関係なく、すぐにさらに複雑になっていく」と、Semiconductor Engineeringのtechnology editor、Katherine Derbyshire氏が結論づけの旨。

技術プレゼンの骨子は、2-nm、N2プロセスに向けてナノシートGAA(gate-all-around)トランジスタ搭載が示されるとともに、3-nm FinFETプロセスノードについて顧客が用途によって選べる複数のバージョンが提示されている点、という理解である。以下、関連の記事取り上げである。

◇TSMC FINFLEX(TM), N2 Process Innovations Debut at 2022 North American Technology Symposium (6月17日付け TSMC)
→TSMCは本日、同社の2022 North America Technology Symposiumにて、先端ロジック、specialty, および3D IC技術における最新の革新を披露、nanosheetトランジスタ搭載次世代最先端N2プロセスおよびN3とN3Eプロセスに向けた独自のFINFLEX(TM)技術がお披露目の旨。

◇TSMC debuts N2 process utilizing nanosheet transistors (6月17日付け DIGITIMES)
→TSMCが、北米向けの同社の年次技術シンポジウムで、ナノシートトランジスタを搭載した次世代のN2プロセスを発表、N2は2025年に生産を開始する予定の旨。

◇TSMC to get advanced chipmaking tool in 2024‐HIGH-NA EUV: Getting its hands on the ASML tool ahead of Intel would allow TSMC to continue to lead in developing the most advanced chip technology, an analyst said (6月18日付け Taipei Times)
→台湾積体電路(TSMC、台積電)の幹部が木曜16日、2024年にASMLホールディングNVの最先端の半導体製造ツールの次のバージョンを入手すると発表した旨。
"high-NA(Numerical Aperture) EUV"と呼ばれるこのツールは、集束光のビームを生成し、電話、ラップトップ、自動車およびスマートスピーカーなどの人工知能(AI)デバイスで使用されるコンピューター半導体上に微細な回路を作成する旨。

◇TSMC Creates Design Options for New 3nm Node (6月22日付け EE Times)
→台湾積体電路(TSMC)が、今年後半に立ち上がる予定の3nm FinFETノードのバージョンを作成、これにより、半導体設計者は、パフォーマンス、電力効率、およびトランジスタ密度を向上させるか、これらのオプションのバランスを選択できる旨。TSMCの3nmテクノロジーは、2022年後半に生産を開始し、パフォーマンスのために3−2フィン構成、電力効率とトランジスタ密度のために2−1フィン構成、または効率的なパフォーマンスのための2−2フィン構成を備えた標準セルの選択肢を提供する同社のFinFlexアーキテクチャを特徴としている旨。

◇TSMC sees major clients queue up for 3nm process capacity‐Sources: TSMC's 3nm process capacity draws big clients (6月23日付け DIGITIMES)
→製造装置メーカー筋発。TSMCの3-nanometerプロセス技術は、多くの重要な顧客を引き付けている旨。シリコンファウンドリーの同社は、3nm FinFETプロセスノードの複数のバージョンを提示している旨。

TSMCは、我が国で、熊本工場に続いて、つくばの研究拠点に進出、以下の通りオープンしている。こちらでは、先端微細化と並ぶ三次元実装のアプローチが展開され、今後に注目である。

◇TSMC誘致、国策拠点が始動、半導体5000億円支援を検証 (6月24日付け 日経 電子版 16:57)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は24日、茨城県つくば市に設けた研究開発センターを本格始動した旨。日本政府が約190億円の助成で誘致し、次世代半導体の製造技術の確立を狙う旨。日本はTSMCが熊本県に建設する新工場にも助成を決めたばかり。経済安全保障上などの観点から計約5000億円に上るTSMCへの支援が必要との立場だが、日本は果たして巨額支援に見合った果実を得られるのか。

