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インテルの活発な戦略展開、Arm買収を巡る動き、政府&業界連携関連

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜3日午後時点、世界全体で5億3088万人に達し、7日前の午後から304万人増、前週比76万人減である。
6月に入って、上海も封鎖が解除、我が国も入国制限が緩和されている。半導体業界での優位&先行の立ち位置の獲得に向けた、様々な動きが見られている。インテルは、Samsungを電撃訪問してソウルでのトップ会談、昨年12月のTSMC訪問と同様、事業協力の話し合いとされている。他にも、米国およびEU当局への投資の働きかけなどがある。次に、Armの買収に向けたコンソーシアムの構築に、Qualcommなどが乗り出す動きが見られている。さらに、米国SIAと米国議会、EUと台湾など、半導体を巡る連携&協議が続いている。

≪グローバルに優位な立ち位置に向けて≫

インテルの活発、多彩な動きから、まずは、Taylor, Texas工場の今月起工である。

◇Samsung likely to begin groundbreaking for U.S. chip plant next month (5月27日付け Yonhap News Agency)
→業界筋、金曜27日発。Samsung Electronics Co.が来月、Taylor, Texasで$17 billionの半導体製造工場の起工式を行う予定の旨。

インテルのCEO、Pat Gelsinger氏が、ソウルのSamsung Electronics本社を訪問、Vice Chairman、Lee Jae-yong(李在鎔)氏とのトップ会談を行った記事関連、以下の通りである。半導体販売高の1位と2位、しのぎを削る両社が、多様な分野で協力案の協議とあらわされている。

◇Samsung's Lee meets Intel CEO in Seoul to discuss chip cooperation‐Top execs of Samsung and Intel meet in Seoul (5月30日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung ElectronicsのVice Chairman、Lee Jae-yong(李在鎔)氏が月曜30日、インテルのCEO、Pat Gelsinger氏と会い、半導体業界の問題について話し合った旨。両社は世界最大の半導体メーカー2社、Samsungは昨年、該シリコンバレーの巨人よりも半導体関連の売上げが多かった旨。

◇サムスン李在鎔副会長とインテルのゲルシンガーCEO、世界半導体1位と2位が「ソウルで会合」 (5月31日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長と米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)がソウルで会い事業協力案を話し合った旨。世界1位と2位の半導体メーカーの最高実力者が会ったのだ。バイデン米大統領が20日に京畿道(キョンギド)のサムスン電子平沢(ピョンテク)キャンパスを訪問してから10日、ゲルシンガーCEOが李副会長と面談し両社と韓米半導体業界の競争・協力構図の変化に関心が集まる旨。
サムスン電子によると、李副会長は30日午後にソウルのサムスン電子瑞草(ソチョ)社屋で2時間にわたりゲルシンガーCEOと会い、次世代メモリー、ファブレス(設計)システム半導体、ファウンドリー(委託生産)、PC・モバイルなど多様な分野で協力案を協議した旨。今回の会合はインテルの要請によるものの旨。

◇Intel CEOがSamsungを電撃訪問し広範囲の事業協力を協議 韓国メディア報道 (5月31日付け マイナビニュース)
→IntelのPat Gelsinger CEOが5月30日午後に韓国ソウルにあるSamsung Electronics本社を訪れ 李在鎔(イ・ジェヨン)副会長とひそかに会談を行ったと韓国メディアが報じている旨。
売上高世界1位と2位の半導体メーカーの最高実力者同士の会談には、Samsungの慶桂顕(キョン・ゲヒョン)半導体(DS)部門長、盧泰文(ノ・テムン)モバイル(MX)事業部長、李禎培(イ・ジョンベ)メモリー事業部長、崔時栄(チェ・シヨン)ファウンドリー事業部長、朴庸仁(パク・ヨンイン)システムLSI事業部長ら「Samsung社長団」が同席して、半導体だけではなく、家電・通信製品など最終製品を含めた多様な分野での事業協力案を協議した旨。