◇TSMCの研究拠点、半導体産業に貢献、国際連携が重要=萩生田経産相 (6月24日付け ロイター)
→萩生田光一経済産業相は24日、茨城県つくば市で行われた「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」の開所イベントで、先端半導体の製造拠点における安定的な生産を支え、我が国の半導体産業の発展に継続的に貢献するものだと歓迎の意を示した旨。また、国際連携の下での技術開発となることの重要性を強調した旨。
台湾の半導体受託製造大手、TSMCが昨年3月に設立した子会社のTSMCジャパン3DIC研究開発センター(横浜市西区)が産業技術総合研究所の施設を借り受け、イビデン、キーエンス、新光電気工業など国内企業20社超と3DICパッケージ技術の共同開発を行う旨。総事業費370億円の約半分に当たる190億円を日本政府が助成する旨。

次に、TSMC追い越しを図るSamsungであるが、これも前回より引用、Samsungのトップのオランダ・ASML社訪問関連である。

◇Samsung's Lee visits ASML to expand cooperation, secure vital chip equipment (6月15日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇Samsung Elec chief strengthening networking for nano chip power in Europe‐Top Samsung executive visits ASML (6月16日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung ElectronicsのVice Chairman、Lee Jae-yong(李在鎔)氏が今週、ASMLのCEO、Peter Wennink氏と会い、半導体業界の問題、特に先端メモリ半導体やその他のデバイスを製造するためのextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムの供給について話し合った旨。Samsungは、台湾積体電路(TSMC)に挑戦することを目指して、シリコンファウンドリ市場でより競争力を高めたいと考えている旨。

以下、その後の内容であるが、韓国政府の対応について業界からの注文が端的にあらわされている。

◇Chipmaking slowed by red tape in Korea (6月19日付け Korea Joong Ang Daily)
→多くの業界筋によると、政府の官僚機構が韓国の半導体製造能力の構築を遅らせている旨。受注を獲得するための鍵は、容量を迅速に増やし、顧客の需要を満たすことができることであるため、これは競争力の観点から大きな問題であると彼らは言っている旨。

3-nmからGAAプロセスに先行して取り組むとしているSamsungであるが、歩留まりの問題が取り沙汰された経過があり、立て直しの一報が待たれるところという理解である。来週に予定という量産化発表に注目である。

◇Betting on GAA Technology to Catch up with TSMCSamsung Looking to Begin Mass Production of GAA-based 2-nm Products in 2025 (6月20日付け Business Korea)
→3-nano gate-all-around(GAA)プロセスは、ファウンドリ業界のゲームチェンジャーになると期待されている旨。サムスン電子は、今後3年以内に3-nano GAAプロセスを確立することにより、世界一のファウンドリー会社、台湾のTSMCに追いつくことを計画している旨。

◇Samsung expected to announce mass production of 3nm chip next week‐Sources: Samsung to start volume production of 3nm chips (6月22日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが間もなく、gate-all-around(GAA)プロセス技術に基づいた、3-nanometer features搭載microchipsの量産を開始する旨。

昨年半導体サプライヤーランキング首位を奪還したと言われるSamsungは、強気の投資計画を打ち上げている。

◇Is acquisition a cure for Samsung weakening foundry business? (6月22日付け DIGITIMES)
→Samsungは、今後5年間で450兆ウォン($346.5 billion)の投資を行う計画を発表、新しい資金の60%以上が、半導体事業の能力と競争力を強化するためのもの。

さて、長きにわたる半導体業界のリーダー、インテルは、微細化で後れとされ、挽回を図る計画が昨年あらわされている。以下、これも前回からの引用であるが、VLSIシンポジウムにて、7-nm、すなわちIntel 4プロセスへの取り組みが以下の通りプレゼンされている。今後のマイルストーンのクリアの推移に注目するところである。

◇Intel details 13 chip inventions at tech symposium (6月12日付け VentureBeat)
→Intelが、来るVLSI Symposium chip design conference(6月13-17日:HILTON HAWAIIAN VILLAGE, HONOLULU, HAWAII)に向けて、半導体製造における革新を備えた13の論文の詳細を共有する旨。