昨年末のインテルのCEO、Pat Gelsinger氏の台湾およびマレーシア訪問も、同様の雰囲気を感じる以下の内容であった。

◇Intel CEO to visit Taiwan for chip talks-FOUNDRY BID: Pat Gelsinger has ruffled feathers with his calls to limit government chip funding to local firms and criticism of the concentration of chip production in Taiwan (12月11日付け Taipei Times)
→Intel社のCEO、Pat Gelsinger氏が来週、台湾およびマレーシアを訪問、同社の売上げを好転させる努力にアジアでの製造が如何に重要かを示す話し合いの旨。

◇Malaysia says U.S. chipmaker Intel to invest $7 billion in new facility (12月13日付け Reuters)
→Intelが、マレーシアのPenang州の半導体実装拠点に$7.1 billionを投資する計画の旨。

◇Visiting Intel boss talks up Taiwanese investment-SUPPLY PARTNER? Analysts believe Intel Corp CEO Pat Gelsinger came for TSMC's 3-nanometer chips, which are to be the most advanced when they roll out next year (12月15日付け Taipei Times)
→TSMCは重要で長きにわたるパートナー、と昨日台湾に着いたIntel社のchief executive officer(CEO)、Pat Gelsinger氏。先端3-nanometer半導体のサプライヤとしてTSMCの確保に向けた探求と広く信じられている旅にある旨。

ここで現下のインテルの注目新製品である。

◇Intel's Falcon Shores XPU to mix ‘n’ match CPUs, GPUs within processor package‐Intel details the Falcon Shores XPU, a CPU/GPU mixture ‐x86 giant now has an HPC roadmap, which includes successor to Ponte Vecchio (5月31日付け The Register (UK))
→Intelが、CPUとgraphics processing unit(GPU)を1つのICパッケージに統合するコンポーネント、Falcon Shores XPUに関する詳細を提供した旨。該XPUは2024年の導入が予定されている旨。

◇Intel's Rialto Bridge GPU official sampling launch set for mid-2023 (6月1日付け FierceElectronics)
→Intelが火曜31日、AIおよび高性能データセンターアプリケーションで使用するコードネームRialto BridgeのフラッグシップGPU後継機種を正式に発表、2023年半ばに顧客にサンプルを提供する旨。

米国に加えて、EU当局への半導体への投資をインテルが働きかけている。

◇Intel urges US and EU to collaborate to reinvigorate semiconductor leadership‐Intel lobbies US and EU officials on chip incentives (6月2日付け DIGITIMES)
→インテルの幹部が、欧州連合(EU)と米国の当局者との間で半導体技術への投資を主張している旨。「半導体に関しては、EUはASMLやIMECのようなサクセスストーリーでイノベーションのフロンティアを推進しているだけでなく、米国よりも速く、より良い結果をもたらす半導体のポリシーを追求している。」とIntelのVice President, European Government Affairs、Hendrik Bourgeois氏がEU議員へのメッセージにて。

次に、Armの買収に向けた投資コンソーシアムの動きについてである。特にQualcommが乗り出すスタンスが、以下の通りである。

◇Qualcomm among queue of suitors chasing a stake in Arm‐Chipmaker interested in forming a consortium for purchase ‐ and so is SK hynix, Intel         (5月31日付け The Register (UK))
→Qualcommは、Armに出資し、この英国の半導体設計者を中立に保つ、または少なくとも単一の半導体企業の手に負えないコンソーシアムの構築を支援したいと繰り返し述べている旨。

◇Qualcomm Mulls Consortium Plan to Keep Arm Independent‐Chip designer could have multiple owners (5月31日付け Tom's Hardware)