◇Intel Reports Good Progress On Intel 4 Process Node At IEEE Symposium (6月12日付け Forbes)
→今週、Intelは2022 IEEE Symposium on VLSI Technology&Circuits(VLSI)で、以前は7nmとして知られていた半導体プロセス技術であるIntel4に関する同社の進歩を説明する5つの論文を発表する旨。Intel 4は、Intelの移行プロセスであり、これは、deep-UV immersion lithographyの代わりにEUV(extreme ultraviolet, すなわちsoft x-rays)リソグラフィを使用する最初のIntelプロセスノードである旨。

◇Intel details advances to make upcoming chips faster, less costly‐Intel provides details on faster, cheaper chips‐X86 giant says it's on track to regaining manufacturing leadership after years of missteps (6月13日付け The Register (UK))
→Intelが、今週の2022 IEEE Symposium on VLSI Technology and Circuits(6月13-17日:HILTON HAWAIIAN VILLAGE, HONOLULU, HAWAII)にて、Intel 4として現在知られている7-nanometerのプロセス技術の詳細を提示する旨。
該新製造技術は、Intel Design Engineeringチーム、Intel LabsおよびIntel Technology Developmentによって開発された旨。

先端微細化とともに米国内での製造強化が緊急課題のインテルであるが、打ち上げたOhio州の新fabについて、半導体法案の米国議会での最終調整が手間取っている現状、起工を再検討せざるを得ないと、議会への憤懣があらわされている。

◇Intel warns Ohio factory could be delayed because Congress is dragging its feet on funding‐Intel waits on Chips Act to solidify Ohio fab cluster size (6月23日付け CNBC)
→インテルは、議会がそのプロジェクトをサポートする法律を制定しなかった場合、Ohio州にfab clusterキャンパスを開発する計画を縮小する可能性がある旨。「Chips Actに基づいて、我々はゆっくりと小さくなっていくか、あるいは大きくて大胆になるかだ」と、IntelのCEO、Pat Gelsinger氏。

◇2 huge chip makers warn of expansion delays as subsidies bill languishes‐Intel postpones Ohio groundbreaking as Congress faces a do-or-die moment on legislation to provide $52 billion for domestic computer chip production (6月23日付け The Washington Post)
→インテルおよびGlobalFoundriesの2社。

◇Intel warns Congress about Chips Act (6月24日付け Electronics Weekly (UK))
→Intelは昨日、Ohio州のfabサイトで計画されていた起工をキャンセルし、8月までにChips Actが可決されない場合、Ohio州への投資を縮小する可能性があると米国議会に警告した旨。

最先端技術の製品打ち上げということで、Micronに注目。車載安全性の難関標準の認定クリア、世界初のNANDおよび市場初のDRAMが、以下あらわされている。

◇Micron Readies for Level 5 Autonomy with LPDDR5 DRAM‐Micron offers LPDDR5 DRAMs for Level 5 autonomy in AVs (6月21日付け EE Times)
→1)レベル5の自律性への道のりは当初の予想よりも時間がかかっているが、Micron Technologyは、メモリコンテンツが明日の信頼性要件を本日満たすように十分に準備することを選択している旨。Micronは本日、同社のLPDDR5メモリがISO 26262に基づくAutomotive Safety Integrity Level(ASIL) D認定を受けたことを発表、これは、自動車安全性に向けた最も厳しい安全完全性レベルの1つと見なされている旨。
 2)Micron TechnologyのLPDDR5メモリデバイスが、ISO 26262機能安全規格の下でAutomotive Safety Integrity Level Dの認定を受けている旨。「メモリとストレージは、車の後部座席から前部座席に移動した」と、Micronのsenior director of Automotive Systems Architecture and Segment Marketing、Robert Bielby氏。

◇Micron aims 1.5TB microSD card at video surveillance market‐Ideal for corporate fleet dash cameras, smart home security, police bodycams, VSaaS and more, says chip giant (6月21日付け The Register (UK))
→半導体メーカー、Micronが、4か月間継続して記録される防犯カメラの映像を保持するのに十分な1.5TBの容量を備えた組み込みアプリケーション向けのmicroSDカードを提供している旨。ドイツのニュルンベルクで開催されたEmbedded World 2022カンファレンスで発表された、Micronの新しいi400は、これまでで最大容量のmicroSDカードであるとされ、産業グレードのビデオセキュリティアプリケーションに重点を置いて設計された旨。

◇Micron Unveils World's First 1.5TB microSD Card and Automotive Functional Safety-Certified Memory (6月21日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Micron Technology社が本日、インテリジェントエッジでの複雑なメモリとストレージの需要に最適化された強力なソリューションを提供するために組み込み製品ポートフォリオとエコシステムパートナーシップの拡張を発表した旨。以下のキーポイント:
 *世界初、176-layer 3D NAND
 *市場初、1α(1-alpha)プロセスnodeに基づくLPDDR5 DRAM
 *functional safety標準

関連する内容を最後に。3D NANDフラッシュの層数について、中国・Yangtze Memory(YMTC)の取り組みである。

◇Yangtze Memory to move directly to 232-layer 3D NAND production‐Sources: Yangtze Memory plans to start 232-layer 3D NAND (6月14日付け DIGITIMES)
→中国業界筋発。中国のNANDフラッシュメモリデバイスメーカー、Yangtze Memory Technologiesが、現在の192層技術を引き継ぎ、232層のNANDフラッシュメモリ半導体の生産を開始する旨。この動きは、YMTCのキオクシア、マイクロンテクノロジーおよびサムスン電子との競争力を高める目的の旨。

上記に示した先端微細化のトップ3について、現時点のあらわし方である。

◇Challenges for semiconductor sector (2): What it takes to get to the top (6月17日付け DIGITIMES)
→サムスン電子、インテルおよびTSMCは、7nmの高度なプロセスへの参入を発表した世界の半導体業界のトップ3企業。大手企業は必然的に互いに激しい競争にさらされているが、Intelはその高度なプロセス製品をTSMCにアウトソーシングしている旨。

なかなか理解が行き届かない最先端微細化技術であるが、関連記事より以下その概要抽出の試みである。
*半導体の微細化プロセス技術をリードしてきたFinFET技術は沈み、GAA技術が新たに浮上している。
*平面トランジスタは、ゲートは基板に対して平行の1面だけ。FinFETは、ゲートが3面に形成される(チャネルがフィンのように見えるのでFinFETと呼ばれる)。リーク電流が減らせるため、トランジスタの駆動能力が上がる。 GAAトランジスタは、ゲートを4方向(全周)に増やしたもので、FinFETよりもさらに駆動能力が高い。チップ面積を減らせるというメリットも。
*主要5ヵ国の特許を分析した結果、これまで半導体の微細化プロセスの主力であったFinFET技術の特許が2017年から下落傾向に変わり、GAA技術の特許が増加傾向を示していることが分かった。
 (2021年7月20日 出所: 韓国特許庁)

最先端の技術開発、そして生産化&製品化の絶え間ない展開の道筋に注目していく。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□6月20日(月)

我が国の今年の設備投資の見通しである。部材の供給不足が尾を引かない前提ではある。

◇設備投資回復25%増、2022年度、脱炭素などで積み残し挽回‐本社調査 供給制約が実現左右 (日経 電子版 20:00)
→日本経済新聞社がまとめた2022年度の設備投資動向調査で、全産業の計画額は前年度実績比25%増える見通し。伸び率は1973年度以来の高水準で投資額は2007年度に次ぎ過去2番目に多い旨。サプライチェーン(供給網)の混乱などで2021年度に積み残した投資を挽回する動きが底上げする旨。脱炭素などへの投資が目立つが、部材の供給制約が長引けば、計画が下振れする可能性がある旨。

□6月22日(水)