◇Report: Qualcomm chief says he wants a piece of Arm Inc.'s upcoming IPO (5月31日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→伝えられるところによると、Qualcomm社が、SoftBank Group社のArm Ltd.への出資を希望している旨。
Financial Timesへのコメントで、QualcommのCEO、Cristiano Amon氏は、Qualcommのライバルのコンソーシアムと一緒に該半導体設計事業によるIPOに投資したい、あるいは、他の企業とともにArm買収に加われるとしている旨。しかし、Amon氏はまた、サンディエゴを拠点とするQualcommは、投資の可能性についてSoftBankにまだ話していないと述べた旨。

◇[Market Eye] Qualcomm reignites Arm consortium talks, SK hynix alliance‐Qualcomm CEO talks Arm consortium (6月1日付け The Korea Herald (Seoul))
→QualcommのCEO、Cristiano Amon氏が、Nvidiaが提案したArmの買収が独占禁止法の規制当局によって阻止されたため、Armを買収するための投資コンソーシアムを設立するという議論を復活させている旨。SK Hynixが、この潜在的な取引で役割を果たす可能性がある旨。「これは非常に重要な資産であり、我々の業界の発展に不可欠になっていくもの」とAmon氏がArmについて語った旨。

最後に、各国政府および業界が半導体関連で連携する動きである。

まずは、米国・SIAのBiden大統領が推進するIPEF打ち上げへの支持である。

◇SIA Applauds Launch of Indo-Pacific Economic Framework (5月26日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、Biden大統領がIndo-Pacific Economic Framework(IPEF)を立ち上げようとしているという最近の発表に関して、President and CEO、John Neuffer氏から声明を発表した旨。IPEFは、貿易円滑化、デジタルエコノミーとテクノロジーの基準、サプライチェーンの弾力性、脱炭素化とクリーンエネルギー、インフラストラクチャー、およびその他の分野に関する共通の目標を定義することを目的としている旨。

SEMI Europeが、欧州半導体法の採用を急ぎ求めている。

◇SEMI calls for swift adoption of EU Chips Act‐SEMI urges EU Chips Act bill passage (5月31日付け Electronics Weekly (UK))
→半導体製造装置業界団体、SEMI Europeが、European Chips Actの敏速な採用を督促の旨。

米国・SIAと米国上院議員の半導体強化についての協議である。

◇Sen. Mark Warner, Semiconductor Industry Execs Meet to Discuss Strengthening Domestic Chip Research, Design, Manufacturing (5月31日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、米国の雇用と競争力パッケージの交渉を任務とする上院議員の1人、Mark Warner氏(D-Va.)とSIAメンバー企業の12人以上の上級幹部との間で生産的な円卓会議を開催した旨。参加者は、競争力法(USICA / COMPETES)に関する進行中の会議交渉と、最終法案の一部として半導体の製造と設計にCHIPS法の資金とFABS法の投資税額控除を制定することの重要性について話し合った旨。Warner上院議員は、CHIPS法とFABS法の上院スポンサーである旨。参加者はまた、進行中の世界的な半導体不足、STEM労働力開発、および米国を拠点とする半導体の研究、設計、製造の強化に関連するその他の問題について話し合った旨。

韓国政府の半導体人材開発への支援である。

◇Seoul to double semiconductors majors at tech academies and up tax benefits to chip sector‐Korea will fund more education in chip engineering (5月31日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国政府は、人材不足に取り組む半導体業界のトップレベルの技術研究所で半導体工学の学生のcapacityを倍増させ、世界市場での競争が激化する中、税制上の優遇措置とインフラ支援を拡大する旨。

我が国政府の「ものづくり白書」での半導体への取り組みである。

◇「半導体産業の競争力強化を」‐政府・ものづくり白書 (5月31日付け 共同通信社)
→政府は31日、2022年版の「ものづくり白書」を閣議決定した旨。日本の製造業は世界的な半導体不足で大きな影響を受けたとして「半導体産業の競争力強化に取り組んでいくことが必要だ」と提言。安定供給がデジタル社会における「安全保障上の最重要課題だ」と訴えた旨。

年次開催の台湾とEUの貿易投資対話にて、半導体の連携が謳われている一方、中国への対抗もあらわれている。

◇‘Third parties’ should not interfere in Taiwan’s dealings with the EU, Taiwan minister says (6月3日付け CNBC)

◇Taiwan, EU discuss semiconductors, increased trade and investment during annual dialogue‐Taiwan and the EU confer on chip tech and trade‐Taiwan-EU Trade and Investment Dialogue highlights cooperation in semiconductor sector (6月3日付け Taiwan News)
→毎年恒例の台湾とEUの貿易投資対話が半導体技術と貿易における協力に重点化の一方、台湾は"第三者"が該対話に影響を与えることを許可しないことを明確にしている旨。「北京は常に我々のパートナーとの経済協力に反対を表明しているが、これは世界的な利益のためである...」と、台湾の経済担当副大臣、Chen Chern-Chyi氏。

◇EU・台湾、半導体で連携、経済関係強化へ対話格上げ (6月3日付け JIJI.COM)
→欧州連合(EU)と台湾は2日、貿易・投資対話の高官会合をオンラインで開き、幅広い経済分野での協力関係強化を協議した旨。特に世界的に供給不足が課題となっている半導体の安定確保に向け、サプライチェーン(供給網)の情報共有や監視などで連携することで一致した旨。

各国の政府、業界そして各社の様々な慌ただしい動きの推移に、引き続き注目するところである。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月29日(日)

苦境の中国、そしてロックダウンのやっとの解除、以下の通りである。

◇中国テック株、米中摩擦と当局規制の二重苦続く (日経 電子版 04:00)
→中国ハイテク株の低迷が続いている旨。長引く米中摩擦で米上場の廃止リスクに直面する企業が増えているほか、当局の規制の方向感が定まらず国内事業の先行きも不透明なため。一方で、大型の新規上場の準備とみられる動きや非上場企業への投資は依然として活発。

□5月30日(月)

◇上海市、6月1日にロックダウン解除、自由な外出可能に (日経 電子版 21:14)
→中国・上海市は30日、都市封鎖(ロックダウン)を6月1日に解除すると発表、外出禁止措置を取り消し、市民の自由な外出を認める旨。地下鉄やバス、タクシーなど公共交通機関の運行は全面再開する旨。中国最大の経済都市のロックダウンは約2カ月で終了する旨。
6月1日午前0時(日本時間同1時)に封鎖を解除する旨。これまでの外出許可証制度を廃止し、一定期間内に陽性者がいた地区を除いて出勤や買い物、通院などの外出が可能となる旨。自家用車の通行も認める旨。商業施設やオフィスなどは大半が同日から再開する見通し。

□5月31日(火)

◇中国景況感、3カ月連続50割れ、ゼロコロナで景気弱く (日経 電子版 11:01)
→中国国家統計局が31日発表した2022年5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6。前月より2.2ポイント上昇したが、好調・不調の境目である50を3カ月連続で下回った旨。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で北京市などにも厳しい行動制限が広がり、景気は弱い状況から抜け出せていない旨。

□6月1日(水)

◇上海封鎖解除、セブンやシャープ、現地営業・生産を再開 (日経 電子版 05:02)
→中国・上海市は6月1日、2カ月超にわたり実施してきた都市封鎖(ロックダウン)を解除する旨。供給網の回復を見込みホンダが6月の日本国内生産を微増とする計画を取引先に伝えたほか、現地に進出するセブンイレブンなども順次営業を再開する旨。当局の詳細な通達内容などはまだ不透明な面もあり、企業活動の正常化にはしばらく時間がかかりそう。

月曜がメモリアルデーのお休みで4日の取引の今週の米国株式市場、出だし7日ぶりに下げ、その後、長期金利、引き締め警戒で上げ下げが見られている。

◇NYダウ、7日ぶり反落、原油高でインフレ懸念 (日経 電子版 05:36)
→5月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに反落し、前営業日の27日比222ドル84セント(0.7%)安の3万2990ドル12セントで終えた旨。米原油先物相場が上昇し、高インフレが長引くとの懸念が高まり、売りが優勢となった旨。ただ、米長期金利の上昇を受けて金融株が買われ、ダウ平均は高くなる場面もあった旨。