円安が続く状況である。

◇円下落、一時136円台に、日米金利差拡大で売り続く (日経 電子版 05:25)
→21日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=136円台前半を付けた旨。136円台は1998年10月以来、約24年ぶり。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めのペースを引き上げるとの見方が強まる一方、日銀は金利を抑え込む姿勢を鮮明にしている旨。日米金利差の拡大を材料にした円売りが続いている旨。

月曜がお休みの今週の米国株式市場、3万ドルを割った後のなお低い水準ということで、4日のうち3日は上げとなっている。

◇NYダウ反発641ドル高、自律反発を見込んだ買い (日経 電子版 05:52)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前営業日の17日に比べて641ドル47セント(2.1%)高の3万0530ドル25セントで終えた旨。終値で3万ドル台を回復したのは15日以来。米株式相場が前週末にかけ大幅に下落し、短期的な自律反発を見込んだ買いが優勢だった旨。このところ下げのきつかったハイテクや消費関連株を中心に幅広い銘柄に買いが入った旨。

□6月23日(木)

景気後退の要因が重なる現況、世界経済悪化の以下の内容である。

◇石炭需要、世界で再拡大、アジア・欧州で高騰、エネ供給不安、今年投資10%増 (日経)
→石炭の需要が世界で再び増えている旨。ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーの供給不安を受け、欧州で石炭回帰が急速に進む旨。クリーンエネルギーへの転換が遅れるアジアの新興国でも需要が伸び続ける旨。需給逼迫で価格が上昇し、国際エネルギー機関(IEA)は2022年に石炭への投資が前年比約10%増えるとの見通しを示した旨。

◇U.S., European Economies Slow Sharply as Recession Risks Grow‐Economic slowdown seen across US, Europe this month‐Business surveys point to declining manufacturing output and weaker services growth as price rises hit households (The Wall Street Journal)
→米国とヨーロッパの製造とサービスに関する6月のデータと調査では、すべての分野で減速が見られ、景気後退の可能性が高まっている旨。インフレ、サプライチェーンの課題、金利の引き上げそしてロシアのウクライナ侵攻が景気後退の要因として挙げられている旨。

◇NYダウ反落、47ドル安、根強い景気懸念が重荷 (日経 電子版 05:42)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比47ドル12セント(0.2%)安の3万0483ドル13セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げに伴う景気懸念から売りが優勢となった旨。FRBのパウエル議長の議会証言を無難に通過したことから前日終値を上回る場面もあったが、取引終了にかけて下げに転じた旨。

□6月24日(金)

◇NYダウ反発194ドル高、ハイテク株に買いも上値重く (日経 電子版 06:08)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比194ドル23セント(0.6%)高の3万0677ドル36セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めが景気悪化を招くとの懸念は根強く、相場の上値は重かった旨。その中で銘柄選別が進み、ハイテク株の一角やディフェンシブ株が買われ、相場を押し上げた旨。

□6月25日(土)

◇NYダウ続伸、823ドル高、急速な利上げ観測が緩和 (日経 電子版 05:42)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比823ドル32セント(2.7%)高の3万1500ドル68セントで終えた旨。今月に入って前日までに2300ドルほど下げており、短期的な戻りを期待した買いが入った旨。消費者の期待インフレ率の低下を示す米経済指標の発表を受け、米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げ観測がやや和らぎ、株買いを後押しした面もあった旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中の半導体関連】

上にも触れた米国の半導体法案であるが、民主党員のどれだけかどうか、可決に積極的なスタンスがあらわされてはいる。

◇Democrats in Congress 'optimistic' chips deal can happen soon‐Chips bill passing soon, Congressional Democrats say (6月21日付け Reuters)
→米国の民主党員が火曜21日、米国の半導体製造に助成金を支給し、中国の技術との米国の競争力を高めるために、$52 billionの超党派の合意に達することを望んでいると述べた旨。