米国の台湾への肩入れが、次の通りである。今後の推移に注目である。

◇Biden Administration Begins Trade Dialogue With Taiwan‐US promotes the Indo-Pacific Economic Framework (The New York Times)
→中国が領土と主張するこの自治の島、台湾との会談は、中国の貿易慣行に挑戦することを目的としており、北京を苛立たせることは間違いない旨。

□6月2日(木)

◇米国防長官、台湾へ武器提供拡大、「統合抑止力を重視」 (日経 電子版 05:21)
→オースティン(Lloyd James Austin III)米国防長官は台湾に対する中国の脅威の高まりに合わせて、台湾軍への武器支援や訓練を拡大していく意向を表明した旨。全ての戦闘領域で同盟国などと連携を深める「統合抑止力」を重視し「侵略のコストや愚かさを極めて明確にする」と断言。中国抑止に向けて日本の役割増に期待を示した旨。

◇NYダウ続落、176ドル安、長期金利上昇を嫌気 (日経 電子版 05:51)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比176ドル89セント(0.5%)安の3万2813ドル23セントで終えた旨。米長期金利がほぼ2週間ぶりに2.9%台に上昇、インフレ懸念や米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感が意識され、投資家心理の重荷となった旨。

□6月3日(金)

◇NYダウ反発435ドル高、金融引き締めへの警戒和らぐ (日経 電子版 06:53)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比435ドル05セント(1.3%)高の3万3248ドル28セントで終えた旨。2日発表の米雇用指標が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融を引き締めるとの懸念がやや和らいだ旨。

□6月4日(土)

◇NYダウ反落、348ドル安、FRBの金融引き締めを警戒 (日経 電子版 07:24)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比348ドル58セント(1.0%)安の3万2899ドル70セントで終えた旨。朝方発表の5月の米雇用統計で雇用者数の増加幅が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの警戒が広がった旨。


≪市場実態PickUp≫

【スーパーコンピュータTOP500】

年に2回のスーパーコンピュータの性能ランキング評価、TOP500が発表され、首位を維持していた我が国の「富岳」が2位となり、米国の「Frontier」が初のExaflop/sを達成して首位になっている。関連記事が、以下の通りである。

◇ORNL's Frontier First to Break the Exaflop Ceiling (5月30日付け TOP500 Supercomputer Sites)
→スーパーコンピュータTOP500の第59版は、Frontierシステムが1.102 Exaflop/sのHPLスコアを持つ最初の真のエクサスケールマシンであることを明らかにした旨。

◇Frontier Named No. 1 Supercomputer on TOP500 List and ‘First True Exascale Machine’ (5月30日付け TOP500 Supercomputer Sites)
→ISC(International Supercomputing Conference) 2022 conferenceにて、本日Hamburgで発表されたTOP500。HPL benchmark scoreトップ10:

1 Frontier米国
1.102 Exaflop/s
2 Fugaku日本
442 Pflop/s
3 LUMI欧州
151.9 Pflop/s
4 Summit米国
148.8 Pflop/s
5 Sierra米国
94.6 Pflop/s
6 Sunway TaihuLight中国
93 Pflop/s
7 Perlmutter米国
64.6 Pflop/s
8 Selene米国
63.4 Pflop/s
9 Tianhe-2A (Milky Way-2A)中国
61.4 Pflop/s
10 Adastra欧州
46.1 Pflop/s

電力当たり性能のTOP500が、以下の通り。

◇HIGHLIGHTS - JUNE 2022‐This is the 59th edition of the TOP500. (5月30日付け TOP500 Supercomputer Sites)
→Green500のトップ5:

(GFlops/watts)
1 Frontier TDS米国
62.684
2 Frontier米国
52.227
3 LUMI欧州
51.629
4 Adastra欧州
50.028
5 MN-3日本
40.901
→Preferred Networks

◇国産スパコン「富岳」世界ランク2位、米が2年半ぶり首位 (5月30日付け 日経 電子版 18:16)
→理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、計算速度を競う世界ランキングで2位だった旨。初登場の米国の「フロンティア」が米国勢として2年半ぶりに首位となった旨。世界では量子コンピューターに主役が移りつつあるが、国産スパコンも安全保障上無視できない旨。国は後継機開発も検討し、今後は技術変化を見極め柔軟な開発資源の配分が必要になる旨。

◇スパコン世界ランク、「富岳」2位に陥落…首位は米国の最新鋭機「フロンティア」(5月30日付け 讀賣新聞オンライン)
→理化学研究所は30日、富士通と共同開発したスーパーコンピューター(スパコン)の「富岳」が、計算速度を競う世界ランキング「TOP500」で2位になったと発表、2年にわたって維持してきた世界トップの座は、米国が新たに投入したスパコンに奪われた旨。
TOP500は、スパコンの研究者らによる国際会議で毎年2回、公表されている旨。富岳は2020年6月以来、4期連続で1位だったが、今回は米国・オークリッジ国立研究所にある最新鋭機「フロンティア」がトップになった旨。

◇Nvidia unveils Venado supercomputer for Los Alamos National Laboratory, more at ISC (6月1日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが今週、ドイツのハンブルクで開催されたInternational Supercomputing Conference(ISC)で、同社が3月に発表したGrace Hopper Superchip、を最初に使用する、Los Alamos National Laboratory(LANL)でHPEと提携して構築された新しいスーパーコンピューター、Venadoなどいくつかの発表を行った旨。

中国はデータを提出していないとの以下の記事。米中摩擦の一端である。

◇China's supercomputer Sunway TaihuLight falls to sixth place amid reluctance to share data over US sanctions fears (6月1日付け South China Morning Post)
→*ある科学者によると、中国のスーパーコンピューティング研究機関は、米国との関係が悪化しているため、Top500リストにデータを提出しなくなった旨。
 *米国は、Sunway TaihuLightより1秒あたり10倍の計算が可能なFrontierシステムで、最新のリストのトップに立っている旨。

◇U.S. Announces World's First Exascale Computer (6月3日付け EE Times)
→米国エネルギー省(DOE)が今週、AMD半導体を搭載した世界初のエクサスケールコンピューターであるFrontierを発表、Oak Ridge National LaboratoryのFrontierシステムは、1.1 exaflopsでTop500リストをリードし、エクサスケールの障壁を打ち破った最初のシステムになった旨。

【スーパーコンピュータ関連】

このタイミングということか、目に入ったスーパーコンピュータ関連の内容から。

Hewlett Packard Enterprise(HPE)とSiPearlの取り組みである。

◇SiPearl joins Nvidia for euro processor development‐SiPearl teams with Nvidia, HPE on processor development‐SiPearl, the Euro-processor designer, has agreed to joint technical and business development with Nvidia. (5月30日付け Electronics Weekly (UK))
→SiPearlが、Hewlett Packard Enterprise(HPE)およびNvidiaと協力、エクサスケールのスーパーコンピューターおよびhigh-performance computing(HPC)テクノロジーで使用するための低電力プロセッサを開発している旨。SiPearlの今後のRheaプロセッサは、Armベースのデバイスである旨。

◇HPE and SiPearl to accelerate Europe's adoption of Exascale supercomputers ‐Hewlett Packard Enterprise and SiPearl, the company that's designing a high-performance and low-power microprocessor for European exascale supercomputers, have announced a strategic partnership to jointly develop HPC solutions. (5月31日付け New Electronics)

インド発の内容である。

◇Param Porul Supercomputer Inaugurated at NIT (5月30日付け EE Times India)
→インドの電子情報技術省(MeitY)と科学技術省(DST)の共同イニシアチブであるNational Supercomputing Mission(NSM)の下でのNIT Tiruchirappalliの最先端のスーパーコンピューターであるParam Porulスーパーコンピューティング拠点が、NSMのフェーズ2の下に設立された旨。