米国の制裁を受け、都市封鎖にも見舞われた中国の半導体業界。果たしてその実態は如何、以下の見方がある。

◇US Sanctions Help China Supercharge Its Chipmaking Industry‐China's chip industry grows despite US trade sanctions ‐Most of the world's fastest-expanding chip firms are in China‐White House curbs on Huawei ignited demand for homemade chips (6月21日付け Bloomberg)
→Huawei Technologiesや他の中国企業に対して技術輸入を禁じる米国制限は、該人民共和国がmicrochipsの国内生産能力を構築するように導いた、とこの分析は特に言及している旨。「根底にある最大の傾向は、Covid-関連の封鎖によって触媒された、サプライチェーンにおける自給自足への中国の探求である」と、Morningstarのアナリスト、Phelix Lee氏。

◇中国半導体産業の実力、「自給率」で測る難しさ科学記者の目 アジアテック担当部長 山田周平 (6月22日付け 日経 電子版 02:00)
→中国の半導体産業の実力を測る指標として、自給率に関心が集まっている旨。中国政府が産業振興策に数値目標を盛り込み、その達成度合いは経済安全保障を巡る議論などで目安となっている旨。ただ、自給の定義など見方次第で数値が大きく変わるため、中国半導体への評価がブレる一因にもなっている旨。

【新しいfabsの取り組み】

新fab計画が台湾はじめ数多く打ち上げられているが、成熟世代品の生産への影響の見方である。

◇EOL: The Chip Shortage You Don't See Coming (6月20日付け EPS News)
→世界の半導体業界が数十の新しいファブに着手するにつれて、半導体メーカーが宣伝したくない副作用があり、それは製品の陳腐化。現在のサプライチェーンのダイナミクスは、多数の寿命末期(EOL)半導体を供給不足に追い込む可能性がある旨。

GlobalFoundriesのシンガポールfabの現況である。

◇GF starts equipment move-in at new Singapore fab‐GF initiates IC gear move-in at Singapore wafer fab (6月23日付け DIGITIMES)
→GlobalFoundriesが、シンガポールキャンパスにある同社の新しい拠点で装置の搬入を開始し、最初のツールであるLam Research製の市場をリードするエッチングツールを拠点のクリーンルームに入れた旨。

DRAMの台湾・Nanya Technology社が、$10Bウェーハfabの起工式を行っている。

◇Nanya Technology breaks ground on semiconductor fab in New Taipei‐Nanya Technology starts building $10B wafer fab in New Taipei (6月23日付け Focus Taiwan)
→DRAM半導体の台湾の大手メーカー、Nanya Technology社が、Taishan District, New Taipei(新北市泰山区)にある新工場の起工式を木曜23日に開催、蔡英文総統が出席の旨。

◇台湾・南亜科技、DRAM生産能力2.2倍、1.3兆円新工場着工 (6月24日付け 日経)
→半導体メモリーのDRAM大手、台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)が23日、北部の新北市で新工場の着工式を開いた旨。総投資額は3000億台湾ドル(約1兆3600億円)で、2025年から順次、稼働を始める旨。足元のDRAM需要は世界的なインフレなどを受け減速しているが、長期的な市場成長を見込み投資を進める旨。

メモリ半導体の中国・Yangtze Memory(YMTC)、本拠地、武漢での第2工場の取り組みである。

◇China's Yangtze Memory takes on rivals with new chip plant‐Yangtze Memory to open a new fab in Wuhan by year's end ‐Company aims to close technology gap with players like Samsung, Micron (6月23日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→本件に詳しい情報筋発。中国のメモリ半導体メーカー、Yangtze Memory Technologiesが、今年の終わりにも本社のある武漢に2番目の工場をオンラインにする予定であり、同社の技術と生産量の韓国のSamsungや米国のMicron Technologyなどのグローバルリーダーとのギャップをさらに縮める可能性がある動きの旨。

韓国・SK Hynixの一大$92.3Bプロジェクトへの着手である。

◇After a year delay, SK hynix ready to break ground for four-fab Yongin chip cluster‐SK Hynix ready to start construction on $92.3B Yongin fab cluster (6月23日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国のSK hynixが来月、計画が発表されてから3年後、Yongin, Gyeonggi Province(京畿道龍仁)で120 trillion won($92.3 billion)の野心的な半導体クラスタープロジェクトについに着手する旨。