◇Param Ananta Supercomputer Commissioned at IIT Gandhinagar (6月1日付け EE Times India)
→Param Anantaスーパーコンピューティング施設は、科学&技術の学際的な領域におけるIIT GandhinagarのR&D活動に大きな利益をもたらす旨。

【半導体業界データ】

SEMIより、世界半導体製造装置のこの1−3月、第一四半期の販売高が、以下の通りである。製造装置に用いる半導体の不足の影響に今後とも注意を要している。

◇GLOBAL SEMICONDUCTOR EQUIPMENT BILLINGS GROW 5% YEAR-OVER-YEAR IN Q1 2022, SEMI REPORTS (6月1日付け SEMI)

◇Global Semiconductor Equipment Billings Grow 5% Year-Over-Year in Q1 2022, SEMI Reports (6月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIが本日、Worldwide Semiconductor Equipment Market Statistics(WWSEMS)Reportレポートで、2022年第一四半期の世界の半導体装置のbillingsが前年同期比5%増の$24.7 billionに達したと発表、季節的に軟調な第一四半期でのbillingsは前四半期比10%減。
「半導体業界は引き続きfab capacityを増強しており、第一四半期の装置売上げ前年比増は、2022年に向けた積極的な予測に符号している。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。「北米とヨーロッパは、国内の半導体製造の取り組みを強化しているため、設備投資が前四半期比堅調に増加している。」

◇1−3月の半導体装置世界販売、5%増247億ドル、SEMI (6月3日付け 日刊工業)
→半導体業界の国際団体SEMIは2日、2022年1−3月の半導体製造装置の世界販売額が前年同期比5%増の$24.7 billion(約3兆2000億円)だったと発表、依然として高水準ではあるが2021年10−12月からは10%のマイナスとなり、2年ぶりに前四半期比で減少に転じた旨。製造装置の生産に使う半導体が足りず、作り込みが遅れ始めているとの見方がある旨。顧客の半導体メーカーが大規模な増産計画を打ち出すなか、製造装置の作り込みが追いつかなくなれば、世界的な半導体不足の解消に遅れが生じる可能性もある旨。

IC Insightsが、今年の半導体販売高について11%増の$680.7 billionとさらに上げた見方であらわしている。毎月の米国・SIAの販売高発表とも合わせて、目が離せないところである。

◇Semiconductor Growth Still Seen at 11% Despite 2022 Headwinds‐New quarterly update shows higher gains in microprocessors and power discretes this year, but lowers sales increases in optoelectronics while the global economy faces greater risks. (6月1日付け IC Insights)

◇11% growth for semis this year, says IC Insights‐IC Insights: Microchip market will grow 11% in 2022 (6月2日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insightsの予測。世界の半導体売上高は今年11%増加して$680.7 billionになる旨。該市場調査会社は以前、microcomponent ICsの7%の上昇を予測していた旨。

◇Semiconductor Growth Still Seen at 11% Despite 2022 Headwinds (6月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

【東芝関連】

再編案に向けた東芝の動きの関連、以下目に入った範囲、基本時間順に示していく。

◇Toshiba receives 10 initial proposals including 8 to go private‐Toshiba attracts 10 offers from investors (6月2日付け Reuters)

◇東芝、再編案に革新機構など応募、株価上昇で交渉難航も (6月2日付け 日経 電子版 22:24)
→東芝は2日、株式非公開化を含む再編案に10件の応募があったと発表、10件のうち一つは産業革新投資機構(JIC)からの応募であることが分かった旨。今後、提案の絞り込みを進めるが、買収への期待で既に株価が上昇しており、非公開化に関しては難航も想定される旨。