【「Qualcomm AI Stack」】

Qualcomm Technologiesが、「あらゆる事業分野における固有のAIニーズ」に対応するものという、AI分野の開発者向けランタイム(プログラムの実行フェーズ)製品「Qualcomm AI Stack」ポートフォリオを発表している。

◇Qualcomm unifies its AI efforts with new stack‐Qualcomm debuts a new stack for AI tech (6月22日付け VentureBeat)
→Qualcomm AI Stackは、人工知能アプリケーションをサポートするためにQualcommによって改訂されたもの。Qualcommクアルコムの目標は、すべてのAIソフトウェアツールを1つの統合プラットフォームにまとめることである旨。

◇Qualcomm goes 'full stack' with unified AI software approach (6月23日付け FierceElectronics)
→Qualcomm Technologiesが、Qualcomm AI Stackポートフォリオを発表、複数の異なるQualcomm製品にわたってAIアプリケーションを作成するための統合ソフトウェアアプローチをもたらす旨。

【Meta(旧Facebook)関連】

Metaはじめ関係各社が、Metaverse Standards Forumを設立、捉え方が様々な概念であり、オープンなメタバースの構築に必要となる相互運用の標準化に向けて取り組むとしている。

◇Meta, Microsoft, NVIDIA, Unity and others form Metaverse Standards Forum‐Tech companies establish Metaverse Standards Forum (6月21日付け TechCrunch)
→Meta、Microsoft、Nvidia、Sonyおよびその他のテクノロジー企業が、metaverse応用がさまざまなプラットフォームで動作できるようにすることを目的として、Metaverse Standards Forumを設立の旨。「インターネットのように、metaverseは国境を越えて相互接続されたシステムになり、管轄区域を越えて動作できるようにするための公的および私的な基準、規範および規則のウェブが必要になる。」とMetaのpresident of global affairs、Nick Clegg氏がブログ投稿にて。

Metaの次世代VR端末の試作の取り組みである。

◇メタが次世代VR端末の試作品、小さく軽く、開発急ぐ (6月21日付け 日経)
→米メタは20日、仮想現実(VR)端末の試作品「ホロケーキ2(Holocake 2)」を公開、映像を表示するディスプレーと焦点を合わせるのに必要なレンズの間の距離を短くして小型軽量化する旨。高性能な端末が次世代のインターネットと位置付けるメタバースの実現に不可欠とみており、現実の景色の再現を目標に開発を急ぐ旨。

【巨大IT規制関連】

我が国でも、海外の巨大ITに対し、法人登記を求める動きが以下の通りである。米国はじめ各国で規制&監視強化が行われる中、罰則手続きをとる取り組みである。

◇未登記の海外ITに罰金へ、政府、メタ・Twitterなど監視強化【イブニングスクープ】 (6月20日付け 日経 電子版 18:00)
→日本で事業を展開する海外IT大手が法人登記をしていない問題で、政府は登記しない企業に罰則手続きをとる方針を固めた旨。3月末までに米メタ(旧フェイスブック)や米ツイッター、米グーグルなど48社に登記を求めたが、応じない企業があるとみられる旨。各国は利用者保護の観点でIT大手への規制や監視を強めており、日本も厳格に対応する旨。

◇海外IT、法の網逃れ成長、各国が税・登記巡り対応 (6月21日付け 日経 電子版 02:00)
→政府は海外IT大手に法人登記を求め、規制や監視を強める旨。SNS(交流サイト)上での中傷問題や偽情報への対応など、IT大手を巡る課題は多い旨。しかし海外のIT大手は現地での税負担や規制対応を避けており、各国の当局は課税だけでなく法的な権限すら行使できない状況が続いてきた旨。海外ITの存在感は日本でも大きく、監督を強める必要に迫られている旨。

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