◇東芝の再編案に応募10件、非公開化関連は8件 (6月2日付け 日経 電子版 14:18)
→東芝は2日、5月30日を期限として募っていた株式非公開化など再編案に10件の応募があったと発表、うち、非公開化に関する初期提案が8件で、戦略的資本業務提携に関する初期提案が2件だった旨。今後、10件の提案について株式の取得価格や規制に絡む実現可能性などを評価し、次の手続きに進む応募者を選定する旨。東芝による再編の検討が本格化する旨。

◇Japan tech giant Toshiba studying going private as an option‐Toshiba considers going private (6月3日付け The Associated Press)
→東芝は、非公開企業になるという考えを、近年の該日本のコングロマリットの問題について憤慨している株主に売り渡さなければならない旨。「前進させるよう我々の資産への重点化が重要」と島田太郎最高経営責任者(CEO)。「東芝が弱体化したと多くの人が言っている」と付け加えた旨。

◇Toshiba to flag that activist board nominees were not approved unanimously (6月3日付け Reuters)
→本件事情通、金曜3日。東芝が、物言う株主ヘッジファンドからの2人の取締役候補者が指名委員会によって満場一致で承認されなかったことを株主に通知する予定の旨。

【懸案&その他注目】

BroadcomのVMware買収計画の件、見方の1つである。

◇Broadcom to milk VMware dry? Analysts see trouble in $61B deal (5月28日付け FierceElectronics)
→多くのアナリストは、Broadcomが計画しているVMwareの$61 billionでの買収は、投資家にとって理にかなっていると信じているが、必ずしもVMwareの仮想化エンタープライズの顧客向けではない旨。
一部のアナリストは、Broadcomが実際にVMwareのコンテナソフトウェアビジネスにどれだけ投資するかを不安視、ただし、BroadcomのCEO、Hock Tan氏は、VMwareが企業向けの最高のプラットフォームソリューションプロバイダーとしてのBroadcomの地位を支援するとしている旨。

中国傘下のNexperiaによって買収された英国・Newport Wafer Fabについて、波乱の様相が続いている。

◇Bailout planned for British microchip giant as China deal comes under scrutiny‐Taxpayers could rescue Newport Wafer Fab after sale to Nexperia is reviewed (5月28日付け The Telegraph (London))
→ライバルの入札者が話し合っている提案の下で大臣が中国側への販売を阻止する場合、納税者の資金は英国最大のマイクロチップ工場を救済するために使用される旨。

◇Newport Wafer Fab could be sold to US consortium ‐ report‐Report: US consortium may acquire Newport Wafer Fab ‐Considered to be preferable to sale to China-owned Nexperia, say sources (5月30日付け The Register (UK))
→米国を拠点とするコンソーシアムが、2021年に中国に所有権がある半導体メーカー、Nexperiaによって買収されたNewport Wafer Fabを購入する可能性がある、とTelegraphが報じている旨。オランダのNexperiaは、Wingtech Technologyの完全所有子会社である旨。

UMCのシンガポールの新工場、現下の不足への寄与の期待である。

◇UMC、シンガポールに新工場 (5月30日付け 日経産業)
→台湾の半導体受託生産大手、UMC(聯華電子)はシンガポールで建設を予定する新工場の用地使用権を取得、同工場への総投資額は50億ドル(約6300億円)を見込み、2024年末までに量産を開始する旨。不足が続く車載や通信機器向けといった旧世代半導体の増産につなげる旨。

アップルに対抗するSamsungのアプリ・プロセッサ開発チームである。

◇「アップルを捕まえる」サムスン電子、独自AP開発「ドリームチーム」発足 (5月31日付け コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子が独自のモバイルアプリケーションプロセッサー(AP)開発のための大規模「ドリームチーム」、「ドリームプラットフォームワンチーム(Dream Platform One team)」を構成し、本格的な航海に乗り出す旨。韓国メディア「アジアタイムズ」が報じた。該タスクフォース(TF)は2025年にアップル「バイオニック」のようなGalaxy専用APを出すことが目標。

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